特許第6245516号(P6245516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245516
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】電圧検出装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20171204BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20171204BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20171204BHJP
   H02H 9/04 20060101ALI20171204BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H02J7/00 S
   H02J7/02 H
   G01R19/165 L
   H01M10/48 P
   H02H9/04 A
   H02H7/18
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-7219(P2014-7219)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2015-136256(P2015-136256A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】宮島 和也
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−032412(JP,A)
【文献】 特開平05−137233(JP,A)
【文献】 特開2013−011596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
G01R 19/165
H01M 10/48
H02H 7/18
H02H 9/04
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを構成する複数の電池セルの電圧を検出するための電圧検出回路と、前記電池セル各々と前記電圧検出回路とを接続する複数の電圧検出線と、前記電圧検出線各々とグランドとを接続し、過充電状態となった前記電池を放電させる放電回路と、前記バッテリによる電力を調整して駆動電力として前記電圧検出回路に供給する電力調整部とを具備し、前記電圧検出回路は、前記電圧検出線を介して、前記電池セル各々の電圧を検出する電圧検出装置であって、
前記電圧検出線、前記放電回路及び前記電力調整部において発生した所定のしきい値以上の電圧から前記電圧検出回路を保護する過電圧保護回路を具備し、
前記過電圧保護回路は、
前記所定のしきい値以上の電圧が印加されると電流が流れるツェナーダイオードと、
3つの端子を有し、前記3つの端子のうち、制御端子がツェナーダイオードのアノード端子に接続され、残りの2つの端子のうち、一端がツェナーダイオードのカソード端子に、また他端がグランドにそれぞれ接続されるスイッチング素子と、
一端が前記ツェナーダイオードのアノード端子に、他端がグランドにそれぞれ接続され、前記スイッチング素子の前記制御端子に入力される電流を調整するための抵抗器と、
アノード端子が電圧検出線に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続され、電圧検出線毎に設けられた複数の第1ダイオードと、
アノード端子が前記放電回路に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続され、放電回路毎に設けられた複数の第2ダイオードと、
アノード端子が前記電力調整部に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続される第3ダイオードとから構成されることを特徴とする電圧検出装置。
【請求項2】
バッテリを構成する複数の電池セルの電圧を検出するための電圧検出回路と、前記電池セル各々と前記電圧検出回路とを接続する複数の電圧検出線と、前記電圧検出線各々とグランドとを接続し、過充電状態となった前記電池を放電させる放電回路と、前記バッテリによる電力を調整して駆動電力として前記電圧検出回路に供給する電力調整部とを具備し、前記電圧検出回路は、前記電圧検出線を介して、前記電池セル各々の電圧を検出する電圧検出装置であって、
前記電圧検出線、前記放電回路及び前記電力調整部において発生した所定のしきい値以上の電圧から前記電圧検出回路を保護する過電圧保護回路を具備し、
前記過電圧保護回路は、
アノード端子がグランドに接続され、前記所定のしきい値以上の電圧が印加されると電流が流れるツェナーダイオードと、
アノード端子が電圧検出線に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続され、電圧検出線毎に設けられた複数の第1ダイオードと、
アノード端子が前記放電回路に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続され、放電回路毎に設けられた複数の第2ダイオードと、
アノード端子が前記電力調整部に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続される第3ダイオードとから構成されることを特徴とする電圧検出装置。
【請求項3】
バッテリを構成する複数の電池セルの電圧を検出するための電圧検出回路と、前記電池セル各々と前記電圧検出回路とを接続する複数の電圧検出線と、前記電圧検出線各々とグランドとを接続し、過充電状態となった前記電池を放電させる放電回路と、前記バッテリによる電力を調整して駆動電力として前記電圧検出回路に供給する電力調整部とを具備し、前記電圧検出回路は、前記電圧検出線を介して、前記電池セル各々の電圧を検出する電圧検出装置であって、
前記電圧検出線、前記放電回路及び前記電力調整部において発生した所定のしきい値以上の電圧から前記電圧検出回路を保護する過電圧保護回路を具備し、
前記過電圧保護回路は、
スイッチング素子と、
前記電圧検出線、前記放電回路及び前記電力調整部において前記所定のしきい値以上の電圧が発生した場合に、前記スイッチング素子をオン状態にする制御手段と、
アノード端子が電圧検出線に、カソード端子が前記スイッチング素子の一端にそれぞれ接続され、電圧検出線毎に設けられた複数の第1ダイオードと、
アノード端子が前記放電回路に、カソード端子が前記スイッチング素子の一端にそれぞれ接続され、放電回路毎に設けられた複数の第2ダイオードと、
アノード端子が前記電力調整部に、カソード端子が前記スイッチング素子の一端にそれぞれ接続される第3ダイオードとから構成されることを特徴とする電圧検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電池セル間の接続が切断された場合に、電圧計測部に印加される過電圧を防ぐことが可能な電池モジュールが開示されている。該電池モジュールは、直列に接続された複数の電池セルと、複数の電池セルの各々の電圧を測定する電圧計測部と、電圧計測部と電池セルとの間を接続する電圧計測ラインと、過電流遮断素子と過電流防止素子を直列に接続して構成し、電圧計測ラインに挿入された、過電流保護回路と、電池セルと並列に、電池セルの正極側の過電流遮断素子を介してカソードを、電池セルの負極側の過電流遮断素子を介してアノードを接続する逆電圧保護用ダイオードとを備え、過電流遮断素子はヒューズからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−121246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、ヒューズによって電圧検出回路を過電流から保護しているが、過電圧が発生した場合、ヒューズを用いているため、発生した過電圧から電圧検出回路を保護することができない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、過電圧から電圧検出回路を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、バッテリを構成する複数の電池セルの電圧を検出するための電圧検出回路と、前記電池セル各々と前記電圧検出回路とを接続する複数の電圧検出線と、前記電圧検出線各々とグランドとを接続し、過充電状態となった前記電池を放電させる放電回路と、前記バッテリによる電力を調整して駆動電力として前記電圧検出回路に供給する電力調整部とを具備し、前記電圧検出回路は、前記電圧検出線を介して、前記電池セル各々の電圧を検出する電圧検出装置であって、前記電圧検出線、前記放電回路及び前記電力調整部において発生した所定のしきい値以上の電圧から前記電圧検出回路を保護する過電圧保護回路とを具備する、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記過電圧保護回路は、前記所定のしきい値以上の電圧が印加されると電流が流れるツェナーダイオードと、3つの端子を有し、前記3つの端子のうち、制御端子がツェナーダイオードのアノード端子に接続され、残りの2つの端子のうち、一端がツェナーダイオードのカソード端子に、また他端がグランドにそれぞれ接続されるスイッチング素子と、
一端が前記ツェナーダイオードのアノード端子に、他端がグランドにそれぞれ接続され、前記スイッチング素子の前記制御端子に入力される電流を調整するための抵抗器と、アノード端子が電圧検出線に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続され、電圧検出線毎に設けられた複数の第1ダイオードと、アノード端子が前記放電回路に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続され、放電回路毎に設けられた複数の第2ダイオードと、アノード端子が前記電力調整回路に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続される第3ダイオードとから構成される、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記過電圧保護回路は、アノード端子がグランドに接続され、前記所定のしきい値以上の電圧が印加されると電流が流れるツェナーダイオードと、アノード端子が電圧検出線に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続され、電圧検出線毎に設けられた複数の第1ダイオードと、アノード端子が前記放電回路に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続され、放電回路毎に設けられた複数の第2ダイオードと、アノード端子が前記電力調整回路に、カソード端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子にそれぞれ接続される第3ダイオードとから構成される、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、第4の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記過電圧保護回路は、スイッチング素子と、前記電圧検出線、前記放電回路及び前記電力調整部において前記所定のしきい値以上の電圧が発生した場合に、前記スイッチング素子をオン状態にする制御手段と、アノード端子が電圧検出線に、カソード端子が前記スイッチング素子の一端にそれぞれ接続され、電圧検出線毎に設けられた複数の第1ダイオードと、アノード端子が前記放電回路に、カソード端子が前記スイッチング素子の一端にそれぞれ接続され、放電回路毎に設けられた複数の第2ダイオードと、アノード端子が前記電力調整回路に、カソード端子が前記スイッチング素子の一端にそれぞれ接続される第3ダイオードとから構成される、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電圧検出線、前記放電回路及び電力調整部において発生した所定のしきい値以上の電圧から電圧検出回路を保護する過電圧保護回路を具備することによって、過電圧から電圧検出回路を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る電圧検出装置の回路図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る電圧検出装置の回路図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る電圧検出装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1実施形態〕
初めに第1実施形態について説明する。本第1実施形態に係る電圧検出装置は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)あるいはハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)等の移動車両に搭載され、バッテリBを構成する各電池セルC1〜Cnの電圧状態を監視するものであり、図1に示すように、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn、電力調整部A、過電圧保護回路P1、電圧検出回路D及びマイコンMを備える。これら電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn、電力調整部A、過電圧保護回路P1、電圧検出回路D及びマイコンMは、図示しない基板上に実装されている。
【0013】
電圧検出線L1〜Lnは、電池セルC1〜Cnと電圧検出回路Dとを接続する導線である。電圧検出回路Dは、この電圧検出線L1〜Lnを介して入力される電池セルC1〜Cn各々の電力の電圧を検出する。
【0014】
放電回路H1〜Hnは、電圧検出線L1〜Lnとグランドとを接続し、過充電状態となった電池セルC1〜Cnを放電させるための回路である。放電回路H1〜Hnは、図1に示すように、放電用抵抗器Ra1〜Ranから構成されている。なお、放電回路H1〜Hnは同じ構成であるので、放電回路H1の放電用抵抗器Ra1についてのみ説明し、放電回路H2〜Hnの放電用抵抗器Ra2〜Ranについては説明を省略する。
【0015】
放電用抵抗器Ra1は、一端が電圧検出線L1を介して電池セルC1の正極に、他端が電圧検出回路Dにそれぞれ接続されている。また、放電用抵抗器Ra1の他端は、電圧検出回路Dに接続されているが、電圧検出回路Dの内部に設けられたスイッチング素子を介してグランドに接続されている。
【0016】
放電用抵抗器Ra1は、上述した電圧検出回路Dの内部のスイッチング素子がオン状態となると、電池セルC1から電力が供給されて、該電力を熱エネルギーに変換する、つまり発熱する。電圧検出回路Dは、電池セルC1が過充電状態となった場合には、上記スイッチング素子をオン状態にすることで、過充電状態となった電池セルC1〜Cnを放電回路H1に放電させる。
【0017】
電力調整部Aは、バッテリBによる電力を調整して駆動電力として電圧検出回路Dに供給するものであり、例えば、DC/DCコンバータである。
【0018】
過電圧保護回路P1は、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて発生した所定のしきい値以上の電圧から電圧検出回路Dを保護する回路である。過電圧保護回路P1は、ツェナーダイオードZD、保護用スイッチング素子HS、保護用抵抗器HR、第1ダイオードDa1〜Dan、第2ダイオードDb1〜Dbn-1及び第3ダイオードDc1から構成される。
【0019】
ツェナーダイオードZDは、第1ダイオードDa1〜Dan、第2ダイオードDb1〜Dbn-1及び第3ダイオードDc1〜Dcnを介して電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aに接続されている。ツェナーダイオードZDは、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて発生した所定のしきい値以上の電圧がカソード端子に印加されると、カソード端子からアノード端子の向きに電流が流れる。
【0020】
保護用スイッチング素子HSは、例えば、バイポーラトランジスタであり、ベース端子(制御端子)がツェナーダイオードZDのアノード端子に、エミッタ端子がツェナーダイオードのカソード端子に、コレクタ端子がグランドにそれぞれ接続されている。
【0021】
保護用スイッチング素子HSは、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて所定のしきい値以上の電圧が発生し、当該電圧がツェナーダイオードZDに印加された場合には、オン状態となり、上述した所定のしきい値以上の電圧を有する電力を、グランドに放電する。
【0022】
一方、保護用スイッチング素子HSは、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて所定のしきい値以上の電圧が発生していな場合には、オフ状態となり、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aからグランドへの放電を停止する。
【0023】
また、保護用スイッチング素子HSは、バイポーラトランジスタ以外にも、例えばFETトランジスタ(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であってもよい。
【0024】
保護用抵抗器HRは、一端がツェナーダイオードZDのアノード端子に、他端がグランドにそれぞれ接続され、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部AからツェナーダイオードZDを介して保護用スイッチング素子HSのベース端子(制御端子)に入力される電流を調整するために設けられている。
【0025】
第1ダイオードDa1は、電圧検出線L1に対応して設けられ、アノード端子が電圧検出線L1に、カソード端子がツェナーダイオードZDのカソード端子にそれぞれ接続されている。また、第1ダイオードDa1と同様、第1ダイオードDa2〜Danも、電圧検出線L2〜Ln毎に設けられている。
【0026】
第2ダイオードDb1は、放電回路H1対応して設けられ、アノード端子が放電回路H1に、カソード端子がツェナーダイオードZDのカソード端子にそれぞれ接続されている。また、第2ダイオードDb1と同様、第2ダイオードDb2〜Danも、放電回路H2〜Hn毎に設けられている。
【0027】
第3ダイオードDcは、アノード端子が電力調整部Aに、カソード端子がツェナーダイオードZDのカソード端子にそれぞれ接続されている。
【0028】
電圧検出回路Dは、各電池セルC1〜Cnの電圧を検出し、その検出結果をデジタルデータ(電圧検出データ)に変換するA/D変換機能やマイコンMとの通信機能を持つ専用ICチップである。このような電圧検出回路Dは、高電圧(例えば60V)の電力によって稼働可能であり、低電圧(例えば5V)で稼動可能なマイコンMとフォトカプラ等の絶縁素子を介して接続されることによって、マイコンMと電気的に絶縁されると共に通信可能に接続される。
【0029】
マイコンMは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び電気的に相互接続された各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路等から構成されたICチップであり、上述した絶縁素子を介して電圧検出回路Dと通信可能に接続されている。このマイコンMは、上記ROMに記憶された各種演算制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行うと共に各部と通信を行うことにより電圧検出装置の全体動作を制御する。
【0030】
次に、このように構成された本電圧検出装置の動作について説明する。
本電圧検出装置では、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて突発的な過電圧が発生した場合、過電圧保護回路P1で以下の特徴的な動作を実行する。つまり、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて所定のしきい値を超える過電圧が発生した場合、過電圧保護回路P1において、ツェナーダイオードZDのカソード端子には、過電圧が印加され、ツェナーダイオードZDのカソード端子からアノード端子の向きに電流が流れ出す。
【0031】
この結果、保護用スイッチング素子HSは、制御端子にツェナーダイオードZDから電流が入力されるので、オン状態となる。これにより、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて発生した所定のしきい値を超える過電圧がグランドに放電されるので、電圧検出回路Dを過電圧から保護することができる。
【0032】
例えば、電圧検出回路Dの耐圧が80Vであり、上記所定のしきい値を75Vとした場合、75Vがカソード端子に印加されると電流が流れ出すツェナーダイオードZDを、過電圧保護回路P1に設ける。電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて75Vを超える過電圧が発生した場合、ツェナーダイオードZDのカソード端子に75Vを超える過電圧が印加され、ツェナーダイオードZDにおいてカソード端子からアノード端子に向けて電流が流れ出して、保護用スイッチング素子HSがオン状態となる。これにより、75Vを超える過電圧がグランドに放電されるので、電圧検出回路Dを過電圧から保護することができる。
【0033】
このような本実施形態によれば、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて発生した所定のしきい値以上の電圧から電圧検出回路Dを保護する過電圧保護回路P1を具備することによって、所定のしきい値以上の過電圧から電圧検出回路Dを保護することができる。
【0034】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る電圧検出装置について説明する。
本第2実施形態に係る電圧検出装置は、以下の点において、上記第1実施形態と相違する。つまり、本実施形態に係る電圧検出装置は、図2に示すように、過電圧保護回路P2の構成が第1実施形態の過電圧保護回路P1と異なる点において、上記第1実施形態と相違する。これ以外の構成要素については第1実施形態と同様である。よって、第2実施形態において第1実施形態と同様の構成要素については説明を省略する。
【0035】
過電圧保護回路P2は、第1実施形態と同様、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて発生した所定のしきい値以上の電圧から電圧検出回路Dを保護する回路である。過電圧保護回路P2は、ツェナーダイオードZD、第1ダイオードDa、第2ダイオードDb1〜Dbn-1及び第3ダイオードDc1〜Dcnから構成される。
【0036】
ツェナーダイオードZDは、第1ダイオードDa1〜Dan、第2ダイオードDb1〜Dbn-1及び第3ダイオードDc1〜Dcnを介して電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aに接続されている。ツェナーダイオードZDは、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて発生した所定のしきい値以上の電圧がカソード端子に印加されると、カソード端子からアノード端子の向きに電流が流れるものであり、アノード端子がグランドに接続されている。
【0037】
第1ダイオードDa1は、電圧検出線L1に対応して設けられ、アノード端子が電圧検出線L1に、カソード端子がツェナーダイオードZDのカソード端子にそれぞれ接続されている。また、第1ダイオードDa1と同様、第1ダイオードDa2〜Danも、電圧検出線L2〜Ln毎に設けられている。
【0038】
第2ダイオードDb1は、放電回路H1対応して設けられ、アノード端子が放電回路H1に、カソード端子がツェナーダイオードZDのカソード端子にそれぞれ接続されている。また、第2ダイオードDb1と同様、第2ダイオードDb2〜Danも、放電回路H2〜Hn毎に設けられている。
【0039】
第3ダイオードDcは、アノード端子が電力調整部Aに、カソード端子がツェナーダイオードZDのカソード端子にそれぞれ接続されている。
【0040】
例えば、電圧検出回路Dの耐圧が80Vであり、上記所定のしきい値を75Vとした場合、75Vがカソード端子に印加されると電流が流れ出すツェナーダイオードZDを、過電圧保護回路P2に設ける。電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて75Vを超える過電圧が発生した場合、ツェナーダイオードZDのカソード端子に75Vを超える過電圧が印加され、ツェナーダイオードZDにおいてカソード端子からアノード端子に向けて電流が流れ出す。これにより、75Vを超える過電圧がツェナーダイオードZDを介してグランドに放電されて、電圧検出回路Dを過電圧から保護することができる。
【0041】
このような本実施形態によれば、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて発生した所定のしきい値以上の電圧から電圧検出回路Dを保護する過電圧保護回路P2を具備することによって、過電圧から電圧検出回路Dを保護することができる。
【0042】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態に係る電圧検出装置について説明する。
本第3実施形態に係る電圧検出装置は、以下の点において、上記第1実施形態と相違する。つまり、本実施形態に係る電圧検出装置は、図3に示すように、過電圧保護回路P3の構成が第1実施形態の過電圧保護回路P1と異なる点において、上記第1実施形態と相違する。これ以外の構成要素については第1実施形態と同様である。よって、第3実施形態において第1実施形態と同様の構成要素については説明を省略する。
【0043】
過電圧保護回路P3は、第1実施形態と同様、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて発生した所定のしきい値以上の電圧から電圧検出回路Dを保護する回路である。過電圧保護回路P3は、比較器Cp、制御装置Cn、保護用スイッチング素子HS、第1保護用抵抗器HR1、第2保護用抵抗器HR2、第1ダイオードDa1〜Dan、第2ダイオードDb1〜Dbn-1及び第3ダイオードDc1〜Dcnから構成される。なお、比較器Cp及び制御装置Cnは、本実施形態における制御手段を構成するものである。
【0044】
比較器Cpは、入力端のうちの一方が第1ダイオードDa1〜Dan、第2ダイオードDb1〜Dbn-1及び第3ダイオードDc1〜Dcnのカソード端子に、他方がグランドにそれぞれ接続され、入力端の一方と他方の間に第1保護用抵抗器HR1が設けられている。また、比較器Cpは、出力端が制御装置Cnに接続され、比較結果を制御装置Cnに出力する。
【0045】
制御装置Cnは、保護用スイッチング素子HSを制御するものであり、比較器Cpから入力される比較結果に基づいて電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて所定のしきい値以上の電圧が発生した否か判断し、発生した場合には、保護用スイッチング素子HSをオン状態にする。
【0046】
保護用スイッチング素子HSは、例えば、バイポーラトランジスタであり、ベース端子(制御端子)が制御装置Cnに接続され、エミッタ端子が第1ダイオードDa1〜Dan、第2ダイオードDb1〜Dbn-1及び第3ダイオードDc1〜Dcnのカソード端子に、コレクタ端子が第2保護用抵抗器HR2を介してグランドにそれぞれ接続されている。
【0047】
保護用スイッチング素子HSは、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて所定のしきい値以上の電圧が発生した場合、制御装置Cnによってオン状態にされて、上述した所定のしきい値以上の電圧を持つ電力を、グランドに放電する。
【0048】
一方、保護用スイッチング素子HSは、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて所定のしきい値以上の電圧が発生していな場合には、制御装置Cnによってオフ状態にされて、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aからグランドへの放電を停止する。
【0049】
また、保護用スイッチング素子HSは、バイポーラトランジスタ以外にも、例えばFETトランジスタ(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であってもよい。
【0050】
第1保護用抵抗器HR1は、比較器Cpにおける2つの入力端の間に設けられている。
第2保護用抵抗器HR2は、一端が保護用スイッチング素子HSのコレクタ端子に、他端がグランドに接続されている。
【0051】
例えば、電圧検出回路Dの耐圧が80Vであり、上記所定のしきい値を75Vとした場合、制御装置Cは、比較器Cpから入力される比較結果に基づいて電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて75V以上の過電圧が発生した否か判断する。制御装置Cnは、75V以上の過電圧が発生した場合、保護用スイッチング素子HSをオン状態にする。これにより、75Vを超える過電圧が保護用スイッチング素子HSを介してグランドに放電されて、電圧検出回路Dを過電圧から保護することができる。
【0052】
このような本実施形態によれば、電圧検出線L1〜Ln、放電回路H1〜Hn及び電力調整部Aにおいて発生した所定のしきい値以上の電圧から電圧検出回路Dを保護する過電圧保護回路P3を具備することによって、過電圧から電圧検出回路Dを保護することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記第3実施形態では、制御装置Cpを電圧検出回路DやマイコンMと異なる装置として設けたが、制御装置Cpを電圧検出回路DあるいはマイコンMと一体化させてもよい。
(2)上記第1〜3実施形態では、放電回路H1〜Hnの放電用抵抗器Ra1〜Ranが電圧検出回路Dの内部に設けられたスイッチング素子に接続されているが、このスイッチング素子については、放電回路H1〜Hnに設けられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
L1〜Ln…電圧検出線、H1〜Hn…放電回路、A…電力調整部、P…過電圧保護回路、D…電圧検出回路、M…マイコン、ZD…ツェナーダイオード、HS…保護用スイッチング素子、HR…保護用抵抗器、Da1〜Dan…第1ダイオード、Db1〜Dbn-1…第2ダイオード、Dc1〜Dcn…第3ダイオード、Cp…比較器、Cn…制御装置、HS…保護用スイッチング素子、HR1…第1保護用抵抗器、HR2…保護用抵抗器、Da1〜Dan…第1ダイオード、Db1〜Dbn-1…第2ダイオード、Dc1〜Dcn…第3ダイオード
図1
図2
図3