(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のスイッチ接点をさらに備え、前記可動構造は、前記支持体から前記第1のスイッチ接点に向かう第1の方向に延在し、かつ、前記第1のスイッチ接点の上に延在する、請求項1に記載のMEMS構成要素。
前記制御電極は、第2の方向の前記可動構造の端部を超えて前記第2の方向に延在し、前記第2の方向は、前記第1の方向とは異なる、請求項2に記載のMEMS構成要素。
前記接点担体部分が接点を担持し、前記接点担体部分の長さまたは前記接点の高さのうちの一方または両方は、前記制御電極のエッジ近くにトラップされた電荷からの力を閾値未満に減少させるように選択される、請求項1に記載のMEMS構成要素。
前記可動構造の第2の部分は、前記支持体から第3の方向に延在し、前記第3の方向は、前記第1の方向に対して実質的に反対であり、前記第2の部分は、第2の制御電極と重複する、請求項2に記載のMEMS構成要素。
使用時、前記第2の制御電極は、前記可動構造の前記第2の部分を引き付け、それによって前記可動構造を付勢して前記第1のスイッチ接点との係合から離すために、電圧に選択的に接続されることが可能である、請求項6に記載のMEMS構成要素。
支持体によって第1の位置に支持された変形可能構造を備えるMEMS構成要素であって、前記変形可能構造は、さらなる接触表面と接触し、かつ、制御電極から離れているが、その近くを通過する接点を担持し、前記制御電極と前記変形可能構造との間の電位差が前記変形可能構造に力を与えて変形させ、前記変形可能構造は、前記変形可能構造に発生するピーク応力を制限するように構成されており、前記接点と前記支持体との間の前記変形可能構造の長さは、ピーク応力を制限するように同様の構成要素の長さを超えて増加される、MEMS構成要素。
前記バンパーは、前記制御電極と重複する領域内の前記可動構造上に形成されており、開口部が前記制御電極の対応する部分に形成されている、請求項13に記載のMEMSスイッチ。
前記基板と前記支持体との間に与えられる熱応力を減少させるように、前記支持体の下部のエッジに隣接して形成された凹部またはチャネルをさらに備える、請求項16に記載のMEMS構成要素。
前記基板の凹部の上に配置された片持ち梁または梁として形成された部分を有する第1のスイッチ接点をさらに備え、前記MEMS構成要素がオン状態のとき、前記スイッチ部材は、前記基板に向かってたわむように構成されており、前記MEMS構成要素がオン状態のとき、前記第1のスイッチ接点は、前記スイッチ部材によってその上に与えられる圧力に応じてたわむように構成されている、請求項21に記載のMEMSスイッチ。
前記スイッチ部材は、第2の部分をさらに備え、前記第2の部分は、前記支持体から前記第1の方向と反対の第3の方向に延在し、かつ、前記第2の制御電極の上に延在する、請求項28に記載のMEMS電気スイッチ。
前記第2の制御電極は、高インピーダンス経路によって前記第1の制御電極に接続されており、前記第2の制御電極の電圧は、前記第1の制御電極の電圧よりも遅れる、請求項28に記載のMEMS電気スイッチ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、本明細書は、基板、支持体、可動構造、および制御電極を備えるMEMS構成要素を開示する。支持体は、基板から延在し、基板に隣接する可動構造の第1の部分を保持し、可動構造は、制御電極と重複し、この可動構造はエッジによって境界が定められ、制御電極は可動構造のエッジを超えて延在する。
【0005】
可動構造は、支持体から離れて延在してもよい。いくつかの変形例では、可動構造は、支持体に取り付けられて、例えば、片持ち梁または梁を形成するが、他の変形例では、支持体と可動構造との間に中間アーム部が延在してもよい。
【0006】
使用時、制御電極の周囲の静電場は、基板が誘電体を含む場所の基板内に電荷をトラップすることができる。可動構造の端部または側部を超えて制御電極を延在させることにより、全てのトラップされた電荷と可動構造との間の距離が増加する。これは、例えばMEMS構成要素がスイッチの場合、スイッチの開離がより確実になる。
【0007】
有利には、可動構造は、支持体に回転可能に載置され、その両側に延在することができる。このような配設はシーソーに類似するが、本明細書の関連では、シーソーの個々の側部が同じ長さである必要はない。このような配設では、支持体のそれぞれの側部は、可動構造の両側を基板に向かって引くことができるように、それぞれの制御電極に関連付けられ得る。一方の側部を引き下げることにより、「シーソー」の他方の側部を持ち上げ、それによってスイッチを能動的に引いて開く能力を提供する。
【0008】
本開示の第2の態様では、支持体によって第1の位置に支持された変形可能構造を備え、変形可能構造が、さらなる接触面と接触する接点を担持し、制御電極から離れているが、その近くを通過する、MEMS構成要素を開示する。制御電極と変形可能構造との間の電位差は、変形可能構造に力を与えてそれを変形させ、この変形可能構造が、変形可能構造内に発生するピーク応力を制限するように修正される。
ピーク応力を制限することにより、構成要素内で受ける力の下で、構成要素で使用されている材料が降伏する危険性が減少する。
【0009】
第3の態様では、基板、支持体、可動構造、および制御電極を備え、可動構造が、基板の上に支持体によって保持されて制御電極の上に延在するように配設される、MEMSスイッチを開示する。基板および可動構造のうちの少なくとも一方は、使用時に制御電極から離間して可動構造を保持するように、その上に形成された少なくとも1つの構造を有する。
【0010】
使用時、オーバードライブ電圧または材料の降伏は、可動構造を付勢し、それを制御電極に触れさせるように屈曲させることがある。これを防ぐための少なくとも1つの構造を設けることにより、このような問題がなくなる。
【0011】
第4の態様では、第1の熱膨張係数を有する基板と、構造から延在して第2の熱膨張係数を有する支持体とを含む、MEMS構成要素を開示する。MEMS構成要素は、基板と支持体との間の界面に、またはその近くに形成されて、第1の膨張係数よりも大きい第3の膨張係数を有する膨張修正構造をさらに備え、膨張修正構造は、その界面の付近の基板の第1の係数と異なる第4の膨張係数をシミュレートするために、その界面の付近の基板に熱膨張力を与えるように配設される。
【0012】
熱膨張差は、支持体内に、それを変形させて最終的に支持体に取り付けられた構成要素または要素の向きに影響を与える力を、発生させることがある。膨張修正構造の使用は、このような影響を減少させることができる。
【0013】
第5の態様では、基板から上向きに延在して基板の表面の上に、または基板内に形成された窪みの上に延在する構造を担持する支持体を有し、構造が、構造の下からの材料の化学的除去を促進するために、その中に複数のスロットおよび/または開口部を提供される、MEMS構成要素を開示する。
【0014】
製造中に犠牲材料を除去できないと、構成要素の収量が減少することになる。エッチング剤がデバイスに浸透するための開口部を提供することにより、収量が向上する。
【0015】
第6の態様では、基板、支持体、および支持体によってある位置に支持されたスイッチ部材を備え、スイッチ部材の一部が支持体から離れて第1の方向に第1のスイッチ接点に向かって第1の制御電極の上に延在する、MEMSスイッチを開示する。MEMSスイッチは、スイッチ部材の一部に隣接する第2の制御電極をさらに備え、第2の制御電極とスイッチ部材との間に作用する引力が、スイッチ部材を付勢して第1のスイッチ接点から離す。
【0016】
スイッチの能動的開閉を提供する制御電極を設けることにより、動作の信頼性が向上する。スイッチが常時閉じているように製造時に応力がスイッチ部材に導入された、または寸法が変えられた常時閉型スイッチでは、第1の制御電極を省略することができ、スイッチは、能動的に駆動されて開くが、第2の制御電極からの制御電圧の除去に応じて閉じる。
【0017】
可動構造またはスイッチ部材は、支持体の対向側に配置された第1および第2の部分を有すると概念上考えることができる。これは、スイッチ部材と第2の制御電極との間の引力が、スイッチ部材と第1の制御電極との間の引力に対して反対に作用することを可能にする。その力の相対的強度は、制御電極の相対的幅、スイッチ部材からのそれらの距離、支持体からのそれらの距離、供給される電圧、またはこれらのパラメータの任意の組合せを制御することによって、変えることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2の制御電極は、第2の制御電極への電圧が第1の制御電極への電圧よりも遅れるように、高インピーダンスによって第1の制御電極に接続することができる。電極を接続する大きいインピーダンスと第2の電極のキャパシタンスとがRCフィルターを形成する。したがって、制御電圧を第1の電極に印加してスイッチを閉じると、第2の電極が充電を開始し、それによって、保持電圧を第1の制御電極に印加しながら、スイッチを開くには不十分であるように選択された開離力を提供する。第1の電極から駆動信号が除去されると、第2の電極上の電圧が減衰するのにしばらく時間がかかり、この間に第2の制御電極とスイッチ部材との間の引力がスイッチを開き、第1のスイッチ接点への導電性経路が存在しなくなる。
【0019】
第7の態様では、本明細書は、第1のスイッチ接点、第2のスイッチ接点、制御電極、基板、支持体、ばね、および導電要素を備えるMEMSスイッチをさらに開示する。支持体は、第1および第2のスイッチ接点から離れて形成され、ばねは、支持体から第1および第2のスイッチ接点に向かって延在し、かつ第1および第2の接点の少なくとも一方の上に離間されて保持されるように導電要素を担持し、ばねおよび/または導電要素は、制御電極に隣接して通過する。
【0020】
したがって、導電要素に要求される機械的特性からばねに要求される機械的特性を切り離すことが可能である。
【0021】
2つ以上の様々な態様は、単一の実施形態に組み合わせられて存在してもよい。
【0022】
したがって、例えば、導電要素を担持するばねの使用は、第1の態様の拡張された電極と、および/またはピーク応力を制限する特徴と、および/または第6の態様のシーソー設計と、組み合わせられて存在してもよい。
【0023】
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
基板と、
支持体と、
可動構造と、
制御電極と、を備えるMEMS構成要素であって、
前記支持体が前記基板から延在し、前記基板に隣接する前記可動構造の一部を保持し、前記可動構造が前記制御電極と重複し、前記可動構造がエッジによって境界を定められ、前記制御電極が前記可動構造の前記エッジを超えて延在する、MEMS構成要素。
(項目2)
第1のスイッチ接点をさらに備え、前記可動構造が、前記支持体から前記第1のスイッチ接点に向かう第1の方向に、かつ前記第1のスイッチ接点の上に延在する、上記項目に記載のMEMS構成要素。
(項目3)
第2の方向の前記制御電極の空間的広がりが前記第2の方向の前記可動構造の前記空間的広がりよりも大きい、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目4)
前記可動構造が前記支持体から遠位の端壁を有し、前記制御電極が、前記可動構造の接点担体部分の領域を除いて、前記端壁を越えて延在する、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目5)
前記接点担体部分が接点を担持し、前記接点担体部分の長さまたは前記接点の高さのうちの一方または両方が、前記制御電極のエッジ近くにトラップされた電荷からの力を閾値未満に減少させるように選択される、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目6)
前記接点担体および前記接点担体に隣接する前記基板のうちの少なくとも一方が、その中に形成された表面凹部を有する、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目7)
前記可動構造の第2の部分が前記支持体から第3の方向に延在し、前記第3の方向が前記第1の方向に対して実質的に反対であり、前記第2の部分が第2の制御電極と重複する、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目8)
使用時、前記第2の制御電極が、前記可動構造の前記第2の部分を引き付け、それによって前記可動構造を付勢して前記第1のスイッチ接点との係合から離すために、電圧に選択的に接続され得る、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目9)
支持体によって第1の位置に支持された変形可能構造を備えるMEMS構成要素であって、前記変形可能構造が、さらなる接触表面と接触し、かつ制御電極から離れているが、その近くを通過する接点を担持し、前記制御電極と前記変形可能構造との間の電位差が前記変形可能構造に力を与えて変形させ、前記変形可能構造が前記変形可能構造に発生するピーク応力を制限するように修正される、MEMS構成要素。
(項目10)
前記長さが増加してピーク応力を制限する、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目11)
前記変形可能構造の厚みが増加する、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目12)
前記変形可能構造の幅が不均一である、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目13)
前記変形可能部材と前記制御電極との間の接触が起こる前に、前記接点の長さが増加してピーク応力を増加させる、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目14)
基板と、
支持体と、
可動構造と、
制御電極と、を備えるMEMSスイッチであって、
前記可動構造が、前記支持体によって前記基板の上に保持され、かつ前記制御電極の上に延在するように配設され、前記基板および前記可動構造のうちの少なくとも一方が、使用中に前記可動構造を前記制御電極から離間して保持するようにその上に形成された少なくとも1つの構造を有する、MEMSスイッチ。
(項目15)
垂下バンパーまたは支持体が、前記可動構造上に形成され、前記制御電極に触れないように配設される、上記項目に記載のMEMSスイッチ。
(項目16)
前記垂下バンパーが前記制御電極の片側に形成される、上記項目のいずれか一項に記載のMEMSスイッチ。
(項目17)
前記垂下バンパーが前記制御電極と重複する領域内の前記可動構造上に形成され、開口部が前記制御電極の対応する部分に形成される上記項目のいずれか一項に記載のMEMSスイッチ。
(項目18)
前記構造が、前記制御電極と前記可動構造との間に形成された絶縁体を備える、上記項目のいずれか一項に記載のMEMSスイッチ。
(項目19)
第1の熱膨張係数を有する基板と、
前記基板から延長し、かつ第2の熱膨張係数を有する支持体と、を備えるMEMS構成要素であって、前記基板と前記支持体との間の界面に、またはそれに隣接して形成され、前記第1の膨張係数よりも大きい第3の膨張係数を有し、かつ前記界面付近の前記基板で前記第1の係数とは異なる第4の膨張係数をシミュレートするために前記界面付近の前記基板に熱膨張力を与えるように配設された膨張修正構造をさらに備える、MEMS構成要素。
(項目20)
前記第3の熱膨張係数が前記第2の熱膨張係数よりも大きい、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目21)
前記膨張修正構造が、前記支持体の下部の下に埋め込まれたプレートまたはブロック状構造を備える、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目22)
前記膨張修正構造が、前記基板の一部によって前記支持体から隔離される、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目23)
前記膨張修正構造が、前記支持体のエッジを超えて延在する、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目24)
前記膨張修正構造が、アルミニウムまたは銅から形成される。上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目25)
前記MEMS構成要素がスイッチであり、スイッチ部材が前記支持体によって支持される、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目26)
前記支持体が、前記支持体を複数の直立の要素に分割するように、その中に形成されたスロットを有する、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目27)
前記スロットが、前記支持体を通して延在し、それを複数の柱に分割する、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目28)
前記スイッチ部材が、その長さの一部に沿ってスロットを付けられる、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目29)
前記基板と前記支持体との間に与えられる熱応力を減少させるように、前記支持体の下部のエッジに隣接して形成された凹部またはチャネルをさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目30)
空隙の上の片持ち梁または梁として形成された領域を有する第1のスイッチ接点をさらに備え、その結果、前記第1のスイッチ接点が、前記スイッチ部材によってその上に与えられる圧力に応じてたわむことができる、上記項目のいずれか一項に記載のMEMSスイッチ。
(項目31)
基板から上向きに延在して、前記基板の表面または前記基板に形成された窪みの上に延在する構造を担持する、支持体を有し、前記構造が、前記構造の下からの材料の化学的除去を促進するように、その中に複数のスロットおよび/または開口部が提供される、MEMS構成要素。
(項目32)
前記MEMS構成が、第1のスイッチ接点に向かって前記基板の上に延在するスイッチ部材(32)を有するスイッチであり、少なくとも1つの開口部および/またはスロットが、前記スイッチ部材の一部がエッジまたは開口部から常に20ミクロン未満であるように、前記スイッチ部材内に形成される、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目33)
基板と、
支持体と、
前記支持体によってある位置に支持されたスイッチ部材と、を備え、その結果、前記スイッチ部材の一部が、前記支持体から第1のスイッチ接点に向かう第1の方向に、かつ第1の制御電極の上に延在する、MEMSスイッチであって、前記MEMSスイッチが、前記スイッチ部材の一部に隣接する第2の制御電極をさらに備え、その結果、前記第2の制御電極と前記スイッチ部材との間に作用する引力が、前記スイッチ部材を付勢して前記第1のスイッチ接点から離れさせる、MEMSスイッチ。
(項目34)
前記第1および第2の制御電極が、前記支持体に対して対向する半円の領域内に位置する、上記項目のいずれか一項に記載のMEMSスイッチ。
(項目35)
前記スイッチ部材が、前記支持体から前記第1の方向と反対の第3の方向に、かつ前記第2の制御電極の上に延在する、第2の部分をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のMEMSスイッチ。
(項目36)
前記第2の制御電極が、静電保護または過電圧保護デバイスを介して前記第1の制御電極に接続される、上記項目のいずれか一項に記載のMEMSスイッチ。
(項目37)
前記第2の制御電極が、高インピーダンス経路によって前記第1の制御電極に接続され、その結果、前記第2の制御電極の電圧が第1の制御電極の電圧よりも遅れる、上記項目のいずれか一項に記載のMEMSスイッチ。
(項目38)
前記第2の制御電極の電圧が、分圧器によって設定された前記第1の制御電極の電圧の分率になる傾向がある、上記項目のいずれか一項に記載のMEMSスイッチ。
(項目39)
第1のスイッチ接点と、
第2のスイッチ接点と、
制御電極と、
基板と、
支持体と、
ばねと、
導電要素と、を備えるMEMSスイッチであって、
前記支持体が前記第1および第2のスイッチ接点から離れて形成され、前記ばねが前記支持体から前記第1および第2のスイッチ接点に向かって延在して前記導電要素を担持し、その結果、前記導電要素が前記第1および第2の接点のうちの少なくとも一方の上に離間して保持され、前記ばねおよび/または前記導電要素が前記制御電極の近くを通過する、MEMSスイッチ。
(項目40)
前記ばねに使用される長さ、幅、厚み、および材料のうちの少なくとも1つが、所望の復元力のために選択される、上記項目に記載のMEMSスイッチ。
(項目41)
前記導電要素の長さ、幅、厚み、および材料のうちの少なくとも1つが、第1の閾値を超える破壊電圧を与えながら、前記第1のスイッチ接点と第2のスイッチ接点との間の距離にわたるように、選択される、上記項目のいずれか一項に記載のMEMSスイッチ。
(項目42)
支持体、可動要素、前記可動要素に隣接する制御電極、および前記可動要素と前記支持体との間に延在する捻じりアームを備える、MEMS構成要素。
(項目43)
前記可動要素の対向側に配置されて、第1および第2のアームによってそこに接続された第1および第2の支持体を備える、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目44)
前記制御電圧に電圧が印加されると、前記アームの回転変位に対して平行な方向に沿って、この前記第1および第2の支持体が互いに整合される、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目45)
前記可動要素が、前記捻じりアームの両側で反対方向に延在し、前記第1の制御電極に電圧を印加すると、前記可動要素を付勢して前記捻じりアームを中心にして第1の方向に回転させ、前記第2の制御電極に電圧を印加すると、前記可動要素を付勢して前記捻じりアームを中心にして前記第1の方向と反対の第2の方向に回転させる、上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
(項目46)
前記構成要素がスイッチであり、前記可動要素がスイッチ接点を担持する上記項目のいずれか一項に記載のMEMS構成要素。
【0024】
(摘要)
MEMSスイッチが、改善された稼働寿命、およびオン・オフの切り換えに対するよりよい制御を示すように、MEMSスイッチの動作性能を改善するいくつかの特徴を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(いくつかの実施形態の説明)
微小機械加工システム(MEMS)構成要素は、当業者に公知である。このような構成要素の一般的な実施例は、固体ジャイロスコープおよび固体加速度計である。
スイッチもまた、MEMS技術で利用可能である。原則として、MEMSスイッチは、長く、信頼性の高い動作寿命を提供するべきである。しかしながら、このようなデバイスは、期待されていた動作寿命を示さない傾向がある。この開示は、MEMSスイッチで起こるプロセスの調査および同定に基づく。本明細書の教示は、他のMEMSデバイスに関連することができる。
【0027】
図1は、全般的に1として示されるMEMSスイッチの概略図である。スイッチ1は、基板2の上に形成される。基板2は、例えばシリコンなどの半導体である。シリコン基板は、チョクラルスキー法、CZプロセス、またはフロートゾーン法などのプロセスによって形成されるウエハであり得る。CZプロセスは、フロートゾーン法を使用して得られるものよりも物理的に堅牢であるシリコン基板を生じるが、フロートゾーンは、高周波回路での使用により適しているより高い抵抗率を有するシリコンを実現する。
【0028】
シリコン基板は、任意選択的にアンドープポリシリコンの層4によって覆うことができる。ポリシリコンの層4は、キャリアライフタイムキラーとして機能する。これは、CZシリコンの高周波性能を改善することを可能にする。
【0029】
酸化シリコン(一般的にSiO
2)などである誘電体層6は、基板2および任意のポリシリコン層4の上に形成される。誘電体層6は、2段階で形成することができ、金属層を堆積し、マスク後、エッチングして導体10、12、および14を形成する。次に、誘電体層6の堆積の第2の段階を行うことができ、導体10、12、および14が誘電体層6内に埋め込まれた
図1に示される構造を形成する。
【0030】
誘電体層6の表面は、誘電体層6の一部の上に形成された比較的耐摩耗性の導体によって設けられた第1のスイッチ接点20を有する。第1のスイッチ接点20は、1つ以上のバイア22を介して導体12に接続される。同様に、制御電極23は、導体14の上に形成され、1つ以上のバイア24によってそれに電気的に接続することができる。
【0031】
スイッチ部材32のための支持体30も、誘電体層6の上に形成される。支持体30は、層6の選択された部分の上に堆積した下部領域34を備え、下部領域34は導体10の上に配置される。下部領域34は、1つ以上のバイア36を介して導体10に接続される。
【0032】
典型的なMEMSスイッチでは、導体10、12、および14は、アルミニウムまたは銅などの金属から作ることができる。バイアは、アルミニウム、銅、タングステン、または任意の他の適切な金属または導電材料から作ることができる。第1のスイッチ接点20は、任意の適切な金属でよいが、ロジウムが耐摩耗性であるので選択されることが多い。処理を容易にするために、制御電極は、第1のスイッチ接点20または下部領域34と同じ材料で作ることができる。下部領域34は、金などの金属で作ることができる。
【0033】
支持体30は、例えば、誘電体層6の表面から離れて延在する壁または複数のタワーの形態の少なくとも1つの直立部分40をさらに備える。
【0034】
スイッチ部材32は、直立部分40の最上部から延在する可動構造を形成する。スイッチ部材32は、典型的には(必ずしもそうではないが)支持体30から第1のスイッチ接点20に向かって、方向Aとして
図1に示される第1の方向に延在する片持ち梁として設けられる。スイッチ部材20の端部42は、第1のスイッチ接点32の上に延在し、垂下接点44を担持する。直立部分40およびスイッチ部材32は、下部領域32と同じ材料で作ることができる。
【0035】
MEMS構造は、スイッチ部材32および第1のスイッチ接点20を囲むように誘電体層6の表面に接合されたキャップ構造50または他の適切な構造によって、保護することができる。適切な接合技術は、当業者には公知である。
【0036】
スイッチ1は、リレーおよび、FETスイッチなどの固体トランジスタスイッチを置き換えるために使用することができる。この分野の多くの専門家は、FETで使用されている用語を採用している。したがって、導体10はソースと呼ぶことができ、導体12はドレインと呼ぶことができ、導体23は、ゲート端子14に接続されたゲートを形成する。ソースとドレインは、スイッチの動作に影響を与えることなく、交換することができる。
【0037】
使用時、駆動電圧が駆動回路からゲート23に印加される。ゲート23とスイッチ部材32との間の電位差によって、例えば、ゲート23の表面上の正電荷が片持ち梁型のスイッチ部材32の底面上の負電荷を引き付ける。これは、スイッチ部材32を基板2の方に引っ張る力を作用させる。この力はスイッチ部材を湾曲させ、垂下接点44が第1のスイッチ接点20に接触する。
【0038】
実際には、スイッチがオーバードライブされ、接点44を第1のスイッチ接点20に対して比較的強く保持する。
【0039】
しかしながら、このようなスイッチは、いくつかの実用上の問題を示す。
【0040】
第1に、スイッチが数時間から数日にわたって閉状態(導通状態)に保持されると、ゲート信号を除去したときにスイッチが開く(高インピーダンスになる)ことができない場合がある。
【0041】
第2に、スイッチは、温度に影響され、一般的に、低温では閉じることがより困難になり、温度が上昇すると、制御信号が存在しない状態で閉じるまでに、閉じることがより容易になる。
【0042】
第3に、閉じられた状態で、スイッチが破壊して操作不能になる場合がある。
これらの特性は、MEMSスイッチの採用を妨げていた。
【0043】
(開閉)
上述のように、スイッチは、ゲート23とスイッチ部材32との間に作用する静電力に応じて閉じる。スイッチは、スイッチ部材32のばね作用によって開く。
スイッチを開くために作用するばねまたは復元力は、スイッチ部材32を形成する材料の幅および深さなどの寸法の関数である。材料の選択もまた、ばね力に変化をもたらす。直立部分30および下部34の寸法と材料も、復元力に影響を与えることができる。
【0044】
閉成力は、ゲート23とスイッチ部材32との間の電圧差と、支持体30からのゲート23の距離と、の関数である。
【0045】
しかしながら、閉成力に影響を与える他の現象が、本発明者らによって観測されている。
【0046】
図2は、ゲート電極32の周囲の電場の線とともにゲート23およびスイッチ部材32を示す。
【0047】
図2に示す配設では、ゲート23は、スイッチ部材32に対して正に帯電するように正電圧に接続される。実際には、ユーザーは、ゲートを負または正に駆動するかどうかを選択することができ、適切なゲート電圧の取得し易さによって決定することができる。電場のベクトルは、ゲート23から始まり、スイッチ部材32の方に伸びる。引力の大部分は、ゲートが設けられた領域62で発生する。ゲート23上の電位はまた、ゲート電極23のエッジに隣接する領域66に電場60を生成する。この電場は、領域66の「+」の記号によって概略的に表されるように、電荷を誘電体層6内に蓄積させることができる。この電荷は、閉状態に駆動されているスイッチに数時間かけて蓄積し、ゲート電圧が除去されると、数時間かけて減衰する。
【0048】
発明者らは、この機構が有効であり、ゲート23を形成する金属の大きさと形状を修正して、トラップされた電荷の領域62とスイッチ部材32との間の距離を増加させることができ、それによって、トラップされた電荷に起因する引力を減少させることができることを見出した。
図2はまた、アンドープポリシリコンの層4を省略できることを示す。
【0049】
(電荷トラッピングの減少)
誘電体層6内にトラップされる電荷に起因する望ましくない閉成力を減少させるために、発明者らは、スイッチ部材32の下の露出した誘電体の領域を減少させることが望ましいことを見出した。これは、ゲートの大きさを増加することにより達成することができる。ゲートの寸法は、
図3に示すように、ゲートがスイッチ部材32の側面エッジを超えて延在するように、
図1および
図2の面に対して直角に、
図1および
図3のBで示される第2の次元で増加させることができる。
図3は、
図1に示すスイッチの一部の平面図である。スイッチ部材32は、スイッチ部材32から延在する、かつゲート23の空間的広がりを超えて延在するスイッチ部材32の一部を画定する、接点担体部分70を有するように輪郭が形成される。したがって、スイッチ部材32の側面72および74について考察すると、これらはゲート23の上に位置するので、ゲートはスイッチ部材34の側面72および74を超えて延在し、エッジを誘電体6内の電荷トラッピングの影響からシールドする。同様に、スイッチ部材32の前方エッジ76は、第1のスイッチ接点20に達する必要がある接点担体部分70を除いて、ゲート23を超えて延在しない。
【0050】
この構成は、鎖線82によって全体的に囲まれた領域内のゲート23の前方エッジ80に隣接して発生する電荷ビルドアップのみが、引力を接点担体部分70に与えることができることを意味する。この電荷トラッピングの相互作用の大幅な減少は、ゲート電圧が除去されたときにスイッチが「貼り付き状態」になることを防ぐために十分である。出願人が社内試験設備で終えた試験では、スイッチを数ヶ月間にわたって「オン」に駆動後、ゲート電圧を除去したときに正常に解放された。これは、1日程度後に張り付き状態になる可能性がある従来技術のスイッチに対して大幅な改善である。
【0051】
しかしながら、
図3に示されるスイッチの他の設計特徴もまた、そのスイッチオフ性能を向上させる。
図4および5は、接点担体部分70の長さ、および垂下接点44の大きさの影響を比較し、対比する。
【0052】
図4および
図5では、片持ち梁が下側の基板に対して角度θにあり、第1のスイッチ接点20は、高さh1を有し、接点44は高さh2を有する。
【0053】
図4に示す配設では、接点担体70は長さL1(エッジ76と担体チップ78との間)を有する。ゲート23は、ガード距離dgだけ前方エッジ76を超えて延在する。接点担体70と誘電体6内の潜在的にトラップされた電荷との間の距離は、ゲートの前方エッジの「+」の記号によって
図4に表される。
妥当な近似では、分離距離Sは、
S=(L1−dg)sinθ+h1+h2
接点担体70のより長い長さが距離Sを増加させ、したがってトラップされた電荷と担体70との間の引力を減少させることが理解できる。同様に、接点44の接点高さを増加させることも距離Sを増し、第1のスイッチ接点20を形成するために使用される金属の厚みを増加させることもそのようになる。
【0054】
したがって、接点担体70が、比較的長い長さL1を有し、かつ比較的深い接点44を有する
図4において、距離Sは、接点担体70が、より短くてL1未満の長さL2を有し、接点44の接点高さh2も縮小された
図5に示されるものよりも大幅に大きい。
【0055】
一方の誘電体6の領域66内にトラップされた電荷と他方のスイッチ部材32および接点担体70との間の距離の関数である引力もまた、スイッチ部材32および/または接点担体70の材料の輪郭を修正することによって、減少できることが直感的に理解できる。
【0056】
図6は、スイッチ部材32を形成する金属の深さと比較して、接点担体70を形成する金属の深さを減少させるように修正されたスイッチ部材32の端部を示す。金属の厚みを減少させることにより、垂下接点44とスイッチ部材32の本体との間に空隙90が生成される。これは、基板6と接点担体70との間の距離を増加させるので、トラップされた電荷によって与えられる閉成力を減少させる。さらに、またはあるいは、凹部92をゲート電極23と第1のスイッチ接点20との間の誘電体層6内に形成してもよい。これもまた、トラップされた電荷によって与えられる引力を減少させるように働く。
【0057】
(応力下での材料の降伏)
上述のように、ゲート電圧によって与えられる引力は、片持ち梁のスイッチ部材32を変形させる、具体的には湾曲させる。片持ち梁32が湾曲し始めると、ゲート電極に近接し、引力が増加する。さらに、低い「オン」抵抗のためには、垂下接点44を第1のスイッチ接点20に対して保持する必要があるので、スイッチをオーバードライブすることが一般的である。
【0058】
金属は、負荷の下で降伏する場合があり、変形した形状を示し始める。降伏の割合はまた、温度によって影響される。
【0059】
図7aは、閉位置にある片持ち梁型のスイッチ部材32の概念的な輪郭を示し、
図7bは、スイッチ部材32の材料が、ゲート電極23によって与えられる閉成力の下で降伏するとき、片持ち梁型のスイッチ部材32の輪郭が、時間の経過で如何に変化する可能性があるかを概略的に示す。
【0060】
図7aに示す配設では、スイッチ部材32の高さは、支持体30からの距離の増加とともに滑らかに減少する。しかしながら、降伏の影響、またはかなり過度のオーバードライブは、スイッチ部材32をゲート領域23の上で過剰にたわませる。極限では、スイッチ部材32がゲート23に接触する可能性があり、この場合、ゲートとスイッチ部材との間の電流が、ゲート電圧を提供する駆動回路の破壊をもたらす可能性がある。この現象は、「絶縁破壊」として説明することができる。
【0061】
スイッチが開いているとき、垂下接点44が第1のスイッチ接点20に接触せず、スイッチ部材32が片持ち梁であるので、そのたわみを推定することができる。
【0062】
スイッチ部材32のこの力の分析は、所与の点の力がゲート電極までの局所距離に依存するので、複雑である。
【0063】
しかしながら、片持ち梁型のスイッチ部材32がゲート電極23に平行であり、かつゲート23が比較的広大である理想的な開位置から始まる第1の近似では、スイッチ部材32は、均一に負荷を受ける片持ち梁として近似される。
【0064】
均一に負荷を受ける片持ち梁の自由端のたわみd
Bは、次のように近似することができる、
【0066】
qは単位長さ当たりの力である
Lは梁の長さである
Eは弾性率である
Iは面積慣性モーメントである。
スイッチ部材32内の応力はまた、弾性曲げ応力の式で表すことができる、
【0068】
σは「中立面」からの距離yにおける通常の曲げ応力である
mは片持ち梁のセクション内の抵抗モーメントである
Iは面積慣性モーメントである。
【0070】
wは梁の幅である
hは梁の垂直厚みである。
接点44および20が触れると、状況がより複雑であるたわみの性質となり、片持ち梁タイプのたわみと、対向する端部で支持されて負荷を受ける梁のたわみと、の混合になる。これは、支持体30および支持体として作用する接点が負担する力が同じではないためである。
【0071】
2つの単純な支持体によって支持されて均一に負荷を受ける梁において、中間点のたわみDは次の式で与えられる、
【0073】
接点44および20は、組み合わせられて単純な支持体を近似するが、スイッチ部材32と支持体30との間の界面はない。したがって、これらの式のいずれもが正確にはスイッチ部材32のたわみを記述しないが、その挙動に有益な知見を提供する。
また、応力が過剰になると、梁の材料が恒久的に変形することに注意されたい。
発明者らは以下を見出した、実際の応力について、
1) スイッチ部材32内の応力は、スイッチ部材32をより長くすることによって減少させることができる、
2) 梁内の応力は、慣性モーメント(または面積のモーメントとして公知)を増やすことによって減少させることができる。
発明者らはまた、以下を見出した、オーバードライブ応力について、
3) 作動力を接点部分の方に動かすことによって応力が減少する、
4) 面積のモーメントを増やすことによって応力が減少する。
したがって、より厚いおよび/またはより長い梁を使用することにより、材料内の応力を減少させる、したがって恒久的な変形を減少させるとともに、復元(開離)力を維持することが可能になる。
【0074】
しかしながら、応力を制御する他の解決策もまた、援用することができ、先に定めたように次のように記述できる、
【0078】
したがって、梁の幅を修正することにより、梁内の応力が変化する。梁の幅を梁のほぼ中間で半減させると、この点の応力が倍増することが理解される。しかしながら、応力は梁に沿って均等化する傾向があり、ピーク応力を減少させる。
【0079】
これを説明するために、
図8aは直線的な片持ち梁100の平面図を示し、一方
図8bは先端まで直線的に先細るテーパー状の片持ち梁102の平面図を示す。片持ち梁100および102は、
図8cに表されるように、同じ側面輪郭を有する。
【0080】
図8dは、距離の関数として片持ち梁の梁内の応力のプロットを示す。直線的な梁100内の応力は、ライン110によって表される。応力は、支持体30における最大値から先端におけるゼロまで直線的に変化する。テーパー状の梁内の応力は、より低い最大値を示すライン112によって表される。テーパー加工は、直線的である必要がなく、梁の大部分がテーパー加工されなくてもよい。
【0081】
より長い梁が閉成力を減少させ、より厚い梁が梁の変形の危険性を減少させるが、スイッチ部材32の設計を修正して、その作動性能を改善し、かつスイッチ部材がゲートに触れる座屈を防ぐために、他の技術を使用することもできる。
【0082】
そのような接触の危険性を減少させる一方法は、垂下チップ44の長さを増やすことである。これは、即ち、スイッチ部材が、接触が起こる前に、
図7bで示されるタイプのより多くの歪みを受けることができることを意味する。
【0083】
さらに、またはあるいは、以下を含む他の措置を講じてもよい、
a) 梁の座屈を抑制するための梁または基板上の1つ以上の支持構造の形成、
b) より厚いスイッチ部材32の使用、
c) ゲートとスイッチ部材32との間の誘電体の提供。
図9は、1つ以上の追加の支持体120を有する片持ち梁のスイッチ部材32を概略的に示す。支持体120は、バンパーとみなすことができ、垂下接点44を形成するために使用される同じ処理ステップを使用して形成することができ、追加の処理ステップをもたらさない。1つ以上の支持体(バンパー)120は、ゲート上へのスイッチ部材32の座屈を防ぐために設計者が適当と思う任意のパターンおよび間隔で設けることができる。支持体120は、スイッチ部材32と電気的に接触し、ゲート電極23と接触してはならない。したがって、ゲート電極構成は、その、またはそれぞれの追加の支持体120に隣接するゲートの部分を除去することにより、そのような接触を防ぐように修正する必要があり得る。したがって、
図9では、支持体120の下のゲート23内に間隙122が形成される。このような間隙は、
図10に概略的に示すように、ゲート23内にエッチングされた開口部によって形成することができる。
さらに、またはあるいは、支持体124は、ゲート23のエッジを超えて設けることができる。
【0084】
支持体は、
図9に示されるピンまたはカラム状の構造として設けることができるが、そのような形状に限定されない。例えば、支持体は、必要に応じて細長く、壁の形態であってもよい。
【0085】
支持体は、基板に触れるとき、スイッチ部材32の支持されていないスパンを減少させる。これは、2つの支持体によって支持された梁のたわみがL
4、Lは支持体間の距離、に比例するので、絶縁破壊の危険性を大幅に減少させる。
【0086】
上述のように、接点の高さおよび梁の厚みもまた、大きな影響を有する。これは、金から作られた7、8、および9μmの厚みを有する片持ち梁において、95μmのスパンと、200nm〜400nmの垂下接点の高さと、を有する片持ち梁の梁について実験的に調査した。破壊電圧は、200nmの接点深さを有する厚みが7μmの片持ち梁の約65Vから、400nmの接点深さを有する厚みが9μmの片持ち梁の198Vまでの範囲であった。このデータは、
図11に図示され、7μmの片持ち梁がライン140で表され、厚みが8μmの片持ち梁がライン144で表され、9μmの片持ち梁がライン148で表される。
【0087】
厚みが8μmの片持ち梁のスパンを30μmまで短縮することにより、片持ち梁がゲート上に座屈する破壊電圧は、
図12のライン150で表されるように、200nmの接点44の240Vから400nmの接点44の600Vまで増加した。
【0088】
したがって、接点の高さの修正、梁の厚みの修正、またはバンパーの使用は、破壊電圧を修正するために単独で、または任意の組合せで使用することができるが、選択された手法が他の動作パラメータに影響を与える場合もある。
【0089】
デバイスを絶縁破壊から保護するための別の手法は、
図13に示すように、薄い誘電体で覆われるようにゲートを埋め込むことである。このような手法は、スイッチを閉じるために必要なゲート電圧を増加する場合もあるが、第1のスイッチング接点をゲートに近接させてトラップされた電荷の影響を減少させる可能性を可能にし、埋め込みゲート23を有するデバイスは、長時間にわたって閉じられることが予想されるスイッチにより適切であり得る。ゲートの上の誘電体は、パターン化されて、その中に開口部、トレンチなどを形成してゲート電極を部分的に露出させること、およびスイッチ部材をゲートから離して保持する支持構造を形成することができる。
【0090】
図9に示すスイッチへの別の修正では、ゲート23から絶縁された金属スイッチ接点は、バンパー120および124の下に配置されて、第1のスイッチ電極20に接続することができ、片持ち梁型のスイッチ部材32の過度の屈曲は、スイッチのドレインとソースとの間にさらなる電流経路を追加する。あるいは、バンパーの下の接点は、第2のスイッチ接点を形成するために使用することができる。
【0091】
スイッチ部材32がゲート23に触れることを防ぐためのバンパーを提供することに加えて、または代わりに、スイッチ部材の有効幅またはその厚みを修正して、スイッチ部材32を比較的硬くすることができる。したがって、スイッチ部材32は、支持体30と最も内側のバンパー124との間(
図9を参照)などの既知の領域内にたわみが集中するように、ゲートの上を通るセクションでは比較的厚いまたは比較的広いが、他の場所ではより薄くまたはより狭くなることができる。
【0092】
スイッチを制御する能力に影響する別の特徴は、温度である。これは、主に熱膨張係数の不整合、およびそれがもたらす力に起因する。
【0093】
図14は、簡略化のために第1の温度T
0でXの辺の長さを有すると仮定される支持体30の上面から水平方向に延在する片持ち梁型のスイッチ接点32を概略的に示す。温度が上昇すると、支持体および基板が膨張する。
【0094】
基板が膨張係数Aを有し、支持体が膨張係数Bを有し、BがAよりも大きいとき、基板が支持体30の下部を保持して圧縮するので、支持体は、その下部では基板とともに膨張するが、支持体の上部では実質的に通常の膨張を受けると想定できる。金の熱膨張係数はシリコンのおよそ5倍であるので、温度が上昇すると、温度の上昇に応じて、
図15に示すように、支持体の壁が支持体の上部に向かって広がる。
【0095】
初期に、これは、スイッチをより容易に始動させて閉じさせることができる。実際に約250℃で、従来技術のスイッチは自然に閉じることになる。しかしながら、これは、時間の経過とともに梁を湾曲させる可能性があり、それが今度はスイッチの閾値電圧を変化させる可能性がある。片持ち梁型のスイッチ部材は、使用時にそのような高い温度に曝されないことが予想される。しかしながら、例えばガラスフリットを使用してキャップ50を基板に接合することは、約440℃のプロセス温度を必要とすることがある。したがって、製造時、熱の影響によって、梁が比較的強く閉位置に強制されることがあり、高い温度では梁がより容易に降伏する場合がある。したがって、これが発生することを防ぐ特徴を備えることが有益である。
【0096】
膨張はまた、
図14および15のページの面に直角な方向で起こる。さらなる応力は、熱的に循環する材料のアニール処理よって構造内にトラップすることができる。
同様に、温度の低下はスイッチ接点を上向きにたわませる。これらの外乱は望ましくない。
【0097】
発明者らは、温度が原因となるそのようなスイッチの動作点の変化を減少させるいくつかの構造を提供する。
【0098】
第1の手法は、支持体の下部に起こる膨張量を修正することを含む。支持体の下部、またはその周囲の材料は、膨張により容易に対応するように修正することができる。
金の熱膨張係数は、1℃当たり7.9×10
−6である。シリコンは、2.8×10
−6の係数を有する。アルミニウムなどの他の金属は13.1×10
−6の係数を有し、銅は9.8×10
−6の係数を有する。
【0099】
異なる材料間の膨張係数のこの差は、梁の変位を相殺するために使用することができる。
【0100】
第1の構造では、金属板を支持体の下部の近くに設けることができる。概して水平方向の膨張修正構造160を、
図16に示すように、設けることができる。構造160は、アルミニウムまたは銅の層であり、その目的は、温度の上昇とともに膨張して支持体30の下部近くの基板に力を与え、下部は、シリコンによって単独で保持された場合に可能であるよりも膨張することができる。アルミニウムおよび銅は両方とも金よりも膨張するが、シリコンはそうではないので、下部の基部に対する構造160の長さ、深さ、および厚みの変化は、支持体の下部近くのシリコンの有効膨張係数が支持体30の金の膨張係数により緊密に整合することを可能にする。
【0101】
別の選択実行可能な例では、膨張修正構造162を形成して温度が上昇するにつれて上向きに膨張させ、支持体の上部のアンカーの壁部分が基板の面に対して実質的に直角のままであるように、支持体を反時計方向に回転させるように作用させる(
図17に示す)。これらの構造は、組み合わせることができる。
【0102】
応力の一部を減少させる方法は、支持体の形状を修正することである。凹部またはスロットを、膨張に対応するようにその中に形成してもよい。
【0103】
平面図で
図18に示すように、支持体は、スロット170,172、および174によって、複数の柱30−1〜30−4に細分化することができる。これは、支持体の下部の圧縮の一部がスロット内に適応されることを可能し、それによって支持体の上部の形状を修正するように作用し、熱膨張に起因する歪みの量を減少させる。
【0104】
同様に、スイッチ部材34もまた、スロットによって、支持体30から延在する複数の個別の指形部分に分割することができる。
【0105】
支持体30およびその下部から材料を除去する手法は、MEMSスイッチの製造で使用される高価な金の量を削減するという追加の経費上の利点を有する。
【0106】
MEMSスイッチの実施形態の斜視図を
図19に示す。下部領域34はスイッチの幅を延長する一体的要素として形成されるが、支持体30は、間隙によって互いに分離された4つの直立する柱30−1〜30−4として形成される。スイッチ部材は、一方の端部でそれぞれの柱30−1〜30−4に接続されて、横方向領域200によって第2の端部で共に結合された4つのセクション32−1〜32−4に分割される。この領域は、正方形210によって位置が概略的に示された垂下バンパーパッドを担持する。
【0107】
スイッチ部材32の端部220は、構造の端部をゲート電極23によってトラップされた電荷からシールドすることを可能にする全体的にテーパー状の領域222および224を有する。
【0108】
さらに、ゲート電極23は、比較的薄く、端部222の下に、および接点担体70によって担持された垂下接点(図示せず)近くに配置される。これは、静電力が領域32−1〜32−4の下に印加されることがなく、これらの領域が基板に触れる危険性が減少することを意味する。
【0109】
典型的には、スイッチ部材32は、約70〜110μmの長さであるが、他の長さを使用してもよく、同等の幅を有することができる。
【0110】
垂下スイッチ接点44(
図1)の端部から第1のスイッチ電極20(明確にするために
図19に示されないが、
図1に示す)までの間隙は、約300nmであり、接点長さは約200nm〜400nmである。したがって、スイッチ部材32の下の基板6までの間隙は、約0.6μmである。
【0111】
製造時、完成したデバイスでは間隙となる領域の基板の上には、犠牲層が形成される。次に、スイッチ部材の金属、一般的には、必ずしもそうではないが、金を、犠牲層の上に堆積させ、犠牲層をエッチングしてスイッチ部材を解放し、
図1および19に示す片持ち梁型構造を形成する。このプロセスは、当業者に公知である。
【0112】
しかしながら、収量を向上させ、閉じるスイッチを得るために、犠牲材料を信頼性のある経済的な方式で除去することが必要である。
【0113】
スイッチ部材32の領域32−1〜32−4の間にスロットを形成することは、エッチング剤がスイッチ部材の下の犠牲層に達することを促進する。同様に、領域222および224と、接点担体70の間のある程度までの領域226と、におけるテーパー加工もまた、犠牲材料の除去を促進する。しかしながら、これはまだ、エッチング剤が移動するのにかなりの距離がある領域220の下に相当な領域を残すことがある。信頼性のある解放を促進するために、エッチング開口部240が領域220に設けられ、この開口部は、スイッチ部材32を貫通して延在し、エッチング剤は、基板とスイッチ部材32との間の空間をより容易に貫通して、犠牲材料を除去することができる。
【0114】
より多いまたはより少ない数のエッチング開口部を設けることができる。エッチング開口部は、二次元のパターンで設けることができる。パターンは、正方形や六角形のパターンなどの規則的なものでもよく、ランダム化されてもよい。
【0115】
アーム部分32−1〜32−4間のスロットの長さは変わってもよく、エッチング開口部は、支持体30により近接して設けることができる。これは、約15ミクロンのエッジまたは開口部からのエッチング距離を生じさせることができるが、8〜20ミクロンの間の距離が企図される。
【0116】
スイッチは、
図19に示すように、1つの接点、2つの接点、またそれ以上の接点を有することができる。複数の接点の使用は、より低いオン状態抵抗を提供する。いくつかの実施形態では、スイッチは、3、4、5、またはそれ以上の接点を有する。
【0117】
本明細書に記載の様々な特徴は、組み合わせて使用することができる。これらの実施形態は、
図18および19に示すようにブロックおよびカラムに分割された支持体を備えることができ、バンプパッドまたは他の追加の支持体の使用の有無にかかわらない、テーパー状のヒンジ、面取り、またはノッチの有無にかかわらない、オーバードライブを減少させるために延在するゲートの有無にかかわらない、オーバードライブの応力を減少させるために垂下接点により近接して配置されるゲートの有無にかかわらない、絶縁破壊性能を向上させるための細長い垂下接点の有無にかかわらない、熱応力および結果としてのスイッチ部材の動きを減少させるために支持体の下部に隣接する挿入体の有無にかかわらない、かつ増加させた厚みのスイッチ部材の使用の有無にかかわらない。
【0118】
別の変形例では、犠牲材料を下部34の一部、または第1のスイッチ接点の一部の下に形成し、次にエッチングして熱応力を減少させてもよい。このような選択肢は、
図20に概略的に示す。
【0119】
図20では、カラム30−1〜30−4の下部に起こる圧縮を減少させるために、アンカー30の後方の基板の一部を、例えば
図18のカラム30−1〜30−4に整合するトレンチ240内にエッチングする。これは、下部がより容易に膨張することを可能にし、支持体の上部に熱的に誘発される傾きを減少させる。これは、基板内の埋め込み金属挿入体160の使用に対して代用する、または併用することができ、支持体を形成するために使用される金属の熱膨張係数により緊密に整合する有効熱膨張係数で基板を膨張させる。同様に、第1の接点20を延在させ、部分的にアンダーエッチングして、空洞部242および空洞部の上に延在する片持ち梁型の接点を形成することができる。したがって、第1の接点20は、スイッチ部材32からの負荷の下でたわむことができ、スイッチ部材32によって受ける最大応力を減少させる。これはまた、基板からスイッチ部材32までの距離を空洞部の深さだけ空洞部242の領域内で増加させることが可能であり、トラップされた電荷の引力を減少させる。
【0120】
別の実施形態では、片持ち梁は、
図21に示すように支持体の両側に延在することができる。したがって、スイッチ部材32の第1の部分32−1は、支持体30から第1の方向Aに延在することができ、スイッチ部材32の第2の部分32−2は、支持体30から第3の方向−Aに延在することができる。スイッチは、個別に駆動されてスイッチの一方または他方が閉位置に駆動されるのを可能にする2つのゲート23−1および23−2を形成することができる。アイテム20−1および20−2として示されるように、2つのソース接点が設けられる場合、ブレークビフォメーク方式で動作可能な単投2極スイッチが提供される。
【0121】
一方のソース、例えば20−2は、未使用のままにし、または省略し、ゲート23−1上のゲート電圧が、スイッチを開くために除去されると、ゲート23−2が励起されて左手側(
図21に示すように)を基板の方に引っ張り、スイッチが開くことを保証するスイッチを形成することができる。
【0122】
このような能動的に駆動されるスイッチでは、スイッチ部材の梁は、オーバードライブ絶縁破壊につながる過度の屈曲を回避する十分な剛性を有する必要があるが、支持体および/またはヒンジは、それほどの復元力を提供する必要がないので、はるかに薄く作ることができる。支持体は、スイッチ部材を基板から離して保持するためのものである。縮小した厚みの支持体の使用は、上部から底部の膨張差を縮小し、その結果、温度の上昇に対する閉じるためのスイッチ間隙の傾向を縮小する。さらに、単極スイッチでは、スイッチを開くために使用される左手側(図示のように)は、導通する必要がないので、異なる金属で作ることができ、金を使用する経費を負担する必要がない。同様に、支持体の厚みの縮小およびより短いアームの使用の選択によって、金の量を削減することができる。
【0123】
これまで説明した実施形態では、スイッチ部材32は、支持体30と第1のスイッチ接点20との間に導電性経路を提供した。その結果、制御可能かつ合理的な閾値を有する必要性は、ゲート電極上にスイッチ部材が座屈することが考量された。
【0124】
別の変形例では、
図22にその実施例を示すが、スイッチ部材32は、概念的に導電要素260および復元ばね262に分割することができる。この図では、図表の単純化のために、導電要素260は、復元ばね262の自由端に横方向に載置されたバーとして描かれている。復元ばね262は、これまでスイッチ部材32に対して説明したように、支持体30から片持ち梁を形成するものとして示されている。しかしながら、支持体30およびばね262は、デバイスを通る導電性経路の一部を形成する必要がない。代わりに、第1および第2のスイッチ接点が、導電要素の対向する端部の下に形成され、スイッチのソースおよびドレインを形成する。
【0125】
ゲート23は、ソースとドレインとの間に形成することができる。ゲートは、ソースおよびドレインSおよびDよりも薄くてもよく、および/または導電要素は、スイッチが閉じたときにゲートの上に離間して導電要素260の中心を保持するように垂下接点(接点44に対して説明したように)を有することができる。
【0126】
導電要素およびばねの機械的特性は、切り離され、導電要素260およびばね262のそれぞれは、それぞれの役割のために指定することができる。したがって、ばねは、低い閾値電圧を与えるために比較的長く、かつ比較的薄くすることができる。導電要素260は、変形してゲートに触れることを回避するために短く、かつ厚くすることができる。
【0127】
それぞれの要素で使用される材料は、同じである必要がなく、したがって、ばねを別の材料から形成することによって高価な金の量を削減できる。さらに、導電要素は、より広く、すなわち第1の方向Aにさらに延在するように、かつより厚く、ならびに第2の方向により短く、形成することができ、次に導電要素260は、コスト削減のために選択することができる銅またはアルミニウム、または耐摩耗性の機械的特性のために選択することができるロジウムなどの他の材料から作ることができる。他の材料は、非ゼロのまたは著しく非ゼロのドレインソース間電圧で操作されるスイッチで起こる可能性のあるアーク放電に耐えることに有用であるように選択することができる。
【0128】
ばね262は、もはや電気を導通する必要がないので、金属から作る必要がなく、支持体30および復元ばね262は、基板と同じ材料、例えばシリコン、から作ることができる。これは、前述の熱膨張の問題を除去する、または縮小する。ばねおよび導電要素は、互いに直流的に分離することができる。
【0129】
ゲート23は、示されるようにソースとドレインとの間に配置する必要がなく、代わりにばね262の下に配置することができる。ゲートとばね262または導電部材32との間に電位差を確立するために、支持体30およびばね262は導電性である必要があるが、高抵抗を有していてもよく、支持体は、ドレイン、ソース、またはローカルグランドに接続する必要がある。ゲート配置および電気的接続のこのような変形例の実施例は、
図23に示す。
【0130】
導電要素260は、ばねに対して横方向に形成する必要がない。それは、ばね262に沿って形成される長方形または他の形状の要素であってよい。
【0131】
同様に、導電要素260は、形状が長方形である必要がなく、単一の細長いばねによって支持される必要がない。ばね262は、蛇行状の、螺旋状またはジグザグの、または他の適切な形状であってよい。
【0132】
実施形態を、スイッチ部材を細長い物体とする、片持ち梁で説明したが、3次元空間をさらに完全に利用する他の設計も使用することができる。MEMSスイッチの非片持ち梁型の実施形態を、
図24〜
図26に示す。
【0133】
図24では、30−1および30−2と指定された2つの支持体が設けられ、スイッチ部材32は、それらの間に延在する。この配設では、第1のスイッチ接点20は、ゲート電極23間に配置され、垂下接点44に整合される。支持体30−1および30−2は、ドレインまたはソースであることができ、スイッチ接点20は、ソースまたはドレインであることができる。
【0134】
図24に示す配設は、図示のように直線状に形成することができる、または、ゲート23が接点20の囲む金属リングを形成するように回転対称に形成することができる。
【0135】
図25は、長方形または正方形のスイッチ部材32が複数の支持体30−1〜30−4および中間アーム部300−1〜300−4によって支持された変形例を示す。スイッチ部材32は、その中央に第1のスイッチ接点20が形成される開口部を有するゲート23の上に懸架される。
図25は、スイッチ部材23の下にあるゲート23および接点20の位置を示すように描かれている。
【0136】
図26は、スイッチ部材が実質的に円形であり、複数のアーム部300−1〜300−4によって支持体に接続される変形例を示す。
図25および26では、4つのアーム部が示されているが、より少ない(2つまたは3つ)またはより多いアーム部、または中間支持体構造の他の形状を使用することができる。スイッチ部材32は、基板ならびに1つ以上のスイッチ接点に対向する面から垂下する1つ以上の支持体310を有することができる固体要素である。スイッチ部材32は、前述のようにその中に形成された開口部を有するゲートの上に懸架され、支持体の使用を促進し、かつ第1のスイッチ接点(場合によっては、さらなるスイッチ接点)を形成することを可能にする。
【0137】
図21を参照して前に説明したように、「シーソー」またはシーソー設計の使用は、導電要素260がアーム部の端部に担持されて復元力の一部を提供するように支持体とともに作用することができる
図22および23の設計とともに、使用することができる。スイッチから電力が除去されたとき、スイッチ部材を既知の位置に置く(例えば、スイッチを開いたままにする)ために十分な復元力を提供することが望ましい。
しかしながら、設計者は、支持体に対する第1および第2のゲート23−1および23−2の相対的位置に対する選択の自由度と、他にスイッチを開閉するためにそれらに印加される電圧に対する選択の自由度とを有する。
【0138】
図27に示す配設では、スイッチ部材の第1の部分32−1は、スイッチ部材の第2の部分32−2よりも長くなるように選択される。これは、テーパー加工などと関連して、前述のようにスイッチ部材の閉成力(したがって必要な電圧)および降伏を制御することを可能にする。同様に、
図23の設計が導電要素を形成するために使用される場合、第1の部分32−1および支持体30を形成するために使用される材料を、主に電気的特性ではなく機械的特性のために選択することができる。
【0139】
第2のゲート23−2に関連する第2の部分32−2は、第1のゲートへの駆動電圧が除去されたときに、スイッチが正確に開くことを保証するために十分な復元力を提供する必要があるだけである。したがって、第2の部分は、第1の部分より短くすることができ、それによって第1および第2の部分が同じ長さを有するときと比較して、スイッチの実装面積が減少する。
【0140】
第1および第2のゲートは、例えば駆動信号の反転バージョンによって、個別に駆動することができる。あるいは、単一の駆動信号を使用して、スイッチオン(閉成)力およびスイッチオフ(開離)力の両方を提供することができる。このような駆動方式もまた、
図27に示す。
【0141】
スイッチは、「ゲート」端子Gで駆動信号V駆動を受け取る。第1のゲート23−1は、低インピーダンス経路によって「ゲート」Gに接続される。第2のゲート23−2は、抵抗体330によって表される高インピーダンス経路によってゲートGに接続される。したがって、第2のゲート23−2が
図27のCpとして表される寄生容量に関連付けられることを考慮すると、駆動信号が印加されたとき、第2のゲートの電圧は、第1のゲート23−1のゲート電圧の準瞬時電圧と比較して徐々に上昇する。この電圧の変化は、抵抗体330およびキャパシタCpのRC時定数によって決定される。したがって、第2のゲートは、スイッチの初期の閉成段階中に一切の復元力を印加しない。第2のゲート23−2が充電し始めるにつれて、それは開離力を与え始める。設計者は、組み合わせられた復元力がスイッチを開かない、または接触力を過度に減少させないことを保証するように、第1のゲートからの力に対する第2のゲートからの力の相対的大きさを制御する必要がある。これは、第2のゲート23−2を支持体により近づけて配置すること(図示のように)、第2のゲートの面積を修正すること、または第2のゲートの電圧を制限することによって、達成できる。
図27に示す実施例では、第2のゲート23−2の電圧は、抵抗体が分圧器を形成するように第2の抵抗体332を介して第2のゲート23−2をローカルグランドに接続することにより、第1のゲートの電圧(定常状態にある)の既知の分割割合となるように制御される。
【0142】
駆動電圧が除去されると、第1のゲート23−1の電位は非常に迅速に減少するが、第2のゲートの電位は、よりゆっくりと減衰する。したがって、しばらくの間、第2のゲートは第1のゲートよりも高い電圧にあり、この開離力が作用してスイッチ接点44を接点20から持ち上げる。
【0143】
スイッチは、例えば、静電放電(ESD)または誘導ローカルの操作が原因の過渡電圧に反応して不意に閉じないことが有利である。シーソー設計は、ESD事象が両方のゲートに同時に影響することができるので、ESDまたは過電圧事象に対して良好な耐性を提供するよう修正することができる。両端の電圧が所定の値に達すると通常高インピーダンスである保護セル340および342を設けてもよい。このようなセル340および342は、当業者に公知であり、本明細書ではさらに詳細に説明する必要がない。
【0144】
第1のセル340は、過電圧またはESD事象に反応して第1のゲート23−1の電圧を制限するように設けることができる。さらに、またはあるいは、第2の保護セル342は、第1のゲートのESD事象による閉成力を相殺するために比較的大きな復元力が印加されるように、ESD事象に反応して第1および第2のゲートを相互接続するように設けることができる。
【0145】
制御信号から第2のゲート電圧を導出する代わりに、第2のゲートを別個のゲート制御信号からプリチャージする、または駆動することができる。電気的に制御された開離力の使用は、機械的な開離力のみに依存するよりも大きな融通性を提供し、力をプロセス変動に対応するように使用時に、または試験時に調整または変更することが可能である。
【0146】
第1および第2の部分32−1および32−2の相対的幅は、
図28に示すように、開離および閉成力の相対的大きさを修正するために、変更することができる。同様に、ゲートの大きさも修正することができる。
【0147】
片持ち梁またはシーソー(シーソー)スイッチまたはMEMS構成要素に適用することができる別の変形例では、
図29に示すように直立の支持体30を捻じり支持体と置き換えることができる。
図29では、スイッチ部材32は、シーソー設計の一部として示され、したがって部分32−1および23−2に分割される。しかしながら、本明細書に記載の原理はまた、片持ち梁の設計に適用する。
【0148】
支持構造は、1つ以上の、単純化のために、スイッチ部材32から支持体352に延在する2つの横方向に延在するアーム部350を備える。アーム部350は、それぞれX方向に幅を、Y方向に長さを、Z方向に厚みを有する。それぞれのアーム部は、本来平坦であり、Y方向の周りの捻じれに抵抗する傾向がある。復元力は、幅Xとともに、および厚みZとともに増加し、長さYとともに減少する。従って、設計者は、梁32をその休止位置に戻すように働く捻じり力を制御するためにかなりの自由度を有する。さらに、支持体352に対するアーム部350の適切な配置によって、支持体の上部と底部との間の熱膨張差をゼロにする、または利用することができる。したがって、アーム部350が支持体352に沿って中央に配置されると、端部270は、温度変化に対して上下に移動しない傾向がある。アーム部350が支持体352のエッジ372の方に移動すると、過剰の温度(一部の製造工程中に受ける可能性がある)は、端部370を下側の基板から持ち上げる傾向がある。
【0149】
図27に示す配設は、
図22および23に関して説明したように、別個の接点部分260cを使用するのに適している。
したがって、改善されたMEMSスイッチを提供することが可能である。
【0150】
単一の依存関係の特許請求の範囲は、USPTOに出願するために提示されたが、特許請求の範囲は、技術的に実現可能であるデバイスをもたらす任意の組合せで提供することができることを理解されたい。