(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
当該流体混入システムは、さらに希釈タンクを備え、前記希釈タンクは希釈溶液を貯え、かつ分注するよう形状が決められており、前記希釈タンクは、前記流路からの流体と前記出口接続部から分注された溶液とが連通している、請求項1に記載の流体混入システム。
前記供給タンクおよび前記出口接続部は前記流路および/または前記希釈タンクよりも高く配置され、前記出口接続部は重力によって、溶液を前記流路または前記対象へ分注するよう形状が決められている、請求項2に記載の流体混入システム。
前記供給タンクは、前記出口接続部に製品が入り込むのを防ぐように形状が決められている、該供給タンクの底面に配置されるフィルターを備え、前記フィルターは、前記供給タンク内の前記フィルターへと延びる越流管を備え、前記フィルターの主軸線、前記越流管の主軸線、および供給タンクの主軸線は互いに平行である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体混入システム。
前記ノズル手段の流量を制御、調整、調節、および常時監視し、および溶液、希釈溶液、および/または流路からの流体の分注および分注時間を、制御、調整、調節、および常時監視するようプログラムされた制御盤をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の流体混入システム。
製品溶解度、製品重量、溶液の濃度、希釈溶液の濃度、流量、灌漑地の液面位、流体の温度、溶液の温度、溶液または希釈溶液の電気伝導度、およびこれらの組み合わせの内、少なくとも1つの要素を検知するよう設計された、少なくとも1つのセンサー手段を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の流体混入システム。
【背景技術】
【0002】
灌水を用いて溶かした養分を作物に供給する方法は、ファーティゲーションとして知られている。ファーティゲーション・システムは、施肥と灌水を組み合わせるために構築されており、特定の作物や、植物に供給される雨などの水が十分ではない場合に、特に重要である。ファーティゲーション・システムにおいて、差圧やポンプ混入などの様々な方法を通じ灌水ネットワークに肥料などの養分を送り込む。
【0003】
バイパス肥料タンクは、灌水システムの水圧により駆動し、外部電源がなくても駆動する。差圧は、灌水ライン本管の圧力制御によって発生する。差圧は、水がバイパス管を通じ養分を含む貯槽へと送り込み、その貯槽から様々な量の溶けた養分を送り出す。このシステムは、固体の肥料を充填するようになっており、固体の肥料を事前に溶解する手間が省ける。このシステムの貯槽は、灌水管へ溶けた養分を送り出すのに差圧を利用するので、耐圧性を要する。したがって、耐腐食性塗装を施した鋳鉄またはステンレスのタンクが貯槽に通常使われ、故に費用が高くなってしまう。このシステムは簡単に取り付け、操作ができるが、養分濃度が灌水時間の経過に伴い薄まることなどにより、農地へ供給される養分は不正確で量的施用となる。
【0004】
ベンチュリ管も、灌水システムの水圧で駆動し、外部電源がなくても駆動する。ベンチュリ管による吸引は、通過する水の流れを絞り、流速を増加させて負圧を発生させる機構であり、開放貯槽から狭窄部に装着された管を通じ養液を吸い上げる。このシステムは、液体の肥料を充填するようになっており、固体の肥料を事前に溶解する手間を要する。農地へ施用されることになる養液の吸引量は、本管の水圧に依存する。
【0005】
ポンプ混入法は、電動または水圧駆動ポンプを用い、養液を開放貯槽から灌水ネットワークに混入するのに使われる。このシステムは、液体の肥料を充填するようになっており、固体の肥料を事前に溶解する手間を要する。これらのシステムは、農地へ養分の比例施用ができる一方、多くの磨耗・摩擦しやすい可動部品から構成される複雑な構造を持ち、電動ポンプは外部電源を要する。
【0006】
自動給液システムは、電力が利用でき、高灌水頻度、正確な給液、複数養液、養分間比率固定が求められる温室で使われる。このシステムは、一般的に、ソレノイドバルブ制御の複数のベンチュリ管、ブースターポンプ、ECセンサー、pHセンサーおよび制御盤という不可欠な部品で構成されている。このシステムは非常に高価で、一般的に電力の利用できない露地および樹園地では使用されない。加えて、このシステムは風雨にさらされる状況には適していない。普通、このシステムは、給液のために液体の肥料を要する。
【0007】
米国特許出願公開第2012/0195805号明細書は、固体肥料の溶解と灌水へと分注されることになる、その溶かされた肥料の濃度を調整するシステムに関して説明している。このシステムは、上述の自動給液システムの改善点を示し得るが、上述の欠点は特に克服されていない。
【0008】
国際公開第2014/108501号も、固体肥料の溶解と灌水へと分注されることになる、その溶かされた肥料の濃度を調整するシステムに関して説明している。このシステムは、上述のバイパス肥料タンクの改善点を示し得る。しかし、費用のかさむ材料が耐圧構造上必要になることに変わりはない。
【0009】
ファーティゲーションに用いられる、従来の流体混入システムおよび方法では、特に1つのタンク内に2種類以上の肥料が混ぜられると、タンク内に沈殿が発生することがある。混合された肥料の一部が、一旦水に溶けると互いに反応し、異なった割合で溶液から沈殿し、それが不溶解分となる。流体混入システムにおける、貯槽中の沈殿は、設備の目詰まり、灌水効率の低下、養分の歩留まりおよび質の低下をもたらす上、作物への不均質な肥料配分状況を作り出す。
【0010】
従来の流体混入システムは利点と欠点を有するが、特に電力が利用できなく、風雨にさらされ、かつ固体肥料の充填が望ましい環境において、農地への正確な養分供給の用に供する安価で簡便なシステムは存在しない。大抵の農地では、そのような環境が一般的である。可動部品が少なければ少ないほど、流体混入システムはより堅牢で、より維持に手がかからなくなる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の1つの実施形態において、溶液を分注するための流体混入システムが実現される。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、本発明による流体混入システムは、分注されることになる製品を内包する供給タンク、流路からノズル手段へと水の流れをそらせるための入口接続部、および溶液を分注するための出口接続部を備え、前記ノズル手段は供給タンクと前記供給タンクへと流体を導くための入口接続部に連通し、前記ノズル手段はある温度における製品の溶解度、分注されることになる製品の重量、および分注時間の諸特性に基づいて予め定められた流量の流体を供給タンクへと導くために、設計され、形状が決められ、プログラムされ、および/または制御される。
【0027】
ここで使用される用語「類似溶解度」、「類似製品」、または「類似肥料」などは、2つ以上の製品を指すもので、ある所定の温度におけるそれらの溶解度の差が10%以下であるもの。例えば、表1を参照すると、20度のMAPの溶解度は295g/l、KClの溶解度は310g/lであり、したがって、MAPおよびKClは類似製品であると考えられる。
【0028】
用語「異なる」、「異なる肥料」、または「異なる製品」などは、上記で定義したように類似ではない肥料を指す。
【0029】
ここで使用される用語「溶液」は、1つの液状媒体または水などの1つ溶媒の中に溶解している、製品または2つ以上の類似製品に関する。
【0030】
ここで使用される用語「実質的に飽和している」は、溶解された製品が溶解度の近くにある状態の溶液を指す。もちろん、この用語は、温度などの特定の物理的条件下で、溶媒の中に溶け得るだけ多くの2つ以上の製品の混合物をも指す。「実質的に飽和している」は、したがって、定義された物理環境下で、溶解された製品および溶解された2つ以上の製品の混合物が溶け得るだけ多く溶かされた後、溶解された製品および溶解された2つ以上の製品の混合物が溶液から沈殿し始める直前の溶液の状態とみなす。「実質的に飽和している」とは、製品または製品の混合物の溶解度の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上に達していることを意味する。
【0031】
ここで使用される用語「製品」とは、2つ以上の製品の混合物または配合品を含んでもよい。本発明における製品は、肥料、殺虫剤、湿潤剤、または他の植物成長、植物健康、植物増殖、または植物発育の増進剤、ミネラル、化学品、塩、またはこれらの任意の組み合わせから、選択できる。肥料は、特に窒素、リン酸、またはカリウムなどの多量要素の内どれかを含む水溶性肥料から選択することができる。1つの実施形態において、本発明の肥料とは、尿素、硫酸アンモニウム(AS)、リン酸一アンモニウム(MAP)、リン酸二アンモニウム(DAP)、リン酸一カリウム(MKP)、magphos、硝酸アンモニウム、塩化カリウム(KCl)、硫酸カリウム、および硝酸カリウムなどの可溶性肥料である。本発明の「製品」または「複数製品」は、対象の処置に使用される固体、粉体、顆粒、および/またはた錠剤を指す。例えば、供給タンク内に充填された本発明の製品は、肥料の濃厚原液でない。供給タンクに液体肥料をセットするということは、輸送する肥料の量が増え、より大きな供給タンクが必要となるという欠点を有する。
【0032】
ここで使用される用語「対象」、「対象群」などは、生きている、または成長している、米、低木、雑草、菌類、および虫類などの草木、群葉、木、植物、作物を指す。加えて、ここで用語「対象」は、灌漑地を含む。1つの実施形態において、対象は水田であり、1つの具体例としては、0.3〜1.5haの水田である。
【0033】
ここで使用される用語「対象の処置」、「対象を処置する」などは、成長または収量の促進、施肥、養分供給、害虫駆除、農薬、除草剤、殺虫剤、殺菌剤(菌類および細菌)散布、および外観の改善または改変を含む。
【0034】
ここで使用される用語「水溶性」とは、温度などの所与の物理環境下で所定の量の水に溶けることのできる製品に関する。一般的には、用語「水溶性」とは、一部または完全に溶ける形状に関する。例えば、製品または類似製品の混合物(例えば肥料)が溶けた形で存在している時、80%以上の量が溶けている、好ましくは90%以上が溶けている、最も望ましくは99%以上が溶けている製品である。場合によっては、製品または製品の混合物は、100%溶ける。
【0035】
用語「連通」は、直接または間接に他の物質と通じている物理的接続、またはシステムの一部と別の部分の間の層を含む。例えば、本発明の入口接続部とノズル手段は、互いに連通するよう設計されている。
【0036】
ここで使用される用語「溶解度」とは、所与の温度で所定量の水のような流体に溶けることのできる、本発明における製品の最大量を指す。例えば、製品の溶解度の尺度は、100gの特定の溶媒の中に、飽和水溶液をもたらすのに製品何グラムが溶け得るかである。
【0037】
用語「比例」は、ファーティゲーションをする際の特定の方法に関する。灌水量と肥料溶液量の間の予め定められた一定の比率が、ファーティゲーション時間内に維持され、灌水中の一定養分濃度をもたらす。
【0038】
用語「量的」は、ファーティゲーションをする際のもう一つの特定の方法に関する。この方法では、予め定められた量の肥料が流体の流れる本管へ混入される。灌水量と混入される予め定められた量の肥料の比率は、変化し得るので、水の中の養分濃度はファーティゲーション時間内に変動し得る。
【0039】
用語「養分間比率固定」は、予め定められた比率で、分注されることになる複数の養液に関する。灌水量と2つ以上の養液量の間の比率が、一定の水準で維持される時、「養分間比率固定」が得られる。
【0040】
ここで使用される用語「流量」は、本発明による、事前に選択した定流量を時間内に維持するために、プログラムされ、制御され、設計され、または形状が決められているノズル手段の能力を含み、そのノズル手段は、流量増減の偏差は上下に1〜10%というような比較的小さな偏差を持つものである。例えば、毎時10リットルの流量というのは、10の上下10%、つまり、毎時9リットルから11リットルを含む。事前に選択した定流量は、ある温度における製品の溶解度、分注されることになる、または供給タンクに溶かされることになる製品の重量、および分注時間の諸特性に基づいて決定される。
【0041】
用語「分注時間」、「稼働時間」、「灌水時間」、「ファーティゲーション時間」などは、ほとんど同じ意味で使われ、供給タンクから溶液を分注する、指定された期間を指し、特に供給タンクから流路または対象へ、希釈溶液を希釈タンクから対象へ、または対象へと流れる流体に合流または分流した溶液を分注する、指定された期間。例えば、1つの実施形態において、本発明の分注時間は、2〜4時間である。
【0042】
ここで使用される用語「ノズル手段」とは、1つ、または2つ以上の噴出、散水、または噴霧システムおよび装置などの任意の流体放出手段(例えば、装置)を指す。
【0043】
本発明のノズル手段は、ある温度における製品の溶解度、分注されることになる、または供給タンクに溶かされることになる製品の重量、および分注時間の諸特性に基づき、プログラムされ、設計され、形状が決められ、常時監視され、制御され、および/または調節されている。それによって、本発明の流体混入システムの利用者は、実質的に飽和している製品溶液を分注し続けるのに必要な分注時間、および/または製品の量(例えば、重量)を予測することができる。
【0044】
さらなる実施形態では、ノズル手段(例えば、定流量フォガーまたは同等品)は、流体(例えば、予め定められた流量の細霧または水滴)を流路から製品(例えば、供給タンクに充填された固体の水溶性肥料、または2つ以上の類似水溶性肥料の混合物)の上に吐出する。1つの実施形態では、ノズル手段は流路の流体(例えば、水)の圧力で駆動する。
【0045】
さらなる実施形態では、本発明のノズル手段の流量は、システムの稼働時間中、特にファーティゲーション時間中、プログラムされ、設計され、形状が決められ、常時監視され、制御され、および/または調節されている。例えば、製品の溶解度は、稼働時間中のpH、流体の温度、および気温の変化などの、様々な要素で変わる。そのような場合、ノズル手段の流量は、製品の溶解度の変化に応じて調整される。さらなる実施形態では、製品の上に注がれる前に前記流量は予め設定される。
【0046】
1つの実施形態では、前述の実施形態の内いずれかに該当する、本発明のノズル手段は、等式1で決定される流量を持つように、プログラムされ、常時監視され、制御され、設計され、および/または形状が決められている。
等式1 F=(W)/(T×S)
前記Fは、ノズル手段の流量;
前記Wは、供給タンク内の製品重量、または溶解されることになる製品重量;
前記Tは、分注時間;
および、前記Sは、ある温度における製品の溶解度。
【0047】
例えば、20度において754g/L(S)の溶解度を持つ硫酸アンモニウム50kg(W)が、供給タンクに充填されている。希望ファーティゲーション時間は、2時間(T)である。等式1に基づき、ノズル手段(例えば、フォガーシステム)は、2時間で50kgの硫酸アンモニウムを連続的に溶解するのに、毎時33.2Lの流量をもつように、プログラムされ、常時監視され、および/または設計される。
【0048】
1つの実施形態では、本発明のノズル手段の数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、またはそれ以上のフォガー、スプレイヤー、スプリンクラー)とそれらの流量は、製品が実質的に飽和した溶液を分注し続けることによって、タンク内の所定量の製品を溶解するために、必要な量の流体が製品の上へ注がれることを、確実にするよう調整されている。本発明のノズル手段は、等式1によるFの値にノズル手段の合計の流量が一致する限り、タンク内の製品に流体を導くための、1つまたは2つ以上のノズル手段を含んでも良い。例えば、システムのノズル手段(例えば、フォガー)は、上記で計算されているように、毎時33.2リットルの流量を持つように設計される。毎時33.2リットルの流量を持つ1つのフォガー、それぞれ毎時16.6リットルの流量を持つ2つのフォガー、または、それぞれ毎時11.1リットルの流量を持つ3つのフォガーが、50kgの硫酸アンモニウムを2時間連続で溶かすのに使われる。
【0049】
さらなる実施形態では、本発明のノズル手段は水圧で駆動する。
【0050】
さらなる実施形態では、
図1を参照すると、ノズル手段(6)は供給タンク(2)の上端であって、製品(80)の上に位置する。ノズル手段(6)は、入口接続部(3)と接続し、製品の上に流体を導く。流体は、特定の製品および希望稼動時間を考慮した特定の流量を持つノズル手段(6)によって、製品の上に分注されるので、流体は製品を溶解し、溶解した製品を含む溶液が、出口接続部(5)を通じ通過する。任意選択で、ノズル手段(6)は、ノズル手段(6)を通じ製品の上に至る流体の流れを制御し、または開閉するバルブ(16)を含む。
【0051】
ここで使用される用語「供給タンク」、「タンク」などは、製品を受け止め、保持する、および本発明の溶液を分注する、剛体または半剛体のタンクを指す。供給タンク以外の同義語は、タンクであり、ドラムであり、貯槽などである。本発明の供給タンクは、任意のサイズ、形状、および容量を持ち、その上、どの材質でも構わないが、選べるのであれば、ステンレス鋼、合成樹脂、特にポリエチレン、またはポリ塩化ビニルなどの非腐食性の材質でできたものである。1つの実施形態では、本発明の供給タンクは、60L UNプラスティックドラムである。任意選択で、供給タンクは、袋のような柔軟なものでも良い。1つの実施形態では、供給タンクは、熱制御層(例えば、電気ヒートジャッケット)を、供給タンク内の温度を制御するために備える。1つの実施形態では、供給タンクは、気密性を持つ、すなわち、空気がタンク内に侵入するのを防ぐよう密封されており、もう1つの実施形態では、供給タンクは気密性を持たない、例えば、供給タンクのノズル手段上面は開放され、大気圧にさらされている。
【0052】
ここで使用される用語「入口接続部」、または「入口」は、水などの流体をノズル手段および/または供給タンクに導くための手段(例えば、装置)を指す。1つの実施形態では、入口接続部は、例えば、等式1のような本発明により決定される流量を持つ流体(例えば、水)を、外部(例えば、流路本管)から供給タンクに導く。もう1つの実施形態では、入口接続部は、流路などの外部から本発明のノズル手段を通じ供給タンクへ流体を導く。1つの実施形態では、入口は、ノズル手段とは独立した構成部分である。1つの実施形態では、入口は、筒状および/または管状である。任意選択で、入口は、どの材質でも構わないが、選べるのであれば、非腐食性の材質である。任意選択で、入口は、ポリエチレン、またはポリ塩化ビニルでできたものである。
【0053】
さらなる実施形態では、
図1を参照すると、入口接続部(3)は、流路本管(4)からのバイパス管であり、ノズル手段(6)を経由させ、製品を含む供給タンクへと水を運ぶ。任意選択で、入口接続部(3)は、流路本管からノズル手段(6)を経由させ、供給タンクへと流体を送り込むポンプ(14)を含む。さらなる実施形態では、入口接続部(3)は、流路本管と接続する管路(8)を含む。さらなる実施形態では、入口接続部(3) は、フィルター(11)、減圧弁(32)、および/または圧力計(33)を含む。
【0054】
ここで使用される用語「出口接続部」または「出口」は、水などの流体を供給タンクから排出する手段(例えば、装置)を指す。1つの実施形態では、出口は、供給タンクとは独立した構成部分である。1つの実施形態では、出口の主軸線は、供給タンクの主軸線に対し垂直に向いている。もう1つの実施形態では、出口の主軸線は、供給タンクの主軸線に対し平行に向いている。1つの実施形態では、出口は管状である。もう1つの実施形態では、出口は筒状である。任意選択で、出口は、どの材質でも構わないが、選べるのであれば、非腐食性の材質である。任意選択で、入口は、ポリエチレン、またはポリ塩化ビニルでできたものである。
【0055】
1つの実施形態では、供給タンク(2)および出口接続部(5)は、
図1で示されるように流路本管(4)より高い所に位置する。さらなる実施形態では、出口接続部(5)は、溶液を流路本管(4)または対象(22)の上に重力で分注するよう設計されている。
【0056】
本発明のもう1つの実施形態では、前述の実施形態の内いずれかに該当する流体混入システムが、前記出口接続部に製品が入ることを防ぐために、さらにフィルターを備える。1つの実施形態では、フィルターは供給タンクの底面に位置する。
図1は、本発明の流体混入システムが、供給タンク(2)の底面に位置するフィルター(7)を備えている状態を描いている。
【0057】
図4を参照すると、1つの実施形態において、フィルターが、希望の飽和レベルに達せずに供給タンクから排出されるのを防ぐよう、設計された上蓋(90)を備える。
【0058】
さらなる実施形態では、本発明の流体混入システムは、供給タンクの外側に取り付けられた外気取り込みバルブを備え、外気取り込み管を通じ、供給タンク内に取り付けられたフィルターは、前記外気取り込みバルブと連通している。本発明の外気取り込みバルブは、溶液の流れが滞ったり、フィルターが目詰まりしたりするのを未然に防ぐためのフィルターに外気を引き込むよう設計されている。
図1から4は、供給タンク(2)に取り付けられた、外気取り込みバルブ(92)を表し、外気取り込み管(10)を通じ、供給タンク(2)に取り付けられたフィルター(7)へ外気を引き込む。外気取り込みバルブ(92)は、外気取り込み管(10)を通じ、タンク内のフィルター(7)と連通している。
【0059】
もう1つの実施形態では、本発明のフィルターは、越流管を備え、それはタンク内のフィルターへと伸びている。
図4で描かれているように、フィルター内の越流管(91)は、希望の飽和レベルに達せずに溶液が供給タンクから越流するのを防ぐ。溶液を供給タンクの底面上、越流管の上端以下に蓄えることによって、流体と製品の接触面積および接触時間が増え、それによって、希望の飽和レベルに達した溶液が供給タンクから出口接続部へと排出され、流路本管または対象へと分注されることになる。
【0060】
1つの実施形態では、越流管の高さは、フィルターの高さより低い。さらなる実施形態では、越流管の内径は、ノズル手段の合計の流量が遅滞なく連続的に通過するよう設計されている。さらなる実施形態では、越流管と出口接続部は、一体を成す導管または管である。さらなる実施形態では、越流管と出口接続部は、互いに連通するよう設計された、それぞれ独立した導管または管である。さらなる実施形態では、越流管はフィルターと一体を成す、そうでなければ、越流管は取り外しまたは取り替え可能である。
【0061】
本発明のもう1つの実施形態では、前述の実施形態の内いずれかに該当する流体混入システムが、流路本管と出口接続部から分注される溶液を連通する希釈タンクをさらに備える。例えば、このシステムは地表灌漑または湛水灌漑のような非加圧灌漑に使われ得る。
【0062】
ここで使用される用語「希釈タンク」は、出口接続部を通じ、供給タンクから排出されや溶液、および流路本管からの流体(例えば、水)を受け止め、保持するために設計された、剛体または半剛体のタンクを指す。希釈タンク以外の同義語は、中間または混合タンクであり、中間または混合容器であり、中間または混合ドラムであり、中間または混合貯槽などである。1つの実施形態では、本発明の希釈タンクは、流路本管の水圧を大気圧まで開放するよう形状が決められている。本発明の希釈タンクは、任意の形状を持ち、その上、どの材質でも構わないが、選べるのであれば、ポリエチレン、またはポリ塩化ビニルなどの非腐食性の材質でできたものである。1つの実施形態では、本発明の希釈タンクは、120L UNプラスティックドラムである。任意選択で、希釈タンクは、袋のような柔軟なものでも良い。
【0063】
本発明の希釈タンクは、希釈溶液をもたらすために、中間に存在して、供給タンクから出口接続部を通じ排出された溶液(すなわち、溶解された製品)を保持し、前記溶液と流路の流体を混合するために使用され得る。
【0064】
希釈タンクと供給タンクおよび流路本管の組み合わせは、製品と流体の均質性を高める。さらに、希釈タンクは、対象へ分注されるための、希望飽和レベルを満たす希釈溶液を得るために、供給タンクから排出された溶液を蓄えることができる。
【0065】
図1が示すように、1つの実施形態において、本発明の希釈タンク(12)は、供給タンク(2)の底面より低く置かれ、それによって、供給タンクから出口接続部を通じ排出された溶液は、重力によって希釈タンクへと向かう。
【0066】
さらなる実施形態において、本発明の希釈タンクは、希釈溶液を、例えば、対象へと注ぐ、注口を備える。
【0067】
さらなる実施形態において、
図1に描かれているように、注口(13)は、対象よりも高く配置され、それによって、その希釈溶液は重力によって対象へと分布する。1つの実施形態において、希釈タンクの注口の内径は、希釈タンク内を大気圧に維持するために、本管流路の内径よりも大きい。希釈タンク内で製品と流体の均質性を高める乱流を生み出すために、希釈タンクの注口の内径は希釈タンクの内径よりも小さい。任意選択では、流路本管の水圧を大気圧へと促進するために、排気弁(19)を希釈タンクに装着することができる。
【0068】
さらなる実施形態において、ノズル手段(6)へと流体を向かわせ、希釈溶液を対象へと向かわせ、供給タンクから排出された溶液を希釈タンクへ向かわせ、および/または、希釈タンクから排出された希釈溶液を送り出すために、ポンプを備える。
【0069】
もう1つの実施形態において、加圧されていない水源から水圧を得るために、例えば、電力、太陽エネルギー、風力、または化石燃料によるエンジン駆動によって、流体源(例えば、開放水路)からノズル手段に、流体(例えば、水)が揚水される。
【0070】
1つの実施形態において、本発明の流体混入システムは、供給タンクから溶液を排出するのに、ポンプを持たない。
図1は、供給タンクから重力によって溶液が排出する状態を描いている。この方法では、上述の溶液を供給タンクからポンプで排出する欠点を回避される。さらなる実施形態において、本発明の流体混入システムは、流体を希釈タンク(12)へと向かわせる、および排出された溶液または希釈溶液を対象へと向かわせるのに、ポンプを要さない。この実施形態において、流体は、例えば、重力で移動する。
【0071】
1つの実施形態において、本発明の流体混入システムは、重力により安定的かつ継続的な分注速度で、流路より高く位置する供給タンクから対象(灌漑される地表面)へ、溶液(例えば、任意の水溶性肥料の飽和水溶液)を供給する。1つの実施形態において、同じ加圧流体源から流体と溶液が合流する(例えば、流路、対象、または希釈タンクで合流する)。
【0072】
もう1つの実施形態において、
図1から3を参照すると、本発明の流体混入システムは、供給タンクに流体を導くために、入口接続部(3)、または管路(8)、および供給タンク(2)と連通する洗浄ライン(31)をさらに備える。洗浄ライン(31)は、ある分注時間内に完全に溶けきれなかった、製品(例えば、肥料)の残渣を洗い流すために使われる。任意選択で、洗浄ライン(31)は、その開閉のためのバルブ(29)を備える。
【0073】
1つの実施形態において、洗浄ラインは、製品(例えば、肥料)を洗い流すために、流体源または供給タンクへの流路から流体をもたらし、さらに、洗浄ラインは、ノズル手段から供給タンクへ液体が流れ始める前に、流体を供給タンクへもたらす。例えば、洗浄ラインは、本発明の越流管のために、システムの稼働開始時に分注が始まらない期間のずれを埋めるために、ノズル手段から水が注がれる前に、水(例えば、10cm)を供給タンクの中にもたらし得る。例えば、溶液が、流路または対象へと分注されるために、10cmの高さの越流管を越流するまでに3〜5分かかるかもしれない。本発明の洗浄ラインは、供給タンクから排出される溶液をもたらすまでの時間を短縮する。
【0074】
1つの実施形態において、本発明の流体混入システムは、製品溶解度、製品重量、溶液濃度、希釈溶液濃度、灌漑地の液面位、流体の温度、溶液の温度、溶液または希釈溶液の電気伝導度、および、これらの組み合わせの内、少なくとも1つの要素を検知する少なくとも1つのセンサー手段を備える。
【0075】
1つの実施形態において、本発明の流体混入システムは、さらに対象の中に設置されたセンサー手段(例えば、水位センサー)を備える。1つの実施形態において、このセンサー手段は、水田のような灌漑地に設置さえる。1つの実施形態において、このセンサー手段は、
図1から3を参照すると、センサー手段(21)が対象(22)(例えば、灌漑地)の中の液面または液面の高さ、または液面の深さを検知し、水位が予め設定した水準に到達した時、信号を制御盤(20)に送る。任意選択で、信号は、制御盤と電気また無線で交信する。この制御盤は、センサーから信号を受けて、制御弁を通じ流路または流体源からの流体を減らしたり、止めたりする。1つの実施形態において、本発明の流体混入システムは、液面が5〜10cmに達するまで、対象に流体を分注する。この液面に達すると、液面センサーに信号を制御盤に送り、制御弁を通じ流路または流体源からの流体を減らしたり、止めたりする。
【0076】
さらなる実施形態において、本発明の流体混入システムは、センサー手段を備え、それは流量計(例えば、水の流量を計る)である。流量計は、流れる流体の体積を検知する。電気信号が流量計から制御盤に送られる、例えば、1立米毎または1リットル毎である。制御盤が信号を受信する時、制御盤は濃度を計算する。もし、濃度が予め設定した値より高いのであれば、制御盤は制御弁に流路または流体源からの流量を増加させるよう動作命令を出す。もし、濃度が予め設定した値より低いのであれば、制御盤は制御弁に流路または流体源からの流量を減少させるよう動作命令を出す。1つの実施形態における本発明の流量計は、出口接続部、注口(13)、流路または流体源に合流する所、または、水田を含む灌漑地などの対象の中、またはこれらの組み合わせに設置される。任意選択で、流量計は、流れと濃度を管理するのに使われ得る。
【0077】
さらなる実施形態において、本発明の流体混入システムは、電気伝導度(EC)センサーを備える。ECセンサーは、溶液の中に溶けている製品の総量を計測できる。制御盤がECセンサーからの信号を受信する時、制御盤は濃度を計算する。もし、濃度が予め設定した値より低いのであれば、制御盤は水の流量を減少または停止させるよう制御弁に動作命令を出す。もう1つの実施形態では、ECセンサーは、出口接続部、注口(13)、流路または流体源に合流する所、または、水田を含む灌漑地などの対象の中、またはこれらの組み合わせに設置される。
【0078】
1つの実施形態において、本発明の流体混入システムは、受信記録に基づいて、ノズル手段の流量の制御、調整、統制、および/または常時監視、および/または、溶液、希釈溶液、および/または流路または流体源からの流体の分注または分注時間の制御、調整、統制、および/または常時監視するプログラム可能な制御盤を備える。
【0079】
例えば、分注される、または供給タンク内で溶解されることになる製品の特性は、制御盤に入力される。この特性は、ある温度における製品の溶解度、分注される、または供給タンク内で溶解されることになる製品の重量、および分注時間から構成される。pH、希望濃度、対象へと分注されることになる流体の液面位など他の特性も制御盤に入力され得る。この入力データに基づいて、本発明の制御装置は、特定の製品のために、最終的に供給タンクに向かう流量を調整するよう特定のプログラムが組み込まれる。1つの実施形態において、本発明の制御装置は、等式1に基づいた流量を計算、決定し、決定された流量となるようにノズル手段を調整、制御、および常時監視する。
【0080】
1つの実施形態において、制御盤はインターネットに接続したサーバー・アプリケーションによって、置き換えられる。
【0081】
液面計、流量計、および/またはECセンサーのようなセンサー手段(例えば、装置)は、インターネットと無線で接続している受信機/送信機(例えば、コンピューターや携帯機器)などの制御盤および/またはサーバー・アプリケーションへ信号(例えば、無線や電気で)を送る。サーバー・アプリケーションおよび/また制御装置は、システムに動作命令を出す、例えば、受信データに基づきシステムのどこかに設置された任意の制御弁は、溶液、希釈溶液、および/または流体の分注を開閉または増減し、ノズル手段の流量を制御、調整、統制、および/または常時監視する。1つの実施形態において、制御盤および/また送信機は、ファーティゲーションの頻度と時間を本発明のシステムを通じ制御する。1つの実施形態において、ファーティゲーションの頻度は毎週、3〜5日毎または毎日である。
【0082】
1つの実施形態において、本発明の流体混入システムは、図で表されていない、1つまたは複数の液体投与タンクをさらに備える。液体投与タンクは、追加の液体肥料、微量栄養素、界面活性剤および/または農薬を本発明のシステムにもたらす。1つの実施形態において、液体投与タンクは、希釈タンクと接続して、希釈タンクへ重力で追加の液体が供給される。
【0083】
もう1つの実施形態において、本発明の流体混入システムは、混入器を備える、例えば、前述の実施形態の内いずれかに該当する出口接続部と連通するヴェンチュリ管である。混入器、特に、本発明で使用されるベンチュリ管が知られている。
図2で描かれているように、本発明の流体混入システムは、出口接続部から流路本管(4)または対象へと流れることになる溶液を吸い上げる負圧を生じさせるために、ベンチュリ管(17)を使用する。
【0084】
ベンチュリ管と組わせることで、本発明の流体混入システムは、灌水と施肥(=ファーティゲーション)を同期させ、製品と流体の均質性を高める。本発明の溶液は、重力によって安定的かつ継続的な分注速度で、供給タンクから出口接続部を通った後、ベンチュリ管に溶液が加圧灌漑本管に吸い込まれ、混入される。例えば、このシステムは、点滴灌水およびスプリンクラー灌水のような加圧灌漑のために使われ、地表灌漑および湛水灌漑のような非加圧灌漑にも使われる。
【0085】
本発明の、もう1つの実施形態において、少なくとも2つの供給タンクを持つ流体混入システムが規定される。前述の実施形態のすべては、本実施形態に適用され、かつ、その内容全体を参考として援用される。少なくとも2つの供給タンクを持つ流体混入システムであって、同じ入口接続部、または任意で独立した入口接続部と連通しており、各供給タンクは分注されることになる製品をそれぞれの供給タンク中に含み、ノズル手段および各供給タンクのノズル手段と連通している。各供給タンクのノズル手段は、ある温度における製品の溶解度、分注されることになる製品の重量、および分注時間の諸特性に基づいて予め定められた流量の流体を供給タンクへと導くために、設計され、制御され、調整され、プログラムされ、および/または形状が決められている。
【0086】
1つの実施形態において、各供給タンクのノズル手段は、上述の等式1によって決定された流量を持つように、プログラムされ、制御され、設計され、および/または形状が決められている。
【0087】
1つの実施形態において、各供給タンクのノズル手段は、本発明における同じ入口接続部と連通している。さらなる実施形態において、各供給タンクのノズル手段は、各供給タンクの出口接続が、流路、希釈タンクまたは対象へと溶液を分注する。
【0088】
さらなる実施形態において、本発明の流体混入システムは、少なくとも2つの供給タンクを持ち、各供給タンクは異なる製品を保持する。
【0089】
肥料などの養分の溶解度は、2つ以上の異なる肥料を混ぜる時、低下し得る。複数の類似肥料を1つのタンクで混ぜる、またはそれぞれ異なる肥料を入れるのに2つ以上の供給タンクを使うことで、沈殿および詰まりを防ぐために異なる溶解度を持つ製品を分けることを可能にする。
【0090】
表1は、本発明における肥料の溶解度および温度を例示している。
【表1】
【0091】
表1で示されるように、尿素はPK(リン酸、カリウム)肥料よりも高い溶解度を持つ。したがって、1つの実施形態において、尿素はPK肥料とは異なる供給タンクに充填される。さらなる実施形態において、ASはPK肥料よりも高い溶解度を持ち、それに応じ、PK肥料とは異なる供給タンクに充填される。さらなる実施形態において、MAPとKClはある温度において類似溶解度を持ち、したがって、1つの供給タンクに一緒に充填され得る。さらなる実施形態において、MagphosとMAPの溶解度は類似しているので、1つの供給タンクに一緒に充填されてもよい。さらなる実施形態において、DAPはKCLよりも溶解度が高く、MKPはKClよりも溶解度が低く、本発明において類似しているとは考えられないので、DAPとMKPは、KCLと同じ供給タンクには充填されない。さらなる実施形態において、混ぜられた肥料は、主要な水溶性肥料の中で最も低い溶解度を持つ硫酸カリウムの沈殿を引き起こすので、ASとKClは同じ供給タンクには充填されない。さらなる実施形態において、MAPとKCL、またはMAPとMagphosは1つの供給タンクに充填される。
【0092】
例えば、本発明における2つの供給タンクを持つ流体混入システムが規定される。希望ファーティゲーション時間(Z)が2時間。1つ目の供給タンクに、20度(A)の水に対し754g/lの溶解度を持つ硫酸アンモニウムが50kg(B)充填されている。本発明における等式に基づき、2時間で50kgのAS(=硫酸アンモニウム)を連続的に溶かすために、毎時33.2Lの流量(または、例えば、毎時約11Lの流量を持つ3つのフォガー)を持つよう、1つのノズル手段(例えば、フォガーシステム)が設計されている。2つ目の供給タンクに、20度の水に対し342g/lの溶解度を持つKCl(=塩化カリウム)が50kg充填されている。上記等式に基づき、2時間で50kgのKClを連続的に溶かすために、毎時73Lの流量(または、例えば、毎時約11Lの流量を持つ7つのフォガー)を持つよう、1つのノズル手段(例えば、フォガーシステム)が設計されている。したがって、この例からすると、1つ目のタンク内の50kgのASおよび2つ目のタンク内の50kgのKClを、実質的に飽和したASおよびKClの水溶液を分注し続けることによって、連続的に2時間で溶かすために、流体混入システムは、1つ目のタンクに3つのフォガー、2つ目のタンクに7つのフォガーを備える。
【0093】
この例では、本発明のノズル手段は、比例施用でファーティゲーション時間内に2つの異なる製品を溶解するために、タンク内の分注されることになる製品重量、およびある温度における溶解度に従うように特殊設計されている。
【0094】
ノズル手段の数およびそれらの流量は、製品重量およびある温度における製品溶解度によって異なる。例えば、上記例に準じて、タンク1に50kgのASが、タンク2に30kgのKClがある時、タンク1の50kgのASおよびタンク2の30kgのKClを2時間で継続的に溶解するために、タンク1に3つのフォガー(約毎時約11L)、タンク2に4つのフォガー(約毎時約11L)が使われる。
【0095】
したがって、1つの実施形態において、1つの供給タンクともう1つの供給タンクのノズル手段(例えば、フォガー)の流量の比率は、ある温度における製品の溶解度、分注されることになる製品の重量、および分注時間の諸特性に基づいたノズル手段の流量の交換、調整、および/または制御によって、または前記ノズル手段の数(例えば、フォガー数)の増減によって、調整される。
【0096】
本発明のもう1つの態様において、対象へ溶液を分注するための方法が規定される。本発明の方法は、特にファーティゲーションおよび灌水に使用される。前述の実施形態のすべては、本実施形態に適用され、かつ、その内容全体を参考として援用される。
【0097】
もう1つの実施形態において、分注されることになる製品を保持する供給タンクへの流体注入を含む前記方法であって、ある温度における製品の溶解度、分注されることになる製品の重量、および分注時間の諸特性に基づいた流量で前記流体が混入される。それに応じて、本発明の1つの実施形態により、貯槽へと導かれる流体(例えば、水)の流量は調節される。
【0098】
もう1つの実施形態において、方法は等式1による流量決定を含む:
等式1 F=(W)/(T×S)
Fは、ノズル手段の流量;
Wは、供給タンク内の製品重量、または溶解されることになる製品重量;
Tは、分注時間;
および、Sは、ある温度における製品の溶解度。
【0099】
もう1つの実施形態において、方法は、前述の実施形態の内どれかに準ずるノズル手段による供給タンクへの流体注入を含む。
【0100】
もう1つの実施形態において、方法は、ノズル手段の制御および調節を含み、ある温度における製品の溶解度、分注されることになる製品の重量、および分注時間、または等式1の諸特性に基づいた予め定められた流量で流体を注入するために、分注時間の間中および/または分注前のノズル手段の制御および調節をさらに含む。
【0101】
もう1つの実施形態において、流体は予め定められた流量で連続的に流体がタンクに導かれる。
【0102】
本発明のもう1つの態様において、2つ以上の供給タンクを用いて対象へ溶液を分注する方法が規定される。前述の実施形態のすべては、本実施形態に適用され、かつ、その内容全体を参考として援用される。
【0103】
もう1つの実施形態において、少なくとも2つの供給タンクへの流体注入を含む方法。少なくとも1つの供給タンクには、他の異なる供給タンクに対し、異なる製品をその中に保持する。それぞれのタンクに注入される流体は、ある温度における供給タンク内の製品の溶解度、分注されることになる、または供給タンク内で溶かされることになる製品の重量、および分注時間の諸特性に基づいて決定され、すなわち、本実施形態において、それぞれの供給タンクに注入されている流体の流量は、特定の供給タンク内の製品に基づいて特殊に制御され、常時監視され、および/または調節される。
【0104】
上述した明細書は、当業者が容易に実施することのできるよう、提供されている。しかしながら、実施形態は、本発明の例示のためにのみ説明したものであり、ここで説明および請求されている発明は、ここで公開されている特定の実施形態によって、その範囲を限定されるわけではない。上述した実施形態は、本発明に準じた他の公開された実施形態と、一緒に実行され、および組み合わされる。どのような同等の実施形態も本発明の範囲に含まれる。実際に、本発明に関し、ここで表され、説明されたものに加える様々な修正が、この独創的発見の範囲と精神から外れることなく実施できることは、当業者には明白であろう。また、そのような修正は、添付された請求の範囲に入る。本出願に引用されている、すべての刊行物、特許、出願特許、およびその他参考文献は、そのすべての刊行物、特許、出願特許、およびその他参考文献がそれぞれ特殊かつ個別に意図されているのと同程度に、その内容全体を参考としてここで援用される。ここで参考のために為された引用は、本発明に対する従来技術であると認めるものと解釈してはならない。
【解決手段】溶液を分注するための流体混入システムについては、分注されることになる製品を内包する供給タンクと、流路からノズル手段へと水の流れをそらせるための入口接続部と、溶液を前記流路または対象へ分注するための出口接続部とを備え、前記ノズル手段は、前記供給タンクおよび前記入口接続部に連通し、ある温度における製品の溶解度、分注されるまたは前記溶液タンクの中で溶解されることになる製品の重量、および分注時間の諸特性に基づいて予め定められた流体の流量で、前記供給タンクへ流体を導くよう、その形状が決められていることを特徴とする。