特許第6245736号(P6245736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245736
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/40 20060101AFI20171204BHJP
   A47C 7/46 20060101ALI20171204BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   A47C7/40
   A47C7/46
   A47C31/02 A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-217343(P2013-217343)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2015-77338(P2015-77338A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 僚
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 新平
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−289977(JP,A)
【文献】 特許第5230929(JP,B2)
【文献】 特開2007−130348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/40
A47C 7/46
A47C 31/02
A47C 7/22
A47C 7/24
A47C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格部を成す略矩形状の基体と、
該基体の表面側に配置されるクッション材と、
少なくとも前記クッション材の外側面と前記基体の外周縁部にかかる部分を覆い、周縁部が前記基体の外周縁部の裏側に折り返されて前記基体に支持される張材と、
前記基体の裏面側に配置され、少なくとも前記張材の折り返し部分を覆うカバー部材と、を有する荷重支持体を備えた椅子において、
前記カバー部材は、
前記基体の角部を覆った前記張材の角部被覆部方向に中央側から延出して、前記角部被覆部の裏面側を覆う張り出し部と、
隣接する前記張り出し部の間にあって、隣接する前記張り出し部を結ぶ仮想直線に対して中央領域側に向かって凹状に窪む凹部と、を備えていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記基体は、背凭れ部の背面支持部材であり、前記凹部は、前記カバー部材上の前記背面支持部材の左右の側辺に対応する領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記背面支持部材の上端部と下端部の間には、側面視で前方に凸状に湾曲若しくは屈曲する膨出領域が設けられ、前記凹部は、前記カバー部材上の前記背面支持部材の前記膨出領域に対応する部位に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の椅子。
【請求項4】
前記背面支持部材の前記膨出領域と前記カバー部材の間には、ランバーサポート装置が設けられ、前記カバー部材の凹部には、前記ランバーサポート装置の一部が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の椅子。
【請求項5】
前記基体は、背凭れ部の背面支持部材であり、前記凹部は、前記カバー部材上の前記背面支持部材の上辺部に対応する領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項6】
前記基体は、背凭れ部の背面支持部材であり、前記凹部は、前記カバー部材上の前記背面支持部材の左右の側辺に対応する領域と前記背面支持部材の上辺部に対応する領域とに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項7】
前記基体における前記カバー部材の凹部に対応する部位には、剛性を高めるための補強部が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、背凭れ部や座体等の荷重支持体の構造を改良した椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
事務用等として用いられる椅子の背凭れ部や座体は、通常、骨格部を成す基体の表面側にウレタン等のクッション材が配置され、クッション材の外側面と基体の外周縁部にかかる部分がシート状の張材によって覆われている。
【0003】
この種の椅子の張材の取り付けに際しては、汚損時等に張材を交換し易いことや、張材の全域に安定した張力を付与し易いことから、張材の周縁部を基体の裏面側に折り返した後に締付紐条を用いて窄め、それによって張材を基体に固定する手法が多く用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
ところで、張材の周縁部が上述のようにして基体の裏面側で締め込まれる椅子においては、張材の周縁部の各部、特に、基体の角部に対応する領域に多くの皺や不要な襞が生じ易くなる。
このため、特許文献2に記載の椅子のように、基体の裏面側にカバー部材を配置して、張材の周縁部の締付部分をカバー部材によって覆うものは、外観体裁を改善する観点から望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4620950号公報
【特許文献2】特許第5230929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、背凭れ部等の椅子の荷重支持体は、着座者の身体の細かな動きに追従した様々な方向への弾性変形が要求される。特許文献2に記載の椅子は、基体の裏面側にカバー部材が配置されることから、このような要求を考えた場合には不利となり易い。即ち、特許文献2に記載の椅子は、荷重支持体の面方向のほぼ全域が基体とカバー部材による二重構造とされているため、着座者からの局部的な荷重入力に対し弾性変形が阻害され易い。したがって、引用文献2に記載の椅子は、外観体裁を改善する観点においては多大な効果があるものの、座り心地の観点からは改善の余地が残っている。
【0007】
そこでこの発明は、張材上の皺や襞をカバー部材によって覆い隠しつつ、荷重支持体の変形許容度を可及的に高めることのできる椅子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る椅子では、上記課題を解決するために以下の構成を採用した。
骨格部を成す略矩形状の基体と、該基体の表面側に配置されるクッション材と、少なくとも前記クッション材の外側面と前記基体の外周縁部にかかる部分を覆い、周縁部が前記基体の外周縁部の裏側に折り返されて前記基体に支持される張材と、前記基体の裏面側に配置され、少なくとも前記張材の折り返し部分を覆うカバー部材と、を有する荷重支持体を備えた椅子において、前記カバー部材は、前記基体の角部を覆った前記張材の角部被覆部方向に中央側から延出して、前記角部被覆部の裏面側を覆う張り出し部と、隣接する前記張り出し部の間にあって、隣接する前記張り出し部を結ぶ仮想直線に対して中央領域側に向かって凹状に窪む凹部と、を備えていることを特徴とするものである。
この発明の場合、基体の角部を覆った張材の角部被覆部の裏面側がカバー部材の張り出し部によって覆われ、張材の角部被覆部の皺や襞がカバー部材によって確実に覆い隠されるようになる。また、カバー部材には隣接する張り出し部の間に位置して中央領域側に向かって窪む凹部が設けられているため、荷重支持体のその凹部に対応する領域では、基体の背面側にカバー部材の存在しない一重構造となる。このため、荷重支持体の凹部に対応する領域では、着座者側からの荷重入力に対して弾性変形し易くなる。
【0009】
前記基体が背凭れ部の背面支持部材である場合には、前記凹部は、前記カバー部材上の前記背面支持部材の左右の側辺に対応する領域に設けられることが望ましい。
この場合、着座者の背中が様々な方向に動くことで変形荷重が作用し易い背面支持部材の側辺に凹部が設けられているため、着座者の背中の動きに背凭れ部を柔軟に追従させることが可能になる。
【0010】
前記背面支持部材の上端部と下端部の間に、側面視で前方に凸状に湾曲若しくは屈曲する膨出領域が設けられている場合には、前記凹部は、前記カバー部材上の前記背面支持部材の前記膨出領域に対応する部位に形成されることが望ましい。
この場合、背面支持部材の膨出領域は、他の部位よりも早いタイミングで着座者の背部から変形荷重を受け易いため、この部位に凹部が存在することにより、この部位での背凭れ部の追従変形が容易になって、着座者の座り心地が向上する。特に、膨出領域が着座者の腰部付近を支持する高さ位置にあるときには、凹部によって着座者の腰部や腹部の側面の圧迫感が小さくなることから、座り心地がより良好となる。
【0011】
前記背面支持部材の前記膨出領域と前記カバー部材の間には、ランバーサポート装置が設けられ、前記カバー部材の凹部には、前記ランバーサポート装置の一部が配置されるようにしても良い。
この場合、ランバーサポート装置の操作部等が背面支持部材の側辺の背面側に配置し易くなるとともに、ランバーサポート装置の配置される部位における背面支持部材の側端部の剛性が過剰に高まるのを抑制することができる。
【0012】
前記基体が背凭れ部の背面支持部材である場合には、前記凹部は、前記カバー部材上の前記背面支持部材の上辺部に対応する領域に設けられるようにしても良い。
この場合、着座者が後方に反り返ることで変形荷重が作用し易い背面支持部材の上辺部に凹部が設けられているため、着座者の反り返り動作に背凭れ部を柔軟に追従させることが可能になる。
【0013】
前記基体が背凭れ部の背面支持部材である場合には、前記凹部は、前記カバー部材上の前記背面支持部材の左右の側辺に対応する領域と前記背面支持部材の上辺部に対応する領域とに設けられるようにしても良い。
この場合、着座者の背中が様々な方向に動くことで変形荷重が作用し易い背面支持部材の側辺と、着座者が後方に反り返ることで変形荷重が作用し易い背面支持部材の上辺部とに凹部が設けられているため、着座者の様々な動作に背凭れ部を柔軟に追従させることが可能になる。
【0014】
前記基体における前記カバー部材の凹部に対応する部位には、剛性を高めるための補強部が設けられるようにしても良い。
この場合、裏面側がカバー部材によって支持されない基体上の凹部に対応する部分の急激な剛性低下が補強部材によって抑制される。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、基体の裏面側に配置されるカバー部材が、張材の角部被覆部の裏面側を覆う張り出し部と、隣接する張り出し部の間にあって隣接する張り出し部を結ぶ仮想直線に対して中央領域側に向かって凹状に窪む凹部と、を備えた構成とされているため、皺や襞の生じやすい張材の角部被覆部をカバー部材の張り出し部によって確実に覆い隠すことができるとともに、荷重支持体上のカバー部材の凹部に対応する領域の弾性変形を容易にすることができる。したがって、張材の皺や襞をカバー部材によって覆い隠しつつ、荷重支持体の変形許容度を可及的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の第1の実施形態の椅子の側面図である。
図2】この発明の第1の実施形態の椅子の背面図である。
図3】この発明の第1の実施形態の背板の背面図である。
図4】この発明の第1の実施形態の背凭れ本体のカバー部材を取り去った背面図である。
図5】この発明の第1の実施形態の背凭れ本体の図4のV−V断面に対応する断面図である。
図6】この発明の第2の実施形態の椅子の背面図である。
図7】この発明の第2の実施形態の椅子の図6のVII−VII断面に対応する断面図(A)と、断面図(A)の右側面から見た部品の側面図(B)を併せて記載した図である。
図8】この発明の第3の実施形態の椅子の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する各実施形態においては、共通部分に同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
なお、以下の説明においては、椅子に正規姿勢で着座した人の正面が向く図中矢印FRの指す向きを「前」と呼び、それと逆側の向きを「後」と呼ぶものとする。また、「上」,「下」と「左」,「右」については、椅子に正規姿勢で着座した人の上方の図中矢印UPの指す向きを「上」、それと逆側の向きを「下」と呼び、椅子に正規姿勢で着座した人の左側の図中矢印LHの指す向きを「左」、それと逆側の向きを「右」と呼ぶものとする。
【0018】
最初に、図1図5に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態の椅子1の全体構成を示す側面図であり、図2は、椅子1の全体の背面図である。
これらの図に示すように、この実施形態の椅子1は、フロアF上に載置される脚部2と、脚部2の上端に設置されるボックス状の支基3と、着座者が着座する座体4と、支基3の上面に取り付けられ座体4を支持する座受部材5と、支基3から後部上方側に延出して座体4に着座した着座者の背中を支持する背凭れ部6と、を備えている。
脚部2は、キャスタ7a付きの多岐脚7と、多岐脚7の中央部より起立し昇降機構であるガススプリングを内蔵する脚柱8と、を備え、脚柱8の上端部に支基3が水平方向に回転可能に取り付けられている。支基3には、脚柱8の昇降調整機構と背凭れ部6の傾動調整機構が内蔵されている。背凭れ部6は、側面視略L字状の背凭れ支持フレーム9と、背凭れ支持フレーム9の後上部に取り付けられ座体4に着座した着座者の背部を直接支持する背凭れ本体10と、を備え、背凭れ支持フレーム9の前部下端が支基3内の傾動調整機構に連結されている。
【0019】
この実施形態においては、背凭れ部6が荷重支持体を構成している。
背凭れ部6の背凭れ本体10は、骨格部を成す背面支持部材である背板11(基体)と、背板11の前面側に配置されるウレタン等から成るクッション材12(図5参照)と、クッション材12の外側面と背板11の外周縁部にかかる部分を覆うシート状の張材13と、背板11の裏面側(後面側)を覆うカバー部材14と、を備えている。この実施形態の場合、クッション材12は、張材13の裏面に熱溶着によって一体に接合されている。
【0020】
図3は、背板11を裏面側から見た図であり、図4は、カバー部材14を取り去った背凭れ本体10を裏面側から見た図、図5は、図4のV−V断面に対応する断面図である。
背板11は、弾性を有する合成樹脂によって形成されている。背板11は、正面視では四隅が丸みを帯びた縦長の略長方形状に形成され、その前面側で着座者の腰部から背部に亘る部位を支持し得るようになっている。背板11は、高さ方向の下から3分の1程度の高さ位置で着座者の腰部付近を支持し、それよりも上方側の領域で着座者の背部付近を支持する。なお、以下では、背板11のうちの着座者の腰部付近を支持する領域を「腰部支持領域11a」と呼び、それよりも上方側で着座者の背部付近を支持する領域を「背部支持領域11b」と呼ぶものとする。
【0021】
背板11は、側面視で腰部支持領域11aが前方側に凸状に湾曲し、その部分が着座する着座者の腰部に最初に接触する膨出領域を構成している。また、背板11の前面は、上下方向のほぼ全域の水平断面が後方側に凹状に湾曲する形状とされている。この背板11の前面の凹形状は上下方向で窪み深さが変化しており、腰部支持領域11aの上下方向の中間部付近が最も大きく窪んでいる。また、背板11の外周縁部は裏面側に向かって湾曲し、特に、上方側の縁部11cは端末部が略水平姿勢に近づくように裏面側(後方側)に向かって大きく湾曲している。
なお、図3図4中の符号90は、背板11の腰部支持領域11aの上下方向の略中央位置から背部支持領域11bに跨る領域に、背板11の柔軟な撓み変形を得るために形成されたスリットがある。
【0022】
さらに、背板11の裏面側には、背板11の外周形状に略沿うように係止溝15が環状に形成されている。この係止溝15は、背板11の裏面に突設された内側壁部15aと外側壁部15bによって形成されている。係止溝15は、背板11の外周端部から中央領域側に設定距離離間した位置に設けられている。係止溝15には、後に詳述するように背板11を被覆した張材13の周縁部13aが挿入されて係止される。係止溝15の内側壁部15aの適宜ヶ所には、張材13の周縁部13aの抜けを規制するための抜け止め突起16が突設されている。この実施形態の場合、抜け止め突起16は、係止溝15の四隅の角部と、上辺及び下辺の略中央位置に設けられている。
また、背板11の裏面のうちの、背板11の左右の側辺と、その側辺に対向する外側壁部15bの間の領域には、背板幅方向に延出して背板11の側辺と外側壁部15bを連結する複数の補強リブ17が設けられている。なお、背板11の水平断面は、腰部支持領域11aが最も大きく凹状に窪んでいるため、この凹形状の窪み深さに応じて腰部支持領域11aに配置される補強リブ17の前後方向の突出高さが他の補強リブ17の突出高さよりも高くなっている。
【0023】
一方、背板11の前面と外周縁部を覆う張材13は、その周縁部13aが背板11の外周縁部で裏面側に折り返され、その状態で周縁部13aが締付紐条18によって窄められて背板11の裏面側に固定されている。
具体的には、張材13の周縁部13aには、図5に示すように、樹脂製の糸の縫い付けによって連続したリング状の挿通部19が設けられ、その挿通部19に締付紐条18が通されるようになっている。そして、張材13の周縁部13aを背板11の裏面側に固定する場合には、張材13の周縁部13aを背板11の裏側に折り返し、その状態で締付紐条18を内側のループを狭めるように締め込み、図4に示すように、締付紐条18と張材13の周縁部13aとを、係止溝15内に入れ込んだ状態で締付紐条18の端部同士を結束する。こうして、締付紐条18が結束されると、張材13の周縁部13aが係止溝15内に固定され、締付紐条18と周縁部13aの係止溝15からの抜けが抜け止め突起16によって規制される。
この結果、背板11の前面と外周縁部を覆った張材13は、周縁部13aが背板11の裏面側に引き込まれて背板11の前面側の張力を高められるとともに、背板11に対する相対位置を固定される。そして、こうして張材13が背板11に固定されると、係止溝15が背板11の外周形状に略沿って形成されていることから、張材13の周縁部13aは、図4に示すように、背板11の外周形状と略相似形状をなした状態で固定される。なお、張材13のうちの背板11の各角部を覆う部分については、以下、「角部被覆部13b」と呼ぶものとする。
【0024】
ところで、背板11の裏面側を覆うカバー部材14は、背板11の裏面側に凹凸嵌合等の適宜手段によって固定される。この実施形態の場合、座体4の後方側から上方に立ち上がる背凭れ支持フレーム9の延出部9aは、カバー部材14の前面側に締結固定されている。支持フレーム9の延出部9aの前方側は背板11によって覆われている。この実施形態では、カバー部材14は、背凭れ支持フレーム9とともに着座者からの入力荷重を支える強度部材として機能するため、剛性の高い合成樹脂によって形成されている。
なお、カバー部材14は必ずしも強度部材でなくても良く、その場合には、背板11を直接背凭れ支持フレーム9に連結すれば良い。
【0025】
カバー部材14は、図2に示すように、中央領域から張材13の四隅の角部被覆部13b方向に中央側から延出して、各角部被覆部13bの裏面側を覆う4つの張り出し部20と、左側上下の張り出し部20の間と右側上下の張り出し部20の間にあって、上下の張り出し部20を結ぶ仮想直線L1に対して背凭れ幅方向の内側に凹状に窪む2つの凹部21と、を備えている。この実施形態の場合、カバー部材14の左右の凹部21は、背板11の腰部支持領域11aの前方側に膨出する部分に対応する位置に設けられている。カバー部材14の凹部21は、上下の張り出し部20に比較して幅方向内側に窪んでいるが、この凹部21の縁部は少なくとも張材13の周縁部13aの裏面側を覆うようになっている。
なお、背板11上のカバー部材14の凹部21に対応する部位には、前述のように突出高さの高い補強リブ17が配置されている。
【0026】
以上のように、この実施形態に係る椅子1では、背板11を被覆した張材13の周縁部13aの後方側にカバー部材14が配置され、皺や襞が生じやすい張材13の周縁部13aの裏面側がカバー部材14によって覆い隠されているため、張材13の皺や襞が外部から見えることによる外観体裁の低下を防止することができる。特に、この椅子1においては、カバー部材14の中央側から張材13の四隅の角部被覆部13b方向に延出する張り出し部20が設けられているため、皺や襞の生じやすい張材13の角部被覆部13bの広い領域を張り出し部20によって確実に覆い隠すことができる。
【0027】
また、この実施形態に係る椅子1では、カバー部材14の左右の側辺に、背凭れ幅方向の内側に窪む凹部21が設けられているため、背凭れ本体10の左右の側辺の一部が、背板11の裏面側にカバー部材14の存在しない一重構造となる。このため、背凭れ本体10の側辺に着座者から荷重が入力されたときに、前記の一重構造部分が弾性変形し易くなる。したがって、この実施形態に係る椅子1においては、張材13の皺や襞をカバー部材14によって覆い隠しつつ、背凭れ本体10(背凭れ部6)の変形許容度を可及的に高めることができる。
【0028】
この実施形態の椅子1においは、カバー部材14の左右の側辺に凹部21が設けられているため、着座者が上体を捩る等して着座者の背部から背凭れ本体10の側辺に荷重が入力されたときに、着座者の背中の動きに背凭れ本体10を柔軟に追従させることができる。
【0029】
特に、この実施形態の場合、カバー部材14の左右の側辺のうちの、背板11の腰部支持領域11aの前方膨出部分に対応する位置に凹部21が設けられているため、着座者の背中の動きに応じて速いタイミングで背凭れ本体10を追従変形させることができる。また、この場合、背凭れ本体10の着座者の腰部や腹部の側面に接触する部分が柔軟に変形することから、着座者の腰部や腹部の側面側の圧迫感を小さくすることができる。
【0030】
また、この実施形態の椅子1においては、背板11におけるカバー部材14の凹部21に対応する部位に、突出高さの高い補強リブ17が設けられているため、裏面側がカバー部材14によって支持されない背板11上の凹部21に対応する部位の急激な剛性低下を抑制することができる。したがって、背板11の側辺の耐久性を高めることができる。
【0031】
つづいて、図6図7に示す第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるが、背凭れ本体10にランバーサポート装置30が組み込まれている点が大きく異なっている。
【0032】
図6は、この実施形態の椅子101の全体構成を示す側面図であり、図7(A)は、背凭れ本体10をランバーサポート装置30部分で切断した断面を示す図、図7(B)は、ランバーサポート装置30の押圧カム部33の側面を示す図である。
ランバーサポート装置30は、背凭れ本体10の幅方向に沿って延出する軸部31と、軸部31の延出方向の両端部に設けられた操作部32と、軸部31上の二ヵ所に偏心して設けられた円板状の押圧カム部33と、を備え、軸部31がカバー部材114の前面に回動可能に支持されている。ランバーサポート装置30は、背板11の前方側に膨出する腰部支持領域11aとカバー部材14の間に設けられており、軸部31の両側に突出する操作部32は、カバー部材14の両側の側辺の凹部21から外側に突出している。なお、押圧カム部33は、背板11の腰部支持領域11aの背面側に配置されている。このため、操作部32によって押圧カム部33を回動させることにより、腰部支持領域11aに対する押圧高さを調整することができる。
【0033】
この実施形態の椅子101は、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるうえ、背板11の前方側に膨出する腰部支持領域11aとカバー部材14の間にランバーサポート装置30が設けられ、カバー部材14の左右の側辺の凹部21にランバーサポート装置30の操作部32が配置されることから、ランバーサポート装置30の操作部32を操作のし易い位置に容易に設置することができる。また、この実施形態の椅子101の場合、ランバーサポート装置30の両側の操作部32の背面側にカバー部材14が存在しないことから、背板11の腰部支持領域11aの側方部の剛性が過剰に高まるのを抑制することができる。
【0034】
図8は、第3の実施形態に係る椅子201の背面を示す図である。
この実施形態の椅子201は、カバー部材214の左右の側辺に加えて、カバー部材214の上辺の略中央にも同様の凹部221設けられている。この上辺の凹部221は、上辺左右の張り出し部20を結ぶ仮想直線L2に対して背凭れ本体10の下方側に凹状に窪むように形成されている。なお、この実施形態の場合も、背板(背面支持部材)上の、カバー部材214の凹部221に対応する部位に、補強リブ等の補強部を設けるようにしても良い。
【0035】
この実施形態の椅子201においては、皺や襞の生じやすい張材13の角部被覆部13bをカバー部材14の張り出し部20によって確実に覆い隠しつつ、カバー部材214の左右の側辺に設けられる凹部21によって着座者の背中の様々な動きに背凭れ本体10の側縁部を柔軟に追従させることができ、さらに、着座者が後方側に反り返った場合にも、その反り返り動作に応じて背凭れ本体10の上縁部を柔軟に追従させることができる。
【0036】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の第3の実施形態においては、カバー部材の左右の側辺と上辺とに凹部を設けたが、カバー部材の上辺のみに凹部を設けることも可能である。また、上記の各実施形態は、背凭れ部が荷重支持体である実施形態であるが、荷重支持体は座体であっても良い。
また、上記の実施形態においては、張材の周縁部を、基体(背面支持部材,背板)の裏面側で締付紐条によって締め込んで基体に固定しているが、張材の周縁部は、周縁部に剛性のある縁材を取り付けてその縁材を基体側の溝に嵌合するようにしたり、タッカー等によって基体の裏面に直接結合するようにしたりしても良い。さらに、基体は必ずしも板状構造のものに限らず、枠状のものであっても良い。
【符号の説明】
【0037】
6 背凭れ部(荷重支持体)
11 背板(基体,背面支持部材)
12 クッション材
13 張材
13b 角部被覆部
14,114,214 カバー部材
17 補強リブ(補強部)
20 張り出し部
21,221 凹部
30 ランバーサポート装置
L1,L2 仮想直線
図1
図2
図3
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図5
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図8