特許第6245653号(P6245653)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6245653液体漏洩検知装置、液体漏洩検知方法、および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245653
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】液体漏洩検知装置、液体漏洩検知方法、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/00 20060101AFI20171204BHJP
   G01M 3/28 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G01M3/00 H
   G01M3/28 B
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-551981(P2014-551981)
(86)(22)【出願日】2013年11月25日
(86)【国際出願番号】JP2013082305
(87)【国際公開番号】WO2014091954
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年10月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-273446(P2012-273446)
(32)【優先日】2012年12月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100147809
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 順一
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 哲
(72)【発明者】
【氏名】山本 敬之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真也
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 敬喜
(72)【発明者】
【氏名】林 司
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】生田 睦男
(72)【発明者】
【氏名】安達 勝
(72)【発明者】
【氏名】崎部 将弘
(72)【発明者】
【氏名】宮 健三
(72)【発明者】
【氏名】相馬 知也
(72)【発明者】
【氏名】高城 真弓
(72)【発明者】
【氏名】大石 敏之
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−6500(JP,A)
【文献】 特開昭53−138785(JP,A)
【文献】 特開平10−281921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00−3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電所内の液体流路における液体漏洩の発生を検出する液体漏洩検知装置であって、
前記液体流路の第1の箇所に設置され、液体の液圧を測定して第1の圧力測定データを生成する第1の圧力計と、
前記液体流路の第2の箇所に設置され、液体の液圧を測定して第2の圧力測定データを生成する第2の圧力計と、
前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データを収集して蓄積データとして蓄積する情報蓄積部と、
前記液体流路において液体漏洩が発生していない正常時の前記蓄積データから、前記第1の圧力測定データと前記第2の圧力測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築するモデル構築部と、
前記抽出された相関関係と、前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データとから、相関関係の崩れを液体漏洩の発生として検出し、検出結果を出力する液体漏洩検出部と、
を備えることを特徴とする液体漏洩検知装置。
【請求項2】
前記液体流路内の液体の液圧を変化させる調整機をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体漏洩検知装置。
【請求項3】
前記液体漏洩検出部によって液体漏洩の発生が検出された場合に、その旨を通知する通知部をさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に液体漏洩検知装置。
【請求項4】
前記液体流路は、配管であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体漏洩検知装置。
【請求項5】
前記モデル構築部は、前記第1の圧力測定データと前記第2の圧力測定データとの間の相関関係を示す近似式およびフィット値を生成し、前記近似式およびフィット値をモデルとして記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体漏洩検知装置。
【請求項6】
前記モデル構築部は、生成された前記フィット値を予め定められた閾値と比較し、前記フィット値が予め定められた閾値以上である場合に、前記モデルを記憶することを特徴とする請求項5に記載の液体漏洩検知装置。
【請求項7】
前記液体漏洩検出部は、前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データのうち一方を、前記近似式に代入して、前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データのうち他方の予測値を算出し、前記予測値と予め定められた閾値とを比較することで、前記相関関係の崩れを判断することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の液体漏洩検知装置。
【請求項8】
前記液体流路の第3の箇所に設置され、液体の液圧を測定して第3の圧力測定データを生成する第3の圧力計をさらに備え、
前記情報蓄積部は、前記第1乃至第3の圧力測定データを収集して前記蓄積データとして蓄積し、
前記モデル構築部は、前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データ間の第1の相関関係、前記第1の圧力測定データおよび前記第3の圧力測定データ間の第2の相関関係、前記第2の圧力測定データおよび前記第3の圧力測定データ間の第3の相関関係を抽出してそれぞれ個別にモデルを構築し、
前記液体漏洩検出部は、前記第1の相関関係の崩れ、前記第2の相関関係の崩れ、前記第3の相関関係の崩れをそれぞれ個別に検出することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の液体漏洩検知装置。
【請求項9】
発電所内の液体流路における液体漏洩の発生を検出する液体漏洩検知方法であって、
液体の液圧を測定する第1の圧力計を前記液体流路の第1の箇所に設けるとともに、液体の液圧を測定する第2の圧力計を前記液体流路の第2の箇所に設け、
前記第1の圧力計および前記第2の圧力計によってそれぞれ測定された第1および第2の圧力測定データを収集して蓄積データとして情報蓄積部に蓄積し、
前記液体流路において液体漏洩が発生していない正常時の前記蓄積データから、前記第1の圧力測定データと前記第2の圧力測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築し、
抽出された相関関係と、前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データとから、相関関係の崩れを液体漏洩の発生として検出し、検出結果を出力することを特徴とする液体漏洩検知方法。
【請求項10】
コンピュータに、発電所内の液体流路における液体漏洩の発生を検出させる液体漏洩検知プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記液体漏洩検知プログラムは、
前記液体流路の第1の箇所に設置され液体の液圧を測定する第1の圧力計と、前記液体流路の第2の箇所に設置され液体の液圧を測定する第2の圧力計とから、それぞれ第1および第2の圧力測定データを収集して蓄積データとして蓄積する処理と、
前記液体流路において液体漏洩が発生していない正常時の前記蓄積データから、前記第1の圧力測定データと前記第2の圧力測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築する処理と、
抽出された相関関係と、前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データとから、相関関係の崩れを液体漏洩の発生として検出し、検出結果を出力する処理と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所内の液体流路における液体漏洩の発生を検出する液体漏洩検知装置、液体漏洩検知方法、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管等の液体流路に音響センサや振動センサを設置し、これら音響センサや振動センサによる測定データを利用して、液体流路で液体漏洩が発生したことを検知することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、液体漏洩の検知ではないが、ガスの漏洩状態を検知するガス漏洩検知装置も知られている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に開示されたガス漏洩検知装置は、ガスの灯外内管とガスメータとを接続する導管中に生じたガスの漏洩を検出する。ガス漏洩検知装置は、導管圧力検出手段と、フローセンサと、流量計測手段と、差圧演算手段と、漏洩判定手段とを有する。導管圧力検出手段は、導管中の所定箇所に設けられた状態で導管内のガス圧を検出して導管圧力信号を生成する圧力センサを複数有する。フローセンサは、灯外内管中又は導管中を流れるガスの流量を測定して当該測定ガス流量に係る流量信号を生成する。流量計測手段は、流量信号を変換して導管中のガス流量に係る流量情報を生成する。差圧演算手段は、互いに隣り合う圧力センサの各々が生成する導管圧力信号に基づいて、当該隣接圧力センサ間におけるガスの差圧を算出して算出された差圧に係る差圧情報を生成する。漏洩判定手段は、圧力センサ間を流れるガス流量と差圧とのガス漏洩がない場合の相関関係及び流量情報と差圧情報との相関関係を求めると共に、これらの相関関係を比較して当該圧力センサ間にガス漏れが発生しているか否かを判定して当該判定結果に係る判定情報を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−37492号公報
【特許文献2】特開平10−197391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示されているような音響センサや振動センサは、液体漏洩の発生を検知することのみを目的とした専用品であり、専用品である音響センサや振動センサを設置することで、設備投資が増大するという問題があった。
また、特許文献2に開示されたガス漏洩検知装置では、検出手段として、フローセンサや複数の圧力センサのように複数種類のセンサを追加する必要があるので、特許文献1と同様に、設備投資が増大するという問題がある。
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、液体漏洩検知に特化した専用のセンサや複数種類のセンサを追加することなく、液体漏洩の発生を検知することが可能な液体漏洩検知装置、液体漏洩検知方法、および記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液体漏洩検知装置は、発電所内の液体流路における液体漏洩の発生を検出する液体漏洩検知装置であって、前記液体流路の第1の箇所に設置され、液体の液圧を測定して第1の圧力測定データを生成する第1の圧力計と、前記液体流路の第2の箇所に設置され、液体の液圧を測定して第2の圧力測定データを生成する第2の圧力計と、前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データを収集して蓄積データとして蓄積する情報蓄積部と、前記液体流路において液体漏洩が発生していない正常時の前記蓄積データから、前記第1の圧力測定データと前記第2の圧力測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築するモデル構築部と、前記抽出された相関関係と、前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データとから、相関関係の崩れを液体漏洩の発生として検出し、検出結果を出力する液体漏洩検出部と、を備えることにより、前述した課題を解決したものである。
また、本発明の液体漏洩検知方法は、発電所内の液体流路における液体漏洩の発生を検出する液体漏洩検知方法であって、液体の液圧を測定する第1の圧力計を前記液体流路の第1の箇所に設けるとともに、液体の液圧を測定する第2の圧力計を前記液体流路の第2の箇所に設け、前記第1の圧力計および前記第2の圧力計によってそれぞれ測定された第1および第2の圧力測定データを収集して蓄積データとして情報蓄積部に蓄積し、前記液体流路において液体漏洩が発生していない正常時の前記蓄積データから、前記第1の圧力測定データと前記第2の圧力測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築し、抽出された相関関係と、前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データとから、相関関係の崩れを液体漏洩の発生として検出し、検出結果を出力することにより、前述した課題を解決したものである。
また、本発明の液体漏洩検知プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに、発電所内の液体流路における液体漏洩の発生を検出させる液体漏洩検知プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記液体漏洩検知プログラムは、前記液体流路の第1の箇所に設置され液体の液圧を測定する第1の圧力計と、前記液体流路の第2の箇所に設置され液体の液圧を測定する第2の圧力計とから、それぞれ第1および第2の圧力測定データを収集して蓄積データとして情報蓄積部に蓄積する処理と、前記液体流路において液体漏洩が発生していない正常時の前記蓄積データから、前記第1の圧力測定データと前記第2の圧力測定データとの相関関係を抽出してモデルを構築する処理と、抽出された相関関係と、前記第1の圧力測定データおよび前記第2の圧力測定データとから、相関関係の崩れを液体漏洩の発生として検出し、検出結果を出力する処理と、を前記コンピュータに実行させることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、液体の液圧を測定するために設置される既存の圧力計の測定データを利用して、配管等の液体流路において液体漏洩が発生したことを検知することが可能であるため、液体漏洩検知に特化した専用のセンサや複数種類のセンサを追加することなく、液体漏洩の発生を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、本発明の一実施形態である液体漏洩検知装置の構成を概略的に示す説明図である。
図2は、圧力計および情報蓄積部の動作を示すフローチャートである。
図3は、モデル構築部の動作を示すフローチャートである。
図4は、液体漏洩検出部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
液体漏洩検知装置は、発電所内に設置された配管における漏水の発生を検出するものである。
液体漏洩検知装置は、図1に示すように、第1の圧力計10と、第2の圧力計20と、第3の圧力計30と、調整機40と、情報蓄積部50と、モデル構築部60と、液体漏洩検出部としての漏水検出部70と、通知部80とを備えている。
第1乃至第3の圧力計10、20、30は、図1に示すように、それぞれ、液体流路としての配管1の第1の箇所、第2の箇所、第3の箇所にそれぞれ設置され、配管1の各箇所における水圧を測定して、それぞれ、第1乃至第3の圧力測定データを生成する。また、配管1の第1の箇所と第2の箇所との間、配管1の第1の箇所と第3の箇所との間、および、配管1の第2の箇所と第3の箇所との間には、配管1の分岐などは存在しないものとする。
調整機40は、配管1内の水量や圧力等を調整する。本実施形態では、調整機40は、配管1内の水圧を制御する制御弁として構成されている。
ポンプ2と第1乃至第3の圧力計10、20、30と調整機40とは、図1に示すように、配管1で繋がれている。すなわち、第1の圧力計10は、ポンプ2の吸入口側に近接した第1の箇所に設置されている。第2の圧力計20は、ポンプ2の吐出口側に近接した第2の箇所に設置されている。第3の圧力計30は、ポンプ2の吐出口側から離れた第3の箇所に設置されている。調整機40は、第2の圧力計20と第3の圧力計30との間に配置されている。
情報蓄積部50は、CPU(central processing unit)、ROM(read−only memory)、RAM(random access memory)等を含むマイクロコンピュータで構成される。情報蓄積部50は、第1乃至第3の圧力計10、20、30によってそれぞれ測定された第1乃至第3の圧力測定データと測定時刻の時刻データとを、第1乃至第3の圧力計10、20、30から受けとって蓄積データとして蓄積する。
モデル構築部60は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータで構成される。モデル構築部60は、漏水が発生していない正常時の一定時間分の蓄積データを、情報蓄積部50から受け取り、第1乃至第3の圧力測定データ間の相関関係を抽出する。より詳細には、この相関関係は、第1の圧力測定データおよび第2の圧力測定データ間の第1の相関関係、第1の圧力測定データおよび第3の圧力測定データ間の第2の相関関係、および第2の圧力測定データおよび第3の圧力測定データ間の第3の相関関係から成る。
漏水検出部70は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータで構成される。漏水検出部70は、抽出された相関関係をモデル構築部60から受け取るとともに、情報蓄積部50から一定時間分の蓄積データを受け取り、これらを基に後述するように配管1における漏水の発生を検知する。
通知部80は、アラーム機やディスプレイ等で構成され、漏水検出部70が検知した漏水の発生をアラーム音やメッセージ等で通知する。
つぎに、図2を用いて、第1乃至第3の圧力計10、20、30および情報蓄積部50の動作を説明する。
まず、第1乃至第3の圧力計10、20、30は、配管1の各箇所において水圧を常に測定して、それぞれ、第1乃至第3の圧力測定データを生成している(ステップ201)。
次に、第1乃至第3の圧力計10、20、30によってそれぞれ測定された第1乃至第3の圧力測定データは、測定時刻の時刻データとともに情報蓄積部50へ通知される(ステップ202)。
次に、情報蓄積部50は、第1乃至第3の圧力計10、20、30から受け取ったデータ(第1乃至第3の圧力測定データおよび時刻データ)を蓄積データとして蓄積する(ステップ203)。
上述したステップ201〜203の動作は、常時、繰り返し行われる。
なお、情報蓄積部50による情報蓄積の態様としては、リレーショナルデータベースのような機構を用いてもよいし、単純なテキストファイルで保持してもよい。また、蓄積データは、第1乃至第3の圧力計10、20、30による第1乃至第3の圧力測定データと測定時刻の時刻データとから構成され、一般に時系列データと呼ばれている形態となる。
つぎに、図3を用いて、モデル構築部60の動作を説明する。
まず、配管1における漏水や、配管1で繋がれている機器等での異常が一切発生していない正常動作時において、調整機40を調整して配管1に流れる水の水圧を少しずつ変化させる(ステップ301)。なお、この際、水圧を上げる方向、下げる方向が混在しても構わない。
次に、調整機40の操作により変化する水圧を、第1乃至第3の圧力計10、20、30が検知し、その第1乃至第3の圧力測定データおよび時刻データを情報蓄積部50へ通知し、情報蓄積部50は、受け取った情報を随時、蓄積データとして蓄積する(ステップ302、図2のステップ201〜203)。
次に、モデル構築部60は、情報蓄積部50から、調整機40を操作して水圧を変化させた期間の蓄積データを受け取る(ステップ303)。
次に、モデル構築部60は、受け取った蓄積データから、任意の2点(すなわち、第1の圧力計10と第2の圧力計20の2点、第1の圧力計10と第3の圧力計30の2点、第2の圧力計B20と第3の圧力計30の2点)の間のそれぞれについて、第1乃至第3の相関関係を確認する(ステップ304)。
ここでは、情報蓄積部50から入手した2点の一定時間の時系列データから、モデル構築部60は、2点間の相関関係として、B=f(A)のような近似式を生成する。近似式の生成方法としては、例えば、線形回帰と呼ばれている方法や、ほかにも既に様々な方法が提案されているため、ここでは詳細について述べない。さらに、モデル構築部60は、生成した近似式と、生成時に利用した時系列データとから、実際のデータを近似式がどの程度近似できているかどうかの指標であるフィット値を生成する。線形回帰として最小二乗法を用いて近似した場合、フィット値は最小二乗法における決定係数とすることができる。
次に、モデル構築部60は、フィット値と予め定められた閾値を比較し、閾値以上であれば(ステップ305のN)、2点間の関係(近似式およびフィット値)をモデルとして記憶する(ステップ307)。また、フィット値が閾値以下の場合(ステップ305のY)、全ての2点間の相関関係を確認していなければ(ステップ305のN)、モデル構築部60は、相関関係を確認していない他の任意の2点間の相関関係を確認する(ステップ304)。そして、全ての任意の2点の相関関係を確認していれば(ステップ305のY)、処理は終了する。
なお、以下では、記憶された2点間の関係をモデルと呼ぶ。
つぎに、図4を用いて、漏水検出部70の動作を説明する。
なお、漏水検出部70の動作のためには、予め、モデル構築部60によってモデルが構築されている必要がある。さらに、情報蓄積部50には、常に第1乃至第3の圧力計10、20、30からの第1乃至第3の圧力測定データが蓄積データとして充分蓄積されているものとする。
まず、漏水検出部70は、情報蓄積部50から、漏水を検知したい、ある時刻tから過去一定時間分の蓄積データを取得する(ステップ401)。ここで、ある時刻tとは、現在時刻より若干の過去の時刻とする。仮に現在時刻の測定データが常に情報蓄積部50に蓄積されている場合は、時刻tは現在時刻でも構わない。
次に、漏水検出部70は、モデル構築部60に記憶されているモデルを取得する(ステップ402)。
次に、漏水検出部70は、モデルから、第1の圧力計A10と第2の圧力計B20との2点間の関係(近似式B=f(A)およびフィット値)を取得する(ステップ403)。
次に、漏水検出部70は、情報蓄積部50から入手した蓄積データに含まれる第1の圧力計10の測定値aを、近似式B=f(A)へ代入し、結果である第2の圧力計20における水圧予測値b’を求める(ステップ404)。
次に、漏水検出部70は、求められた第2の圧力計20における水圧予測値b’と、情報蓄積部50から入手した第2の圧力計20の測定値bとの差異Rを算出する(ステップ405)。
次に、差異Rが予め定められた閾値を超えている場合(ステップ406のY)、漏水検出部70は、近似式B=f(A)の関係が成り立っていない状態と判断し、第1の圧力計10と第2の圧力計20との2点間に漏水が発生している可能性があると判断して、通知部80へ通知する(ステップ407)。
次に、ステップ407で通知した後、および、差異Rがあらかじめ定められた閾値を超えていない場合(ステップ406のN)、漏水検出部70は、モデルに記録されている全ての2点間における差異Rを算出したかどうかを確認し(ステップ408)、算出していなければ(ステップ408のN)、モデルに記録されている他の2点間について、ステップ403からの処理を実行する。
モデルに記録されている全ての2点間における差異Rを算出している場合(ステップ408のY)、漏水検出部70は、時刻tを一定時間△t分だけ進めてステップ401からの処理を繰り返す。
ここで△tは、漏水を検知したい間隔から設定されるものであるが、第1乃至第3の圧力計10、20、30が情報蓄積部50へ測定した結果(第1乃至第3の圧力測定データ)を通知する間隔よりも大きい必要がある。
このようにして得られた本実施形態の液体漏洩検知装置は、液体の液圧を測定するために設置される既存の一種類の第1乃至第3の圧力計10、20、30の第1乃至第3の圧力測定データを利用して、配管1において液体漏洩が発生したことを検知することが可能であるため、液体漏洩検知に特化した専用のセンサや複数種類のセンサを必要とすることなく、液体漏洩の発生を検知することができる。
また、本実施形態の液体漏洩検知装置では、3つの圧力計10、20、30の中から選択された2つの圧力計間の相関関係の崩れを監視して漏水として検出するため、漏水発生の初期段階で漏水を検出でき、また、少量の漏水も検知することができる。
なお、上述した実施形態では、液体流路が配管であるものとして説明したが、液体収容部の具体的態様は、液体を移送するものであれば如何なるものでもよい。
また、上述した実施形態では、圧力計の設置箇所間(具体的には、配管の第1の箇所と第2の箇所との間、第1の箇所と第3の箇所との間、第2の箇所と第3の箇所との間)には、配管の分岐などが存在しないものとして説明した。しかしながら、圧力計の設置箇所間に配管の分岐などが存在する場合であっても、漏水が発生した際に圧力計間の相関関係の崩れを検出することができる場合には、本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態では、液体が水であるものとして説明したが、液体の具体的態様はこれに限定されない。
また、上述した実施形態では、配管に対して設置される圧力計の個数が3つであるものとして説明した。しかしながら、少なくとも2つの圧力計を異なる場所に設置すればよく、圧力計の個数は如何なるものでもよい。
【符号の説明】
【0009】
1 ・・・ 配管(液体流路)
2 ・・・ ポンプ
10 ・・・ 第1の圧力計
20 ・・・ 第2の圧力計
30 ・・・ 第3の圧力計
40 ・・・ 調整機
50 ・・・ 情報蓄積部
60 ・・・ モデル構築部
70 ・・・ 漏水検出部(液体漏洩検出部)
80 ・・・ 通知部
この出願は、2012年12月14日に出願された、日本特許出願第2012−273446号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
図4