特許第6245730号(P6245730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧 ▶ 株式会社アイ・エヌ・シー・エンジニアリングの特許一覧

<>
  • 特許6245730-騒音低減装置及び騒音低減方法 図000002
  • 特許6245730-騒音低減装置及び騒音低減方法 図000003
  • 特許6245730-騒音低減装置及び騒音低減方法 図000004
  • 特許6245730-騒音低減装置及び騒音低減方法 図000005
  • 特許6245730-騒音低減装置及び騒音低減方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245730
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】騒音低減装置及び騒音低減方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/175 20060101AFI20171204BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20171204BHJP
   H02P 5/00 20160101ALI20171204BHJP
【FI】
   G10K11/175
   G10K11/16
   H02P5/00
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-102345(P2013-102345)
(22)【出願日】2013年5月14日
(65)【公開番号】特開2014-222324(P2014-222324A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】591104815
【氏名又は名称】株式会社アイ・エヌ・シー・エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】小林 陽
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 智也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】東川 孝
【審査官】 菊池 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−109495(JP,A)
【文献】 特開平05−188978(JP,A)
【文献】 特開2010−078560(JP,A)
【文献】 特開2013−044796(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/155066(WO,A1)
【文献】 特開2000−047670(JP,A)
【文献】 米国特許第08218781(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/00−13/00
H02P 5/00− 5/753
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的な動作を行う複数の対象装置から発せられる騒音を低減する騒音低減装置において、
前記対象装置から発せられる騒音の合成音を測定するマイクロフォンと、
前記マイクロフォンの測定結果から前記合成音のうなり周波数を推定する推定部と、
前記推定部で推定されたうなり周波数を用いて前記対象装置の動作周波数を制御する周波数制御部と、
前記周波数制御部の制御情報を用いて前記対象装置間の位相差を制御する位相制御部と
を備え
前記周波数制御部は、前記推定部で推定されたうなり周波数が予め規定された閾周波数以上である場合に前記対象装置の動作周波数を変える制御を行い、
前記位相制御部は、前記推定部で推定されたうなり周波数が予め規定された閾周波数よりも小さい旨が前記周波数制御部からの前記制御情報で示されている場合に前記対象装置間の位相差を変える制御を行う
ことを特徴とする騒音低減装置。
【請求項2】
前記周波数制御部は、前記推定部で推定されたうなり周波数が前記推定部で前回推定されたうなり周波数よりも小さくなるように前記対象装置の動作周波数を変える制御を行うことを特徴とする請求項1記載の騒音低減装置。
【請求項3】
前記位相制御部は、前記合成音の最大振幅と前記合成音の局所振幅との比が予め規定された閾値よりも小さくなるように前記対象装置間の位相差を変える制御を行う
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の騒音低減装置。
【請求項4】
前記位相制御部は、前記対象装置間の位相差を変えるための位相制御値が予め規定された最大位相制御値を超える場合には、前記位相制御値を前記最大位相制御値に制限することを特徴とする請求項3記載の騒音低減装置。
【請求項5】
前記マイクロフォンの測定結果から前記合成音の局所振幅を求める局所振幅測定部を備えており、
前記推定部は、前記局所振幅測定部で求められた前記合成音の局所振幅を二値化して単位時間における波数を求めることにより前記合成音のうなり周波数を推定する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の騒音低減装置。
【請求項6】
前記マイクロフォンは、無指向性のマイクロフォンであることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の騒音低減装置。
【請求項7】
前記対象装置は、前記周期的な動作として振動動作又は回転動作を行うものであることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の騒音低減装置。
【請求項8】
周期的な動作を行う複数の対象装置から発せられる騒音を低減する騒音低減方法であって、
前記対象装置から発せられる騒音の合成音をマイクロフォンで測定する第1ステップと、
前記第1ステップの測定結果から前記合成音のうなり周波数を推定する第2ステップと、
前記第2ステップで推定されたうなり周波数を用いて前記対象装置の動作周波数及び前記対象装置間の位相差を制御する第3ステップと
を有し、
前記第3ステップは、前記第2ステップで推定されたうなり周波数が予め規定された閾周波数以上である場合に前記対象装置の動作周波数を変える制御を行う周波数制御ステップと、
前記第2ステップで推定されたうなり周波数が予め規定された閾周波数よりも小さい場合に前記対象装置間の位相差を変える制御を行う位相制御ステップと
を含むことを特徴とする騒音低減方法。
【請求項9】
前記周波数制御ステップは、前記第2ステップで推定されたうなり周波数が前回推定されたうなり周波数よりも小さくなるように前記対象装置の動作周波数を変える制御を行うステップであることを特徴とする請求項8記載の騒音低減方法。
【請求項10】
前記位相制御ステップは、前記合成音の最大振幅と前記合成音の局所振幅との比が予め規定された閾値よりも小さくなるように前記対象装置間の位相差を変える制御を行うステップであることを特徴とする請求項8又は請求項9記載の騒音低減方法。
【請求項11】
前記位相制御ステップは、前記対象装置間の位相差を変えるための位相制御値が予め規定された最大位相制御値を超える場合には、前記位相制御値を前記最大位相制御値に制限することを特徴とする請求項10記載の騒音低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音低減装置及び騒音低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
泥水シールド工事等の工事現場では、泥水中に含まれる土砂等の固形物の分離及び脱水を行うために振動篩装置が用いられる。この振動篩装置は、篩網を一定の振動数で振動させることによって固形物等の篩い分けを行うものであるため、超低周波音(周波数が20Hz以下の音)が含まれる騒音が発生する。上記の工事現場では、複数台の振動篩装置が同時稼働されることが多いため、各々の振動篩装置が発生する騒音が重畳されてうなりが生じてしまい騒音が大きくなる虞がある。
【0003】
また、工場やプラント等では、例えば流体の冷却を行う冷却塔等の設備機器が用いられる。このような設備機器は、例えば冷却対象の流体や冷媒の循環等を行うためのファン(冷却ファン)を備えているため、ファンが回転することによって超低周波音が含まれる騒音が発生し得る。ここで、設備機器に複数のファンが設けられている場合には、上記の複数台の振動篩装置が同時稼働される場合と同様に、各々のファンが発生する騒音が重畳されてうなりが生じてしまい騒音が大きくなる虞がある。
【0004】
以下の特許文献1には、送風機、振動コンベア、コンプレッサーポンプ等の複数の回転機又は回転機を有する装置から発生する低周波音を消音する技術が開示されている。具体的には、任意の2組の回転機又は回転機を有する装置からそれぞれ発生する低周波音の合成音を検出し、その合成音の音圧レベルが最小となるような回転機のうちの1組の最適回転数を演算して回転機の回転数を制御し、上記の2組の回転機又は回転機を有する装置からそれぞれ発生する低周波音の周波数を互いに等しく且つ逆位相関係にして干渉させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−109495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に開示された技術は、実際に発生する低周波音の合成音をマイクロフォンで測定し、その音圧レベルが最小となるような最適回転数を演算して回転数を制御することによって、2組の回転機又は回転機を有する装置からそれぞれ発生する低周波音の周波数を互いに等しく且つ逆位相関係にして干渉させるものである。このため、引用文献1に開示された技術を用いれば、原理的にはマイクロフォンの測定結果だけで十分な消音効果が得られるとも考えられる。
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された技術は、実際にはマイクロフォンで測定された合成音の音圧レベル(合成音圧レベル)にある閾値を設けておき、合成音圧レベルが閾値を超えたら回転機の回転数を増速又は減速させるという単純な制御を行っているだけであり、騒音を効果的に低減し得る精密な制御が行われているとは言い難い。このため、引用文献1に開示された技術を、振動篩装置等の複数の振動装置或いはファン等の複数の回転装置から発生する騒音を低減するために用いたとしても、騒音を効果的に低減できるとは限らないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マイクロフォンの測定結果だけで複数の装置から発生する騒音を効果的に低減することが可能な騒音低減装置及び騒音低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の騒音低減装置は、周期的な動作を行う複数の対象装置(B1、B2)から発せられる騒音(N1、N2)を低減する騒音低減装置(1)において、前記対象装置から発せられる騒音の合成音を測定するマイクロフォン(10)と、前記マイクロフォンの測定結果から前記合成音のうなり周波数(Δf)を推定する推定部(22)と、前記推定部で推定されたうなり周波数を用いて前記対象装置の動作周波数を制御する周波数制御部(23)と、前記周波数制御部の制御情報(Q)を用いて前記対象装置間の位相差を制御する位相制御部(24)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の騒音低減装置は、前記周波数制御部が、前記推定部で推定されたうなり周波数が予め規定された閾周波数以上である場合に前記対象装置の動作周波数を変える制御を行い、前記位相制御部が、前記推定部で推定されたうなり周波数が予め規定された閾周波数よりも小さい旨が前記周波数制御部からの前記制御情報で示されている場合に前記対象装置間の位相差を変える制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の騒音低減装置は、前記周波数制御部が、前記推定部で推定されたうなり周波数が前記推定部で前回推定されたうなり周波数よりも小さくなるように前記対象装置の動作周波数を変える制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の騒音低減装置は、前記位相制御部が、前記合成音の最大振幅と前記合成音の局所振幅との比が予め規定された閾値よりも小さくなるように前記対象装置間の位相差を変える制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の騒音低減装置は、前記位相制御部が、前記対象装置間の位相差を変えるための位相制御値が予め規定された最大位相制御値を超える場合には、前記位相制御値を前記最大位相制御値に制限することを特徴としている。
また、本発明の騒音低減装置は、前記マイクロフォンの測定結果から前記合成音の局所振幅を求める局所振幅測定部(21)を備えており、前記推定部が、前記局所振幅測定部で求められた前記合成音の局所振幅を二値化して単位時間における波数を求めることにより前記合成音のうなり周波数を推定することを特徴としている。
また、本発明の騒音低減装置は、前記マイクロフォンが、無指向性のマイクロフォンであることを特徴としている。
また、本発明の騒音低減装置は、前記対象装置が、前記周期的な動作として振動動作又は回転動作を行うものであることを特徴としている。
本発明の騒音低減方法は、周期的な動作を行う複数の対象装置(B1、B2)から発せられる騒音(N1、N2)を低減する騒音低減方法であって、前記対象装置から発せられる騒音の合成音をマイクロフォン(10)で測定する第1ステップと、前記第1ステップの測定結果から前記合成音のうなり周波数を推定する第2ステップと、前記第2ステップで推定されたうなり周波数を用いて前記対象装置の動作周波数及び前記対象装置間の位相差を制御する第3ステップとを有することを特徴としている。
また、本発明の騒音低減方法は、前記第3ステップが、前記第2ステップで推定されたうなり周波数が予め規定された閾周波数以上である場合に前記対象装置の動作周波数を変える制御を行う周波数制御ステップ(S15)と、前記第2ステップで推定されたうなり周波数が予め規定された閾周波数よりも小さい場合に前記対象装置間の位相差を変える制御を行う位相制御ステップ(S26)とを含むことを特徴としている。
また、本発明の騒音低減方法は、前記周波数制御ステップが、前記第2ステップで推定されたうなり周波数が前回推定されたうなり周波数よりも小さくなるように前記対象装置の動作周波数を変える制御を行うステップであることを特徴としている。
また、本発明の騒音低減方法は、前記位相制御ステップが、前記合成音の最大振幅と前記合成音の局所振幅との比が予め規定された閾値よりも小さくなるように前記対象装置間の位相差を変える制御を行うステップであることを特徴としている。
また、本発明の騒音低減方法は、前記位相制御ステップが、前記対象装置間の位相差を変えるための位相制御値が予め規定された最大位相制御値を超える場合には、前記位相制御値を前記最大位相制御値に制限することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の対象装置から発せられる騒音の合成音をマイクロフォンで測定し、マイクロフォンの測定結果から合成音のうなり周波数を推定し、推定したうなり周波数を用いて対象装置の動作周波数及び対象装置間の位相差を制御しているため、マイクロフォンの測定結果だけで複数の装置から発生する騒音を効果的に低減することが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による騒音低減装置の要部構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による騒音低減装置の局所振幅測定部で行われる処理を説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態による騒音低減装置のうなり周波数推定部で行われる処理を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態による騒音低減装置の周波数制御部で行われる処理の詳細を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態による騒音低減装置の位相制御部で行われる処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による騒音低減装置及び騒音低減方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による騒音低減装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の騒音低減装置1は、マイクロフォン10、コントローラ20、及びインバータ30a,30bを備えており、振動装置B1,B2(対象装置)で発生する騒音N1,N2を低減する。
【0013】
ここで、振動装置B1,B2は、例えば泥水シールド工事等の工事現場において、泥水中に含まれる土砂等の固形物の分離及び脱水を行うために用いられる振動篩装置である。この振動篩装置は、例えばモータ、偏心シャフト、及び篩網(何れも図示省略)を備えており、モータによって偏心シャフトを回転させて篩網を振動させることにより、固形物等の篩い分けを行う。
【0014】
振動装置B1は、コントローラ20から出力される指令信号C1によって駆動され、振動装置B2は、コントローラ20から出力される指令信号C2によって駆動される。指令信号C1は、値が固定された信号であり、指令信号C2は、振動装置B1,B2から発せられる騒音N1,N2に応じて値が変化する信号である。従って、振動装置B1は、一定の周波数(周期)で振動し、振動装置B2は、指令信号C2の値に応じた周波数(周期)で振動する。但し、振動装置B1,B2の振動周波数は、篩い分けが行われる固形物等の重量に応じて多少変動することがある。
【0015】
マイクロフォン10は、振動装置B1,B2から発せられる騒音N1,N2の合成音を測定し、その測定結果を示す測定信号S1を出力する。このマイクロフォン10は、例えばあらゆる方向からの音を測定可能な無指向性(全指向性)のものであり、騒音N1,N2の低減を行いたい場所(騒音N1,N2を低減すべき場所)に設置される。ここで、マイクロフォン10は、少なくとも低減したい騒音を測定することが可能であれば、任意の周波数特性を有するものを用いることができる。尚、振動装置B1,B2から発せられる騒音N1,N2に含まれる超低周波音(周波数が20Hz以下の音)を低減する場合には、超低周波音に対する感度が高いものを用いるのが望ましい。
【0016】
コントローラ20は、局所振幅測定部21、うなり周波数推定部22(推定部)、周波数制御部23、位相制御部24、及び演算部25を備えており、指令信号C1を生成して振動装置B1を一定の周波数(周期)で振動させるとともに、マイクロフォン10からの測定信号S1を用いて指令信号C2を生成して振動装置B2の振動を制御する。ここで、コントローラ20は、振動装置B2の振動周波数(動作周波数)及び振動装置B1,B2間の振動の位相差(位相差)を制御する。尚、図1においては、指令信号C1を生成する構成については図示を省略しており、指令信号C2を生成する構成のみを図示している。
【0017】
局所振幅測定部21は、マイクロフォン10の測定結果を示す測定信号S1から騒音N1,N2の合成音の局所振幅A1を求め、求めた局所振幅A1をうなり周波数推定部22及び位相制御部24に出力する。具体的に、局所振幅測定部21は、マイクロフォン10からの測定信号S1を一定の時間間隔で区切り、各区間内における測定信号S1の絶対値の最大値を求めることによって局所振幅A1を求める。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態による騒音低減装置の局所振幅測定部で行われる処理を説明するための図であって、(a)は測定信号S1の波形(合成音の音圧)の一例を示す図であり、(b)は(a)に示す測定信号S1から求められる局所振幅を示す図である。尚、図2(b)に示す局所振幅は、図2(a)に示す測定信号S1を0.1[sec]の時間間隔で区切ることによって得られたものである。図2(b)に示す通り、局所振幅測定部21で求められる局所振幅は、おおむね図2(a)に示す測定信号S1の絶対値の包絡線を示すものになる。つまり、局所振幅測定部21で求められる局所振幅A1は、騒音N1,N2の合成音の音圧の大きさを示すものであり、音圧の大きさの変化に応じて変化するものである。
【0019】
うなり周波数推定部22は、局所振幅測定部21で求められた局所振幅A1から騒音N1,N2の合成音のうなり周波数Δfを推定し、推定したうなり周波数Δfを周波数制御部23に出力する。具体的に、うなり周波数推定部22は、局所振幅推定部21から出力される局所振幅A1を一定時間蓄積し、蓄積した局所振幅A1を二値化して波数を計数し、計数した波数を局所振幅A1の蓄積時間で除算することによって(単位時間当りの波数を求めることによって)うなり周波数Δfを推定する。尚、うなり周波数推定部22は、局所振幅A1の揺れ幅が小さい場合、或いは局所振幅A1そのものが小さい場合には、うなり無し(うなり周波数Δfが「0」である)と推定する。
【0020】
図3は、本発明の一実施形態による騒音低減装置のうなり周波数推定部で行われる処理を説明するための図であって、(a)は局所振幅測定部21から出力される局所振幅の一例を示す図であり、(b)は(a)に示す局所振幅を二値化したものを示す図である。うなり周波数推定部22は、例えば図3(a)に示す10[sec]分の局所振幅A1を蓄積し、蓄積した局所振幅A1を二値化して図3(b)に示す局所振幅を得る。図3(b)に示す通り、二値化された局所振幅は、図3(a)に示す局所振幅の変化周期(うなりの周期)に応じたパルス幅を有する複数のパルスからなるものである。うなり周波数推定部22は、図3(b)に示す局所振幅の波数を計数し、計数した波数を局所振幅A1の蓄積時間(10[sec])で除算することによってうなり周波数Δfを推定する。
【0021】
周波数制御部23は、うなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfを用いて振動装置B2の振動周波数を制御するための指令信号C11を生成する。具体的に、周波数制御部23は、うなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが予め規定された周波数制御閾値(閾周波数)以上である場合に、振動装置B2の振動周波数を変える指令信号C11を生成する。例えば、周波数制御部23は、うなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが、うなり周波数推定部22で前回推定されたうなり周波数よりも小さくなるように振動装置B2の振動周波数を変える指令信号C11を生成する。
【0022】
ここで、騒音N1,N2を低減するには、騒音N1,N2の合成音のうなり周波数Δfを完全に「0」とする指令信号C11を生成すれば良いと考えられる。しかしながら、騒音低減装置1は、マイクロフォン10の測定結果だけで騒音N1,N2を低減するものであるため、うなり周波数Δfを完全に「0」にしてしまうと位相制御部24による位相制御が困難になり、騒音N1,N2の低減効果が薄れる可能性が考えられる。このため、位相制御部24の位相制御のために許容されるうなり周波数を上述の周波数制御閾値として予め規定し、うなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが周波数制御閾値以上である場合にのみ、振動装置B2の振動周波数を変える指令信号C11を生成することとしている。
【0023】
また、周波数制御部23は、振動装置B2の振動周波数を制御する上で必要となる制御情報Qを位相制御部24に出力する。具体的に、この制御情報Qは、うなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが上記の周波数制御閾値よりも小さいか否かを示す周波数制御フラグと、制御対象の周波数(振動装置B2の振動周波数)の増減方向を示す周波数制御符号とが含まれる情報である。
【0024】
位相制御部24は、局所振幅測定部21で求められた局所振幅A1と周波数制御部23からの制御情報Qとを用いて振動装置B1,B2間の位相差を制御するための指令信号C12を生成する。具体的に、位相制御部24は、周波数制御部23からの制御情報Q(周波数制御フラグ)によって、うなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが予め規定された周波数制御閾値よりも小さい旨が示されている場合に、振動装置B1,B2間の位相差を変える指令信号C12を生成する。例えば、位相制御部24は、局所振幅A1の最大値(コントローラ20の動作開始後に入力された局所振幅A1の最大値:以下、「合成波最大値」という)と局所振幅A1との比が予め規定された位相制御閾値(閾値)よりも小さくなるように振動装置B1,B2間の位相差を変える指令信号C12を生成する。
【0025】
ここで、周波数制御部23による周波数制御は騒音N1,N2を低減する上での大まかな制御の意味合いがあり、位相制御部24による位相制御は騒音N1,N2を低減する上での細かな制御の意味合いがある。このため、位相制御部24は、周波数制御部23からの制御情報Qによって、うなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが予め規定された周波数制御閾値よりも小さい旨が示されている場合にのみ、振動装置B1,B2間の位相差を変える指令信号C12を生成するようにしている。
【0026】
また、位相制御部24による位相制御は、上述の通り騒音N1,N2を低減する上での細かな制御の意味合いがあることから、振動装置B1,B2間の位相差を変えるための位相制御値が予め規定された最大位相制御値を超える場合には、位相制御値を最大位相制御値に制限する。このような制限を行うことで、位相制御部24による位相制御が周波数制御部23による周波数制御に悪影響を及ぼすのを防止している。
【0027】
演算部25は、周波数制御部23から出力される指令信号C11と、位相制御部24から出力される指令信号C12とを加算する演算を行って指令信号C2を生成する。尚、演算部25で生成された指令信号C2はインバータ30bに出力される。
【0028】
インバータ30aは、振動装置B1に対して設けられ、コントローラ20から出力される指令信号C1に応じた駆動パルスを生成して振動装置B1を駆動する。インバータ30bは、振動装置B2に対して設けられ、コントローラ20から出力される指令信号C2に応じた駆動パルスを生成して振動装置B2を駆動する。ここで、指令信号C1は値が固定された信号であるため、インバータ30aは、一定の周波数(周期)を有する駆動パルスを生成して振動装置B1を駆動する。これに対し、指令信号C2は振動装置B1,B2から発せられる騒音N1,N2に応じて値が変化する信号であるため、インバータ30bは、指令信号C2の値に応じて周波数(周期)及び位相が変化する駆動パルスを生成して振動装置B2を駆動する。
【0029】
次に、上記構成における騒音低減装置1の動作について説明する。振動装置B1,B2及び騒音低減装置1の電源が投入されると、指令信号C1がコントローラ20から出力されてインバータ30aに入力されるとともに、指令信号C2の初期値がコントローラ20から出力されてインバータ30bに入力される。すると、指令信号C1,C2に応じた駆動パルスがインバータ30a,30bでそれぞれ生成されて振動装置B1,B2に設けられたモータが回転を開始し、これにより振動装置B1,B2の振動が開始される。
【0030】
振動装置B1,B2の振動が開始されると、振動装置B1,B2から発せられる騒音N1,N2の合成音がマイクロフォン10で測定され(第1ステップ)、マイクロフォン10からコントローラ20に対して合成音の測定結果を示す測定信号S1が出力される。測定信号S1がコントローラ20に入力されると、局所振幅測定部21において、測定信号S1から騒音N1,N2の合成音の局所振幅A1を求める処理が行われる。
【0031】
具体的には、図2を用いて説明した通り、入力される測定信号S1を一定の時間間隔(例えば、0.1[sec])で区切って、各区間内における測定信号S1の絶対値の最大値を求める処理が行われることによって騒音N1,N2の合成音の局所振幅A1が求められる。局所振幅測定部21で求められた局所振幅A1は、うなり周波数推定部22及び位相制御部24に出力される。
【0032】
局所振幅測定部21で求められた局所振幅A1がうなり周波数推定部22に入力されると、うなり周波数Δfを推定する処理が行われる(第2ステップ)。具体的には、図3を用いて説明した通り、局所振幅A1を一定時間(例えば、10[sec])蓄積し、蓄積した局所振幅A1を二値化して波数を計数し、計数した波数を局所振幅A1の蓄積時間で除算する処理が行われることによってうなり周波数Δfが推定される。このうなり周波数Δfは、周波数制御部23に出力される。
【0033】
うなり周波数Δfがうなり周波数推定部22で推定されると、周波数制御部23において、推定されたうなり周波数Δfを用いて振動装置B2の振動周波数を制御するための指令信号C11を生成する処理が行われる。また、周波数制御部23の処理と並行して、位相制御部24において、局所振幅測定部21で求められた局所振幅A1と周波数制御部23からの制御情報Qとを用いて振動装置B1,B2間の位相差を制御するための指令信号C12を生成する処理が行われる。
【0034】
周波数制御部23で生成された指令信号C11、及び位相制御部24で生成された指令信号C12は、演算部25に出力される。そして、演算部25において、周波数制御部23からの指令信号C11と相制御部24からの指令信号C12とを加算する演算を行って指令信号C2を生成する処理が行われる。演算部25で生成された指令信号C2はインバータ30bに出力され、これにより振動装置B2の振動周波数及び振動装置B1,B2間の位相差が制御される(第3ステップ)。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態による騒音低減装置の周波数制御部で行われる処理の詳細を示すフローチャートである。また、図5は、本発明の一実施形態による騒音低減装置の位相制御部で行われる処理の詳細を示すフローチャートである。尚、これら図4図5に示すフローチャートは、例えば騒音低減装置1の電源が投入された時点で開始される。以下、周波数制御部23で行われる処理、及び位相制御部24で行われる処理の詳細について順に説明する。
【0036】
尚、図4に示すフローチャートの処理を行うために、周波数制御部23では、前述した周波数制御閾値と、予め規定された周波数制御ゲイン(詳細は後述する)とが用いられる。また、図5に示すフローチャートの処理を行うために、位相制御部24では、前述した位相制御閾値及び最大位相制御値と、位相制御ゲイン(詳細は後述する)とが用いられる。
【0037】
〈周波数制御部23の動作〉
処理が開始されると、まず制御対象の周波数(振動装置B2の振動周波数)の増減方向を示す周波数制御符号及び指令信号C11として出力する周波数制御出力の初期値を設定する処理が周波数制御部23で行われる(ステップS11)。上記周波数制御符号の初期値としては、例えば「負(マイナス)」が設定され、上記周波数制御出力の初期値としては、「0」が設定される。
【0038】
初期値の設定が終了すると、次にうなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが予め規定された周波数制御閾値よりも小であるか否かが周波数制御部23で判断される(ステップS12)。うなり周波数Δfが周波数制御閾値以上であると判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、周波数制御フラグ(うなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが上記の周波数制御閾値よりも小さいか否かを示すフラグ)を「FALSE(偽)」に設定する処理が周波数制御部23で行われる(ステップS13)。
【0039】
周波数制御フラグの設定処理が行われると、うなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが、うなり周波数推定部22で前回推定されたうなり周波数(うなり周波数の前回値)よりも小であるか否かが周波数制御部23で判断される(ステップS14)。うなり周波数Δfがうなり周波数の前回値よりも小であると判断された場合(判断結果が「YES」の場合には、周波数制御値を算出して周波数制御出力に加算し、振動装置B2の振動周波数を変える指令信号C11を生成する処理が周波数制御部23で行われる(ステップS15:周波数制御ステップ)。つまり、うなり周波数Δfが、うなり周波数の前回値よりも小さくなるように振動装置B2の振動周波数を変える指令信号C11を生成する処理が周波数制御部23で行われる。
【0040】
具体的に、周波数制御部23は、周波数制御符号、うなり周波数Δf、及び周波数制御ゲインを乗算して周波数制御値を算出し、算出した周波数制御値を周波数制御出力に加算して指令信号C11を生成する。尚、上記の周波数制御ゲインの大きさは、騒音低減装置1の装置特性、騒音低減装置1が設置されている環境、騒音N1,N2の低減程度等に応じて設定される。周波数制御部23で生成された指令信号C11がインバータ30bに出力されると、指令信号C11の値に応じて振動装置B2の振動周波数が変化する。
【0041】
以上の処理が終了すると、一定時間待機する処理が周波数制御部23で行われる(ステップS16)。ここで、周波数制御部23の待機時間は、周波数制御のために必要とされる待ち時間に、うなり周波数推定部22がうなり周波数Δfを推定するために必要となる時間(局所振幅A1の蓄積時間)を加えて得られる時間(例えば、数十秒〜数分程度の時間)である。待機処理が終了すると、処理はステップS12に戻って再びうなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが予め規定された周波数制御閾値よりも小であるか否かが周波数制御部23で判断される。
【0042】
これに対し、ステップS14において、うなり周波数Δfがうなり周波数の前回値以上であると判断された場合(判断結果が「NO」の場合には、周波数制御符号を反転する処理が周波数制御部23で行われる(ステップS17)。つまり、現状ではうなり周波数が大きくなる方向であるため、うなり周波数が小さくなる方向に周波数制御符号を変える処理が行われる。かかる処理が終了すると、周波数制御値を算出して周波数制御出力に加算する処理(ステップS15)及び一定時間待機する処理(ステップS16)が順に周波数制御部23で行われ、その後にステップS12の処理に戻る。
【0043】
他方、ステップS12において、うなり周波数Δfが周波数制御閾値よりも小であると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、周波数制御フラグを「TRUE(真)」に設定する処理が周波数制御部23で行われ(ステップS18)、続いて一定時間待機する処理が周波数制御部23で行われる(ステップS19)。ここで、周波数制御部23の待機時間は、ステップS16における待機時間と同様であり、周波数制御のために必要とされる待ち時間に、うなり周波数推定部22がうなり周波数Δfを推定するために必要となる時間(局所振幅A1の蓄積時間)を加えて得られる時間(例えば、数十秒〜数分程度の時間)である。
【0044】
待機処理が終了すると、処理はステップS12に戻って再びうなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが予め規定された周波数制御閾値よりも小であるか否かが周波数制御部23で判断される。つまり、うなり周波数推定部22で推定されたうなり周波数Δfが予め規定された周波数制御閾値よりも小である場合には、振動装置B2の振動周波数を変える指令信号C11を生成する処理は行われない。以降、以上説明した処理が繰り返される。
【0045】
〈位相制御部24の動作〉
処理が開始されると、まず合成波最大値(コントローラ20の動作開始後に入力された局所振幅A1の最大値)を求める処理が位相制御部24で行われる(ステップS21)。具体的には、新たに入力された局所振幅A1が、過去に入力された局所振幅A1の最大値(過去の合成波最大値)よりも大きいか否かを判断し、大きいと判断した場合には合成波最大値を更新する処理が行われる。
【0046】
合成波最大値の算出処理が終了すると、周波数制御部23からの制御情報Qに含まれる周波数制御フラグが「TRUE」であるか否かが位相制御部24で判断される(ステップS22)。周波数制御フラグが「TRUE」ではないと判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、指令信号C12として出力する位相制御出力を「0」に設定する処理が位相制御部24で行われる(ステップS23)。
【0047】
以上の処理が終了すると、一定時間待機する処理が位相制御部24で行われる(ステップS24)。ここで、位相制御部24の待機時間は、周波数制御部23の待機時間と同様であり、周波数制御のために必要とされる待ち時間に、うなり周波数推定部22がうなり周波数Δfを推定するために必要となる時間(局所振幅A1の蓄積時間)を加えて得られる時間(例えば、数十秒〜数分程度の時間)である。待機処理が終了すると、処理はステップS21に戻って再び合成波最大値を算出する処理が行われる。
【0048】
ここで、周波数制御フラグが「TRUE」ではない場合(即ち、周波数制御フラグが「FALSE」である場合)には、周波数制御部23で周波数制御が行われている状態である(図4中のステップS14〜S17)。前述した通り、周波数制御部23による周波数制御は騒音N1,N2を低減する上での大まかな制御の意味合いがあり、位相制御部24による位相制御は騒音N1,N2を低減する上での細かな制御の意味合いがある。このため、周波数制御部23による大まかな制御が行われている間は、位相制御部24による細かな制御を行わないようにしている。
【0049】
他方、ステップS22において、周波数制御部23からの制御情報Qに含まれる周波数制御フラグが「TRUE」であると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、局所振幅A1と合成波最大値との比が位相制御閾値以上であるか否かが位相制御部24で判断される(ステップS25)。尚、上記位相制御閾値は、位相制御を行うか否かを規定する閾値であり、例えば「0.1」〜「0.2」程度の値である。
【0050】
ここで、上記の合成波最大値は、振動装置B1,B2の動作開始後に振動装置B1,B2から発せられた騒音N1,N2の合成音の最大音圧を示すものであり、局所振幅A1と合成波最大値との比は、その最大音圧に対して騒音N1,N2の合成音の音圧がどの程度下がったかを示す指標となるものである。このため、位相制御部24は、ステップS25の処理で、騒音N1,N2の合成音の最大音圧が十分下がったか否かを判断している。
【0051】
ステップS25において、局所振幅A1と合成波最大値との比が位相制御閾値よりも小さいと判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、指令信号C12として出力する位相制御出力を「0」に設定する処理が位相制御部24で行われる(ステップS23)。続いて、一定時間待機する処理が位相制御部24で行われ(ステップS24)、その後にステップS21の処理に戻る。
【0052】
これに対し、ステップS25において、局所振幅A1と合成波最大値との比が位相制御閾値以上であると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、位相制御値を算出して位相制御出力に加算し、振動装置B1,B2間の位相差を変える指令信号C12を生成する処理が位相制御部24で行われる(ステップS26:位相制御ステップ)。つまり、局所振幅A1と合成波最大値との比が位相制御閾値よりも小さくなるように振動装置B1,B2間の位相差を変える指令信号C12を生成する処理が位相制御部24で行われる。
【0053】
具体的に、局所振幅A1と合成波最大値との比を「振幅比」と呼ぶことにすると、位相制御部24は、振幅比と位相制御閾値との差分に対し、周波数制御符号及び位相制御ゲインを乗算して位相制御値を算出する。尚、上記の位相制御ゲインの大きさは、周波数制御ゲインの大きさと同様に、騒音低減装置1の装置特性、騒音低減装置1が設置されている環境、騒音N1,N2の低減程度等に応じて設定される。
【0054】
ここで、位相制御部24は、算出した位相制御値が、予め規定された最大位相制御値を超える場合には、位相制御値を最大位相制御値に制限する。これは、位相制御部24による位相制御が周波数制御部23による周波数制御に悪影響を及ぼすのを防止するためである。位相制御部24は、以上の処理によって求めた位相制御値を位相制御出力に加算して指令信号C12を生成する。位相制御部24で生成された指令信号C12がインバータ30bに出力されると、指令信号C12の値に応じて振動装置B1,B2間の位相差が変化する。以上の処理が終了すると、一定時間待機する処理が位相制御部24で行われ(ステップS24)、その後にステップS21の処理に戻る。以降、以上説明した処理が繰り返される。
【0055】
以上の通り本実施形態では、複数の振動装置B1,B2から発せられる騒音N1,N2の合成音をマイクロフォン10で測定し、マイクロフォン10の測定結果から騒音N1,N2の合成音のうなり周波数を推定し、推定されたうなり周波数を用いて振動装置B2の振動周波数及び振動装置B1,B2間の位相差を制御するようにしている。これにより、マイクロフォン10の測定結果だけで複数の振動装置B1,B2から発生する騒音N1,N2を効果的に低減することができる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態による騒音低減装置及び騒音低減方法について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、2つの振動装置B1,B2のうちの振動装置B2のみを制御する例について説明したが、振動装置B1,B2の双方を制御するようにしても良い。
【0057】
また、上記実施形態では、マイクロフォン10から出力される測定信号S1をそのまま用いて局所振幅A1を求める例について説明した。しかしながら、実用上は、マイクロフォン10から出力される測定信号S1に対して何らかのフィルタリング処理を行い、低減しようとしている周波数成分以外の周波数成分を除去した上で局所振幅A1を求めるのが望ましい。尚、フィルタリング処理は、ハードウェアによって行われるもの及びソフトウェア的に行われるものの何れであっても良い。
【0058】
尚、上記実施形態では、複数の振動装置B1,B2(振動動作を行う装置)から発せられる騒音を低減する騒音低減装置1について説明したが、本発明は、複数の回転装置(ファン等の回転動作を行う装置)から発せられる騒音を低減する騒音低減装置に適用することも可能である。つまり、本発明は、周期的な動作を行う複数の対象装置から発せられる騒音を低減する騒音低減装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1…騒音低減装置、10…マイクロフォン、21…局所振幅測定部、22…うなり周波数推定部、23…周波数制御部、24…位相制御部、B1,B2…振動装置、N1,N2…騒音、Q…制御情報
図1
図2
図3
図4
図5