特許第6245525号(P6245525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245525
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/10 20060101AFI20171204BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01Q13/10
   H01Q1/38
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-205582(P2014-205582)
(22)【出願日】2014年10月6日
(65)【公開番号】特開2016-76809(P2016-76809A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年7月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511068692
【氏名又は名称】株式会社サクマアンテナ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】作間 正雄
(72)【発明者】
【氏名】一柳 和弘
(72)【発明者】
【氏名】森下 久
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−253850(JP,A)
【文献】 特開2001−320225(JP,A)
【文献】 米国特許第04500887(US,A)
【文献】 特開平01−295503(JP,A)
【文献】 特開2012−216714(JP,A)
【文献】 特開2014−112816(JP,A)
【文献】 特開2006−222715(JP,A)
【文献】 特開2014−239438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を2等分する中心線との間にギャップ部を挟んで配置される、複数のアンテナエレメントを備えたアンテナ装置であって、
前記ギャップ部は、前記中心線に沿って始端から終端まで延びていて、
前記中心線との幅が一定間隔となる平行領域と、
前記中心線との幅を、前記終端方向に向かうにしたがって階段状に増大させる階段領域とを備え、
前記平行領域は前記始端から伸び
前記ギャップ部は、前記終端方向に進むにつれて前記中心線との離間距離を短調に拡大するような拡大領域を備え、
前記拡大領域は、前記平行領域及び前記階段領域の間と、前記ギャップ部の終端と、に備えられることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
2つのアンテナエレメントが、基板表面を平面的に見た際に、前記中心線を介して相対する位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記中心線によって前記基板の平面上に形成される4つの領域において、
前記中心線を挟んで相対する2つの領域のそれぞれに、前記アンテナエレメントが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナエレメント及び基板は、前記中心線によって前記基板の平面上に形成される4つの領域のうち、前記基板を挟んで対向する2つの領域を貫くような解放窓を備え、
前記解放窓は、前記アンテナエレメントの領域のうち、前記平行領域の終端に接するように前記中心線から降ろした垂線と、前記平行領域によって特定される部分において、
前記アンテナエレメントの縁部にかからないように形成されること、を特徴とする請求項1〜の何れかに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記階段領域における各段の凸部先端は、円弧を描くように配置されていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記階段領域の階段部分は、略直角形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記基板は、柔軟性を備えていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記階段領域には、基板を貫くくり抜きが設けられていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記アンテナエレメント上の非導電部分に、前記くり抜きが設けられていることを特徴とする請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記くり抜きには電子回路基板が備えられ、
前記電子回路基板は、アンテナ装置が受信した信号を受け取り、変換を行って出力することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記中心線との幅方向における前記階段領域の各段の幅は、前記始端側から前記終端側に向かうにしたがって次第に増大することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状となる一対のアンテナエレメントを有するアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送の開始に伴って、車輌や携帯情報端末上などで地上デジタル放送を受信できるアンテナ装置の必要性が高まっている。地上デジタル放送の周波数帯は、UHF帯のうちの470〜870MHzの周波数帯の電波で送信されている。
【0003】
また、携帯情報端末等、モバイル端末の普及・小型化に伴って、複数の周波数を利用することが可能な、広帯域なアンテナ装置の開発が早急の課題となっていた。
【0004】
特許文献1には、同一平面上に、ギャップ部を挟んで向かい合う形で一対のアンテナエレメントが配置され、一方の端部が一定間隔となる平行領域及び他方の端部側の間隔か単調に拡大する拡大領域によってギャップ部が構成されたアンテナ装置に関する技術が記載されている。このアンテナ装置によって、530〜710MHzの周波数帯と、800〜1500MHz帯の携帯電話器の通信をカバーする性能を有するアンテナ装置を提供することが可能となった。
【0005】
また、特許文献1の別の実施例として、前記一対のアンテナエレメントの夫々に、前記拡大領域を形成する端縁から延設された開口部を有するアンテナ装置に関する技術が記載されている。このアンテナ装置によって、4500MHzの周波数帯をVSWR値2以下で提供可能なアンテナ装置を提供することが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−91780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたアンテナ装置は、470〜530MHzの周波数を有効な帯域特性で利用できるものではなく、地上デジタル放送の全チャンネルを十分な帯域特性で受信できるアンテナ装置ではなかった。更に、1500〜4500MHzの周波数帯の電波に関しても有効な帯域特性で利用できるものとは言えなかった。
【0008】
よって、本発明は、地上デジタルテレビ放送の周波数帯である470〜870MHzの周波数及び、種々の通信方式の対応した周波数帯を有効な帯域特性で受信するアンテナ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、基板を2等分する中心線との間にギャップ部を挟んで配置される、複数のアンテナエレメントを備えたアンテナ装置であって、前記ギャップ部は、前記中心線に沿って始端から終端まで延びていて、前記中心線までの幅が一定間隔となる平行領域と、前記中心線との幅を、前記終端方向に進むにつれて階段状に増大させる階段領域とを備え、前記平行領域は前記始端から伸び、前記ギャップ部は、前記終端方向に進むにつれて前記中心線との離間距離を短調に拡大するような拡大領域を備え、前記拡大領域は、前記平行領域及び前記階段領域の間と、前記ギャップ部の終端と、に備えられることを特徴とする。
【0010】
このような構成とすることで、470〜2000MHzの周波数帯において、より深く良好な帯域特性を得ることができる。
更に、その良好な帯域特性のまま、極めて広い帯域の電波を受信することが可能である。
【0011】
また、高い領域の帯域特性、特に2000MHz以上の周波数帯の帯域特性を良好なものとし、より広帯域化されたアンテナ装置を提供することが可能である。
【0012】
本発明の好ましい形態では、2つのアンテナエレメントが、基板表面を平面的に見た際に、前記中心線を介して相対する位置に配置されることを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記中心線によって前記基板の平面上に形成される4つの領域において、前記中心線を挟んで相対する2つの領域のそれぞれに、前記アンテナエレメントが配置されていることを特徴とする。
このような構成とすることで、誘電体基板の誘電率による波長短縮効果で動作周波数を降下させ、UHF帯、特に地上デジタル放送に利用される周波数帯を極めて良好な帯域特性で受信可能なアンテナ装置を提供することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記アンテナエレメント及び基板は、前記中心線によって前記基板の平面上に形成される4つの領域のうち、前記基板を挟んで対向する2つの領域を貫くような解放窓を備え、前記解放窓は、前記アンテナエレメントの領域のうち、前記平行領域の終端に接するように前記中心線から降ろした垂線と、前記平行領域によって特定される部分において、前記アンテナエレメントの縁部にかからないように形成されること、を特徴とする。
このような構成とすることで、帯域特性に変化を与えず、電子回路基板、例えば電子チューナー回路を搭載したアンテナ装置を形成することができる。これにより、携帯情報端末に接続するだけでテレビ放送の視聴を可能とするアンテナ装置を提供することも可能である。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記階段領域における各段の凸部先端は、円弧を描くように配置されていることを特徴とする。
このような構成とすることで、良好な帯域特性を得ることが可能である。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記中心線から前記階段領域の各段までの離間距離は、1〜55mmの範囲であることを特徴とする。
このような構成とすることで、より深く良好な帯域特性を得ることができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記階段領域の各段の高さは、2〜7mmであることを特徴とする。
このような構成とすることで、より反射の少ない平坦で良好な帯域特性を得ることができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記ギャップ部の終端における中心軸からの離間距離は、45〜60mmであることを特徴とする。
このような構成とすることで、より良好な利得を得ることが可能なアンテナ装置を提供することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記基板は、柔軟性を備えていることを特徴とする。
このような構成とすることで、帯域特性に変化を与えず、自在な形状でアンテナ装置を提供することが可能である。例えば、開閉可能な携帯情報端末用のケースなどにアンテナ装置を収容して提供することが可能である。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記ギャップ部の階段領域には、基板を貫くくり抜きが設けられていることを特徴とする。
このような構成とすることで、アンテナ装置を吊設することができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記アンテナエレメント上の非導電部分に、前記くり抜きが設けられていることを特徴とする。
このような構成とすることで、アンテナ装置の周波数特性に大きな影響を与えることなく、くり抜きを備えたアンテナ装置を提供することができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記くり抜きには電子回路基板が備えられ、前記電子回路基板は、アンテナ装置が受信した信号を受け取り、変換を行って出力することを特徴とする。
このような構成とすることで、信号を変換するための電子回路基板が搭載されていないモニターや携帯情報端末などにおいて、該アンテナ装置を接続するだけで、テレビ番組やその他送信物を受信して表示することが可能である。
【0023】
前記中心線との幅方向における前記階段領域の各段の幅は、前記始端側から前記終端側に向かうにしたがって次第に増大することを特徴とする。
このような構成とすることで、より良好な利得を得ることが可能なアンテナ装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、地上波デジタル放送のテレビ周波数帯である470〜870MHzの周波数及び、種々の通信方式の対応した周波数帯を有効な帯域特性で受信するアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態1に係るアンテナ装置を示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係るアンテナ装置を示す拡大図である。
図3】本発明の実施形態1に係るアンテナ装置の電圧定在波比特性を示す図である。
図4】本発明の実施形態2に係るアンテナ装置を示す図である。
図5】本発明の実施形態3に係るアンテナ装置を示す図である。
図6】本発明の実施形態3に係るアンテナ装置を示す拡大図である。
図7】本発明の実施形態4に係るアンテナ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図1ないし図7を参照して説明する。
<実施形態1>
図1〜3を用いて、本発明の実施形態1に係るアンテナ装置1Aについて説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係るアンテナ装置1Aを示す図である。アンテナエレメント21が備えられている面を誘電体基板3の表面、アンテナエレメント21が備えられていない面を誘電体基板3の裏面とする。前記アンテナエレメント21及びアンテナエレメント22は、誘電体基板3の長辺を2等分するような中心線Cから、後述するギャップ部4だけ離間している。
【0027】
また、前記中心線Cによって分断され、前記誘電体基板3の表裏に現れる4つの領域を、D1〜D4とする。誘電体基板3の表面において、前記中心線Cによって隔てられたアンテナエレメント21が配置されている側をD1、表面のもう一方の領域をD2、誘電体基板3裏面において、誘電体基板3を隔ててD1と向かい合う領域をD3、裏面のもう一方の領域をD4とする。
【0028】
図1(a)は表面から見た実施形態1に係るアンテナエレメント1Aを示す。また、図1(b)は裏面から見た前記アンテナエレメント1Aを、図1(c)は図1(a)におけるA−A断面を示す断面図である。
【0029】
アンテナ装置1Aは、アンテナエレメント2と、誘電体基板3と、ギャップ部4と、を備える。符号21は、表面領域D1に配されたアンテナエレメントを示す。もう1つのアンテナエレメント22は、領域D2に配されており、アンテナエレメント21及びアンテナエレメント22は中心線Cを挟んで対向するように、同一平面上(表面上)に配置されている。
【0030】
誘電体基板3は、所定の厚みを有する板状基板であって、平面形状が長方形状に形成されている。本実施形態において、誘電体基板3はガラスエポキシ材によって形成される。セラミック、ガラスコンポジット(セムスリー)、紙フェノール、紙エポキシ、ハロゲンフリーなど、他の誘電体で形成されていても構わない。誘電体基板3は、電荷を蓄積する容量性を備える。誘電体基板3の中心線C方向の寸法及び、中心線Cと直交する線方向の寸法、厚み寸法に特に制限はなく、それら寸法を適宜設計することで周波数帯域幅を調整することができる。本実施形態における誘電体基板3は、長辺の寸法が200mm、短辺の寸法が115mmとなる長方形状基板である。
【0031】
本実施形態において、アンテナエレメント2として、2つのアンテナエレメント21及びアンテナエレメント22がそれぞれ、領域D1及びD2に配置されている。アンテナ装置1Aの表面を図1(a)のように平面的に見た際に、誘電体基板3の同一平面上において中心線Cを介して相対するように、前記アンテナエレメント21及びアンテナエレメント22は配置されている。4つのアンテナエレメントが、中心線Cからギャップ部4を隔てて、D1〜D4の各領域に1つずつ、計4枚備えられていても構わない。アンテナエレメント2は、本実施形態においては銅箔によって形成されているが、金やニッケル、銀等、他の導電性金属によって形成されていても構わない。
【0032】
図2に示すように、ギャップ部4は、アンテナエレメント2及び中心線Cを隔てるように、前記中心線Cに沿って形成される。前記ギャップ部2の始端Sから延びる平行領域41と、階段領域42と、拡大領域43とを備える。本実施形態において終端Eは拡大領域43であるが、階段領域42であっても構わない。ギャップ部4は、終端Eにおいてその離間距離が最大となり、その長さが45〜65mmの範囲であるのが、好適な帯域特性を得るために好ましい。また、ギャップ部4は、1/4波長の共振周波数である前記誘電体基板3の長辺の寸法の1/2と短辺の寸法の和に対して、20〜30パーセントとなる寸法であるのが、好適な帯域特性を得るために好ましい。
【0033】
平行領域41は、ギャップ部4の始端Sを始点として、中心線Cに沿って一定の幅で延びる領域である。前記平行領域41の幅である、中心線Cからの離間距離は、0.25〜1.25mmの範囲となるよう形成されるのが、有効なVSWR値を得るために好ましい。更に好ましくは0.5mm程度で形成するのがよい。また、前記誘電体基板3の短辺方向における平行領域41の寸法は、前記ギャップ部4の始端Sから終端Eまでの寸法に対して、1/2以下であることが広域な帯域特性を得るために好ましい。
【0034】
階段領域42は、ギャップ部4の終端E側に進むにつれて、前記中心線Cからの離間距離を階段状に増大させる領域である。階段領域42における中心線Cからの離間距離は、1〜65mmの範囲内で終端E側に進むにつれ増大していくのが広域な帯域特性を得るために好ましい。また、階段領域42における中心線Cからの離間距離は、1/4波長の共振周波数である前記誘電体基板3の長辺の寸法の1/2と短辺の寸法の和に対して、0.4〜30パーセントの長さで形成されるのがよい。
【0035】
また、前記中心線C方向に沿った各階段部分の高さは、1〜10mm間隔であるのが好ましい。各段の高さは、更に好ましくは2〜7mm程度、最も好ましくは2.5〜5mm程度が、有効な帯域特性を得るために好ましい。また、前記各段の高さは、1/4波長の共振周波数である前記誘電体基板3の長辺の寸法の1/2と短辺の寸法の和の、0.4〜4.6パーセントの高さが好ましく、更に好ましくは0.9〜3.2パーセントの高さで、最も好ましくは1.1〜2.3パーセントの高さで形成される。
【0036】
また、各段の高さを示す辺の始端部分が、前記アンテナエレメント2内に現れる該円弧上に配置されるのが有効な帯域特性を得るために好ましい。前記階段部分は、前記中心線Cに対して略直角となるように形成されている必要はなく、前記中心線Cとの離間距離を短調に拡大するような形状であっても構わない。
【0037】
拡大領域43は、ギャップ部4の終端E側に進むにつれて前記中心線との離間距離を短調に拡大するような領域である。前記拡大領域43は、ギャップ部4の終端Eと、前記平行領域41の終端E及び前記階段領域42の始端を隔てる位置と、に形成されている。ここで短調に拡大とは、終端E側に進むにつれて離間距離が縮小する場合がないことを表す。
【0038】
前記ギャップ部4は、アンテナ装置1に備えられたアンテナエレメント2と同数形成されることとなるが、全てのギャップ部4の始端Sは、中心線Cに沿って同一方向を向いて形成される。
【0039】
符号5は、接続部を示す。接続部5は、アンテナ装置1Aに備えられたアンテナエレメント2と電気的に接続されており、受信した信号を外部に出力する。本実施形態に示すように、2か所から信号の出力を行える様にしてもよい。複数の接続部5を設けることで、アンテナ装置を収容するケースなどの機構に合わせて、より適切な位置に出力用のケーブルを接続することが可能となる。
【0040】
<電圧定在波比(VSWR)特性>
図3は、実施形態1のアンテナ装置1Aの帯域特性を示す図である。図3(a)は、250〜5250MHzの周波数帯におけるVSWR特性を示し、同図のグラフでは横軸に周波数帯を取り、縦軸にVSWR値をとっている。また、図3(b)は、図3(a)の250〜1500MHzの部分を拡大した周波数帯におけるVSWR特性を示す図である。
【0041】
この図から、アンテナ装置1Aでは、490〜4400MHzの周波数帯において、およそVSWR値2以下の極めて有効な帯域特性で受信可能となっている。また、470MHzの周波数に関してはVSWR値2.67の帯域特性を示しており、4400〜5250MHzの周波数帯において、VSWR値3以下の有効な帯域特性で受信することが可能である。
【0042】
<実施形態2>
図4を用いて、本発明の実施形態2に係るアンテナ装置1Bについて説明する。なお、上述した実施形態1と基本的に同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0043】
図4は、本発明の実施形態2に係るアンテナ装置1Bを示す図である。図4(a)は表面から見た実施形態2に係るアンテナエレメント1Bを示す。また、図4(b)は裏面から見た前記アンテナエレメント1Bを、図4(c)は図4(a)におけるB−B断面を示す断面図である。前記アンテナ装置1Aとの相違点は、アンテナエレメント22が領域D4に備えられている点である。即ち、アンテナ装置1Bの表面を図4(a)のように平面的に見た際に、中心線Cを介して相対するように、誘電体基板3の表裏に、アンテナエレメント21及びアンテナエレメント22が1つずつ配置されている。
【0044】
<電圧定在波比(VSWR)特性>
実施形態2のアンテナ装置1Bの帯域特性は、アンテナ装置1Aの帯域特性とおよそ同様の値をとることが実験からわかっている。相違点として、誘電体基板3の表裏の異なる面において、それぞれにアンテナエレメント21及びアンテナエレメント22を配置することにより、誘電体基板3の誘電率による波長短縮効果で動作周波数を降下させ、より低域化されたアンテナ装置を提供することができる点である。誘電体基板3を介することにより、誘電体基板3の誘電率の平方根の逆数倍、波長が短縮される。
【0045】
そのため、アンテナ装置1Bの470MHz近傍において、図2(b)の破線で示すように、より降下した帯域特性を得ることが可能である。そのため、地上デジタル放送に用いられる470〜870MHzの周波数帯を、VSWR値2程度、もしくはそれ以下で受信することができる。また、アンテナ装置1Aと同様に、極めて広い周波数帯の電波を受信することが可能である。
【0046】
<実施形態3>
図5図6を用いて、本発明の実施形態3に係るアンテナ装置1Cについて説明する。なお、上述した実施形態1、実施形態2と基本的に同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0047】
図5は、本発明の実施形態3に係るアンテナ装置1Cを示す図である。図5(a)は表面から見た実施形態3に係るアンテナエレメント1Cを示す。また、図5(b)は裏面から見た前記アンテナエレメント1Cを、図5(c)は図5(a)におけるC−C断面を示す断面図である。前記アンテナ装置1Bとの相違点は、誘電体基板3上に形成される4つの領域の内、前記誘電体基板3を挟んで向かい合う2領域(本実施形態3では、領域D1及びD3)を貫くような解放窓31が備えられている点である。
【0048】
図6に示すように、前記解放窓31は、アンテナエレメント2の領域のうち、平行領域41の終端に接するように前記中心線Cから降ろした垂線Tと、平行領域41と、によって特定される領域内に形成されている。前記解放窓31は、アンテナエレメント2の非導電部分に形成することにより、帯域特性に大きな影響を与えることなく、くり抜きを形成可能であることが実験からわかっている。
【0049】
また、アンテナエレメント2の非導電部分及び、基板上においてアンテナエレメント2の縁から離れた部分には、同様のくり抜きを設けることが可能である。くり抜きを設けることによって、アンテナ装置1Cの軽量化や、アンテナ装置1Cを利用する電子回路の搭載などが可能である。
【0050】
解放窓31を設けることによって、例えば、アンテナ装置1Cで受信した電波を、前記解放窓31にシールドをかぶせて設置したチューナー回路を通して携帯情報端末などに出力させる、チューナー回路付アンテナ装置を構成することができる。これにより、アンテナ装置1Cだけで、チューナー回路を持たないモニターなどにテレビ放送を受信することが可能となる。
【0051】
実施形態3のアンテナ装置1Cは、アンテナ装置1Bの帯域特性比べて遜色ない極めて有効な帯域特性で電波を受信することが可能である。
【0052】
<実施形態4>
図7を用いて、本発明の実施形態4に係るアンテナ装置1Dについて説明する。なお、上述した実施形態1〜3と基本的に同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0053】
図5は、本発明の実施形態4に係るアンテナ装置1Dを示す図である。前記アンテナ装置1Bとの相違点は、誘電体基板3Dが柔軟性を備えている点である。これにより、帯域特性に変化を与えず、自在な形状で収容可能なアンテナ装置を提供することができる。例えば、開閉可能な携帯情報端末用のケースなどにアンテナ装置を収容して提供することが可能である。
【0054】
本実施形態の、誘電体基板3Dは、フレキシブルプリント基板(FPC)によって形成されている。誘電体基板3DをFPCで形成することによって、アンテナ装置1Dを小面積化したり、携帯性を向上することができ、開閉式の携帯情報端末のケース内部や、コンピュータのケース、バッグなどにアンテナ装置1Dを極めて容易に収容することが可能である。
【0055】
実施形態4のアンテナ装置1Dは、アンテナ装置1Bの帯域特性比べて遜色ない極めて有効な帯域特性で電波を受信することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
携帯情報端末やコンピュータに向けて、地上デジタル放送受信アンテナや、複数の通信に対応した兼用アンテナを提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
1、1A、1B、1C、1D アンテナ装置
2、21、22 アンテナエレメント
3、3D 誘電体基板
31 解放窓
4 ギャップ部
41 平行領域
42 階段領域
43 拡大領域
5 接続部
C 中心線
S (ギャップ部4の)始端
E (ギャップ部4の)終端
T 垂線
D1、D2、D3、D4 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7