(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カーシェアリング用の対象車の利用に関する車両利用情報と、前記対象車を駐車する駐車場エリアの利用に関する駐車場利用情報とに基づき、前記駐車場エリアの混雑状況を求める混雑状況演算部と、
前記混雑状況演算部が求めた前記混雑状況に基づき、現在もしくは将来において、1つ以上の空きスペースを確保できないもしくは確保できない可能性の高い駐車場エリアが存在するか否かを判定する空きスペース判定部と、
前記空きスペース判定部により、前記空きスペースが確保できないと判定された前記駐車場エリアの利用を促進するための利用促進処理を実行する利用促進処理部とを備え、
前記利用促進処理部は、前記利用促進処理として、前記空きスペースが確保できないと判定された前記駐車場エリアに駐車されている対象車の利用に対して所定のインセンティブを付与する、又は、前記空きスペースが確保できないと判定された前記駐車場エリアに駐車されている対象車の利用を利用者に告知するものであり、かつ、
前記利用促進処理部は、インセンティブの付与条件に応じて予め決められた移動確率に基づき、利用促進処理を実行する対象者を選択するものである、
カーシェアリング管理装置。
カーシェアリング用の対象車の利用に関する車両利用情報と、前記対象車を駐車する駐車場エリアの利用に関する駐車場利用情報とに基づき、前記駐車場エリアの混雑状況を求め、
前記混雑状況に基づき、現在もしくは将来において、1つ以上の空きスペースを確保できないもしくは確保できない可能性の高い駐車場エリアが存在するか否かの空きスペース判定を行い、
前記空きスペース判定の結果、空きスペースが確保できないと判定された前記駐車場エリアの利用を促進するための利用促進処理を実行し、
前記利用促進処理の結果として、前記空きスペースが確保できないと判定された前記駐車場エリアに駐車されている対象車の利用に対して所定のインセンティブを付与する、又は、前記空きスペースが確保できないと判定された前記駐車場エリアに駐車されている対象車の利用を利用者に告知するものであり、かつ、
前記利用促進処理は、インセンティブの付与条件に応じて予め決められた移動確率に基づき、利用促進処理を実行する対象者を選択するものであるカーシェアリング管理方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理システムの一例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理システムの一例を示す概略図である。
図1に示す通り、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理システムは、それぞれネットワークを介して接続されているカーシェアリング管理装置10、カーシェアリング車両管理サーバ20、カーシェアリング駐車場管理サーバ30、情報提供外部サーバ40、予約管理サーバ50、インセンティブ条件管理サーバ60、及び、複数の端末71,72,73・・・を備える。本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理システムは、例えば、カーシェアリング用の駐車場に駐車されているカーシェアリング用の対象車を管理するシステムであって、ユーザ自身が対象車の予約から返却までを行うシステムである。ユーザは、対象車を借りる駐車場(以下、出発地点の駐車場という)と、対象車を返却する駐車場(以下、到着地点の駐車場という)と、出発時刻と到着時刻とを指定して、対象車の利用予約を行う。本実施形態に係るカーシェアリング管理システムでは、出発地点の駐車場と到着地点の駐車場とが異なる予約、つまり、対象車の乗り捨て利用が可能である。
【0019】
カーシェアリング管理装置10は、カーシェアリング用の駐車場に駐車されている対象車の混雑状況に基づき、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースを少なくとも1台確保するための処理を実行する。駐車場の混雑状況とは、カーシェアリング用の駐車場に駐車される対象車の混雑の程度を示す情報である。本実施形態において、駐車場の混雑状況は、カーシェアリング用の駐車場内の駐車台数で示される。混雑状況は、現在時刻において駐車場に駐車されている対象車の駐車台数(以下、利用実績値という)と、現在時刻以降に駐車場に駐車されることが予測される対象車の駐車台数(以下、利用予測値という)とに基づき求められる。この利用予測値は、予約情報により予測される利用予測値(駐車台数)と、予約情報以外の情報により予測される利用予測値(駐車台数)とを含む。この予約情報以外の情報としては、駐車場の過去の利用実績値や対象車の過去の利用実績値、利用実績値と利用予測値との差分により学習される学習利用予測値、駐車場周辺の地域特性、駐車場周辺の天気情報、駐車場周辺の交通情報、駐車場周辺の催事情報等を含む。つまり、予約情報により予測される利用予測値の方が、予約情報以外の情報により予測される利用予測値よりも予測精度が高い情報である。
【0020】
本発明の実施形態はこれに限られず、駐車場の混雑状況は、駐車場の利用率をパーセントで示すものであってもよく、駐車場の空きスペースの台数を示すものであってもよく、駐車場の混雑の程度を評価値で示すものであってもよい。この評価値とは、未来において駐車場に駐車される対象車の台数が増加あるいは減少する要因を評価する評価値である。評価値は、駐車される対象車の台数が増加する可能性が高い要因については高い評価値が予め割り当てられており、駐車される対象車の台数が減少する可能性が高い要因については低い評価値が予め割り当てられている。この評価値は、複数の評価基準によって決められてもよい。例えば、過去の利用実績値から予測される駐車台数の増減量を評価する基準や、駐車場周辺の地域特性、天気情報、交通情報や催事情報等に基づき予測される駐車台数の増減量を評価する基準等に基づき求められる評価値が含まれる。この場合、複数の評価基準に従って算出される評価値の総和が、駐車場の混雑状況を示す情報である。
【0021】
カーシェアリング車両管理サーバ20は、カーシェアリング運用DB(DataBase)21を備える。このカーシェアリング車両管理サーバ20は、カーシェアリング用の対象車の利用に関する情報を生成し、カーシェアリング運用DB21内のカーシェアリング車両情報テーブルに書き込む。このカーシェアリング用の対象車の利用に関する情報には、例えば、対象車の利用実績値として、対象車が実際に移動した移動区間や、移動した時刻(移動時刻)、移動した対象車の台数(移動台数)等が含まれる。また、カーシェアリング用の対象車の利用に関する情報には、例えば、対象車の学習利用予測値として、各移動時刻の各移動区間において、利用実績値に基づき利用が予測される対象車の台数を示す情報が含まれる。この対象車の学習利用予測値は、カーシェアリング管理装置10により、利用実績値と利用予測値との差分に基づき学習される情報である。また、カーシェアリング用の対象車の利用に関する情報には、駐車場の立地に応じた移動区間の地域特性を示す情報も含まれる。このカーシェアリング車両情報テーブルの一例を
図3に示し、詳細については図面を参照して後述する。
【0022】
カーシェアリング駐車場管理サーバ30は、駐車場運用DB(DataBase)31を備える。このカーシェアリング駐車場管理サーバ30は、カーシェアリング用の対象車を駐車する駐車場の利用に関する情報を生成し、駐車場運用DB31内のカーシェアリング駐車場情報テーブルに書き込む。この駐車場の利用に関する情報には、例えば、駐車場の利用実績値として、所定時間帯において駐車場に駐車している対象車の台数等が含まれる。また、駐車場エリアの利用に関する情報には、例えば、駐車場エリアの学習利用予測値として、各駐車場での各駐車時刻において、利用実績に基づき利用が予測される入庫の需要台数と出庫の需要台数とが含まれる。この駐車場エリアの学習利用予測値は、カーシェアリング管理装置10により、利用実績値と利用予測値との差分に基づき学習される情報である。また、駐車場の利用に関する情報には、各駐車場の立地に応じた地域特性を示す情報も含まれる。このカーシェアリング駐車場情報テーブルの一例を
図4に示し、詳細については図面を参照して後述する。
【0023】
情報提供外部サーバ40は、各駐車場周辺の天気を示す天気情報、各駐車場周辺の交通情報、および、各駐車場周辺の催事情報をカーシェアリング管理装置10に送信するサーバである。
【0024】
予約管理サーバ50は、予約情報DB(DataBase)51を備える。この予約管理サーバ50は、予め登録されたユーザからカーシェアリングの予約を受け付け、受け付けた予約の内容を予約情報DB51内の予約情報テーブルに書き込む。この予約情報テーブルの一例を
図5に示し、詳細については図面を参照して後述する。本実施形態に係るカーシェアリング管理システムにおいて、予約できるユーザは、事前に登録されたユーザに限られる。この事前に登録されたユーザには、それぞれのユーザを識別するためのユーザ識別情報であるユーザID(identification)が予め割り当てられている。
【0025】
インセンティブ条件管理サーバ60は、インセンティブ条件DB(DataBase)61を備える。このインセンティブ条件管理サーバ60は、予め登録されたユーザのそれぞれに対して与えられるインセンティブの付与条件をインセンティブ条件DB61内のインセンティブ条件テーブルに書き込む。このインセンティブ条件テーブルの一例を
図6に示し、詳細については図面を参照して後述する。このインセンティブ条件管理サーバ60は、管理者によって決められたインセンティブの付与条件を受け付けて、インセンティブ条件DB61に書き込みを行ってもよい。インセンティブ条件管理サーバ60は、ユーザの属性に応じて予め決められているインセンティブの付与条件を各ユーザのユーザIDに対応付けてインセンティブ条件DB61に書き込みを行ってもよい。また、インセンティブ条件DB61は、過去に付与されたインセンティブの実績値に基づき学習されるインセンティブ条件(インセンティブ量、インセンティブ内容又は通知手段等)を格納してもよい。このインセンティブ条件DB61は、所定時間間隔ごとに、又はインセンティブを付与したときに、前回の更新から付与されたインセンティブに基づき学習されたインセンティブ条件で更新されてもよい。これにより、インセンティブ条件DB61を、リアルタイムに近い速さで、最新のインセンティブの付与状況に応じたインセンティブ条件に更新することができる。
【0026】
複数の端末71,72,73・・・は、事前に登録された各ユーザの端末であって、例えば、携帯電話やスマートフォンである。
【0027】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係るカーシェアリング管理装置10の構成例について説明する。
図2は、本実施形態に係るカーシェアリング管理装置10の構成例を示すブロック図である。
カーシェアリング管理装置10は、混雑状況演算部11と、空きスペース判定部12と、利用予約受付部13と、利用促進処理部14と、時計部15と、記憶部16とを備える。
【0028】
混雑状況演算部11は、カーシェアリング用の対象車の利用に関する車両利用情報と、対象車を駐車する駐車場エリアの利用に関する駐車場利用情報とに基づき、駐車場エリアの混雑状況を求める。
【0029】
この混雑状況演算部11は、予約情報DB51に格納されている予約情報に基づき、現在時刻において駐車場に駐車されている対象車の駐車台数(利用実績値)を求める。
【0030】
この混雑状況演算部11は、予約情報DB51に格納されている予約情報に基づき、現在時刻から判定対象時刻までの混雑状況を演算する。判定対象時刻とは、現在時刻から予め決められた時間後の時刻であって、混雑状況を求める範囲を規定する時刻である。本実施形態において、混雑状況演算部11は、予約情報に基づき演算される混雑状況を示す情報として、予約情報により予測される利用予測値を求める。具体的に説明すると、混雑状況演算部11は、予約情報に基づき、現在時刻から判定対象時刻までに各駐車場での乗り捨てが決められている台数(入庫の需要数)から、現在時刻から判定対象時刻までに各駐車場からの貸し出しが決められている台数(出庫の需要数)を減算した値(予約情報により予測される利用予測値)を求める。
【0031】
この混雑状況演算部11は、予約情報以外の情報に基づき、現在時刻から判定対象時刻までの混雑状況を演算する。この予約情報以外の情報としては、例えば、カーシェアリング運用DB21及び駐車場運用DB31に格納されている学習利用予測値や、情報提供外部サーバ40から受信した情報(例えば、駐車場周辺の地域特性、駐車場周辺の天気情報、駐車場周辺の交通情報、駐車場周辺の催事情報等)等が含まれる。本実施形態において、混雑状況演算部11は、予約情報以外の情報に基づき演算される混雑状況を示す情報として、予約情報以外の情報により予測される利用予測値を求める。具体的に説明すると、混雑状況演算部11は、予約情報以外の情報に基づき、現在時刻から判定対象時刻までに各駐車場での乗り捨てが予測される台数(入庫の需要数)から、現在時刻から判定対象時刻までに各駐車場からの貸し出しが予測される台数(出庫の需要数)を減算した値(予約情報以外の情報により予測される利用予測値)を求める。
【0032】
この混雑状況演算部11は、駐車場の混雑状況として、利用実績値に対して利用予測値(予約情報により予測される利用予測値と予約情報以外の情報により予測される利用予測値とを含む)を加算した値を求める。
【0033】
空きスペース判定部12は、混雑状況演算部11が求めた混雑状況に基づき、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できない駐車場があるか否かを判定する。言い換えると、空きスペース判定部12は、混雑状況演算部11が求めた混雑状況に基づき、現在もしくは将来において、1つ以上の空きスペースを確保できないもしくは確保できない可能性の高い駐車場エリアが存在するか否かを判定する。本実施形態において、空きスペース判定部12は、現在時刻から所定時間後の近い将来において、混雑状況に基づき満車となることが予測される混雑駐車場のリスト(以下、混雑駐車場リストという)を作成する。この空きスペース判定部12は、作成した混雑駐車場リストに含まれる混雑駐車場の中から、満車となることが予測される時刻までの間において、入庫の需要数が出庫の需要数を上回る駐車場があるか否かを判定する。満車となることが予測される時刻までの間において入庫の需要数が出庫の需要数を上回る駐車場がある場合、空きスペース判定部12は、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できない駐車場があると判定する。言い換えると、空きスペース判定部12は、満車となることが予測される駐車場であっても、出庫の需要数が入庫の需要数を上回る場合、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できる駐車場があると判定する。また、空きスペース判定部12は、満車となることが予測される時刻までの間において、入庫の需要数が出庫の需要数を上回る駐車場がある場合、入庫の需要数が出庫の需要数を上回る時刻(以下、誘導時刻という)を求める。
【0034】
利用予約受付部13は、予約情報DB51を参照して、空きスペース判定部12の判定に基づき、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できると判定された駐車場エリアへの返却を含む予約を受け付ける。具体的に説明すると、端末71からネットワークを介してカーシェアリング管理装置10に予約内容が送信されたとする。カーシェアリング管理装置10の利用予約受付部13は、予約内容を受信し、予約情報DB51に格納されている情報と空きスペース判定部12の判定とに基づき、受信した予約内容での予約が可能か否かを判定する。受信した予約内容に含まれる出発地点の駐車場において予約時間に貸出可能な対象車が確保されており、且つ、受信した予約内容に含まれる到着地点の駐車場において返却時刻に移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できると判定された場合、利用予約受付部13は、受信した予約内容での予約が可能であると判定する。この利用予約受付部13は、予約が可能であることを端末71に返信する。
受信した予約内容に含まれる出発地点の駐車場において予約時間に貸出可能な対象車が確保できないと判定した場合、利用予約受付部13は、出発地点の駐車場からの貸し出し予約の受け付けを制限する。また、受信した予約内容に含まれる到着地点の駐車場において返却時刻に移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できないと判定された場合、利用予約受付部13は、空きスペース判定部12により空きスペースが確保できないと判定された駐車場への対象車の乗り捨て予約の受け付けを制限する。
【0035】
利用促進処理部14は、空きスペース判定部12により、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できないと判定された駐車場(以下、利用促進対象駐車場という)の利用を促進するための利用促進処理を実行する。利用促進処理とは、利用促進対象駐車場に駐車されている対象車の利用を促進するため、利用促進対象駐車場に駐車されている対象車の利用をユーザに告知する処理や、利用促進対象駐車場に駐車されている対象車を利用したユーザに対して所定のインセンティブを付与する処理を含む。
この利用促進処理部14は、利用促進対象駐車場に駐車されている対象車を移動可能な移動先(以下、入庫可能駐車場という)を決定し、現在時刻から誘導時刻までの間において、利用促進対象駐車場から入庫可能駐車場への利用を促進するユーザを、各ユーザの移動確率に基づき選択する。この処理の詳細については、以下に説明する。移動確率とは、誘導時刻までに利用促進対象駐車場に駐車されている対象車が利用され利用促進対象駐車場から出庫される確率を示す情報である。
【0036】
この利用促進処理部14は、予約情報DB51に格納されている予約情報と、利用予測値に基づき、利用促進対象駐車場に駐車されている対象車の移動先(つまり、入庫可能駐車場)を決定する。具体的に説明すると、利用促進処理部14は、予約情報により誘導時刻において空きスペースが少なくとも1台以上存在することが予測される駐車場、及び、予約情報により誘導時刻において満車となることが予測される駐車場であっても利用予測値により誘導時刻までに出庫の需要が発生することが予測される駐車場を、入庫可能駐車場と決定する。
【0037】
この利用促進処理部14は、インセンティブ条件DB61に格納されている情報に基づき、各ユーザの移動確率を求める。本実施形態において、利用促進処理部14は、現在時刻から誘導時刻までの間において、利用促進対象駐車場から入庫可能駐車場への乗り捨てを利用した場合のインセンティブの付与条件と各ユーザの過去の利用実績値に基づき、各ユーザの移動確率を求める。例えば、現在時刻から誘導時刻までの間において、利用促進対象駐車場から入庫可能駐車場への乗り捨てを利用した場合のインセンティブの付与条件として、インセンティブの付与形態が料金割引であるかクーポンであるかを示すインセンティブ内容と、割り引かれる利用料金に対する割合を示すインセンティブ量とが、予め決められている。このインセンティブの付与条件は、各ユーザへのインセンティブの付与又はインセンティブの利用実績値に応じて更新されてもよく、ユーザの属性に応じて決められてもよい。また、キャンペーン実施時期や利用促進期間においては、所定のユーザに対して一律に同じインセンティブが付与されてもよい。
【0038】
この利用促進処理部14は、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できないと判定された利用促進対象駐車場に駐車されている対象車の利用を促進するユーザを、移動確率に基づき選択する。本実施形態において、利用促進処理部14は、利用促進対象駐車場への入庫の需要数から出庫の需要数を減算した値に応じて予め決められている移動確率に基づき、対象車の利用を促進するユーザを決定する。例えば、利用促進対象駐車場への入庫の需要数から出庫の需要数を減算した値が1である場合、移動確率は80%以上であることが決められている。利用促進対象駐車場への入庫の需要数から出庫の需要数を減算した値が2である場合、移動確率は85%以上であることが決められている。利用促進対象駐車場への入庫の需要数から出庫の需要数を減算した値が3である場合、移動確率は90%以上であることが決められている。つまり、利用促進対象駐車場への入庫の需要数から出庫の需要数を減算した値が大きくなればなるほど、対象車の早急な移動が求められる。このため、移動確率が高くなる利用促進処理を実行することが好ましい。なお、移動確率は、現在時刻から誘導時刻までの時間長に応じて決められていてもよい。つまり、現在時刻から誘導時刻までの時間長が短いほど、対象車の早急な移動が求められるため、移動確率が高くなる利用促進処理を実行することが好ましい。
【0039】
時計部15は、現在時刻を示す情報を、混雑状況演算部11、空きスペース判定部12、利用予約受付部13、及び利用促進処理部14に出力する。
記憶部16は、カーシェアリング管理装置10の各構成によって用いられる情報を一時的に記憶する記憶部である。
【0040】
次に、
図3を参照して、カーシェアリング運用DB21に格納されているカーシェアリング車両情報テーブルの一例について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るこのカーシェアリング車両情報テーブルの一例を示す図である。
図3に示す通り、カーシェアリング車両情報テーブルは、移動区間と、移動時刻と、移動台数と、学習利用予測値と、地域特性とを対応付けて格納するテーブルである。上述の通り、移動台数は、移動区間と移動時刻に対応する利用実績値である。
図3に示すテーブルには、駐車場Aから駐車場Bに移動した対象車の移動台数と、駐車場Cから駐車場Bに移動した対象車の移動台数が、移動時刻ごとに書き込まれている。
図3に示す例において、移動時刻は、30分間隔に区切られている一定期間の時間である。利用実績値は、一日ごとの移動台数がカーシェアリング車両情報テーブルの各欄に書き込まれてもよく、数日間の移動台数の平均値がテーブルの各欄に書き込まれてもよい。
【0041】
次に、
図4を参照して、駐車場運用DB31に格納されているカーシェアリング駐車場情報テーブルの一例について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係るこのカーシェアリング駐車場情報テーブルの一例を示す図である。
図4に示す通り、カーシェアリング駐車場情報テーブルは、駐車場名と、駐車時刻と、駐車台数と、学習利用予測値と、地域特性とを対応付けて格納するテーブルである。上述の通り、駐車台数は、駐車場名と駐車時刻に対応する利用実績値である。
図4に示すテーブルには、駐車場Aの駐車台数と、駐車場Bの駐車台数とが、駐車時刻ごとに書き込まれている。
図4に示す例において、駐車時刻は、30分間隔に区切られている一定期間の時間である。利用実績値は、一日ごとの駐車台数がカーシェアリング駐車場情報テーブルの各欄に書き込まれてもよく、数日間の駐車台数の平均値がテーブルの各欄に書き込まれてもよい。
【0042】
次に、
図5を参照して、予約情報DB51に格納されている予約情報テーブルの一例について説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係る予約情報テーブルの一例を示す図である。
図5に示す通り、予約情報テーブルは、出発地点の駐車場と、出発時刻と、到着地点の駐車場と、到着時刻と、ユーザ識別情報であるユーザIDと、ユーザ名とを対応付けて格納するテーブルである。この予約情報テーブルは、予約ごとの予約情報を対応付けるテーブルである。予約がキャンセルされた場合、キャンセルされた予約情報が、予約情報テーブルから削除される。
【0043】
次に、
図6を参照して、インセンティブ条件DB61に格納されているインセンティブ条件テーブルの一例について説明する。
図6は、本発明の第1実施形態に係るインセンティブ条件テーブルの一例を示す図である。
図6に示す通り、インセンティブ条件テーブルは、ユーザIDと、現在時刻と、誘導時刻と、出発地点の駐車場と、到着地点の駐車場と、通信手段と、インセンティブ内容と、インセンティブ量と、移動確率とを対応付けて格納するテーブルである。
【0044】
次に、
図7を参照して、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理方法の一例について説明する。
図7は、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理方法の一例を示すフローチャートである。ここでは、
図8,9を参照し、駐車場A,B,Cにおける対象車の移動例を用いて、カーシェアリング管理方法の一例について説明する。
図8は、現在時刻12:00に駐車場A,B,Cの駐車状況の一例を示す図である。
図9は、判定対象時刻14:00に駐車場A,B,Cの駐車状況の一例を示す図である。
【0045】
(ステップST101)
混雑状況演算部11は、近い将来である判定対象時刻を取得する。この混雑状況演算部11は、例えば、時計部15から出力される現在時刻に基づき、現在時刻から予め決められた時間後を判定対象時刻として取得する。本実施形態において、混雑状況演算部11は、現在時刻が12:00であったとすると、判定対象時刻として2時間後の14:00を取得する。
(ステップST102)
次いで、混雑状況演算部11は、現在時刻12:00から判定対象時刻14:00までの予約情報を予約情報DB51から読み出す。
【0046】
(ステップST103)
混雑状況演算部11は、ステップST102において取得した予約情報に基づき、現在時刻12:00から判定対象時刻14:00までの混雑状況を演算する。
【0047】
この混雑状況演算部11は、予約情報DB51に格納されている予約情報に基づき、現在時刻において駐車場に駐車されている対象車の駐車台数(利用実績値)を求める。ここでは、
図8に示す通り、駐車場Aには6台、駐車場Bには6台、駐車場Cには7台が駐車されているとする。混雑状況演算部11は、予約情報に基づき、
図8に示す駐車台数を、現在時刻12:00の混雑状況として求める。
【0048】
次いで、混雑状況演算部11は、予約情報に基づき、現在時刻12:00から判定対象時刻14:00までの間において予想される各駐車場での対象車の駐車台数を求める。
例えば、出発地点の駐車場Bと、到着地点の駐車場Aと、出発時刻12:10と、到着時刻12:50とを指定した予約情報が予約情報DB51に格納されているとする。この場合、混雑状況演算部11は、予約情報により予測される利用予測値として、10分後に駐車場Bから駐車場Aへの自然需要が発生すると予測する。つまり、混雑状況演算部11は、12:10に駐車場Bの駐車台数が1つ減少(駐車場Bの出庫の需要数が1つ増加)し、12:50に駐車場Aの駐車台数が1つ増加(駐車場Aの入庫の需要数が1つ増加)することを求める。
また、出発地点の駐車場Aと、到着地点の駐車場Cと、出発時刻12:40と、到着時刻13:40とを指定した予約情報が予約情報DB51に格納されているとする。この場合、混雑状況演算部11は、予約情報により予測される利用予測値として、40分後に駐車場Aから駐車場Cへの自然需要が発生すると予測する。つまり、混雑状況演算部11は、12:40に駐車場Aの駐車台数が1つ減少(駐車場Aの出庫の需要数が1つ増加)し、13:40に駐車場Cの駐車台数が1つ増加(駐車場Cの入庫の需要数が1つ増加)することを求める。
【0049】
混雑状況演算部11は、予約情報に基づき、各駐車場の判定対象時刻14:00の混雑状況を求める。
具体的に説明すると、混雑状況演算部11は、駐車場Aについて、現在時刻12:00の駐車台数6台に対して、判定対象時刻14:00までの入庫の需要数1台を加算し、判定対象時刻14:00までの出庫の需要数1台を減算した値、つまり、駐車台数6台を、予約情報により予測される判定対象時刻14:00の混雑状況として求める。
また、混雑状況演算部11は、駐車場Bについて、現在時刻12:00の駐車台数6台に対して、判定対象時刻14:00までの出庫の需要数1台を減算した値、つまり、駐車台数5台を、予約情報により予測される判定対象時刻14:00の混雑状況として求める。
また、混雑状況演算部11は、駐車場Cについて、現在時刻12:00の駐車台数7台に対して、判定対象時刻14:00までの入庫の需要数1台を加算した値、つまり、駐車台数8台を、予約情報により予測される判定対象時刻14:00の混雑状況として求める。
このようにして、混雑状況演算部11は、予約情報に基づき、
図9に示す駐車台数を、予約情報により予測される判定対象時刻14:00の混雑状況として求める。
【0050】
(ステップST104)
次いで、空きスペース判定部12は、混雑状況演算部11が求めた予約情報により予測される混雑状況に基づき、判定対象時刻14:00において、満車となることが予測される混雑駐車場を含む混雑駐車場リストを作成する。本実施形態において、空きスペース判定部12は、各駐車場の最大駐車台数から、予約情報により予測される判定対象時刻14:00の混雑状況が示す駐車台数を減算した値(つまり、空きスペースに駐車できる台数の予測値)が1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保していない駐車場を混雑駐車場と判定し、混雑駐車場を含む混雑駐車場リストを作成する。この処理の詳細については、
図10を参照して後述する。
【0051】
(ステップST105)
そして、空きスペース判定部12は、判定対象時刻14:00において1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保していない駐車場が1つ以上あるか否かを判定する。
判定対象時刻14:00において1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保していない駐車場が1つもない場合、空きスペース判定部12は、処理を終了する。
【0052】
(ステップST106)
判定対象時刻14:00において1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保していない駐車場が1つ以上ある場合、つまり、空きスペース判定部12によっていずれかの駐車場において1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保できないと判定された場合、利用促進処理部14は、作成した混雑駐車場リストに含まれる駐車場の利用を促進するための利用促進処理を実行する。この処理の詳細については、
図11を参照して後述する。
【0053】
(ステップST107)
次いで、利用予約受付部13は、空きスペース判定部12によっていずれかの駐車場において1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保できないと判定された駐車場への対象車の乗り捨て予約の受け付けを制限するための設定を行う。
【0054】
次に、
図10を参照して、
図7のフローチャートに含まれる混雑駐車場リスト作成処理の一例について説明する。
図10は、本実施形態に係る混雑駐車場リスト作成処理の一例を示すフローチャートである。
(ステップST201)
空きスペース判定部12は、予め登録されている全ての駐車場のうち、一つを選択する。例えば、空きスペース判定部12は、ポートID=1の駐車場Aを選択する。
(ステップST202)
空きスペース判定部12は、混雑状況演算部11によって求められた判定対象時刻14:00における混雑状況に基づき、駐車場Aが、判定対象時刻14:00において1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保しているか否かを判定する。つまり、空きスペース判定部12は、選択した駐車場Aが、判定対象時刻14:00において満車状態となることが予測されるか否かを判定する。
【0055】
(ステップST203)
混雑状況演算部11によって求められた予約情報により予測される利用予測値によると、判定対象時刻14:00における駐車場Aの駐車台数は6台である。よって、空きスペース判定部12は、ステップST202において、駐車場Aが判定対象時刻14:00において1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保していると判定する(ステップST202:NO)。ここで、全ての駐車場についてST202の判定が終了していない場合(ステップST203:NO)、空きスペース判定部12は、ステップST201に戻って、予め登録されている全ての駐車場のうち、次のポートID=2の駐車場Bを選択する。空きスペース判定部12は、このステップST203の処理により、全ての駐車場についてステップST202の判定を行う。全ての駐車場についてステップST202の判定を行った場合(ステップST203:YES)、空きスペース判定部12は、処理を終了する。
【0056】
(ステップST204)
混雑状況演算部11によって求められた予約情報により予測される利用予測値によると、判定対象時刻14:00における駐車場Cの駐車台数は8台である。よって、空きスペース判定部12は、ステップST201において、駐車場Cが判定対象時刻14:00において1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保していないと判定する(ステップST202:YES)。
この場合、空きスペース判定部12は、ステップ204において駐車場Cを混雑駐車場リストに追加する。つまり、空きスペース判定部12は、選択した駐車場Bが判定対象時刻14:00において満車状態となることが予測されると判定し、駐車場Cを混雑駐車場リストに追加する。
【0057】
(ステップST205)
空きスペース判定部12は、利用実績値と学習利用予測値との差分に基づき、カーシェアリング運用DB21と駐車場運用DB31のテーブルにおける学習利用予測値を学習させる。この学習処理で用いられる利用実績値とは、現在時刻12:00における駐車場Aの駐車台数から予め決められた時間だけ過去(例えば10:00)の駐車場Aの駐車台数を減算した値である。この学習利用予測値とは、現在時刻12:00においてカーシェアリング運用DB21と駐車場運用DB31のテーブルに書き込まれている学習利用予測値である。
例えば、10:00〜12:00の駐車場Aの利用実績値は3台であって、10:00〜12:00の駐車場Aの学習利用予測値が1台であったとする。このように、利用実績値が学習利用予測値を上回っている場合、空きスペース判定部12は、駐車場運用DB31のテーブルにおける駐車場Aの10:00〜12:00の時間帯に対応付けられた学習利用予測値を利用実績値の3台に書き換える。
また、10:00〜12:00の駐車場Aから駐車場Bへの利用実績値は1台であって、10:00〜12:00の駐車場Aから駐車場Bへの利用予測値が2台であったとする。このように、利用実績値が学習利用予測値を下回っている場合、空きスペース判定部12は、カーシェアリング運用DB21のテーブルにおける10:00〜12:00の時間帯に対応付けられた駐車場Aから駐車場Bへの利用予測値を書き換えない。
【0058】
次に、
図11を参照して、
図7のフローチャートに含まれる利用促進処理の一例について説明する。
図11は、本実施形態に係る利用促進処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、
図12を参照し、駐車場A,B,Cにおける対象車の移動例を用いて、利用促進処理の一例について説明する。
図12は、判定対象時刻14:00までに予測される駐車場A,B,Cの駐車状況一例を示す図である。
【0059】
(ステップST301)
空きスペース判定部12は、作成した混雑駐車場リストに含まれる駐車場のうち、一つを選択する。例えば、空きスペース判定部12は、混雑駐車場リストに含まれるポートID=3の駐車場Cを選択する。
(ステップST302)
次いで、混雑状況演算部11は、情報提供外部サーバ40から取得した情報(駐車場C周辺の天気情報、駐車場C周辺の交通情報、駐車場C周辺の催事情報等)、カーシェアリング運用DB21から取得した情報(駐車場Cへの乗り捨て利用に基づく学習利用予測値、駐車場周辺の地域特性)、及び、駐車場運用DB31から取得した情報(駐車場Cの利用に基づく学習利用予測値、駐車場周辺の地域特性)のうち少なくとも1つに基づき、現在時刻12:00から判定対象時刻14:00までに予想される各駐車場での混雑状況(例えば、対象車の駐車台数)を求める。
例えば、混雑状況演算部11は、情報提供外部サーバ40から取得した情報、カーシェアリング運用DB21から取得した情報、及び、駐車場運用DB31から取得した情報に基づき、移動時間帯12:00〜13:30の間で、駐車場Aから駐車場Cに移動する対象車の需要が予測されたとする。この場合、混雑状況演算部11は、予約情報以外の情報により予測される利用予測値として、12:00〜13:30の間において駐車場Aから駐車場Cへの自然需要が発生すると予測する。つまり、混雑状況演算部11は、12:00に駐車場Aからの出庫の需要数が1つ増加し、13:30に駐車場Cへの入庫の需要数が1つ増加することを求める。そして、混雑状況演算部11は、入庫の需要数が増加することが予測される時刻と、出庫の需要数が増加することが予測される時刻とを求める。混雑状況演算部11は、求めた時刻と入庫の需要数とを対応付けるとともに、求めた時刻と出庫の需要数とを対応付ける。
このようにして、混雑状況演算部11は、予約情報以外の情報に基づき、
図12に示す駐車台数を、予約情報以外の情報から予測される判定対象時刻14:00までの混雑状況として求める。
【0060】
(ステップST303)
そして、空きスペース判定部12は、混雑状況演算部11によって求められた入庫の需要数と出庫の需要数とを比較し、入庫の需要数が出庫の需要数を上回るか否かを判定する。
【0061】
(ステップST304)
混雑状況演算部11によって求められた予約情報以外の情報により予測される利用予測値によると、駐車場Cの入庫の需要数は1台、出庫の需要数は0台である。よって、空きスペース判定部12は、入庫の需要数が出庫の需要数を上回ると判定する(ステップST303:YES)。入庫の需要数が出庫の需要数を上回ると判定した場合、空きスペース判定部12は、ステップST304において入庫の需要数が出庫の需要数を上回ることが予測される時刻(以下、誘導時刻という)を、記憶部16に書き込む。本実施形態において、空きスペース判定部12は、駐車場Cの入庫の需要数が駐車場Cの出庫の需要数を上回ることが予測される誘導時刻が13:30であることを、記憶部16に書き込む。
【0062】
(ステップST305)
そして、利用促進処理部14は、予約情報DB51に格納されている予約情報と、利用予測値に基づき、誘導時刻13:30までに対象車を駐車可能な駐車場を、駐車場Cに駐車されている対象車の移動先(入庫可能駐車場)として決定する。具体的に説明すると、利用促進処理部14は、予約情報により誘導時刻12:30において1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保できることが予測される駐車場、及び、予約情報により誘導時刻13:30において満車となることが予測される駐車場であっても利用予測値により誘導時刻13:30までに出庫の需要が発生することが予測される駐車場を、入庫可能駐車場と決定する。本実施形態において、駐車場A,Bは、誘導時刻13:30において1台以上の対象車を駐車できる空きスペースを確保しているため、利用促進処理部14は、駐車場A,Bを入庫可能駐車場と決定する。
【0063】
(ステップST306)
次いで、利用促進処理部14は、入庫の需要数が出庫の需要数を上回る誘導時刻13:30までに駐車場Cに駐車されている対象車の利用を促進するユーザを、移動確率に基づき選択する。
例えば、利用促進処理部14は、
図6に示すような移動確率を、ユーザごとに求める。
ユーザ対象の範囲が予め決められている場合、利用促進処理部14は、予め決められた範囲に含まれるユーザごとに、移動確率を求める。このユーザ対象の範囲とは、例えば、駐車場A〜Cの周辺に自宅や勤務地があるユーザや、ユーザの属性(年齢、性別等)に応じて決められる。
また、利用促進処理部14は、利用促進対象駐車場Cへの入庫の需要数から出庫の需要数を減算した値に応じて予め決められている移動確率に基づき、対象車の利用を促進するユーザを決定する。ここで、駐車場Cへの入庫の需要数から出庫の需要数を減算した値は1である。よって、利用促進処理部14は、移動確率が80%以上となるように、利用促進対象駐車場である駐車場Bに駐車されている対象車の利用を促進するユーザを決定する。
【0064】
図6に示す例において、ユーザID=003とユーザID=014とを選択した場合、利用促進処理部14は、ユーザID=003とユーザID=014が誘導時刻13:30までに駐車場Cから駐車場Aに対象車を移動する移動確率が0.83(83%)であることを求める。つまり、利用促進処理部14は、以下の式に基づき、移動確率0.83(83%)を求める。
1−(0.43×0.38)=0.83
よって、利用促進処理部14は、移動確率が80%以上となるユーザとして、ユーザID=003とユーザID=014とを選択する。
【0065】
(ステップST307)
利用促進処理部14は、インセンティブ条件DB61に格納されている通知手段に従って、ユーザID=003とユーザID=014とに対して、利用促進対象駐車場Cに駐車されている対象車の利用を告知する。ここで、利用促進処理部14は、ユーザID=003の端末に対して告知メールを送信し、13:20までに駐車場Cから駐車場Aまでの対象車の利用に対して、通常料金の20%に相当するクーポンを付与することを通知する。また、利用促進処理部14は、ユーザID=014の端末(スマートフォン)に対して告知メッセージを送信し、13:20までに駐車場Cから駐車場Aまでの対象車の利用に対して、通常料金から50%の料金割引を適用することを通知する。
【0066】
利用予約受付部13は、ユーザID=003の端末から、13:20までに駐車場Cから駐車場Aまでの対象車の利用予約があった場合、インセンティブ条件DB61を参照して、通常料金の20%に相当するクーポンを付与する。また、利用予約受付部13は、ユーザID=014の端末から、12:20までに駐車場Cから駐車場Aまでの対象車の利用予約があった場合、通常料金から50%の料金割引を適用した料金を課金する。
【0067】
(ステップST308)
ステップST303において、入庫の需要数が出庫の需要数以下であると判定した場合(ステップST303:NO)、利用促進処理部14は、ステップST308において、この駐車場の利用を進める告知を、インターネットに掲載したり、カーシェアリングシステムの利用者にメールを送信して通知する利用促進処理を実行する。
(ステップST309)
次いで、空きスペース判定部12は、混雑駐車場リストに含まれる全ての駐車場について、ステップST303の処理を実行したか否かを判定する。全ての駐車場についてステップST303の処理を実行したと判定した場合(ステップST309:YES)、空きスペース判定部12は、処理を終了する。全ての駐車場についてステップST303の処理を実行していないと判定した場合(ステップST309:NO)、空きスペース判定部12は、ステップST301に戻って、混雑駐車場リストに含まれる駐車場のうち、次の駐車場を選択する。
【0068】
本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、利用促進処理部14は、所定時間間隔ごと、もしくは又はインセンティブを付与したとき、前回の更新から付与されたインセンティブに基づき、インセンティブを付与した利用者の属性、駐車場もしくは時間帯や曜日に応じたインセンティブ条件を学習させる。この利用促進処理部14は、学習させたインセンティブ条件を、ネットワークを介してインセンティブ条件管理サーバ40に送信する。このインセンティブ条件サーバ40は、上述の通り、受信したインセンティブ条件に基づき、インセンティブ条件DB61を更新する。利用促進処理部14による学習処理は、インセンティブ条件管理サーバ40によって実行されてもよい。
【0069】
上述の通り、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理装置10は、駐車場の混雑状況に基づき、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できない駐車場があるか否かを判定する。これにより、カーシェアリング用の複数の駐車場のうち、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できない駐車場を検出し、対象車の利用を制限する駐車場を検出することができる。また、複数の駐車場における駐車場間の駐車台数の偏りを検出することができる。
【0070】
また、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理装置10は、空きスペースが確保できないと判定された駐車場の利用を促進するための利用促進処理を実行する。これにより、例えば、乗り捨てされた対象車で満車状態となることが予測される駐車場の対象車の利用が促進され、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースを確保することができる。
対象車を駐車できない駐車場がある場合や、この状態が継続して駐車場の利用が長期的に制限される場合、対象車の乗り捨て利用時において返却駐車場の選択肢が制限されるとともに、目的地周辺に乗り捨てが可能な返却駐車場がない場合には一時的に乗り捨て利用が制限される可能性があった。本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理装置10は、空きスペースが確保できない駐車場に対して利用促進処理を実行することにより、対象車を駐車できない駐車場の発生を抑制し、駐車場の利用が長期的に制限される事態を解消することができる。これにより、カーシェアリングにおける乗り捨て利用が促進される。また、複数の駐車場における駐車場間の駐車台数の偏りを検出することにより、空スペースが確保できないと判定された駐車場に駐車されている対象車が、空きスペースが確保できないと判定されない駐車場に移動することを促進することができる。
【0071】
また、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理装置10の利用促進処理部14は、利用促進処理として、空きスペースが確保できないと判定された駐車場に駐車されている対象車の利用に対して所定のインセンティブを付与する。これにより、対象車の利用がより促進される。
また、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理装置10の利用促進処理部14は、インセンティブの付与条件に応じて予め決められた移動確率に基づき、利用促進処理を実行する対象者(ユーザ)を選択する。これにより、インセンティブによるコスト管理が可能となり、コスト面からも最適な利用促進が可能となる。例えば、早急に駐車場Bの対象車を移動させたい場合、カーシェアリング管理装置10は、より高いインセンティブを付与して効果的な利用促進を図ることが可能である。また、対象車の移動に早急性が要求されていない場合、カーシェアリング管理装置10は、インセンティブを低くすることにより、割引による減益を抑えることができる。
【0072】
また、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理装置10の利用予約受付部13は、空きスペースが確保できないと判定された駐車場への対象車の乗り捨て予約の受け付けを制限する。これにより、混雑駐車場の混雑状況がさらに混雑することを防止することができる。
また、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理装置10の混雑状況演算部11は、駐車場エリアの現在の利用状況(利用実績値)と予測される利用状況(利用予測値)に基づき、駐車場エリアの混雑状況を求める。これにより、将来的な混雑状況を踏まえて、より確実な混雑状況を求めることができる。
また、本発明の第1実施形態に係るカーシェアリング管理装置10の混雑状況演算部11は、駐車場の予約情報、対象車の予約情報、駐車場の過去の利用実績、対象車の過去の利用実績、駐車場周辺の地域特性、駐車場周辺の天気情報、駐車場周辺の交通情報、及び、駐車場周辺の催事情報のうち少なくともいずれか一つに基づき、駐車場の混雑状況を求める。これにより、多角的な視点から駐車場の混雑状況を予測することができる。
【0073】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るカーシェアリング管理装置10は、複数の駐車場を含む駐車場エリアの混雑状況を求めてもよい。カーシェアリング管理装置10は、求めた混雑状況に基づき、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できない駐車場エリアがあるか否かを判定してもよい。この駐車場エリアとは、カーシェアリング用の1つの駐車場からなる1つの駐車場エリアと、カーシェアリング用の2以上の駐車場を含む1つの駐車場エリアとの両方を含む概念である。
駐車エリアの一例について、
図13を参照して説明する。
図13は、本発明の第2実施形態における駐車エリアの一例を示す図である。
図13に示す通り、駐車エリアXには駐車場A,B,Cが含まれ、駐車エリアYには駐車場Dが含まれ、駐車エリアZには駐車場E,Fが含まれる。
本実施形態に係るカーシェアリング管理装置10は、駐車場を駐車エリアという単位で取り扱う以外は、第1実施形態に係るカーシェアリング管理装置10と同様の機能を有するため、詳細な説明は省略する。
このように、駐車場エリア単位で、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できない駐車場エリアがあるか否かを判定することにより、近くに設けられた複数の駐車場を総合的に管理することができる。例えば、駅の周辺に駐車場A,B,Cが用意されている場合、ユーザから見ると、駅の近くの駐車場であれば、いずれであってもよいという場合が考えられる。このような場合、駐車場エリア単位で利用促進を行うことにより、より柔軟に利用促進を図ることができる。
【0074】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係るカーシェアリング管理装置10は、混雑状況に基づき、移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できない駐車場があると判定した場合、この移動してきた対象車を駐車させる空きスペースが確保できないと判定された駐車場に用意されている共有駐車スペースを一時的にカーシェアリング用の駐車スペースとして利用してもよい。この共有駐車スペースとは、一般用の駐車スペースとしても利用可能であり、カーシェアリング用の駐車スペースとしても利用可能な駐車スペースである。一般用の車両が駐車していない場合、カーシェアリング用の対象車を駐車することができる駐車スペースである。
【0075】
共有駐車スペースとカーシェアリング用の駐車スペースの両方が設けられている駐車場の一例について、
図14を参照して説明する。
図14は、本発明の第3実施形態における駐車場の一例を示す図である。
図14に示す通り、駐車場Aは、共有駐車スペース(2台分)とカーシェアリング用の駐車スペース(6台分)が設けられている。駐車場Bには、カーシェアリング用の駐車スペース(8台分)とが、駐車場Cには、カーシェアリング用の駐車スペース(8台分)が、それぞれ設けられている。
ここで、駐車場Bから駐車場Aへの移動と、駐車場Aから駐車場Cへの移動が、自然需要として発生したとする。つまり、出発地点の駐車場Bと到着地点の駐車場Aを指定した予約と、出発地点の駐車場Aと到着地点の駐車場Cを指定した予約とが発生したとする。
この場合、駐車場Aと駐車場Cの混雑状況は混雑している。言い換えると、駐車場Aと駐車場Cの混雑度が高い。一方、駐車場Bの混雑状況は混雑していない。言い換えると、駐車場Bの混雑度は低い。
また、利用予測値によると、駐車場Aから駐車場Bへの移動と、駐車場Cから駐車場Bへの移動の需要が低いとする。利用予測値によると、駐車場Cから駐車場Aへの移動の需要が高いとする。
この場合、カーシェアリング管理装置10の利用促進処理部14は、駐車場Aのカーシェアリング用の駐車スペースに共有駐車スペースを追加し、駐車場Aの駐車可能台数を8台に設定する。これにより、カーシェアリング管理装置10は、駐車場Aを入庫可能駐車場に決定することが可能となる。従って、カーシェアリング管理装置10は、駐車場Cから駐車場Aへの利用促進処理を実行することができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限られず、各実施形態を組み合わせたものであってもよい。例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせたものであってもよい。
【0077】
また、本発明におけるカーシェアリング管理装置10の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより工程を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含む。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。
【0078】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現しても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。