特許第6245690号(P6245690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245690
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20171204BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20171204BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20171204BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20171204BHJP
   B42B 4/00 20060101ALI20171204BHJP
   B42C 1/00 20060101ALI20171204BHJP
   B42C 19/02 20060101ALI20171204BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20171204BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20171204BHJP
   G06F 3/038 20130101ALI20171204BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G03G21/00 386
   G03G15/00 431
   B41J29/38 Z
   B41J21/00 Z
   B42B4/00
   B42C1/00 A
   B42C19/02
   G06F3/12 356
   G06F3/12 364
   G06F3/01 570
   G06F3/038 310Y
   H04N1/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-222206(P2013-222206)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2015-84028(P2015-84028A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153110
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100131037
【弁理士】
【氏名又は名称】坪井 健児
(74)【代理人】
【識別番号】100099069
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 敬尚
【審査官】 田代 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−152818(JP,A)
【文献】 特開2008−250823(JP,A)
【文献】 特開2011−197079(JP,A)
【文献】 特開平09−091079(JP,A)
【文献】 特開2004−334590(JP,A)
【文献】 特開2000−075991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
B41J 29/38
G06F 3/01
G06F 3/038
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを記録媒体に画像形成する画像形成部と、該画像形成部に画像形成させる画像データのプレビュー画像を生成するプレビュー生成部と、該プレビュー生成部が生成したプレビュー画像を表示する表示部と、前記画像形成部で画像形成された記録媒体に所定の処理を行う処理部とを備えた画像形成装置であって、
前記表示部の上方の空間領域を撮影する撮影部と、
該撮影部が撮影した画像を解析して、ジェスチャを判定するための所定の判定対象の有無を判断する画像解析部と、
該画像解析部により判断された判定対象のジェスチャが、所定のジェスチャであるか否かを判断するジェスチャ判断部と、
該ジェスチャ判断部によって所定のジェスチャであると判断されたジェスチャが、予め定められた所定の空間領域で行われた否かを判定する領域判定部とを備え、
前記表示部に表示されたプレビュー画像について、前記処理部が記録媒体に前記所定の処理を行う領域を含むジェスチャ設定用領域が、予め定められ、
前記所定の空間領域が、所定の前記ジェスチャ設定用領域に対応して設けられており、
前記処理部は、前記所定の処理として、前記所定の空間領域で行われた所定のジェスチャに予め対応付けられた処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において
前記所定の空間領域は、前記表示部に表示されたプレビュー画像における前記ジェスチャ設定用領域の上方の空間領域であって、前記表示部から所定の高さまでの空間領域として設定されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記ジェスチャ設定用領域を複数設定し、複数の前記ジェスチャ設定用領域の上方の空間領域うちの少なくとも一部の空間領域に、他の空間領域とは異なる所定の処理を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の画像形成装置において、
1つの前記ジェスチャ設定用領域の上方の空間領域に対して異なる複数の所定の処理を設定し、該複数の所定の処理を実行するために、該複数の所定の処理に対して異なるジェスチャを対応付けて設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の画像形成装置において、
前記所定のジェスチャに対応付けられる処理は、記録媒体にパンチを施すパンチ処理、及び記録媒体にステープルを施すステープル処理であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より詳細には、画像データを記録媒体に記録して画像形成する機能と、画像形成した記録紙にパンチやステープルなどの処理を行う機能と備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、スキャナなどにより原稿画像データを取得し、これを記録紙などの記録媒体に画像形成(印刷)する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、後処理の機能として、記録紙の所定位置にパンチを施したり、ステープルを施したりする機能が付与されている。これによりユーザは、一連の画像形成プロセスにより記録紙への画像形成とパンチやステープルの付与とを行わせることができる。
【0003】
画像形成装置でパンチやステープルなどの後処理設定を行うための先行技術として、例えば特許文献1には、画像形成前の画像データをタッチパネルにプレビュー表示し、プレビュー画像に対するタッチ操作の領域に応じて後処理設定を行うようにした画像形成装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、画像方向認識手段を備え、その画像方向認識手段の認識結果と、紙の送り方向とによりステープル位置を自動決定する画像形成システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、カメラによりユーザの手のジェスチャを撮像し、ユーザの手のジェスチャが予め記憶されている所定のジェスチャに一致すると判断したときに、その所定のジェスチャに関連付けられて記憶している画像加工を実行させる画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−41063号公報
【特許文献2】特開平6−64366号公報
【特許文献3】特開2008−250823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の画像形成装置では、パンチやステープルなどの処理を任意に設定する際に、ユーザ操作によって処理設定画面を表示させ、その設定画面から任意の処理の種類や条件を設定する操作が必要であり、ユーザにとって煩雑であった。
特許文献1の場合にも、プレビュー画像に対するユーザ操作が必要である。また、特許文献2では、画像方向紙送り方向から自動的にステープル位置を判断するが、ステープやパンチなどの複数の処理からその処理を施す位置を簡単に設定することはできない。また、特許文献3では、カメラによって撮像したジェスチャに対応付けて画像データの加工処理を行うことができるが、種々のジャスチャの動きや位置に応じてパンチやステープルの複数の処理を選択して、その選択した処理を施す位置を設定できるようにしたものではない。
【0008】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、パンチやステープルなどの複数種類の処理のなかから、任意の処理を記録媒体の任意の位置に簡単な操作で施すことができるようにした画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、画像データを記録媒体に画像形成する画像形成部と、該画像形成部に画像形成させる画像データのプレビュー画像を生成するプレビュー生成部と、該プレビュー生成部が生成したプレビュー画像を表示する表示部と、前記画像形成部で画像形成された記録媒体に所定の処理を行う処理部とを備えた画像形成装置であって、前記表示部の上方の空間領域を撮影する撮影部と、該撮影部が撮影した画像を解析して、ジェスチャを判定するための所定の判定対象の有無を判断する画像解析部と、該画像解析部により判断された判定対象のジェスチャが、所定のジェスチャであるか否かを判断するジェスチャ判断部と、該ジェスチャ判断部によって所定のジェスチャであると判断されたジェスチャが、予め定められた所定の空間領域で行われた否かを判定する領域判定部とを備え、前記表示部に表示されたプレビュー画像について、前記処理部が記録媒体に前記所定の処理を行う領域を含むジェスチャ設定用領域が、予め定められ、前記所定の空間領域が、所定の前記ジェスチャ設定用領域に対応して設けられており、前記処理部は、前記所定の処理として、前記所定の空間領域で行われた所定のジェスチャに予め対応付けられた処理を実行することを特徴としたものである。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記所定の空間領域は、前記表示部に表示されたプレビュー画像における前記ジェスチャ設定用領域の上方の空間領域であって、前記表示部から所定の高さまでの空間領域として設定されることを特徴としたものである。
【0011】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記ジェスチャ設定用領域を複数設定し、複数の前記ジェスチャ設定用領域の上方の空間領域うちの少なくとも一部の空間領域に、他の空間領域とは異なる所定の処理を設定することを特徴としたものである。
【0012】
第4の技術手段は、第2または第3の技術手段において、1つの前記ジェスチャ設定用領域の上方の空間領域に対して異なる複数の所定の処理を設定し、該複数の所定の処理を実行するために、該複数の所定の処理に対して異なるジェスチャを対応付けて設定することを特徴としたものである。
【0013】
第5の技術手段は、第1〜第4のいずれか1の技術手段において、前記所定のジェスチャに対応付けられる処理は、記録媒体にパンチを施すパンチ処理、及び記録媒体にステープルを施すステープル処理であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パンチやステープルなどの複数種類の処理のなかから、任意の処理を記録媒体の任意の位置に簡単な操作で施すことができるようにした画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による画像形成装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】本発明による画像形成装置の外観を概略的に示す図である。
図3】プレビュー画像に設定する領域と、その領域に対応付ける処理の設定例を説明するための図である。
図4】ユーザが行うジェスチャ操作とそのジェスチャ操作に応じた処理の一例を説明する図である。
図5】ユーザが行うジェスチャ操作とそのジェスチャ操作に応じた処理の他の例を説明する図である。
図6】ユーザが行うジェスチャ操作とそのジェスチャ操作に応じた処理の更に他の例を説明する図である。
図7】本発明に係る画像形成装置によるジェスチャ操作に応じた処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明に係る画像形成装置によるジェスチャ操作に応じた処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
図9】本発明に係る画像形成装置によるジェスチャ操作に応じた処理の更に他の例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明による画像形成装置の機能構成例を示すブロック図である。
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)などの制御プロセッサにより構成され、画像形成装置10の各部を統括して制御する。制御部2は、記憶部6に記憶されたプログラムおよびデータを読み出して実行することで、画像形成装置10の各種機能を実現する。記憶部6は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの各種の記憶手段である。
【0017】
スキャナ部1は、プラテンガラス上の原稿を光源によって照明し、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)等に集光させて原稿画像を読取る。読取られた原稿画像の画像データは画像形成部7に出力され、記録用紙に画像形成されて排紙される。
【0018】
表示部4は、液晶パネルなどによるディスプレイであり、画像形成装置10の操作メニュー画面や、画像形成すべき画像データのプレビュー画像などを表示させる。撮影部3は、表示部4の上方の空間領域を撮像するCCD等のカメラである。撮影画像は、ユーザの指先の存在等を判別するための解析に使用される。
操作部5は、ユーザによる操作入力を受け付ける。操作部5は、ハードキーやボタンなどの他、表示部4の表画面に上に設けたタッチパネルとして構成することができる。
【0019】
画像形成部7は、画像形成すべき画像データを記録紙等の記録媒体に画像形成(印刷)する。画像形成部7には、例えば電子写真方式により画像形成を行う構成として、現像装置、感光体ドラム、ドラムクリーニング装置、及び帯電器等が設けられる。ここでは各感光体ドラム表面に各色のトナー像を形成して中間転写ベルトに転写して重ね合わせ、これを記録紙に転写して加熱定着させ、記録紙に対する画像形成を行う。この他画像形成部7にはインクジェット方式等の他の方式により画像形成を行う構成を採用してもよい。
画像形成する画像データとしては、スキャナ部1で読み取られた画像データを用いることができるが、この他、例えば図示しない通信インタフェースを介して外部のPC(Personal Computer)や可搬型のメモリ等から取得した画像データを用いるものであってもよい。
【0020】
また、画像形成部7は、パンチとステープルの処理をそれぞれ実行するパンチ/ステープル実行部71を含んでいる。パンチ/ステープル実行部71は、画像形成部7で画像形成された記録媒体に所定の処理を行う本発明の処理部に相当する。
ここでパンチは、画像形成を行った記録紙にパンチ穴を空ける処理であり、ステープルは、画像形成を行った記録紙にステープル留めを施す処理である。パンチ/ステープル実行部71は、上述したような感光体ドラムに画像形成したトナー像を記録紙に転写して定着した後、搬送された記録紙に対して適宜パンチまたはステープルを施す。パンチ/ステープル実行部71は、画像形成装置の本体筐体の内部に所謂インナーフィニッシャーとして構成されたものでもよく、あるいは本体筐体とは別の後処理装置として構成したものであってもよい。
【0021】
パンチ/ステープル実行部71がパンチ処理を行う場合には、例えば画像形成された記録紙の搬送中に後端検知センサによってその記録紙の後端を検知し、検知した時点で記録紙の搬送を一旦停止して、パンチピンによって記録紙の後端にパンチ穴を空ける。また、ステープル処理を行う場合には、画像形成された記録紙を所定量だけ順に搬送して処理台上に積載して整合し、整合した記録紙の束に対して所定箇所にステープラによってステープル留めを行う。
【0022】
制御部2は、その機能として画像解析部21、ジェスチャ判断部22、領域判定部23、及びプレビュー生成部24を有している。
プレビュー生成部24は、画像形成部7で画像形成すべき画像データを、画像形成処理を行う前に表示部4に表示させるプレビュー画像を生成する。ここでは、スキャナ部1等で取得した画像データを記憶部6の原稿画像記憶エリア61に一時記憶する。そしてプレビュー生成部24は、一時記憶した画像データからプレビュー画像を生成し、表示部4に表示させる。
【0023】
ユーザは、表示部4にプレビュー表示された画像データを確認して、印刷を実行するか否かを判断することができる。そしてこのときに、プレビュー表示された表示部4の上部空間で所定のジェスチャを行うだけで、画像形成された記録紙にパンチやステープル等の所定の処理を行わせることができる。
【0024】
画像解析部21は、撮影部3が撮影した画像を解析し、解析対象となる3次元空間領域からユーザの手の指先を検出する。ユーザの指先は、ジェスチャを判定するための所定の判定対象として定められたものである。
解析対象とする空間領域は、表示部4の表示画面の法線であって、表示部4の矩形の表示画面の外周上の上記法線に囲まれた領域であり、表示画面からの高さ方向に一定の範囲を設けた領域をいう。
【0025】
画像解析部21がユーザの指先を検出する手法としては、例えば解析対象となる3次元空間を異なる位置から撮影する2つの撮影装置を撮影部3に使用する。そして画像解析部21は、2つの撮影装置で撮影された画像を比較し、人の手と判断できる画像の存在を検知する。人の手と判断できる画像の存在は、例えば撮影画像の輝度値を解析して、所定の輝度レベルをもつ領域が手と判断できる形状となっているかを判断する。例えば対象領域外から延びる腕のような形状と、その先端の手と指の形状とを所定のアルゴリズムで判断し、指とみなされる先端部分を指先として検出する。
【0026】
また画像解析部21は、2つの撮影装置の撮像画像を解析して、指先の3次元空間上の位置を検出する。ここでは例えば1方の撮影画像で手の指先と判断された画像が、他方の撮影画像のどの位置にあるかを検出する。この場合、例えば一方の撮影画像をブロックに分割し、他方の画像の画素値との差分をとって、差分の総和や最小2乗和を演算し、一方のブロックに最も似ているブロック位置を判断する。これにより、1方の撮影画像における手の位置と、他方の画像における同じ手の位置を検出できる。そして2つの撮影装置の距離と、2つの撮影画像における手の位置のずれ量とから、撮影装置から指先までの3次元空間内での距離を演算し、手の指先の3次元空間における位置を特定することができる。
【0027】
そして画像解析部21は、検出した指先の3次元空間内の座標情報を取得し、記憶部6の検出座標記憶エリア62に記憶させる。座標情報は、3次元空間の位置を規定する情報であり、例えば表示部4上方の直方体空間の一つの頂点を原点として、互いに直交するXYZ軸上に設定した座標の位置を示すものとする。画像解析部21は、指先が検出された後、その指先が動いた場合にも指先の3次元空間上の座標位置の検出を継続して実行する。なお、画像解析により指先検出を行い、3次元空間上の座標位置を検出する手法は上記に限ることなく、公知の検出技術を適用することができる。
【0028】
ジェスチャ判断部22は、画像解析部21による解析結果に従って、ユーザの手の指先の動きを認識し、その指先の動きが予め定めた所定のジェスチャの動作に該当するか否か判断する。所定のジェスチャは予め記憶部6の処理設定記憶エリア63に予め記憶され、ジェスチャ判断部22は、画像解析部21の解析結果と、処理設定記憶エリア63に記憶した所定のジェスチャの情報とを比較して、ユーザの指先によって所定のジェスチャが行われたか否かを判断する。
【0029】
領域判定部23は、ユーザの指先で所定のジェスチャが行われたときに、そのジェスチャが所定の空間領域で行われたか否かを判定する。所定の空間領域は、表示部4で表示するプレビュー画像について予め定めたジェスチャ設定用の領域の上方の空間領域とされる。この空間領域は、表示部4の表示画面の法線であって、プレビュー画像について予め定めた領域の外周上の上記法線に囲まれた空間で、かつ所定の高さをもつ空間をいう。つまり画像解析部21が解析対象としている3次元空間のうち、プレビュー画像について予め定められた領域上の柱状の3次元空間が該当する。プレビュー画像には、例えば記録紙にパンチを施す位置やステープルを施す位置に領域を設定することができ、ユーザは、この上方の空間領域でジェスチャを行う。これによりユーザは、プレビュー画像を見ながら直観的にジェスチャを行うだけで、記録紙の所望の位置にパンチやステープルを施すことができる。
【0030】
処理設定記憶エリア63には、所定の空間領域内で行われた所定ジェスチャに対応づけて、実行すべき処理内容が記憶される。領域判定部23が、所定のジェスチャが所定の空間領域で行われたと判断した場合、制御部2は、その所定の空間領域のジェスチャに関連付けられている処理内容を処理設定記憶エリア63から読み出して、その内容に従って各種処理を実行する。実行する処理は、例えばパンチもしくはステープル処理とされる。
【0031】
図2は、本発明による画像形成装置の外観を概略的に示す図で、図2(A)は画像形成装置の斜視概略図、図2(B)は図2(A)の画像形成装置の本体筐体の上面概略構成図である。
画像形成装置10は、スキャナ部1の要素としてプラテンガラス11を備え、プラテンガラス11の下方から、プラテンガラス11上に置いた原稿を照明し、その反射光をCCD等に集光させて原稿画像を読み取る。プラテンガラス11上には、カバー12が開閉可能に設けられる。また、カバー12として原稿自動送り装置(ADF(Auto Document Feeder)をヒンジ機構により開閉可能に設けたものが普及している。
【0032】
画像形成装置10の上面前方(ユーザ操作側)には、表示部4が設けられる。また表示部4の近傍には、ユーザ操作が可能な操作ボタン13が設けられる。操作ボタン13としては例えば、画像形成装置10の電源ボタン、印刷開始ボタン、印刷停止ボタン、テンキーボタンなどがある。操作ボタン13は、図1の操作部5に含まれる。また操作部5の他の構成として表示部4の表面にタッチパネルを構成することができる。
【0033】
表示部4の近傍には、表示部4の画面上方におけるユーザの操作を撮影するための撮影部3が設けられている。撮影部3により撮影された画像を解析することで、表示部4に表示されたプレビュー画像の所定領域上の空間領域で、所定のジェスチャが行われたことを判定し、所定のジェスチャが行われた場合に、そのジェスチャに対応付けられているパンチやステープルなどの処理を実行する。
【0034】
図3は、プレビュー画像に設定する領域と、その領域に対応付ける処理の設定例を説明するための図である。上述したように、画像形成装置10では、画像形成すべき画像データのプレビュー画像を表示部4に表示させる。
このときの表示状態を図3(A)に示す。図中、41は表示部4の全画面であり、42は、画像形成すべき画像データのプレビュー画像である。プレビュー画像42としては、画像形成後の仕上がり状態に相当する1ページ分の画像データが画面表示される。
【0035】
そして図3(B)に示すように、プレビュー画像に対して、ユーザのジェスチャ操作に対応付けて実施する処理とその処理に対応する領域を設定する。この例では、ジェスチャ操作に対応付けた処理として、パンチ処理、及びステープル処理を設定するものとする。この領域は、記録媒体にパンチやステープルの処理を行う領域を含むジェスチャ設定用領域として定められる。
例えば図3(B)の例では、プレビュー画像の左側辺中央分を含む領域A1と、上辺中央部を含む領域A3を設定し、これら領域A1、A3の上方の空間領域にパンチおよび2点ステープルを設定する。また、プレビュー画像42の左上角部を含む領域A2と、右上角部を含む領域A4とを設定し、これら領域A2、A4の上方の空間領域にそれぞれ1点ステープルを設定する。
【0036】
これらジェスチャ設定用領域としての領域A1、A2、A3、A4の上方の空間領域で、ユーザによる所定のジェスチャが行われた場合には、各空間領域に対応付けられた処理を自動的に実行する。領域A1、A3にはパンチ処理と2点ステープ処理が設定されているが、パンチと2点ステープルには、それぞれ異なるジェスチャが設定される。そして、これらの領域A1、A3上の空間領域で、パンチまたはステープルに応じたジェスチャを実行することで、そのジェスチャに対応付けられたパンチまたはステープルのいずれかを実行させることができる。
なお各領域A1〜A4の上方空間とは、表示部4の表示画面の法線であって、表示部4のプレビュー画像に設定した各領域A1〜A4の外周上の上記法線に囲まれた空間で、かつ表示画面からの高さ方向に一定の範囲を設けた柱状の空間である。
【0037】
以下に上記ジェスチャ設定用領域に応じた処理の実施形態を説明する。
(実施形態1)
図4は、ユーザが行うジェスチャ操作とそのジェスチャ操作に応じた処理の一例を説明する図で、図4(A)はプレビュー画像上でパンチ処理を実行するために設定される領域を説明する図、図4(B)は表示部上のジェスチャ判定対象空間領域を示す図、図4(C)はパンチ処理を設定する空間領域とジェスチャを説明する図、図4(D)はジェスチャによってパンチ処理が設定されたプレビュー画像を示す図である。
【0038】
上記のように、撮影部3が撮影した画像を画像解析部21が解析することによりユーザの手の指先を判断し、ジェスチャ判断部22がその指先により所定のジェスチャが行われたと判断し、さらに領域判定部23によってそのジェスチャが所定の空間領域で行われたと判定したときに、そのジェスチャに対応付けられた処理が実行される。
【0039】
この例では、パンチを設定した領域の上方の空間領域で、パンチを実行するために予め定められたジェスチャをユーザが実行することで、その領域の記録紙にパンチを施すことができる。具体的には、図4(A)に示すように、表示部の全画面41に表示したプレビュー画像42には、パンチ処理を設定するための領域として、領域A1、A3が設定されているものとする。これら領域A1、A3は、記録紙にパンチを施す位置をユーザが直観的に判断できる領域として設定される。
【0040】
撮影部3に撮影され、画像解析部21による画像解析の対象となる空間領域は表示部の全画面41の上方空間領域となるが、さらに図4(B)に示すように、検出した指先が所定のジェスチャを行っているかを判定するジェスチャ判定対象空間領域110が設定される。ジェスチャ判定対象空間領域110は、プレビュー画像42よりも広い所定領域上の空間に設定することができる。
【0041】
そして図4(C)に示すように、ユーザは、領域A1、A3の上方の空間領域111,112の内部に手の指100の指先101を位置させて、その空間領域内で所定のジェスチャを行う。空間領域111、112は、ジェスチャ判定対象空間領域110内に含まれている。
例えばこの例では、パンチを実行させるためのジェスチャは、2点の指先101が表示部4の表示画面に平行に配置され、平行に配置された2点の指先が表示画面に所定量だけ近づいたときに該当するものとする。所定量は、3次元の上方空間内で表示部4の表示画面の法線方向の移動量として設定される。また2点の指先が表示画面に平行か否かについては、2点の指先を結ぶ直線と、表示画面とが平行となっているか、もしくは所定の閾値角度以内で表示画面に対して指先を結ぶ直線が傾いているときに平行であると判断することができる。
【0042】
画像形成装置10のジェスチャ判断部22によって、上記のようなパンチを実行させるための所定のジェスチャが行われたものと判断され、かつ領域判定部23によってそのジェスチャが空間領域111の内部で行われたと判定された場合、図4(D)に示すように、プレビュー生成部24は、領域A1に相当する位置に2穴のパンチ43を施した状態を示すプレビュー画像を生成し、表示部4に表示させる。
プレビュー画像を確認したユーザは、操作部5に対して適宜印刷開始を指示する操作入力を行うことで、画像形成部7により画像形成が実行される。このときに領域A1に相当する位置にパンチ処理が施される。
【0043】
空間領域112内で同じジェスチャが行われた場合にも、同様に領域A3にパンチが施されたプレビュー画像が表示され、ユーザは、そのプレビュー画像を確認した上で領域A3の位置にパンチ処理を行わせることができる。
上記のような処理により、ユーザは、実際にパンチ処理を施す領域の上方で簡単なジェスチャを行うだけで、煩雑な設定を行うことなく所望の位置にパンチ処理を実行させることができる。
【0044】
(実施形態2)
図5は、ユーザが行うジェスチャ操作とそのジェスチャ操作に応じた処理の他の例を説明する図で、図5(A)はプレビュー画像上でステープル処理を実行するために設定される領域を説明する図、図5(B)は表示部上のジェスチャ判定対象空間領域を示す図、図5(C)はステープル処理を設定する空間領域とジェスチャを説明する図、図5(D)はジェスチャによってステープル処理が設定されたプレビュー画像を示す図である。
【0045】
この例では、1点のステープル(1点ステープルとする)処理を設定した領域の上方の空間領域で、1点ステープルを実行するために予め定められたジェスチャをユーザが実行することで、その領域の記録紙に1点ステープルを施すことができる。具体的には、図5(A)に示すように、表示部の全画面41に表示したプレビュー画像42には、1点ステープル処理を設定する領域として、領域A2,A4が設定されているものとする。このときにジェスチャ判定の対象となる空間領域は図5(B)に示すようなジェスチャ判定対象空間領域110となる。
【0046】
そして図5(C)に示すように、ユーザは、領域A2,A4の上方の空間領域113,114の内部に手の指100の指先101を位置させて、その空間領域内で所定のジェスチャを行う。
例えばこの例では、1点ステープルを実行させるためのジェスチャは、2点の指先101が表示部4の表示画面に垂直に配置され、垂直に配置された2点の指先が互いに所定量だけ近づいたときに該当するものとする。所定量は3次元空間内で二つの指先101間の距離の変化量とすることができる。また2点の指先が表示画面に垂直か否かについては、2点の指先を結ぶ直線と表示画面とが垂直となっているか、もしくは所定の閾値角度以内で表示画面に対して指先を結ぶ直線が傾いているときに垂直であると判断することができる。
【0047】
画像形成装置10のジェスチャ判断部22によって、上記のような1点ステープルを実行させるためのジェスチャが行われたものと判断され、かつ領域判定部23によってそのジェスチャが空間領域113の内部で行われたと判定された場合、図5(D)に示すように、プレビュー生成部24は、領域A2に相当する位置に1点のステープル44を施した状態を示すプレビュー画像を生成し、表示部4に表示させる。
プレビュー画像を確認したユーザは、操作部5に対して適宜印刷開始を指示する操作入力を行うことで、画像形成部7により画像形成が実行される。このときに領域A2に相当する位置に1点ステープル処理が施される。
【0048】
空間領域114内で同じジェスチャが行われた場合にも、同様に領域A4に1点ステープルが施されたプレビュー画像が表示され、ユーザは、そのプレビュー画像を確認した上で領域A4の位置に1点ステープル処理を行わせることができる。
上記のような処理により、ユーザは簡単な操作を行うだけで、煩雑な設定を行うことなく所望の位置にステープル処理を実行させることができる。
【0049】
(実施形態3)
図6は、ユーザが行うジェスチャ操作とそのジェスチャ操作に応じた処理の更に他の例を説明する図で、図6(A)はプレビュー画像上でステープル処理を実行するために設定される領域を説明する図、図6(B)は表示部上のジェスチャ判定対象空間領域を示す図、図6(C)はステープル処理を設定する空間領域とジェスチャを説明する図、図6(D)はジェスチャによってステープル処理が設定されたプレビュー画像を示す図である。
【0050】
この例では、2点のステープル(2点ステープルとする)処理を設定した領域の上方の空間領域で、2点ステープルを実行するために予め定められたジェスチャをユーザが実行することで、その領域の記録紙に2点ステープルを施すことができる。具体的は、図6(A)に示すように、表示部の全画面41に表示したプレビュー画像42には、2点ステープル処理を設定する領域として、領域A1,A3が設定されているものとする。領域A1、A3には図4の例ではパンチ処理が設定されているが、同じ領域に2点ステープルの処理を設定することができる。この場合、パンチ処理とステープル処理には互いに異なるジェスチャが設定される。このときにジェスチャ判定の対象となる空間領域は図6(B)に示すようなジェスチャ判定対象空間領域110となる。
【0051】
そして図6(C)に示すように、ユーザは、領域A1,A3の上方の空間領域111,112の内部に手の指100の指先101を位置させて、その空間領域内で所定のジェスチャを行う。
例えばこの例では、2点ステープルを実行させるためのジェスチャは、3点の指先101が空間領域111,112内に存在し、これら3点の指先101が互いに所定量だけ近づいたときに該当するものとする。所定量は、例えば3次元空間内で3つの指先101間を結ぶ線により囲まれる領域の面積の変化量とすることができる。あるいは例えば3つの指先101のうち2つの指先101を結ぶ各直線の合計値の変化量とすることができる。
【0052】
画像形成装置10のジェスチャ判断部22によって、上記のような2点ステープルを実行させるためのジェスチャが行われたものと判断され、かつ領域判定部23によってそのジェスチャが空間領域111の内部で行われたと判定された場合、図6(C)に示すように、プレビュー生成部24は、領域A1に相当する位置に2点ステープル45を施した状態を示すプレビュー画像を生成し、表示部4に表示させる。
プレビュー画像を確認したユーザは、操作部5に対して適宜印刷開始を指示する操作入力を行うことで、画像形成部7により画像形成が実行される。このときに領域A1に相当する位置に2点ステープル処理が施される。
【0053】
空間領域112内で同じジェスチャが行われた場合にも、同様に領域A3に2点ステープルが施されたプレビュー画像が表示され、ユーザは、そのプレビュー画像を確認した上で領域A3の位置に2点ステープル処理を行わせることができる。
このような処理により、ユーザは簡単な操作を行うだけで、煩雑な設定を行うことなく所望の位置に2点ステープル処理を実行させることができる。
【0054】
次に上記各実施形態における処理の流れを説明する。
図7は、本発明に係る画像形成装置によるジェスチャ操作に応じた処理の一例を説明するためのフローチャートで、図4で示す例でジェスチャ操作に応じたパンチ処理の設定フローを示すものである。ここでは図1の構成を参照しながら説明する。
まず画像形成装置10のスキャナ部1が原稿を読み取る(ステップS1)。そして読み取るべき全原稿の読み取りが完了すると(ステップS2−Yes)、制御部2のプレビュー生成部24がプレビュー画像を生成して表示部4に表示させる(ステップS3)。
【0055】
そして撮影部3による撮影を開始し(ステップS4)、制御部2が撮影部3により撮像された画像を取得する(ステップS5)。制御部2の画像解析部21は、取得した画像を解析し(ステップS6)、人の指先が検出されたか否かを判断する(ステップS7)。
ここで人の指先が検出されない場合には、画像解析部21は、検出位置の座標が記憶されているか否かを判別し(ステップS16)、記憶されていればその座標の記憶をクリアして(ステップS17)、ステップS5に戻って画像の取得を継続する。また検出位置の座標が記憶されていなければ(ステップS16−No)、そのままステップS5に戻る。
【0056】
ステップS7で人の指先が検出された場合、画像解析部21は、所定のジェスチャ判定対象空間領域に指先があるか否かを判断する(ステップS8)。ジェスチャ判定対象空間領域は、プレビュー画像よりも少し広い範囲上に設定することができる。
ここでジェスチャ判定対象空間領域内に指先がある場合、画像解析部21は、表示画面に平行に2点の指先があるかどうかを判別する(ステップS9)。平行か否かを判断する場合、2点を結ぶ線が表示画面に対して所定範囲の角度以内で傾いている場合にも、表示画面に平行であるとみなすことができる。
【0057】
上記ステップS8でジェスチャ判定領域内に指先が無い場合、及びステップS9で表示画面に平行に2つの指先がない場合には、ステップS5に戻って撮像画像の取得を継続する。
また、ステップS9で、表示画面に平行に2つの指先がある場合、ジェスチャ判断部22は、検出座標が既に記憶済みであるかを判断し(ステップS10)、記憶済みでなければ検出位置の座標を記憶する(ステップS18)。ステップS10で記憶済みの座標がある場合、またはステップS18で検出位置の座標を記憶した場合、ジェスチャ判断部22は、指先が所定長以上移動したか否かを判断する(ステップS11)。所定長以上の移動とは、2点の指先が3次元空間上でそれぞれ所定長さ以上移動した場合に該当するものとする。
【0058】
指先が所定長以上移動していれば(ステップS11−Yes)、ジェスチャ判断部22は、その所定長以上の移動が、所定長以上表示部に接近するものであるかを判断する(ステップS12)。表示部に接近するときの長さは、例えば表示部の表面の法線方向に沿った移動長さにより判断するものとする。
また、ステップS11で指先が所定長以上移動しない場合、またはステップS12で所定長以上表示部に接近していない場合には、ステップS5に戻って撮像された画像の取得を継続する。
【0059】
ステップS11で指先が所定長以上表示部に接近した場合、ジェスチャ判断部22は、指先のジェスチャが検出された領域が、そのジェスチャに対してパンチ処理の実行が設定されている例えば2つの領域のうち、第1の領域上の空間領域であるか否かを判別する(ステップS13)。第1の領域は、例えば図4に示す領域A1である。
第1の領域上の空間領域で所定のジェスチャが検出された場合には、記録紙の第1の領域に相当する所定位置にパンチを設定し(ステップS14)。パンチ処理を行った状態のプレビュー画像を再表示させる(ステップS15)。
【0060】
また、ステップS13で所定のジェスチャが検出された領域が第1領域上の空間領域ではない場合、パンチ処理の実行が設定されている他方の領域である第2の領域上の空間領域であるか否かを判別する(ステップS19)。第2の領域は、例えば図4に示す領域A3である。第2の領域上の空間領域で所定のジェスチャが検出された場合には、記録紙の第2の領域に相当する所定位置にパンチを設定し(ステップS20)、パンチ処理を行った状態のプレビュー画像を再表示させる(ステップS15)。この後、ユーザは、プレビュー画像を確認した上で画像形成処理を実行させることで、画像形成され、かつプレビューされた位置にパンチ処理が施された記録紙を得ることができる。
【0061】
図8は、本発明に係る画像形成装置によるジェスチャ操作に応じた処理の他の例を説明するためのフローチャートで、図5で示す例でジェスチャ操作に応じた1点ステープル処理の設定フローを示すものである。ここでは図1の構成を参照しながら説明する。
まず画像形成装置10のスキャナ部1が原稿を読み取る(ステップS21)。そして読み取るべき全原稿の読み取りが完了すると(ステップS22−Yes)、制御部2のプレビュー生成部24がプレビュー画像を生成して表示部4に表示させる(ステップS23)。
【0062】
そして撮影部3による撮影を開始し(ステップS24)、制御部2が撮影部3により撮像された画像を取得する(ステップS25)。制御部2の画像解析部21は、取得した画像を解析し(ステップS26)、人の指先が検出されたか否かを判断する(ステップS27)。
ここで人の指先が検出されない場合には、画像解析部21は、検出位置の座標が記憶されているか否かを判別し(ステップS36)、記憶されていればその座標の記憶をクリアして(ステップS37)、ステップS25に戻って画像の取得を継続する。また検出位置の座標が記憶されていなければ(ステップS36−No)、そのままステップS25に戻る。
【0063】
ステップS27で人の指先が検出された場合、画像解析部21は、所定のジェスチャ判定対象空間領域に指先があるか否かを判断する(ステップS28)。ジェスチャ判定対象空間領域は、プレビュー画像よりも少し広い範囲上に設定することができる。
ここでジェスチャ判定対象空間領域内に指先がある場合、画像解析部21は、表示画面に垂直に2点の指先があるかどうかを判別する(ステップS29)。垂直か否かを判断する場合、2点を結ぶ線が表示画面の法線に対して所定範囲の角度以内で傾いている場合にも、表示画面に垂直であるとみなすことができる。
【0064】
上記ステップS28でジェスチャ判定領域内に指先が無い場合、及びステップS29で表示画面に垂直に2つの指先がない場合には、ステップS25に戻って撮像画像の取得を継続する。
また、ステップS29で、表示画面に垂直に2つの指先がある場合、ジェスチャ判断部22は、検出座標が既に記憶済みであるかを判断し(ステップS30)、記憶済みでなければ検出位置の座標を記憶する(ステップS38)。ステップS30で記憶済みの座標がある場合、またはステップS38で検出位置の座標を記憶した場合、ジェスチャ判断部22は、指先が所定長以上移動したか否かを判断する(ステップS31)。所定長以上の移動とは、2点の指先が3次元空間上でそれぞれ所定長さ以上移動した場合に該当するものとする。
【0065】
指先が所定長以上移動していれば(ステップS31−Yes)、ジェスチャ判断部22は、その所定長以上の移動が、所定長以上互いに接近するものであるかを判断する(ステップS32)。この場合、2点の指先の間隔が所定長以上短くなった場合に、所定長以上接近したものと判断することができる。
また、ステップS31で指先が所定長以上移動しない場合、またはステップS32で所定長以上互いに接近していない場合には、ステップS25に戻って撮像された画像の取得を継続する。
【0066】
ステップS32で指先が所定長以上互いに接近した場合、ジェスチャ判断部22は、指先のジェスチャが検出された領域が、そのジェスチャに対して1点ステープル処理の実行が設定されている例えば2つの領域のうち、第3の領域上の空間領域であるか否かを判別する(ステップS33)。第3の領域は、例えば図5に示す領域A2である。
第3の領域上の空間領域で所定のジェスチャが検出された場合には、記録紙の第3の領域に相当する所定位置に1点ステープルを設定し(ステップS34)、1点ステープル処理を行った状態のプレビュー画像を再表示させる(ステップS35)。
【0067】
また、ステップS33で所定のジェスチャが検出された領域が第3の領域上の空間領域ではない場合、1点ステープル処理の実行が設定されている他方の領域である第4の領域上の空間領域であるか否かを判別する(ステップS39)。第4の領域は、例えば図5に示す領域A4である。第4の領域上の空間領域で所定のジェスチャが検出された場合には、記録紙の第4の領域に相当する所定位置に1点ステープルを設定し(ステップS40)、1点ステープル処理を行った状態のプレビュー画像を再表示させる(ステップS35)。この後、ユーザは、プレビュー画像を確認した上で画像形成処理を実行させることで、画像形成され、かつプレビューされた位置に1点ステープル処理が施された記録紙を得ることができる。
【0068】
図9は、本発明に係る画像形成装置によるジェスチャ操作に応じた処理の更に他の例を説明するためのフローチャートで、図6で示す例でジェスチャ操作に応じた2点ステープル処理の設定フローを示すものである。ここでは図1の構成を参照しながら説明する。
まず画像形成装置10のスキャナ部1が原稿を読み取る(ステップS41)。そして読み取るべき全原稿の読み取りが完了すると(ステップS42−Yes)、制御部2のプレビュー生成部24がプレビュー画像を生成して表示部4に表示させる(ステップS43)。
【0069】
そして撮影部3による撮影を開始し(ステップS44)、制御部2が撮影部3により撮像された画像を取得する(ステップS45)。制御部2の画像解析部21は、取得した画像を解析し(ステップS46)、人の指先が検出されたか否かを判断する(ステップS47)。
ここで人の指先が検出されない場合には、画像解析部21は、検出位置の座標が記憶されているか否かを判別し(ステップS56)、記憶されていればその座標の記憶をクリアして(ステップS57)、ステップS45に戻って画像の取得を継続する。また検出位置の座標が記憶されていなければ(ステップS56−No)、そのままステップS45に戻る。
【0070】
ステップS47で人の指先が検出された場合、画像解析部21は、所定のジェスチャ判定対象空間領域に指先があるか否かを判断する(ステップS48)。ジェスチャ判定対象空間領域は、プレビュー画像よりも少し広い範囲上に設定することができる。
ここでジェスチャ判定対象空間領域内に指先がある場合、画像解析部21は、表示画面に垂直に3点の指先があるかどうかを判別する(ステップS49)。
【0071】
上記ステップS48でジェスチャ判定領域内に指先が無い場合、及びステップS49で3点の指先がない場合には、ステップS45に戻って撮像画像の取得を継続する。
また、ステップS49で、3点の指先がある場合、ジェスチャ判断部22は、検出座標が既に記憶済みであるかを判断し(ステップS50)、記憶済みでなければ検出位置の座標を記憶する(ステップS58)。ステップS50で記憶済みの座標がある場合、またはステップS58で検出位置の座標を記憶した場合、ジェスチャ判断部22は、指先が所定長以上移動したか否かを判断する(ステップS51)。所定長以上の移動とは、3点の指先が3次元空間上でそれぞれ所定長さ以上移動した場合に該当するものとする。
【0072】
指先が所定長以上移動していれば(ステップS51−Yes)、ジェスチャ判断部22は、その所定長以上の移動が、所定長以上互いに接近するものであるかを判断する(ステップS52)。この場合、3点の指先のそれぞれの間隔が所定長以上短くなった場合に、所定長以上接近したものと判断することができる。あるいは3点を結ぶ三角形の面積が所定以上小さくなったときに所定長接近したものとみなすことができる。
また、ステップS51で指先が所定長以上移動しない場合、またはステップS52で所定長以上互いに接近していない場合には、ステップS45に戻って撮像された画像の取得を継続する。
【0073】
ステップS52で指先が所定長以上互いに接近した場合、ジェスチャ判断部22は、指先のジェスチャが検出された領域が、そのジェスチャに対して2点ステープル処理の実行が設定されている例えば2つの領域のうち、第1の領域上の空間領域であるか否かを判別する(ステップS53)。第1の領域は、例えば図6に示す領域A1である。
第1の領域上の空間領域で所定のジェスチャが検出された場合には、記録紙の第1の領域に相当する所定位置に2点ステープルを設定し(ステップS54)、2点ステープル処理を行った状態のプレビュー画像を再表示させる(ステップS55)。
【0074】
また、ステップS53で所定のジェスチャが検出された領域が第1の領域上の空間領域ではない場合、2点ステープル処理の実行が設定されている他方の領域である第2の領域上の空間領域であるか否かを判別する(ステップS59)。第2の領域は、例えば図6に示す領域A3である。第2の領域上の空間領域で所定のジェスチャが検出された場合には、記録紙の第2の領域に相当する所定位置に2点ステープルを設定し(ステップS60)、2点ステープル処理を行った状態のプレビュー画像を再表示させる(ステップS55)。この後、ユーザは、プレビュー画像を確認した上で画像形成処理を実行させることで、画像形成され、かつプレビューされた位置に2点ステープル処理が施された記録紙を得ることができる。
【0075】
上記各実施形態の処理により、パンチやステープルなどの複数種類の処理のなかから、任意の処理を記録媒体の任意の位置に簡単な操作で施すことができるようにした画像形成装置を提供できる。
なお上記の各実施形態で記載されている技術的特徴(構成要件)は、お互いに組み合わせ可能であり、組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0076】
1…スキャナ部、2…制御部、3…撮影部、4…表示部、5…操作部、6…記憶部、7…画像形成部、10…画像形成装置、11…プラテンガラス、12…カバー、13…操作ボタン、21…画像解析部、22…ジェスチャ判断部、23…領域判定部、24…プレビュー生成部、41…表示部の全画面、42…プレビュー画像、43…パンチ、44…1点ステープル、45…2点ステープル、61…原稿画像記憶エリア、62…検出座標記憶エリア、63…処理設定記憶エリア、71…パンチ/ステープル実行部、100…指、101…指先、110…ジェスチャ判定対象空間領域、111,112,113,114…空間領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9