特許第6245540号(P6245540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245540
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】端末装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20171204BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20171204BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20171204BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   G08G1/09 H
   B60R21/00 628B
   G08B21/00 H
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-2091(P2017-2091)
(22)【出願日】2017年1月10日
(62)【分割の表示】特願2015-173674(P2015-173674)の分割
【原出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2017-123172(P2017-123172A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2017年1月10日
(31)【優先権主張番号】特願2014-69777(P2014-69777)
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】柴田 鉄兵
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−128830(JP,A)
【文献】 特開2008−020950(JP,A)
【文献】 特開2011−009172(JP,A)
【文献】 特開2008−282279(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/007202(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0090085(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60R 21/00
G08B 21/00
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載可能な端末装置であって、
車両と他の車両との間の接近あるいは非接近を仮判定する第1判定部と、
前記第1判定部における仮判定結果を過去にわたって複数集めて、車両と他の車両との間の接近あるいは非接近を判定する第2判定部と、
前記第2判定部の判定結果を運転者に通知する通知部と、
を備え、
前記第2判定部は、(1)過去の判定結果が非接近である場合に、複数の接近の仮判定結果が第1条件を満たすと、判定結果を接近に変更し、(2)過去の判定結果が接近である場合に、複数の非接近の仮判定結果が第2条件を満たすと、判定結果を非接近に変更し、
前記第2判定部において、第1条件が第2条件よりも満たされやすくし、
前記第2判定部は、前記第1判定部における仮判定結果が過去にわたって複数集まらない場合には、仮判定結果を判定結果として前記通知部に出力し、前記第1判定部における仮判定結果が過去にわたって複数集まる場合には、変更後の判定結果を前記通知部に出力することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記第2判定部は、第1条件として、過去の判定結果が非接近である場合に、接近の仮判定結果がN回連続を超えると、判定結果を接近に変更するように設定され、第2条件として、過去の判定結果が接近である場合に、非接近の仮判定結果がM回連続を超えると、判定結果を非接近に変更するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記第2判定部は、第1条件として、過去の判定結果が非接近である場合に、複数の仮判定結果に含まれる接近の割合が第1しきい値より大きくなると、判定結果を接近に変更するように設定され、第2条件として、過去の判定結果が接近である場合に、複数の仮判定結果に含まれる非接近の割合が第2しきい値より大きくなると、判定結果を非接近に変更するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に所定の情報が含まれた信号を受信する端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両間無線通信装置は、走行中の車両相互間で通信して走行状態等の車両の情報を交換する。車両間無線通信装置は、到来した情報信号を受信し、本車両の予測到達地点の近傍に、本車両とほぼ同時に到達すると推定される他の車両の存在を情報信号に基づいて検知し、その検知した他の車両の存在を告知する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−348299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本車両と他の車両の進路が交差するか否かを一定周期で判定する場合、両者の相対的な位置によっては、衝突と非衝突との判定が頻繁に変更される。その結果、運転者への通知内容が頻繁に変更され、運転者への十分な支援が提供されない。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転者への支援を安定させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の端末装置は、車両に搭載可能な端末装置であって、車両と他の車両との間の接近あるいは非接近を仮判定する第1判定部と、第1判定部における仮判定結果を過去にわたって複数集めて、車両と他の車両との間の接近あるいは非接近を判定する第2判定部と、第2判定部の判定結果を運転者に通知する通知部と、を備える。第2判定部は、(1)過去の判定結果が非接近である場合に、複数の接近の仮判定結果が第1条件を満たすと、判定結果を接近に変更し、(2)過去の判定結果が接近である場合に、複数の非接近の仮判定結果が第2条件を満たすと、判定結果を非接近に変更し、第2判定部において、第1条件が第2条件よりも満たされやすくし、第2判定部は、第1判定部における仮判定結果が過去にわたって複数集まらない場合には、仮判定結果を判定結果として通知部に出力し、第1判定部における仮判定結果が過去にわたって複数集まる場合には、変更後の判定結果を通知部に出力する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転者への支援を安定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1に係る通信システムの構成を示す図である。
図2図1の基地局装置の構成を示す図である。
図3図3(a)−(d)は、図1の通信システムにおいて規定されるフレームのフォーマットを示す図である。
図4図1の端末装置の構成を示す図である。
図5図4の第2判定部に記憶される管理リストのデータ構造を示す図である。
図6図6(a)−(b)は、図4の端末装置での仮判定結果、判定結果を示す図である。
図7図4の端末装置による判定手順を示すフローチャートである。
図8図4の端末装置による更新手順を示すフローチャートである。
図9図4の端末装置による別の更新手順を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施例3に係る処理システムの構成を示す図である。
図11】本発明の実施例3に係る処理システムの別の構成を示す図である。
図12】本発明の実施例3に係る処理システムのさらに別の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
本発明の実施例を具体的に説明する前に、基礎となった知見を説明する。本発明の実施例1は、車両に搭載された端末装置間において車車間通信を実行するとともに、交差点等に設置された基地局装置から端末装置へ路車間通信も実行する通信システムに関する。このような通信システムは、ITS(Intelligent Transport Systems)とも呼ばれる。通信システムは、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)と同様に、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能を使用する。そのため、複数の端末装置によって同一の無線チャネルが共有される。一方、ITSでは、不特定多数の端末装置へ情報を送信する必要がある。そのような送信を効率的に実行するために、本通信システムは、パケット信号をブロードキャスト送信する。
【0011】
つまり、車車間通信として、端末装置は、車両の速度あるいは位置等の情報を格納したパケット信号をブロードキャスト送信する。また、他の端末装置は、パケット信号を受信するとともに、前述の情報をもとに車両の接近等を認識する。ここで、路車間通信と車車間通信との干渉を低減するために、基地局装置は、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し規定する。基地局装置は、路車間通信のために、複数のサブフレームのいずれかを選択し、選択したサブフレームの先頭部分の期間において、制御情報等が格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。
【0012】
制御情報には、当該基地局装置がパケット信号をブロードキャスト送信するための期間(以下、「路車送信期間」という)に関する情報が含まれている。端末装置は、制御情報をもとに路車送信期間を特定し、路車送信期間以外の期間(以下、「車車送信期間」という)においてCSMA方式にてパケット信号をブロードキャスト送信する。その結果、路車間通信と車車間通信とが時分割多重される。なお、基地局装置からの制御情報を受信できない端末装置、つまり基地局装置によって形成されたエリアの外に存在する端末装置は、フレームの構成に関係なくCSMA方式にてパケット信号を送信する。
【0013】
端末装置と他の端末装置とのそれぞれが配置される位置によっては、衝突の判定と、非衝突の判定とが頻繁に変更される。運転者にとっては、判定結果が頻繁に変わると、安定した支援を受けられなくなる。これに対応するために、実施例1に係る端末装置は、これまでどおりに、衝突あるいは非衝突を仮判定する。また、端末装置は、それまでの判定結果とは異なった仮の判定結果が複数回連続した場合に、当該仮の判定結果を判定結果に変更する。例えば、判定結果が非衝突であった場合に、衝突の仮の判定結果が複数回連続した場合に、端末装置は、判定結果を衝突に変更する。
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、基地局装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、ネットワーク202を含む。ここでは、第1車両12aのみに示しているが、各車両12には、端末装置14が搭載されている。また、エリア212が、基地局装置10の周囲に形成され、エリア外214が、エリア212の外側に形成されている。
【0015】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、下から上へ向かって進んでいる。
【0016】
通信システム100において、基地局装置10は、交差点に固定して設置される。基地局装置10は、端末装置間の通信を制御する。基地局装置10は、図示しないGPS(Global Positioning System)衛星から受信した信号、あるいは図示しない他の基地局装置10にて形成されたフレームをもとに、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し生成する。ここで、各サブフレームの先頭部分に路車送信期間が設定可能であるような規定がなされている。
【0017】
基地局装置10は、フレーム中の複数のサブフレームのうち、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレームを選択する。基地局装置10は、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。基地局装置10は、設定した路車送信期間においてパケット信号を報知する。路車送信期間において、複数のパケット信号が報知されることもある。また、パケット信号には、例えば、事故情報、渋滞情報、信号情報等が含まれる。なお、パケット信号には、路車送信期間が設定されたタイミングに関する情報およびフレームに関する制御情報も含まれる。
【0018】
端末装置14は、前述のごとく、車両12に搭載され移動可能である。端末装置14は、基地局装置10からのパケット信号を受信すると、エリア212に存在すると推定する。端末装置14は、エリア212に存在する場合、パケット信号に含まれた制御情報、特に路車送信期間が設定されたタイミングに関する情報およびフレームに関する情報をもとに、フレームを生成する。その結果、複数の端末装置14のそれぞれにおいて生成されるフレームは、基地局装置10において生成されるフレームに同期する。端末装置14は、路車送信期間とは異なった期間である車車送信期間においてパケット信号を報知する。ここで、車車送信期間においてCSMA/CAが実行される。一方、端末装置14は、エリア外214に存在していると推定した場合、フレームの構成に関係なく、CSMA/CAを実行することによって、パケット信号を報知する。端末装置14は、他の端末装置14からのパケット信号をもとに、他の端末装置14が搭載された車両12の接近を認識する。当該認識の詳細は後述する。
【0019】
図2は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、処理部26、制御部28、ネットワーク通信部30を含む。また、処理部26は、フレーム規定部32、選択部34、生成部36を含む。
【0020】
RF部22は、受信処理として、図示しない端末装置14あるいは他の基地局装置10からのパケット信号をアンテナ20にて受信する。RF部22は、受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、ベースバンドのパケット信号を変復調部24に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。RF部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0021】
RF部22は、送信処理として、変復調部24から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、路車送信期間において、無線周波数のパケット信号をアンテナ20から送信する。また、RF部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
【0022】
変復調部24は、受信処理として、RF部22からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部24は、復調した結果を処理部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、処理部26からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部24は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部22に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応するので、変復調部24は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
【0023】
フレーム規定部32は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。フレーム規定部32は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム規定部32は、時刻の情報にて示されたタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。なお、フレーム規定部32は、復調結果から制御情報を検出し、検出した制御情報をもとにフレームを生成してもよい。このような処理は、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成することに相当する。
【0024】
図3(a)−(d)は、通信システム100において規定されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。フレームは、第1サブフレームから第Nサブフレームと示されるN個のサブフレームによって形成されている。これは、端末装置14が報知に使用可能なサブフレームを複数時間多重することによってフレームが形成されているといえる。例えば、フレームの長さが100msecであり、Nが8である場合、12.5msecの長さのサブフレームが規定される。Nは、8以外であってもよい。図3(b)−(d)の説明は、後述し、図2に戻る。
【0025】
選択部34は、フレームに含まれた複数のサブフレームのうち、路車送信期間を設定すべきサブフレームを選択する。具体的に説明すると、選択部34は、フレーム規定部32にて規定されたフレームを受けつける。また、選択部34は、図示しないインターフェイスを介して、選択したサブフレームに関する指示を受けつける。選択部34は、指示に対応したサブフレームを選択する。これとは別に、選択部34は、自動的にサブフレームを選択してもよい。その際、選択部34は、RF部22、変復調部24を介して、図示しない他の基地局装置10あるいは端末装置14からの復調結果を入力する。選択部34は、入力した復調結果のうち、他の基地局装置10からの復調結果を抽出する。選択部34は、復調結果を受けつけたサブフレームを特定することによって、復調結果を受けつけていないサブフレームを特定する。
【0026】
これは、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレーム、つまり未使用のサブフレームを特定することに相当する。未使用のサブフレームが複数存在する場合、選択部34は、ランダムにひとつのサブフレームを選択する。未使用のサブフレームが存在しない場合、つまり複数のサブフレームのそれぞれが使用されている場合に、選択部34は、復調結果に対応した受信電力を取得し、受信電力の小さいサブフレームを優先的に選択する。
【0027】
図3(b)は、図示しない第1基地局装置10aによって生成されるフレームの構成を示す。第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第1基地局装置10aは、第1サブフレームにおいて路車送信期間につづいて車車送信期間を設定する。車車送信期間とは、端末装置14がパケット信号を報知可能な期間である。つまり、第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭期間である路車送信期間においてパケット信号を報知可能であり、かつフレームのうち、路車送信期間以外の車車送信期間において端末装置14がパケット信号を報知可能であるような規定がなされる。さらに、第1基地局装置10aは、第2サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間のみを設定する。
【0028】
図3(c)は、図示しない第2基地局装置10bによって生成されるフレームの構成を示す。第2基地局装置10bは、第2サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第2基地局装置10bは、第2サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第3サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。図3(d)は、図示しない第3基地局装置10cによって生成されるフレームの構成を示す。第3基地局装置10cは、第3サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第3基地局装置10cは、第3サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第2サブフレーム、第4サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。このように、複数の基地局装置10は、互いに異なったサブフレームを選択し、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。図2に戻る。選択部34は、選択したサブフレームの番号を生成部36へ出力する。
【0029】
生成部36は、選択部34から、サブフレームの番号を受けつける。生成部36は、受けつけたサブフレーム番号のサブフレームに路車送信期間を設定し、路車送信期間において報知すべきパケット信号を生成する。ひとつの路車送信期間において複数のパケット信号が送信される場合、生成部36は、それらを生成する。パケット信号は、制御情報、ペイロードによって構成されている。制御情報には、路車送信期間を設定したサブフレーム番号等が含まれる。また、ペイロードには、例えば、事故情報、渋滞情報、信号情報等が含まれる。これらのデータは、ネットワーク通信部30によって、図示しないネットワーク202から取得される。処理部26は、変復調部24、RF部22に対して、路車送信期間においてパケット信号をブロードキャスト送信させる。制御部28は、基地局装置10全体の処理を制御する。
【0030】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0031】
図4は、端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含む。処理部56は、タイミング特定部60、転送決定部62、位置情報取得部64、生成部66、第1判定部76、第2判定部78、通知部70を含み、タイミング特定部60は、抽出部72、キャリアセンス部74を含む。端末装置14は、前述のごとく、車両12に搭載可能である。アンテナ50、RF部52、変復調部54は、図2のアンテナ20、RF部22、変復調部24と同様の処理を実行する。ここでは差異を中心に説明する。
【0032】
変復調部54、処理部56は、受信処理において、図示しない他の端末装置14あるいは基地局装置10からのパケット信号を受信する。なお、前述のごとく、変復調部54、処理部56は、路車送信期間において、基地局装置10からのパケット信号を受信し、車車送信期間において、他の端末装置14からのパケット信号を受信する。他の端末装置14からのパケット信号には、当該他の端末装置14が搭載される他の車両12の存在位置、進行方向、移動速度等(以下、「位置情報」と総称する)が少なくとも含まれる。他の端末装置14における位置情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0033】
抽出部72は、変復調部54からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケット信号である場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。その際、抽出部72は、図1のエリア212内に存在すると推定する。抽出部72は、サブフレームのタイミングと、パケット信号のメッセージヘッダの内容、具体的には、路車送信期間長の内容をもとに、フレームを生成する。なお、フレームの生成は、前述のフレーム規定部32と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。その結果、抽出部72は、基地局装置10において形成されたフレームに同期したフレームを生成する。パケット信号の報知元が、他の端末装置14である場合、抽出部72は、同期したフレームの生成処理を省略するが、パケット信号に含まれた位置情報を抽出し、位置情報を第1判定部76へ出力する。
【0034】
一方、抽出部72は、基地局装置10からのパケット信号を受信していない場合、図1のエリア外214に存在すると推定する。抽出部72は、エリア212に存在していることを推定した場合、車車送信期間を選択する。抽出部72は、エリア外214に存在していることを推定すると、フレームの構成と無関係のタイミングを選択する。抽出部72は、車車送信期間を選択した場合、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報をキャリアセンス部74へ出力する。抽出部72は、フレームの構成と無関係のタイミングを選択すると、キャリアセンスの実行をキャリアセンス部74に指示する。
【0035】
キャリアセンス部74は、抽出部72から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつける。キャリアセンス部74は、車車送信期間内でCSMA/CAを開始することによって送信タイミングを決定する。一方、キャリアセンス部74は、抽出部72から、フレームの構成に関係のないキャリアセンスの実行を指示された場合、フレームの構成を考慮せずに、CSMA/CAを実行することによって、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部74は、決定した送信タイミングを変復調部54、RF部52へ通知し、パケット信号をブロードキャスト送信させる。
【0036】
転送決定部62は、制御情報の転送を制御する。転送決定部62は、制御情報のうち、転送対象となる情報を抽出する。転送決定部62は、抽出した情報をもとに、転送すべき情報を生成する。ここでは、この処理の説明を省略する。転送決定部62は、転送すべき情報、つまり制御情報のうちの一部を生成部66に出力する。
【0037】
位置情報取得部64は、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、図示しない車両12、つまり端末装置14が搭載された車両12の存在位置、進行方向、移動速度等(前述のごとく、「位置情報」と総称する)を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。位置情報取得部64は、位置情報を生成部66、第1判定部76へ出力する。
【0038】
生成部66は、位置情報取得部64から位置情報を受けつけ、転送決定部62から制御情報の一部を受けつける。生成部66は、これらが含まれたパケット信号を生成するとともに、キャリアセンス部74において決定した送信タイミングにて、変復調部54、RF部52、アンテナ50を介して、生成したパケット信号をブロードキャスト送信する。これは、車車間通信に相当する。
【0039】
第1判定部76は、位置情報取得部64からの位置情報を入力するとともに、抽出部72からの位置情報を入力する。前者が他の車両12の位置情報に相当し、後者が本車両12の位置情報に相当する。第1判定部76は、本車両12の位置情報と、他の車両12の位置情報とをもとに、本車両12と他の車両12との間の衝突あるいは非衝突を仮判定する。衝突あるいは非衝突の仮判定には、公知の技術が使用されればよい。例えば、本車両12の現在の存在位置から、進行方向と移動速度を考慮して、将来の存在位置が推定されるとともに、他の車両12の現在の存在位置から、進行方向と移動速度を考慮して、将来の存在位置が推定される。第1判定部76は、両者の将来の存在位置が近接する場合、衝突と仮判定し、それ以外の場合、非衝突と仮判定する。近接は、両者の将来の存在位置がしきい値よりも近づく場合に相当し、非近接は、それ以外の場合に相当する。このような仮判定は、定期的、例えば、フレーム周期の100msec間隔でなされる。第1判定部76は、仮判定結果を第2判定部78へ出力する。
【0040】
第2判定部78は、第1判定部76からの仮判定結果を入力する。第2判定部78は、仮判定結果を過去にわたって複数集めて、車両12と他の車両12との間の衝突あるいは非衝突を判定する。具体的に説明すると、第2判定部78は、過去の判定結果が「非衝突」である場合に、衝突の仮判定結果がN回連続を超えると、判定結果を「衝突」に変更する。一方、第2判定部78は、過去の判定結果が「衝突」である場合に、非衝突の仮判定結果がM回連続を超えると、判定結果を「非衝突」に変更する。ここで、「N」は、「M」よりも小さいとする。例えば、N=3、M=4である。これは、フェールセーフの観点で、衝突(=支援が発生)と判定されやすいようにするためである。
【0041】
このような判定を実行するに当たって、第2判定部78は、仮判定結果をテーブル(以下、「管理リスト」という)にまとめる。つまり、第2判定部78は、仮判定結果を入力すると、管理リストを更新する。更新リストが前述の条件を満たした場合に、第2判定部78は、判定結果を変更する。
【0042】
図5は、第2判定部78に記憶される管理リストのデータ構造を示す。「ID」は、他の車両12を識別するための識別番号を示し、「更新フラグ」は、100msec間隔での更新がなされたか否かを示す。「瞬時判定結果」は、第1判定部76における最新の仮判定結果を示し、「衝突」あるいは「非衝突」となる。また、「衝突判定連続数」は、衝突の仮判定結果が連続した回数を示し、「非衝突判定連続数」は、非衝突の仮判定結果が連続した回数を示し、「安定化後判定結果」は、判定結果を示す。
【0043】
図6(a)−(b)は、端末装置14での仮判定結果、判定結果を示す。特に、図6(a)は、第1判定部76での仮判定結果を示す。図6(b)は、N=3、M=4とした場合の第2判定部78での判定結果を示す。図4に戻る。第2判定部78は、判定結果を通知部70に出力する。
【0044】
通知部70は、図示しないディスプレイなどに、受信したパケット信号の内容を表示する。通知部70は、第2判定部78からの判定結果を入力する。通知部70は、モニタあるいはスピーカを介して、判定結果を運転者に通知する。さらに、通知部70は、基地局装置10からのパケット信号に含まれた情報も運転者へモニタやスピーカを介して通知する。
【0045】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図7は、端末装置14による判定手順を示すフローチャートである。位置情報取得部64は、自車情報(位置・速度・進行方向)を取得し(S10)、抽出部72は、他車情報(位置・速度・進行方向)を取得する(S12)。第1判定部76は、衝突仮判定を実行する(S14)。第2判定部78は、管理リストに当該車両の情報が存在している場合(S16のY)、管理リストの当該車両の情報を更新する(S18)。一方、第2判定部78は、管理リストに当該車両の情報が存在していない場合(S16のN)、管理リストに車両の情報を追加する(S20)。これは、判定結果に衝突仮判定結果を入れ、衝突仮判定連続数に「0」を入れ、非衝突仮判定連続数に「0」を入れ、安定化後判定結果に衝突仮判定結果を入れ、更新フラグに「済」を登録することに相当する。さらに、第2判定部78は、管理リストにあるが、パケット信号を受信していない車両の情報を更新する(S22)。第2判定部78は、管理リストの全更新フラグを「未」に更新する(S26)。処理続行であれば(S26のY)、ステップ10に戻る。処理続行でなければ(S26のN)、処理は終了される。
【0046】
図8は、端末装置14による更新手順を示すフローチャートである。これは、図7のステップ18の処理に相当する。衝突仮判定結果が安定化後判定結果である場合(S50のY)、第2判定部78は、判定結果に衝突仮判定結果を入れ、更新フラグを「済」に変更するように、管理リストを更新する(S52)。安定化後判定結果は、これまでの判定結果に相当する。衝突仮判定結果が安定化後判定結果でない場合(S50のN)、衝突仮判定結果が衝突であり(S54のY)、衝突仮判定連続数+1>Nであれば(S56のY)、第2判定部78は、管理リストを更新する(S58)。具体的に説明すると、第2判定部78は、衝突仮判定連続数を「0」にし、非衝突仮判定連続数を「0」にし、安定化後判定結果を「衝突」にし、更新フラグを「済」に変更する。衝突仮判定連続数+1>Nでなければ(S56のN)、第2判定部78は、衝突仮判定連続数に1を加算し、更新フラグを「済」に変更するように、管理リストを更新する(S60)。
【0047】
衝突仮判定結果が衝突でない場合(S54のN)、非衝突仮判定連続数+1>Mであれば(S62のY)、第2判定部78は、管理リストを更新する(S64)。具体的に説明すると、第2判定部78は、衝突仮判定連続数を「0」にし、非衝突仮判定連続数を「0」にし、安定化後判定結果を「非衝突」にし、更新フラグを「済」に変更する。非衝突仮判定連続数+1>Mでなければ(S62のN)、第2判定部78は、非衝突仮判定連続数に1を加算し、更新フラグを「済」に変更するように、管理リストを更新する(S66)。
【0048】
図9は、端末装置14による別の更新手順を示すフローチャートである。これは、図7のステップ22の処理に相当する。安定化後判定結果が衝突である場合(S80のY)、非衝突仮判定連続数+1>Mであれば(S82のY)、第2判定部78は、管理リストを更新する(S84)。具体的に説明すると、第2判定部78は、衝突仮判定連続数を「0」にし、非衝突仮判定連続数を「0」にし、安定化後判定結果を「非衝突」にし、更新フラグを「済」に変更する。非衝突仮判定連続数+1>Mでなければ(S82のN)、第2判定部78は、非衝突仮判定連続数に1を加算し、更新フラグを「済」に変更するように、管理リストを更新する(S86)。安定化後判定結果が衝突でない場合(S80のN)、第2判定部78は、当該データを削除するように、管理リストを更新する(S88)。
【0049】
本発明の実施例によれば、複数の仮判定結果が連続して同一である場合に、判定結果を変更するので、判定結果が頻繁に変更される状況を回避できる。また、判定結果が頻繁に変更される状況が回避されるので、運転者への支援を安定させることができる。また、MよりもNを小さくするので、誤って非衝突と判定される状況の発生を抑制できる。また、誤って非衝突と判定される状況の発生が抑制されるので、車両の衝突事故の発生を抑制できる。
【0050】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例2も、実施例1と同様に、他の端末装置から受信したパケット信号をもとに、当該他の端末装置が搭載された他の車両との衝突あるいは非衝突を判定する端末装置に関する。実施例1に係る端末装置は、同一の仮の判定結果が連続した場合に、当該仮の判定結果を判定結果としている。一方、実施例2に係る端末装置は、所定回数に含まれる仮の判定結果の割合がしきい値よりも大きくなると、当該仮の判定結果を判定結果とする。実施例2に係る通信システム100は、図1と同様のタイプであり、実施例2に係る基地局装置10は、図2と同様のタイプであり、実施例2に係る端末装置14は、図4と同様のタイプであり、ここでは差異を中心に説明する。
【0051】
図4において、第2判定部78は、第1判定部76からの仮判定結果を入力する。第2判定部78は、実施例1と同様に、仮判定結果を過去にわたって複数集めて、車両12と他の車両12との間の衝突あるいは非衝突を判定する。具体的に説明すると、第2判定部78は、過去の判定結果が「非衝突」である場合に、複数の仮判定結果に含まれる衝突の割合が第1しきい値より大きくなると、判定結果を「衝突」に変更する。ここで、複数の仮判定結果は、直近の所定回数の仮判定結果である。所定回数は、例えば、「10」のように設定される。一方、第2判定部78は、過去の判定結果が「衝突」である場合に、複数の仮判定結果に含まれる非衝突の割合が第2しきい値より大きくなると、判定結果を「非衝突」に変更する。ここで、第1しきい値は第2しきい値よりも小さくされる。
【0052】
本発明の実施例によれば、所定回数に含まれる同一の仮判定結果の割合が高い場合に判定結果を変更するので、判定結果が頻繁に変更される状況を回避できる。また、第2しきい値よりも第1しきい値を小さくするので、誤って非衝突と判定される状況の発生を抑制できる。
【0053】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3を説明する。実施例3も、実施例1および2と同様に、他の端末装置からのパケット信号を受信する端末装置に関する。実施例1および2では、端末装置が、他の端末装置が搭載された他の車両との衝突あるいは非衝突を判定し、それを通知している。一方、実施例3では、端末装置の外部に備えられた処理装置がこれらの機能を実行する。実施例3に係る通信システム100は、図1と同様のタイプであり、実施例3に係る基地局装置10は、図2と同様のタイプであり、ここでは差異を中心に説明する。
【0054】
図10は、本発明の実施例3に係る処理システム300の構成を示す。処理システム300は、端末装置14、処理装置310を含む。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含み、処理部56は、出力部320を含む。処理装置310は、取得部330、第2判定部78、通知部70を含み、取得部330は、入力部332、第1判定部76を含む。
【0055】
端末装置14と処理装置310との間は、有線ケーブル、無線通信等によって接続される。これらの接続には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。端末装置14は、図4の端末装置14と比較して、第1判定部76、第2判定部78、通知部70を含まない。処理部56には、出力部320が含まれる。出力部320は、抽出部72によって抽出された情報、例えば、パケット信号に含まれた位置情報を処理装置310に出力する。また、出力部320は、車両12の位置情報も処理装置310に出力する。
【0056】
処理装置310は、カーナビゲーション装置等の車載装置であり、車両12に搭載される。入力部332は、出力部320からの情報を受けつけ、受けつけた情報を第1判定部76に出力する。このような第1判定部76は、仮判定部ともいえる。第1判定部76、第2判定部78、通知部70での処理内容はこれまでと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0057】
図11は、本発明の実施例3に係る処理システム300の別の構成を示す。処理システム300は、端末装置14、処理装置310を含む。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含み、処理部56は、第1判定部76、出力部320を含む。処理装置310は、取得部330、第2判定部78、通知部70を含む。
【0058】
端末装置14は、図4の端末装置14と比較して、第2判定部78、通知部70を含まない。処理部56には、第1判定部76、出力部320が含まれる。第1判定部76は、これまでどおりに仮判定を実行し、仮判定結果を出力部320に出力する。出力部320は、仮判定結果を処理装置310に出力する。取得部330は、出力部320からの仮判定結果を受けつけ、仮判定結果を第2判定部78に出力する。第2判定部78、通知部70での処理内容はこれまでと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0059】
図12は、本発明の実施例3に係る処理システム300のさらに別の構成を示す。処理システム300は、端末装置14、処理装置310を含む。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含み、処理部56は、第1判定部76、第2判定部78、出力部320を含む。処理装置310は、通知部70を含む。
【0060】
端末装置14は、図4の端末装置14と比較して、通知部70を含まない。処理部56には、第1判定部76、第2判定部78、出力部320が含まれる。第1判定部76、第2判定部78は、これまでどおりに処理を実行し、判定結果を出力部320に出力する。出力部320は、判定結果を処理装置310に出力する。通知部70は、出力部320からの判定結果を受けつけ、これまでと同様に通知を実行する。
【0061】
本発明の実施例によれば、第1判定部、第2判定部、通知部を外部の処理装置に設けるので、端末装置の構成を簡易にできる。また、第2判定部、通知部を外部の処理装置に設けるので、端末装置の構成を簡易にできる。また、通知部を外部の処理装置に設けるので、構成の自由度を向上できる。
【0062】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0063】
本発明の実施例1、3において、非衝突の判定結果を衝突の判定結果に変更するためのしきい値がNとして規定される。ここで、N=1とされてもよい。本変形例によれば、衝突を早急に通知できる。
【0064】
本発明の実施例1乃至3において、第2判定部78は、複数の仮判定結果をもとに、判定結果を決定している。しかしながらこれに限らず例えば、処理の開始時において複数の仮判定結果が収集されていない場合に、第2判定部78は、仮判定結果をそのまま判定結果として出力してもよい。本変形例によれば、判定結果を早期に出力できる。
【0065】
本発明の実施例1乃至3において、通信システム100は、出会い頭衝突防止支援システムに使用されている。しかしながらこれに限らず例えば、通信システム100は、サービスイン・アウト判定、緊急車両通過支援における経路上判定に使用されてもよい。本変形例によれば、通信システム100の適用範囲を拡大できる。
【0066】
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様の無線装置は、車両に搭載可能な無線装置であって、他の無線装置からのパケット信号であって、かつ当該他の無線装置が搭載される他の車両の位置情報を少なくとも含んだパケット信号を受信する受信部と、本無線装置が搭載される車両の位置情報を取得する取得部と、取得部において取得した位置情報と、受信部において受信したパケット信号に含まれた位置情報とをもとに、車両と他の車両との間の衝突あるいは非衝突を仮判定する第1判定部と、第1判定部における仮判定結果を過去にわたって複数集めて、車両と他の車両との間の衝突あるいは非衝突を判定する第2判定部と、を備える。
【0067】
この態様によると、複数の仮判定結果をもとに判定するので、運転者への支援を安定させることができる。
【0068】
第2判定部は、(1)過去の判定結果が非衝突である場合に、衝突の仮判定結果がN回連続を超えると、判定結果を衝突に変更し、(2)過去の判定結果が衝突である場合に、非衝突の仮判定結果がM回連続を超えると、判定結果を非衝突に変更し、第2判定部におけるNは、Mよりも小さい。この場合、MよりもNを小さくするので、誤って非衝突と判定される状況の発生を抑制できる。
【0069】
第2判定部は、(1)過去の判定結果が非衝突である場合に、複数の仮判定結果に含まれる衝突の割合が第1しきい値より大きくなると、判定結果を衝突に変更し、(2)過去の判定結果が衝突である場合に、複数の仮判定結果に含まれる非衝突の割合が第2しきい値より大きくなると、判定結果を非衝突に変更し、第2判定部における第1しきい値は、第2しきい値よりも小さい。この場合、第2しきい値よりも第1しきい値を小さくするので、誤って非衝突と判定される状況の発生を抑制できる。
【0070】
本発明の別の態様は、処理装置である。この処理装置は、車両に搭載可能な無線装置において受信した他の無線装置からのパケット信号であって、かつ当該他の無線装置が搭載される他の車両の位置情報を少なくとも含んだパケット信号に含まれた位置情報と、本無線装置が搭載される車両の位置情報とをもとになされた車両と他の車両との間の衝突あるいは非衝突の仮判定結果を取得する取得部と、取得部において取得した仮判定結果を過去にわたって複数集めて、車両と他の車両との間の衝突あるいは非衝突を判定する判定部と、を備える。
【0071】
この態様によると、複数の仮判定結果をもとに判定するので、運転者への支援を安定させることができる。
【0072】
取得部は、車両に搭載可能な無線装置において受信した他の無線装置からのパケット信号であって、かつ当該他の無線装置が搭載される他の車両の位置情報を少なくとも含んだパケット信号に含まれた位置情報と、本無線装置が搭載される車両の位置情報とを入力する入力部と、パケット信号に含まれた位置情報と、本無線装置が搭載される車両の位置情報とをもとに、車両と他の車両との間の衝突あるいは非衝突を仮判定する仮判定部と、を備えてもよい。この場合、仮判定も実行するので、無線装置の処理を簡易にできる。
【0073】
判定部は、(1)過去の判定結果が非衝突である場合に、衝突の仮判定結果がN回連続を超えると、判定結果を衝突に変更し、(2)過去の判定結果が衝突である場合に、非衝突の仮判定結果がM回連続を超えると、判定結果を非衝突に変更し、第2判定部におけるNは、Mよりも小さい。この場合、MよりもNを小さくするので、誤って非衝突と判定される状況の発生を抑制できる。
【0074】
判定部は、(1)過去の判定結果が非衝突である場合に、複数の仮判定結果に含まれる衝突の割合が第1しきい値より大きくなると、判定結果を衝突に変更し、(2)過去の判定結果が衝突である場合に、複数の仮判定結果に含まれる非衝突の割合が第2しきい値より大きくなると、判定結果を非衝突に変更し、第2判定部における第1しきい値は、第2しきい値よりも小さい。この場合、第2しきい値よりも第1しきい値を小さくするので、誤って非衝突と判定される状況の発生を抑制できる。
【0075】
本発明のさらに別の態様は、処理システムである。この処理システムは、車両に搭載可能な無線装置と、無線装置に接続された処理装置とを備える。無線装置は、他の無線装置からのパケット信号であって、かつ当該他の無線装置が搭載される他の車両の位置情報を少なくとも含んだパケット信号を受信する受信部と、本無線装置が搭載される車両の位置情報を取得する取得部とを備える。無線装置あるいは処理装置は、取得部において取得した位置情報と、受信部において受信したパケット信号に含まれた位置情報とをもとに、車両と他の車両との間の衝突あるいは非衝突を仮判定する第1判定部とを備える。処理装置は、第1判定部における仮判定結果を過去にわたって複数集めて、車両と他の車両との間の衝突あるいは非衝突を判定する第2判定部とを備える。
【0076】
この態様によると、複数の仮判定結果をもとに判定するので、運転者への支援を安定させることができる。
【0077】
第2判定部は、(1)過去の判定結果が非衝突である場合に、衝突の仮判定結果がN回連続を超えると、判定結果を衝突に変更し、(2)過去の判定結果が衝突である場合に、非衝突の仮判定結果がM回連続を超えると、判定結果を非衝突に変更し、第2判定部におけるNは、Mよりも小さい。この場合、MよりもNを小さくするので、誤って非衝突と判定される状況の発生を抑制できる。
【0078】
第2判定部は、(1)過去の判定結果が非衝突である場合に、複数の仮判定結果に含まれる衝突の割合が第1しきい値より大きくなると、判定結果を衝突に変更し、(2)過去の判定結果が衝突である場合に、複数の仮判定結果に含まれる非衝突の割合が第2しきい値より大きくなると、判定結果を非衝突に変更し、第2判定部における第1しきい値は、第2しきい値よりも小さい。この場合、第2しきい値よりも第1しきい値を小さくするので、誤って非衝突と判定される状況の発生を抑制できる。
【符号の説明】
【0079】
10 基地局装置、 12 車両、 14 端末装置、 20 アンテナ、 22 RF部、 24 変復調部、 26 処理部、 28 制御部、 30 ネットワーク通信部、 32 フレーム規定部、 34 選択部、 36 生成部、 50 アンテナ、 52 RF部、 54 変復調部、 56 処理部、 58 制御部、 60 タイミング特定部、 62 転送決定部、 64 位置情報取得部、 66 生成部、 70 通知部、 72 抽出部、 74 キャリアセンス部、 76 第1判定部、 78 第2判定部、 100 通信システム、 202 ネットワーク、 212 エリア、 214 エリア外。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12