(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記進行制御手段は、伸縮ユニットを収縮させるときには、前記切替弁に供給された空気を、最大の圧力で前記気室に供給するように切替弁を制御し、前記伸縮ユニットの収縮状態を維持するときには、前記圧力よりも低い圧力で前記気室に空気を供給するように切替弁を制御する請求項1乃至請求項3いずれか記載の管体内探査装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、各図に基づき説明する。
図1は、管体1の内部の状態を探査する管体内探査装置10の概略構成図である。なお、以下の説明においては、矢印X1に沿う方向を管体内探査装置10の進行方向とし、この進行方向に沿って前側、逆を後側としてその前後方向を特定する。同図に示すように、管体内探査装置10は、当該管体内探査装置10の前端側に設けられた後述する探査ユニット11と、探査ユニット11を管体1内に沿って移動させる管体内移動体13と、管体内移動体13の駆動源となる流体としての圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段16と、管体内移動体13の進行動作を制御する進行制御手段17とを主たる構成として備える。
【0010】
同図に示すように、探査ユニット11は、前面が平坦状、外周が球状に形成された本体部11Aに収容され、本体部11Aの前端部において撮影方向を前方に向けて配置される撮像手段11M及び照明手段11Nを備え、照明手段11Nより照射される光によって管体1の内部を照らし、撮像手段11Mによって管体1の内部(管路内)を撮像する。撮像手段11M及び照明手段11Nには、可撓性を有するケーブル12が接続される。本体部11Aには、後述のユニット連結体35と連結するための図示しない連結部を備える。
【0011】
ケーブル12は、一端側が撮像手段11M及び照明手段11Nと接続され、他端側が後述の管体内移動体13の内部に設けられた制御部17Aに接続される。撮像手段11M及び照明手段11Nには、制御部17Aを介して管体1の外部より電源が供給されるとともに、撮像手段11Mで受光して得られた画像が管体1の外部に設置されたモニタ等の表示手段18に出力される。
【0012】
管体内移動体13は、駆動力を発生させる複数の伸縮ユニット20と、伸縮ユニット20と探査ユニット11との連結や伸縮ユニット20同士を連結するためのユニット連結体35とを備える。なお、本実施形態では、探査ユニット11及び4個の伸縮ユニット20が、ユニット連結体35を介してそれぞれ連結されて管体内移動体13を構成するものとして説明する。本実施例では、探査ユニット11と伸縮ユニット20とをユニット連結体35を介して連結し、伸縮ユニット20とユニット連結体35とを交互に連結する。また、以下の説明において伸縮ユニット20の位置を特定する場合には、前側から後側に向かって順に、伸縮ユニット20A、伸縮ユニット20B、伸縮ユニット20C、伸縮ユニット20D等として示す。
【0013】
図2は、伸縮ユニット20及びユニット連結体35の一構成例を示す図であり、
図2(a)は、伸縮ユニット20及びユニット連結体35の軸方向断面図、
図2(b)は伸縮ユニット20のフランジ23とユニット連結体35のフランジ36の斜視図である。
同図に示すように、伸縮ユニット20は、内周面側に前述のケーブル12が挿通可能な空間を有する略円筒状の内筒21と、当該内筒21の外周面側に配設される弾性膨張体22と、一対のフランジ23;23とを備える。各伸縮ユニット20は、内筒21及び弾性膨張体22の両端部を強固に固定した状態とする連結手段としてのフランジ23を介して後述のユニット連結体35のフランジ36と連結される。
【0014】
フランジ23;23は、例えば樹脂や硬質のゴム、金属等により構成された円環体であって、外周面に環状溝29を備える。環状溝29は、外周の円周方向に沿って窪み、当該環状溝29を挟んで一方の外周面の幅が広い幅広部、他方の外周面の幅が狭い幅狭部となるように板厚の中央からやや位置ずれして形成される。
一方のフランジ23の幅広部には、フランジ23の外周面から内周面に貫通する空気流通孔31が設けられる。また、フランジ23の開口端側の内周には、
図2(a),(b)に示すように、ユニット連結体35と連結するための連結部32が設けられる。
連結部32は、フランジ23の内周面を円周方向に沿って窪む内周溝32Aと、円周方向に沿って所定間隔を空けて端面から内周溝32Aに到達する円弧状の複数の切欠き32Bとにより構成される。上述した探査ユニット11におけるユニット連結体35との連結部もフランジ23の連結部32と同様に構成される。
【0015】
図2(a)に示すように、円筒状の内筒21は、可撓性を有する部材により構成され、その軸方向に沿って伸縮可能な蛇腹状に形成される。当該内筒21は、弾性膨張体22の収縮動作に追従して軸方向に収縮し、伸長動作に追従して軸方向に伸長する。
内筒21の両端部は、外周面がそれぞれ円環状に形成されたフランジ23;23の内周面に対して接着剤等の固定手段によって液密かつ強固に固定される。
【0016】
弾性膨張体22は、内筒21の軸方向に渡って延在する円筒状に形成された部材であって、内筒21の外周面全域を取り囲んで覆うように配設される。
図3に誇張して示すように、弾性膨張体22は、弾性体より形成される円筒状の筒本体22Aと、当該筒本体22Aの内部において密に内挿された複数の規制繊維22Bとから構成される。筒本体22Aの材質としては、シリコーンゴム等の合成ゴム、或いは天然ラテックスゴム等の天然ゴムが好適であるが、後述する空気室Sへの圧縮空気の給排によってその形状が変化し得る材質であれば如何なる材質であってもよく、その厚さや後述の規制繊維の配置は、弾性膨張体22の空気排出時の伸長する力等を考慮して決められる。また、
図3に示すように、規制繊維22Bは、筒本体22Aの伸長する力を考慮して筒本体22Aの壁厚内に配置され、本実施例では複数の層の積層で密に内挿され、筒本体22Aの軸方向に沿って延在するものを示すが、単層でもよい。規制繊維22Bの材質としては、例えばグラスロービング繊維やカーボンロービング繊維等、軸方向への伸びの少ない材質が好適である。
【0017】
弾性膨張体22の両端部は、それぞれフランジ23;23の外周面において円周方向に沿って形成された環状溝29と対応する位置でピアノ線等の括り部材29Aによって強固かつ液密に固定される。これによりフランジ23の端面、内筒21の外周面及び弾性膨張体22の内周面によって密閉空間としての空気室Sが形成される。この空気室S内には、圧縮空気が供給される。
【0018】
フランジ23の空気流通孔31には、後述のコンプレッサ16Aから供給される空気を空気室Sに流通可能、若しくは、空気室Sの空気を排出可能とする切替弁14が取り付けられる。
切替弁14は、電気的な信号の入力により動作が制御される電磁弁であって、後述の進行制御手段17と接続される。切替弁14は、圧縮空気が流入する流入口14aと、空気室Sに空気を給排する給排口14bと、空気室Sの空気を排出する排出口14cとを備え、給排口14bと空気流通孔31との間に空気の連通が可能となるように空気流通孔31に取り付けられる。この切替弁14は、信号が入力されると排出口14cを閉じ、流入口14aと給排口14bとを連通させて、圧縮空気供給手段16から供給される圧縮空気を空気室Sに流入させ、信号が入力されない状態では、流入口14aを閉じ、給排口14bと排出口14cとを連通させて、圧縮空気供給手段16から供給される圧縮空気を遮断して空気室Sの空気を排出口14cから排出させて空気の流れを切り替える。
【0019】
各伸縮ユニット20A〜20Dに設けられた切替弁14は、進行制御手段17と個別に接続され、進行制御手段17から出力される電気的な信号の入力により次のように動作が制御される。伸縮ユニット20を収縮させるときには、流入口14aからの空気の流入を許容するとともに給排口14bを開放して、圧縮空気を空気室Sに流入させる。このとき、排気口14cは閉じた状態が維持される。本実施例では、この状態を切替弁14の開放という。また、伸縮ユニット20を伸長させるときには、流入口14aからの圧縮空気の流入を遮断するとともに、給排口14b及び排出口14cとを開放し、空気室Sと内筒21の内部空間とを連通させることで空気室Sの空気を内筒21の内部空間に排出させる。本実施例では、この状態を切替弁14の閉鎖という。なお、空気室Sからの空気の排出は、弾性膨張体22の張力が駆動源となって空気室Sから内筒21内に空気が排出される。この切替弁14の流入口14aには、空気室Sに圧縮空気を供給するための後述する空気供給管24(24A〜24D)がそれぞれ接続される。
【0020】
ユニット連結体35は、例えば、内筒21と同様に、軸方向に沿って伸縮自在な蛇腹構造を有する両端開口の管状体37と、両端に伸縮ユニット20のフランジ23と連結するフランジ36;36とを備える。フランジ36は、伸縮ユニット20のフランジ23の外側部内周よりも小径な外径寸法を有する円環体からなり、フランジ23に設けられた連結部の複数の切欠き32Bに対応する複数の係合片36Aを外周に備える。係合片36Aは、フランジ36の外周面において、円周方向に沿って所定長さの円弧状に延在するように突設されている。このユニット連結体35は、フランジ36に設けられた係合片36Aを伸縮ユニット20のフランジ23の切欠き32Bに一致させながら内周溝32Aまで押し込み、回転させることで、伸縮ユニット20に連結される。
【0021】
図4に示すように、複数の空気供給管24は、複数の伸縮ユニット20A〜20Dに対して独立して圧縮空気を供給する流路を構成するものであって、例えばポリ塩化ビニル等の可撓性を有するホースが適用される。好ましくは、内部を流通する空気の圧力の変化によって、潰れや膨らみが生じたりしない耐圧のホースを用いると良い。
各空気供給管24A〜24Dは、圧縮空気供給手段16から管体内移動体13まで延長する空気供給管16C内を流通する圧縮空気を分岐管41A〜41Cにより分岐させて各伸縮ユニット20A〜20Dの切替弁14にそれぞれ供給する。各分岐管41A〜41Cは、
図4の例に示すように、流入した空気を二股に分岐させるY字状の二股分岐管からなり、圧縮空気供給手段16から管体内移動体13に到達する空気供給管16Cの端部に、圧縮空気の流路を二股に分岐する分岐管41Aが取り付けられる。この分岐管41Aには、最後尾の伸縮ユニット20Dの切替弁14に接続される空気供給管24Dと、伸縮ユニット20A〜20Cへ供給する空気の流路となる空気供給管42Aとが接続される。
【0022】
空気供給管42Aの先端には、さらに流路を二股に分岐する分岐管41Bが取り付けられる。分岐管41Bの分岐端には、空気供給管24Cと、伸縮ユニット20A,20Bへ供給する空気の流路となる空気供給管42Bとが接続される。
空気供給管42Bの先端には、さらに流路を二股に分岐する分岐管41Cが取り付けられる。分岐管41Cの分岐端には、空気供給管24Bと、空気供給管24Aとが接続される。なお、上述の空気供給管24A〜24D及び空気供給管42A,42Bが、管体内移動体13の内部に延在することは言うまでもない。
また、各空気供給管24A〜24D、空気供給管42A,42Bの長さは、伸縮ユニット20A〜20Dの伸縮動作を考慮して可能な限り長さが短くなるように設定すると良い。
このように、圧縮空気供給手段16から一本の空気供給管16Cを管体内移動体13まで延長させ、複数の分岐管41A〜41Cによって各伸縮ユニット20A〜20Cの切替弁14A〜14Dに向けて圧縮空気を供給する流路を形成することで、切替弁14A〜14Dには、圧縮空気供給手段16で加圧された圧縮空気が常時供給されるため、遅滞無く空気室Sに高圧の空気を供給することができる。したがって、圧縮空気供給手段16から管体内移動体13までの距離が長くなっても、常時コンプレッサ16Aで加圧された圧縮空気をロス無く供給させるので、管体内移動体13の進行速度の低下を防止できる。なお、空気供給管24A〜24D、空気供給管42A,42D及び分岐管41A〜41Cにより形成される流路は、一体に形成することも可能である。
【0023】
なお、空気供給管16Cから各伸縮ユニット20A〜20Dに供給する空気を分岐させる他の方法として、空気供給管16Cから直接各伸縮ユニット20A〜20Dに分岐させるように4つ又の分岐管を用いても良い。また、空気供給管16Cから二股管により伸縮ユニット20A;20Bと、伸縮ユニット20C;20Dとに向けて流路を分岐させた先に、さらに二股管をそれぞれ設けて伸縮ユニット20Aと20B、伸縮ユニット20C;20Dに向かう流路を形成するようにしても良い。
【0024】
以上説明したとおり、各フランジ23に取り付けられた切替弁14A〜14Dまで圧縮空気を供給しておき、切替弁14A〜14Dの開閉動作を制御して各伸縮ユニット20A〜20Dの空気室Sへの圧縮空気の供給又は空気室Sから空気の排気を制御することにより、各伸縮ユニット20A〜20Dの独立した収縮動作又は伸長動作を行わせることが可能となる。
具体的には、上記構成よりなる伸縮ユニット20の空気室S内に圧縮空気が供給された場合、規制繊維22Bが弾性膨張体22の軸方向への膨張を規制する一方で、径方向への膨張を許容するため、結果として
図5や
図7で示すように、伸縮ユニット20全体が軸方向へ収縮動作することとなる。一方で、空気室S内に供給された圧縮空気を排出すれば、伸縮ユニット20全体が軸方向へ伸長動作することとなる。
即ち、本実施形態に係る管体内移動体13を構成する伸縮ユニット20は、圧縮空気の供給により軸方向に収縮し、圧縮空気の排出により軸方向に伸長する。
【0025】
図1に示すように、圧縮空気供給手段16は、コンプレッサ16Aと、レギュレータ16Bとを備える。レギュレータ16Bは、コンプレッサ16Aで加圧された圧縮空気を所定の圧力に整圧して空気供給管16Cに送出する。レギュレータ16Bは、例えば、前述の切替弁14の開閉制御に許容される最大の圧力に調整される。
空気供給管16Cは、レギュレータ16B及び管体内移動体13と着脱自在に接続される可撓性を有するホースである。この空気供給管16Cは、管体内移動体13の最後尾に位置する伸縮ユニット20Dの内部において、図示しない固定手段により管体内移動体13に到達する端部が着脱可能に固定される。この空気供給管16Cは、前述のように複数の分岐管41A〜41Cを経て、分岐管41A〜41Cから切替弁14A〜14Dに独立した空気供給管24A〜24Dとそれぞれ対応して接続されており、進行制御手段17からの制御信号に応じて切替弁14A〜14Dが所定の動作をすることで、各伸縮ユニット20A〜20Dに対して独立して圧縮空気を供給することが可能である。
【0026】
進行制御手段17は、制御部17Aと、操作部17Bと、制御部17Aと操作部17Bとを接続するケーブル17Cとを備え、管体内移動体13に蠕動運動を生じさせて、管体1内において管体内移動体13が進行する駆動力を制御する。制御部17Aは、演算処理手段としてのCPU、RAM,ROMなどの記憶手段、入出力ポート等の入出力手段などのハードウェアを備えるコンピュータであって、ROMに記憶させたプログラムをCPUで演算処理することでプログラムに書かれた制御信号を図示しない出力ポートから伸縮ユニット20A〜20Dの切替弁14A〜14Dに個別に出力する。制御部17Aから切替弁14A〜14Dには、収縮信号、収縮維持信号、伸長信号が出力され、各信号に基づいて切替弁14A〜14Dの開閉動作を制御する。
収縮信号とは、切替弁14A〜14Dに供給された圧縮空気を最大の圧力で空気室Sに供給するように切替弁14A〜14Dを制御する信号であって、本実施例では、切替弁14A〜14Dの許容する最大の圧力で圧縮空気を空気室Sに供給するように切替弁14A〜14Dを制御する信号である。また、収縮維持信号とは、切替弁14A〜14Dの許容する最大の圧力よりも低い圧力で空気室Sに空気を供給するように切替弁14A〜14Dを制御する信号である。
また、伸長信号とは、収縮信号、収縮維持信号に対する便宜上の信号であって、切替弁14A〜14Dに出力されている収縮信号や収縮維持信号を停止させる信号であり、実質的には出力されない信号である。本実施例では、切替弁14A〜14Dは、PWM制御で説明するが、その他の制御方法でもよく、後述するように供給圧力を時間的に変える制御が可能であればさらによい。なお、本実施例では、電気的に弁の開閉が可能となる切替弁14A〜14DをPWM制御で周期的に開閉させることにより、切替弁の小型が可能となり、伸長ユニット20内に収めることが可能となる。
【0027】
制御部17Aは、例えば、上記演算処理手段、記憶手段、入出力手段を1チップに収容したPIC(Peripheral Interface Controller(ペリフェラル インターフェース コントローラ))により実現され、例えば管体内移動体13の最後尾に接続される伸縮ユニット20D内に収容される。この制御部17Aには、前述した探査ユニット11から延長するケーブル12と、切替弁14A〜14Dから延長するケーブルとがそれぞれ接続される。操作部17Bは、制御部17Aの入力ポートと通信可能に接続される入力手段であって、制御部17Aに記憶させたプログラムの実行を制御するためのコマンドを制御部17Aに出力する。ケーブル17Cは、制御部17A及び操作部17Bに着脱自在に接続され、制御部17Aと操作部17Bとの通信を伝達する複数の配線と、探査ユニット11により撮影された画像を操作部17Bに伝達する複数の配線と、制御部17A及び探査ユニット11に供給する電源線とが1つに束ねられた可撓性を有する一本の集合ケーブルである。このように、管体1の外部に延長するケーブル17Cを一本にすることで、管体内移動体13が管体1内を進行するときのケーブル17Cと管体1との摩擦を低減させて管体内移動体13をスムースに進行させることができる。
進行制御手段17は、制御部17Aを操作部17Bと一体に構成して管体1の外部に設けるようにしても良いが、本実施例のように制御部17Aと操作部17Bとを別体とすることにより、ケーブル17Cに含まれる配線を少なくしてケーブル17Cの軽量化ができるので、管体内移動体13が移動するときのケーブル17Cを牽引する重さや、ケーブル17Cと管体1との摩擦等の負荷を軽減して管体内移動体13の移動速度を速くすることができる。より好ましくは、操作部17Bと制御部17Aとを無線通信により互いに通信可能とすることで、ケーブル17Cの重さをより軽くすることができる。
なお、探査ユニット11で撮影された管体1内の画像は、操作部17Bに接続された表示手段18に表示される。また、表示手段18に替えてハードディスクや不揮発性の半導体メモリ等の記憶手段を接続して表示手段18上に表示させずに検査画像を記録するようにしても良く、記憶手段に記憶させながら表示手段18に表示するようにしても良い。
【0028】
制御部17Aの記憶手段には、管体内移動体13を進行させる動作プログラムが記憶される。例えば、
図5に示すような進行パターンA,
図7に示すような進行パターンBの2つの動作パターンを実行させる複数の動作プログラムを記憶する。なお、本実施例では、進行パターンAや進行パターンBにより制御される伸縮ユニット20A〜20Dの収縮時間及び、伸縮ユニット20A〜20Dの伸長時間は、同じ時間t1で行なわれるものとして説明する。
進行パターンAは、
図5(a)乃至(d)、
図6に示すように、管体内移動体13に3つの行程を繰り返し動作させることで蠕動運動を生じさせて管体1内を進行させる。
図5(a)は、管体内移動体13の初期状態を示し、例えば、管体1内に管体内移動体13を配置した状態を示している。このとき、すべての伸縮ユニット20A〜20Dは、伸長状態にある。
管体内移動体13を進行させる場合、まず、第1行程として、
図5(b)に示すように、先頭の伸縮ユニット20Aの切替弁14Aのみに収縮信号を出力し、伸縮ユニット20Aの空気室Sに圧縮空気を供給して弾性膨張体22の外周面が管体1の内壁面に到達するまで伸縮ユニット20Aを収縮させる。
次に、
図5(c)に示すように、第2工程に移行して、伸縮ユニット20Aの切替弁14Aに収縮維持信号を出力し、伸縮ユニット20Aの収縮状態を維持したまま残りの伸縮ユニット20B〜20Dのすべてに収縮信号を出力し、伸縮ユニット20B〜20Dの空気室に圧縮空気を供給して各伸縮ユニット20B〜20Dの弾性膨張体22の外周面が管体1の内壁面に到達するまで伸縮ユニット20B〜20Dを収縮させる。
次に、
図5(d)に示すように、第3工程に移行して、最後尾の伸縮ユニット20Dの切替弁14Dに収縮維持信号を出力し、伸縮ユニット20Dの収縮状態を維持したまま伸縮ユニット20A〜20Cの切替弁14A〜14Cに伸長信号を出力し、空気室Sから空気を排出して伸縮ユニット20A〜20Cを伸長させる。進行パターンAでは、上記第1行程から第3行程までを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことで管体内移動体13が進行する。
【0029】
図5(b)乃至(d)で示した伸縮ユニット20A〜20Dの伸縮動作、すなわち、圧縮空気供給手段16から各伸縮ユニット20A〜20Dの各空気室Sへの圧縮空気の給排は、本実施例では
図6に示すようにPWM(パルス幅変調)制御により制御される。
制御部17Aは、伸縮ユニット20を収縮させる場合、つまり収縮信号を出力した場合、
図6,
図8に示すように、切替弁14に対して所定時間t1のパルス幅の信号を出力し、切替弁14を開放状態とし、流入口14aと給排口14bとが所定時間t1連通するように切替弁14を制御する。このとき、空気室Sには、空気供給管16Cから切替弁14に圧力P1で供給された圧縮空気が空気室Sに時間t1の間流入する。例えば、所定時間t1は、伸縮ユニット20の弾性膨張体22が管体1の内壁面に密着するまでに要する時間として設定される。例えば、時間t1は、実験的に得られた結果から管体1の内径に応じて設定される。なお、伸縮ユニット20を収縮させる場合、所定時間t1の間において、周期的に切替弁14を開閉して空気室Sに圧縮空気を供給するようにしても良い。
また、制御部17Aは、伸縮ユニット20の収縮状態を維持させる場合、つまり収縮維持信号を出力した場合、
図6,
図8に示すように、切替弁14に対して所定時間t1よりも短い所定時間t2のパルス幅の信号を所定時間t3の間隔をもって周期的に出力し、流入口14aと給排口14bとを所定時間t2連通したのちに、給排口14bと排出口14cとを所定時間t3連通するように切替弁14を周期的に開閉するように制御する。このように周期的なパルス信号を切替弁14に出力して、切替弁14を開閉させることで、空気供給管16Cにより切替弁14に一定の圧力P1で供給された空気を、圧力P1よりも低い圧力に減圧して空気室Sに供給することができる。このように、切替弁14に収縮維持信号として出力するパルス信号の幅を調整することで、伸縮ユニット20の弾性膨張体22の強度に応じた圧力となるように、空気室Sに供給する空気の圧力が調整可能となる。また、収縮後の伸縮ユニット20の空気室Sに空気の供給を継続することで、弾性膨張体22による管体1の内周面への把持力を好適に得ることができ、効率良く管体内移動体13を進行させることができる。
また、制御部17Aは、伸縮ユニット20を伸長させる場合、つまり伸長信号を出力した場合、
図6に示すように、所定時間t1の間収縮信号や、収縮維持信号の出力を停止し、排出口14cと給排口14bとを所定時間t1連通させて、空気室Sの空気を排出する。
【0030】
図7(a)乃至(f),
図8に示すように、進行パターンBは、管体内移動体13を4つの行程を繰り返し動作させることで管体1内を進行させる。
図7(a)は、管体内移動体13の初期状態を示し、例えば、管体1内に管体内移動体13を配置した状態を示している。このとき、すべての伸縮ユニット20A〜20Dは、伸長状態にある。
まず、第1行程では、
図7(b)に示すように、伸縮ユニット20B及び伸縮ユニット20Cには信号を出力せずに、先頭の伸縮ユニット20A及び最後尾の伸縮ユニット20Dの切替弁14A,14Dに収縮信号を出力し、伸縮ユニット20A,20Dの空気室Sに圧縮空気を供給して伸縮ユニット20A,20Dを軸方向に収縮させる。
次に、第2行程では、
図7(c)に示すように、伸縮ユニット20Cには信号を出力せずに、先頭の伸縮ユニット20Aの切替弁14Aには収縮維持信号を出力して収縮状態を維持したまま、最後尾の伸縮ユニット20Dの切替弁14Dに伸長信号、伸縮ユニット20Bの切替弁14Bには収縮信号を出力し、伸縮ユニット20Dの伸長と伸縮ユニット20Bの収縮とを同時に行う。
次に、第3行程では、
図7(d)に示すように、伸縮ユニット20Dには信号を出力せず、先頭の伸縮ユニット20Aの切替弁14Aには伸長信号、伸縮ユニット20Bの切替弁14Bには収縮維持信号、伸縮ユニット20Cの切替弁14Cには収縮信号をそれぞれ出力し、伸縮ユニット20Aの伸長と伸縮ユニット20Cの収縮とを同時に行う。
次に、第4行程では、
図7(e)に示すように、伸縮ユニット20Aの切替弁14Aには信号を出力せずに、伸縮ユニット20Bの切替弁14Bには伸長信号、伸縮ユニット20Cの切替弁14Cには収縮維持信号、伸縮ユニット20Dの切替弁14Dには収縮信号とを出力し、伸縮ユニット20Bの伸長と伸縮ユニット20Dの収縮とを同時に行う。進行パターンBでは、上記第1行程から第4行程までを1つのサイクルとし、このサイクルを繰り返して管体内移動体13に蠕動運動を生じさせることで、管体内移動体13が矢印X1に向けて進行する。なお、進行パターンAや進行パターンBを連続的に切り替えて動作させる場合には、必ずしも
図5(a)や
図7(a)で示すような初期状態を経る必要はない。
【0031】
図7(b)乃至(e)で示した進行パターンBによる伸縮ユニット20A〜20Dの伸縮動作、すなわち、圧縮空気供給手段16から各伸縮ユニット20A〜20Dへの各空気室Sへの圧縮空気の供給及び停止は、本実施例では
図8に示すようなPWM(パルス幅変調)制御により切替弁14A〜14Dが制御される。
【0032】
上記進行パターンA,Bの切り替えは、進行制御手段17の操作部17Bから制御部17Aへの入力により制御される。例えば、管体1の直管部分を管体内移動体13が進行する場合には進行パターンA、曲管部分を管体内移動体13が進行する場合には進行パターンB等のように動作パターンを変更することで、管体内移動体13を効率良く移動させることができる。
【0033】
次に、
図5及び
図7に基づいて上記構成からなる管体内移動体13の進行動作について説明する。まず、
図5を用いて進行パターンAについて説明する。
図5(a)は、管体内移動体13の初期状態(停止状態)を示し、当該管体内移動体13は、初期状態から矢印で示す方向に進行するものとする。この状態から進行制御手段17により、圧縮空気供給手段16を制御し、まず、
図5(a)に示す状態から
図5(b)に示す如く、管体内移動体13の先頭に位置する伸縮ユニット20Aを収縮して、伸縮ユニット20Aの弾性膨張体22の外周面の一部の範囲を管体1の内周面と密着させる。次に、
図5(c)に示す如く伸縮ユニット20Aの収縮状態を維持するとともに、すべての伸縮ユニット20B〜20Dを収縮させる。この時点では、伸縮ユニット20Aを基準として伸縮ユニット20B〜20Dを軸方向に収縮しただけなので、管体内移動体13の先端の位置は変わらない。
【0034】
次に、
図5(c)の状態から、
図5(d)に示す如く、伸縮ユニット20A〜20Cを伸長状態とするとともに、伸縮ユニット20Dの収縮状態を維持させる。この時、伸縮ユニット20Dを基準とする伸縮ユニット20A〜20Cの伸長動作は、管体内移動体13全体を前方に進行させる動作に変換され、管体内移動体13が管体1内を矢印X1方向に向けて進行する。
その後、伸縮ユニット20Aを収縮させるとともに、伸縮ユニット20Dを伸長させることにより、
図5(b)に示す状態に復帰する。なお、この時、伸縮ユニット20Dの伸長動作と同時に伸縮ユニット20Aが軸方向に収縮するので、管体内移動体13は進行しない。以上のとおり、進行制御手段17の制御により、各伸縮ユニット20A〜20Dを所定の順番で収縮,伸長させる動作を繰り返すことで、管体1内において管体内移動体13を速やかに進行させることが可能となる。
【0035】
次に、
図7を用いて進行パターンBについて説明する。
図7(a)は、進行パターンBにおける管体内移動体13の初期状態(停止状態)を示し、当該管体内移動体13は、初期状態から矢印で示す方向に進行するものとする。
図7(a)に示す初期状態では、管体内移動体13のすべての伸縮ユニット20A〜20Dが伸長状態にある。この状態から進行制御手段17により、圧縮空気供給手段16を制御し、
図7(b)に示す如く、伸縮ユニット20A,20Dを収縮させるとともに、伸縮ユニット20B,20Cの伸長状態を維持させる。この時点では、伸縮ユニット20B,20Cを基準として、伸縮ユニット20A,20Dを軸方向に収縮しただけなので、管体内移動体13の全体としての位置は変わらない。
【0036】
次に、
図7(b)の状態から、
図7(c)に示す如く、伸縮ユニット20Aの収縮状態及び伸縮ユニット20Cの伸長状態を維持させたまま、伸縮ユニット20Bを収縮させ、伸縮ユニット20Dを伸長させる。この時点では、伸縮ユニット20Dの収縮状態を伸縮ユニット20Bに、伸縮ユニット20Bの伸長状態を伸縮ユニット20Dに入れ替えただけなので、管体内移動体13の先端の位置は変わらない。
次に、
図7(c)の状態から、
図7(d)に示す如く、伸縮ユニット20Bの収縮状態及び伸縮ユニット20Dの伸長状態を維持させたまま、伸縮ユニット20Cを収縮させ、伸縮ユニット20Aを伸長させる。この時、伸縮ユニット20Cの収縮分だけ管体内移動体13全体を前方に進行させる動作に変換され、管体内移動体13が管体1内を矢印X方向に向けて進行する。
【0037】
次に、
図7(d)の状態から、
図7(e)に示す如く、伸縮ユニット20Aの伸長状態及び伸縮ユニット20Cの収縮状態を維持させたまま、伸縮ユニット20Bを伸長させ、伸縮ユニット20Dを収縮させる。この時、伸縮ユニット20Dの収縮分だけ管体内移動体13全体を前方に進行させる動作に変換され、管体内移動体13が管体1内を矢印X1方向に向けて進行する。
次に、
図7(e)の状態から、伸縮ユニット20Dの収縮状態及び伸縮ユニット20Bの伸長状態を維持させたまま、伸縮ユニット20Aを収縮させ、伸縮ユニット20Cを伸長させることにより、蠕動運動の1サイクルの最初に復帰する。以上のとおり、進行制御手段17の制御により、各伸縮ユニット20A〜20Dを所定の順番で収縮,伸長させる動作を繰り返すことにより、管体内移動体13を管体1内において進行させることが可能となる。
進行パターンBは、進行パターンAに比べて行程数が多いため単位時間当たりに進行する速度が遅くなるものの、常に2つの伸縮ユニット20により管体1を把持しているため、曲管部分等の屈曲部分において管体内移動体13を確実に進行させることができる。
【0038】
以下、ユニット連結体35の作用,効果についてそれぞれ詳細に説明する。
図9(a),(b)は、管体内移動体13の管体1内の屈曲部における進行状態を示す概略図である。当該屈曲部は、例えば管体1の一部を構成する90度エルボ管1R(以下、単にエルボ1Rという。)等の部材により形成され、エルボ1Rの両端部には、直管1A;1Bが接続されている。
【0039】
図9(a)に示すように、先端に位置する探査ユニット11が直管1Aからエルボ1Rを経由して直管1B内に進行するには、
図9(b)に示すように、探査ユニット11をエルボ1Rの壁面に沿って擦りながら方向を直管1Bに進行させて、
図9(c)に示すように、エルボ1Rと直管1Bとの接続部に生じる段差部Vを超える必要がある。
本例では、
図9(c)に示すように、探査ユニット11の段差部Vへの接触に伴って、探査ユニット11と伸縮ユニット20とを連結するユニット連結体35のもつ柔軟性により、探査ユニット11が段差部Vを超え、さらにその向きを直管1B方向に向けることができる。
さらに、探査ユニット11の向きが直管1B方向に向くと、
図9(c)に示すように、伸縮ユニット20Aが曲管部分に進行すると、伸縮ユニット20Aと伸縮ユニット20Bとを連結するユニット連結体35が、探査ユニット11と伸縮ユニット20とを連結するユニット連結体35と同様に撓むことで、管体内移動体13を滑らかに曲管部分を進行させることができる。その後、
図9(d)に示すように、ユニット連結体35の撓みにより伸縮ユニット20Aの進行方向が直管1B方向に向くため、探査ユニット11及びこれに続く後続の伸縮ユニット20B〜20Dについてもエルボ1R内を速やかに通過することができる。
【0040】
即ち、本実施形態に係る管体内探査装置10によれば、管体内移動体13を構成する探索ユニット11と複数の伸縮ユニット20を柔軟性を有するユニット連結体35で連結しているため、管体1にエルボ1R等の部材によって形成された屈曲部が存在する場合であっても、管体1内をスムースに進行することが可能となり、管体1の管路形状を問わず管体1内をくまなく探査することが可能となる。また、各伸縮ユニット20に空気室Sへの空気の出入りを制御する切替弁14を設けたことで、管体1の外部に設けた圧縮空気供給手段16から管体内移動体13に延長する配管を一本の空気供給管16Cによる空気の供給が可能となる。
したがって、空気供給管16の長さが長くなっても、伸縮ユニット20に供給する空気の圧力変化が少ないため、伸縮ユニット20の伸縮速度が変化しないので、管体内移動体13の移動速度を低下させずに管体1内を管体内移動体13とともに探査ユニット11を進行させることができるので、従来と比べて検査時間をより短縮させることができる。
【0041】
なお、管体内移動体13を進行させるには、伸縮ユニット20が3つ以上であれば如何なる数を連結しても良い。管体内移動体13の移動速度を考慮した場合、ユニット連結体35を介して少なくとも4つ以上の伸縮ユニット20を連結することで、管体1内の移動速度を向上させることができる。
【0042】
本発明に係る管体内探査装置10の他の形態として、
図10に示すように、複数の管体内移動体13A〜13Dを備えるように構成しても良い。
検査対象には、管体の長さが、例えば150mに及ぶ複雑な管路を検査する場合がある。このような場合、1つの管体内移動体により管体内を進行させると、制御部17Aと操作部17Bとを接続するケーブル17C及び空気供給管16Cの長さが長くなり、その重さやケーブル17C及び空気供給管16Cと管体1との摩擦が管体内移動体13の進行速度を低下させる虞がある。そこで、探査ユニット11が取り付けられた管体内移動体13から外部に延長するケーブル17C及び空気供給管16Cに管体内移動体13の進行速度に影響を与えない長さを設定し、このケーブル17C及び空気供給管16Cの長さ分管体内移動体13が進行する毎に、別の管体内移動体13を順次連結して管体1内を進行させるようにすると良い。
【0043】
なお、切替弁14は、信号の入力により開閉する上述の電磁弁に限定されない。例えば、切替弁に、比例電磁弁など印加する電圧の変化や電流の変化により当該切替弁を流通する空気の圧力を調整可能な電磁弁を用いても良い。この場合、空気室Sの空気を排気するための排気弁をフランジ23に取り付け、伸縮ユニット20を収縮させるときに、切替弁に供給された空気を最大の圧力で空気室Sに供給するように切替弁を制御し、伸縮ユニット20の収縮状態を維持するときには、上記圧力よりも低い圧力の空気が気室内にされるように切替弁を制御し、伸縮ユニット20を伸長させるときには、切替弁の空気の流通を停止させ、排気弁から空気室S内の空気を排出するように、制御部17Aにより制御可能に構成すれば良い。
このような切替弁と、先述したPWM制御を組み合わせることにより、弁の小型化が可能となり、伸縮ユニット20内に収めることができる。また、上述のようにPWM制御により切換弁14を制御することにより、一般的に大型である比例電磁弁よりも小型である3ポートの切替弁を用いることで管体内移動体13の小型化が可能となり、管体内移動体13の収縮と伸長の時間を短縮できて、管体1内をすばやく移動させることが可能となる。
【0044】
上記本実施例では、進行パターンAや進行パターンBにより制御される伸縮ユニット20A〜20Dの収縮時間及び、伸縮ユニット20A〜20Dの伸長時間は、同じ時間t1で行なわれるものとして説明したが、収縮する時間と伸長する時間とに差が生じる場合には、上述した各行程における各伸縮ユニット20A〜20Dの動作が完了した後に次の工程に移行するように、適宜、収縮信号、収縮維持信号、伸長信号を出力する時間をPWM制御して管体内移動体13の進行動作を最適化すれば良い。