特許第6245518号(P6245518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6245518電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245518
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   H01M2/10 M
   H01M2/10 S
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-36584(P2014-36584)
(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-162345(P2015-162345A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ルー ウェン レオン
(72)【発明者】
【氏名】高崎 静一
【審査官】 正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−243449(JP,A)
【文献】 特開2011−129411(JP,A)
【文献】 特開2014−032896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を収容するとともに上面が開口した箱状のトレイと、下面が開口した箱状のカバーとが水平面で接合された電動車両用の電池パックと、
前記電池パックに接続され、外部から前記電池パックに電力を供給し、あるいは、前記電池パックから外部に電力を供給するための電気ケーブルが接続された電気コネクタと、
を備えた電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造であって、
前記トレイ、前記カバーのいずれか一方の外周壁は、
前記トレイと前記カバーとが接合される接合面よりも内側において前記接合面を通る水平面の下方域と上方域とに渡り設けられるとともに前記電気コネクタが取り付けられる傾斜部と、
前記接合面と前記傾斜部との間に、前記接合面を通る水平面から前記電気コネクタと反対方向に張り出して設けられる突出部と、を有し、
前記傾斜部は、前記突出部と連続して形成されることを特徴とする電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造。
【請求項2】
前記接合面は、
前記トレイの開口から外側に張り出された被接合部の上面と、前記カバーの開口から外側に張り出され、前記被接合部の上面と接合される接合部の下面と、に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造。
【請求項3】
前記トレイ、前記カバーのいずれか一方の外周壁は、前記電気コネクタを挟んで水平方向に向かい合うように設けられた対向部を有し、前記対向部は、前記傾斜部に連続して形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造。
【請求項4】
前記傾斜部は、前記トレイの外周壁に設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造に関するもので、電動車両用電池パックの高さが低く設定された場合でも電気コネクタを取り付けることができる取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両用の電池パックは、電動車両に搭載された電動機に電力を供給するためのもので、フロアパネルの下方域に設置される。電池パックは、トレイとカバーとを備えて構成され、トレイの側面には、電池パックに電力を充電するための電気コネクタ(充電コネクタ)と電池パックから電動機に電力を供給するための電気コネクタ(給電コネクタ)とが取り付けられる。
ところで、電気コネクタ(充電コネクタと給電コネクタ)の大きさは、電気コネクタを流れる電気の電気容量で決まる。したがって、電気コネクタを流れる電気の電気容量が小さくならないと電気コネクタの大きさを小さくできない。これにより、電動車両の地上高や居室スペースの制約により、電池パックの高さが設定され、トレイの高さが電気コネクタの取付幅よりも小さくなる場合にはトレイの外周壁に傾斜部を設け、その傾斜部に電気コネクタが取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−251111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特にスポーツ自動車タイプの電動車両や軽自動車タイプの電動車両は、地上高が低く設定されがちであるので、電池パックの設置スペースがさらに制約される。これにともない電池パックの高さも低く設定される。この場合には傾斜部の傾斜角度を小さくすればトレイに電気コネクタを取り付けることができるが、電気コネクタに接続された電気ケーブルがトレイの下方に接続されることになるため、電装機器の配置を見直したり、電気ケーブルの長さを長く設定したりしなければならない。また、傾斜部の傾斜角度を小さくすると、トレイに対して傾斜部の占める領域が大きくなるため、トレイの容量(嵩)が小さくなるので、トレイを車両前後方向または車幅方向に拡大しなければならない。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電動車両の地上高が低く設定され、電池パックの高さが低く設定された場合でも、電池パックに電気コネクタを取り付けることができる電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電池を収容するとともに上面が開口した箱状のトレイと、下面が開口した箱状のカバーとが水平面で接合された電動車両用の電池パックと、前記電池パックに接続され、外部から前記電池パックに電力を供給し、あるいは、前記電池パックから外部に電力を供給するための電気ケーブルが接続された電気コネクタと、を備えた電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造であって、前記トレイ、前記カバーのいずれか一方の外周壁は、前記トレイと前記カバーとが接合される接合面よりも内側において前記接合面を通る水平面の下方域と上方域とに渡り設けられるとともに前記電気コネクタが取り付けられる傾斜部と、前記接合面と前記傾斜部との間に、前記接合面を通る水平面から前記電気コネクタと反対方向に張り出して設けられる突出部と、を有し、前記傾斜部は、前記突出部と連続して形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明は、トレイとカバーとが接合される接合面よりも内側において接合面を通る水平面の下方域と上方域とに渡り設けられるとともに電気コネクタが取り付けられる傾斜部と、接合面と傾斜部との間に、接合面を通る水平面から電気コネクタと反対方向に張り出して設けられる突出部と、を有し、傾斜部は、突出部と連続して形成されるので、電動車両の地上高が低く設定され、電池パックの高さが低く設定された場合でも、傾斜部の傾斜角度を小さくすることなく、電池パックに電気コネクタを取り付けることができる。
【0008】
本発明の一態様では、前記接合面は、前記トレイの開口から外側に張り出された被接合部の上面と、前記カバーの開口から外側に張り出され、前記被接合部の上面と接合される接合部の下面と、に設けられる。
このようにすれば、接合面に十分な幅が確保でき、トレイとカバーとの間における防塵性能、防水性能を高めることができる。
【0009】
本発明の一態様では、前記トレイ、前記カバーのいずれか一方の外周壁は、前記電気コネクタを挟んで水平方向に向かい合うように設けられた対向部を有し、前記対向部は、前記傾斜部に連続して形成される。
このようにすれば、対向部が電気コネクタの両側を保護し、電動車両が衝突した場合でも電気コネクタを保護することができる。
【0010】
本発明の一態様では、前記傾斜部は、前記トレイの外周壁に設けられる。
このようにすれば、カバーに傾斜部を設ける場合のように、電池パックの内部において電池と電気コネクタとを接続する電気ケーブルにカバーを開閉するための長さを確保する必要がない。これにより、電池パックの内部にカバーを開閉するためだけに確保する電気ケーブルを収容するための空間が必要なくなり、電池パックの大型化を防止できる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、電動車両の地上高が低く設定され、電池パックの高さが低く設定された場合でも、傾斜部の傾斜角度を小さくすることなく、電池パックに電気コネクタを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態である電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造を採用した電動車両を示す概念斜視図である。
図2図1に示した電池パックの外観を示す斜視図である。
図3図2に示したトレイを示す斜視図である。
図4図2に示したIV−IV線断面図である。
図5図4に示した電気コネクタの取付構造の要部を示す断面図である。
図6】本発明の実施の形態である電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造の好適な実施の形態を詳細に説明する。尚、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態である電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造を採用した電動車両を示す概念図である。ここでは、軽自動車タイプの電動車両に搭載される電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造を例に説明するが、これに限られるものではなく、スポーツ自動車タイプの電動車両のほか、電動車両全般に適用可能である。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施の形態である電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造は、電動車両1に搭載された電動機(パワーユニット(図示せず))に電力を供給するためのもので、電池パック3と電池パック3に取り付けられた電気コネクタ6,7(図4参照)とを備えて構成される。
【0016】
電池パック3は、フロアパネル11(図4参照)の下方域に設置される。電池パック3は、車両後方側面に設けられた急速充電口(図示せず)から電気コネクタ7を通り電力が供給される。また、車両後方側面に設けられた普通充電口(図示せず)から車載充電器(図示せず)に供給された電力が電気コネクタ7を通り供給される。これにより、電池パック3に電力が充電される。一方、電池パック3は、電気コネクタ6,7を介してモータ等の電動機を含むパワーユニット(図示せず)やヒータ(図示せず)、A/Cコンプレッサ(図示せず)等に接続され、これらに電力を供給する。これにより、電池パック3に充電された電力が消費される。
【0017】
図2は、図1に示した電池パックの外観を示す斜視図であり、図3は、図2に示したトレイを示す斜視図である。また、図4は、図2に示したIV−IV線断面図であり、図5は、図4に示した電気コネクタの取付構造の要部を示す断面図である。
【0018】
図2に示すように、電池パック3は、トレイ4とカバー5とを備えて構成され、トレイ4とカバー5とは水平面で接合され、一つの箱体を構成する。
図3に示すように、トレイ4は、電池2を収容するためのもので、上面が開口した浅い箱状に形成されている。トレイ4の底壁41は、車両前後方向に細長い矩形状に形成され、そのまわりに外周壁42が形成されている。外周壁42は、底壁41から開口43に向けて漸次拡開され、車両幅方向に設けられる側壁421の壁面は傾斜面を成す。また、外周壁42の車両前側となる領域には電気コネクタ6が取り付けられる前側コネクタ取付部44が設けられ、車両後側となる領域には電気コネクタ7が取り付けられる後側コネクタ取付部45が設けられている。
【0019】
また、開口43のまわりには、被接合部46が設けられている。被接合部46は、カバー5が接合される部分で、開口43の全周に渡り設けられている。被接合部46は、開口43から外側に張り出され、その上面に水平な接合面461が形成される。
【0020】
図2に示すように、カバー5は、トレイ4と略同じ大きさの箱状に形成されている。カバー5は、トレイ4よりもやや深く、下面が開口しており、その上面51は、トレイ4と同様、車両前後方向に細長い矩形状に形成されている。また、カバー5の高さ方向は、電動車両1に設けられる居室空間、より具体的には、フロアパネル11に合わせて形成される。本実施の形態では、運転席及び助手席(前席)、後部座席の下方域となる領域が高くなるように形成され、これらの領域の前方となる領域がそれぞれ低くなるように形成される。
【0021】
また、カバー5は、その上面51のまわりに外周壁52が形成されている。外周壁52は、上面51から開口53に向けて漸次拡開され、車両幅方向に設けられる側壁521の壁面、車両前側に設けられる前壁522(図4参照)の壁面、車両後側に設けられる後壁523(図4参照)の壁面は傾斜面を成す。
【0022】
また、図4に示すように、開口53のまわりには、接合部54が設けられている。接合部54は、トレイ4に接合する部分で、開口53の全周に渡り設けられている。図5に示すように、接合部54は、開口53から外側に張り出され、その下面に水平な接合面541が形成されるとともに、その縁に下方域に延びるリップ542が形成される。
【0023】
図3及び図4に示すように、上述したトレイ4の外周壁42の車両前側となる領域には、上述したように、前側コネクタ取付部44が設けられ、車両後側となる領域には、上述したように、後側コネクタ取付部45が設けられている。
図4に示すように、前側コネクタ取付部44は、電池パック3に電気コネクタ6を取り付けるためのもので、図3に示すように、車両前側となる領域において車幅方向中央に設けられる。図5に示すように、前側コネクタ取付部44は、傾斜部441、接続部442、突出部443、助走部444、対向部445を有している。突出部443は、接合面461の内側において、接合面461を通る水平面Hからカバー5側に張り出して、すなわち接合面461を通る水平面Hからカバー5側に膨出して設けられる。
【0024】
傾斜部441は、電気コネクタ6が取り付けられる部分で、所定の長さ、所定の傾きで、接合面461を通る水平面Hの下方域と上方域とに渡り設けられる。所定の長さは、電気コネクタ6の取付幅を基準とし、電気コネクタ6を取り付けるのに十分な長さが設定される。所定の傾きは、電気コネクタ6に接続された電気ケーブル61が接続される電装機器との関係が考慮され、電気コネクタ6に接続された電気ケーブル61が地上限界高さLよりも上方に配線されるように設定される。例えば、45°から90°の範囲に設定される。
【0025】
接続部442は、トレイ4の底壁41と傾斜部441の下端とを接続する部分で、曲面で形成される。突出部443は、電気コネクタ6の取付領域を確保するための部分で、傾斜部441の上端から接合面461を通る水平面Hに向かう湾曲面で形成される。すなわち突出部443は、傾斜部441と連続して形成される。助走部444は、被接合部46から突出部443に向かう部分で、被接合部46から接合面461を通る水平面Hの下方域にわずかに凹むように設けられ、開口43の一部を構成する。対向部445は、傾斜部441に取り付けられた電気コネクタ6を保護するための部分で、電気コネクタ6を挟んで水平方向に向かい合うように傾斜部441の両側に形成され、傾斜部441のほか、接続部442、突出部443、助走部444に接続される。
【0026】
上述した傾斜部441には、電気コネクタ6が取り付けられる。電気コネクタ6は、一つに限られるものではなく、車両前方域に設けられたヒータ、A/Cコンプレッサごとに設けられる。そして、傾斜部441にヒータ用として取り付けられた電気コネクタ6にはヒータに接続された電気ケーブル61が接続され、電池パック3に充電された電力がヒータに供給される。同様に、傾斜部441にA/Cコンプレッサ用として取り付けられた電気コネクタ6にはA/Cコンプレッサに接続された電気ケーブル61が接続され、電池パック3に充電された電力がA/Cコンプレッサに供給される。
【0027】
また、図4に示すように、後側コネクタ取付部45は、前側コネクタ取付部44と同様、電池パック3に電気コネクタ7を取り付けるためのもので、図3に示すように、車両後側となる領域において車幅方向中央に設けられる。図の詳細を省略するが、後側コネクタ取付部45は、上述した前側コネクタ取付部44と同様、傾斜部451、接続部、突出部453、助走部、対向部455を有している。突出部453は、接合面461の内側において、接合面461を通る水平面Hからカバー5側に張り出して、すなわち接合面461を通る水平面Hからカバー5側に膨出して設けられる。
【0028】
傾斜部451は、上述した前側コネクタ取付部44の傾斜部441と同様、電気コネクタ7が取り付ける部分で、所定の長さ、所定の傾きで、接合面461を通る水平面の下方域と上方域とに渡り設けられる。所定の長さは、電気コネクタ7の取付幅を基準とし、電気コネクタ7を取り付けるのに十分な長さが設定される。所定の傾きは、電気コネクタ7に接続された電気ケーブル(図示せず)が接続される電装機器との関係が考慮され、電気コネクタ7に接続された電気ケーブルが地上限界高さよりも上方に配線されるように設定される。例えば、45°から90°の範囲で設定される。
【0029】
接続部は、トレイ4の底壁41と傾斜部451の下端と接続する部分で、曲面で形成される。突出部453は、電気コネクタ7の取付領域を確保するための部分で、傾斜部の上端から接合面461を通る水平面Hに向かう湾曲面で形成される。すなわち突出部453は、傾斜部451と連続して形成される。助走部は、被接合部46から突出部453に向かう部分で、被接合部46から接合面を通る水平面Hの下方域にわずかに凹むように設けられ、開口43の一部を構成する。対向部455は、傾斜部451に取り付けられた電気コネクタ7を保護するための部分で、電気コネクタ7を挟んで水平方向に向かい合うように傾斜部451の両側に形成され、傾斜部451のほか、接続部、突出部453、助走部に接続される。
【0030】
上述した傾斜部451には、電気コネクタ7が取り付けられる。電気コネクタ7は、一つに限られるものではなく、車両側面後方域に設けられた急速充電口(図示せず)、車両後方域に設けられた車載充電器(図示せず)、パワーユニット(図示せず)ごとに設けられる。そして、傾斜部に急速充電用として取り付けられた電気コネクタ7には急速充電口に接続された電気ケーブル(図示せず)が接続され、急速充電口から供給された電力は、電気ケーブル、電気コネクタ7を通り供給され、電池パック3に充電される。同様に、傾斜部に車載充電器用として取り付けられた電気コネクタ7には車載充電器に接続された電気ケーブルが接続され、車両側面後方域から車載充電器に供給された電力は、電気ケーブル、電気コネクタ7を通り供給され、電池パック3に充電される。同様に、傾斜部451にパワーユニット用として取り付けられた電気コネクタ7にはパワーユニットに接続された電気ケーブルが接続され、電池パック3に充電された電力がパワーユニットに供給される。
【0031】
また、図5に示すように、電池パック3は、トレイ4とカバー5との間にガスケット8が設置される。ガスケット8は、トレイ4とカバー5との間に生じる隙間を埋めるためのもので、具体的には、トレイ4の被接合部46の上面に形成された接合面461とカバー5の接合部54の下面に形成された接合面541との間に設置される。ガスケット8は、ゴム等の弾性体で構成され、トレイ4とカバー5とがネジ(図示せず)等で締結されることにより、ガスケット8が圧縮変形され、トレイ4とカバー5との間に生じる隙間が埋められる。
【0032】
上述した本発明の実施の形態である電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造は、トレイ4の外周壁42が、接合面461を通る水平面Hの下方域と上方域とに渡り設けられた傾斜部441と、傾斜部441と接合面461との間に、接合面461を通る水平面Hからカバー5側に張り出して設けられた突出部443とを有するので、電池パック3の高さが低く設定された場合でも、傾斜部441に電気コネクタ6を取り付けることができる。この場合には電気コネクタ6に接続された電気ケーブル61が地上限界高さLよりも上方に配線される。同様に、トレイ4の外周壁42も、接合面461を通る水平面Hの下方域と上方域とに渡り設けられた傾斜部451と、傾斜部451と接合面461との間に、接合面461を通る水平面Hからカバー5側に張り出して設けられた突出部453とを有するので、電池パック3の高さが低く設定された場合でも、傾斜部451に電気コネクタ7を取り付けることができる。そして、この場合にも電気コネクタ7に接続された電気ケーブルが地上限界高さLよりも上方に配線される。
【0033】
また、電池パック3を電動車両1に設置した場合に車両前側となる部分に電気コネクタ6を取り付ける傾斜部441を有する前側コネクタ取付部44を設けたので、電動車両1の前側となる位置に設置されたヒータ、A/Cコンプレッサ等の電装機器への電力供給が簡単にできる。同様に、電池パック3を電動車両1に設置した場合に車両後側となる部分に電気コネクタ7を取り付ける傾斜部451を有する後側コネクタ取付部45を設けたので、電動車両1の後側に設置された急速充電口、車載充電装置からの電力供給が容易にできる。また、電動車両1の後側に設置されたパワーユニット等の電装機器への電力供給が簡単にできる。
【0034】
また、傾斜部441,451がトレイ4の外周壁42に設けられるので、カバー5の外周壁52に電気コネクタを取り付ける場合のように、電池パック3の内部において電池と電気コネクタとを接続する電気ケーブルにカバーを開閉するための長さを確保する必要がない。これにより、電池パック3の内部にカバー開閉するためだけに確保する電気ケーブルを収容するための空間を設ける必要がなくなり、電池パック3の大型化を防止できる。
【0035】
また、トレイ4とカバー5とを接合する水平な接合面461,541がトレイ4の開口43から外側に張り出された被接合部46の上面とカバー5の開口53から外側に張り出された接合部54の上面に形成される。したがって、接合面461,541に十分な幅が確保され、トレイ4とカバー5との間における防塵性能、防水性能を高めることができる。さらに、カバー5の接合部54の縁に形成されたリップ542がトレイ4の被接合部46の縁462と重なり、さらに防塵性能、防水性能を高めることができる。
【0036】
また、トレイ4の被接合部46の上面に形成された接合面461とカバー5の接合部54の下面に形成された接合面541との間にガスケット8を設置したので、さらに、トレイ4とカバー5との間における防塵性能、防水性能を高めることができる。
【0037】
また、前側コネクタ取付部44は、傾斜部441の両側に対向部445を有するので、対向部445が傾斜部441に取り付けた電気コネクタ6の両側を保護し、電動車両1が側面衝突した場合でも電気コネクタ6を保護することができる。同様に、後側コネクタ取付部45も傾斜部の両側に対向部455を有するので、対向部455が傾斜部451に取り付けた電気コネクタ7の両側を保護し、電動車両1が側面衝突した場合でも電気コネクタ7を保護することができる。
【0038】
図6は、本発明の実施の形態である電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造の変形例を示す図である。図2に示すように、変形例では、カバー5の外周壁52にコネクタ取付部55が設けられている。コネクタ取付部55は、傾斜部551と突出部553とを有している。傾斜部551は、接合面541の内側において、接合面541を通る水平面H’の下方域と上方域とに渡り設けられる。また、突出部553は、接合面461の内側において、接合面461を通る水平面Hからトレイ4側に張り出して、すなわち接合面461を通る水平面Hからトレイ4側に膨出して設けられる。
【0039】
変形例に係る電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造は、カバー5の外周壁52に傾斜部551と突出部553とを設けたので、電池パック3の高さが低く設定された場合でも、傾斜部551に電気コネクタ6を取り付けることができる。この場合には電気コネクタ6に接続された電気ケーブル61が地上限界高さLよりも上方に配線される。
【0040】
尚、上述した実施形態及び変形例では、突出部443(453、553)が接合面461を通る水平面Hからカバー5側もしくはトレイ4側に膨出し、湾曲面を形成するように設けられる例を示したが、これに限られず、例えば角部を形成するように突出して設けられていてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例では、電気コネクタ6,7が取り付けられるコネクタ取付部44、45が電池パック3の車両前後方向両側に設けられた例を示したが、これに限られず、電池パック3の車幅方向側にコネクタ取付部が設けられた例であっても本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明したように、本発明に係る電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造は、電動車両の地上高を低く設定し、電動車両用電池パックの高さを低く設定した場合でも、傾斜部の傾斜角度を小さくすることなく、電池パックに電気コネクタを取り付けることができる。これにより、スポーツ自動車タイプの電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造や軽自動車タイプの電動車両用電池パックの電気コネクタ取付構造に好適である。
【符号の説明】
【0042】
1 電動車両
11 フロアパネル
3 電池パック
4 トレイ
41 底壁
42 外周壁
421 側壁
43 開口
44 前側コネクタ取付部
441 傾斜部
442 接続部
443 突出部
444 助走部
445 対向部
45 後側コネクタ取付部
451 傾斜部
455 対向部
46 被接合部
461 接合面
5 カバー
51 上面
52 外周壁
521 側壁
522 前壁
523 後壁
53 開口
54 接合部
541 接合面
542 リップ
55 コネクタ取付部
551 傾斜部
553 突出部
6 電気コネクタ
61 電気ケーブル
7 電気コネクタ
8 ガスケット
H 水平面
L 地上限界高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6