(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245539
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ワインのテイスティング前のエアレーション方法及び関連装置
(51)【国際特許分類】
C12G 1/00 20060101AFI20171204BHJP
B01F 3/04 20060101ALI20171204BHJP
A47G 23/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
C12G1/00
B01F3/04 D
A47G23/00 Z
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-507021(P2016-507021)
(86)(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公表番号】特表2016-515830(P2016-515830A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】FR2013050819
(87)【国際公開番号】WO2014170558
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2016年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】515279038
【氏名又は名称】パエトゾル,ミシャエル
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パエトゾル,ミシャエル
【審査官】
野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0219092(US,A1)
【文献】
米国特許第02203229(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第02477308(GB,A)
【文献】
米国特許第02114009(US,A)
【文献】
独国実用新案第9317842(DE,U1)
【文献】
国際公開第2011/141773(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0202757(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0058933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 1/00
A23L 2/00−35/00
C12H 1/00− 1/22
B65D 81/18−81/38
B01F 3/00− 3/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワインのテイスティング前のエアレーション方法であって、前記ワインは栓によって閉じられた頸部を備えるボトル内に収容されており、
前記方法は、栓を抜いた後、前記ワインをテイスティングする前の期間、ある容量の空気と接触させることからなり、
・前記ワインがその特性に応じて開くために必要な空気容量を確保するために、
一方では、前記ボトルの外部と内部間の気体の移動を制限するように、前記ボトルの頸部(22)と協働することができる頭部と呼ばれる第一の部分(20)、及び、もう一方では、そのサイズが頸部(22)の断面積より小さいために、前記頭部(20)の下方の頸部(22)の位置で、前記ボトル内部に導入可能な胴体部と呼ばれる第二の部分(24)を有するエアレータ(18)を、予め備えられたワインの特性からなるエアレータの選定表を用いて選択して、頸部(22)の位置に配置することにより、前記ワイン及び前記空気容量を再度前記ボトルに閉じ込めることによって外部から分離し、
前記胴体部(24)はワインと接触するように前記空気容量に応じた適切な容量を有し、
・前記ボトルの内容物を均質化し、
・そのテイスティング前の所定のエアレーション期間P0’を待つ、
ことからなることを特徴とする方法。
【請求項2】
5ml未満の容量の空気を前記ワインと接触させることかなることを特徴とする請求項1に記載のワインのエアレーション方法。
【請求項3】
前記エアレータ(18)を頸部(22)と接触させたまま前記ボトルを回転させて、頸部(22)が下方に向くようにし、次に頚部(22)を立て直して前記ワインを均質化すること特徴とする請求項1に記載のワインのエアレーション方法。
【請求項4】
一方では、前記ボトルの内部と外部間の気体の移動を制限する、前記ボトルの頸部(22)と協働することができる頭部と呼ばれる第一の部分(20)、及び、もう一方では、そのサイズが頸部(22)の断面積より小さいために、頭部(20)の下方の頸部(22)の位置で、前記ボトル内部に導入可能な胴体部と呼ばれる第二の部分(24)を有する少なくとも一つのエアレータ(18)を備え、前記胴体部(24)は、前記ワインがその特性に応じて開くのに必要な前記空気容量に応じた適切な容量を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のワインのテイスティング前のエアレーション方法を実施するためのワインのエアレーション装置。
【請求項5】
胴体部(24)は前記ワイン内に浸ることによって、前記ワインと接触する空気容量を小さくすることができる、バー(26、32)の形態の延長部を備えることを特徴とする請求項4に記載のワインのエアレーション装置。
【請求項6】
バー(26、32)が取り外しできないことを特徴とする請求項5に記載のワインのエアレーション装置。
【請求項7】
バー(26)が着脱式であることを特徴とする請求項5に記載のワインのエアレーション装置。
【請求項8】
バー(26)は、胴体部(24)に対して突出したバーの長さを調節することができるように、バー(26)と胴体部(24)間の相対移動を可能にする接続によって胴体部(24)に接続されることを特徴とする請求項5に記載のワインのエアレーション装置。
【請求項9】
バー(32)は、胴体部(24)の軸に平行なエッジ(38)を画定することができる少なくとも一つの小面(34)を備えることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載のワインのエアレーション装置。
【請求項10】
バー(32)は、六角形の断面を有することを特徴とする、請求項9に記載のワインのエアレーション装置。
【請求項11】
胴体部(24)は、頭部(20)の近傍に周縁溝(36)を備えることを特徴とする請求項4〜10のいずれか一項に記載のワインのエアレーション装置。
【請求項12】
複数のエアレータ(18)を備え、各々が、一方では、前記ボトルの頸部(22)と協働して、前記ボトルの外部及び内部間の気体の移動を制限することができる頭部と呼ばれる第一の部分(20)、及び、もう一方では、そのサイズが頸部(22)の断面積より小さいため、頭部(20)の下方の頸部(22)の位置で、ボトル内部に導入される胴体部と呼ばれる第二の部分(24)を備え、胴体部(24)はバーの形態の延長部を備え、その長さが各エアレータによって変化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のワインのテイスティング前のエアレーション方法を実施するためのキット。
【請求項13】
テイスティングされるワインの特性、及びボトルが開けられエアレータが頸部(22)の位置に配置された瞬間から数えるテイスティング前の所定のエアレーション期間P0’に使用される、エアレータのリストを記載している表を備えることを特徴とする、請求項12に記載のワインのテイスティング前のエアレーション方法を実施するためのキット。
【請求項14】
前記表は、二つの項目を含み、第一の項目は白または赤ワインの種類に関し、ワインのフラジリティに応じた第二の項目は少なくとも二つの変数を備えることを特徴とする、請求項13に記載のワインのテイスティング前のエアレーション方法を実施するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワインのテイスティングの分野及び、特にワインのテイスティングの前にワインをエアレーションする方法に関するものである。本発明は、また、この方法を実施することができる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイン醸造段階後、ワインは一般的に栓によって閉じられたボトルに貯蔵される。したがって、
図3に図示したように、一定の容量のワイン10及びわずかな容量の空気12をボトル14に閉じ込める。
【0003】
ボトルに入れた後、ワインは極々微量の酸素と接触して、極めてゆっくりと変化するが、その酸素は空気容量12内に含まれ、次に栓16のわずかな気孔によって許可されるガス交換によって提供されるものである。
【0004】
ワインは、その開栓後、周囲空気と接触し、急激にかつ多量の酸素がもたらされる。
【0005】
一般的に、ワインの変化は、その開栓後の経時酸化を示す
図1に図示したような曲線をたどる。
【0006】
第一段階の間、この提供は有益であり、ワインの官能特性が最大源に達するまで改善する。続いて、ワインの官能特性は徐々に劣化する。
【0007】
したがって、段階P0の間を、ワインが開くという。この段階に、テイスティングに好都合な段階P1が続く。テイスティングウィンドウとも呼ばれるこの段階P1を過ぎると、ワインはテイスティングに最適な状態ではなく、徐々にその味覚及び芳香特性を失う。
【0008】
ワインの年齢、種類(赤/白)、フラジリティ及び他の特性に応じて、段階P0及びP1の長さは多少する。したがって、段階P0は約5分から約1〜2時間で変更することができる。テイスティングウィンドウは、一般的に約1分から2時間の短期間である。
【0009】
あるワインの価値を考慮すると、ワインの官能特性を最適化し、それを正しく味わうために、ワインをエアレーションすることからなるこの開く段階を制御することは重要である。
【0010】
ワインをエアレーションするために、解決方法はワインをカラフェに移すことである場合がある。そのように、ワインはボトルの内容量を上回る所定の容量を有するカラフェに移される。したがって、カラフェ内で、ワインはカラフェの容量に応じた所定の容量の空気と接触する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
第一の欠点によると、カラフェでは配慮して供給することが不可能である。大部分の場合、ワインはカラフェ内で多すぎる量の酸素と接触し、確かに極めて急速に段階P1に到達することができるが、また極めて急速に段階P2が開始され、その段階で、ワインの官能特性が徐々に劣化するようになる。したがって、ワインに酸素を供給するためにカラフェを使用するとき、段階P1がかなり短縮されることになり、それは消費者がその段階を把握するための困難が増大することになる。
【0012】
別の欠点によると、カラフェでは、ワインが開くために必要な段階P0の期間もテイスティングウインドウP1も決定することができない。
【0013】
通は、経験によってワインが開くのに必要な段階P0の期間及び最適なテイスティングウィンドウを決定することができる。
【0014】
しかしながら、この経験は獲得するのに時間がかかり、その結果、より経験の少なくい人々がテイスティングに適した期間を測定する必要がある。
【0015】
この経験への代替策は、ワインの変化を確認するために、規則的な間隔でワインをテイスティングすることからなる。しかしながら、この解決方法は、テイスティング段階に到達する前に多くの回数ワインを味わうことが必要になるので、最適ではない。
【0016】
また別の欠点によると、カラフェ内のワインと接触する空気容量は大き過ぎ、ワインの官能特性の劣化を導くことがある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、経験のない人でさえワインのテイスティングを最適化するために実施できるワインのエアレーション方法を提案することによって、従来技術の欠点を解消することを目的とする。
【0018】
このため、本発明は、ワインのテイスティング前のエアレーション方法であって、前記ワインは栓によって閉じられた頸部を備えるボトル内に収容され、前記方法は栓を抜いた後、ワインをテイスティングする前の期間、ある容量の空気と接触させることからなり、ワインがその特性に応じて開くために必要な空気容量を決定し、ワイン及び決定された空気容量を外部から分離するために再度ボトルに閉じ込め、ボトルの内容物を均質化し、そのテイスティングの前の決定された期間P0を待つことからなる方法を目的とする。
【0019】
本発明は、また、一方が、ボトルの頸部と協働して、ボトルの内部及び外部間の気体の移動を制限することができる頭部と呼ばれる第一の部分、及び、もう一方が、そのサイズが頸部の面積より小さく、したがって、頭部の下方の頸部の位置で、ボトル内部に導入される胴体部と呼ばれる第二の部分を有する少なくとも一つのエアレータを備え、前記胴体部はワインがその特性に応じて開くのに必要な空気容量に応じて適した容量を有することを特徴とする方法を実施するための装置を提案する。
【0020】
さらに、本発明は、複数のエアレータを備え、各々が胴体部の位置でその長さが各エアレータによって変化する延長部を備えるキットを提案する。
【0021】
他の特徴及び利点は、単なる例として示した、下記の添付図面を参照して行う、本発明による説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は従来技術のエアレーション方法を使用した、ワインが開いた後の時間に応じたワインの酸化を示す曲線である。
【
図2】
図2は本発明によるエアレーション方法を使用した、ワインが開いた後の時間に応じたワインの酸化を示す曲線である。
【
図3】
図3は栓をしたワインボトルを図示した断面図である。
【
図4】
図4は開栓後の本発明による第一のエアレータを備えるワインボトルの断面図である。
【
図5】
図5は開栓後の本発明による別のエアレータを備えるワインボトルの断面図である。
【
図6】
図6は本発明によるエアレータキットを図示したものである。
【
図7】
図7は栓を抜いたワインに適したエアレータの測定表である。
【
図8】
図8は一実施態様によるエアレータの立面図である。
【
図9A】
図9Aは第一の実施例によるエアレータの横断面図である。
【
図9B】
図9Bは別の実施例によるエアレータの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図3に、栓16によって閉じられた、ある一定の容量のワイン10及び微量の空気12を収容するボトル14を図示した。
【0024】
ボトルの開栓後、ワインが開くためにエアレーションされなければならない。
【0025】
あらゆる種類のワインを同じ容量の空気と接触させ、ワインの特性に応じて変化することがあるワインをテイスティングする期間P0を待つことを提案する従来技術とは反対に、エアレーション方法は、ワインの特性に応じてそのワインに必要な空気容量を決定し、及び、決定した期間P0’を待ち、ボトルを再度閉じて、ワイン及び決定した空気容量を外部から分離し、及び、好ましくは複数回ボトルを回転させて、ボトルの内容物を均質化することからなる。
【0026】
別の側面によると、本発明は、およそ数ミリリットル、5ml未満の微量の空気をワインと接触させることからなる。この点によって、よりゆっくりとしたエアレーションを実現し、したがって、テイスティングウィンドウの期間P1’を増大させることができる。さらに、ワインの変質の危険性を制限する。
【0027】
本発明は、ワインの特性に応じてワインと接触する空気容量を決定することができる表を提案する。
【0028】
誰にでも使用できる単純な方法によると、この表は、二つの項目を含み、第一の項目は白または赤ワインの種類に関し、ワインのフラジリティに応じた第二の項目は少なくとも二つの変数、すなわち、脆弱及びあまり脆弱でない、または、極めて脆弱F
++、脆弱F
+、平均的に脆弱F、あまり脆弱でないF
−及びほとんど脆弱ではないF
−−の複数の変数を含む。
【0029】
脆弱とは、酸化によって開く物質をほとんど含まないワインを意味する。
【0030】
ワインの他の特性、例えば、年齢、色、ブドウ、原産地、タンニン量、価格などの特性は、ワインと接触する空気容量を決定するために使用することができる。
【0031】
本発明によると、ワインが脆弱であればあるほど、ワインと接触する空気容量を減少させる方がいいであろう。したがって、極めて脆弱な赤ワインでは、ワインと接触する空気容量はおよそ数ミリリットル、好ましくは約0.5mlである。さらに、同様なフラジリティでは、赤ワインと接触する空気容量は白ワインと接触する空気容量より大きいであろう。
【0032】
ワインのエアレーション方法を実施するために、本発明は、また、ワインと接触する空気容量を分離させることができるエアレータ18と呼ぶ、少なくとも一つの装置を提案する。
【0033】
そのように、ワインを開けるとすぐに、
図3及び
図4に図示したように、ボトルの頸部の位置にエアレータ18を配置し、それによって、ある一定の容量のワインと接触する空気を分離し、次に、ボトルを回転させて、頸部を下方に向けて配置して、それによって、酸化を改善し、テイスティングウィンドウP1’に到達する。
【0034】
接触する酸素の容量は、ボトルの開栓のときテイスティングのために使用されるワインの量を考量するように調整される。
【0035】
本発明によると、エアレータ18は一方ではボトルの頸部22と協働して、ボトルの外部及び内部間の気体の移動を制限することができる頭部と呼ばれる第一の部分20、及び、もう一方では、サイズが頸部の断面より小さく、したがって、ボトルの内部で、頭部20によって形成されたバリアの下方の頸部の位置まで導入されることができる胴体部と呼ばれる第二の部分24を備える。
【0036】
各エアレータによって胴体部24は異なる容量を有し、したがって、適切なエアレータ18を選択して、ワインと接触する、エアレータによって閉じ込められる空気容量を調節することができる。
【0037】
胴体部24は、ワインの中に伸びることができるバーの形態の延長部を備えることがあり、それによって、ワインと接触する空気容量を減少させる。
【0038】
そのように、ボトルの頸部の位置に一定の長さL1のバー26を有するエアレータ18.1を配置すると、
図4に図示したように、ワインと接触する空気容量V1を閉じ込める。ボトルの頸部の位置にL1より大きい長さL2のバーを有するエアレータ18.2を配置すると、
図5に図示したように、容量V1より小さい空気容量V2を閉じ込め、ワインの位置は
図4より
図5の方がより高い。
【0039】
一実施態様によると、バー26は胴体部に連結されており、取り外しができない。
この場合、キットは
図6に図示したように、複数のエアレータ18.1〜18.6を備え、各々が多少とも長いバー26を有するが、場合によっては、第一のエアレータ18.1はバーを備えていない。
【0040】
別の一実施態様によると、バー26は胴体部24に着脱式に接続される。この場合、キットは単一のエアレータ及びエアレータの胴体部24に固定することができる長さの異なる複数のバーを備えることがある。
【0041】
また別の実施態様によると、胴体部24及びバー26の接続によってバー及び胴体部間の相対運動が可能になり、したがって、胴体部に対して突出したバーの長さを調節することができる。そのため、バーは胴体部内をスライドできるか、または、ねじ止めされており、それによって、その長さ及びワインと接触する分離された空気容量を調節することができる。
【0042】
エアレータを作製するために、様々な材料が考えられる。もちろん、ワインと接触するエアレータ部分はいわゆる「食品用」材料製でなければならない。
【0043】
好ましい一実施態様によると、頭部及び胴体部は一続きに作製され、頭部20を形成する第一の部分が頸部の直径より大きい第一の直径を有し、胴体部24を形成する第二の部分が、ボトルの頸部の直径に調節された、または、わずかに小さい第一の部分の直径より小さい直径を有する円筒形の形態である。
【0044】
そのように、頭部20及び胴体部24は頸部22の端部に対して寄りかかる肩部28によって区画され、それによって、頸部に対するエアレータの正確な配置及びワインと接触する空気容量の完璧な制御を得ることができる。
【0045】
しかしながら、本発明はこの型のエアレータに限定されるものではなく、そのあらゆる変形例をカバーする。例えば、頭部及び胴体部は円錐台形であることがある。
【0046】
一実施態様によると、頸部と接触するエアレータの部分は変形可能な材料製であり、したがって、エアレータ及び頸部間に十分な気密性を確保することができる。一実施態様によると、エアレータは少なくとも頸部と接触するその表面の位置に変形可能なコーティングを備えるか、または、塊として変形可能な材料製である。
【0047】
一実施態様によると、頸部と接触するエアレータの部分はエラストマー製である。
【0048】
美観の点から、頭部20の上にはカバーが載っていることがある。
【0049】
好ましくは、ワインのエアレーション装置はエアレータ18.1〜18.6またはバーのキットを備え、ワインと接触する一定の容量の空気を分離することができる。
【0050】
好ましくは、エアレーション方法の利用を単純にするために、キットはまた
図7に示した表を備え、その表はテイスティングされるワインの特性及びボトルが開けられ、エアレータが頸部の位置に配置された瞬間から数えるテイスティングの前に待つ期間P0’の長さに応じて使用すべきエアレータのリストを記載している。
【0051】
したがって、参照番号I〜IVは、異なる六つのエアレータ18.1〜18.6に対応し、それらが分離することができる空気容量は次第に減少する。
【0052】
頸部に挿入されるエアレータの部分、及び、好ましくはワインに浸かることができる部分は活動部分、すなわち、例えばいくつかの匂いを吸収することができる要素を備えることが好ましい。
【0053】
エアレーションを改良するために、エアレータを配置して、ボトルを回転させて、その頸部が下方を向くようにし、次にボトルを立て直す。このエアレーションの間、ユーザはその指をエアレータに対して押しつけて、頸部に対してエアレータをその位置に保持する。このエアレーションは複数回再生することができる。
【0054】
図8、9A、9B及び10には、鎖線で図示したボトルの頸部22の位置に配置された本発明によるエアレータ18’の一実施態様を図示した。
【0055】
前記のように、このエアレータ18’は頭部20及び胴体部24を備える。
【0056】
頭部20は、円筒形の形態であり、その直径は頸部の内径より大きい。
【0057】
胴体部24は頭部20とほぼ同軸の、多少とも長い、細長い部品であり、その断面は頭部の断面より小さく、頸部内に侵入するのに適している。
【0058】
この頭部20は、下面を備え、そこから胴体部24が延びている。頭部20及び胴体部24間の面積差によって、頸部22の端部に対して寄りかかることができる肩部28を形成する周縁面を区画することができる。この肩部28は可撓性材料でコーティングされていることがあり、それによって、エアレータ18’及び頸部22間により優れた気密性を確保することができる。
【0059】
この実施態様によると、胴体部24は頭部20に接続された上部30及びバーと呼ばれる下部32を備える。
【0060】
上部30は頭部20と同軸の円筒形の形態であり、その直径は頸部22の内径より小さい。
【0061】
バー32の長さlは、エアレータに応じて、多少変化する。図示していない実施例では、バー32の断面は円形である。
【0062】
別の実施例では、バー32は横断面(胴体部24の軸線に垂直)内に多角形の断面を有する。したがって、バー32は周縁に一連の平面または小面34を備える。これらの小面34によって、胴体部24の軸線に平行な辺を区画することができる。より一般的には、胴体部24は胴体部24の軸線に平行な辺38を区画することができる少なくとも一つの小面34を備える。この構成によって、ワインの均質化を最適化することができる。
【0063】
小面34の数は、実施例毎に変更することができる。したがって、
図9Aで図示した実施態様によると、バー32は十二の側面を備え、それによって、十二の小面34を得ることができる。
【0064】
図9Bに図示した別の実施態様によると、バー32は六角形の断面を有し、したがって、六個の小面34を得ることができる。
【0065】
好ましくは、胴体部24は頭部20の近傍に周縁溝36を備える。好ましくは、周縁溝36は上部30及びバー32間に形成される。周縁溝36の底は胴体部24の限界を形成し、部分30及び32より小さい断面を有する。そのように、周縁溝36は、エアレータ18’が頸部22内に導入され、胴体部24がワイン内に浸っているとき、ワインの上の高さの上昇速度を緩和することができる制約を形成する。
【0066】
この構成によって、あふれる危険性を制限することができる。
【符号の説明】
【0067】
18 エアレータ
20 頭部
22 頸部
24 胴体部
26、32 バー
36 周縁溝
38 辺