【文献】
冨田育義,主鎖型反応性有機金属ポリマーの設計とこれを経由する多彩なπ共役高分子の創製,有機合成化学協会誌,日本,2008年 5月,vol.66, No.5,436-443
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
[有機ヘテロ高分子]
前記式(1)又は(2)で表される繰り返し単位において、Mは、非共有電子対を有する元素(ヘテロ原子)であればよく、通常、周期表15族(又は5B族)元素(例えば、N、P、As、Sb、Bi)である。これらの元素Mのうち、P、As、Sb、Bi(特にP)が好ましい。
【0030】
R
1、R
2及びR
5で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−6アルキル基などが例示できる。好ましいアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状C
1−4アルキル基(例えば、C
1−2アルキル基)である。
【0031】
R
1、R
2及びR
5で表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのC
3−10シクロアルキル基などが例示できる。好ましいシクロアルキル基は、C
5−8シクロアルキル基である。
【0032】
R
1、R
2及びR
5で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC
1−4アルキル基が置換していてもよいC
6−12アリール基などが例示できる。好ましいアリール基は、フェニル基などのC
6−10アリール基である。
【0033】
R
1、R
2及びR
5で表されるヘテロアリール基としては、例えば、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含む5員複素環基(チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、フリル基など)、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含む6員複素環基(ピリジル基、ピラジル基など)、これらの5員又は6員複素環と芳香族炭化水素環(ベンゼン環など)との縮合環基(ベンゾチエニル基、インドリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフリル基、キノリル基、キノキサリニル基など)などが例示できる。
【0034】
なお、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を構成する環は、それぞれアルキル基(例えば、メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−4アルキル基)などの置換基を有していてもよい。
【0035】
R
2及びR
5で表されるアラルキル基としては、前記例示のアリール基とアルキル基とを組み合わせた基、例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC
6−10アリールC
1−4アルキル基などが例示できる。
【0036】
R
2及びR
5で表されるヘテロアリールアルキル基としては、前記例示のヘテロアリール基とアルキル基とを組み合わせた基、例えば、チエニルエチル基、フリルエチル基などの5員又は6員ヘテロアリールC
1−4アルキル基などが例示できる。
【0037】
Z
1で表される周期表16族元素としては、例えば、硫黄、セレン、テルルなどが例示できる。好ましい元素は、硫黄、セレンである。好ましい−Z
1−R
5基は、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−6アルキルチオ基、メチルセレノ基、エチルセレノ基、プロピルセレノ基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−6アルキルセレノ基などである。
【0038】
R
1及びR
2は、同一又は異なって、直鎖状又は分岐鎖状C
1−6アルキル基、C
6−12アリール基である場合が多く、特に、一方(例えば、R
1)がフェニル基などのC
6−10アリール基であり、他方(例えば、R
2)がメチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−4アルキル基(例えば、C
1−2アルキル基)であるのが好ましい。さらに、吸収を長波長側にシフトするとともに、バンドギャップ値を狭くして光電変換率を向上できる点から、R
1がフェニル基などのC
6−10アリール基であり、R
2が直鎖状又は分岐鎖状C
1−4アルキルチオ基(特に、メチルチオ基などのC
1−2アルキルチオ基)、直鎖状又は分岐鎖状C
1−4アルキルセレノ基(特に、メチルセレノ基などのC
1−2アルキルセレノ基)であるのが好ましい。
【0039】
R
3−で表されるアニオン(又は電子吸引性基)としては、電子受容性ドーパント(プロトン酸、ルイス酸など)に由来する1価のアニオンなどが例示できる。
【0040】
プロトン酸に由来するR
3としては、R
3aCO
2又はR
3aSO
3[式中、R
3aは、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−6アルキル基など)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基などの直鎖状又は分岐鎖状ハロC
1−6アルキル基など)、アリール基(ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基などの置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基などのC
6−12アリール基など)を示す]などが例示できる。これらのR
3のうち、R
3aSO
3が好ましい。なお、R
3aとしては、直鎖状又は分岐鎖状ハロC
1−6アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基などの直鎖状又は分岐鎖状フルオロC
1−6アルキル基)が好ましい。
【0041】
ルイス酸に由来するR
3としては、R
3b(X)
q[式中、R
3bは、例えば、周期表12族(又は2B族)元素(Znなど)、13族(又は3B族)元素(B、Alなど)、14族(又は4B族)元素(Snなど)又は15族(又は5B族)元素(P、As、Sbなど)を示し、Xは、ハロゲン原子(F、Cl、Brなど)を示し、qは2〜5の整数(例えば、3〜5の整数)である]などが例示できる。R
3bとしては、周期表13族元素(特にB)が好ましく、Xとしては、F、Cl(特にF)が好ましい。
【0042】
環Arで表される芳香族性環としては、前記と同様のアリール基及びヘテロアリール基に対応する芳香族環、フルオレン環、ビフェニル環、ビナフチル環などのビスアレーン環、ビピリジン環などのビスヘテロアレーン環などが例示できる。代表的な芳香族性環Arは、ベンゼン環、ナフタレン環などのC
6−12アレーン環(特に、C
6−10アレーン環)、チオフェン環、ピリジン環などの5員又は6員ヘテロアレーン環、フルオレン環、ビフェニル環、ビナフチル環などのビスアレーン環である。芳香族性環Arは、ベンゼン環、5員又は6員ヘテロアレーン環(チオフェン環など)、フルオレン環である場合が多い。
【0043】
R
4は溶媒可溶性を付与するのに有用である。R
4で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ウンデカニル基、ドデカニル基などの直鎖状又は分岐鎖状アルキル基などが例示できる。アルキル基は、通常、直鎖状又は分岐鎖状C
4−16アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C
6−14アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C
6−12アルキル基である。
【0044】
R
4で表されるアルコキシ基は、前記アルキル基に対応する直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、例えば、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C
4−16アルコキシ基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C
6−12アルコキシ基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C
6−10アルコキシ基である。
【0045】
R
4で表されるアルキルチオ基は、前記アルキル基に対応する直鎖状又は分岐鎖状アルキルチオ基、例えば、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基などの直鎖状又は分岐鎖状C
4−16アルキルチオ基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C
6−12アルキルチオ基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C
6−10アルキルチオ基である。
【0046】
pは0又は1〜3の整数を示し、通常、1〜3の整数(例えば、1又は2)である。
【0047】
環Arに対するR
4の置換位置は、特に制限されず、環Arの種類及び結合手の位置、R
4の置換数pに応じて選択でき、例えば、環Arがベンゼン環であるとき、R
4の置換位置は、2−,3−,4−,5−位のいずれであってもよく、2,3−、2,5−、2,6−位などの複数位置にR
4が置換していてもよい。チオフェン環では、3−位、3,4−位であってもよい。また、フルオレン環では9,9−位、1,1’−ビナフチル環では、2,2’−位などであってもよく、1,2’−ビナフチル環では、2,1’−位などであってもよい。
【0048】
好ましい環Arは置換基を有するベンゼン環、5〜6員ヘテロアレーン環又はフルオレン環であり、特に下記式(3a)で表される二置換ベンゼン環(1,4−フェニレン基)、下記式(3b)で表される一置換5員ヘテロアレーン環(2,4−ヘテロアリーレン基)、下記式(3c)で表される二置換フルオレン環(2,7−フルオレン−ジイル基)が好ましい。
【0050】
[式中、R
4a、R
4b、R
4c、R
4d及びR
4eは、それぞれ、直鎖状又は分岐鎖状C
4−12アルキル基、直鎖状又は分岐鎖状C
4−12アルコキシ基、又は直鎖状又は分岐鎖状C
4−12アルキルチオ基を示し、Z
2は酸素原子(O)、硫黄原子(S)又はNR
4f(R
4fは水素原子;メチル基、エチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−6アルキル基;又はアセチル基、プロピオニル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−6アルキル−カルボニル基を示す)である]。
【0051】
好ましいR
4a、R
4b、R
4c、R
4d及びR
4eは、前記置換基R
4のうち好ましいアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基である。R
4a、R
4b及びR
4cは、通常、炭素数6〜14(例えば、6〜12)程度のアルキル鎖を有している。なお、R
4a及びR
4bの置換位置は、2,3−位、2,5−位、2,6−位のいずれであってもよく、通常、2,5−位である場合が多い。
【0052】
環Arとしては、狭バンドギャップ特性の点から、特に式(3b)で表される一置換5員ヘテロアレーン環(2,4−チオフェンジイル基など)が好ましく、発光特性の点から、特に式(3c)で表される二置換フルオレン環(2,7−フルオレン−ジイル基)が好ましい。
【0053】
本発明の有機ヘテロ高分子は比較的分子量が大きいという特色がある。有機ヘテロ高分子(ドープ前の有機ヘテロ高分子など)の分子量は特に制限されないが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したとき、ポリスチレン換算で、数平均分子量が1×10
3〜1×10
5、好ましくは2.5×10
3〜5×10
4、さらに好ましくは3×10
3〜1×10
4(例えば、3×10
3〜7×10
3)程度であってもよい。
【0054】
なお、有機ヘテロ高分子は直鎖状である場合が多いものの、必要であれば分岐構造を有していてもよい。
【0055】
本発明の有機へテロ高分子は、ヘテロ元素核(典型金属や遷移金属元素などの元素核)を含む5員環構造と芳香族性環(アレーン環)とを主鎖に含み、共役系(π−共役系高分子)を形成している。また、主鎖骨格にヘテロ原子(ヘテロ金属原子)を含む5員環構造を形成しているため、自己凝集性を弱めると共に、芳香族性環を介して5員環構造を形成しているため、主鎖全体に有機−ヘテロ原子(ヘテロ金属原子)結合による特異な電子状態が維持されるためか、優れた半導体特性を有している。また、電子受容性ドーパントが脱ドープすることなく安定にドープされており、しかもドープ量が制御されており、デバイスに適用しても腐食などの問題が生じない。さらに、アルキル基などの側鎖を有する芳香族性環を導入できるため、溶解性を高めることもでき、溶媒可溶性を併せ持っている。そのため、塗布(コーティング)により容易に成膜できる。
【0056】
なお、成膜後、主鎖間でスタッキングするためか、分子間の電子移動も容易な構造膜が得られる。また、高分子中にアルキル鎖があったとしても、スタッキング方向(縦方向)に対してアルキル鎖が並行に並ぶためか、スタッキングを阻害することがない。そのためか、得られた膜は有機半導体として有効に機能する。
【0057】
[有機ヘテロ高分子の製造方法]
このような有機ヘテロ高分子は、Synthetic Metals, 159 (2009), 949-951又は有機合成化学協会誌Vol66 No5 2008に記載の方法に準じて合成できる。すなわち、有機ヘテロ高分子は、以下の反応工程式により調製できる。
【0059】
(式中、R
6はアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、Lは配位子を示し、mは0又は1であり、nは1以上の整数であり、M、R
1〜R
5、Z
1、環Ar、pは前記に同じ)
R
6で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−6アルキル基が例示できる。アルキル基R
6としては、分岐アルキル基、例えば、イソプロピル基などである場合が多い。Xで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子などが例示できる。
【0060】
例えば、前記式(4)で表されるジエチニルアレーン化合物と、低原子価チタン錯体(5)とを反応させ、式(6)で表されるチタナシクロペンタジエン骨格を有する高分子を生成できる。なお、低原子価チタン錯体(5)は、テトラアルコキシチタン(テトライソプロポキシチタン(Ti(OPr
i)
4)など)とアルキルマグネシウムハライド(イソプロピルマグネシウムクロリド(
iPrMgCl)など)とを反応させることにより生成できる。そのため、高分子(6)は式(4)で表されるジエチニルアレーン化合物とテトラアルコキシチタンとアルキルマグネシウムハライドとを反応させることにより生成させてもよい。なお、アルキルマグネシウムハライドの使用量は、テトラアルコキシチタンに対して、1.5〜2.5当量程度である。反応は、通常、不活性溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)中、不活性雰囲気(アルゴン気流など)下、−100℃〜−20℃(例えば、−80℃〜−40℃)程度の温度で行うことができる。
【0061】
なお、ジエチニルアレーン化合物(4)としては、例えば、1,4−ジエチニル−2,5−ジオクチルオキシベンゼン、1,4−ジエチニル−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンなどのジエチニルジアルコキシベンゼン;2,5−ジエチニル−3−ドデカニルチオフェンなどのジエチニルアルキルチオフェン;2,7−ジエチニル−9,9−ジオクチルフルオレンなどのジエチニルジアルキルフルオレン;6,6’−ジエチニル−2,2’−ジオクチルオキシ−1,1’−ビナフチルなどのジエチニルジオクチルオキシビナフチル、6,6’−ジエチニル−2,2’−ジオクチル−1,1’−ビナフチルなどのジエチニルジアルキルビナフチルなどが例示できる。
【0062】
高分子(6)と、式(7)で表されるジハロゲン化物(Xはハロゲン原子を示す。M、R
1は前記に同じ)との反応により、式(8)で表される高分子を得ることができる。式(7)で表されるジハロゲン化物としては、M及びR
1を有するジハロゲン化合物、例えば、アルキルジクロロホスフィン、アリールジクロロホスフィンなどのジクロロヘテロ化合物などが例示できる。
【0063】
上記反応において、式(7)で表されるハロゲン化物の使用量は、高分子(6)のチタン原子Tiに対して1〜2当量(例えば、1.1〜1.5当量)程度であってもよい。反応は、通常、不活性溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)中、不活性雰囲気(アルゴン気流など)下、−80℃〜30℃(例えば、−60℃〜室温)程度の温度で行うことができる。
【0064】
高分子(8)と、式(9)又は式(14)で表される電子受容性ドーパントとの反応により、式(10)又は式(15)で表される高分子を得ることができる。また、高分子(8)と式(11)で表される周期表16属元素の単体とを反応させて、式(12)で表される高分子を得た後、高分子(12)と式(9)で表される電子受容性ドーパントとの反応により、式(13)で表される高分子を得ることができる。
【0065】
式(9)で表されるドーパントは、R
5及びR
3を有するプロトン酸エステルである。前記プロトン酸としては、無機酸(硝酸、硫酸、リン酸など)であってもよいが、有機酸であるのが好ましい。有機酸としては、有機カルボン酸、有機スルホン酸などが例示できる。
【0066】
有機カルボン酸としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物(脂肪族、脂環族、芳香族、複素環式カルボン酸)、例えば、有機モノカルボン酸(アルカンカルボン酸、例えば、ギ酸やC
1−6アルカン−カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸など)など;アレーンカルボン酸、例えば、安息香酸などのC
6−12アレーン−カルボン酸など)、有機多価カルボン酸(アルカンポリカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸などのC
2−6アルカン−ジカルボン酸など;アルケンポリカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸などのC
2−6アルケン−ジカルボン酸など;アレーンポリカルボン酸、例えば、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ピロメリット酸などのC
6−12アレーン−ジ乃至テトラカルボン酸など)、ヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシアルカンカルボン酸、例えば、グリコール酸、乳酸、酒石酸、クエン酸などのヒドロキシC
1−6アルカン−カルボン酸など;ヒドロキシアレーンカルボン酸、例えば、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシC
6−12アレーン−カルボン酸など)などが挙げられる。
【0067】
有機スルホン酸としては、少なくとも1つのスルホ基(−SO
3H)を有する化合物(脂肪族、脂環族、芳香族、複素環式スルホン酸)、例えば、アルカンスルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸などのC
1−6アルカンスルホン酸)、ハロアルカンスルホン酸(トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸などのハロC
1−6アルカンスルホン酸)、アレーンスルホン酸(ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸(p−トルエンスルホン酸など)、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スチレンスルホン酸などのC
6−12アレーンスルホン酸など)が例示できる。
【0068】
ポリアニオンとしては、スルホ基(−SO
3H)、スルフィノ基(−SO
2H)又はカルボキシル基(−COOH)を有する高分子(オリゴマーを含む)が例示できる。ポリアニオンを形成する単量体としては、スルホ基を有する重合性単量体、例えば、アルケンスルホン酸(ビニルスルホン酸などのC
2−10アルケンスルホン酸、イソプレンスルホン酸などのC
4−10アルカジエンスルホン酸など)、スルホアルキル(メタ)アクリレート(スルホエチルメタクリレート、4−スルホブチルメタクリレートなどのスルホC
2−6アルキル(メタ)アクリレートなど)、ビニルアレーンスルホン酸(スチレンスルホン酸などのビニルC
6−12アレーンスルホン酸)、N−スルホアルキルアクリルアミド(N−スルホエチルアクリルアミドなどのN−スルホC
2−6アルキルアクリルアミドなど)などが例示できる。これらの単量体は、単独重合体又は二種以上組み合わせて共重合体を形成してもよい。また、前記単量体は、共重合性単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル系単量体、スチレンなどの芳香族ビニル単量体など)との共重合体を形成してもよい。代表的なポリアニオンは、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリスチレンスルホン酸などが例示でき、これらの共重合体も使用できる。これらのポリアニオンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0069】
ポリアニオンはオリゴマー又は高分子であってもよく、ポリアニオンの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、500〜100000、好ましくは1000〜50000、さらに好ましくは2500〜25000程度であってもよい。
【0070】
上記プロトン酸のエステルとしては、アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステルなどの直鎖状又は分岐鎖状C
1−4アルキルエステルなど)、シクロアルキルエステル(シクロヘキシルエステルなどのシクロC
5−8アルキルエステルなど)、アリールエステル(フェニルエステルなどのC
6−10アリールエステルなど)、アラルキルエステル(ベンジルエステル、フェネチルエステルなどのC
6−10アリールC
1−4アルキルエステルなど)、ヘテロアリールエステル(ピリジルエステル、チエニルエステルなどの5員又は6員ヘテロアリールエステル;キノリルエステル、ベンゾイミダゾリルエステルなどの縮合環式ヘテロアリールエステルなど)、ヘテロアリールアルキルエステル(チエニルエチルエステル、フリルエチルエステルなどの5員又は6員ヘテロアリールC
1−4アルキルエステルなど)などが例示できる。
【0071】
具体的には、有機カルボン酸エステル(アルコキシカルボニルエステル、シクロアルコキシカルボニルエステル、アリールオキシカルボニルエステル、アラルキルオキシカルボニルエステル、ヘテロアリールオキシカルボニルエステル、ヘテロアリールアルコキシカルボニルエステルなど)、有機スルホン酸エステル(上記カルボニルエステルに対応するスルホニルエステルなど)などが例示できる。なお、有機スルホン酸ヘテロアリールエステルには、例えば、下記式で表される化合物が含まれる。
【0073】
式(9)で表されるドーパントは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。式(9)で表されるドーパントとしては、有機スルホン酸エステル、例えば、ハロC
1−6アルカンスルホン酸(トリフルオロメタン酸などのフルオロC
1−6アルカンスルホン酸など)のアルキルエステル(メチルエステルなどのC
1−4アルキルエステルなど)が好ましい。
【0074】
式(14)で表されるドーパントは、少なくともR
3(例えば、R
3及びL)を有するルイス酸である。ルイス酸としては、周期表12族(又は2B族)元素(Znなど)、13族(又は3B族)元素(B、Alなど)、14族(又は4B族)元素(Snなど)、15族(又は5B族)元素(P、As、Sbなど)のハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物など)などが例示できる。上記元素のフッ化物としては、フッ化ホウ素(BF
3、BF
5など)、フッ化リン(PF
5など)、フッ化ヒ素(AsF
5など)、フッ化アンチモン(SbF
5など)などが例示できる。また、上記元素の塩化物としては、塩化亜鉛(ZnCl
2など)、塩化ホウ素(BCl
5など)、塩化アルミニウム(AlCl
3など)、塩化錫(SnCl
2など)などが例示できる。上記元素の臭化物としては、臭化ホウ素(BBr
3など)、臭化リン(PBr
3など)などが例示できる。これらのハロゲン化物は、Lで表される配位子とともに錯体を形成してもよい。配位子Lとしては、慣用の配位子、例えば、アルキルエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのC
1−4アルキルエーテルなど)、環状エーテル(テトラヒドロフランなど)などが挙げられる。
【0075】
式(14)で表されるドーパントは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。式(14)で表されるドーパントとしては、安定にドープでき、しかもドープ量を制御できる点から、室温で固体又は液体のドーパント、例えば、ハロゲン化ホウ素(BF
3など)の錯体(ジエチルエーテルなどのC
1−4アルキルエーテルの錯体など)が好ましい。
【0076】
上記反応において、式(9)又は式(14)で表される電子受容性ドーパントの使用量は、高分子(8)のヘテロ原子Mに対して、例えば、1〜2当量、好ましくは1.1〜1.8当量、さらに好ましくは1.1〜1.5当量程度である。
【0077】
なお、式(9)で表されるドーパントと反応させる前に、高分子(8)を式(11)で表される周期表16属元素の単体と反応させる場合、周期表16属元素の単体の使用量は、高分子(8)のヘテロ原子Mに対して、例えば、1〜2当量、好ましくは1.1〜1.8当量、さらに好ましくは1.1〜1.5当量程度である。
【0078】
高分子(8)は、有機溶媒に対する溶解性を有する。そのため、上記反応は、有機溶媒(後述の有機溶媒、例えば、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類など)の存在下で行ってもよい。有機溶媒の存在下で反応させると、ドープ量を制御でき、過剰にドーパントが取り込まれることなく、デバイスに適用しても腐食などの問題が生じない。有機溶媒の使用量は、高分子(8)1重量部に対して、1〜500重量部程度の範囲から選択でき、例えば、10〜400重量部、好ましくは20〜300重量部、さらに好ましくは50〜200重量部程度である。
【0079】
上記反応は、通常、不活性雰囲気(アルゴン気流など)下、室温(例えば、10〜30℃程度)で行うことができる。
【0080】
反応終了後、慣用の分離精製方法、例えば、濃縮、デカント、再沈殿、クロマトグラフィなどにより所定の有機ヘテロ高分子を得ることができる。
【0081】
[有機ヘテロ高分子の用途]
有機ヘテロ高分子は、芳香族性環と、ヘテロ原子を含む5員環単位とで共役系(π−共役系)を形成しており、かつ電子受容性ドーパントがドープされており、極めて電子移動度が高く、半導体特性を有している。しかも、アルキル鎖を導入した有機へテロ高分子は、有機溶媒に対する溶解性に優れ、かつ高い半導体特性を示すという特色がある。そのため、本発明は有機へテロ高分子と有機溶媒とを含む組成物も包含し、この組成物は、有機半導体、特にコーティング(塗布)などにより有機半導体の薄膜を形成するのに有用である。
【0082】
有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエタンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、ピロリドン類(例えば、2−ピロリドン、3−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなど)などが例示できる。これらの有機溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
【0083】
溶媒の使用量は、塗布性及び成膜性を損なわない範囲から選択でき、例えば、有機へテロ高分子の濃度は、0.01〜30重量%、好ましくは0.05〜20重量%(例えば、0.1〜10重量%)程度であってもよい。
【0084】
有機半導体は、基材又は基板(ガラス板、シリコンウエハー、耐熱プラスチックフィルムなど)に前記組成物を塗布する工程と、塗膜を乾燥して溶媒を除去する工程とを経て製造してもよい。なお、塗布方法としては、慣用の塗布方法、例えば、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレー法、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などが例示できる。
【0085】
有機半導体の厚みは、用途に応じて適宜選択され、例えば、1〜5000nm、好ましくは30〜1000nm、さらに好ましくは50〜500nm程度であってもよい。
【0086】
本発明の有機半導体はn型半導体、p型半導体であってもよく、真性半導体であってもよい。本発明の有機半導体は、光電変換能を有し、例えば、光吸収により発生した電子及びホールの移動度を高め、光電変換率を向上できる。そのため、本発明の有機半導体は、光電変換デバイス又は光電変換素子(太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子など)、整流素子(ダイオード)、スイッチング素子又はトランジスタ[トップゲート型、ボトムゲート型(トップコンタクト型、ボトムコンタクト型)など]などの用途に適する。
【0087】
代表的なデバイスとして、太陽電池は、pn接合型半導体に表面電極が積層された構造を有している。例えば、p型シリコン半導体に有機半導体膜を積層して、この有機半導体膜に透明電極(ITO電極など)を積層することにより、太陽電池を形成できる。このような太陽電池では、高い開放電圧及び短絡電流を得ることができる。
【0088】
また、有機ELは、透明電極(ITO電極など)に、有機ヘテロ高分子(発光性高分子)に必要に応じて電子輸送性材料、ホール輸送性材料を分散させた発光層を形成し、この発光層に電極(金属電極など)を積層した構造が例示できる。
【0089】
さらに、有機薄膜トランジスタは、ゲート電極層と、ゲート絶縁層と、ソース/ドレイン電極層と、有機半導体層とで構成されている。これらの層の積層構造によって、有機薄膜トランジスタは、トップゲート型、ボトムゲート型(トップコンタクト型、ボトムコンタクト型)に分類できる。例えば、ゲート電極(酸化膜が形成されたp型シリコンウエハーなど)に有機半導体膜を形成して、この有機半導体膜上にソース・ドレイン電極(金電極)を形成することにより、トップコンタクト型電界効果トランジスタを製造できる。
【実施例】
【0090】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0091】
なお、実施例において、ジエチルエーテルはナトリウムで乾燥後、窒素雰囲気下又は気流下で蒸留して用いた。塩化メチレンは五酸化二リンで乾燥後、窒素雰囲気下又は気流下で蒸留して用いた。テトライソプロポキシチタン(Ti(OPr
i)
4)及びフェニルジクロロホスフィンは減圧蒸留により精製した。
【0092】
[数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算で測定した。
【0093】
[表面抵抗]
実施例
、参考例及び比較例のポリマー7mgを塩化メチレン10gに溶解させた後、孔径0.2μmのフィルターでろ過して0.07重量%の塗布液を調製した。この塗布液をガラス基板にスピンコートし、薄膜を形成した。得られた薄膜の表面抵抗を、抵抗率計(三菱化学(株)製、「MCP−HT450」)を用いて測定した。
【0094】
[λmax及びλonset並びにバンドギャップ]
実施例
、参考例及び比較例のポリマーの塩化メチレン溶液(濃度:1mg/ml)を用いて、紫外−可視吸収スペクトル測定を行い、λmax及びλonsetを測定した。なお、λmaxは最大吸収波長(nm)、λonsetは長波長側の吸収端(nm)を意味する。バンドギャップ(BG,eV)は、紫外−可視吸収スペクトルのλonsetから以下の式を用いて算出した。
【0095】
E=hc/eλ
(式中、Eは電子ボルト(eV)、hはプランク定数(J・s)、cは光の速度(m/s)、eは素電荷(C)、λはλonset波長(nm)を示す)
[HOMO及びLUMO]
サイクリックボルタンメトリー法により酸化還元電位測定を行い、HOMO及びLUMOエネルギー準位を測定した。
【0096】
比較例1
【0097】
【化6】
【0098】
(式中、R
4は2−エチルヘキシル基を示す)。
【0099】
上記式(8a)で表される繰り返し単位を有する高分子は、前駆体である有機チタン高分子を有機合成化学協会誌Vol66 No5 2008に記載の方法に準じて合成した。すなわち、アルゴン雰囲気下、1,4−ジエチニル−2,5−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼン(0.191g、0.5mmol)及びテトライソプロポキシチタン(Ti(OPr
i)
4)(0.198g、0.7mmol)をジエチルエーテル(20ml)に溶解し、この溶液を−78℃で攪拌しつつ、イソプロピルマグネシウムクロリド(
iPrMgCl)のジエチルエーテル溶液(1.0N、1.25ml、1.25mmol)を添加し、−50℃まで昇温し12時間攪拌し、この温度でフェニルジクロロホスフィン(0.107g、0.6mmol)を加え、室温までゆっくりと昇温し3時間攪拌した。溶媒を留去後、塩化メチレンに溶解しエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)水溶液(1.0N、50ml)を加えて2時間攪拌し、未反応チタンを取り除いた。その後、有機層を回収し硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去後、少量の塩化メチレンに溶解し、ヘキサンへ注入して再沈殿し、赤紫色のポリマー(8a)を収率50%で得た。
【0100】
参考例1
【0101】
【化7】
【0102】
(式中、R
4は2−エチルヘキシル基を示す)。
【0103】
アルゴン雰囲気下、比較例1で得られたポリマー(8a)(0.049g,0.100mmolユニット)を塩化メチレン(5.0ml)に溶解し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.017g,0.120mmol)の塩化メチレン(1.0ml)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、ヘキサンに再沈殿することで、青色のポリマー(15a)を収率92%(0.052g,0.092mmol)で得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm)0.86−0.91(12H,−C
H3),1.19−1.79(18H,−OCH
2C
H(C
H2CH
3)C
H2C
H2C
H2CH
3),3.47−3.54(br,4H,−OC
H2−),6.91−8.21(aromatic,9H)
31P−NMR(122MHz,CDCl
3,ppm)57.3ppm。
【0104】
参考例2
【0105】
【化8】
【0106】
(式中、R
4は2−エチルヘキシル基を示す)。
【0107】
アルゴン雰囲気下、比較例1で得られたポリマー(8a)(0.049g,0.100mmolユニット)を塩化メチレン(5.0ml)に溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(0.020g,0.120mmol)の塩化メチレン(1.0ml)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、ヘキサンに再沈殿することで、ポリマー(10a)を収率90%(0.059g,0.090mmol)で得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm)0.86−1.04(12H,−C
H3),1.19−1.52(18H,−OCH
2C
H(C
H2CH
3)C
H2C
H2C
H2CH
3),3.45−3.52(br,4H,−OC
H2−),7.01−8.11(aromatic,9H)
31P−NMR(122MHz,CDCl
3,ppm)39.9ppm。
【0108】
比較例2
【0109】
【化9】
【0110】
1,4−ジエチニル−2,5−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンに代えて、2,5−ジエチニル−3−ドデカニルチオフェン(0.133g、0.5mmol)を用いた以外は、比較例1と同様に操作して、赤黒色のポリマー(8b)を収率45%で得た。
Mn(Mw/Mn)=3000(1.4)
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm)0.70〜0.90(br,3H,−C
H3),1.00〜1.35(18H,−C
H2−),1.40〜1.60(2H,Ar−CH
2−C
H2−),2.20〜2.60(br,2H,Ar−C
H2−),6.84(s,1H,aromatic),7.14(7H,aromatic)
31P−NMR(121MHz,CDCl
3,ppm):6.69ppm
IR(ATR,cm
−1):2961,2921,2851,2361,1456,1436,1416,1259,1092,1020,795,742,691。
【0111】
実施例3
【0112】
【化10】
【0113】
アルゴン雰囲気下、比較例2で得られたポリマー(8b)(0.041g,0.100mmolユニット)を塩化メチレン(5.0ml)に溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(0.020g,0.120mmol)の塩化メチレン(1.0ml)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、ヘキサンに再沈殿することで、青色のポリマー(10b)を収率83%(0.059g,0.090mmol)で得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm)0.60〜0.90(br,3H,−CH
3),0.90〜1.35(18H,−CH
2−),1.23〜1.35(br,2H,Ar−CH
2−C
H2−),2.20〜2.60(br,2H,Ar−CH
2−),6.84(s,1H,aromatic),7.42(br,7H,aromatic)
31P−NMR(121MHz,CDCl
3,ppm):38.7。
【0114】
比較例3
【0115】
【化11】
【0116】
(式中、R
4はオクチル基を示す)。
【0117】
1,4−ジエチニル−2,5−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンに代えて、2,7−ジエチニル−9,9−ジオクチルフルオレン(0.219g、0.500mmol)を用いた以外は、比較例1と同様に操作して、ポリマー(8c)を収率81%で得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm)0.10〜2.78(34H,−CH
2−C
7H
15),6.86〜8.20(13H,aromatic)
31P−NMR(121MHz,CDCl
3,ppm):4.07ppm。
【0118】
参考例4
【0119】
【化12】
【0120】
(式中、R
4はオクチル基を示す)。
【0121】
アルゴン雰囲気下、比較例3で得られたポリマー(8c)(0.055g,0.100mmolユニット)を塩化メチレン(5.0ml)に溶解し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.017g,0.120mmol)の塩化メチレン(1.0ml)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、ヘキサンに再沈殿することで、赤色のポリマー(15b)を収率93%で得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm)0.46〜2.90(34H,−CH
2−C
7H
15),7.31〜7.88(13H,aromatic)
31P−NMR(121MHz,CDCl
3,ppm):52.7ppm。
【0122】
参考例5
【0123】
【化13】
【0124】
(式中、R
4は2−エチルヘキシル基を示す)。
【0125】
アルゴン雰囲気下、比較例1で得られたポリマー(8a)(0.049g,0.100mmolユニット)をテトラヒドロフラン(5.0ml)に溶解し、セレン(0.009g,0.12mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応終了後、不溶物を濾別し、濾液をヘキサンに再沈殿することで、青紫色のポリマー(12a)を収率90%(0.051g)で得た。
Mn(Mw/Mn)=5500(1.6)
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm)0.85−0.94(12H,−C
H3),1.19−1.60(18H,−OCH
2C
H(C
H2CH
3)C
H2C
H2C
H2CH
3),3.36−3.75(br,4H,−OC
H2−),6.91−7.90(aromatic,9H)
31P−NMR(122MHz,CDCl
3,ppm)40.9ppm
IR(ATR,cm
−1)2961,2928,2853,1411,1258,1086,1015,864,794,701,661
【0126】
【化14】
【0127】
続いて、アルゴン雰囲気下、ポリマー(12a)(0.051g,0.090mmolユニット)を塩化メチレン(5.0ml)に溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(0.018g,0.108mmol)の塩化メチレン(1.0ml)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、ヘキサンに再沈殿することで、青色のポリマー(13b)を収率95%(0.043g,0.086mmol)で得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm)0.96−1.16(12H,−C
H3),1.19−1.68(18H,−OCH
2C
H(C
H2CH
3)C
H2C
H2C
H2CH
3),3.58−3.65(br,4H,−OC
H2−),7.13−8.23(aromatic,9H)
31P−NMR(122MHz,CDCl
3,ppm)47.4ppm。
【0128】
参考例6
【0129】
【化15】
【0130】
(式中、R
4は2−エチルヘキシル基を示す)。
【0131】
アルゴン雰囲気下、比較例1で得られたポリマー(8a)(0.049g,0.100mmolユニット)をテトラヒドロフラン(5.0ml)に溶解し、硫黄(0.004g,0.12mmol)を加え、室温で48時間攪拌した。反応終了後、不溶物を濾別し、濾液をヘキサンに再沈殿することで、青紫色のポリマー(12b)を収率87%(0.046g)で得た。
Mn(Mw/Mn)=5000(1.6)
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm)0.91−1.21(12H,−C
H3),1.24−1.68(18H,−OCH
2C
H(C
H2CH
3)C
H2C
H2C
H2CH
3),3.47−3.80(br,4H,−OC
H2−),6.60−7.95(aromatic,9H)
31P−NMR(122MHz,CDCl
3,ppm)54.0ppm
IR(ATR,cm
−1)2960,2924,2852,1464,1436,1259,1091,1016,798,744,719,691。
【0132】
【化16】
【0133】
続いて、アルゴン雰囲気下、ポリマー(12b)(0.046g,0.087mmolユニット)を塩化メチレン(5.0ml)に溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(0.017g,0.104mmol)の塩化メチレン(1.0ml)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、ヘキサンに再沈殿することで、青色のポリマー(13b)を収率92%(0.037g,0.080mmol)で得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm)0.89−1.20(12H,−C
H3),1.25−1.59(18H,−OCH
2C
H(C
H2CH
3)C
H2C
H2C
H2CH
3),3.55−3.69(br,4H,−OC
H2−),7.21−8.31(aromatic,9H)
31P−NMR(122MHz,CDCl
3,ppm)58.7ppm。
【0134】
実施例7
【0135】
【化17】
【0136】
アルゴン雰囲気下、比較例2で得られたポリマー(8b)(0.041g,0.100mmolユニット)をテトラヒドロフラン(5.0ml)に溶解し、セレン(0.009g,0.12mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応終了後、不溶物を濾別し、濾液をヘキサンに再沈殿することで、青黒色のポリマー(12c)を収率93%(0.046g)で得た。
Mn(Mw/Mn)=4500(1.4)
1H−NMR(300MHz,CDCl
3,ppm):0.80−1.11(br,3H,−CH
3),1.35(br,18H,−CH
2−),1.75−1.78(br,2H,Ar−CH
2−C
H2−),2.4−2.8(br,2H,Ar−CH
2−),6.98(s,1H,aromatic),6.58−7.86(br,7H,aromatic)
31P−NMR(121MHz,CDCl
3,ppm):40.9ppm
IR(ATR,cm
−1):2961,2922,2851,1462,1436,1258,1089,1016,794。
【0137】
【化18】
【0138】
続いて、アルゴン雰囲気下、ポリマー(12c)(0.046g,0.093mmolユニット)を塩化メチレン(5.0ml)に溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(0.019g,0.111mmol)の塩化メチレン(1.0ml)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、ヘキサンに再沈殿することで、青色のポリマー(13c)を収率90%(0.056g,0.084mmol)で得た。
1H−NMR(300 MHz,CDCl
3,ppm):0.92−1.22(br,3H,−CH
3),1.46(br,18H,−CH
2−),1.89−1.92(br,2H,Ar−CH
2−C
H2−),2.9−3.5(br,2H,Ar−CH
2−),7.19(s,1H,aromatic),7.66−8.34(br,7H,aromatic)
31P−NMR(122MHz,CDCl
3,ppm)47.9ppm
【0139】
【表1】
【0140】
表1から明らかなように、比較例に比較して、実施例の高分子は、表面抵抗が小さく、高いキャリア移動度を有するとともに、LUMOエネルギー準位が低く、狭バンドギャップ特性を示す。また、比較例3の高分子に三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を接触させると蛍光がクエンチするため、化学センサーなどに利用できる。