特許第6245633号(P6245633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245633
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】包装用フィルム
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/32 20060101AFI20171204BHJP
   B65D 65/28 20060101ALI20171204BHJP
   B65D 65/14 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B65D65/32
   B65D65/28
   B65D65/14
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-138764(P2013-138764)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-9889(P2015-9889A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】松下 輝光
(72)【発明者】
【氏名】中西 亨
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−058743(JP,A)
【文献】 実開昭55−115930(JP,U)
【文献】 特開平03−133765(JP,A)
【文献】 特開2008−150112(JP,A)
【文献】 特開2008−265777(JP,A)
【文献】 特開2007−039119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00−65/46
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器へ巻き掛けて、巻き掛け方向の端部に形成した粘着部を、前記容器外面に貼付ける包装用フィルムであって、
前記巻き掛け方向と交差する方向に延びる切断線と、該切断線の中間部位に連なる摘み部とを備え、
前記容器への貼付け状態では、前記摘み部が容器の端縁部分に位置する、
ことを特徴とする包装用フィルム。
【請求項2】
前記容器への貼付け状態では、前記摘み部が、容器上部の端縁部分に位置する、
請求項1に記載の包装用フィルム。
【請求項3】
前記切断線が、ミシン目であって、該ミシン目を山形に形成して、その頂部に前記摘み部が形成される、
請求項1または2に記載の包装用フィルム。
【請求項4】
前記切断線が、前記容器への貼付け状態では、容器側面に位置する、
請求項1ないし3のいずれかに記載の包装用フィルム。
【請求項5】
前記粘着部を両端辺に備えるとともに、前記切断線と摘み部とを一定ピッチごとに備えた原反シートから前記一定ピッチずつ分離されるものである、
請求項1ないし4のいずれかに記載の包装用フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、苺詰めパックのように、果物や各種食品などの物品が収容された開放型の樹脂パッケージの開口部を覆ったり、あるいは、弁当の紙箱等の容器に掛け紙として使用するのに好適な包装用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記包装用フィルムとしては、例えば、特許文献1に示されているように、両端部に粘着面を備えたフィルム片を、物品が収容された容器の開口部に被せて、その両端部を容器の側面に貼り付けるようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−58743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記包装用フィルムは、運搬中などにおいて容易に容器から外れてしまうことがないように、その両端辺が容器にしっかりと貼り付けられ、かつ、フィルム自体も簡単に破れたり、引き裂けることのない比較的強度の大きいものが用いられることが多い。このため、ユーザーが容器を開けるために包装用フィルムを剥がすことが難しく、包装用フィルムを切断するハサミやナイフがない場合には、往々にして、力を入れて引き剥がそうとしたり、無理に引き裂こうとする。しかし、無理に引き剥がしたり、引き裂こうとすると、不意に包装用フィルムが剥がれたり引き裂かれて、容器を大きく動かしてしまって、収容物が不用意に容器外へこぼれ出てしまうことがあった。
【0005】
包装用フィルム、あるいは、これに類するフィルム類の切断には、種々のものが提案され実用化されている。例えば、タバコの包装においては、包装用フィルムの裏側に細紐状の引裂きテープを添設しておき、この引裂きテープの端部を持って引き回すことで、包装用フィルムを引裂きテープに添って切断するようにしている。また、各種食品や菓子などのフィルム製の収納袋においては、フィルム端辺の適所にV形のノッチを形成しておき、ここを切り裂きの起点にするようにしている。
【0006】
しかしながら、タバコの包装のように、包装用フィルムが引裂きテープを備えた特殊なものでは、コストの高いものになる。また、フィルム製の収納袋に用いられるV形のノッチでは、開口部を有する容器の巻掛け包装に用いた場合、運搬中あるいは陳列された容器をユーザーが持上げたりする際に、巻き張られた包装用フィルムに手指が触れて、ノッチの端部に外力が働いて不用意に切断が開始してしまうおそれが多分にあり、実際の使用には不都合となる。
【0007】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、容器に巻掛け装着された包装用フィルムを簡単容易に切断して、収容物がこぼれ出すようなことなく開封できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0009】
(1)本発明に係る包装用フィルムは、容器へ巻き掛けて、巻き掛け方向の端部に形成した粘着部を、前記容器外面に貼付ける包装用フィルムであって、
前記巻き掛け方向と交差する方向に延びる切断線と、該切断線の中間部位に連なる摘み部とを備え、
前記容器への貼付け状態では、前記摘み部が容器の端縁部分に位置するものである。
【0010】
本発明によると、包装用フィルムを容器に巻き掛けて貼り付けると、容器の端縁部分に位置する摘み部が起き上がって飛び出た状態となる。開封時には、飛び出ている摘み部を摘んで引くことによって、切断線に沿った切断が摘み部の両脇に進行し、包装用フィルムが、巻き掛け方向と交差かる方向に切断される。
【0011】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記容器への貼付け状態では、前記摘み部が、容器上部の端縁部分に位置するものである。
【0012】
この実施態様によると、フィルム巻き掛けによって容器の上端縁部分の目に付きやすい位置に摘み部が飛び出ることになり、特に取り扱い説明などが表記されていなくても、ユーザーは摘み部を容易に見つけて開封操作を行うことができる。
【0013】
また、切断線は、フィルム中間に在る摘み部の意識的な引き出し操作によって切断されるようにしてあるので、切断線に不用意に触れた程度では切断されることがなく、持ち運び中に誤って開封されてしまうような虞がない。
【0014】
(3)本発明の他の実施態様では、前記切断線が、ミシン目であって、該ミシン目を山形に形成して、その頂部に前記摘み部が形成される。
【0015】
この実施態様によると、摘み部を外方に引くだけで、その両脇のミシン目に沿った切断を円滑に進行させることができ、フィルム開封を迅速容易に行うことができる。
【0016】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記切断線が、前記容器への貼付け状態では、容器側面に位置するものである。
【0017】
この実施態様によると、容器上面においてミシン目等の切断線が露出せず、フィルム上面に装飾用の印刷などが施されていても、これを切断線で邪魔することがない。
【0018】
(5)本発明の他の実施態様では、前記粘着部を両端辺に備えるとともに、前記切断線と摘み部とを一定ピッチごとに備えた原反シートから前記一定ピッチずつ分離されるものである。
【0019】
この実施態様によると、包装用フィルムの供給が容易となり、手作業による貼り付け包装のみならず、貼り付け包装の自動化にも容易に対応できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、容器にしっかり貼り付けられた包装用フィルムを簡単容易に切断して、収容物がこぼれ出すようなことなく開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】容器とこれに巻き掛けられる包装用フィルムの斜視図である。
図2】包装された容器の斜視図である。
図3】要部の拡大した縦断正面図である。
図4】包装用フィルムの原反シートを展開した裏面図である。
図5】フィルム切り裂き状態の斜視図である。
図6】開封した容器の斜視図である。
図7】別実施形態における包装済み容器の斜視図である。
図8】他の実施形態における包装済み容器の斜視図である。
図9】他の容器に適用した実施形態の斜視図である。
図10】他の容器に適用した別実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、容器とこれを包装する本発明の実施形態に係る包装用フィルムの斜視図であり、図2は、包装用フィルムで容器を包装した状態の斜視図である。
【0024】
この容器1は、透明樹脂シート素材を型成形して上方に開放された矩形の箱状に構成されたものであり、その開口部の四つの周辺には、フランジ部1aが延出されている。
【0025】
この実施形態の包装用フィルム2は、容器1の開口部全体を略覆う横幅と、容器1の底面にまで巻き付けるのに足る長さをもった透明樹脂フィルムであり、必要に応じて容器1に収容される商品名や装飾イラストなどがフィルム表面に印刷される。
【0026】
また、包装用フィルム2の両端部の裏面には、粘着部3が全幅に亘って設けられており、容器1に巻き付けた包装用フィルム2の両端側を、容器底面にまで回し込んで、粘着部3を介して貼付け固定するように、包装用フィルム2の全長が容器1のサイズ(幅および高さ)に対応して設定されている。
【0027】
包装用フィルム2は、図4に示すように、原反シート4を一定ピッチで形成された切断線cに沿って1枚ずつ切断分離して用いられるものである。この包装用フィルム2は、複数枚の包装用フィルム2を連設した長いシート状にして供給したり、ロール巻きした原反シートとして供給する。また、複数枚の包装用シート2を剥離台紙に貼り付けて供給することもできる。この場合、原反シート4を、粘着部3を介して剥離台紙に貼り付けた状態で、原反シート4だけを切断線cに沿ってハーフカット処理しておき、切断された包装用フィルム2を1枚ずつ剥離台紙からめくり取って包装処理するようにしてもよい。
【0028】
包装用フィルム2の巻掛け方向の一端寄りの箇所には、包装用フィルム2を幅方向(巻き掛け方向と交差する方向)に横断する切断線としてのミシン目5が山形に形成されるとともに、その山形の頂部に舌片状の摘み部6が切り込み連設されている。
【0029】
この例では、山形ミシン目5の頂部が、山裾側よりもフィルム長手方向(巻掛け方向)の中央側に位置する姿勢に形成されるとともに、前記摘み部6の基部が、容器1における長辺をなす一方のフランジ部1aの端縁eに位置するように、包装用フィルム2を容器1に巻き掛ける。
【0030】
これによると、商品7を収容した容器1に包装用フィルム2を巻き掛けて貼付け固定した包装状態においては、図2及び図3の拡大した縦断正面図に示すように、フィルム折り曲げに伴って摘み部6が、フランジ部1aの端縁eにおいて自力で起き上がって突出することになる。
【0031】
そして、包装を開封する場合には、図5に示すように、飛び出ている摘み部6を指先で摘んで外方下方に引っ張ることで、ミシン目5が中央部位から両脇に引き裂かれてゆき、容器1の側方において包装用フィルム2がその横幅方向に切断されることになる。これによって、図6に示すように、容器1の上方に被さっているフィルム部分を開いて容器1を大きく開放することができる。
【0032】
なお、上端の開口部周辺に外向きのフランジ部1aを備えた容器1では、包装フィルム2で包装した状態において、フランジ部1aの先端と容器1の下端縁とに亘って掛け張られているフィルム部分、すなわち、容器1の側面から離間しているフィルム部分に手指を引っ掛けてしまうことがあり、その操作力がミシン目5の外端部に作用して、ここからの破れがきっかけで不所望に切断が進行するおそれがあるので、ミシン目5の切り込みは、包装用フィルム2の端辺に及ばないことが望ましい。
【0033】
以上のように本実施形態の包装用フィルム2によれば、包装用フィルム2を容器1に巻き掛けて包装すると、容器1の端縁に位置する摘み部6が起き上がった状態となるので、開封時には、起き上がっている摘み部6を摘んで下方へ引き下げることで、ミシン目5に沿った切断が摘み部6の両脇に進行し、包装用フィルム2を簡単に切断して容器1を開放することができ、商品7を容器1外へこぼすようなことがない。
【0034】
(他の実施形態)
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0035】
(1)ミシン目5は必ずしも包装用フィルム2の横端辺にまで形成する必要はなく、横端辺からある程度離れた位置まで形成するだけでもよい。この場合、ミシン目5の外端から横端辺までは案内のない引き裂きを行うことになるが、摘み部6を摘んだままで大きく引っ張ることで、ミシン目5に沿った切断に引き続いて横端辺に向けての切り裂きが進行することになり、実用上は何ら支障がなく、むしろ、ミシン目5の外端から不所望な切り裂きが始まることを確実に防止できる。
【0036】
このように、ミシン目5の外端部をフィルム端辺から離して、ミシン目外端部からの切り裂きを回避した形態では、図7に示すように、ミシン目5が容器1の上面に位置する形態で実施することもできる。この場合、摘み部6を摘んで切断したフィルム部分は、容器1の開口部を覆っているので、フィルム部分を持ち替える必要なく引き続いて開放操作することで、容器1を上方に大きく開放することができる。
【0037】
(2)包装用フィルム2の粘着部3を容器1の底面に貼り付ける形態においては、図8に示すように、摘み部6を容器1における底部の端縁eの部分に位置させることも可能である。この場合、容器1を陳列台やテーブルなどに載置すると、摘み部6が容器1の下に敷き込まれることもあるが、容器1を持上げると摘み部6が容器1の端縁eから下向きに飛び出るので、容易に摘み部6を摘み持つことができ、かつ、摘み部6を摘んだままで切断したフィルム部分を大きく開くことができる。
【0038】
(3)図9に示すように、本発明に係る包装用フィルムは、紙製弁当箱、折り詰め箱、菓子箱、などの蓋付きの容器1に巻き掛けて、蓋1bの閉じ保持と装飾を兼ねた掛け紙として使用することができる。また、この場合、包装用フィルム2は、全体が容器1の外面に密着されるので、ミシン目5の外端部が押されても引き裂き力が発生することはなく、従って、図10に示すように、ミシン目5を容器1の上面に位置させる形態で実施することも可能である。
【0039】
(4)巻き掛け方向と交差する方向に延びる切断線は、ミシン目5に限らず、スリットを並べたものの他に、小さい丸孔を小ピッチで並べたものや、Y形の切り込みを並べたもの、など、フィルム素材の切裂き特性などに合わせて種々の仕様のものを任意に選択すればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 容器
2 包装用フィルム
3 粘着部
4 原反シート
5 ミシン目(切断線)
6 摘み部
e 端縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10