(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
実施の形態1に係る照明器具100について、
図1,
図2を参照しながら説明する。
1.照明器具100の全体構成
図1に示すように、照明器具100は、発光色が異なる複数の光源(LED群3,4,5,6)を有する光源ユニット1と、光源ユニット1のLED群3,4,5,6に電流を流して駆動する点灯装置2とを備える。このLED群3,4,5,6の発光色は、赤(R),緑(G),青(B),白(W)である。
【0015】
図1に示す光源ユニット1において、LED群3,4,5,6は、それぞれ、同じ発光色で同一特性を有するLEDが直列に接続されて構成されている。ただし、LED群3が1個の赤色LED,LED群4が1個の緑色LED,LED群5が1個の青色LED,LED群6が1個の白色LEDで構成されてもよい。
点灯装置2は、人間の視覚では点滅が視認できない程度に高速で、LED群3,4,5,6を順に点灯させる動作を周期的に繰り返す。それによって、LED群3,4,5,6からの光が混合された混合光が光源ユニット1から出射される。
【0016】
点灯装置2は、光源ユニット1の各LED群3,4,5,6に直列に接続された複数の光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6、光源ユニット1に対して直流電力を出力する電力ユニット10と、光源ユニット1のLED群3,4,5,6に電流を流す時間を制御する制御部20を備える。そしてLED群3,4,5,6を点灯させる際に、発光時間を調整することによって、混合光の色や強度を調整できるようになっている。
【0017】
ここで、LED群3と光源スイッチQ3とが直列に接続されたものを直列負荷回路30とする。同様に、LED群4と光源スイッチQ4とが直列に接続されたもの、LED群5と光源スイッチQ5とが直列に接続されたもの、LED群6と光源スイッチQ6とが直列に接続されたものを、直列負荷回路40,50,60とする。
電力ユニット10は、全波整流回路11a及び平滑回路11bとから構成される直流電源回路11と、直流電源回路11から光源ユニット1に供給する出力電流を調整する直流電圧変換回路12と備える。そして、この直流電圧変換回路12の出力側に、上記4つの直列負荷回路30,40,50,60が互いに並列に接続されている。
【0018】
直流電圧変換回路12には、直流電源回路11から光源ユニット1への電力経路をオン/オフするスイッチング素子Q2、このスイッチング素子Q2のオン/オフ動作を制御して一定の電流を出力させるための半導体素子IC1、電流検出回路13が設けられている。
制御部20には、光源ユニット1から出射させる光の発光色を指定する調光調色信号が入力されるようになっている。そして、制御部20はマイコンIC2を備え、そのメモリには、発光色ごとに各LED群3,4,5,6の発光時間などが対応付けて記憶されたテーブルT1が格納されている。
【0019】
そして、制御部20に調光調色信号が入力されると、テーブルT1を参照し、直流電圧変換回路12における半導体素子IC1の制御、並びに光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6を順番に択一的にオンさせる動作を周期的に繰り返して行う。
それによって、光源ユニット1では、LED群3,LED群4,LED群5,LED群6が、順番に点灯する動作を一定の周期で繰り返し、調光調色信号が指定する発光時間だけ光を出射する。
【0020】
2.各部の具体的な構成
以下、光源ユニット1、電力ユニット10、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6、制御部20の具体的な構成例を説明する。
(光源ユニット1)
LED群3,4,5,6を構成する各LEDは、熱伝導性を考慮して一面に絶縁層で積層された金属材料をベース板とした基板に実装されている。あるいは、放熱特性が比較的良好で耐久性に優れたセラミックス材料や合成樹脂材料をベース板とした基板などに実装してもよい。
【0021】
各色のLEDは、LEDのベアチップがパッケージングされた表面実装(SMD)方式で基板に実装されている。ただし、表面実装方式に限らず、LEDのベアチップが基板に直接実装されたチップオンボード(COB)方式で実装されていてもよい。
LEDのベアチップは、例えば、InGaN系の素子で透光性のサファイア素子基板に発光層が積層され、発光層はn型窒化物半導体層とInGaN発光層とp型窒化物半導体層とが順次積層されて形成されている。
【0022】
白色のLEDについては、青色光を発するLEDのベアチップが用いられ、それに塗布された蛍光体で青色光の一部を波長変換して白色光を発するようになっている。
ベアチップにおける電極は、p型窒化物半導体層上にp型電極パッドで形成されたプラス側電極とn型窒化物半導体層上にn型電極パッドで形成されたマイナス側電極とで形成されている。これらのプラス電極とマイナス電極は、ボンディングワイヤにより電気的に接続されている。ボンディングワイヤは金などの細い線からなり、実装強度の向上とLEDのベアチップの損傷低減のために金を主成分とするバンプを介して電極に接続されている。
【0023】
なお、発光色の異なるLEDは、一般に層構造や材料が異なるため、それぞれに同じ電流が流れたときの順電圧が異なる。一般に10mAの電流が流れたときのLEDの順電圧は、赤色LEDが約1.8V、緑色LEDが約2.4V、青色LED、白色LEDが約3.6Vである。
従って、LED群3,4,5,6についても、それぞれに同じ電流が流れたときの順電圧(Vf)は一般に異なる。
【0024】
(電力ユニット10)
直流電源回路11は、全波整流回路11aと平滑回路11bとからなる。
全波整流回路11aは、ダイオードブリッジ回路である。この全波整流回路11aの詳細動作については公知であるため説明は省略する。
平滑回路11bは、インダクタL1と、スイッチング素子Q1と、ダイオードD1と、コンデンサC1と、スイッチング素子Q1に流れる電流を検出する抵抗素子R1とで構成される力率改善型の昇圧チョッパ回路である。
【0025】
直流電圧変換回路12は、インダクタL2と、スイッチング素子Q2と、コンデンサC2と、ダイオードD2と、半導体素子IC1とで構成される降圧チョッパ回路である。
この降圧チョッパ回路において、スイッチング素子Q2は、入力側のDC電圧をチョッピングするチョッピングスイッチとして働き、オン/オフを繰り返すチョッピング動作を行うことによってインダクタL2に脈流電流を出力する。
【0026】
スイッチング素子Q1,Q2は、FET(Field Effect Transistor)である。
スイッチング素子Q2におけるチョッピング動作の動作周波数は、例えば、数十kHz〜数百kHzである。
コンデンサC2は、インダクタL2から出力される電流を平滑化する。
半導体素子IC1及びバースト制御回路14:
半導体素子IC1は、スイッチング素子Q2をオンオフするパルス信号を繰り返し発振するパルス発振回路、スイッチング素子Q2に過電流が流れることを抑制する保護回路などを備える。この半導体素子IC1は、スイッチング素子Q2にパルス信号を発振しながら、制御部20から指示される出力制御データIAを目標値として、出力電流I1を制御する。なお、本実施形態では、出力制御電流の目標値IAは一定の値である。
【0027】
バースト制御回路14は、この半導体素子IC1を駆動させるか否かを制御する。すなわち、バースト制御回路14は、制御部20のIC2からチョッピングの開始・終了を指示する開始信号・終了信号を受け、開始信号から終了信号までの間だけ、半導体素子IC1をチョッピング動作させる。
また、チョッピング開始信号から終了信号までの間以外の時間は、半導体素子IC1のチョッピング動作を休止させて、スイッチング素子Q2をオフ状態に維持する。
【0028】
それによって、チョッピング開始信号から終了信号までの期間(チョッピング動作期間)は、スイッチング素子Q2はオン/オフを繰り返しながらPWM制御されて、出力電流I1が出力電流の目標値IAに合わせられる。また、チョッピング終了信号から開始信号までの休止期間は、スイッチング素子Q2はオフ状態に維持される。
チョッピング動作期間中における半導体素子IC1による電流制御は、以下のように、制御部20から指示される出力制御データIAを目標値として、電流検出回路13からの電圧信号をモニタリングしながらフィードバック制御によって行う。
【0029】
電流検出回路13は固定抵抗素子R2からなり、この固定抵抗素子R2に表れる電圧値を半導体素子IC1に出力する。この電圧値は、直流電圧変換回路12から出力される電流I1に比例するので、半導体素子IC1は、電流検出回路13から入力される電圧値から、出力電流値I1を検出することができる。
半導体素子IC1は、検出される出力電流I1が、制御部20から指示される出力制御電流の目標値IAに合うように、発振するパルスのパルス幅を調整して、スイッチング素子Q2のON時間の長さを調整する。すなわち半導体素子IC1は、検出電流値I1が出力制御電流の目標値IAよりも低いときは、発振するパルス幅(スイッチング素子Q2のON時間)を増加させる。一方検出される出力電流値I1が出力制御電流の目標値IAよりも高いときは、発振するパルス幅(スイッチング素子Q2のON時間)を減少させる。それによって、出力電流I1は、出力制御電流の目標値IAに合うよう制御される。
【0030】
以上の半導体素子IC1によるスイッチング素子Q2の制御によって、チョッピング動作の期間中は、電力ユニット10から光源ユニット1に一定の電流を供給する定電流化(定電力化)を実現することができる。
なお、ここでは、半導体素子IC1が発振するパルス幅(スイッチング素子Q2のON時間)のONデューティ比を変更することによって電流制御を行ったが、下記実施の形態4で説明するように、発振周波数を増減させることによっても電流を制御できる。
【0031】
(光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6及び直列負荷回路30,40、50,60)
図1に示す各光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。ただし、バイポーラトランジスタを使用することもできる。
上述したように、直列負荷回路30,直列負荷回路40,直列負荷回路50,直列負荷回路60は、直流電圧変換回路12の出力端に並列に接続されている。
【0032】
光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6は、制御部20からの指示によって順番に択一的にオンされる。それによって、電力ユニット10から出力される出力電流は、直列負荷回路30,40,50,60の中で、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6がオンされているものに選択的に供給される。
(制御部20)
制御部20は、様々な制御処理を実行するマイコンである制御処理部IC2、テーブルT1や各種制御プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)、テーブルT1から読み出され、制御処理に利用される各種制御パラメータ値のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の揮発性のメインメモリMMや、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)等の不揮発性のサブメモリSM、時間を計測するタイマTMなどを有する。なお、
図1においては、ROMはテーブルT1として表示しており、メインメモリMMおよびサブメモリSMについては、図示を省略している。タイマTMやサブメモリSMについては、制御処理部IC2の機能の一部としてもよい。
【0033】
この制御部20には、例えば、ユーザがリモートコントローラ(不図示)を操作することによって調光調色信号が入力される。この調光調色信号は、テーブルT1に記載されている調光調色信号データVa(n)(0〜255)の中からいずれか1つを指定する信号であって、信号の形態は、DMX信号,DALI信号,UART信号などである。
制御部20は、調光調色信号Va(n)を取得すると、それに基づいて、バースト制御回路14に、チョッピング動作を開始させる開始信号、及びチョッピング動作を終了させる終了信号を送る。また制御部20は、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6のゲートにオン/オフ信号を送るなどの動作を行う。
【0034】
制御部20のメモリに格納されているテーブルT1について説明する。
図5(a)に、
図1に記載したのと同じテーブルT1を示している。
テーブルT1には、調光調色信号データVa(n)と、バースト制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)および出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)とが対応づけられており、制御部20のROMに記憶されている。
【0035】
調光調色信号データVa(n)のnは、上記256種類のうちユーザにより選択された何れか1つの組み合わせ番号を示す0から255の何れか1つの数字である。例えば、10番目の組み合わせを示す場合は、調光調色信号Va(10)のように表される。特定の組み合わせを表さず、総称する場合は、調光調色信号Va(n)として表示する。
バースト制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)は、1周期の中でLED群3,4,5,6に電力を供給する時間の長さを示すデータである。すなわち光源ユニット1から各番号に相当する光を出射させる上で必要なLED群3,4,5,6の発光時間長さを示すデータである。また、出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)は、1周期の中におけるスイッチング素子Q3,Q4,Q5,Q6のオン期間の長さを示すデータである。この場合においても、nはユーザにより選択された組み合わせ番号を示す数字である。
【0036】
バースト制御時間データTA(n)は、出力制御時間データta(n)よりも短く設定されている。同様に、バースト制御時間データTB(n),TC(n),TD(n)は、出力制御時間データtb(n),tc(n),td(n)よりも短く設定されている。この時間差については、詳しくは後で説明するが、チョッピング動作を休止させる休止期間の時間長さに相当する。
【0037】
バースト制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)を調整することにより、光源3,4,5,6から出射される時間をそれぞれ調整して、出射光の調色を行うことができる。
また、出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)を調整して休止期間の長さを変えることによって、1周期の時間長さが変わるので、調光を行うことができる。すなわち、出力制御時間データの合計[ta(n)+tb(n)+tc(n)+td(n)]を長くすると、照明器具100から出射される単位時間の発光量は小さくなる。
【0038】
図6(a)は、テーブルT1の一具体例を示すものである。当図では、256個の調光調色信号データVa(n)の中で、8つのNo.(n=0,1,10,11,20,21,30,31)だけについて代表的に、TA(n),ta(n),TB(n),tb(n),TC(n),tc(n),TD(n),td(n)の数値を記載し、残りのNo.についてはこれら数値の記載を省略している。
【0039】
図6(a)に示すテーブルT1の具体例では、Va(0),Va(1)は、4色のLED群の発光時間が均等に設定されていて、これらが選択されたときは光源ユニット1から白色光が出射される。ただし、Va(1)が選択されたときは、Va(0)と比べて1周期内における発光時間の割合(デューティ比)が小さいので、単位時間の発光量は若干小さくなる。
【0040】
一方、Va(10),Va(11)では、赤色の発光時間が他の色の発光時間より長く設定され、これらが選択されたときは光源ユニット1から出射される光は、白色光に赤色光が混合された色の光となる。
Va(20),Va(21)では緑色の発光時間が他の色の発光時間より長く設定され、これらが選択されたときは光源ユニット1から出射される光は、白色光に緑色光が混合された色の光となる。
【0041】
Va(30),Va(31)では青色の発光時間が他の色の発光時間より長く設定され、これらが選択されたときは光源ユニット1から出射される光は、白色光に緑色光が混合された混合光となる。
(制御部20における制御動作)
制御部20がテーブルT1を参照しながら行う制御動作について、
図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0042】
図3は、この制御動作の結果形成される光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6のゲート電圧、スイッチング素子Q2のゲート電圧、電力ユニット10から出力される電流I1、電力ユニット10出力端の電圧Vc1を示す波形図である。
照明器具100に電源が投入されると、
図2に示すフローが開始され、初回処理が実行される(ステップS1)。ここで、初回処理について、以下に説明する。先ず、制御処理部IC2は、サブメモリSMに記憶されている調光調色信号データVa(n)を読み出す。そして、読み出された調光調色信号データVa(n)に対応するバースト制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)および、出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)をテーブルT1から読み出し、これらのデータをメインメモリMMに記憶させる。以上の処理が、実施形態1のフローにおける初回処理である。
【0043】
ここで、電源投入後に最初にサブメモリSMから読み出される調光調色信号データVa(n)は、前回使用時に最後にサブメモリSMに記憶された調光調色信号データである。即ち、前回使用時にユーザにより最後に選択された調光調色設定である組み合わせ番号を示すデータである。
そして、制御部20は、タイマTMをリセットしてスタートすると共に、バースト制御回路14にチョッピング動作開始を指示する。また、光源スイッチQ3をオンし、光源スイッチQ4,Q5,Q6をオフとする(ステップS2、
図3の時点t1)。ここで、光源スイッチを「オフとする」という用語は、既にオフの状態である光源スイッチについては、オフ状態を維持することを意味する。
次に、タイマTMの値であるTmがTA(n)に達したかどうかを監視する(ステップS3)。このTA(n)は、メインメモリMMに記憶されている調光調色信号データVa(n)に対応したバースト制御時間データTA(n)である。ここでは、ステップS1においてサブメモリSMから読み出された調光調色信号データが、具体的に例えば、Va(10)であれば、メインメモリMMに記憶されたバースト制御時間データはTA(10)であるので、ステップS3でTMの判断の対象とされるバースト制御時間データはTA(10)である。以下、本フローの各ステップにおける各種制御パラメータにおける(n)についても、同様とする。
【0044】
TmがTA(n)に達したら、制御部20は、バースト制御回路14にチョッピング動作の終了を指示する。それによってスイッチング素子Q2はオフ状態となる(ステップS4,
図3の時点t2)。
続いて、Tmがta(n)に達したかどうかを監視し(ステップS5)、ta(n)に達したら、制御部20は、タイマTMをリセットしてスタートすると共に、バースト制御回路14にチョッピング動作開始を指示する。それによって、半導体素子IC1はスイッチング素子Q2のチョッピング動作を開始する。また制御部20は、光源スイッチQ4をオンし、光源スイッチQ3,Q5,Q6をオフとする。それによってオンとなる光源スイッチがQ3からQ4に切り替わる(ステップS6、
図3の時点t3)。
【0045】
以上のステップS2〜S6の制御の結果、バースト制御時間データTA(n)に相当する時点t1〜時点t2の期間、LED群3が点灯して赤色光が出射される。また、時点t2〜時点t3の期間は、スイッチング素子Q2はオフ状態に維持される。
次に、TmがTB(n)に達したかどうかを監視し(ステップS7)、TB(n)に達したら、制御部20は、バースト制御回路14にチョッピング動作の終了を指示する。それによってスイッチング素子Q2はオフ状態となる(ステップS8、
図3の時点t4)。
【0046】
続いて、Tmがtb(n)に達したかどうかを監視し(ステップS9)、tb(n)に達したら、制御部20は、タイマTMをリセットしてスタートすると共に、バースト制御回路14にチョッピング動作開始を指示する。それによって、半導体素子IC1はスイッチング素子Q2のチョッピング動作を開始する。また、制御部20は、光源スイッチQ5をオンし、光源スイッチQ3,Q4,Q6をオフとする。それによってオンとなる光源スイッチがQ4からQ5に切り替わる(ステップS10、
図3の時点t5)。
【0047】
以上のステップS6〜S10の制御の結果、バースト制御時間データTB(n)に相当する時点t3〜時点t4の間、LED群4が点灯して緑色光が出射される。また、時点t4〜時点t5の期間は、スイッチング素子Q2がオフ状態に維持される。
次に、TmがTC(n)に達したかどうかを監視し(ステップS11)、TC(n)に達したら、制御部20は、バースト制御回路14にチョッピング動作の終了を指示する。スイッチング素子Q2はオフ状態に維持される(ステップS12、
図3の時点t6)。
【0048】
続いて、Tmがtc(n)に達したかどうかを監視し(ステップS13)、tc(n)に達したら、制御部20は、タイマTMをリセットしてスタートすると共に、バースト制御回路14にチョッピング動作開始を指示する。それによって、半導体素子IC1はスイッチング素子Q2のチョッピング動作を開始する。また、制御部20は、光源スイッチQ6をオンし、光源スイッチQ3,Q4,Q5をオフとする。それによってオンとなる光源スイッチがQ5からQ6に切り替わる(ステップS14、
図3の時点t7)。
【0049】
以上のステップS10〜S14の制御の結果、バースト制御時間データTC(n)に相当する時点t5〜時点t6の期間、LED群5が点灯して青色光が出射される。また、時点t6〜時点t7の期間は、スイッチング素子Q2はオフ状態に維持される。
次に、TmがTD(n)に達したかどうかを監視し(ステップS15)、TD(n)に達したら、制御部20は、バースト制御回路14にチョッピング動作の終了を指示する。それによって、スイッチング素子Q2はオフ状態となる(ステップS16、
図3の時点t8)。
【0050】
続いて、Tmがtd(n)に達したかどうかを監視し(ステップS17)、td(n)に達したら(
図3の時点t1)、調光調色信号データVa(n)の取得がなされていない場合(ステップS18でNo)は、制御部20は、ステップS2に戻って、上記ステップS2からの動作を繰り返す。それによってオンとなる光源スイッチがQ6からQ3に切り替わる。
【0051】
以上のステップS14〜S18、S2の制御の結果、バースト制御時間データTD(n)に相当する時点t7〜時点t8の期間、LED群6が点灯して白色光が出射される。また、時点t8〜時点t9の期間は、スイッチング素子Q2がオフ状態に維持される。
一方、調光調色信号データVa(n)が取得されている場合(ステップS18でYes)、制御部20は、取得した調光調色信号データVa(n)をサブメモリSMに記憶する。また、制御部20はテーブルT1を参照して、調光調色信号データVa(n)に対応するバースト制御時間データTA(n)〜TD(n)及び出力制御時間データta(n)〜td(n)を読み出してメインメモリMMに記憶する(ステップS19)。そして、ステップS1に戻り、ステップS1からの動作を繰り返す。
【0052】
ここで、ステップS18で新たに取得された調光調色信号データが、具体的に例えば、Va(20)である場合、ステップS19でサブメモリSMに記憶されるのは、調光調色データVa(20)である。そして、メインメモリMMに記憶されるのは、バースト制御時間データTA(20),TB(20),TC(20),TD(20)、および出力制御時間データta(20),tb(20),tc(20),td(20)である。従って、ステップS19からステップS2に戻った場合、以下ステップS2からステップS18の処理において使用されるのは、バースト制御時間データTA(20),TB(20),TC(20),TD(20)、および出力制御時間データta(20),tb(20),tc(20),td(20)である。
【0053】
制御部20は、以上のステップS1〜S19を一周期として、同様の動作を繰り返し行う。
それによって、照明器具100の各LED群3,4,5,6は、調光調色信号データVa(n)で指定された番号に対応するバースト制御時間データTA(n)〜TD(n)に相当する時間ずつ、時分割で発光する。
【0054】
なお、照明器具100の製品出荷時には、デフォルトの調光調色信号データVa(n)がサブメモリSMに記憶されている。初回使用時には、ステップS1において、上記デフォルトの調光調色信号データVa(n)がサブメモリSMから読み出される。そして、読み出されたデフォルトの調光調色信号データVa(n)に対応した出力制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)および出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)がテーブルT1から読み出されてメインメモリMMに記憶される。これらメインメモリMMに記憶されたデータは、ステップS2からステップS18の制御に用いられる。そしてその後、ユーザにより調光調色の設定入力が行われると、デフォルトの調光調色信号データVa(n)に対応した出力制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)および出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)は、新たに入力された設定(新たに取得された調光調色信号データVa(n))に対応したデータに上書きされる。以下、各実施形態および各変形例においても同様である。
【0055】
(照明器具100における時分割駆動とその効果)
以上説明したフローチャートに基づく制御動作によって、各光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6は択一的にONされるように切り替わる。また、LED群3,4,5,6は、[ta(n)+tb(n)+tc(n)+td(n)]に相当する時間を1周期として、出力制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)に相当する長さで、順に発光する動作が繰り返され、赤色,緑色,青色,白色の光がこの比率で出射される。
【0056】
従って、1周期の中でLED群3,4,5,6が時分割で1回ずつオンする動作を繰り返して、調光調色信号Va(n)によって指定された発光色の光が出射されることになる。
このように、複数のLED群3,4,5,6を時分割で点灯することによって、各LED群3,4,5,6の明るさを変更しながら発光色を可変させて容易に調色が出来る。また、基本的に1つの直流電圧変換回路12から出力し、各LED群3,4,5,6に個別に定電流回路を設けてないので、回路の小型化、低コスト化を図ることもできる。
【0057】
なお、LED群3,4,5,6は時分割で点灯されるので、1周期(ta(n)+tb(n)+tc(n)+td(n))の時間が長ければ、目視でちらつきが感じられるが、1周期を約15ms以下に設定することによって、目視によるちらつきを抑えることができる。また、1周期を約10ms以下にすれば、さらに目視によるちらつきを抑えることができる。
【0058】
ここで、
図6(a)に示すテーブルT1の具体例の場合は、1周期[ta(n)+tb(n)+tc(n)+td(n)]の時間は、6ms〜10msに設定されている。
(バースト制御とその効果)
上記の制御部20による制御動作によって、
図3の動作波形に示されるように、スイッチング素子Q2のチョッピング動作を行う動作期間と、チョッピング動作を休止する休止期間が交互に形成され、休止期間においてはスイッチング素子Q2がオフに維持される。
【0059】
このようにチョッピング動作の動作期間と、スイッチング素子Q2をオフに維持する休止期間とが交互に繰り返されるように制御することを、本明細書ではバースト制御といっている。
1周期の動作の中に、4つのチョッピング期間と4つの休止期間が含まれている。各休止期間の長さは、[ta(n)−TA(n)]、[tb(n)−TB(n)]、[tc(n)−TC(n)]、[td(n)−TD(n)]である。
【0060】
図3の動作波形では、各光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6が切り替わるタイミングは、休止期間の開始時点(チョッピング動作の終了点)よりも後で、休止期間の終了時点(次のチョッピング動作の始点)までの間に設定されている。
本実施の形態では、各光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6が切り替わるタイミングは、休止期間の中でも、休止期間の終了時点と同時である。従って、休止期間の開始から光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えまでの時間Δta,Δtb,Δtc,Δtdは、休止期間の長さと同じである。すなわち、Δta=ta(n)−TA(n),Δtb=tb(n)−TB(n),Δtc=tc(n)−TC(n),Δtd=td(n)−TD(n)である。
【0061】
このように光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えを、休止期間の中で、休止期間の開始時点から時間をおいて行うことによって得られる効果について、以下に説明する。
図4は、バースト制御による効果を説明する波形図であって、(a)バースト制御を行う実施例、(b)はバースト制御を行わない比較例について示す。
【0062】
実施例及び比較例いずれも、1周期において光源スイッチQ3,4,5,6が、順番に択一的にONとなり、LED群3,4,5,6がこの順で点灯する動作を行う点は同様である。
図4においては、光源スイッチQ6がONとなりLED群6が点灯する期間と、次に周期において光源スイッチQ3がONとなりLED群3が点灯する期間を抜き出して示している。
【0063】
バースト制御を行わない比較例では、
図4(b)に示すように、スイッチング素子Q2のチョッピング動作には休止期間が設けられず、チョッピング動作中に光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6のON/OFF切り替えが行われる。この比較例では、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6のON時間の長さ[ta(n),tb(n),tc(n),td(n)]だけ、LED群3,4,5,6が点灯することになる。
【0064】
比較例の場合、スイッチング素子Q2のチョッピング動作を行って電流が流れているときに、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6のON/OFF切り替えを行うと、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6にストレスがかかり、寿命低下の原因となり得る。
一方、実施例では、
図3,
図4(a)に示すように、チョッピング動作を休止する休止期間が設けられ、休止期間の開始から時間Δta,Δtb,Δtc,Δtdをおいてから光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えがなされる。
【0065】
チョッピング動作の休止期間においては、直流電圧変換回路12のコンデンサC2に残っている電荷が光源ユニット1に流れるので、
図3,
図4(a)に示すように、電力ユニット10から出力される電流I1は徐々に低下する。それに伴って、直流電圧変換回路12の出力端の電圧VC1も徐々に低下する。
従って、電流I1及び電圧VC1が低下した時点で、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えがなされることになるので、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6にかかるストレスは少なくなる。
【0066】
また、以下に説明するように、LED群3,4,5,6の順電圧(Vf)が異なる場合には、直列負荷回路への突入電流が発生しやすいが、バースト制御を行う実施例では、それを抑える効果もある。
上記のように一般的にLED群3,4,5,6の各順電圧(Vf)は互いに異なっているため、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6のいずれがオンになっているかによって、直流電圧変換回路12の出力端の電圧Vc1の大きさが変わる。
【0067】
図3では、各光源スイッチQ3,4,5,6がオンになっているときの電圧Vc1の大きさを、V3,V4,V5,V6で示している。
図3の例では、LED群3,4,5,6の順電圧(Vf)が、この順で高くなっていることによって、電圧Vc1もV3,V4,V5,V6の順で高くなっている(V3<V4<V5<V6)。
【0068】
従って、
図4(a),(b)に示す期間は、電流が流れるLED群が、順電圧(Vf)の高いLED群6から、順電圧(Vf)の低いLED群3に切り替わる期間である。
ここで、
図4(b)に示す比較例のように、チョッピング動作中に、オンとなっている光源スイッチがQ6からQ3に切り替わると、順電圧(Vf)の高いLED群6に流れていた電流が、順電圧(Vf)の低いLED群3に切り替わって流れる。このときに、光源スイッチQ3とLED群3からなる直列負荷回路30には、過剰な突入電流が流れやすい。
【0069】
これに対して、
図4(a)に示す実施例では、直流電圧変換回路12からの電流I1及び電圧VC1が低下した時点で、オンとなる光源スイッチがQ6からQ3に切り替わる。従って、直列負荷回路30への過剰な突入電流が抑えられ、光源スイッチQ3とLED群3にかかるストレスは少なくなる。
以上のように、本実施形態によれば、LED群3,4,5,6への過剰な突入電流による劣化を抑え、LEDや光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6のストレスによる劣化を抑えることができるので、装置の長寿命化を図ることができる。
【0070】
(休止期間の開始から光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えまでの時間)
休止期間の開始点から、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6を切り替えるまでの各時間Δta,Δtb,Δtc,Δtdの長さは、チョッピング動作時にスイッチング素子Q2をオン/オフする周期より長く設定することとする。
また、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えは、できだけ出力電流I1が小さくなる時点(電流0に近い時点)で行うことが好ましい。
【0071】
ここで、休止期間に入ってから電流I1が低下する速度は、コンデンサC2から各直列負荷回路30,40,50,60の側に放電がなされるときの時定数によって決まるとみることができる。
すなわち、休止期間の開始時点では電流I1はIAであるが、コンデンサC2から各直列負荷回路30,40,50,60の側に放電がなされるときの時定数に相当する時間が経過すると、電流はIAの37%程度に低下する。そして、さらに時間が経過すると、電流I1は0に近づく。
【0072】
このような考察から、各時間Δta,Δtb,Δtc,Δtdの長さは、休止期間においてコンデンサC2から各直列負荷回路30,40,50,60に放電が行われるときの時定数以上に設定することが望ましいといえる。また、各時間Δta,Δtb,Δtc,Δtdの長さを、出力電流I1がほぼ0になる時間以上に設定することが好ましいともいえる。
【0073】
一方、各時間Δta,Δtb,Δtc,Δtdの長さを長く設定すると、1周期(ta(n)+tb(n)+tc(n)+td(n))の時間も長くなる。そして、この1周期の時間が長くなりすぎるとちらつきが発生しやすくなる。
従って、以上の点を合せて考慮して、各時間Δta,Δtb,Δtc,Δtdの長さを適度な長さに設定すればよい。
【0074】
図6(a)に示したテーブルT1の具体例では、Δta,Δtb,Δtc,Δtdの長さはいずれも0.5msに設定されている。
1周期の中に含まれる4つの時間Δta,Δtb,Δtc,Δtdは、一律的に同じ長さに設定することが、設計上容易と考えられる。ただし、この長さは一律的でなくてもよく、例えば、チョッピング動作の期間TA(n),TB(n),TC(n),TD(n)の長さに応じて、それに続くΔta,Δtb,Δtc,Δtdの時間長さを変えてもよい。
【0075】
(照明器具100の適用例)
図11(a)〜(c)は、上記構成の照明器具100を適用した照明装置100a〜100cの外観図である。
図11(a)に示す照明装置100aは、ダウンライトに適用した例であって、点灯装置2と灯体7aとを有し、両者は配線8で接続されている。そして、灯体7aの中に光源ユニット1が装着されている。
【0076】
図11(b)に示す照明装置100b,100cは、スポットライトに適用した例である。
照明装置100bも、点灯装置2と灯体7bとを有し、両者は配線(不図示)で接続されている。そして、灯体7bの中に光源ユニット1が装着されている。
また照明装置100cも、点灯装置2と灯体7cとを有し、両者は配線8で接続されている。そして、灯体7cの中に光源ユニット1が装着されている。
【0077】
照明器具100は、この他に、電球色から昼白色まで黒体軌跡及びCIE昼光に沿うように調色する製品、例えばシーリングライト等にも適用できる。
このように、上述した照明器具100を各種の照明装置に適用することによって、装置の小型化を図りながら、過電流などの影響を防止して照明装置の長寿命化を図ることができる。
【0078】
(実施の形態1のまとめ)
照明器具100は、直流電源回路11と、直流電源回路11から光源ユニット1に到る電力ラインに設けられたスイッチング素子Q2を繰り返しオン/オフするチョッピング動作によって出力電流を調整する直流電圧変換回路12と、発光色が互いに異なる複数のLED群3,4,5,6を有する光源ユニット1と、各LED群3,4,5,6に流す電流を制御する制御部20と、を有する。そして、各LED群3,4,5,6と1対1の関係で光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6が直列接続された直列負荷回路30,40,50,60の各々が、直流電圧変換回路12の出力端に並列に接続されている。
【0079】
制御部20は、チョッピング動作を行う動作期間と、チョッピング動作を休止してスイッチング素子Q2をオフに維持する休止期間とを繰り返すよう直流電圧変換回路12を動作させる。それと共に、複数の光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6を択一的にオンとなるように順に切り替える動作を行う。ここで、複数の光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えは、休止期間の中で、当該休止期間の始点から時間をおいた時点で行う。
【0080】
従って、直流電圧変換回路12から出力される電力は、複数のLED群3,4,5,6に順に供給されて、LED群3,4,5,6はオン期間が互いに重複しないように時分割で点灯される。
また、複数の光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替え動作を、休止期間の中で、休止期間の始点から時間をおいた時点で行っているので、直列負荷回路30,40,50,60に流れる電流が少ない状態のときに、その切り替え動作が行われる。
【0081】
それによって、切り替え時に、直列負荷回路30,40,50,60を構成するLED群3,4,5,6や光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6に加わるストレスを低減することができる。
<実施の形態2>
本実施形態にかかる照明器具の構成は、
図1に示した実施の形態1の照明器具100と同様である。また、制御部20の制御動作も、
図2に示したフローチャートに基づいて行われる。
【0082】
ただし、本実施の形態では、制御部20は、
図5(b)に示すテーブルT2を記憶しており、このテーブルT2を参照して制御動作を行う。
本実施の形態の照明器具において、調光調色信号Va(n)が指示する番号に基づいて、テーブルT2から出力制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)が読み出されて、LED群3,4、5,6がその時間だけ点灯して、合成光を出射させる点は実施の形態1と同様である。
【0083】
一方、本実施形態の照明器具では、テーブルT2に格納されている各出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)は、固定値tas,tbs,tcs,tdsであって、調光調色信号Vaによって変わらない点が、実施の形態1と異なっている。
テーブルT2において、出力制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)の値は、最大でも、出力制御時間データtas,tbs,tcs,tdsの値よりは小さい値に設定されている。
【0084】
図6(b)は、テーブルT2の一具体例を示すものである。当図においても、256個の調光調色信号データVa(n)の中で、8つの(No.0,1,10,11,20,21,30,31)だけについて代表的に、TA(n),TB(n),TC(n),TD(n)の数値を記載し、残りのNo.についてはこれら数値の記載を省略している。
図6(b)のテーブルT2において、TA(n),TB(n),TC(n),TD(n)の値は、3.0ms以下の範囲で設定され、出力制御時間データtas,tbs,tcs,tdsは、3.5msで一律に設定されている。従って、休止期間の長さが0.5ms以上となる。
【0085】
このようにテーブルT2を用いて制御部20が制御動作を行うことによっても、実施の形態1で説明した時分割駆動による効果とバースト制御による効果を得ることができる。
すなわち、スイッチング素子Q2のチョッピング動作を行う動作期間と、チョッピング動作を休止する休止期間が交互に形成され、休止期間においてスイッチング素子Q2はオフに維持される。そして、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えタイミングは、休止期間の中で、休止期間の開始時点から時間をおいて行われる。
【0086】
従って、電流I1及び電圧VC1が低下してから、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えがなされるので、各光源スイッチにかかるストレスは少なくなり、直列負荷回路30,40,50,60に突入電流が発生するのを抑える効果もある。
一方、実施の形態1の照明器具100では、調光調色信号Va(n)によって一周期の時間が変わるが、本実施形態の照明器具では、一周期の時間は[tas+tbs+tcs+tds]で一定である。
図6(b)に示す具体例では、一周期の時間は14msである。
【0087】
<実施の形態3>
本実施形態にかかる照明器具の構成も、
図1に示した実施の形態1の照明器具100と同様である。また、制御部20の制御動作も、
図2に示したフローチャートに基づいて行われる。
ただし、本実施の形態では、制御部20は、
図5(c)のテーブルT3を備え、このテーブルT3を参照して制御動作を行う。
【0088】
本実施の形態の照明器具において、調光調色信号Va(n)が指示する番号に基づいて、テーブルT3から出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)が読み出されて、その出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)に基づいて光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えが成される点は実施の形態1と同様である。
【0089】
一方、本実施形態の照明器具では、テーブルT3に格納されている各出力制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)の値は、固定値TAs,TBs,TCs,TDsとなっていて、調光調色信号Vaによっては変わらない点が、実施の形態1と異なっている。
テーブルT3において、出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)の値は、出力制御時間データTAs,TBs,TCs,TDsの値よりも、常に大きい値に設定されている。
【0090】
このようにテーブルT3を用いて制御部20が制御動作を行うことによっても、実施の形態1で説明したバースト制御による効果を得ることができる。
すなわち、スイッチング素子Q2のチョッピング動作を行う動作期間と、チョッピング動作を休止する休止期間が交互に形成され、休止期間においてはスイッチング素子Q2はオフに維持される。そして、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えタイミングは、休止期間の中で、休止期間の開始時点から時間をおいて行われる。
【0091】
従って、電流I1及び電圧VC1が低下した時点で、光源スイッチQ3,Q4,Q5,Q6の切り替えがなされるので、各光源スイッチにかかるストレスは少なくなり、直列負荷回路30,40,50,60に突入電流が発生するのを抑える効果もある。
一方、実施の形態1の照明器具100では、調光調色信号Va(n)によってLED群3,4,5,6の点灯時間が変わるが、本実施形態の照明器具では、出力制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)が固定値なので、LED群3、4,5,6の点灯時間の比率は変わらない。
【0092】
従って、調光調色信号Va(n)が変わっても、出射される光の発光色は基本的に変わらない。ただし、調光調色信号Va(n)によって休止期間の長さを変えることができ、それによって、1周期の中で発光時間が占める割合も変わるので、調光することはできる。
<実施の形態4>
実施形態4にかかる照明器具100の回路構成は、
図1に示した実施の形態1の照明器具100と同様である。
【0093】
ただし、実施の形態1の照明器具100では、出力電流データIAが固定されていたのに対して、本実施形態の照明器具100では、調色信号データVa(n)によって出力電流データIAが変わる点が異なっている。
本実施形態の照明器具100では、制御部20におけるメモリには、テーブルT1に変えて
図5(d)に示されるテーブルT4が格納されている。
【0094】
このテーブルT4は、調色信号データVa(n)と、バースト制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)及び出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)とが対応づけて記憶されている点はテーブルT1と同様である。ただし、テーブルT4においては、これに加えて、調色信号データVa(n)と対応づけて出力電流データIA(n)(A(0)〜(255))が記憶されている。
【0095】
この出力電流データIA(n)は、直流電圧変換回路12がチョッピング動作を行うときの出力電流I1の目標値に相当するものである。
制御部20の制御動作を示すフローチャートは、
図2に示したフローチャートと同様である。ただし、ステップS1,S19において、テーブルT4から、バースト制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)及び出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)に加えて、出力制御電流データIA(n)を読み出す。
【0096】
そして、その出力制御電流データIA(n)を半導体素子IC1に出力する。半導体素子IC1は、チョッピング期間において、その出力制御電流データIA(n)を電流目標値とし、電流検出回路14からの電圧信号をモニタリングしながらフィードバック制御して、出力電流I1を電流目標値IA(n)に合わせる。
図7(a),(b)は、半導体素子IC1に入力される出力制御電流データIA(n)の大きさによって、光源ユニット1に出力する電流I1が調整される様子を示すタイミングチャートである。
【0097】
(a)は、出力制御電流データIA(n)の値A0が比較的大きい場合(例えば20mA)を示し、(b)は、出力制御電流データIA(n)の値A1が比較的小さい場合(例えば10mA)を示す。(a),(b)の各図において、スイッチング素子Q2のオン/オフ、インダクタL2を流れる脈流電流IL2、直流電圧変換回路12からの出力電流I1を示す。
【0098】
半導体素子IC1は、出力制御電流データIA(n)に合うように、スイッチング素子Q2をオン/オフする各パルスON幅(Ton)を増減させる。
すなわち半導体素子IC1は、出力電流I1をモニタリングして、出力電流I1が出力制御電流データIA(n)より小さいときは、パルスON幅(Ton)を増加させる。一方、出力電流I1が出力制御電流データIA(n)より大きいときは、パルスON幅(Ton)を減少させる。
【0099】
図7の(a),(b)を比較するとわかるように、スイッチング素子Q2のパルスON幅(Ton)が小さいと、脈流電流IL2の山の大きさが小さくなり、その結果、出力電流I1も小さくなる。
このように半導体素子IC1がスイッチング素子Q2のパルスON幅を制御することによって、
図7(a),(b)におけるI1の波形に示されるように、出力電流I1は、目標値IA(n)であるA0,A1に合せられることとなる。
【0100】
また、
図7(a),(b)におけるQ2の波形とIL2の波形からわかるように、Q2のパルスがONの期間は脈流電流IL2が上昇し、Q2がOFFの期間は脈流電流IL2が低下する。ここで本実施形態では、半導体素子IC1は、脈流電流IL2が0近くまで低下した時点で、スイッチング素子Q2をオフからオンに切り替える制御をしている。
それによって、
図7における(a)よりも(b)ではQ2の周波数が大きくなっていることからわかるように、スイッチング素子Q2のパルスON幅(Ton)が小さいときは、チョッピング周波数が増加することになる。
【0101】
従って、出力電流I1の目標値IA(n)が小さいときは、スイッチング素子Q2のチョッピング周波数が大きくなるので、チラつきが目立つことなく、光源ユニット1からの出射光の光量を低減することができる。
本実施形態の照明器具においても、実施の形態1で説明したバースト制御による効果は同様に得ることができる。
【0102】
さらに、本実施形態の照明器具によれば、バースト制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)によってLED群3,4,5,6の点灯時間を変えて調色を行うと共に、出力制御電流データIA(n)を変えて電流量を変えることによる調光をすることができる。
従って、本実施形態によれば、調色及び調光を両立した制御を簡素に行うことでき、よりレンジの広い調光を行うこともできる。
【0103】
<実施の形態5>
図8は、実施の形態5にかかる照明器具200の回路構成を示す図である。当図において、
図1に示した照明器具100と同一の構成要素には同じ符号を付けている。
本実施形態にかかる照明器具200は、実施の形態1の照明器具100と同様の構成であるが、電力ユニット10において、直流電圧変換回路12の出力端に放電回路15が接続されている点が異なっている。
【0104】
照明器具200の動作は、照明器具100の動作と基本的に同様であって、制御部20は
図2のフローチャートに基づいて制御動作を行う。
電力ユニット10に設けられた放電回路15は、4つの直列負荷回路30,40,50,60と並列に接続されている。
この放電回路15は、スイッチング素子Q2がOFFとなっている間に、コンデンサC2に蓄積された電荷の放電を促進する機能を有する。
【0105】
放電回路15は、インピーダンス素子からなり、ここでは抵抗R3で構成されている。ただし、抵抗R3に限られず、コンデンサC2に蓄積された電荷を放電させる機能があればよく、例えば放電回路15はインダクタンス回路であってもよい。
このように、本実施の形態にかかる照明器具200においては、電力ユニット10の出力端に直列負荷回路と並列に放電回路15を有するので、照明器具100と比べて、バースト動作の休止期間において、コンデンサC2に蓄積された電荷の放電が速くなされる。従って、休止期間において電流I1及び電圧VC1の低下が速くなり、より短い時間で電流I1が0に近づく。
【0106】
よって、この照明器具200においては、照明器具100と比べて、休止期間の時間長さをより短く設定しても、突入電流を抑制する効果を同様に得ることができる。
そして、休止期間の時間長さを短く設定すると、その分、光源スイッチQ3〜Q6を順に切り替える1周期の時間を短くでき、ちらつきが生じにくくなる。
なお、この放電回路15にはチョッピング動作期間においても電流が流れるが、放電回路15に流れる電流は点灯に寄与しない。従って、放電回路15には、小電流が流れるように、直列負荷回路30,40,50,60のインピーダンスの中で最も高いインピーダンスと比べて、10倍程度以上の高いインピーダンスを持つインピーダンス素子を用いることが好ましい。
【0107】
<実施の形態6>
実施の形態6にかかる照明器具は、
図1に示した照明器具100と同様の回路構成である。また、マイコンIC2内のテーブルT1も同様であるが、照明器具100の動作に違いがある。
すなわち、実施の形態1の照明器具100では、光源スイッチ素子Q3,4,5,6の切り替えを行うタイミングと同時に、半導体素子IC1におけるチョッピング動作を開始した(
図3のt1,t3,t5、t7参照)。それに対して、本実施形態の照明器具100では、光源スイッチQ3,4,5,6の切り替えを行ってから、微小な時間ΔT経過後に、半導体素子IC1におけるチョッピング動作を開始している。
【0108】
図9は、本実施形態にかかる制御部20の制御動作を示すフローチャートである。
このフローチャートは、
図2に示したフローチャートと同様であるが、ステップS2の代わりにステップS2−1〜S2−3の制御動作を行う。それによって、光源スイッチの切り替えを、休止期間の終了時点よりも時間ΔTだけ前に行うようにする。すなわち、オンとなる光源スイッチがQ3からQ4に切り替わってから、時間ΔTが経過した後に、スイッチング素子Q2のチョッピング動作が開始される。
【0109】
また、ステップS6の代わりにステップS6−1〜S6−3の制御動作を行う。それによって、オンとなる光源スイッチがQ4からQ5に切り替わってから、時間ΔTが経過した後に、スイッチング素子Q2のチョッピング動作が開始される。
図9のフローチャートではステップS10〜S17は省略しているが、同様に、
図2に示したステップS10でも、オンとなる光源スイッチをQ5からQ6に切り替えてから、時間ΔTだけ経過した後に、スイッチング素子Q2のチョッピング動作を開始する。また、
図2に示したステップS14でも、オンとなる光源スイッチがQ6からQ3に切り替わってから、時間ΔTが経過した後に、スイッチング素子Q2のチョッピング動作を開始する。
【0110】
図10は、この制御動作の結果形成される光源スイッチQ3,Q4,Q5のゲート電圧、スイッチング素子Q2のゲート電圧、電力ユニット10から出力される電流I1を示す波形図である。
図10に示されるように、光源スイッチQ3,4,5,6の切り替えがなされるタイミングは、休止期間の終了時点よりも時間ΔTだけ前である(
図10のt1〜t2,t4〜t5,t7〜t8,t10〜t11)。
【0111】
(本実施の形態にかかる照明器具100の効果)
実施の形態1の照明器具100では、光源スイッチQ3,4,5,6の切替タイミングと、スイッチング素子Q2のチョッピング動作の開始が同時になされるように設定されているので、基本的には光源スイッチQ3,4,5,6の切替時に電流は流れない。しかし、そのタイミングが多少ずれて光源スイッチQ3,4,5,6よりもチョッピング動作の開始が少し先になされた場合には、光源スイッチQ3,4,5,6の切替時に電流が流れてします。
【0112】
これに対して、本実施形態の照明器具100では、光源スイッチQ3,4,5,6の切替時点が、休止期間の終了時点よりも時間ΔTだけ前に設定されている。それによって、光源スイッチQ3,4,5,6の切替タイミングが多少遅れたり、或いはチョッピング動作開始のタイミングが早まったりしても、そのずれ量が時間ΔTより小さければ、光源スイッチQ3,4,5,6の切替時には電流が流れない。
【0113】
従って、本実施形態の照明器具100によれば、光源スイッチQ3,4,5,6の切替を、より確実に電流が少ない状態で行うことができる。
よって、光源スイッチQ3,4,5,6及びLED群3,4,5,6の長寿命化をより確実に図ることができる。
<変形例>
以上、実施の形態に基づいて発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることがなく、以下のような変形例も実施できる。
【0114】
1.光源
上記実施の形態では、光源ユニットにおいて、発光色が異なる4種類のLED群を用いたが、これに限らない。光源の発光色は、3種類あるいは2種類でもよいし、5種類以上でもよい。
また光源を構成する半導体発光素子としては、LED以外に、有機EL(Electro Luminescence)素子、レーザダイオード(Laser Diode)素子等を用いることもできる。
【0115】
また、上記実施の形態では、複数の光源は、発光色がすべて異なっていたが、一部の光源において互いに発光色が同じものがあってもよい。
上記実施の形態等では、LEDの発光色をR(赤),G(緑),B(青),W(白色)としているが、例えば、色温度が異なる白色光を発する複数のLEDを用いてもよい。
2.直流電源回路
上記実施の形態では、平滑回路として昇圧チョッパ回路を用いたが、例えば、平滑コンデンサを単体で用いてもよい。また、直流電圧変換回路として降圧チョッパ回路を用いたが、例えば、フライバック回路のような他のDC−DCコンバータ等を用いてもよい。
【0116】
3.光源スイッチ
上記実施形態等では、光源スイッチとして、MOSFETを用いたが、バイポーラトランジスタ等のスイッチング素子も用いてもよい。
4.制御回路
上記実施の形態では、LED群3,4,5,6を発光させる時間や、出力制御電流データIA(n)を、制御部20がテーブルに記憶させていたが、これに限らない。例えば、調光調色信号にバースト制御時間データTA(n),TB(n),TC(n),TD(n)、出力制御時間データta(n),tb(n),tc(n),td(n)、出力制御電流データIA(n)を含ませて、制御部20がそれを受け取るようにしても、同様に実施できる。
【0117】
また調色制御するための信号と、調光制御するための信号とを、2系統から制御部20に入力して、それに基づいて制御部20が同様の制御を行うことも可能である。
5.実施の形態5のように電力ユニット10に放電回路15を設けることを、実施の形態2,3,4,6の駆動方法のいずれかと組み合わせてもよい。