特許第6245746号(P6245746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245746
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/02 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   B65D35/02 C
   B65D35/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-18038(P2014-18038)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-145261(P2015-145261A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川 勝正
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−160756(JP,A)
【文献】 特開2012−012067(JP,A)
【文献】 特開平08−072907(JP,A)
【文献】 実開昭52−136843(JP,U)
【文献】 特開2002−255142(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3174250(JP,U)
【文献】 特開2009−121782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の口頚部を有するヘッドと、該ヘッドの下端に一体的につながり、その内側に内容物の充填空間を形成するとともに末端部を挟着、重合させて該充填空間を密封保持する胴体と、該口頚部に係合保持され、該口頚部を通して該充填空間につながる注出口を有する注出キャップとを備え、該胴体のスクイズにて該充填空間内の内容物を該口頚部および該注出口を通して外界へ注出するチューブ容器であって、
前記末端部を、板状シール片に成形してその板状シール片またはその板状シール片に貼着された薄肉シートに少なくとも一つの窓孔を設け、
前記注出キャップは、該口頚部の周りを取り囲み該口頚部の外周壁に係合可能な内筒と、該内筒の周りを間隔をおいて取り囲む外筒とを備え、
該外筒の外周壁の一部分に、該ヘッドの径方向の内側に位置する平坦壁を形成し、該平坦壁に、該板状シール片の窓孔または該薄肉シートの窓孔に連係させて該胴体を二つ折り姿勢に保持するフックを形成したことを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
前記フックは、前記注出キャップの外筒の外周壁に沿って起立する板状片からなり、その下端は、該外周壁に一体連結した固定端であり、上端は、前記板状シール片の窓孔または前記薄肉シートの窓孔に差し入れて引掛ける自由端であることを特徴とする請求項1に記載したチューブ容器。
【請求項3】
前記板状片は、前記自由端の内壁面に、前記板状シール片または薄肉シートを抜け止め保持する爪部を有することを特徴とする請求項2に記載したチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴体をスクイズすることによってヘッドに設けられた注出キャップの注出口を通して内容物を注出するチューブ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
練り歯磨き剤や調味料、化粧料、薬剤等を内容物として充填し、容器の胴体部分をスクイズすることによってヘッドに装着した注出キャップの注出口を通して内容物を注出するチューブ容器(スクイズ容器)は、円筒形からなる胴体の末端底部に設けられた開放端を通して内容物を充填したのち、該開放端を挟着、重合(熱シール法や超音波法等を適用する)しその部位に板状シール片を形成することによって内容物の充填空間を密封している。
【0003】
通常、この種の容器は、充填空間内の内容物が減少してくると、充填空間内に残存する内容物をもれなく注出するために胴体部分を板状シール片から注出口に向けて扱き、内容物が存在している胴体部分を押圧して充填空間内の内容物を注出するのが普通であるが、このような扱き作業は、胴体部分の全域について、しかも、内容物を注出する度に行う必要があることから、内容物が注出しずらく、使い勝手がよいとはいえないものであった。
【0004】
この点に関し、例えば、特許文献1には、細板状の一対の板材の夫々の一方端部同士をヒンジ連結し、一方の板材の他方端部に係止孔を開設すると共に、他方の板材の他方端部に、一方の板材の係止孔に嵌入係止する係止片を突設し、一対の板材間でチューブ容器の一部を挟持するしごき具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3046997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来のしごき具は、チューブ容器とは別途に製造される部材であり、部品点数の増加を伴うために製造コストの上昇が避けられない不具合を有している。また、このようなしごき具は、チューブ容器から簡単に取り外しできることから、内容物を使い切るまでの間に紛失してしまうことも懸念される。
【0007】
本発明の課題は、余計な部材を使用したり、胴体の全域にわたる繰り返しの扱き作業を要することなしに、充填空間内の内容物の全てを、円滑かつ効率的に注出できるチューブ容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、筒状の口頚部を有するヘッドと、該ヘッドの下端に一体的につながり、その内側に内容物の充填空間を形成するとともに末端部を挟着、重合させて該充填空間を密封保持する胴体と、該口頚部に係合保持され、該口頚部を通して該充填空間につながる注出口を有する注出キャップとを備え、該胴体のスクイズにて該充填空間内の内容物を該口頚部および該注出口を通して外界へ注出するチューブ容器であって、前記末端部を、板状シール片に成形してその板状シール片またはその板状シール片に貼着された薄肉シートに少なくとも一つの窓孔を設け、前記注出キャップは、該口頚部の周りを取り囲み該口頚部の外周壁に係合可能な内筒と、該内筒の周りを間隔をおいて取り囲む外筒とを備え、該外筒の外周壁の一部分に、該ヘッドの径方向の内側に位置する平坦壁を形成し、該平坦壁に、該板状シール片の窓孔または該薄肉シートの窓孔に連係させて該胴体を二つ折り姿勢に保持するフックを形成したことを特徴とするチューブ容器である。
【0009】
上記の構成からなるチューブ容器においては、フックを、注出キャップの外筒の外周壁に沿って起立する板状片からなるものとし、その下端を、該外周壁に一体連結して固定端とし、上端を、板状シール片の窓孔または薄肉シートの窓孔に差し入れて引掛ける自由端とするのが好ましい。
【0010】
また、板状片には、自由端の内壁面に、板状シール片または薄肉シートを抜け止め保持する爪部を設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のチューブ容器によれば、板状シール片または薄肉シートを、窓孔を通して注出キャップの外周壁に設けたフックに連係させてチューブ容器の胴体を二つ折姿勢に保持するようにしたため、内容物の充填空間を減少させることが可能となり、扱き作業を別部材を用いて実施したり、胴体の全域にわたる扱き作業を要することなしに内容物のほぼ全てを効率的に注出することができる。とくに、通常のチューブ容器にあっては、充填空間内の内容物が減少していくと、保管時の載置姿勢(倒立置きした場合)は不安定なものとなるが、チューブ容器の胴体を二つ折り姿勢に保持することが可能な本発明のチューブ容器においては、全高さが低くなるので保管時の載置姿勢が安定しており(倒立置きした場合)、使い始めと変わらない使用性を確保し得る。また、本発明のチューブ容器は、胴部を折り畳んでフックに引っ掛けるものであるから容器の載置姿勢が安定化するだけでなく、扱き作業も必要ないので使い勝手がよい。
【0012】
また、本発明のチューブ容器によれば、フックは、注出キャップに一体的に設けることができるため、部品点数が増加することがなく、構造の簡素化が可能となる。
【0013】
さらに、本発明のチューブ容器によれば、板状片の自由端の内壁面に、板状シール片を抜け止め保持する爪部を設けるようにしたため、胴体の二つ折姿勢を安定的に保持し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に従うチューブ容器の実施の形態を模式的に示した図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面を断面で示した図(図1(a)のA-A断面)である。
図2図1(b)の要部を拡大して示した図である。
図3図2のB-B断面を示した図である。
図4】本発明に従うチューブ容器の使用状態を示した図である。
図5】本発明に従うチューブ容器の他の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面を用いてより具体的に説明する。
図1(a)(b)は、本発明に従うチューブ容器の実施の形態を模式的に示した図であり、(a)はその正面を示した図、(b)は、その側面図を断面で示した図である。また、図2は、図1(b)の要部を拡大して示した図であり、図3は、図2のB-B断面を示した図である。
【0016】
図における符号1は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等にて構成することができるヘッドである。このヘッド1は、内容物の注出経路を形成する筒状の口頚部1aと、円錐台形状をなしその頂部を該口頚部1aの下端に一体連結したヘッド本体1bから構成されている。口頚部1aの外周壁には、後述する注出キャップを着脱自在に装着できるように、注出キャップのねじ部に係合可能なねじ部が設けられている。
【0017】
また、2は、ヘッド1の下端に一体的につながり、その内側に内容物の充填空間Mを形成する筒状の胴体である。胴体2の末端部には、内容物を充填したのちにおいて該胴体2の壁部を相互に挟着、重合(熱融着等)して形成される板状シール片2aが設けられている。
【0018】
上記胴体2としては、例えば、ポリエチレン等の合成樹脂にて構成されたもの(合成樹脂の層を複数枚積層した積層体からなるものも含む)、あるいは、合成樹脂とアルミ箔等の金属製のシートとを積層した積層体にて構成されたもの(多層チューブ容器等)を用いることができる。なお、この胴体2は、金型を用いて上記合成樹脂や上記積層体を筒状に押し出す、押し出し成形法等を適用して成形される。
【0019】
胴体2とヘッド1とは、例えば、ヘッド1の下端に設けられた段部において胴体2の上端縁部を重ね合わせ、その重ね合わせ部位を融着等の接合手段を適用することによって一体的に接合される(図示せず)。
【0020】
また、3は、ヘッド1の口頚部1aに係合保持される注出キャップである。この注出キャップ3は、口頚部1aの周りを取り囲み該口頚部1aの外周壁に設けられたねじ部に係合可能な内筒3aと、この内筒3aの周りを間隔をおいて取り囲む外筒3bと、内筒3aおよび外筒3bの上端に一体連結する天板3cと、この天板3cの上面に設けられ、口頚部1aを通して胴体2の充填空間Mにつながる、例えば、口頚部1aに対して幾分延伸する注出口を形成する筒体3dと、天板3cの縁部にヒンジhを介して回動可能に連結される蓋体3eから構成されている。
【0021】
内筒3aと外筒3bとは、例えば、対向配置になる一対の縦リブrで一体連結することが可能であり、注出キャップ3を口頚部1aに装着する際に、該縦リブrの下端を、口頚部1aの基部に設けられた突起1cに当接させることで注出キャップ3の口頚部1aに対する位置決めを行うことができるようになっている。縦リブrは、例えば、90°間隔で4枚、あるいはそれ以上設けることも可能であり、その枚数については適宜変更することができる。
【0022】
また、蓋体3eについては、天板3cの縁部の上端に当接可能な周壁3eと、この周壁3eの上端に一体連結してその内側に下向きに開放された凹所を形成する天面壁3eにて構成される。周壁3eの下端を該天板3cに当接させて蓋体3eを閉姿勢に保持したとき、ヒンジhの対向位置(チューブ容器の正面側)において該周壁3eと天板3cとがアンダーカットの如き手段にて着脱自在に係合する。そして、その際、注出口を形成する筒体3dは天面壁3eの裏面に設けられた筒体3fと嵌合して注出口は密閉状態に保持される。蓋体3eを閉姿勢に保持する際、上記の筒体3dと筒体3fとはアンダーカットにより係合させて注出口を密閉状態に保持することも可能であり、この場合、周壁3eと天板3cとの、アンダーカットによる係合は省略してもよい。
【0023】
なお、この例では、ヘッド1の口頚部1aと注出キャップ3の内筒3aとをねじ部を介して係合させる構造のものについて示したが、アンダーカットの如き手段によって着脱自在に係合させるようにしてもよく、ヘッド1と注出キャップ3との着脱構造については図示のものに限定されない。
【0024】
また、4は、板状シール片2aの幅方向中央部に設けられた窓孔、5は、ヒンジhの直下で、注出キャップ3の外筒3bの外周壁に設けられたフックである。フック5は、注出キャップ3の外筒3bの外周壁に沿って起立するL字形状の板状片(弾性変形可能なものを適用してもよい)にて構成されており、その下端は外筒3bの外周壁下端部に一体連結した固定端となっている。また、その上端は、板状シール片2aの窓孔4に差し入れて該板状シール片2aを引掛けることができる自由端になっている。フック5の自由端の内壁面には、板状シール片2aを抜け止め保持する爪部5aが形成されている。フック5が弾性変形しにくい場合には、板状シール片2aをフック5に連係させる際に、外筒3の壁面を局所的に弾性的に変形させてもよい。なお、フック5については、L字形状をなす板状片を例として示したが、本発明は、L字形状をなす板状片を必須とするものではなく、例えば突起状のものを適用することも可能であり、また、その個数も任意に設定し得る。
【0025】
フック5は、ヘッド1の外縁部よりも外方へ突出することがないように、外筒3bの外周壁の一部分に該ヘッド1の径方向の内側に位置する平坦壁3bを形成し(図3参照)、この平坦壁3bにフック5を一体連結する
【0026】
図4は、胴体2の充填空間M内に収納された内容物が大きく減少したところで、胴体2の下半分を扱いて充填空間M内の内容物を口頚部1a側に寄せ、板状シール片2aの窓孔4にフック5に連係させて胴体2を二つ折り姿勢に保持した状態を示した図である。
【0027】
チューブ容器の胴体2を2つ折り姿勢に保持した状態にあっては、胴体2の充填空間Mについてもほぼ半減することになることから、内容物の注出するに際して胴体2の全域を扱く必要はなくなり、内容物の効率的な注出が可能となる。この際、しごき具のような別部材を使用する必要もない。
【0028】
さらに、本発明に従うチューブ容器としては、フック5に連係可能な窓孔6を有する図5に示す如き薄肉シート、例えば、ポップラベル7を、チューブ容器の胴体2の下端部、板状シール片2aに貼着しておき、必要に応じて、窓孔6をフック5に連係させてチューブ容器の胴体2を二つ折り姿勢に保持してもよい。なおここに、ポップラベルとは、他の商品との差別化を高める宣伝広告用のラベルをいうが、とくに、チューブ容器の胴体2を二つ折り姿勢に保持する目的で使用される。
【0029】
さらに、上掲図1に示した構成のものにあっては、フック5を板状シール片2aに設け、窓孔4を注出キャップ3の外筒3bの外周壁に設けることもできる。
【0030】
本発明に従うチューブ容器は、胴体2を二つ折り姿勢に保持した場合、チューブ容器自体がコンパクトにまとめることができるため、使用済みのチューブ容器を廃棄する際に、嵩張ることがない利点を有している。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、余計な部材を使用せず、しかも胴体の全域にわたる扱き作業を要することなしに充填空間内の内容物の注出を可能とするチューブ容器が提供できる。
【符号の説明】
【0032】
1 ヘッド
1a 口頚部
1b ヘッド本体
1c 突起
2 胴体
2a 板状シール片
3 注出キャップ
3a 内筒
3b 外筒
3c 天板
3d 筒体
3e 蓋体
3e 周壁
3e 天面壁
3f 筒体
4 窓孔
5 フック
6 窓孔
7 薄肉シート(ポップラベル)
h ヒンジ
r 縦リブ
図1
図2
図3
図4
図5