特許第6245526号(P6245526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245526
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20171204BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01R13/64
   H01R13/639 Z
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-212182(P2014-212182)
(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公開番号】特開2016-81727(P2016-81727A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹児
(72)【発明者】
【氏名】竹田 仁司
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−174983(JP,A)
【文献】 特開2009−4318(JP,A)
【文献】 特開2014−44825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64−13/641
H01R 13/639
H01R 43/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタハウジングが前方から嵌合可能なコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングを取り付け可能な取付部材とを備え、
前記コネクタハウジングは、前記取付部材に対し、後退動作を規制された状態に保持される仮保持位置と、前記相手コネクタハウジングとの正規嵌合後、前記仮保持位置における保持状態が解除されて前記相手コネクタハウジングとともに後退させられる位置で、前記取付部材に保持されず、前記相手コネクタハウジング側の動きに応じて前記相手コネクタハウジングと一体に動作可能な後退位置とに変位可能となっていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記取付部材は、前記仮保持位置にて前記コネクタハウジングを前後方向と直交する方向に変位可能に保持する弾性保持部を有していることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記取付部材は、前記コネクタハウジングが前記相手コネクタハウジングと正規嵌合されるまでの間、前記コネクタハウジングを当て止めして前記コネクタハウジングの後退動作を規制し、前記コネクタハウジングが前記相手コネクタハウジングと正規嵌合されたあとの回転操作によって前記コネクタハウジングとの当て止め状態が解消されるようにした当止壁を有していることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記取付部材は、前方に突出するアーム部を有し、前記アーム部は、前記コネクタハウジングが前記相手コネクタハウジングと正規嵌合されるまでの間、前記コネクタハウジングを当て止めして前記コネクタハウジングの後退動作を規制する当止部と、前記当止部の前方に位置し、前記コネクタハウジングが前記相手コネクタハウジングと正規嵌合されたときに前記相手コネクタハウジングに押圧され、これによって前記アーム部を傾動させて前記当止部と前記コネクタハウジングとの当て止め状態を解除させる解除部とを有していることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パネル隔壁の穴部に取り付けられるプラグコネクタハウジングと、プラグコネクタハウジングに嵌合可能なレセプタクルコネクタハウジングとを備えた自己調心型コネクタが開示されている。プラグコネクタハウジングは、複数の弾性係合部を有している。そして、プラグコネクタハウジングは、パネル隔壁に対し、各弾性係合部を介してレセプタクルコネクタハウジングとの嵌合方向及び嵌合方向と直交する面内で、揺動可能に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−190720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の場合、両コネクタハウジングのうちの一方のコネクタハウジングに対し、この一方のコネクタハウジングを回転させようとする外力が作用すると、各弾性係止部にひねりが加わり、各弾性係止部とパネル隔壁との係止が不用意に外れるおそれがある。仮に、各弾性係止部とパネル隔壁との係止が外れると、プラグコネクタハウジングがパネル隔壁から脱落等し、両コネクタハウジングが正規の嵌合状態に至らないという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、回転動作に対応しつつ正規の嵌合状態に至ることができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、相手コネクタハウジングが前方から嵌合可能なコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングを取り付け可能な取付部材とを備え、前記コネクタハウジングは、前記取付部材に対し、後退動作を規制された状態に保持される仮保持位置と、前記相手コネクタハウジングとの正規嵌合後、前記仮保持位置における保持状態が解除されて前記相手コネクタハウジングとともに後退させられる位置で、前記取付部材に保持されず、前記相手コネクタハウジング側の動きに応じて前記相手コネクタハウジングと一体に動作可能な後退位置とに変位可能となっているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
コネクタハウジングが仮保持位置にて相手コネクタハウジングに嵌合されたときに、取付部材によってコネクタハウジングの後退動作が規制されるため、両コネクタハウジンジングが正規の嵌合状態に至ることを保証することができる。両コネクタハウジングの正規嵌合後は、後退位置に至ったコネクタハウジングが取付部材に保持されずに相手コネクタハウジング側の動きに応じて相手コネクタハウジングと一体に動作可能となるため、仮に、相手コネクタハウジング側が回転すると、それに応じてコネクタハウジングも相手コネクタハウジングとともに回転可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1において、ソレノイドに設けられた相手コネクタハウジングと、コネクタハウジングと、取付部材とが分離している状態を示す斜視図である。
図2】さらに、取付部材に対してコネクタハウジングが仮保持位置に組み付けられた状態を示す斜視図である。
図3】さらに、ソレノイドに設けられた相手コネクタハウジングがコネクタハウジングと正規嵌合された状態を示す斜視図である。
図4図2の状態に対応する側面図である。
図5図3の状態に対応する側面図である。
図6】さらに、取付部材に対してコネクタハウジングが後退位置に至った状態を示す側面図である。
図7】両コネクタハウジングが正規嵌合された状態を相手コネクタハウジング側から見た正面図である。
図8】本発明の実施例2において、ソレノイドに設けられた相手コネクタハウジングと、コネクタハウジングと、取付部材とが分離している状態を示す斜視図である。
図9】さらに、取付部材に対してコネクタハウジングが仮保持位置に組み付けられた状態を示す斜視図である。
図10】さらに、ソレノイドに設けられた相手コネクタハウジングがコネクタハウジングと正規嵌合された状態を示す斜視図である。
図11図9の状態に対応する側面図である。
図12】さらに、押圧部が解除部を押圧してアーム部が持ち上げられ、当止部と干渉部との当て止め状態が解消される直前の状態を示す側面図である。
図13】さらに、取付部材に対してコネクタハウジングが後退位置に至った状態を示す側面図である。
図14】両コネクタハウジングが正規嵌合された状態を相手コネクタハウジング側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい実施形態を以下に示す。
前記取付部材は、前記仮保持位置にて前記コネクタハウジングを前後方向と直交する方向に変位可能に保持する弾性保持部を有している。したがって、仮保持位置では、コネクタハウジングが弾性保持部によって調心されて相手コネクタハウジングと同心状態で嵌合可能となる。
【0010】
前記取付部材は、前記コネクタハウジングが前記相手コネクタハウジングと正規嵌合されるまでの間、前記コネクタハウジングを当て止めして前記コネクタハウジングの後退動作を規制し、前記コネクタハウジングが前記相手コネクタハウジングと正規嵌合されたあとの回転操作によって前記コネクタハウジングとの当て止め状態が解消されるようにした当止壁を有している。コネクタハウジングが仮保持位置にて当止壁に当て止めされた状態で相手コネクタハウジングに正規嵌合され、その後、コネクタハウジングが回転させられることで、コネクタハウジングと当止壁との当て止め状態が解消され、コネクタハウジングの後退位置への変位が可能となるため、回転操作を行う際には、両コネクタハウジングが正規の嵌合状態にあることを確実に保証することができる。
【0011】
前記取付部材は、前方に突出するアーム部を有し、前記アーム部は、前記コネクタハウジングが前記相手コネクタハウジングと正規嵌合されるまでの間、前記コネクタハウジングを当て止めして前記コネクタハウジングの後退動作を規制する当止部と、前記当止部の前方に位置し、前記コネクタハウジングが前記相手コネクタハウジングと正規嵌合されたときに前記相手コネクタハウジングに押圧され、これによって前記アーム部を傾動させて前記当止部と前記コネクタハウジングとの当て止め状態を解除させる解除部とを有している。コネクタハウジングが仮保持位置にて当止部に当て止めされた状態で相手コネクタハウジングに正規嵌合され、それとともに解除部が相手コネクタハウジングに押圧されて、アーム部が傾動されることにより、コネクタハウジングと当止部との当て止め状態が解消され、コネクタハウジングの後退位置への変位が可能となるため、両コネクタハウジングが正規の嵌合状態にあることを保証することができるとともに、コネクタハウジングの仮保持位置から後退位置への変位操作を、両コネクタハウジングの嵌合操作に連動させて円滑に行うことができる。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1を図1図7によって説明する。実施例1に係るコネクタは、詳細は図示しない自動車の制御機器に用いられる調心機能付きコネクタを例示するものであり、互いに嵌合可能なコネクタハウジング10及び相手コネクタハウジング11を備えている。なお、以下の説明において、前後方向については、コネクタハウジング10及び相手コネクタハウジング11(以下、両コネクタハウジング10、11という)が嵌合開始時に互いに向き合う面側を前側とする。また、上下方向は、各図を基準とする。
【0013】
制御機器は、図6に示すように、バルブボディ90を備え、バルブボディ90には、複数のソレノイド80(1つのみ図示)が組み込まれる。コネクタは、各ソレノイド80とそれぞれ対応して設けられ、ソレノイド80側に相手コネクタハウジング11が配置され、バルブボディ90側にコネクタハウジング10が配置される。バルブボディ90にはソレノイド80を組み付けるためのソレノイド組付部91が固定して設けられている。ソレノイド組付部91は、バルブボディ90の上面から略円筒状に突出する形態とされている。
【0014】
図1に示すように、ソレノイド80は円筒状をなし、電磁部81と弁部82とからなる。弁部82は、電磁部81より小径とされ、ソレノイド組付部91に差し込み可能とされている。図6に示すように、弁部82がソレノイド組付部91に正規に差し込まれると、弁部82と電磁部81との境界部分の段差83がソレノイド組付部91の前端面に当接し、その状態で、ソレノイド80がバルブボディ90に対して図示しない固定手段を介して固定されるようになっている。そして、弁部82がソレノイド組付部91に差し込まれることにより、制御回路が構成されるようになっている。
【0015】
図1に示すように、ソレノイド80の電磁部81の外周面には、相手コネクタハウジング11が突設されている。相手コネクタハウジング11は、前方へ向けて開口する筒状のフード部13を有している。フード部13内には、ソレノイド80に接続された図示しないピン状の雄端子金具が突出して配置されている。フード部13の上壁には、ロック孔15が貫通して設けられている。図3に示すように、ロック孔15にコネクタハウジング10の後述するロック部36が弾性的に嵌まり込むことにより、両コネクタハウジング10、11が嵌合状態に保持されるようになっている。
【0016】
バルブボディ90の上面には、図示しない扁平ケース状のハーネス収容部材が取り付けられる。ハーネス収容部材の内部にはコネクタハウジング10から引き出された図示しない電線が配索されるようになっている。そして、ハーネス収容部材には、コネクタの取付部材16が連結されるようになっている。
【0017】
取付部材16は合成樹脂製であって、図1に示すように、左右方向(幅方向)にほぼ水平な平板状のプレート部17と、プレート部17の前端部から立ち上がる縦壁状の立上部18と、立上部18の上端部の左右両側から前方へ片持ち状に突出する一対の第1弾性片19と、立上部18の下端部の左右中央側から前方へ片持ち状に突出する第2弾性片20と、立上部18の左右両側で且つ両第1弾性片19と第2弾性片20との間の位置から前方に張り出す上下方向に沿った板片状の当止壁21とからなる。プレート部17は、孔部22及びボス部23を介して、ハーネス収容部材に取り付けられて固定される。
【0018】
両第1弾性片19及び第2弾性片20は、いずれも左右方向にほぼ一定幅を有する板片状の形態とされている。両第1弾性片19は、図4に示すように、前後方向途中に位置して上方へ側面視山型に湾曲する湾曲部24と、湾曲部24の前端に連なって前方に突出して配置され、図7に示すように、正面視して左右中央側から両側へ向けて下り勾配で傾斜する接触部25を有している。両第1弾性片19の接触部25は、両コネクタハウジング10、11の嵌合時に、ソレノイド80の軸心を中心とする同心円弧の仮想線上に沿うように形成されている。そして、接触部25の下面(内面)には、凸球面状の凸部(図4に示す後述する第2弾性片20の凸部26を参照)が突出して設けられている。
【0019】
第2弾性片20は、全体として前後方向にほぼ水平に延出する長板状をなし、左右方向に関して両第1弾性片19よりも小さい幅寸法を有し、図4に示すように、前後方向に関して両第1弾性片19の前端とほぼ同じ位置にその前端位置を有している。図1に示すように、第2弾性片20の上面(内面)には、両第1弾性片19と同様、凸部26が突出して設けられている。
【0020】
図4に示すように、取付部材16には、両第1弾性片19と第2弾性片20との間で且つ当止壁21の前端よりも前方に、保持空間27が開放して形成されている。保持空間27には、両第1弾性片19及び第2弾性片20に弾性的に支持されるコネクタハウジング10が変位可能に収容されるようになっている。なお、以下においては、両第1弾性片19と第2弾性片20とをまとめて弾性保持部28と呼称する。
【0021】
両当止壁21は、図4に示すように、立上部18の左右両側部に上下方向に沿って連結される基板部29と、基板部29の上下中央部から前方へ突出する突出部30と、突出部30の前端から上下両側に張り出す本体部31とからなる。突出部30と本体部31とは、側面視略T字形に形成されている。また、両当止壁21の突出部30間は、左右方向に延びる図示しない梁部を介して一体に連結されている。
【0022】
両当止壁21は、全体として容易に撓み変形しない剛性を有し、実質的に撓み変形不能とされている。本体部31の前端面は、前後方向に関して、弾性保持部28の各凸部よりも後方で、且つ両第1弾性片19の湾曲部24と前後方向で重なる位置に配置されている。そして、図4に示すように、本体部31の前端面は、上下方向に沿って配置され、保持空間27に収容されたコネクタハウジング10を当て止め可能とされている。
図4に示すように、取付部材16には、本体部31よりも後方に、保持空間27に連通した自由空間32が開放して形成されている。自由空間32には、コネクタハウジング10の後述する係合部37が取付部材16に係合しない自由状態で自在に変位可能に配置されるようになっている。
【0023】
続いて、コネクタハウジング10について説明する。コネクタハウジング10は、図2に示すように、取付部材16に待ち受け状態で保持され、後端部(後述する係合部37及び両翼部40)が、保持空間27に収容される仮保持位置(図2図5を参照)から自由空間32に収容される後退位置(図6を参照)へと変位可能とされている。
【0024】
具体的には、コネクタハウジング10は合成樹脂製であって、図1に示すように、前後方向に細長いブロック状のハウジング本体33を有している。ハウジング本体33の内部には、複数のキャビティ34が設けられている。各キャビティ34には、後方から図示しない雌端子金具が挿入されて収容される。雌端子金具は図示しない電線の端末部に接続され、接続された電線はハウジング本体33の後面から引き出されてハーネス収容部材内に収容されるようになっている。
【0025】
ハウジング本体33の上面には、ロックアーム35が設けられている。ロックアーム35は、ハウジング本体33の上面前端から後方へ片持ち状に延出し、上下方向に撓み変形可能とされている。ロックアーム35の上面には、ロック部36が突出して設けられている。
【0026】
図1に示すように、ハウジング本体33の後端には、その上下両端から後方に突出する一対の係合部37が設けられている。両係合部37は、左右方向に沿った板片状の基部38を有し、実質的に撓み変形不能とされている。図5に示すように、基部38の後部には、内側へ互いに接近するように突出する爪状の当接部39が設けられている。当接部39は、基部38の後端に沿って幅方向に延出するリブ状の形態とされている。当接部39の後端面は、上下方向に沿って配置され、当止壁21の本体部31の前端面に当接可能とされている。
【0027】
図1に示すように、ハウジング本体33の後端側の上端には、左右両側に張り出す一対の翼部40が設けられている。両翼部40は、板片状をなし、左右中央側から両側へ向けて下り勾配で傾斜し、且つ弧状に湾曲して配置されている(図7を参照)。両翼部40の上面(外面)は、両第1弾性片19の接触部25の下面に対し左右方向(周方向を含む)に摺動可能とされ、接触部25の凸部26が嵌合可能な凹球面状の凹部41を有している。この凹部41は、第2弾性片20の凸部26と対応するように、ハウジング本体33の後端部の下面にも設けられている。
【0028】
また、図1に示すように、両翼部40及び基部38は、ロックアーム35の後端部を両側方及び後方から囲むようにして一体に連結されている。両翼部40と基部38との連結部位間には、ロックアーム35の後端との間に、平面視略矩形の挿通孔42が開口して形成されており、ハウジング本体33から引き出された各電線が挿通孔42を通してハーネス収容部材内に誘導されるようになっている。
【0029】
次に、上述のように構成された本実施例1の作用効果を説明する。
図1から図2にかけて示すように、取付部材16の保持空間27に前方からコネクタハウジング10を組み付ける。この場合、コネクタハウジング10は、両係合部37及び両翼部40が両第1弾性片19と第2弾性片20との間を拡開させるように保持空間27に押し入れられて、弾性保持部28に弾性的に保持される。両翼部40が両第1弾性片19の下面に対面して両翼部40の凹部41が両第1弾性片19の凸部26に嵌合し、且つ、ハウジング本体33の凹部41に第2弾性片20の凸部26が嵌合されることにより、コネクタハウジング10が仮保持位置にて弾性保持部28に略位置決めされた状態で3点支持される。また、仮保持位置では、図4に示すように、両係合部37の当接部39の後端面が両当止壁21の本体部31の前端面に当て止めされることにより、コネクタハウジング10が後退位置へ向けて後退するのが防止される。
【0030】
次いで、ソレノイド組付部91にソレノイド80の弁部82を挿入する。このとき、ソレノイド80の弁部82がソレノイド組付部91と正対し、且つ相手コネクタハウジング11のフード部13がコネクタハウジング10のハウジング本体33と正対する位置関係にあれば、フード部13がハウジング本体33を内嵌して両コネクタハウジング10、11が正規嵌合され、雌雄両端子金具が正規の接続状態となる。なお、図5に示すように、両コネクタハウジング10、11が正規嵌合されても、コネクタハウジング10が仮保持位置にあるときには、ソレノイド80は、ソレノイド組付部91に未だ正規挿入された状態に至っていない。
【0031】
また、コネクタハウジング10の嵌合過程の終盤では、雌雄両端金具の接続動作が進行し、ロックアーム35がフード部13との干渉によって撓み変形させられることにより、嵌合抵抗が上昇することとなり、コネクタハウジング10を後退させようとする押し込み力がコネクタハウジング10に作用することになる。その点、本実施例1によれば、両係合部37の当接部39が両当止壁21の本体部31に当て止めされた状態が確実に保たれるため、仮保持位置にあるコネクタハウジング10が相手コネクタハウジング11に半嵌合状態のまま押し込まれて後退させられる等といった事態が回避される。
【0032】
一方、仮に、両コネクタハウジング10、11が互いに正対した状態になく、例えば、ソレノイド80の軸周りに相手コネクタハウジング11が正対位置から周方向(図7のX線方向)に位置ずれした状態にあっても、コネクタハウジング10の前端部が相手コネクタハウジング11のフード部13内に誘い込まれて浅く嵌合されることにより、両第1弾性片19及び第2弾性片20の撓み動作を伴いながら、両翼部40が両第1弾性片19を摺動する等して、コネクタハウジング10が相手コネクタハウジング11との正規の嵌合位置に誘導させられる。したがって、両コネクタハウジング10、11の嵌合開始時の位置ずれが弾性保持部28によって適正に吸収され、両コネクタハウジング10、11が正規嵌合される状態を保証することができる。
【0033】
続いて、ソレノイド組付部91に対してソレノイド80を軸周りに回転させることにより、嵌合状態にある両コネクタハウジング10、11を周方向(図7のX線方向)に変位させる。すると、各凸部が各凹部から抜け出て、両第1弾性片19が撓み変形させられ、それとともに両翼部40が両第2弾性片20を摺動し、且つ、両係合部37の当接部39が両当止壁21の本体部31から離間して当て止め状態が解消される。これにより、嵌合状態にある両コネクタハウジング10、11の後退位置への変位が許容される。
【0034】
次いで、ソレノイド80をソレノイド組付部91に正規の挿入深さで挿入する。すると、図6に示すように、コネクタハウジング10が後退位置に至り、コネクタハウジング10の両係合部37が自由空間32に退避させられる。
【0035】
さらに、ソレノイド組付部91に対してソレノイド80を軸周りに回転させ、ソレノイド80の図示しない固定部(例えば、固定孔等)とバルブボディ90の図示しない固定部(例えば、固定孔なぢ)とを互いに整合させ、且つ、両固定部に固定手段(例えば、両固定孔を貫通するピン部材等)を係止させることにより、バルブボディ90にソレノイド80を固定する。こうしてソレノイド80が軸周りに回転する間、ソレノイド80に設けられた相手コネクタハウジング11がソレノイド80の軸心を中心として周方向に変位させられ、同時に、相手コネクタハウジング11と嵌合状態にあるコネクタハウジング10も周方向に変位させられる。このとき、コネクタハウジング10は、両係合部37における基部38と当接部39との間の空間部44(図6を参照)に、両当止壁21における突出部30と本体部31との側面視略T字形をなす部分が進入して逃がされることにより、両係合部37に両当止壁21が干渉するのが回避され、自由空間32にて相手コネクタハウジング11側の動きに応じて自在に変位することが可能となる。
【0036】
以上説明したように、本実施例1によれば、コネクタハウジング10が仮保持位置にて前方から相手コネクタハウジング11に嵌合されたときに、取付部材16によってコネクタハウジング10の後退動作が規制されるため、両コネクタハウジング10、11が正規の嵌合状態に至ることを保証することができる。とくに本実施例1の場合、コネクタハウジング10が仮保持位置にて当止壁21に当て止めされた状態で相手コネクタハウジング11に正規嵌合され、その後、コネクタハウジング10が回転させられることで、コネクタハウジング10と当止壁21との当て止め状態が解消され、コネクタハウジング10の後退位置への変位が可能となるため、回転操作を行う際には、両コネクタハウジング10、11が正規の嵌合状態にあることを確実に保証することができる。
【0037】
また、両コネクタハウジング10、11の正規嵌合後は、後退位置に至ったコネクタハウジング10が取付部材16に保持されずに相手コネクタハウジング11側の動きに応じて相手コネクタハウジング11と一体に動作可能となるため、ソレノイド80の回転動作に伴って相手コネクタハウジング11側が回転すると、それに応じてコネクタハウジング10も相手コネクタハウジング11とともに回転可能となる。
【0038】
また、取付部材16が仮保持位置にてコネクタハウジング10を左右方向及び周方向に変位可能に保持する弾性保持部28を有しているため、コネクタハウジング10が仮保持位置にて弾性保持部28によって調心されて相手コネクタハウジング11と同心状態で嵌合可能となる。
【0039】
<実施例2>
図8図14は、本発明の実施例2を示す。本実施例2は、コネクタハウジング10Aを後退位置に変位させる構成が実施例1とは異なり、具体的には、相手コネクタハウジング11A、取付部材16Aの前部側及びコネクタハウジング11Aの前部側の各形態が実施例1とは異なる。もっとも、本実施例2の基本的構造は実施例1と同様であるため、実施例1と同様又は相当する構造については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0040】
図8に示すように、相手コネクタハウジング11Aの前端部には、フード部13の前端よりも前方に突出し、且つ上方にも突出する爪状の押圧部46が設けられている。図11に示すように、押圧部46の前面は、後方へテーパ状に傾斜して配置されている。そして、図12に示すように、押圧部46は、両コネクタハウジング10A、11Aの正規嵌合時に取付部材16Aの後述する解除部47を押圧可能とされている。
【0041】
図8に示すように、取付部材16Aは、立上部18の上端の左右中央側から前方へ片持ち状に突出するアーム部48と、立上部18の下端の左右両側からいったん下方へ突出したあと前方に突出する一対の弾性片49とを有している。本実施例2の場合、取付部材16Aには実施例1の当止壁21に相当するものは設けられていない。なお、以下の説明においては、アーム部48と両弾性片49とをまとめて弾性保持部28Aと呼称する。
【0042】
両弾性片49は、正面視して左右方向中央側から両側へ向けて下り勾配で傾斜する形態とされ、詳細には、両コネクタハウジング10A、11Aの嵌合時に、ソレノイド80の軸心を中心とする同心円弧の仮想線上に沿うように形成されている(図14を参照)。両コネクタハウジング10A、11Aの正規嵌合時に、両弾性片49はその下面(外面)がソレノイド80の外周面に沿って配置されるようになっている。図8に示すように、両弾性片49の上面(内面)には、凸球面状の凸部26Aが突出して設けられている。
【0043】
図8及び図11に示すように、アーム部48は、両弾性片49の前端よりも前方にその前端位置を有する帯板状をなし、立上部18の上端を支点として上下方向に撓み変形可能とされている。図11に示すように、アーム部48の前後方向途中には、側面視して下方へ略U字形に凹むような形態の段付き部50が設けられている。段付き部50の下面(内面)には、爪状の当止部51が突出して設けられている。当止部51の前面は、上下方向に沿って配置されている。また、アーム部48の前端の下面には、当止部51よりも前方に、解除部47が突出して設けられている。解除部47の前面は、後方へ曲面状に傾斜して配置されている。
【0044】
図11に示すように、両弾性片49とアーム部48との間で、且つ前後方向に関して当止部51と解除部47との間には、保持空間27Aが開放して形成されている。保持空間27Aには、両弾性片49とアーム部48とに弾性的に支持されたコネクタハウジング10Aが変位可能に収容されるようになっている。
【0045】
また、図11に示すように、両弾性片49とアーム部48との間で、且つ前後方向に関して当止部51と立上部18の前面との間には、保持空間27Aに連通する自由空間32Aが開放して形成されている。自由空間32Aには、コネクタハウジング10Aの後述する係合翼部52が取付部材16Aに係合しない自由状態で自在に変位可能に配置されるようになっている。
【0046】
続いて、コネクタハウジング10Aについて実施例1と相違する点を中心に説明する。図8に示すように、ロックアーム35Aは、ハウジング本体33の前後両端に連結された両持ち梁状に形成されている。ハウジング本体33の後端部にはステージ部53が一段高くして設けられ、このステージ部53に、ロックアーム35Aの後端が一体に連結されている。そして、ステージ部53の上面には、干渉部54が突出して設けられている。図11に示すように、干渉部54の後面は、上下方向に沿って配置されている。コネクタハウジング10Aは、保持空間27Aにて干渉部54の後面が当止部51の前面に当て止めされることにより、後退位置への変位が規制されるようになっている。
【0047】
図8に示すように、ハウジング本体33の後端側には、左右両側面の下端から両側に張り出す一対の係合翼部52が設けられている。両係合翼部52は、板片状をなし、左右両側へ向けて下り勾配で傾斜し、且つ、略弧状に湾曲して配置されている(図14を参照)。両係合翼部52の下面(外面)は、両弾性片49の上面(内面)に対し左右方向(周方向を含む)に摺動可能とされ、両弾性片49の凸部26Aが嵌合可能な図示しない凹球面状の凹部を有している。また、図8に示すように、コネクタハウジング10Aには、係合翼部52からハウジング本体33の側面にかけて正面視略三角形の補強壁55が設けられている。
【0048】
次に、実施例2の作用効果を説明する。
まず、図8から図9にかけて示すように、取付部材16Aの保持空間27Aに前方からコネクタハウジング10Aを組み付ける。この場合、図11に示すように、コネクタハウジング10Aの後端部が保持空間27Aに進入し、干渉部54の後面が当止部51の前面に面当たり状に当接することでコネクタハウジング10Aの後退が規制され、且つ、両係合翼部52の凹部に両弾性片49の凸部26Aが嵌合されることにより、コネクタハウジング10Aが仮保持位置にて弾性保持部28Aに略位置決めされた状態で支持される。ここで、干渉部54と当止部51との当接状態は、両コネクタハウジング10A、11Aが正規嵌合状態となるまで維持されるようになっている。
【0049】
次いで、ソレノイド組付部91にソレノイド80の弁部82を挿入する。図12に示すように、ソレノイド80の弁部82がソレノイド組付部91に挿入される過程で、両コネクタハウジング10A、11Aが正規嵌合されると、それと同時又はその直後に、押圧部46が解除部47の前面を摺動して、アーム部48が上方へ弾性的に持ち上げられる。これにより、当止部51がアーム部48とともに上昇して干渉部54から離間する方向に変位させられ、最終的に当止部51と干渉部54との当て止め状態が解消される。その結果、コネクタハウジング10Aの後退位置への後退が許容される。
【0050】
さらに、ソレノイド組付部91にソレノイド80の弁部82を挿入する作業を、両コネクタハウジング10A、11Aの正規嵌合時に中断することなく引き続き行うことにより、図13に示すように、コネクタハウジング10Aの後部が自由空間32Aに移行させられ、コネクタハウジング10Aが後退位置に至ることができる。自由空間32Aでは、両係合翼部52と両弾性片49との間及び干渉部54と当止部51との間の係止が解除されているため、コネクタハウジング10Aは相手コネクタハウジング11A側の動きに応じて自在に動くことができる。このため、ソレノイド80をバルブボディ90に固定する際に、コネクタハウジング10Aを周方向(図14のX線方向)に変位させることが可能となり、ソレノイド80の固定作業を支障なく行うことが可能となる。この点は、実施例1と同様である。
【0051】
本実施例2によれば、コネクタハウジング10Aの干渉部54が仮保持位置にて当止部51に当て止めされた状態で相手コネクタハウジング11Aに正規嵌合され、それとともに解除部47が相手コネクタハウジング11Aの押圧部46に押圧されて、アーム部48が傾動されることにより、当止部51と干渉部54との当て止め状態が解消され、コネクタハウジング10Aの後退位置への変位が可能となるため、両コネクタハウジング10A、11Aが正規の嵌合状態にあることを保証することができるとともに、コネクタハウジング10Aの仮保持位置から後退位置への変位操作を、両コネクタハウジング10A、11Aの嵌合操作(ソレノイド80の組付操作でもある)に連動させて円滑に行うことができる。
【0052】
<他の実施例>
以下、他の実施例を簡単に説明する。
(1)実施例1、2の場合、コネクタハウジングが弾性保持部によって仮保持位置にて左右方向に変位可能に保持されるようにしていたが、必要がなければ、コネクタハウジングが仮保持位置にて変位規制された状態で保持されるものであってもよい。
(2)実施例1、2の場合、立上部によって自由空間の後方が仕切られていたが、可能であれば、立上部が省略され、自由空間が後方にも開放する形態であってもよい。
(3)実施例1、2の場合、弾性保持部側に凸部が設けられ、コネクタハウジング側に凹部が設けられていたが、これとは逆に、弾性保持部側に凹部が設けられ、コネクタハウジング側に凸部が設けられるようにしてもよい。
(4)本発明は、ソレノイド以外の機器や部品の動作にコネクタハウジングを追従させる場合においても適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10、10A…コネクタハウジング
11、11A…相手コネクタハウジング
16、16A…取付部材
21…当止壁
27、27A…保持空間
28、28A…弾性保持部
32、32A…自由空間
37…係合部
47…解除部
48…アーム部
51…当止部
80…ソレノイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14