(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、実施形態の圧造機1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態の圧造機1の全体構成を模式的に示す平面図である。圧造機1は、横型の多工程圧造機である。圧造機1は、フレーム2、ラム3、5組のパンチ41およびダイス45、ワーク搬送部5、ならびに駆動部9などで構成されている。圧造機1は、5組のパンチ41およびダイス45により構成された第1〜第5圧造工程で、ワークに順次圧造加工を施す。
図1において、第1〜第5圧造工程は、上側から下側へと並んでいる。パンチ41は、
図1の左右方向に延びる軸線方向に動作する。ダイス45は、パンチ41と軸線を共通にして配置される。
【0010】
フレーム2は、各部を配設するための筐体であり、鉄製で堅牢に形成されている。5個のダイスホルダ21は、フレーム2の幅方向に並んで設けられる。5個のダイス45は、各ダイスホルダ21の前側(図中の左側)に交換可能に取り付けられる。各ダイス45の図中の左方向を向いた前側に、所定の加工型が形成されている。
【0011】
ラム3は、平面視で概ね矩形であり、フレーム2に対して軸線方向の前後に往復動作する。5個のパンチホルダ31は、ラム3の前側(図中の右側)の幅方向に並んで設けられる。5個のパンチ41は、各パンチホルダ31の前側(図中の右側)に交換可能に取り付けられる。各パンチ41の図中の右方向を向いた前側に、所定の加工型が形成されている。
【0012】
圧造機1は、環形の可動カッタ、線材送り機構、およびプッシャ機構を有した切断機構部(図略)を備える。可動カッタは、線材送り機構によって環形の内部に挿入された長尺線材を切断し、所定寸法の円柱状のワークを作成する。プッシャ機構は、可動カッタからワークをプッシュアウトする。ワークの材質として、アルミや鉄、各種の合金などを例示できる。
【0013】
ワーク搬送部5は、ダイスホルダ21の上方からダイス45の前方にかけて配設される。ワーク搬送部5は、トランスファ装置と呼称される場合がある。ワーク搬送部5は、ワークを把持する6対のフィンガ対を有する。最上流の第1のフィンガ対は、切断機構部でワークを把持して、第1圧造工程まで搬送する。第2〜第5のフィンガ対は、上流側の圧造工程でワークを把持して、下流側の圧造工程まで搬送する。最下流の第6のフィンガ対は、第5圧造工程でワークを把持して、図略の搬出部まで搬送する。
【0014】
ラム3を往復駆動するために駆動部9が設けられる。駆動部9は、主駆動源91と各種の伝達機構およびカム機構などで構成される。主駆動源91は、例えば、三相交流電源で動作する誘導モータまたは同期モータとすることができる。駆動部9は、ワーク搬送部5および切断機構部を併せて駆動する。主駆動源91の駆動力は、フライホイール92、ディスクブレーキ93、および減速機構94を介して、ラム3を駆動するクランク軸95に入力されている。さらに、クランク軸95から分岐歯車対96を介してサイド軸97へと、駆動力が分岐伝達される。
【0015】
サイド軸97は、駆動力を上方に分岐伝達する。上方に分岐された駆動力は、トランスファカム98を回転駆動する。トランスファカム98は、ワーク搬送部5を駆動する。また、サイド軸97からトランスファドライブ99を経由した先に、6個のオープンクローズカム9Aが回転駆動されるように連結されている。オープンクローズカム9Aは、幅方向に等間隔で配置されている。オープンクローズカム9Aは、それぞれフィンガ対を開閉駆動する。
【0016】
さらに、サイド軸97には、カッタカム9Bが設けられるとともに、プッシャカム9C、フィードカム9D、フィードローラ9E、および5個のノックアウトカム9Fが連結されている。カッタカム9B、プッシャカム9C、フィードカム9D、およびフィードローラ9Eは、切断機構部を駆動する。ノックアウトカム9Fは、幅方向に等間隔で配置されており、第1〜第5圧造工程の位置にそれぞれ対応する。ノックアウトカム9Fは、後述するメカ駆動機構7を駆動する。
【0017】
次に、圧造工程の詳細な構成について説明する。
図2は、実施形態の圧造機1のひとつの圧造工程の構成を示す側面断面図である。図示されるように、圧造工程は、パンチ41およびダイス45に加え、ノックアウトピン6、メカ駆動機構7、および油圧駆動機構8を含んで構成される。以降の説明では、ダイス45の前後を基準として、
図2の左側を前側と呼称し、右側を後側と呼称する。なお、第1〜第5圧造工程の全てが
図2に示された構成である必要はない。つまり、いくつかの圧造工程は、油圧駆動機構8を含まない従来形の構成であってもよい。
【0018】
図3は、圧造工程の主要部の構成を示す側面断面図である。
図3に示される圧造工程で、軸対称形状のワークWが成形加工される。成形加工されたワークWは、パンチ41に近い側から頂部W1、テーパ部W2、および軸部W3が軸長方向に連なる形状を有する。頂部W1は、軸長方向の長さが小さいため、フィンガ対51(
図4参照)の把持に適さない。テーパ部W2は、軸長方向に対して傾斜しているため、フィンガ対51では把持できない。よって、フィンガ対51は、ワークWの軸部W3を把持する必要がある。
【0019】
しかしながら、軸部W3の軸長方向の長さA1は短い。このため、フィンガ対51が軸部W3を把持する把持タイミングは、制約を受ける。さらに、テーパ部W2は、軸部W3よりも大径で把持不能な頭部となっている。このため、ワークWが軸線方向に突き出されるとき、相対的に斜め上方から軸部W3に接近動作するフィンガ対51に対して、テーパ部W2が干渉するおそれが生じる(
図7の軌跡M3参照)。したがって、把持タイミングは、さらに大きく制限される。
【0020】
ダイス45は、ダイスホルダ21の横向き円筒状の取り付け孔の内部に固定して配置される。ダイス45は、軸線方向に貫通する加工孔46を有する。加工孔46の内径は、ワークWの軸部W3の外径に略等しい。パンチ41は、へこんだ加工型42を先端に有する。加工型42の内部形状は、ワークWの頂部W1およびテーパ部W2に略等しい。パンチ41は、ワークWを加工型42の内部に保持しつつ押動して、加工孔46の内部で軸部W3を成形加工する。最終的に、パンチ41は、ダイス45に当接する。
【0021】
ノックアウトピン6は、前側の小径部61および後側の大径部62が一体となった段差を有する棒状の部材である。小径部61の外径は、加工孔46の内径に略等しい。かつ、小径部61の長さは、加工孔46の全長よりも長い。小径部61は、加工孔46に後側から嵌入している。小径部61の平らな前面63とダイス45の加工孔46の内周面によって、固定型の内部空間の形状が規定される。ワークWの軸部W3は、この内部空間の中で圧造加工される。大径部62は、ダイスホルダ21の取り付け孔の内部の後側に位置する。
図2および
図3において、ノックアウトピン6は、後方の所定位置に位置する。
【0022】
ノックアウトピン6は、軸線方向前側に向かって二段階で動作する。具体的に、ノックアウトピン6は、第一段階で初期突き出し動作を行う。すなわち、ノックアウトピン6は、ワークWの一部がダイス45の加工孔46の内部に残存し、かつフィンガ対51による把持が可能な途中位置まで、ワークWを突き出す。ワークWは、途中位置で一旦停止する。続いて、フィンガ対51が軸部W3を把持する。さらに続いて、ノックアウトピン6は、第二段階で終期突き出し動作を行う。すなわち、ノックアウトピン6は、フィンガ対51が軸部W3を把持した後に、ワークWの全体が加工孔46から抜け出るまで突き出す。
【0023】
メカ駆動機構7は、ノックアウトピン6の後側に配置される。メカ駆動機構7は、第1突き出し部材71および第2突き出し部材72の連結によって構成される。第1突き出し部材71は、前後方向に長い円筒状または円柱状の部材である。第1突き出し部材71の前端711は、ノックアウトピン6の大径部62の後面の中央に当接可能となっている。
【0024】
第2突き出し部材72も、前後方向に長い円筒状または円柱状の部材である。第2突き出し部材72の前端721は、第1突き出し部材71の後端712に連結される。第2突き出し部材72は、前後方向の略中央に、部分的に拡径された鍔部722を有する。第2突き出し部材72の後端723は、前述したノックアウトカム9Fから駆動される。第2突き出し部材72の鍔部722から後端723までの範囲は、筒状の支持部724によって、前後方向に動作可能に支持されている。メカ駆動機構7は、主駆動源91からノックアウトカム9Fを経由して駆動される。これにより、メカ駆動機構7は、全体が前方に動作して、ノックアウトピン6の終期突き出し動作を駆動する。
【0025】
油圧駆動機構8は、ノックアウトピン6の後側のメカ駆動機構7の周りに配置される。油圧駆動機構8は、スリーブ81、油圧シリンダ82、油圧駆動源83、およびストロークセンサ84などで構成される。スリーブ81は、複数本の突き出しピン811、中間ピン812、および駆動ピン813が、前側から後側へと結合されて構成される。複数本の突き出しピン811は、細棒状であり、互いに長さが等しい。複数本の突き出しピン811は、第1突き出し部材71の前寄りの外周側に、等間隔で平行に配置される。突き出しピン811の前端は、ノックアウトピン6の大径部62の後面の外周寄りに当接可能となっている。
【0026】
中間ピン812は、筒状であり、第1突き出し部材71の後寄りの外周側に配置される。中間ピン812の前端は、複数本の突き出しピン811の後端に結合される。駆動ピン813は、大径筒状であり、第2突き出し部材72の鍔部722の外周に配置される。駆動ピン813の前端は、段差部材814を介して、中間ピン812の後端に結合される。段差部材814と第2突き出し部材72の鍔部722の間に、コイルばね815が介装される。コイルばね815は、スリーブ81と第2突き出し部材72の間を相対変位可能に連結する。
【0027】
駆動ピン813の後端は、拡径されてピストン部816が形成される。油圧シリンダ82は、筒状であり、ピストン部816の外周に配置される。油圧シリンダ82とピストン部816の間は、油密構造とされ、かつ摺動可能に形成される。ピストン部816の前側に前側油圧室833が形成され、ピストン部816の後側に後側油圧室834が形成される。
【0028】
油圧駆動源83は、主駆動源91とは別に駆動力を発生してノックアウトピン6を駆動する副駆動源である。油圧駆動源83は、前側油圧室833に連通する前側油路831、および後側油圧室834に連通する後側油路832を有する。油圧駆動源83は、バルブなどを備えて、作動油を前側油圧室833および後側油圧室834に給排する。前側油圧室833に作動油が流入して、後側油圧室834から作動油が流出すると、ピストン部816は後退する。
図2において、ピストン部816は、後退して所定位置に位置している。
【0029】
逆に、前側油圧室833から作動油が流出して、後側油圧室834に作動油が流入すると、ピストン部816は前進する。これにより、スリーブ81は、
図2に示されるストローク長Lの範囲内で前進して、ノックアウトピン6の初期突き出し動作を駆動する。油圧駆動源83における作動油の給排の制御タイミングは、ソフトウェアの設定によって行われる。したがって、油圧駆動機構8による駆動は、メカ駆動機構7による駆動から切り離して設定変更される。これにより、ワークWの形状の変更に対して、容易な対応が可能となる。
【0030】
ストロークセンサ84は、スリーブ81の位置を検出するために設けられる。
図2に示されるように、ストロークセンサ84は、固定スケール部841および可動検出部842で構成される。固定スケール部841は、フレーム2に固定されて前後方向に延びる部材である。可動検出部842は、固定スケール部841を周回する環状に形成されて、スリーブ81の駆動ピン813に固定される。そして、スリーブ81が移動すると、可動検出部842は、固定スケール部841に対して変位し、所定の信号を出力する。ストロークセンサ84の検出結果は、油圧駆動源83の制御に反映される。ストロークセンサ84として、磁気検出方式のリニアエンコーダを例示でき、これに限定されない。
【0031】
次に、第1実施形態の圧造機1の動作および作用について説明する。
図3は、パンチ41が往動してワークWに圧造加工を施し、前死点に到達した状態を示している。
図4は、ノックアウトピン6が初期突き出し動作を行った直後の状態を示す側面断面図である。
図5は、フィンガ対51がワークWの軸部W3を把持した状態を示す側面断面図である。
図6は、ノックアウトピン6が終期突き出し動作を行った直後の状態を示す側面断面図である。
【0032】
図3に至るパンチ41の往動時に、ノックアウトピン6は、後方の所定位置に静止している。
図3の時点で、ワークWへの圧造加工が終了する。
図3の状態から、パンチ41が復動を開始する。油圧駆動源83は、パンチ41の復動に合わせて、ノックアウトピン6の初期突き出し動作を駆動する。つまり、油圧駆動源83は、軸部W3の長さA1よりもわずかに小さな前進距離A2(
図4参照)だけ、スリーブ81を前側に駆動する。すると、ノックアウトピン6も前進距離A2だけ前進して、ワークWを突き出す。これにより、
図4に示された状態に移行する。
【0033】
図4において、ノックアウトピン6は、停止しており、把持待ち動作の状態にある。ワークWは、軸部W3の一部が加工孔46の内部に残存する途中位置に一旦停止されている。したがって、ワークWが落下するおそれは無い。一方、ワーク搬送部5は、
図3から
図4に移行する途中で動作を開始する。すなわち、フィンガ対51は、矢印Mに示されるように、フィンガ先端を開放した状態で下降動作して、ワークWに接近する。
図4の後、フィンガ対51は、さらに下降してフィンガ先端を閉じ、ワークWの軸部W3を把持する。これにより、
図5に示された状態に移行する。
【0034】
図5の瞬間以降、メカ駆動機構7は、ノックアウトピン6の終期突き出し動作を駆動する。つまり、メカ駆動機構7は、第1突き出し部材71の前端711を、スリーブ81の先端からさらに前進距離A3(
図6参照)だけ前進させる。すると、ノックアウトピン6は、さらに前進距離A3だけ前進して、ワークWを突き出す。ワークWの軸部W3は、フィンガ対51のフィンガ間を摺動して前進し、加工孔46から抜け出る。つまり、ワークWの全体がダイス45から抜け出て、
図6に示された状態に移行する。
【0035】
図6において、ワーク搬送部5は、軸線方向と直交する幅方向(紙面の表裏方向)に移動する。これにより、フィンガ対51は、幅方向に移動して、把持したワークWを下流工程に搬出する。この後、別のフィンガ対51が上流工程から次のワークWを搬入して、次の圧造加工が開始される。
【0036】
なお、実施形態において、ワークWは、
図4に示される途中位置に一旦停止されるが、これに限定されない。例えば、応用形態において、ワークWは、突き出し速度が減速されて、途中位置を低速で通過し、その後に突き出し速度が加速される。また、ワークWは、突き出し速度の減速中に途中位置を通過してもよい。その他、ワークWの突き出し速度の制御方法には、各種の変形形態が考えられる。
【0037】
次に、
図7は、実施形態の圧造機1の作用を説明する図であって、ワークWに接近動作するフィンガ対51の軌跡M1、M2、M3を示した側面図である。
図7において、ワークWの位置が固定され、相対的にフィンガ対51が下降動作しながらワークWに接近する軌跡が描かれている。実線の軌跡M1は、ワークWが途中位置に一旦停止された実施形態の場合を表す。一点鎖線の軌跡M2は、ワークWが途中位置を低速で、または減速しながら通過する応用形態の場合を表す。これらに対比して、破線の軌跡M3は、ワークWが途中位置で減速されない従来技術の場合を表す。
【0038】
実線の軌跡M1に示されるように、ワークWが一旦停止していると、フィンガ対51は、真上方向からワークWに接近する。また、ワークWが一旦停止している時間帯の全ては、フィンガ対51がワークWを把持可能な把持タイミングとなる。したがって、フィンガ対51は、ワークWを確実に把持できる。一点鎖線の軌跡M2に示されるように、ワークWが低速または減速中であると、フィンガ対51は、真上方向に近い大きな傾斜角度の方向からワークWに接近する。また、ワークWが低速で突き出されているため、把持タイミングの時間幅は、従来技術よりも拡がる。この場合も、フィンガ対51は、ワークWを確実に把持できる。
【0039】
これらに対比して、破線の軌跡M3に示されるように、ワークWが減速されないと、フィンガ対51は、小さな傾斜角度の方向からワークWに接近する。このため、フィンガ対51の軌跡M3に対して、テーパ部W2が干渉するおそれが発生する。また、ワークWが高速で突き出されているため、把持タイミングの時間幅は狭くなり、極端な場合には、把持タイミングが無くなる。したがって、フィンガ対51は、ワークWを把持することが難しくなり、あるいは不可能になる。この対応策として、従来技術では、圧造機1の動作速度を低下させていた。あるいは、ワークWの形状に対応する特殊形状のノックアウトカム9Fを用意して、交換取り付けすることが必要であった。
【0040】
実施形態の圧造機1は、フレーム2と、フレーム2に設けられるダイス45と、主駆動源91によって駆動され、フレーム2に対して往復動作するラム3と、ラム3に設けられてラム3とともに往復動作し、ダイス45と組になってワークWに圧造加工を施すパンチ41と、圧造加工が施されたワークWをダイス45から突き出すノックアウトピン6と、突き出されたワークWを把持して搬出するワーク搬送部5と、を備える圧造機1であって、ノックアウトピン6は、ワークWを突き出す途中で一旦停止させ、または突き出し速度を一時的に減速し、ワーク搬送部5は、一旦停止されたワークW、または突き出し速度が減速されるワークWを把持する。
【0041】
これによれば、ノックアウトピン6は、ワークWを突き出す途中で一旦停止させ、または突き出し速度を一時的に減速する。これにより、ワーク搬送部5がワークWを把持する把持タイミングが確保され、あるいは、従来技術と比較して把持タイミングの時間幅が拡がる。したがって、圧造加工が施されたワークWの形状によらず、ワーク搬送部5は、ワークWを確実に把持できる。
【0042】
さらに、ノックアウトピン6は、ワークWの一部がダイス45の内部に残存し、かつワーク搬送部5による把持が可能な途中位置まで、ワークWを突き出す初期突き出し動作、ワーク搬送部5がワークWを把持するまで、ワークWを一旦停止させ、または突き出し速度を一時的に減速して途中位置を維持する把持待ち動作、および、ワーク搬送部5がワークWを把持した後に、ワークWの全体がダイス45から抜け出るまで突き出す終期突き出し動作を行う。
【0043】
これによれば、ワークWが一旦停止または減速されているので、ワーク搬送部5のフィンガ対51は、真上方向、または真上方向に近い大きな傾斜角度の方向からワークWに接近する。したがって、フィンガ対51は、ワークWを確実に把持できる。
【0044】
さらに、実施形態の圧造機1は、主駆動源91とは別に駆動力を発生してノックアウトピン6を駆動する副駆動源をさらに備える。そして、副駆動源は、油圧駆動源83である。これによれば、ノックアウトピン6を駆動する制御タイミングをソフトウェアの設定によって変更することができ、ワークWの形状の変更に容易に対応できる。したがって、圧造機1の動作速度を低下させ、あるいは、特殊形状のノックアウトカム9Fを交換取り付けする従来技術と比較して、実施形態の圧造機1は優れている。
【0045】
さらに、油圧駆動源83は、ノックアウトピン6の初期突き出し動作を駆動し、主駆動源91は、ノックアウトピン6の終期突き出し動作を駆動する。これによれば、ふたつの駆動源を併用することによって、ワークWの突き出し制御方法の自由度が拡がる。仮に、ノックアウトピン6の二段階の動作をノックアウトカム9Fのみで実現させようとしても、複雑なカム形状の実現が難しい。かつ、ワークWの形状を変更するたびにノックアウトカム9Fの取り替えが必要となるため、著しく非効率である。
【0046】
さらに、実施形態の圧造機1は、把持可能で短い軸部W3と、軸部W3よりも大径で把持不能なテーパ部W2(頭部)とを有するワークWを圧造加工する。これによれば、大径のテーパ部W2はフィンガ対51に干渉せず、フィンガ対51は、軸部W3を確実に把持できる。つまり、従来技術で把持することが難しいワークWの形状であっても、ワーク搬送部5は、ワークWを確実に把持できる。
【0047】
なお、油圧駆動機構8のストローク長Lを大きく設計して、油圧駆動源83だけでノックアウトピン6の二段階の動作を駆動し、メカ駆動機構7を省略してもよい。この態様では、ソフトウェアの設定によって、ワークWの突き出し制御方法を比較的自由に変更することができる。また、実施形態と逆に、メカ駆動機構7がノックアウトピン6の初期突き出し動作を駆動して、油圧駆動機構8がノックアウトピン6の終期突き出し動作を駆動してもよい。本発明は、実施形態の構成に限定されるものではなく、上述した以外にも様々な応用や変形が可能である。
【解決手段】フレーム2、フレーム2に設けられるダイス45と、主駆動源91によって駆動され、フレーム2に対して往復動作するラム3と、ラム3に設けられてラム3とともに往復動作し、ダイス45と組になってワークWに圧造加工を施すパンチ41と、圧造加工が施されたワークWをダイス45から突き出すノックアウトピン6と、突き出されたワークWを把持して搬出するワーク搬送部5と、を備える圧造機1であって、ノックアウトピン6は、ワークWを突き出す途中で一旦停止させ、または突き出し速度を一時的に減速し、ワーク搬送部5は、一旦停止されたワークW、または突き出し速度が減速されるワークWを把持する。