【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、長方形で平板状の座具本体と、該座具本体の相対する位置にある一組の端縁部の接合面と反対の面に形成され、先端縁へ向け板厚が薄くなるよう所要角度で傾斜した平らな座面と、前記座具本体の前記端縁部に設けられ、前記座面から前記座面と直角方向に反対の面に貫通した、ラグスクリューを通すための所要数の通し孔とを備える木質部材の接合構造に使用する座具である。
【0010】
本発明に係る座具は、長方形で平板状の座具本体の相対する位置にある一組の端縁部の接合面と反対の面に、先端縁へ向け板厚が薄くなるよう所要角度で傾斜した平らな座面を有しているので、座面に設けられる通し孔の配列方向を、座具の両側の端縁部で平行にすることができる。これによれば、ラグスクリューの位置が揃うので、施工がしやすくなる。
【0011】
また、座面は、ラグスクリューを木質部材に斜めにねじ込んだ際に、ラグスクリューが有するヘッドが圧着する部分となる。更に、座面は、反対側の接合面に対して傾斜しており、このため接合面に密着する木質部材の接合面に対しても傾斜するので、ラグスクリューを木質部材に斜めにねじ込んだときにヘッドの圧着面と座面は隙間なく平行に密着し、これにより最大面積で均等な圧力を以て密着する。
【0012】
更に、座具は、木質部材の接合構造に使用した際に、ラグスクリューを座具の通し孔に通し、木質部材に斜めにねじ込むことで、木質部材との接合が可能になるので、従来のように連結ボルト一本当たり、二個の座具とナットを使用して固定する構造と比較して、施工の手間が軽減され、木軸構造体を施工するに当たり、迅速な施工が可能になる。なお、本発明にいう「長方形」の用語は、いうまでもなく「正方形」を含む意味で使用している。
【0013】
(2)本発明の座具は、長方形で平板状の座具本体と、該座具本体の相対する位置にある一組の端縁部の表裏両側の接合面に形成され、先端縁へ向け板厚が薄くなるよう所要角度で傾斜した平らな座面と、前記座具本体の前記端縁部に設けられ、表裏両側の前記座面のうち一方の座面と直角方向に反対の面に貫通した、ラグスクリューを通すための所要数の通し孔、及び他方の座面と直角方向に反対の面に貫通した、ラグスクリューを通すための所要数の通し孔とを備える。
【0014】
本発明に係る座具は、長方形で平板状の座具本体の相対する位置にある一組の端縁部の表裏両側の接合面に、先端縁へ向け板厚が薄くなるよう所要角度で傾斜した平らな座面を有しているので、座面に設けられる通し孔の配列方向を、座具の両側の端縁部で平行にすることができる。これによれば、ラグスクリューの位置が揃うので、施工がしやすくなる。
【0015】
また、座面は、ラグスクリューを木質部材に斜めにねじ込んだ際に、ラグスクリューが有するヘッドが圧着する部分となる。更に、座面は、各接合面に対して傾斜しており、このため接合面に密着する木質部材の接合面に対しても傾斜するので、ラグスクリューを通し孔に通して木質部材に斜めにねじ込んだときに、ヘッドの圧着面と座面は隙間なく平行に密着し、これにより最大面積で均等な圧力を以て密着する。
【0016】
更に、座具は、木質部材の接合構造に使用した際に、表裏両側の座面のうち一方の座面と直角方向に反対の面に貫通した通し孔にラグスクリューを通し、他方の座面と直角方向に反対の面に貫通した通し孔にラグスクリューを通して、木質部材にねじ込まれる。すなわち、この座具によれば、座具の表裏両方向へラグスクリューをねじ込むことができるので、座具を挟んで表裏両側の接合面に接合面を密着させた木質部材同士を接合することが可能になる。
【0017】
また、従来のように連結ボルト一本当たり、二個の座具とナットを使用して固定する構造と比較して、施工の手間が軽減され、木軸構造体を施工するに当たり、迅速な施工が可能になる。
【0018】
(3)本発明の座具は、前記通し孔が、前記通し孔の配列方向へ交互に異なる表裏両側の前記座面に設けられるよう配置されている構成とすることもできる。
【0019】
この場合は、通し孔に通して木質部材に斜めにラグスクリューをねじ込む際に、配列方向において交互に逆傾斜となるようにねじ込むことが可能になる。これによれば、平行にねじ込まれるラグスクリューの間隔を、一本分だけ広げることができ、ラグスクリュー間の木質部分の強度を充分に確保することができる。よって、施工後の木質部材の割れや亀裂の発生を抑制することが可能で、構築物としての安全性を高めるために、より好ましい。
【0020】
(4)上記の目的を達成するため、本発明は、複数の可動腕部を有する接合具と、前記可動腕部の先端に取り付けられており、長方形で平板状の座具本体と、該座具本体の相対する位置にある一組の端縁部の接合面に形成され、先端縁へ向け板厚が薄くなるよう所要角度で傾斜した平らな座面と、前記座具本体の前記端縁部に設けられ、前記座面から前記座面と直角方向に反対の面に貫通した、ラグスクリューを通すための所要数の通し孔とを備える座具と、接合面を前記座具の接合面に当接し、前記接合面と所要角度を以て所要深さに形成された下穴を有している木質部材と、前記座具の前記通し孔から前記木質部材の前記下穴に通すようにねじ込まれ、前記座具と前記木質部材を接合しているラグスクリューとを備える木質部材の接合構造である。
【0021】
本発明に係る木質部材の接合構造は、接合具に複数の可動腕部を備えており、その先端に取り付けられている座具に、あらかじめ設けてある下穴にラグスクリューをねじ込んで、木質部材を接合することができる。したがって、複数の木質部材を、接合具を中心として、異なる方向へ配する施工を行うことができ、主に木質部材同士を接合するだけの従来の施工形態のバリエーションを、より広げることが可能になる。なお、座具に係る各作用については、前記(1)に記載した説明と同様であるので、ここでは省略する。
【0022】
(5)上記の目的を達成するため、本発明は、中心軸を同一直線に合わせて配され、接合面と所要角度を以て所要深さに形成された下穴を有している一組の木質部材と、各木質部材の接合面で挟まれており、長方形で平板状の座具本体と、該座具本体の相対する位置にある一組の端縁部の表裏両側の接合面に形成され、先端縁へ向け板厚が薄くなるよう所要角度で傾斜した平らな座面と、前記座具本体の前記端縁部に設けられ、表裏両側の前記座面のうち一方の座面と直角方向に反対の面に貫通した、ラグスクリューを通すための所要数の通し孔、及び他方の座面と直角方向に反対の面に貫通した、ラグスクリューを通すための所要数の通し孔とを備える座具と、該座具の前記通し孔から前記各木質部材の前記下穴に通すようにねじ込まれ、前記木質部材同士を接合しているラグスクリューとを備える木質部材の接合構造である。
【0023】
本発明に係る木質部材の接合構造は、接合する木質部材を、中心軸を同一直線に合わせて配することで、各木質部材をずれのない状態とすることができる。そして、木質部材の接合構造を施工するに際して、座具には、表裏両側の座面のうち一方の座面と直角方向に反対の面に貫通した通し孔にラグスクリューが通され、他方の座面と直角方向に反対の面に貫通した通し孔にラグスクリューが通されて木質部材にねじ込まれる。
【0024】
すなわち、座具の表裏両方向へラグスクリューをねじ込むことができるので、座具を挟んで表裏両側の接合面に接合面を密着させた木質部材同士を接合することが可能になる。なお、座具に係る各作用については、前記(2)に記載した説明と同様であるので、ここでは省略する。
【0025】
(6)本発明の木質部材の接合構造は、前記木質部材の前記接合面に、少なくとも施工時に下側となる前記接合面を密着させて、前記座具を収容する収容凹部が形成されている構成としてもよい。
【0026】
この場合は、施工後の構造体の接合部を下方から見たときに、木質部材の下側が密着しているので、仮に座具が側面に露出しているとしても、見えにくい。また、座具の座面に位置する、ラグスクリューのヘッドも、同様に見えにくくなっている。したがって、木質部材に金属製の部品の露出がなく、積極的に木質の構造体を見せる上で、意匠的に、より好ましい形態とすることができる。
【0027】
(7)本発明の木質部材の接合構造は、前記木質部材に、他方の木質部材の下穴と対応し方向を同じくして設けられた、ラグスクリューを入れる入れ孔が形成されている構成としてもよい。
【0028】
この場合は、入れ孔にラグスクリューのヘッドが収まることになるので、仮に木質部材の施工時に下側となる部分にラグスクリューのヘッドが位置する場合でも、施工後の構造体の接合部を下方から見たときに、座具やラグスクリューは見えにくい。
【0029】
(8)上記の目的を達成するため、本発明は、複数の可動腕部を有する接合具の前記可動腕部の先端に取り付けた、長方形で平板状の座具本体と、該座具本体の相対する位置にある一組の端縁部の接合面に形成され、先端縁へ向け板厚が薄くなるよう所要角度で傾斜した平らな座面と、前記座具本体の前記端縁部に設けられ、前記座面から前記座面と直角方向に反対の面に貫通した、ラグスクリューを通すための所要数の通し孔とを備える座具の前記接合面に、前記接合面と所要角度を以て所要深さに形成された下穴を有している木質部材の接合面を当接し、前記座具の前記通し孔から前記木質部材の前記下穴に通すようにラグスクリューをねじ込んで固定し、前記座具と前記木質部材を接合する木質部材の接合方法である。
【0030】
本発明に係る木質部材の接合方法は、複数の木質部材を、接合具を中心として、異なる方向へ配する施工を行うことができ、主に木質部材同士を接合するだけの従来の施工形態のバリエーションを、より広げることが可能になる。なお、座具に係る各作用については、前記(1)に記載した説明と同様であるので、ここでは省略する。
【0031】
(9)上記の目的を達成するため、本発明は、接合部に接合面と所要角度を以て所要深さに形成された下穴を有し、前記接合面と下穴の角度は、平行な表裏両面に対する通し孔の角度と同じに設定されている一組の木質部材を、中心軸を同一直線に合わせて配する工程と、各木質部材の接合面の間に、長方形で平板状の座具本体と、該座具本体の相対する位置にある一組の端縁部の表裏両側の接合面に形成され、先端縁へ向け板厚が薄くなるよう所要角度で傾斜した平らな座面と、前記座具本体の前記端縁部に設けられ、表裏両側の前記座面のうち一方の座面と直角方向に反対の面に貫通した、ラグスクリューを通すための所要数の通し孔、及び他方の座面と直角方向に反対の面に貫通した、ラグスクリューを通すための所要数の通し孔とを備える座具を挟む工程と、各通し孔から、各通し孔に対応する位置にある各下穴に通すようにラグスクリューをねじ込んで固定し、各木質部材を連結する工程とを備える木質部材の接合方法である。
【0032】
本発明に係る木質部材の接合方法は、接合する木質部材を、中心軸を同一直線に合わせて配することで、各木質部材をずれのない状態とすることができる。そして、木質部材の接合構造を施工するに際して、座具には、表裏両側の座面のうち一方の座面と直角方向に反対の面に貫通した通し孔にラグスクリューが通され、他方の座面と直角方向に反対の面に貫通した通し孔にラグスクリューが通されて木質部材にねじ込まれる。
【0033】
すなわち、座具の表裏両方向へラグスクリューをねじ込むことができるので、座具を挟んで表裏両側の接合面に接合面を密着させた木質部材同士を接合することが可能になる。なお、座具に係る各作用については、前記(2)に記載した説明と同様であるので、ここでは省略する。