(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245572
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】表示パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20171204BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20171204BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
G02F1/1335 520
G02F1/13363
G02F1/1335 510
G02B5/30
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-233351(P2013-233351)
(22)【出願日】2013年11月11日
(65)【公開番号】特開2014-95902(P2014-95902A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2016年9月7日
(31)【優先権主張番号】201210452116.X
(32)【優先日】2012年11月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100122910
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 広之
(72)【発明者】
【氏名】シン ガンクイ
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジェ ゴン
【審査官】
佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−522983(JP,A)
【文献】
特開2007−025228(JP,A)
【文献】
特開2010−066767(JP,A)
【文献】
特開2011−141393(JP,A)
【文献】
国際公開第99/004322(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0160551(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1335−1/13357
G02B5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルと、前記液晶セルの上方に位置する上偏光板と、前記液晶セルの下方に位置する下偏光板と、前記下偏光板下方に位置する半透過半反射膜を含み、
前記半透過半反射膜が、位相差板と、前記位相差板下方に位置する第二の反射型偏光板とからなり、
前記第二の反射型偏光板の透過軸と前記下偏光板の透過軸とが平行であり、
前記位相差板の位相遅延量が1/2波長の奇数倍であり、前記位相差板の光軸方向を制御することにより、表示パネルを全透過モード、全反射モード及び半透過半反射モードの三つのモードの間で転換させるように調節する、ことを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
液晶セルと、前記液晶セルの上方に位置する上偏光板と、前記液晶セルの下方に位置する下偏光板と、前記下偏光板下方に位置する半透過半反射膜を含み、
前記半透過半反射膜が、位相差板と、前記位相差板下方に位置する第二の反射型偏光板とからなり、
前記第二の反射型偏光板の透過軸と前記下偏光板の透過軸とが垂直であり、
前記位相差板の位相遅延量が1/2波長の奇数倍であり、前記位相差板の光軸方向を制御することにより、表示パネルを全透過モード、全反射モード及び半透過半反射モードの三つのモードの間で転換させるように調節する、ことを特徴とする表示パネル。
【請求項3】
前記半透過半反射膜が第一の反射型偏光板からなり、前記第一の反射型偏光板の透過軸方向と前記下偏光板の透過軸方向との間に形成された夾角が鋭角である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記位相差板が、位相遅延量及び/又は光軸方向を調節可能な調節可能位相差板である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が0度又は90度である時、前記表示パネルは全透過モードであり、
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が45度である時、前記表示パネルは全反射モードであり、
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が0度を超え45度未満又は45度を超え90度未満である時、前記表示パネルは半透過半反射モードである、ことを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が0度又は90度である時、前記表示パネルは全反射モードであり、
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が45度である時、前記表示パネルは全透過モードであり、
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が0度を超え45度未満又は45度を超え90度未満である時、前記表示パネルは半透過半反射モードである、ことを特徴とする請求項2に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記半透過半反射膜が重合体分散液晶材料である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記半透過半反射膜と前記下偏光板との間には、第三の反射型偏光板をさらに設置しており、前記第三の反射型偏光板の透過軸方向が前記下偏光板の透過軸方向と平行する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示パネル。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の表示パネルを含む、ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示技術分野に関し、特に表示パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半透過半反射技術は21世紀から次第に盛んになっており、要因としては、透過モード及び反射モードがそれぞれ利点及び欠点を有し、それに対して、半透過半反射表示モードがその両者の利点を総合した、ことである。
【0003】
反射型スクリーンは、スクリーン背面に反射鏡があり、太陽光、灯光の下での閲読に光源を提供し、その利点は、屋外の日当たりなどの強光源の場合で性能が優れており、その欠点は、弱光又は無光の場合ではっきり見えず或いは閲読できない。
【0004】
透過型スクリーンは、スクリーン背面には反射鏡がなく、バックライトで光源を提供し、その利点は、弱光、無光の場合で閲読力が優れており、その欠点は、屋外の陽光の下でバックライト輝度が大変不足となる。また、透過型スクリーンはバックライト輝度だけに依存し、電気量が急速に失われることが可能となり、そして、効果も大変理想ではない。
【0005】
半透過半反射型は、反射型スクリーン背面の反射鏡を鏡面反射膜に換え、且つ透過型のバックライトを加える。前記鏡面反射膜は半透過半反射のものであり、その正面から見れば鏡であるが、背面から見れば透明なガラスである。つまり、半透過半反射スクリーンは、反射型スクリーンと透過型スクリーンとの混血児であり、両者の利点を集中して、反射型スクリーンの屋外陽光での優れた閲読力と、透過型スクリーンの弱光及び無光での優れた閲読力を兼備えるものだと言える。
【0006】
従来の半透過半反射型表示パネルの構造は、
図1に示すように、順次に層状に分布されている、下偏光板101、第一の1/4波長板102、液晶セル、第二の1/4波長板106及び上偏光板107を含み、そのうち、前記液晶セルがアレー基板103と、カラー膜基板105と、両者の間に挟設された液晶層104とからなり、前記液晶セルの各画素において透過区と反射区に分けられ、前記液晶セル内において反射区と対応して反射板108が設置されている。液晶セル内に反射板を設置しているため、そのプロセスが複雑であり、コストが高く、且つ表示効果が良くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、プロセスが簡単で、コストが低く、表示効果が良い表示パネル及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は液晶セルと、前記液晶セルの上方に位置する上偏光板と、前記液晶セルの下方に位置する下偏光板と、下偏光板下方に位置する半透過半反射膜とを含む表示パネルを提供する。
【0009】
なお、「上方」と「下方」とは、バックライトの出射光を基準として、出射光が先に通る部品は、後に通る部品の下にあることを指す。
【0010】
好ましくは、前記半透過半反射膜が第一の反射型偏光板からなり、前記第一の反射型偏光板の透過軸方向と前記下偏光板の透過軸方向との間に形成された夾角が鋭角である。
【0011】
好ましくは、前記半透過半反射膜が、位相差板と、前記位相差板下方の第二の反射型偏光板とからなる。
【0012】
好ましくは、前記位相差板が、位相遅延量及び/又は光軸方向を調節可能な調節可能位相差板である。
【0013】
好ましくは、前記第二の反射型偏光板の透過軸と前記下偏光板の透過軸とが平行又は垂直している。
【0014】
そのうち、前記第二の反射型偏光板の透過軸と前記下偏光板の透過軸とが平行しており、前記位相差板の光軸が反射型偏光板の透過軸と45度角をなし、前記位相差板の位相遅延量の大きさを制御することにより、表示パネルを全透過モード、全反射モード及び半透過半反射モードの三つのモードの間で転換させるように調節する。
【0015】
前記位相差板の位相遅延量がR=nλを満たす時、前記表示パネルは全透過モードであり、
前記位相差板の位相遅延量がR=(2n+1)λ/2を満たす時、前記表示パネルは全反射モードであり、
前記位相差板の位相遅延量がnλ<R<(2n+1)λ/2又は(2n+1)λ/2<R<(n+1)λを満たす時、前記表示パネルは半透過半反射モードであり、
なお、Rは前記位相差板の位相遅延量であり、λは入射光の波長であり、nは0又は正整数である。
【0016】
そのうち、前記第二の反射型偏光板の透過軸と前記下偏光板の透過軸とが平行しており、前記位相差板の位相遅延量が1/2波長の奇数倍であり、前記位相差板の光軸方向を制御することにより、表示パネルを全透過モード、全反射モード及び半透過半反射モードの三つのモードの間で転換させるように調節する。
【0017】
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が0度又は90度である時、前記表示パネルは全透過モードであり、
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が45度である時、前記表示パネルは全反射モードであり、
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が0度を超え45度未満又は45度を超え90度未満である時、前記表示パネルは半透過半反射モードである。
【0018】
そのうち、前記第二の反射型偏光板の透過軸と前記下偏光板の透過軸とが垂直しており、前記位相差板の光軸が反射型偏光板の透過軸と45度角をなし、前記位相差板の位相遅延量の大きさを制御することにより、表示パネルを全透過モード、全反射モード及び半透過半反射モードの三つのモードの間で転換させるように調節する。
【0019】
前記位相差板の位相遅延量がR=nλを満たす時、前記表示パネルは全反射モードであり、
前記位相差板の位相遅延量がR=(2n+1)λ/2を満たす時、前記表示パネルは全透過モードであり、
前記位相差板の位相遅延量がnλ<R<(2n+1)λ/2又は(2n+1)λ/2<R<(n+1)λを満たす時、前記表示パネルは半透過半反射モードであり、
なお、Rは前記位相差板の位相遅延量であり、λは入射光の波長であり、nは0又は正整数である。
【0020】
そのうち、前記第二の反射型偏光板の透過軸と前記下偏光板の透過軸とが垂直しており、前記位相差板の位相遅延量が1/2波長の奇数倍であり、前記位相差板の光軸方向を制御することにより、表示パネルを全透過モード、全反射モード及び半透過半反射モードの三つのモードの間で転換させるように調節する。
【0021】
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が0度又は90度である時、前記表示パネルは全反射モードであり、
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が45度である時、前記表示パネルは全透過モードであり、
前記位相差板の光軸と前記第二の反射型偏光板の透過軸との間に形成された夾角が0度を超え45度未満又は45度を超え90度未満である時、前記表示パネルは半透過半反射モードである。
【0022】
好ましくは、前記半透過半反射膜が重合体分散液晶材料である。
【0023】
好ましくは、前記半透過半反射膜と前記下偏光板との間に、第三の反射型偏光板を設置しており、前記第三の反射型偏光板の透過軸方向が前記下偏光板の透過軸方向と平行する。
【0024】
また、本発明は、上記表示パネルを含む表示装置を更に提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、従来の液晶セル構造を変えることなく、半透過半反射表示を実現し、半透過半反射表示の効果を高めるだけでなく、視角効果悪いやコントラスト低いなどの問題がなく、一般的な透過モードと同じ又はより良い効果を奏することができ、屋外の安定性が良く、且つ構造が簡単であり、従来の半透過半反射表示モードよりも、コストが大幅に低減される。
本発明は、液晶モードに制限されず、何れかの液晶モード(例えば、FFS、VA、IPS、TN、ECBモード)でも実現できるため、表示パネルの適用範囲が更に広くなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来技術の半透過半反射型表示パネルの層状構造の模式図である。
【
図2】本発明実施例一の表示パネルの層状構造の模式図である。
【
図3】本発明実施例二の表示パネルの層状構造の模式図である。
【
図4】本発明実施例三の表示パネルの層状構造の模式図である。
【
図5】本発明実施例四の表示パネルの層状構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面及び実施例に参照して本発明を詳しく説明する。
【0028】
本発明は、液晶セルと、前記液晶セルの上方に位置する上偏光板と、前記液晶セルの下方に位置する下偏光板と、下偏光板下方に位置する半透過半反射膜とを含む表示パネルを開示している。
なお、「上方」と「下方」とは、バックライトの出射光を基準として、出射光が先に通る部品は、後に通る部品の下にあることを指す。
【0029】
本発明は、液晶セル内に反射板を設置せず、下偏光板下方の半透過半反射膜によって液晶パネルの半透過半反射表示を実現するため、従来の液晶セル構造を変える必要がなく、半透過半反射表示パネルのコストを低減すると共に、本発明の半透過半反射の液晶パネルが液晶モードに制限されないようになり、何れかの液晶モード(例えば、FFS、VA、IPS、TN、ECBモード)でも実現でき、表示パネルの適用範囲が更に広くなる。
【0030】
具体的には、下記の通りである。
実施例一:
図2に示すように、本実施例では、液晶セル203と、前記液晶セル203の上方に位置する上偏光板204と、前記液晶ボックス203の下方に位置する下偏光板202とを含み、更に前記表示パネルは前記下偏光板202下方に位置する半透過半反射膜201を含む表示パネルを記載している。本実施例において(下記の他の全ての実施例も同じ)、「上方」と「下方」とは、バックライトの出射光を基準として、出射光が先に通る部品は、後に通る部品の下にあることを指す。
【0031】
本実施例では、従来技術の液晶セル203の内部に反射層を設置することに取って代わり、液晶セル203の下方に半透過半反射膜201を設置することによって、表示パネルの半透過半反射表示を実現し、半透過半反射表示モードの表示パネルは構造及びプロセスが更に簡単となり、コストが低減された。
【0032】
本実施例では、前記半透過半反射膜201が普通の半透過半反射膜、例えば薄いアルミ金属をメッキしたフィルムであればよく、設計の需要に応じて、厚みの異なるフィルムを選ぶことで需要の透過反射割合を得ることができる。そのうち、二つの極端な状況としては、フィルムの厚みが一定の程度になる場合、フィルムが光を透過しなくなるため、全反射が実現され、また、フィルムの厚みが0である場合、殆ど反射しないようになるため、全透過が実現される。
なお、「透過反射割合」とは、光線が半透過半反射膜を透過した後、透過光と反射光の比率を指す。
【0033】
本発明の他の実施例では、前記半透過半反射膜は、透過反射割合が調節可能であるフィルムであってよく、例えば、重合体分散液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal,PDLC)材料を半透過半反射膜材として使用することができる。そのうち、電界を加えない場合にPDLCは散乱状態となり、透過も反射もできるため、半透過半反射が実現され、電圧を加える場合に、PDLCの透明度が次第に高くなり、即ち、透過の割合を高くし、反射の割合を低くすることに相当する。
【0034】
実施例二:
図3に示すように、本実施例では、上から下へと順次に配列される、上偏光板304と、液晶セル303と、下偏光板302と、半透過半反射膜とを含む表示パネルを記載している。本実施例において、前記半透過半反射膜が第一の反射型偏光板301からなり、前記第一の反射型偏光板301の透過軸方向と前記下偏光板302の透過軸方向との間の夾角が鋭角であり、即ち、前記第一の反射型偏光板301の透過軸方向が前記下偏光板302の透過軸方向と垂直にも平行にもなっていない。反射型偏光板は、偏光方向がその透過軸方向と平行する直線偏光を透過させて、偏光方向がその透過軸と垂直する直線偏光を反射させることができるため、半透過半反射表示が実現される。設計の需要に応じて、前記第一の反射型偏光板301の透過軸方向を調整すると、需要の透過反射割合を得ることができる。第一の反射型偏光板301の異なる透過軸方向を設定することによって、異なる表示モードを実現することができる。具体的に、第一の反射型偏光板301の透過軸が下偏光板の透過軸と平行する場合、表示モードが全透過モードとなり、第一の反射型偏光板301の透過軸が下偏光板の透過軸と垂直する場合、表示モードが全反射モードとなり、第一の反射型偏光板301の透過軸が下偏光板の透過軸と平行も垂直もしない(即ち、両者の間の夾角が鋭角である)場合、表示モードが半透過半反射モードとなる。
【0035】
実施例三:
図4に示すように、本実施例では、上から下へと順次に配列される、上偏光板405と、液晶セル404と、下偏光板403と、半透過半反射膜とを含む表示パネルを記載している。
【0036】
本実施例では、前記半透過半反射膜が、位相差板402と、前記位相差板402下方の第二の反射型偏光板401とからなる。前記第二の反射型偏光板401が半透過半反射の特性を具備し、第二の反射型偏光板401により反射及び透過した反射光及び透過光が何れも直線偏光であり、且つ両者の偏光方向が互いに垂直なため、本実施例において、前記下偏光板403の下方に位相差板402及び第二の反射型偏光板401を設置し、位相差板402により透過光及び反射光の偏光特性を制御することによって、表示パネルの反射と透過との割合を制御して、半透過半反射の効果を奏し、従来の液晶セルの構造を変える必要がなく、製造プロセスが簡単であり、表示効果が良い。
【0037】
本実施例では、前記位相差板402が、位相遅延量及び/又は光軸方向を調節可能な調節可能位相差板402であり、前記位相差板402の位相遅延量及び/又は光軸方向を調節することによって、表示パネルの透過光と反射光との割合を調整する。言うまでもなく、本発明の他の実施例において、位相差板402の位相遅延量及び光軸方向を固定してもよく、同様に、簡単な構造で半透過半反射表示の効果の目的を達成することができるが、透過と反射の割合を敏捷に調節することができない。
【0038】
本実施例では、前記第二の反射型偏光板401の透過軸が前記下偏光板403の透過軸と平行又は垂直する。このように、調節可能位相差板402によって透過光と反射光の割合を調節する場合、更に便利となり、且つ全反射又は全透過の表示効果を奏するまで調節できる。
【0039】
本実施例に記載の表示パネルは、前記位相差板402の位相遅延量及び光軸方向のうちの少なくとも一つを調節することによって、表示パネルの透過光と反射光の割合を調節することができる。即ち、表示パネルの透過光と反射光の割合は、下記の三つの方式により調節できる。
一、位相差板402の光軸方向が固定となる場合、その位相遅延量を制御することにより、実現する。
二、位相遅延量が一定となる場合、その光軸方向の変化を制御することにより、実現する。
三、位相差板402の位相遅延量の大きさ及び光軸方向を同時に調節する。
【0040】
次に、四つの具体的状況によって本実施例を説明する。
1.第二の反射型偏光板401の透過軸と表示パネルの下偏光板403の透過軸が平行し、且つ位相差板402の光軸が第二の反射型偏光板401の透過軸と45度の角度をなすことを維持し、位相差板402の位相遅延量の大きさを制御することによって、表示パネル透過反射比を調節する目的を達成し、そして異なるモード(全透過モード、全反射モード、半透過半反射モード)の間で転換させるように制御する。当該実施例では、位相差板402の位相遅延量が0或いは波長の整数倍である(即ちR=nλ)場合、表示パネルが全透過モードであり(位相遅延量が0であることが好ましい)、位相遅延量が1/2波長の奇数倍である(即ちR=(2n+1)λ/2)場合、表示パネルが全反射モードであり(位相遅延量が1/2波長であることが好ましい)、位相遅延量が上記2つの状況以外の他の数値である(即ちnλ<R<(2n+1)λ/2又は(2n+1)λ/2<R<(n+1)λ)場合、表示パネルが半透過半反射モードであり、且つ透過反射割合が位相遅延量の大きさによって決定される。なお、Rは前記位相差板の位相遅延量であり、λは入射光の波長であり、nは0又は正整数である。
【0041】
その作動原理:外界環境光が強い場合、環境光のうち、偏光状態が下偏光板403の透過軸方向と平行する直線偏光のみは下へ下偏光板403を透過することができ、該偏光は更に、光軸方向がその偏光方向と45度夾角をなす位相差板402を経過する。この場合、位相差板の位相遅延量の調節が具体的に以下の3つの状況に分けられる。1)位相差板402の位相遅延量が0であり或いは1/2波長の偶数倍である場合、下偏光板403から透過した直線偏光は位相差板402を経過する時、その偏光方向が変化しないため、下の反射型偏光板を経過する時、直接に透過し、同様に、バックライトからの光は第二の反射型偏光板を経過する時、偏光方向が第二の反射型偏光板透過軸と平行する直線偏光が透過でき、この時、該直線偏光が位相差板及び下偏光板をも直接に透過することができるため、反射がなく、全透過が実現される。2)その位相差板402の位相遅延量が1/2波長の奇数倍である(1/2波長が好ましい)場合、位相差板を経過する直線偏光の偏光方向が90度回転し、この時、該偏光の偏光方向がちょうど下の第二の反射型偏光板401の透過軸方向と垂直になり、該光線が全部反射され、位相差板402を再度経過し、更に90度回転し、この時の偏光方向が偏光板透過軸方向と平行になり、全部透過される。同時に、バックライトからの光は、偏光方向が第二の反射型偏光板透過軸と平行する直線偏光のみが第二の反射型偏光板を透過することができ、該直線偏光が位相差板を経過する時、偏光方向が90度回転し、この時、該直線偏光の偏光方向が下偏光板の透過軸と垂直になるため、下偏光板を透過することができなく、そして全反射モードが実現される。3)位相差板402の位相遅延量が、上記2つの状況以外の他の数値である場合、透過も反射もあり、半透過半反射が実現される。
【0042】
2. 第二の反射型偏光板401の透過軸と表示パネルの下偏光板403の透過軸が平行し、且つ位相差板402の位相遅延量が1/2波長の奇数倍(1/2波長が好ましい)であることを維持し、位相差板402の光軸方向を制御することによって透過と反射の状態及び割合を実現し、そして異なるモード(全透過モード、全反射モード、半透過半反射モード)の間で転換させるように制御する。当該実施例では、位相差板の光軸方向が第二の反射型偏光板の透過軸と0或いは90度の角度をなす場合、表示パネルが全透過モードとなり、該角度が45度である場合、表示パネルが全反射モードとなり、他の角度の場合、表示パネルが半透過半反射モードとなり、且つ透過反射割合が夾角の大きさによって決定される。
【0043】
その作動原理:外界環境光が強い場合、環境光のうち、偏光状態が下偏光板403透過軸方向と平行する直線偏光のみが下へ下偏光板403を透過することができる。この場合、位相差板の位相遅延量が1/2波長の奇数倍であり(1/2波長が好ましい)、位相差板の光軸方向の調節が具体的に下記の3つの状況に分けられる。1)位相差板402光軸が表示パネルの下偏光板403の透過軸と0度或いは90度をなす場合、下偏光板403を経過して下へ透過する直線偏光は位相差板402を経過する時、その偏光方向が変化しないため、更に下の第二の反射型偏光板401を経過する時、該直線偏光が直接に透過され、同時に、バックライトからの光が先ず第二の反射型偏光板401を経過する時、偏光方向が第二の反射型偏光板401透過軸と平行する直線偏光のみが透過でき、該直線偏光が更に位相差板402を経過し、この時、位相差板の光軸が下偏光板の透過軸と0度或いは90度をなすため、第二の反射型偏光板を透過した直線偏光が直接に位相差板402を透過することができ、下偏光板の透過軸と第二の反射型偏光板の透過軸とが平行するため、該直線偏光が下偏光板をも直接に透過することができるため、反射がなく、全透過が実現される。2)位相差板402が表示パネルの下偏光板403の透過軸方向と45度をなす場合、直線偏光が該位相差板を経過した後、その偏光方向が90度回転するため、外界光が下偏光板を経過した後、偏光方向が下偏光板透過軸と平行する直線偏光は下偏光板を透過でき、位相差板を経過した後、該直線偏光の偏光方向が第二の反射型偏光板の透過軸と垂直になり、この時、該直線偏光が第二の反射型偏光板に反射され、反射後の直線偏光が位相差板を再度経過した後、該直線偏光の偏光方向が90度回転し、この時、直線偏光の偏光方向が下偏光板の透過軸と平行になり、このように、該偏光が下偏光板を再度透過し、更に液晶パネルを透過することができる。同時に、バックライトからの光は第二の反射型偏光板、位相差板を経過した後、偏光方向が下偏光板透過軸と垂直する直線偏光に変わるため、該直線偏光が下偏光板を透過することができなく、このように、表示パネルは完全反射モードが実現される。3)位相差板402の角度が0度、45度、90度ではない場合、半透過半反射モードが実現される。
【0044】
3. 第二の反射型偏光板401の透過軸と表示パネルの下偏光板403の透過軸とが垂直し、位相差板402の光軸が第二の反射型偏光板の透過軸と45度をなすことを維持し、位相差板402の位相遅延量の大きさを制御することによって透過反射割合を調節するという目的を達成し、そして異なるモード(全透過モード、全反射モード、半透過半反射モード)の間で転換させるように制御する。該実施例では、位相差板402の位相遅延量が0或いは波長の整数倍である(即ちR=nλ、0が好ましい)時、表示パネルは全反射モードとなり、位相遅延量が1/2波長の奇数倍(即ちR=(2n+1)λ/2、1/2波長が好ましい)である場合、表示パネルは全透過モードであり、位相遅延量が他の数値(即ちnλ<R<(2n+1)λ/2又は(2n+1)λ/2<R<(n+1)λ)である時、半透過半反射モードになり、且つ透過反射割合が位相遅延量の大きさによって決定される。
【0045】
その作動原理:外界環境光が強い場合、環境光のうち、偏光状態が下偏光板403透過軸方向と平行する光のみが下へ下偏光板403を透過することができ、その後、該偏光が、その偏光方向と45度夾角をなす位相差板402を経過する。この場合、位相差板の位相遅延量の調節が具体的に下記の3つの状況に分けられる。1)位相差板402の位相遅延量が0又は1/2波長の偶数倍である場合、下偏光板403から透過した直線偏光は位相差板402を経過する時、その偏光方向が変化しないため、下の反射型偏光板を経過する時、全部反射され、その後、位相差板402を再度経過し、偏光方向が依然として変化しなく、この時の偏光方向が下偏光板透過軸方向と平行するため、全部透過する。同時に、バックライトからの光が第二の反射型偏光板を経過する時、偏光方向が第二の反射型偏光板の透過軸と平行する直線偏光のみが透過でき、この部分の直線偏光が位相差板をも直接に透過することができるが、下偏光板を透過することができなく、このように、完全反射モードが実現される。2)その位相差板402の位相遅延量が1/2波長の奇数倍(1/2波長が好ましい)である場合、該位相差板を経過する直線偏光の偏光状態が90度回転し、この時、該直線偏光の偏光状態がちょうど下の反射型偏光板の透過軸方向と平行になり、該光線が反射せず全部透過する。同時に、バックライトからの光が第二の反射型偏光板を経過する場合、偏光方向が第二の反射型偏光板の透過軸と平行する直線偏光のみが透過でき、位相差板を経過した後、該直線偏光の偏光方向が90度回転するため、下偏光板を透過することができ、それにより、全透過モードが実現される。3)位相差板402の位相遅延量が上記2つの状況以外の他の数値である場合、半透過半反射表示が実現できる。
【0046】
4. 第二の反射型偏光板の透過軸と表示パネルの下偏光板403の透過軸が垂直し、且つ位相差板402の位相遅延量が1/2波長の奇数倍である(1/2波長が好ましい)ことを維持し、位相差板402の光軸方向を制御することによって、表示パネルの透過と反射の状態及び割合を実現し、そして異なるモード(全透過モード、全反射モード、半透過半反射モード)の間で転換させるように制御する。該実施例では、位相差板の光軸方向が第二の反射型偏光板の透過軸と0度或いは90度の角度をなす場合、表示パネルが全反射モードになり、当該角度が45度である場合、表示パネルが全透過モードになり、角度が0度、45度、90度ではない場合、表示パネルが半透過半反射モードになり、且つ透過反射割合が夾角の大きさによって決定される。
【0047】
その作動原理:外界環境光が強い場合、環境光のうち、偏光状態が下偏光板403透過軸方向と平行する直線偏光のみが下へ下偏光板403を透過することができ、この時、位相差板の位相遅延量が1/2波長の奇数倍である(1/2波長が好ましい)。位相差板の光軸方向の調節が具体的に下記の3つの状況に分けられる。1)位相差板402光軸が表示パネルの下偏光板403の透過軸と0度或いは90度をなす場合、下偏光板403から透過した直線偏光が位相差板402を経過する時、その偏光方向が変化しないため、該直線偏光が更に下の反射型偏光板を経過する時、全部反射され、その後、位相差板402を再度経過して、その偏光方向が変化しないため、全て下偏光板403を透過する。同時に、バックライトからの光が第二の反射型偏光板を経過する場合、偏光方向が該第二の反射型偏光板の透過軸と平行する直線偏光のみが第二の反射型偏光板を透過することができ、該直線偏光が位相差板を直接に透過することができるが、下偏光板を透過することができなく、このように、表示パネルは全反射モードが実現される。2)位相差板402の光軸方向が表示パネルの透過軸方向と45度をなす場合、直線偏光が該位相差板402を経過した後、該直線偏光の偏光状態が90度回転し、この時、該偏光の偏光状態がちょうど下の反射型偏光板の光透過軸方向と平行になり、該光線が全部透過する。同時に、バックライトの光が第二の反射型偏光板を経過する時、偏光方向が第二の反射型偏光板の透過軸と平行する直線偏光のみが透過でき、位相差板を経過した後、該直線偏光の偏光方向が90度回転するため、下偏光板を透過することができ、それにより、完全透過モードが実現される。3)位相差板402の角度が0度、45度、90度ではない場合、半透過半反射モードが実現できる。
【0048】
言うまでもなく、上記4つの状況を除いて、本発明の調節方法が他の状況であってもよい。上記4つの状況は主に、位相差板の位相遅延量と光軸方向との2つのパラメータのうちの1つのパラメータを固定させて、他の1つのパラメータを調整することによって、異なる表示モードの転換を実現する。また、表示パネル設計の需要に応じて、位相差板402の位相遅延量及び光軸方向の両方を調節し、調節の結果が上記の幾つかの状況の一つを満足すれば、異なるモードの転換が実現できる。
【0049】
本実施例から分かるように、透過反射割合を調節可能な半透過半反射膜において、本発明では、透過反射割合を調節可能な半透過半反射膜の透過反射割合を調節し、上記のように、調節可能な位相差板の位相遅延量及び/又は光軸方向を調節することによって、表示装置を全透過表示、完全反射表示及び半透過半反射表示の間で自由に転換することが実現でき、表示パネルの使用が敏捷になる。
【0050】
実施例四:
図5に示すように、本実施例の表示パネルは、他の構造が実施例三と同様に、上から下へと順次に配列される、上偏光板505、液晶セル504、下偏光板503及び半透過半反射膜を含むが、相違点としては、本実施例において、前記半透過半反射膜と前記下偏光板503との間に第三の反射型偏光板506が更に設置されており、前記第三の反射型偏光板506の透過軸方向が前記下偏光板503の透過軸方向と平行する。
【0051】
本実施例の
図5において、前記半透過半反射膜が位相差板502及び第二の反射型偏光板501で構成される例のみが示されている。実は、実施例一及び二に記載された実施例において、何れも、前記第三の反射型偏光板506を加えることができる。
【0052】
前記第三の反射型偏光板506を加えない場合、バックライトモジュールからの光が偏光板503を経過する時、偏光方向がそれと一致する光線のみが通過でき、偏光方向がそれと一致しないものが直接に吸収される。前記第三の反射型偏光板506を加えると、透過できない光線が吸収されることなく、前記第三の反射型偏光板506で元に反射される。バックライトモジュールには反射デバイス及び光散乱デバイスがあるため、元に反射された直線偏光が、バックライトモジュールの反射及び散乱を経て複数の偏光方向の直線偏光を含むようになり、これらの偏光は一部が再利用可能となり、第三の反射型偏光板を再度透過し、下偏光板503に再度到着する時、偏光状態の変化により、下偏光板503から上へ透過することができるため、光線の利用率が高まる。
【0053】
実施例五:
本実施例では、実施例一、二、三、四のいずれか1項に記載の表示パネルと、表示パネルの下方に位置するバックライトモジュールとを含む表示装置が記載されている。
【0054】
本実施例の表示装置は、液晶パネル、電子ペーパー、OLEDパネル、液晶テレビ、液晶ディプレー、デジタルフレーム、携帯電話、タブレットPCなどの表示機能を具備する何れの製品又は部品であってよい。
【0055】
本発明によれば、従来の液晶セル構造を変えることなく、半透過半反射表示を実現でき、半透過半反射表示の効果を高めただけでなく、視角効果が悪い、コントラストが低いなどの問題がなく、一般的な透過モードと同等以上の効果を奏することができ、屋外安定性がよく、且つ構造が簡単で、従来の半透過半反射表示モードよりも、コストが大幅に低減される。
【0056】
上記の実施形態は、本発明を説明するために用いられ、本発明への制限ではなく、当業者が本発明の主旨及び範囲を逸脱しないで各種の変化及び変形をしてもよいため、全ての同等な技術案も本発明のカテゴリに属し、本発明の特許保護範囲が特許請求の範囲により限定される。