【文献】
GARY Brooker et al.,Optimal resolution in Fresnel incoherent correlation holographic fluorescence microscopy,OPTICS EXPRESS,2011年,Vol.19/No.6,p.5047-p.5062
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記位相変調素子は、上記ホログラム上において、空間的に周期的に変化する上記位相シフト量の分布を生じさせることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録装置。
上記ホログラム上の上記位相シフト量の分布が上記撮像装置の画素の列方向において第1空間周期で変化し、かつ、上記撮像装置の画素の行方向において上記第1空間周期とは異なる第2空間周期で変化することを特徴とする請求項3に記載のホログラム記録装置。
上記第1位相変調領域と上記第2位相変調領域とは、それぞれの領域に入射した上記第1成分光に対して、位相のずれを生じさせないことを特徴とする請求項5に記載のホログラム記録装置。
上記位相変調素子は、上記第1位相変調領域および上記第2位相変調領域のそれぞれに対応する、複数の波長板を含むことを特徴とする請求項5または6に記載のホログラム記録装置。
上記波面変調素子は、上記第1成分光の波面の曲率と、上記第2成分光の波面の曲率とを異ならせることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のホログラム記録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のような従来技術は、干渉縞を形成するために干渉性の高い(コヒーレントな)光(例えばレーザー光)を必要とする。そのため、光路調整に極めて高い精度が求められることから、上述の従来技術では、干渉性の低い光(例えば自然光または蛍光等)を観察することができない。
【0010】
非特許文献4には、単一光路を有する光学系において干渉性の低い光を用いてデジタルホログラフィを実現する技術が記載されている。しかしながら、非特許文献4の技術では、条件を変えてホログラム(干渉縞)を複数回撮像する必要があるため、非特許文献4の技術を動く被写体に適用することは難しい。
【0011】
本発明の一態様では、干渉性の低い光を用いて、被写体の再生に必要なホログラムを1回の撮像で記録することができるホログラム記録装置またはホログラム記録方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るホログラム記録装置は、物体光が通る単一の光路中に、波面変調素子と、位相変調素子と、偏光変換素子とを備え、上記物体光は、互いに偏光方向が異なる第1成分光および第2成分光を含み、上記波面変調素子は、上記第1成分光の波面形状と、上記第2成分光の波面形状とを異ならせ、上記位相変調素子は、上記第1成分光に対する上記第2成分光の位相シフト量に、空間的に周期的に変化する分布を生じさせ、上記偏光変換素子は、上記第1成分光と上記第2成分光とが干渉するように、上記第1成分光および上記第2成分光の偏光方向を変化させ、上記第1成分光が上記第2成分光と干渉することにより形成されるホログラムを記録する撮像装置を備えることを特徴としている。
【0013】
本発明に係るホログラム記録方法は、互いに偏光方向が異なる第1成分光および第2成分光を含む物体光が通る単一の光路中において、上記第1成分光の波面形状と、上記第2成分光の波面形状とを異ならせる波面変調処理と、上記第1成分光に対する上記第2成分光の位相シフト量に、空間的に周期的に変化する分布を生じさせる位相変調処理と、上記第1成分光と上記第2成分光とが干渉するように、上記第1成分光および上記第2成分光の偏光方向を変化させる偏光変換処理と、上記第1成分光が上記第2成分光と干渉することにより形成されるホログラムを記録する撮像処理とを実行することを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、位相変調素子は、第1成分光に対する上記第2成分光の位相シフト量に、空間的に周期的に変化する分布を生じさせる。これにより、記録されるホログラムには位相シフト量が異なる複数種類のホログラムが含まれる。そのため、単一の光路を通る干渉性の低い光を用いて1回の撮像で記録されるホログラムから、被写体の再生像を得ることができる。そのため、上記ホログラム記録装置は、動く被写体の3次元の情報を含むホログラムを記録することができる。
【0015】
ここで、上記位相変調素子は、上記第2成分光の位相を空間的に周期的にずらすことにより、上記第1成分光に対する上記第2成分光の位相シフト量に、空間的に周期的に変化する分布を生じさせてもよい。また、上記位相変調素子は、上記第1成分光の位相を空間的に周期的にずらすことにより、上記第1成分光に対する上記第2成分光の位相シフト量に、空間的に周期的に変化する分布を生じさせてもよい。基準である上記第1成分光の位相が空間的に周期的にシフトされると、上記第1成分光を基準とした上記第2成分光の位相シフト量に、空間的に周期的に変化する分布が生じると言える。
【0016】
また、上記位相変調素子は、上記ホログラム上において、空間的に周期的に変化する上記位相シフト量の分布を生じさせる構成であってもよい。
【0017】
また、上記位相変調素子は、上記第1成分光の進行方向と上記第2成分光の進行方向とを異ならせる構成であってもよい。
【0018】
また、上記ホログラム上の上記位相シフト量の分布が上記撮像装置の画素の列方向において第1空間周期で変化し、かつ、上記撮像装置の画素の行方向において上記第1空間周期とは異なる第2空間周期で変化するものであってもよい。
【0019】
また、上記位相変調素子は、空間的に周期的に配列された、複数の第1位相変調領域および複数の第2位相変調領域を含み、上記第1位相変調領域と上記第2位相変調領域とは、上記第2成分光の位相を互いに異なるように変調する構成であってもよい。
【0020】
また、上記第1位相変調領域と上記第2位相変調領域とは、それぞれの領域に入射した上記第1成分光に対して、位相のずれを生じさせない構成であってもよい。
【0021】
また、上記位相変調素子は、上記第1位相変調領域および上記第2位相変調領域のそれぞれに対応する、複数の波長板を含む構成であってもよい。
【0022】
また、上記偏光変換素子は、偏光子であり、上記偏光子の透過軸と上記第2成分光の偏光方向とのなす角αは、0°<α≦30°であってもよい。
【0023】
また、上記偏光変換素子は、上記第1成分光および上記第2成分光のそれぞれを互いに逆回転の楕円偏光に変換する波長板であり、上記位相変調素子は、空間的に周期的に配列された、複数の第1偏光領域および複数の第2偏光領域を含み、上記第1偏光領域と上記第2偏光領域とは、互いに透過軸が異なる偏光子であってもよい。
【0024】
また、上記波面変調素子は、上記第1成分光の波面の曲率と、上記第2成分光の波面の曲率とを異ならせる構成であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るホログラム記録装置は、単一の光路を通る干渉性の低い光を用いて、被写体の再生像を得るために必要なホログラムを1回の撮像で記録することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態について図に基づいて以下に説明する。説明の便宜上、各項目において、上述の項目に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略することがある。
【0028】
〔実施形態1〕
(デジタルホログラフィ装置1の構成)
図1は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置1の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置1は、記録装置10(ホログラム記録装置)と再生装置15とを備える。記録装置10は、偏光分割素子11(位相変調素子)、空間光変調器12(SLM:spatial light modulator)(波面変調素子)、偏光子13(LP:light polarizer)(偏光変換素子)、および撮像装置14を備える。再生装置15は、コンピュータ等の計算機によって構成することができる。
【0029】
ここでは被写体である物体(図示せず)から来る光を物体光と称する。物体光は、物体によって反射、回折または散乱された光、あるいは蛍光、高次高調波である。物体光は、記録装置10に入射される。物体光の伝播方向に直交する1つの方向を第1方向と定義し、物体光の伝播方向および第1方向に直交する方向を第2方向と定義する。ここでは、第1方向を垂直方向と表し、第2方向を水平方向と表す。図においては、垂直方向を縦方向の矢印で表し、水平方向を横方向の矢印で表す。物体光は、互いに偏光方向が異なる第1成分光と第2成分光とを含む。ここでは記録装置10に入射する物体光において、第1成分光は垂直方向の成分を有する光であり、第2成分光は水平方向の成分を有する光である。ここでは、物体光は、干渉性の低いインコヒーレント光(例えば自然光または蛍光)である。記録装置10に入射された物体光は、偏光分割素子11、空間光変調器12、および偏光子13を通過して、撮像装置14の撮像面14aに到達する。このように記録装置10は、単一の光路中に、偏光分割素子11、空間光変調器12、および偏光子13を備える。なお、物体光はそれぞれの光学素子において屈折および反射され得るが、
図1においては物体光の光路は模式的に直線で描いている。
【0030】
偏光分割素子11は、入射した光の偏光方向に応じて異なる方向に光を通過させる。偏光分割素子11を通過した物体光のうち、垂直方向成分の光の進行方向と水平方向成分の光の進行方向とは角度θ異なる。すなわち、偏光分割素子11は、垂直方向成分の光の位相に対して水平方向成分の光の位相を変調させることにより、垂直方向成分の光(第1成分光)と水平方向成分の光(第2成分光)との進行方向に角度差θを生じさせる。なお水平方向成分の光の位相は空間的に連続かつ線形に変調される。
【0031】
図2は、偏光分割素子11の構成の例を示す断面図である。
図2の(a)に示す例では、偏光分割素子11は、光学等方性の光学素子からなる平板部11aと、光学異方性の光学素子からなる複数の楔部11bとを有する。なお断面に垂直な方向の構造は一様である。
図2の(b)に示す例では、偏光分割素子11は、光学等方性の光学素子からなる平板部11aと、光学異方性の光学素子からなる1つの楔部11cとを有する。
図2の(c)に示す例では、偏光分割素子11は、台形の断面形状を有する光学異方性の1つの光学素子11dからなる。
図2の(a)〜(c)に示す偏光分割素子11は、いずれも同じように機能し、通過する物体光の、垂直方向成分の光の進行方向と水平方向成分の光の進行方向とを角度θ異ならせる。なお、偏光分割素子11の前後の向きは逆になっていてもよい。
【0032】
空間光変調器12は、垂直方向成分の光(第1成分光)の位相を変調させ、垂直方向成分の光を球面波に変換する。空間光変調器12は、水平方向成分の光(第2成分光)に対しては位相の変調を行わない。そのため、水平方向成分の光は、空間光変調器12の通過前と通過後とで進行方向および波面形状は変わらない。
【0033】
偏光子13は、透過軸の方向の成分のみを通過させる。偏光子13の透過軸は、垂直方向と水平方向の間の第3方向に設定する。すなわち、偏光子13は、垂直方向成分の光のうちの透過軸方向成分と、水平方向成分の光のうちの透過軸方向成分とを通過させる。偏光子13を通過した物体光は、透過軸方向に偏光している。偏光子13を通過した物体光は、垂直方向成分の光のうちの透過軸方向成分と、水平方向成分の光のうちの透過軸方向成分との重ね合わせである。ここでは便宜上、垂直方向成分の光のうちの透過軸方向成分を波面変調光と称し、水平方向成分の光のうちの透過軸方向成分を位相変調光と称す。波面変調光は偏光子13を通過した第1成分光であり、位相変調光は偏光子13を通過した第2成分光である。
【0034】
透過軸の向き(第3方向)は、垂直方向と水平方向の間の任意の方向に設定することができる。透過軸が垂直方向に近いか、水平方向に近いかに応じて、偏光子13を通過した波面変調光と位相変調光との強度の比が変化する。強度比(位相変調光の強度/波面変調光の強度)が大きくなる程、再生像における0次回折光の高空間周波数成分によるノイズ成分の影響がより少なくなり、画質を保ったまま広範囲の高分解イメージングを達成できる。一方、強度比(位相変調光の強度/波面変調光の強度)が小さくなる程、物体の情報を含む光(波面変調光)の利用効率が高くなるので、干渉縞のコントラストが高くなり、得られる再生像のコントラストも向上する。位相変調光の強度と波面変調光の強度とが同程度の場合、再生像の明るさおよびコントラストが高い。それゆえ、画質を保ったままの広範囲・高分解イメージングを重視する場合、透過軸と水平方向(第2成分光の偏光方向)とがなす角度αを0°<α≦30°とすることができる。また、コントラストを重視する場合、透過軸と水平方向とがなす角度αを30°<α<90°とすることができる。
【0035】
撮像装置14は、撮像するための複数の画素が並んだ撮像面14aを有し、撮像面14aに到達した光の強度を記録する。撮像装置14は、CCD等の撮像素子を有する。物体光は単一の光路を経て撮像面14aに到達するので、物体光の一部である波面変調光と位相変調光とは自己干渉する。球面波と平面波とが干渉すると、フレネルゾーンパターン(干渉縞)が形成される。波面変調光と位相変調光とは、偏光方向が同じであるので、撮像面14a上において、干渉縞(フレネルゾーンパターン)を形成する。撮像装置14は、撮像面14a上に形成された干渉縞を記録する。この干渉縞は物体光の情報を有するホログラムである。撮像装置14は、撮像した干渉縞の画像データを再生装置15に出力する。なお、波面変調光と位相変調光とは、厳密に球面波と平面波とである必要は無い。波面変調光および位相変調光の波面形状(波面の曲率)が異なっていれば干渉縞が形成される。そのため、空間光変調器12は、垂直方向成分の光と水平方向成分の光との波面形状(波面の曲率)を異ならせる働きをすればよい。
【0036】
また、物体光の偏光方向を斜め方向の直線偏光とすることにより最終的により鮮明な干渉縞を得るために、偏光分割素子11の前(被写体側)に、偏光子13とは別の偏光子を配置してもよい。また、分解能または撮影可能範囲を向上させるために、偏光分割素子11の前に、拡大光学系または縮小光学系を導入してもよい。また、干渉フィルタまたはカラーフィルタ等の波長を選択的に透過させる素子を物体光の光路中に導入することにより、特定の波長における干渉縞を得ることもできる。
【0037】
再生装置15は、得られた干渉縞に対して並列位相シフト法(parallel Phase-shifting digital holography)を適用して像再生処理を行い、再生像を得る。
【0038】
(記録装置10で記録されるホログラム)
本実施形態では、波面変調光の光軸に対して位相変調光の光軸が撮像面14aに対して2次元的に角度θ傾くようにする。なお角度は波面変調光の光軸を基準として考える。画素の行方向(横方向)における位相変調光の光軸の傾きをθxとし、画素の列方向(縦方向)における位相変調光の光軸の傾きをθyとする。
【0039】
ここでは、撮像面14aに入射する波面変調光の光軸と位相変調光の光軸との間の、画素の行方向における角度θxおよび画素の列方向における角度θyが、
0<sinθx<λ/(2d) …(1)
0<sinθy<λ/d …(2)
となるようにする。ここで、λは物体光の波長、dは撮像装置14の画素のピッチである。例えば、sinθx=λ/(4d)、sinθy=λ/(2d)としてもよい。
【0040】
図3は、撮像面14aに入射する波面変調光の光軸に対する位相変調光の光軸の、画素の列方向におけるsinθy=λ/(2d)のときの角度θyを説明する図である。
図3では、撮像面14aの列方向に並ぶ複数の画素を黒点で示し、各画素に入射する波面変調光および位相変調光の進行方向を矢印で示す。列方向における各画素のピッチはdである。位相変調光および波面変調光は、数個の画素の範囲ではほぼ平面波と見なすことができる。波面変調光の光軸は撮像面14aの法線に一致し、位相変調光の光軸は撮像面14aの法線から画素の列方向において角度θy傾いている。
【0041】
図3に示すように、上から1番目の画素に入射する位相変調光と、2番目の画素に入射する位相変調光とは光路がd×sinθy異なる。すなわち、光路がλ/2異なる。2番目の画素への光路が半波長長いので、1番目の画素に入射する位相変調光の位相に対して、2番目の画素に入射する位相変調光の位相はπ遅れる。すなわち、隣接する画素の間で、位相変調光の位相がπ異なる。同様に、1番目の画素に入射する位相変調光と3番目の画素に入射する位相変調光との位相差は2π(=0)である。
【0042】
1番目の画素に入射する波面変調光および位相変調光の位相シフト量を基準(0)とすると、2番目の画素上での波面変調光および位相変調光の位相シフト量はπとなり、3番目の画素上での波面変調光および位相変調光の位相シフト量は0となる。ここでは、波面変調光の光軸に沿って進む波面変調光および位相変調光の光軸に沿って進む位相変調光を考えたとき、波面変調光の位相に対する位相変調光の位相の遅れまたは進み(位相のずれまたは位相がシフトした量)を位相シフト量と定義している。実際には画素は点ではなく面なので、各画素上における位相シフト量の平均が、0またはπになる。これにより、画素行毎に、位相シフト量(0、π)が交互に変わる。
【0043】
行方向の角度θxについても同様のことが言え、行方向における隣接画素の位相変調光の位相が角度θxに応じて異なる。このように、偏光分割素子11は、第1成分光に対する第2成分光の位相シフト量に、空間的に周期的に変化する分布を生じさせる。例えばsinθy=λ/(2d)のとき、画素の列方向においては、位相シフト量の分布が画素ピッチの2倍の周期(第1空間周期)で変化する。例えばsinθx=λ/(4d)のとき、画素の行方向においては、位相シフト量の分布が画素ピッチの4倍の周期(第2空間周期)で変化する。そのため、1回の撮像で記録されるホログラムは、位相シフト量が互いに異なる複数種類のホログラムを含む。このように記録装置10によって1回の撮像で記録されるホログラムには、互いに位相シフト量が異なる複数種類のホログラムが空間分割多重されている。
【0044】
なお、角度θyは式sinθy=λ/(2d)に限定されないが、式sinθy=λ/(2d)を満たす場合、特に精細な再生像を得ることができる。
【0045】
(像再生処理)
再生装置15は、記録装置10によって記録されたホログラムから、再生像を生成する。像再生処理において、再生装置15は、角度θyによって生成された空間キャリアを利用して、空間キャリア位相シフト法によって回折光から0次回折光を除去する。あるいは、再生装置15は、全画素領域またはある領域における光強度の平均値をホログラムから差し引くことによって回折光から0次回折光を除去することもできる。また、像再生処理において、再生装置15は、角度θxによって生成された空間キャリアを利用して、フーリエ変換縞解析法によって回折光から共役像(−1次回折光)を除去する。なお、像再生処理においては、波面変調光を一般のデジタルホログラフィにおける物体光と見なし、位相変調光を一般のデジタルホログラフィにおける参照光と見なして、計算を行う。これにより、波面変調光(1次回折光)を再生することができる。再生装置15は、波面変調光(すなわち物体光の垂直方向成分の光)を用いて回折積分を行うことにより、任意の奥行き位置の被写体の再生像を得ることができる。
【0046】
(デジタルホログラフィ装置1の効果)
デジタルホログラフィ装置1は、偏光分割素子11によって、物体光の水平方向成分の光の進行方向を、垂直方向成分の光の進行方向に対して角度θ傾ける。ここで、水平方向成分の光の進行方向は、記録装置10の画素の列および行の両方の方向に傾けられる。これにより、記録されるホログラムに複数種類の位相シフト量の画素が含まれる。デジタルホログラフィ装置1は、空間光変調器12によって、垂直方向成分の光の波面の曲率と、水平方向成分の光の波面の曲率とを異ならせる。デジタルホログラフィ装置1は、偏光子13によって、垂直方向成分の光および水平方向成分の光を、互いに干渉するように、第3方向(斜め方向)の偏光に変換する。デジタルホログラフィ装置1は、記録装置10によって、第3方向の偏光が形成する干渉縞(ホログラム)を記録する。
【0047】
本実施形態では、デジタルホログラフィ装置1は、単一光路において物体光を自己干渉させるので、干渉性の低い光を用いてホログラムを記録することができる。また、デジタルホログラフィ装置1は、単一光路において、直交する2つの方向成分のうちの一方の方向成分の位相を空間的に線形に変調させることで、該一方の方向成分に複数種類の位相シフト量を生じさせる。そのため、デジタルホログラフィ装置1は、単一光路を用いて1回の撮像において(1フレームで)記録されたホログラムに、0次回折光および−1次回折光を除去するために、位相シフト量が異なる複数種類のホログラムを含めることができる。それゆえ、デジタルホログラフィ装置1は、記録装置10のフレームレートで被写体の3次元の情報を含むホログラムを記録することができる。よって、デジタルホログラフィ装置1は、干渉性の低い光を用いて、動く物体の3次元の動画の記録を可能にする。
【0048】
(変形例)
なお、空間キャリア位相シフト法およびフーリエ変換縞解析法を用いずに軸外し(off-axis)法を用いて再生像を得ることもできる。この場合も、偏光分割素子11を通過後の第2成分光の位相シフト量は、空間的に周期的に変化していると言える。ただしこの場合、0次回折光および−1次回折光が残留したままなので、空間キャリア位相シフト法およびフーリエ変換縞解析法を用いる場合よりも、鮮明な再生像を得られる領域が狭くなり再生像のダイナミックレンジが減少する。
【0049】
図1の偏光分割素子11の代わりに、空間光変調器12とは別の空間光変調器を配置し、物体光の進行方向を変化させることなく、上記別の空間光変調器の画素毎に異なる位相シフト量を生じさせてもよい。ただし、上記別の空間光変調器の画素毎に水平方向成分の位相を変化させると(すなわち離散的に位相を変化させると)、上記別の空間光変調器から多くの回折光が発生し、光利用効率の低下および画質の劣化が生じうる。そのため、画質を重視する場合、偏光分割素子11のように、空間的に線形かつ空間的に連続的に位相を変調させる偏光光学素子を用いることが好ましい。
【0050】
図4は、本実施形態の変形例のデジタルホログラフィ装置1aの構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置1aは、記録装置10aと再生装置15とを備える。記録装置10aでは、
図1の記録装置10に比べて、偏光分割素子11と空間光変調器12との位置が入れ替わっている。
図4に示す記録装置10aも、
図1に示す記録装置10と同様に機能する。
【0051】
図5は、本実施形態の他の変形例のデジタルホログラフィ装置1bの構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置1bは、記録装置10bと再生装置15とを備える。記録装置10bは、偏光分割素子11、空間光変調器12、偏光子13、および撮像装置14に加えて、2つのレンズ16a、16bおよび空間フィルタ17を備える。レンズ16a、空間フィルタ17、およびレンズ16bは、例えば空間光変調器12および偏光子13の間に、この順に配置される。このように、空間フィルタ17によって物体光に種々のフィルタを適用することもできる。
【0052】
また、
図1に示す記録装置10において偏光分割素子11の被写体側に波長フィルタ(波長選択フィルタ)を設け、物体光の干渉性を良くするために、偏光分割素子11等に入射する物体光の波長範囲を狭くしてもよい。
【0053】
なお、
図1に示す記録装置10および
図4に示す記録装置10aのいずれにおいても、全ての光学素子(偏光分割素子11、空間光変調器12、および偏光子13)を、撮像装置14の撮像面14aに貼り合わせた構成とすることもできる。
【0054】
〔実施形態2〕
本実施形態では、試料に含まれる蛍光分子が発する蛍光を観察するデジタルホログラフィ装置について説明する。
【0055】
(デジタルホログラフィ装置2の構成)
図6は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置2の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置2は、記録装置20(ホログラム記録装置)と蛍光顕微鏡装置21と再生装置15とを備える。記録装置20は、空間光変調器12、波長板アレイ28(位相変調素子)、偏光子13、およびカラー撮像装置29を備える。蛍光顕微鏡装置21は、光源22、波長フィルタ23、ビーム分割素子24、顕微鏡対物レンズ25、およびレンズ27を備える。ビーム分割素子24は、励起光の一部を通過させかつ蛍光の一部を反射するように、例えば2色性ミラーまたはハーフミラー等を有する。
【0056】
観察対象である生体試料26には、蛍光標識として複数種類の蛍光分子が含まれる。複数種類の蛍光分子は、互いに波長の異なる蛍光を発生させる。デジタルホログラフィ装置2は、生体試料26内の蛍光標識された物質を被写体として観察することができる。生体試料26は例えば細胞等である。
【0057】
光源22は、蛍光分子を励起させるための励起光を発生させる。波長フィルタ23は、励起に必要ない波長の光を遮蔽する。波長フィルタ23を通過した励起光は、ビーム分割素子24および顕微鏡対物レンズ25を通過し、生体試料26に照射される。
【0058】
生体試料26の中の複数種類の蛍光分子は、励起光によって励起し、複数の波長の蛍光を発生させる。生体試料26から出射された蛍光は、顕微鏡対物レンズ25によって拡大され、ビーム分割素子24によって反射される。レンズ27は、蛍光が拡がって蛍光の強度が小さくなるのを防ぐために、通過した蛍光を平行光に近づける。レンズ27を通過した蛍光は、物体光として記録装置20に入射する。
【0059】
空間光変調器12を通過した蛍光は、波長板アレイ28および偏光子13を通過し、カラー撮像装置29の撮像面29aに入射する。空間光変調器12および偏光子13の働きは、実施形態1と同じである。波面変調光は第1成分光が偏光子13を通過したものであり、位相変調光は第2成分光が偏光子13を通過したものである。
【0060】
図7は波長板アレイ28、偏光子13、および撮像面29aの関係を示す図である。なお、
図7は、波長板アレイ28、偏光子13、および撮像面29aの一部を拡大して示している。波長板アレイ28は、空間的に周期的に配列された、複数の位相変調領域28a・28bを有する。波長板アレイ28において、線状の位相変調領域28aと線状の位相変調領域28bとは交互に並んで配置されている。位相変調領域28aを通過した水平方向成分の光に対し、位相変調領域28bを通過した水平方向成分の光は、その位相がπ/2だけずれる(位相がシフトする)。なお、位相のずれηはπ/2に限らず、任意に設定することができる。一方、位相変調領域28a・28bは、垂直方向成分の光に対しては、位相のずれは生じさせない、または変調する位相の量は同じである。すなわち位相変調領域28aを通過した垂直方向成分の光に対し、位相変調領域28bを通過した垂直方向成分の光の位相のずれは0である。このように、波長板アレイ28は、位相変調領域28a・28b毎に、垂直方向成分の光に対する水平方向成分の光の位相シフト量を、異ならせる光学素子である。波長板アレイ28は、複数の位相変調領域に対応して(例えば厚さが異なる)複数の波長板(位相差板)を配置することにより、構成することができる。各位相変調領域28a・28bの遅相軸は同一方向であり、垂直方向または水平方向に一致する。
【0061】
位相変調領域28a・28bのそれぞれは、撮像面29aの画素29bの1つの画素行に対応する。なお1つの位相変調領域28a・28bが複数の画素行に対応していてもよい。ここでは、位相変調領域28aを通過した蛍光は、対応する1つの画素行29cに入射し、位相変調領域28bを通過した蛍光は、対応する他の1つの画素行29dに入射する。このように対応するように、波長板アレイ28および偏光子13は撮像面29aに貼り合わせられている構成とすることができる。または、波長板アレイ28と撮像面29aとの間に、結像光学系(レンズ)を配置することもできる。なお、カラー撮像装置29は、色を識別するためにRGB(赤緑青)に対応する複数の画素を有する。例えば1つの画素行29aはRGBの各画素を含み、1つの画素29bは、RGBのいずれかに対応する。
【0062】
なお、ここでは波長板アレイ28の各位相変調領域は線状の領域であるが、これに限らない。例えば複数の位相変調領域が、各色成分の複数の画素29bに対応して、配置されていてもよい。
【0063】
(記録装置20で記録されるホログラム)
図8は、各画素における位相シフト量を示す図である。画素行29cに入射する波面変調光および位相変調光の位相シフト量を基準(0)とすると、画素行29dに入射する波面変調光および位相変調光の位相シフト量はπ/2となる。このように、波長板アレイ28は、ホログラム上において第1成分光(波面変調光)に対する第2成分光(位相変調光)の位相シフト量に、空間的に周期的に変化する分布を生じさせる。このように、記録装置20は、RGBの色成分毎に、位相シフト量の異なる複数のホログラムを記録することができる。再生装置15は、ある色成分について位相シフト量の異なる複数のホログラムを用いて、並列位相シフト法によって、対応する蛍光標識がされた物質の再生像(1次回折光)を得ることができる。一方、再生装置15は、別の色成分について位相シフト量の異なる複数のホログラムから、別の蛍光標識がされた物質の再生像を得ることができる。
【0064】
(デジタルホログラフィ装置2の効果)
本実施形態では、デジタルホログラフィ装置2は、蛍光顕微鏡装置21によって蛍光をホログラムに記録することができる。また、波長板アレイ28によって、空間分割多重された複数種類のホログラムを1回の撮像によって(1フレームで)得ることができる。そのため、像再生処理において複数種類のホログラムを用いて所望の再生像を得ることができる。また、カラー撮像装置29によって色を識別することができるので、デジタルホログラフィ装置2は、生体試料26の中の複数種類の蛍光分子の3次元の位置の情報を同時にホログラムとして記録することができる。利用者は、その再生像を用いて、複数種類の蛍光分子のそれぞれの動きを観察することができる。
【0065】
(変形例)
なお、上述した波長板アレイ28の代わりに、位相変調領域28aの遅相軸が垂直方向であり位相変調領域28bの遅相軸が水平方向であり、各位相変調領域28a・28bにおいて高速軸と遅相軸との間に生じる位相差が同じである波長板アレイを用いることもできる。この場合、波長板アレイによって、位相変調光だけでなく、波面変調光にも空間的に周期的な位相のずれが与えられる。
【0066】
また、各位相変調領域28a・28bの遅相軸が同一方向であり、波面変調光にのみ空間的に周期的な位相のずれを与える波長板アレイを用いることもできる。この場合、波面変調光における位相シフト量の分布に応じて生成される空間キャリアに起因して、像再生処理において抽出された波面変調光の複素振幅情報に空間的に周期的な位相のずれが含まれる。再生装置は、波面変調光における空間的に周期的な位相のずれを補正することで、所望の再生像を得ることができる。
【0067】
ただし、上述した波長板アレイ28のように、波面変調光には空間的に周期的な位相のずれを生じさせず、位相変調光にのみ空間的に周期的な位相のずれを生じさせる方が、予期せぬ回折光の発生を防ぐことができるため、画質を良くできる可能性がある。
【0068】
〔実施形態3〕
本実施形態では、試料に含まれる蛍光分子が発する蛍光を観察するデジタルホログラフィ装置の他の実施形態について説明する。
【0069】
(デジタルホログラフィ装置3の構成)
図9は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置3の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置3は、記録装置30(ホログラム記録装置)と蛍光顕微鏡装置21と再生装置15とを備える。記録装置30は、空間光変調器12、波長板32(偏光変換素子)、偏光子アレイ33(位相変調素子)、および撮像装置14を備える。観察対象である生体試料31には、蛍光標識として1種類の蛍光分子が含まれる。
【0070】
空間光変調器12を通過した蛍光は、波長板32および偏光子アレイ33を通過し、撮像装置14の撮像面14aに入射する。空間光変調器12の働きは、実施形態1と同じである。波面変調光は垂直方向成分の光が波長板32を通過したものであり、位相変調光は水平方向成分の光が波長板32を通過したものである。
【0071】
波長板32は、1/4波長板である。波長板32は、その遅相軸が垂直方向と水平方向との間になるように配置される。ここでは、遅相軸と水平方向とのなす角は45°である。空間光変調器12で波面が変調された第1成分光(垂直方向偏光)は、波長板32によって、ある回転方向の円偏光(楕円偏光)に変換される。一方、第2成分光(水平方向偏光)は、波長板32によって、逆回転方向の円偏光に変換される。例えば、第1成分光(波面変調光)は右回りの円偏光であり、第2成分光(位相変調光)は左回りの円偏光である。
【0072】
図10は、偏光子アレイ33および撮像面14aの関係を示す図である。
図10では、偏光子アレイ33および撮像面14aの一部を拡大して示す。偏光子アレイ33は、マトリクス状に空間的に周期的に配列された4種類の偏光領域33a・33b・33c・33dを含む。偏光領域33aは右上がり方向(45°方向)の偏光成分のみを通過させる。偏光領域33bは水平方向(0°方向)の偏光成分のみを通過させる。偏光領域33cは左上がり方向(−45°方向)の偏光成分のみを通過させる。偏光領域33dは垂直方向(90°方向)の偏光成分のみを通過させる。2行×2列の4つの偏光領域33a〜33dを単位として、各偏光領域33a〜33dが周期的に配置されている。各偏光領域33a〜33dが撮像面14aの各画素に対応するように、偏光子アレイ33は撮像面14a上に配置されている。すなわち1つの偏光領域33aを通過した光は、1つの画素に入射する。
【0073】
(記録装置30で記録されるホログラム)
図11は、各画素における位相シフト量を示す図である。波面変調光の円偏光と位相変調光の円偏光とは、互いに逆向きに回転している。波面変調光および位相変調光が偏光領域33aに入射すると、それらの水平方向より45°方向の偏光成分のみが通過する。例えば、水平方向より45°の偏光を基準にして、偏光領域33aを通過した波面変調光および位相変調光との位相シフト量を0とする。
【0074】
これに対して、波面変調光および位相変調光が偏光領域33bに入射すると、それらの水平方向偏光成分(0°方向の偏光成分)のみが通過する。各偏光領域に入射する波面変調光および位相変調光とは互いに逆方向に回転する円偏光である。そのため、偏光領域33aを通過した波面変調光および位相変調光に比べて、例えば、偏光領域33bを通過した波面変調光の成分は位相がπ/4進み、偏光領域33bを通過した位相変調光の成分は位相がπ/4遅れる。すなわち、偏光領域33bを通過すると波面変調光の位相に対して位相変調光の位相がπ/2遅れる。偏光領域33bを通過した波面変調光および位相変調光との位相シフト量はπ/2となる。
【0075】
同様に、偏光領域33cを通過した波面変調光および位相変調光との位相シフト量はπとなる。同様に、偏光領域33dを通過した波面変調光および位相変調光との位相シフト量は3π/2となる。ここでは、水平方向より+45°方向の偏光を透過する偏光領域33aを通過した波面変調光および位相変調光の位相の関係を基準にし、波面変調光の位相に対する位相変調光の位相の遅れまたは進みを位相シフト量と定義している。
【0076】
4種類の偏光領域33a〜33dに対応して、π/2刻みの4種類の位相シフト量の波面変調光および位相変調光が得られる。なお、4種類の偏光領域33a〜33dは、任意の並びに配置することができる。また、偏光子アレイを、互いに通過させる偏光方向が異なる2種類の偏光領域を有する構成とすることもできる。この場合、2種類の位相シフト量(例えば0、π/2)の波面変調光および位相変調光が得られる。このように、偏光子アレイ33は、第1成分光(波面変調光)に対する第2成分光(位相変調光)の位相シフト量に、空間的に周期的に変化する分布を生じさせる。
【0077】
各偏光領域33a〜33dを通過した波面変調光および位相変調光は、対応する画素に入射する。波面変調光および位相変調光は、撮像面14aで干渉して干渉縞(ホログラム)を形成する。このように、記録装置30は、位相シフト量の異なる複数のホログラムを記録することができる。再生装置15は、位相シフト量の異なる複数のホログラムを用いて、並列位相シフト法によって、蛍光標識がされた物質の再生像(1次回折光)を得ることができる。
【0078】
(デジタルホログラフィ装置3の効果)
本実施形態では、デジタルホログラフィ装置3は、蛍光顕微鏡装置21によって蛍光をホログラムに記録することができる。また、偏光子アレイ33によって、空間分割多重された複数種類のホログラムを1回の撮像によって(1フレームで)得ることができる。そのため、像再生処理において複数種類のホログラムを用いて所望の再生像を得ることができる。利用者は、その再生像を用いて、複数の蛍光分子の動きを観察することができる。
【0079】
〔実施形態4〕
本実施形態では、試料に含まれる蛍光分子が発する蛍光を観察するデジタルホログラフィ装置のさらに他の実施形態について説明する。
【0080】
(デジタルホログラフィ装置4の構成)
図12は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置4の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置4は、記録装置40(ホログラム記録装置)と蛍光顕微鏡装置21と再生装置15とを備える。記録装置40は、第1空間光変調器41(波面変調素子)、第2空間光変調器42(位相変調素子)、レンズ43・44、偏光子13、および撮像装置14を備える。蛍光顕微鏡装置21の構成は実施形態3と同様である。
【0081】
第1空間光変調器41は、反射型の空間光変調器であり、上述の空間光変調器12と同様の働きをする。すなわち、第1空間光変調器41は、垂直方向成分の光の波面の曲率を変化させる。
【0082】
第2空間光変調器42は、反射型の空間光変調器であり、
図6に示す波長板アレイ28または
図4に示す偏光分割素子11と同様の働きをする。すなわち、第2空間光変調器42は、複数種類のホログラムを空間分割多重するために、水平方向成分の光の位相を、領域毎に異なる変化量で変化させる。
【0083】
レンズ43およびレンズ44は結像光学系を構成する。結像光学系は、第2空間光変調器42において回折または散乱が生じる場合に、第2空間光変調器42の各画素と撮像装置14の各画素とを対応付けるため、回折または散乱した光を結像させるものである。偏光子13の構成は
図6または
図4に示す偏光子13と同じである。
【0084】
記録装置40は、実施形態1または実施形態2と同様に、1回の撮像で複数種類のホログラムを記録することができる。このように、波長板アレイまたは偏光分割素子の代わりに第2空間光変調器42を用いることもできる。もちろん、空間光変調器は反射型に限らず、透過型であってもよい。
【0085】
〔シミュレーション1〕
本発明の実施形態に基づくホログラムの記録および再生のシミュレーション結果について説明する。
【0086】
図13は、本発明の実施形態3に基づくシミュレーションに用いる光学系を示す図である。記録装置30は、
図9に示すものと同じである。被写体は、球形の2つの蛍光源51a・51bである。蛍光源51aは記録装置30から見て手前側に、蛍光源51bは記録装置30から見て奥側に存在する。ここで、2つの蛍光源51a・51bは、蛍光顕微鏡装置によって拡大された像を仮定したものである。蛍光源51a・51bは、偏光していない干渉性の低い蛍光を出射する。
【0087】
シミュレーションの条件は以下の通りである。蛍光の波長はλ=532nmである。撮像素子の画素数は512×512(横×縦)、画素ピッチは横方向4μm、縦方向4μmである。蛍光源51a・51b(拡大された像)の直径はそれぞれ40μmである。
【0088】
上記の条件の下、計算機によって、波面変調光と位相変調光とが撮像面14aに形成するホログラムを記録し、再生像を計算するシミュレーションを行った。なお、ホログラムの記録も計算機によるシミュレーションによって行っている。
【0089】
図14は、被写体の再生像に関して、シミュレーションの結果を示す画像である。なお、比較のために、従来の方法で行ったシミュレーションの結果も示す。
【0090】
図14の(a)は、非特許文献4に記載の方法でシミュレーションを行って得られた、手前側の蛍光源51aの再生像を示す画像である。このシミュレーションでは、複数回の撮像で記録した複数のホログラムから再生像を再生した。
図14の(d)は、同じシミュレーションで得られる奥側の蛍光源51bの再生像を示す画像である。この方法では条件を変えて複数回の撮像を行う必要があり、蛍光源51a・51bが動く場合には適さない。
【0091】
図14の(b)は、非特許文献4に記載の方法で別のシミュレーションを行って得られた、手前側の蛍光源51aの再生像を示す画像である。ただし、このシミュレーションでは1回の撮像で記録した1つのホログラムから再生像を再生した。
図14の(e)は、同じシミュレーションで得られる奥側の蛍光源51bの再生像を示す画像である。1つ(1種類)のホログラムからでは不要な像成分(0次回折光および−1次回折光)を除去することができず、不要な像成分がノイズとして残る。
【0092】
図14の(c)は、本発明の実施形態3の方法でシミュレーションを行って得られた、手前側の蛍光源51aの再生像を示す画像である。このシミュレーションでは、1回の撮像で空間分割多重記録した複数種類のホログラムから再生像を再生した。
図14の(f)は、同じシミュレーションで得られる奥側の蛍光源51bの再生像を示す画像である。
図14の(b)(c)(e)(f)の右下に平均二乗誤差を示す。本発明の実施形態によれば、1回の撮像で、ノイズの少ない再生像を得ることができる。動く物体を被写体とする場合、本発明の実施形態で得られる再生像(
図14(c)(f))は、従来の方法で得られる再生像(
図14(b)(e))に比べて、誤差を1/100程度にすることができる。そのため、記録装置30は、干渉性の低い蛍光を用いて、動く被写体の精度の高い3次元情報を含むホログラムを記録することができる。
【0093】
〔シミュレーション2〕
本発明の実施形態に基づくホログラムの記録および再生の他のシミュレーション結果について説明する。
【0094】
図15は、本発明の実施形態1に基づくシミュレーションに用いる光学系を示す図である。記録装置10aは、
図4に示すものと同じである。被写体は、球形の複数の蛍光源61である。ここで、複数の蛍光源61は、蛍光顕微鏡装置によって拡大された像を仮定したものである。シミュレーションの条件はシミュレーション1と同様である。
【0095】
上記の条件の下、計算機によって、波面変調光と位相変調光とが撮像面14aに形成するホログラムを記録し、再生像を計算するシミュレーションを行った。なお、ホログラムの記録も計算機によるシミュレーションによって行っている。
【0096】
図16は、シミュレーションにおける被写体およびその再生像を示す画像である。
図16の(a)は、記録装置10aから見た複数の蛍光源61を示す画像であり、
図16の(d)は、その拡大画像である。
図16の(b)は、記録装置10aにおいて記録されるホログラムを示す画像であり、
図16の(e)は、その拡大画像である。
図16の(c)は、本発明の実施形態1の方法でシミュレーションを行って得られた複数の蛍光源61の再生像を示す画像である。このシミュレーションでは、1回の撮像で空間分割多重記録した複数種類のホログラムから再生像を再生した。シミュレーションの結果から、本発明の実施形態によれば、複数の蛍光源61の分布を精度よく再生することができることがわかる。そのため、記録装置10aは、干渉性の低い蛍光を用いて、動く被写体の精度の高い3次元情報を含むホログラムを記録することができる。
【0097】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。