特許第6245523号(P6245523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245523
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】導通構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/64 20060101AFI20171204BHJP
   F01M 11/06 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01R4/64 Z
   F01M11/06 B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-147315(P2014-147315)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-24920(P2016-24920A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2016年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】波多野 誠
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−049460(JP,U)
【文献】 特開平09−092358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/64
F01M 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔(12)が形成された樹脂部(10)と、
前記孔に配置され、前記孔の壁面に沿ってリング状に形成された金属製のカラー(13)と、
前記カラーに接触するように前記樹脂部に配置された接地用端子(9)とを備え、
前記カラーは、前記カラーの中空部(15)に挿通された締結手段(19)により、接地電位が与えられた接地部品(17)に前記樹脂部が締結された際に前記接地部品に電気的に導通し、
前記接地用端子は、前記カラーの側面(13c)に接触する爪部(9c、22、25、28、31)を有し、かつ、前記爪部以外には前記カラーとは非接触であり、
前記カラーの側面には突起部(13d)が形成されており、
前記爪部(31)は前記突起部に接触することを特徴とする導通構造。
【請求項2】
前記爪部は、前記カラーの側面を押す方向に付勢された状態で前記側面に接触することを特徴とする請求項1に記載の導通構造。
【請求項3】
前記接地用端子はリング状部(9b、20、24、27、30)を有し、そのリング状部の内側に前記カラーが配置され、前記爪部は前記リング状部の内周縁(9b、21)に沿って1又は複数形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の導通構造。
【請求項4】
前記リング状部(9b、24、30)は、前記カラーの一方の端面周りで前記樹脂部の表面(10a、10b)に露出した形で配置され、
前記樹脂部の孔は、前記表面からの一部が前記カラーの外径より大きい孔径に形成され、
前記爪部(9c、25、31)は、前記樹脂部の孔における前記カラーの外径よりも大きい穴径に形成された部分(16、23、29)に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の導通構造。
【請求項5】
前記樹脂部の内部には、前記カラーの側面の周方向に沿うように、且つ前記カラーの側面にまで及んだ空間部(26)が形成されており、
前記リング状部(27)及び前記爪部(28)は前記空間部において前記樹脂部の表面に非露出に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の導通構造。
【請求項6】
前記爪部は、一辺が前記内周縁に接続された三角形状に形成されたことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の導通構造。
【請求項7】
前記樹脂部は、エンジンの潤滑のためのオイルの液面レベルを検出するオイルレベルセンサに接続されており、
前記接地部品は、接地電位が与えられたエンジンブロックに接続された金属部材又は前記エンジンブロックであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導通構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部に配置された接地用端子を接地するために、その接地用端子を、樹脂部が締結される接地部品に電気的に導通させる導通構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製部品側に接地電位をとりこむために、樹脂製部品の締結部(樹脂部)に接地用端子を配置して、それら締結部、接地用端子をボルト等の締結手段により、接地電位が与えられた部品(接地部品)に共締め固定する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。例えば特許文献1では、オイル貯留装置において、オイルレベルセンサの補強板(締結部、樹脂部)に接地用端子を配置し、補強板と締結手段の頭部の間で接地用端子を挟み込む形で、それら補強板、接地用端子を共締め固定する技術が開示されている。また、特許文献1では、補強板の孔に、補強導電部(金属製のカラー)を配置し、接地用端子は、共締め固定された際に補強導電部を介して接地電位が与えられたブラケットに電気的に導通している。
【0003】
また、特許文献2では、締結部のボルト挿通孔にナット(金属製のカラー)を配置し、締結部と接続端子(接地用端子)を被締結部材に共締め固定することが開示されている。また、このナットの外周部は段差形状となっており、この段差形状部に接続端子の内周縁が入り込む形で、接続端子が締結部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−246887号公報
【特許文献2】特開2006−9853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、金属製のカラーが配置された樹脂部を締結手段により締結する際に、その締結手段を締付け過ぎてしまうと、カラーが回転してしまうことがある。特許文献1のように、接地用端子をカラーで挟み込むようにして共締めする構成では、過締付時にカラーが回転すると、接地用端子も回転してしまい、接地用端子が破断するおそれがある。カラーが回転しないように、カラーには、ローレット、エンボス加工や穴を開ける等の回り止めを施すことが考えられるが、この回り止め加工のコストが必要となってくる。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、カラーの回り止め加工をしなくても、カラーの回転時に接地用端子が破断してしまうのを抑制できる導通構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の導通構造は、孔が形成された樹脂部と、
前記孔に配置され、前記孔の壁面に沿ってリング状に形成された金属製のカラーと、
前記カラーに接触するように前記樹脂部に配置された接地用端子とを備え、
前記カラーは、前記カラーの中空部に挿通された締結手段により、接地電位が与えられた接地部品に前記樹脂部が締結された際に前記接地部品に電気的に導通し、
前記接地用端子は、前記カラーの側面に接触する爪部を有し、かつ、前記爪部以外には前記カラーとは非接触であることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、接地用端子は爪部を有し、その爪部がカラーの側面に接触しているので、締結手段により樹脂部が接地部品に締結された際に、接地用端子を、カラーを介して接地部品に電気的に導通させることができる。また、接地用端子は、爪部がカラーの側面に接触し、それ以外ではカラーに接触していないので、締結手段による締付け力が接地用端子にかかってしまうのを回避できる。よって、仮にカラーが回転したとしても、接地用端子も回転してしまうのを抑制でき、接地用端子が破断してしまうのを抑制できる。特に、本発明では、接地用端子の爪部でカラーの側面に接触しているので、カラーとの接触圧を確保しやすく、接地用端子と接地部品との導通を確実にとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】オイルレベルセンサの断面図である。
図2図1のA部の拡大図である。
図3】カラー、アースターミナルのリング状部及び爪部を上から見た図である。
図4】変形例1に係るリング状部及び爪部の平面図である。
図5】変形例2に係るフランジ部の拡大断面図である。
図6】変形例3に係るフランジ部の拡大断面図である。
図7】変形例4に係るフランジ部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。本実施形態では、エンジンの潤滑のためのオイルが貯留されたオイルパン内に配置されて、オイルパンに貯留されたオイルの液面レベルの検出するオイルレベルセンサの導通構造(ボデーアースをとるための構造)に本発明を適用した例を説明する。
【0011】
図1は、本実施形態のオイルレベルセンサの断面図を示している。図1のオイルレベルセンサ1は、内部に空間が形成された有底円柱形状の樹脂製のカバー2を有する。そのカバー2内の中央には、円柱中空部2aが形成されており、その円柱中空部2aの外周をオイルの液面レベルに応じて移動するフロート3がカバー2内に配置されている。このフロート3は、オイルより比重が小さく、オイルの液面レベルの変動に応じて、円柱中空部2aの軸線2bの方向(図1の上下方向)に上下動する。
【0012】
円柱中空部2a内には、フロート3の位置を検出するリードスイッチ4からなるセンサ素子を有する。このリードスイッチ4は、フロート3内に設けられた永久磁石5からの磁界の大小に応じてオンオフする。
【0013】
リードスイッチ4は、ガラス容器の内部に相対向する図示しない可動金属片が設けられており、この可動金属片は、それぞれリード6、7と一体に成っている。永久磁石5からの磁束がガラス容器内部の可動金属片に流れることによって、可動金属片のばね力に吸引力が打ち勝ち、可動金属片同士が接触し、リード6、7相互間に電流が流れる。円柱中空部2aの内部には信号線(図示外)がリードスイッチ4に平行に設けられており、この信号線の一端はリード7に接続されている。そして、リード6、7相互間に流れた電流は、信号線及び後述のアースターミナル9を介して、オイルの液面レベルを示す信号としてオイルパンの外部に送信される。
【0014】
反対側のリード6は、アースターミナル9(接地用端子)に固定されている。そのアースターミナル9はリード6とはんだ付けされている。なお、アースターミナル9の詳細は後述する。
【0015】
カバー2の上下方向(軸線2bの方向)における一端(図1では上側)には樹脂製のボデー8が接続されている。そのボデー8は、カバー2やカバー2内に配置された部品を支持するとともに、カバー2の側方(軸線2bに直角な方向)に突出した2つのフランジ部10、11を有する。それらフランジ部10、11の一方は左右方向(カバー2の側方)のうちの左方向に突出し、他方は右方向に突出するように形成される。
【0016】
それらフランジ部10、11は、オイルレベルセンサ1をボルト、ビス等の締結手段によって所定の部品に締結するための締結部として機能する。図2は、図1のA部の拡大図(右側のフランジ部10の拡大断面図)を示している。なお、フランジ部10が本発明の「樹脂部」に相当する。図2に示すように、フランジ部10には、その厚さ方向の両表面10a、10b間を貫通する断面円状の貫通孔12が形成されている。その貫通孔12には、貫通孔12の壁面に沿ってリング状(円筒状、中空リング状)のカラー13が配置されている。
【0017】
そのカラー13は、ボルト19(図1参照)によりフランジ部10を締結する際に、貫通孔12の壁面を構成する樹脂が破損しないように貫通孔12を補強するためのものである。カラー13は、アルミニウム等の金属(導電性を有する材料)で形成されている。また、カラー13の内径はボルト19の径より若干大きい径である。
【0018】
また、カラー13の一方の端面13a(後述のブラケット17(図1参照)に対向する端面)は、フランジ部10の表面10a(ブラケット17に対向する表面)と一致した高さに位置している。他方、カラー13の他方の端面13bは、フランジ部10の反対側の表面10bよりも若干飛び出た高さに位置している。なお、反対側のフランジ部11(図1参照)にもフランジ部10に配置されたカラー13と同じ形状のカラーが配置されている。
【0019】
アースターミナル9は、インサート成型によりボデー8及びフランジ部10と一体に形成されている。アースターミナル9は、金属製の薄板から形成され、ボデー8内に配置された部分と、その部分からフランジ部10の表面10a側に屈曲して、その表面10aに露出する形で配置される部分9aとを有する。ここで、図3図2に示すカラー13やアースターミナル9の露出した部分9aを、フランジ部10の表面10a側から見た図(上から見た図)を示している。図3に示すように、アースターミナル9の露出した部分9aは、カラー13の外側においてカラー13の端面13aを取り囲むようにリング状に形成されている。以下、露出した部分9aをリング状部という。リング状部9aの内周縁9bは、カラー13の中心軸線14に略一致した位置に中心を持つ、カラー13の外径よりも大きい径の円状に形成されている。
【0020】
図2に示すように、フランジ部10の貫通孔12は、表面10aからの一部が大径に形成されている。その貫通孔12の大径部16は、カラー13の外径よりも大きい径を有している。そのため、大径部16の壁面は、カラー13の側面(外周面)13cとは接しておらず、大径部16の内側に空間が形成されている。
【0021】
アースターミナル9は、リング状部9aの内周縁9bに接続された爪部9cを有する。爪部9cは、図3に示すように、内周縁9bに沿って等間隔に複数(図3では8個)形成されている。なお、爪部9cは、リング状部9aに一体的に形成されている。各爪部9cは、内周縁9bから大径部16側に折れ曲がる形で形成され、大径部16内に位置している。また、各爪部9cは、図3に示すように、一辺が内周縁9bに接続された三角形状に形成されている。
【0022】
三角形状の爪部9cの先端側の一部がカラー13の側面13cに接触している。詳しくは、爪部9cは、カラー13の側面13cを押す方向P(図2参照)に付勢された状態(ばね力がかかった状態)で側面13cに接触している。つまり、爪部9cは、カラー13が取り除かれると、内周縁9bとの接続部を支点として、リング状部9aの高さ位置の方向に倒れるように変位する。アースターミナル9は爪部9c以外にはカラー13に接触していない。
【0023】
アースターミナル9及びカラー13は、例えばインサート成型によりボデー8(フランジ部10)と一体化されている。これらアースターミナル9及びカラー13を配置したフランジ部10の製造方法の一例を説明すると、先ず、予めアースターミナル9及びカラー13を準備する。準備したアースターミナル9の対向する位置関係にある2つの爪部9c間の間隔は、カラー13の外径よりも小さくなっている。その後、そのアースターミナル9のリング状部9aの内側にカラー13を挿入する。この際、カラー13の側面13cにより爪部9cが立ち上がる方向に変位することで、爪部9cが側面13cに付勢された状態となる。その後、アースターミナル9及びカラー13の組合せ品を、ボデー8(フランジ部10)の型内に配置して、その型に樹脂を流し込むことで、アースターミナル9及びカラー13と一体化したボデー8(フランジ部10)を形成することができる。
【0024】
なお、最初にアースターミナル9とボデー8(フランジ部10)とをインサート成型し、その後、カラー13を、このインサート成型品におけるフランジ部10の貫通孔12に圧入嵌合しても良い。
【0025】
図1に示すように、オイルレベルセンサ1は、例えばエンジンブロック(図示外)に接続されたブラケット17にボルト19により締結される。そのブラケット17は、少なくともカラー13やボルト19が接する部分(例えばボルト挿通孔18の内壁)が金属で形成されており、そのブラケット17の金属部分は、エンジンブロックの電位、すなわち接地電位が与えられている。なお、オイルレベルセンサ1は、エンジンブロックに直接締結されたとしても良いし、接地電位が与えられた他の部品に締結されたとしても良い。ブラケット17が本発明の「接地部品」に相当する。
【0026】
ブラケット17にはボルト挿通孔18が形成され、そのボルト挿通孔18に、オイルレベルセンサ1のボルト挿通孔15(カラー13の中空部)を合わせる。この際、リング状部9aが配置されたフランジ部10の表面10aがブラケット17側に向くようにして、フランジ部10とブラケット17の間にリング状部9aを挟み込むようにする。その後、フランジ部10の反対側の表面10b側からボルト19をボルト挿通孔15に挿通して、そのボルト19をブラケット17側に配置されたナット(図示外)に噛み合わせることで、フランジ部10をブラケット17に締結する。なお、反対側のフランジ部11もボルトにより所定の部品に締結する。
【0027】
これにより、オイルレベルセンサ1をオイルパン内に固定させることができる。また、カラー13の端面13aが、接地電位が与えられたブラケット17に直接接触することで、又はボルト19を介してブラケット17にカラー13が間接的に接触することで、カラー13はブラケット17に電気的に導通して接地電位が与えられる。これにより、カラー13の側面13cに接触したアースターミナル9もブラケット17に電気的に導通して、接地電位が与えられる。
【0028】
また、アースターミナル9は、爪部9cでカラー13の側面13cと接触し、それ以外には接触していないので、ボルト19による締付け力がアースターミナル9にかかってしまうのを回避できる。よって、ボルト19の過締付時に仮にカラー13が回転したとしても、アースターミナル9も回転してしまうのを抑制でき、アースターミナル9が破断してしまうのを抑制できる。また、カラー13に対するローレット、エンボス加工等の回り止め加工を廃止できるので、回り止め加工の費用を削減できる。なお、カラー13に回り止め加工を施しても良く、この場合には、より一層、アースターミナル9の破断を抑制できる。
【0029】
また、上記実施形態では、爪部9cは、三角形状に形成されて、付勢された状態でカラー13の側面13cに接触しているので、側面13cとの接触面積が増加するのを抑えつつ、側面13cとの間の接触圧を良好にできる。つまり、爪部9cを側面13cに良好に接触させることができる。よって、アースターミナル9の導通を確実にとることができる。また、爪部9cは、カラー13の周りに複数形成されているので、アースターミナル9の導通を確実にとることができる。
【0030】
さらに、アースターミナル9は、ボルト挿通孔15周りのフランジ部10の表面10aに露出したリング状部9aを有し、そのリング状部9aがフランジ部10とブラケット17の間に挟み込まれることになるので、フランジ部10とともにアースターミナル9(リング状部9a)をブラケット17に共締め固定することができる。
【0031】
(変形例1)
上記実施形態では、アースターミナルの爪部の形状を三角形状としていたが、この爪部は図4に示すように三角形状以外の形状であっても良い。図4は、変形例1に係るアースターミナルにおけるリング状部20の平面図を示している。図4に示すように、リング状部20の内周縁21には複数の爪部22が形成されている。各爪部22は略四角形状に形成されている。これによっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
(変形例2)
上記実施形態では、アースターミナルのリング状部及び爪部を、フランジ部のブラケット側の表面に配置した例を説明したが、これらをボルト挿入側の表面に配置しても良い。図5は、リング状部及び爪部を、フランジ部のボルト挿入側の表面に配置した場合におけるフランジ部の拡大断面図を示している。図5に示すように、フランジ部10のボルト挿入側の表面10bにアースターミナルのリング状部24を配置するとともに、その表面10b側に貫通孔の大径部23を形成する。そして、その大径部23に爪部25を配置して、その爪部25をカラー13の側面に接触させる。リング状部24は、ボルトの頭部とフランジ部10の間に挟み込まれる形で共締め固定される。これによっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0033】
(変形例3)
また、図6に示すように、アースターミナルのリング状部及び爪部を、フランジ部の内部に配置しても良い。図6は、変形例3に係るフランジ部の拡大断面図を示している。図6に示すように、フランジ部10の内部には空間部26が形成されており、その空間部26にアースターミナルのリング状部27及び爪部28が配置されている。爪部28は、フランジ部10の内部においてカラー13の側面13cに接触している。これによっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(変形例4)
上記実施形態では、カラーが取り除かれた状態で、対向する2つの爪部間の間隔をカラーの外径よりも小さくすることで、カラーの組付け時に爪部に付勢力を付与していたが、図7に示すように、カラーの側面に突起を形成して、その突起に爪部を接触させるようにしても良い。図7は、変形例4に係るフランジ部の拡大断面図を示している。図7に示すように、フランジ部10の貫通孔における大径部29内において、カラー13の側面13cに突起部13dが形成されている。そして、リング状部30の内周縁に接続された爪部31は、大径部29内において突起部13dに接触している。この際、爪部31は、突起部13dから側面13cから離れる方向に力F1を受け、その力F1の反力F2として、爪部31は側面13cを押す方向に付勢される。これによっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、爪部側に突起部を形成しても良い。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限度で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、アースターミナルに複数の爪部を形成した例を説明したが、爪部の個数は1個であっても良い。これによれば、アースターミナルの構成を簡素にできる。
【0036】
また、上記実施形態では、ボルトをフランジ部側から挿入した例を説明したが、ブラケット側からボルトを挿入しても良い。また、オイルレベルセンサ以外の製品におけるボデーアース構造(導通構造)に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0037】
1 オイルレベルセンサ
9 アースターミナル(接地用端子)
9c、22、25、28、31 爪部
10 フランジ部(樹脂部)
12 貫通孔(孔)
13 カラー
13c カラーの側面
15 ボルト挿通孔(カラーの中空部)
17 ブラケット(接地部品)
19 ボルト(締結手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7