特許第6245672号(P6245672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社落雷抑制システムズの特許一覧

<>
  • 特許6245672-落雷抑制型避雷装置 図000002
  • 特許6245672-落雷抑制型避雷装置 図000003
  • 特許6245672-落雷抑制型避雷装置 図000004
  • 特許6245672-落雷抑制型避雷装置 図000005
  • 特許6245672-落雷抑制型避雷装置 図000006
  • 特許6245672-落雷抑制型避雷装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6245672
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】落雷抑制型避雷装置
(51)【国際特許分類】
   H05F 3/04 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   H05F3/04 G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-2934(P2017-2934)
(22)【出願日】2017年1月11日
【審査請求日】2017年2月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511019144
【氏名又は名称】株式会社落雷抑制システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】松本 敏男
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3088727(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05F 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に設置された被保護体を覆って設けられる導電性材料によって形成された帯電体と、この帯電体を前記地面および前記被保護体に対して電気絶縁状態に保持する電気絶縁層と、前記地面に設置され、この地面に電気的に接続された第1電極体と、この第1電極体に対して電気絶縁層を介して対峙され、前記第1電極体との間に静電容量により電荷を蓄える第2電極体とからなるキャパシタと、前記帯電体と前記第2電極体とを電気的に接続する導電体とによって構成されていることを特徴とする落雷抑制型避雷装置。
【請求項2】
前記キャパシタが複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の落雷抑制型避雷装置。
【請求項3】
前記複数のキャパシタが、静電容量の小さい第1のキャパシタと、静電容量の大きい第2のキャパシタとによって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の落雷抑制型避雷装置。
【請求項4】
地面に電気絶縁状態で設置された被保護体への落雷を抑制するための落雷抑制型避雷装置であって、前記地面に設置され、この地面に電気的に接続された第1電極体と、この第1電極体に対して電気絶縁層を介して対峙され、前記第1電極体との間に静電容量により電荷を蓄える第2電極体とからなるキャパシタと、前記被保護体と前記第2電極体とを電気的に接続する導電体とによって構成され、前記キャパシタが複数設けられていることを特徴とする落雷抑制型避雷装置。
【請求項5】
前記複数のキャパシタが、静電容量の小さい第1のキャパシタと、静電容量の大きい第2のキャパシタとによって構成されていることを特徴とする請求項4に記載の落雷抑制型避雷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落雷を抑制することで、雷害から建築物や設備機器等の被保護体を保護するための落雷抑制型避雷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
落雷は大気中で起こる放電現象であり、雷放電には雲内放電、雲間放電、雲―大地間放電等がある。雷放電で大きな被害を出すのは雲―大地間放電(以下落雷)である。落雷は雷雲(雲底)と大地または大地等に建設された構造物との間の電界強度が非常に大きくなり、その電荷が飽和状態となって大気の絶縁を破壊したときに発生する現象である。
【0003】
落雷の現象を詳細に観察すると、夏季に起こる一般的な落雷(夏季雷)の場合、雷雲が成熟すると雷雲からステップトリーダが大気の放電しやすいところを選びながら大地に近づいてくる。
ステップトリーダが大地とある程度の距離になると大地または建築物(避雷針)、木などからステップトリーダに向かって、微弱電流の上向きストリーマ(お迎え放電)が伸びてくる。
このストリーマとステップトリーダが結合すると、その経路を通って、雷雲と大地間に大電流(帰還電流)が流れる。
これが落雷現象である。
【0004】
このような落雷現象に対し、従来の雷保護概念では、落雷は防止できないものとの観点から、落雷を突針型避雷針(フランクリンロッド)に受けて大地に流す方式が大半であった。
【0005】
これに対し、本発明者等は、落雷の発生を極力抑制することによって被保護体を保護すべく、特許文献1に示される落雷抑制型避雷装置を提案した。
【0006】
この落雷抑制型避雷装置は、絶縁体を挟んで配置される上部電極体及び下部電極体を有し、下部電極体のみを接地して構成したものである。
【0007】
そして、たとえばマイナス電荷が雲底に分布した雷雲が近づくと、それとは逆の電荷(プラス電荷)が大地の表面に分布し、接地されている下部電極体にもプラス電荷が集まる。
【0008】
すると、絶縁体を介して配置されている上部電極体は、コンデンサの作用でマイナス電荷を帯びることとなる。
【0009】
この作用により、避雷装置とその周辺における上向きストリーマの発生を起こりにくくして落雷の発生を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第5839331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述した本発明者等による先の提案によって、避雷装置を中心とした円状の保護領域において落雷を抑制できるようになった。
【0012】
しかしながら、落雷から保護する被保護体の構造や形状等は一定ではなく、前述した保護領域内に収まらない被保護体もある。
【0013】
本発明は、前述した先の提案において残されている問題点を解決せんとしてなされたもので、落雷から保護する被保護体の構造や形状に合わせた保護領域を形成し、被保護体全体を、落雷から効果的に保護することの可能な落雷抑制型避雷装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の発明に係わる落雷抑制型避雷装置は、前述した知見に基づいてなされたもので、地面に設置された被保護体を覆って設けられる導電性材料によって形成された帯電体と、この帯電体を前記地面および前記被保護体に対して電気絶縁状態に保持する電気絶縁層と、前記地面に設置され、この地面に電気的に接続された第1電極体と、この第1電極体に対して電気絶縁層を介して対峙され、前記第1電極体との間に静電容量により電荷を蓄える第2電極体とからなるキャパシタと、前記帯電体と前記第2電極体とを電気的に接続する導電体とによって構成されていることを特徴としている。
【0015】
このような構成とすることにより、マイナス電荷が雲底に分布した雷雲が近づくと、それとは逆の電荷(プラス電荷)が大地の表面に分布し、前記キャパシタの、大地に接地された前記第1電極体にもプラス電荷が集まる。
【0016】
すると、前記第1電極体に前記電気絶縁層を介して対峙されている前記第2電極体が、キャパシタの作用によりマイナス電荷を帯びる。
また、前記第2電極体に前記導電体によって電気的に接続されている前記帯電体もマイナス電荷を帯びる。
【0017】
ここで、前記帯電体が、前記被保護体を覆って設けられているとともに、この被保護体に対し前記電気絶縁層を介して電気的に絶縁されていることにより、前記被保護体全体がマイナス電荷で包み込まれる。
したがって、前記被保護体周りからの上向きストリーマの発生が起こりにくくなり、前記被保護体への落雷が抑制される。
【0018】
そして、前記帯電体は、前記被保護体に合わせて設置することが可能であり、これによって、前記被保護体の大きさや形状若しくは構造に左右されることなく、この被保護体への落雷を効果的に抑制することができる。
【0019】
前記キャパシタは複数設けることが可能であり、このような構成とすることにより、たとえば、前記被保護体が大きく、落雷を抑制するために大きな電荷量のマイナス電荷が必要である場合に容易に対応することができる。
【0020】
また、前記複数のキャパシタを、静電容量の大きい第1のキャパシタと、静電容量の小さい第2のキャパシタとによって構成することができる。
【0021】
このような構成とすることにより、想定を超えるようなエネルギーの雷が発生し、この雷が前記帯電体に落雷した場合、その雷撃を前記静電容量の小さい第2のキャパシタの両電極体間を経て大地へ流すことができる。
【0022】
これによって、雷撃が前記被保護体へ作用することを防止し、その損傷を防止することができる。
【0023】
そして、記複数のキャパシタは、前記帯電体に直列若しくは並列に接続される。
【0024】
本発明の第2の発明に係わる落雷抑制型避雷装置は、たとえば、中波ラジオの送信用アンテナのように、地面と電気的に絶縁され、かつ、50mないし100mの高さで設置される被保護体に用いられるものである。
【0025】
このような被保護体の避雷を行なうために、地面に、この地面に電気的に接続された第1電極体と、この第1電極体に対して電気絶縁層を介して対峙され、前記第1電極体との間に静電容量により電荷を蓄える第2電極体とからなるキャパシタを設置し、このキャパシタの前記第2電極を前述した被保護体に導電体によって電気的に接続した構成としている。
【0026】
このような構成とすることにより、地面と絶縁状態にある被保護体に対して、前記キャパシタの静電容量を適宜設定することにより、前記被保護体の大きさに応じた、避雷に必要とされる量のマイナス電荷を、前記被保護体に与えることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の落雷抑制型避雷装置によれば、被保護体の形状や構造等に起因して、必要とする保護領域が大きくなった場合にあっても、その保護領域を十分に確保して、被保護体からの上向きストリーマの発生を効果的に抑制し、これによって、落雷抑制効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1発明の第1の実施形態の概略を示す斜視図である。
図2】第1発明の第1の実施形態を示すもので、キャパシタの一例を示す縦断面図である。
図3】第1発明における上向きストリーマの発生抑制作用を説明するための概略図である。
図4】第1発明の第2の実施形態の概略構成図である。
図5】第1発明の第3の実施形態の概略構成図である。
図6】第2発明の第1の実施形態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、第1発明の第1の実施形態について、図1ないし図3を参照して説明する。
図1において、符号1は本実施形態に係わる落雷抑制型避雷装置(以下、避雷装置と略称する)を示す。
【0030】
本実施形態の避雷装置1は、地面Gに設置された被保護体Bを覆って設けられる導電性材料によって形成された帯電体2と、この帯電体2を前記地面Gおよび前記被保護体Bに対して電気絶縁状態に保持する電気絶縁層3と、図2に詳述するように、前記地面Gに設置され、この地面Gに電気的に接続された第1電極体4aと、この第1電極体4aに対して電気絶縁層Cを介して対峙され、前記第1電極体4aとの間に静電容量により電荷を蓄える第2電極体4bとからなるキャパシタ4と、前記帯電体2と前記第2電極体4bとを電気的に接続する導電体5とによって構成されている。
【0031】
本実施形態においては、前記被保護体Bとして建築物を示しており、前記帯電体2は、この被保護体Bの上面および側面の全面を覆うように設けられている。
【0032】
前記帯電体2は、本実施形態ではメッシュ状に形成されており、そのメッシュ幅が保護レベルに応じて設定され、たとえば、前記保護レベルが4段階に設定され、保護レベルの低い方から、メッシュ幅の最大値が、5m、10m、15m、20mに設定されている。
また、前記帯電体2は、前記被保護体B周りに全面に亘って所定間隔を形成するようにその形状が設定されている。
【0033】
そして、前記電気絶縁層3は、前記帯電体2と前記被保護体Bとの間に形成される空気層3aと、前記地面Gに、前記被保護体Bを取り巻くようにして敷設され、電気絶縁性材料によって形成された支持基礎3bとによって構成されており、この支持基礎3bによって、前記帯電体2が前記地面Gに対して電気絶縁状態で支持されている。
【0034】
前記キャパシタ4は、本実施形態においては、図2に示すように、中空の真球形状に形成された前記第2電極体4bと、この第2電極体4b内に、この第2電極体4bの内面との間に全面に亘って所定間隔をおくように配置された球形形状の前記第1電極体4aとを備えている。
【0035】
前記第1電極体4aの下部には、ナット6が一体に取り付けられており、このナット6に後述する支持ロッド7の先端が螺合させられている。
この支持ロッド7にはロックナット8が螺着されており、このロックナット8が前記ナット6に圧着されることにより、前記支持ロッド7と前記第1電極体4aとの固定がなされている。
【0036】
前記第2電極体4bは、上下に2分割されて、前記第1電極体4aを包みこむようにして突き合わされて一体化されてている。
【0037】
前記第2電極構成体4bの下部中央には、その内外部を連通する貫通孔Aが形成され、この貫通孔A内に、前記第1電極体4aに電気的に接続された前記支持ロッド7が挿通されており、この支持ロッド7を介して前記第1電極体4aが接地されるようになっている。
【0038】
これらの第1電極体4aと第2電極体4bとを電気的に絶縁するための前記電気絶縁層Cは、電気絶縁性材料によって形成されているとともに、前記第1電極体4aと前記第2電極体4bとの隙間、および、前記第2電極体4bと前記支持ロッド7との隙間を埋めるように設けられている。
【0039】
また、前記第2電極体4bの上部には、前記導電体5の一端部を電気的に導通状態で止着するための止着部材9が一体に設けられている。
【0040】
本実施形態においては、前記支持基礎3bを、前記被保護体Bを取り囲むようにして敷設し、この支持基礎3b上に前記帯電体2を建て込み、また、前記支持基礎3bから離間した位置に、前記キャパシタ4を、その支持ロッド7を用いて前記地面Gに設置し、さらに、前記キャパシタ4の第2電極体4bと前記帯電体2とを前記導電体5によって電気的に接続することによって避雷装置1を構築する。
【0041】
このように構築された本実施形態の避雷装置1による落雷抑制機能について説明する。
【0042】
図3に示すように、マイナス電荷が雲底に分布した雷雲Dが近づくと、それとは逆の電荷(プラス電荷)が地面Gの表面に分布し、この地面Gに前記支持ロッド7を介して接地されている前記第1電極体4aにも、図2に示すように、プラス電荷が集まる。
【0043】
一方、前記第1電極体4aに前記電気絶縁層Cを介して対峙されている前記第2電極体4bはコンデンサの作用で、図2および図3に示すように、マイナス電荷を帯びる。
【0044】
さらに、前記第2電極体4bに前記導電体5を介して電気的に接続されている前記帯電体2も全体的にマイナス電荷を帯びる。
【0045】
したがって、前記帯電体2によって前記被保護体Bの全面に亘って落雷に対する保護領域が形成され、この保護領域のマイナス電荷によって、前記被保護体Bとその周辺における上向きストリーマの発生が起こりにくくなり、落雷の発生が抑制される。
【0046】
ここで、前記キャパシタ4の容量、すなわちこのキャパシタ4によって蓄えられるマイナス電荷の電荷量は限られており、前記帯電体2に、前述した避雷作用を生じさせるために必要なマイナス電荷を帯びさせるには不十分である場合がある。
【0047】
このような事態が危惧される場合には、前記帯電体2に接続する前記キャパシタ4を増やすことによって対処可能である。
【0048】
図4は、第1発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態は、前記被保護体Bの外部に電気絶縁性材料に形成された支持体10を設け、この支持体10を介して、前記帯電体2を前記被保護体Bに建て込むようにしている。
【0049】
そして、前記支持体10は、前記被保護体Bと前記帯電体2との間隔を規制するとともに、前記帯電体2を前記地面Gから所定距離持ち上げた状態に保持して、この帯電体2と地面Gとを電気的に絶縁している。
したがって、前記支持体10が、前記帯電体2と前記被保護体Bおよび前記地面Gとを電気的に絶縁する前記電気絶縁層3を構成している。
【0050】
このような構成とすることにより、前記被保護体Bを構築する際に、その構築工程に前記電気絶縁層3の設置工程を組み込むことができる。
これによって避雷装置1の設置作業を簡便なものとすることができる。
【0051】
また、前記帯電体2を前記地面Gから浮かして設置することにより、前記地面Gの空きスペースを広げることができる。
【0052】
図5は、第1発明の第3の実施形態を示す。
本実施形態では、前述した各実施形態において示した前記キャパシタ4を第1のキャパシタとし、このキャパシタ4よりも静電容量の大きなキャパシタ11を第2のキャパシタとして追加した構成としている。
【0053】
前記キャパシタ11は、本実施形態においては、所定間隔をおいて対峙され広い面積を有する2枚の平板状の電極体を用い、その一枚を前記地面Gに電気的に導通させた状態で設置して第1電極体12とし、他の一枚を、前記第1電極体12に、碍子等の電気絶縁性のスペーサー13を介して連結して第2電極14とすることによって構成されている。
【0054】
そして、第1のキャパシタとしての前記キャパシタ4と第2のキャパシタとしてのキャパシタ11は、図5に示すように、前記第2のキャパシタとしてのキャパシタ11を第1のキャパシタとしての前記キャパシタ4を介して前記帯電体2に接続する直列接続と、あるいは、第1のキャパシタとしての前記キャパシタ4と第2のキャパシタとしてのキャパシタ11を個別に前記帯電体2に接続する並列接続とすることができる。
【0055】
このような構成とすることにより、前記第2のキャパシタとしてのキャパシタ11の容量を、前記第1電極体12と前記第2電極体14の形状変更によって容易に変更することができる。
【0056】
これによって、前記帯電体2の大きさや落雷からの保護レベルに合わせた容量のマイナス電荷を発生させることができる。
【0057】
また、仮に、想定以上のエネルギーの雷撃が発生して前記帯電体2に落雷した場合にあっては、容量の小さい前記キャパシタ4が短絡することにより、前記雷のエネルギーを大地に流して、前記被保護体Bの損傷を防止することができる。
【0058】
図6は、第2発明の一実施形態を示す。
なお、以下の説明中、前述した第1発明において示した構成部材と共通する部分については、同一名称および同一符号を用いて説明を簡略化する。
【0059】
図6において符号20は、本実施形態に係わる避雷装置を示し、地面に電気絶縁状態で設置された被保護体21への落雷を抑制するための落雷抑制型避雷装置20である。
【0060】
前記被保護体21は、たとえば、中波ラジオの送信アンテナであって、前記地面Gに構築された支持構造物22に、電気絶縁体23を介して支持された長尺なポールである。
【0061】
そして、前記被保護体21は前記電気絶縁体23によって前記地面Gに対して電気的に絶縁された状態となされ、その途中に前記導電体5の一端部が電気的に導通状態で固定されるコネクター24が設けられている。
【0062】
そして、前記コネクター24に一端部が固定された前記導電体5の他端部は、別途前記地面Gに設置されている2種類のキャパシタ4・11のそれぞれの第2電極体4b・14に電気的に接続されている。
【0063】
このように構成された本実施形態の避雷装置20においては、雷雲Dが近づき前記地面Gがプラス電荷を帯びると、前記両キャパシタ4・11の前記第2電極体4b・14、および、これらの第2電極体4b・11に電気的に接続されている前記被保護体21にマイナス電荷が溜まる。
【0064】
したがって、前記被保護体21がその全長に亙ってマイナス電荷によって覆われ、これによって、前記被保護体21への落雷が抑制されるとともに、前述した第1発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
なお、前記各実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0066】
たとえば、前記帯電体2の構成は任意に変更可能であり、前記キャパシタ4・11の構成も適宜変更可能である。
【0067】
また、容量の異なる前記キャパシタ4・11の単独での複数使用、組み合わせ使用、あるいは、使用個数等も適宜選択可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 (落雷抑制型)避雷装置
2 帯電体
3 電気絶縁層
3a 空気層
3b 支持基礎
4 (第1の)キャパシタ
4a 第1電極体
4b 第2電極体
5 導電体
6 ナット
7 支持ロッド
8 ロックナット
9 止着部材
10 支持体
11 (第2の)キャパシタ
12 第1電極体
13 スペーサー
14 第2電極体
20 避雷装置
21 被保護体
22 支持構造物
23 電気絶縁体
24 コネクター
A 貫通孔
B 被保護体
C 電気絶縁層
D 雷雲
G 地面

【要約】
【課題】落雷から保護する被保護体の構造や形状に合わせた保護領域を形成し、被保護体全体を、落雷から効果的に保護することの可能な落雷抑制型避雷装置を提供する。
【解決手段】地面Gに設置された被保護体Bを覆って設けられる導電性材料によって形成された帯電体2と、この帯電体2を前記地面Gおよび前記被保護体Bに対して電気絶縁状態に保持する電気絶縁層3と、前記地面Gに設置され、前記地面との間の静電容量により電荷を蓄えるキャパシタ4と、前記帯電体2と前記第2電極体4bとを電気的に接続する導電体5とによって構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6