(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「透明」とは、可視光を透過することを意味する。よって、可視光を透過する点では、「半透明」は、透明に包含される。
「多角面」とは、3つ以上の角を有する面を意味する。多角面の辺は、直線に限定されず、湾曲していてもよい。また、多角面は、内方に湾曲した凹面であってもよく、外方に湾曲した凸面であってもよい。筒状部の外周壁に配置された複数の多角面の形状、サイズ等は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。
「線条」とは、多角面同士間に形成されて、隣り合う多角面間の境界として認識できる稜線もしくは谷線、または凸条もしくは凹条を意味する。
「稜線」とは、隣り合う多角面が交わってできる山の頂部の連なりの線分を意味する。逆に「谷線」とは、隣り合う多角面が交わってできる谷の底部の連なりの線分を意味する。ここで「交わる」とは、隣り合う多角面が出会って少なくとも1つの辺を共有することを意味する。稜線および谷線は、直線に限定されず、湾曲していてもよい。
「凸条」とは、多角面の辺に沿って延びる、多角面よりも外方に突出した突起を意味する。逆に「凹条」とは、多角面の辺に沿って延びる、多角面よりも内方に窪んだ溝を意味する。凸条および凹条は、直線状のものに限定されず、湾曲していてもよい。
「第1の多角面」とは、天蓋部から離れるにしたがって筒状部の周方向の幅が狭くなる形状の多角面である。筒状部の外周壁に複数の第1の多角面が配置されている場合、第1の多角面の形状、サイズ等は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。
「第2の多角面」とは、天蓋部から離れるにしたがって筒状部の周方向の幅が広くなる形状の多角面である。筒状部の外周壁に複数の第2の多角面が配置されている場合、第2の多角面の形状、サイズ等は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。
「縮径部」とは、筒状部において天蓋部に接続する部分であって、天蓋部に向かうにしたがって外径が小さくされることによって、縮径部以外の筒状部本体に比べ、外周壁が筒状部の軸線方向に対して傾斜している部分を意味する。筒状部本体は、縮径部に比べて小さい傾斜角で、外周壁が筒状部の軸線方向に対して傾斜していてもよい。
「肉厚部」とは、筒状部において外周壁と内周壁とに挟まれた筒状部の厚み部分を意味する。
「対向」とは、2つの面がその少なくとも一部において平行に向き合っていることを意味する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明のキャップの第1の実施形態を示す斜視図であり、
図2は、側面図であり、
図3は、上面図である。
図1および
図2における破線は、内周壁側の多角面同士間に形成された線条が外周壁側に透けて見えていることを示す。
図4は、
図2のIV−IV断面図であり、
図5は、
図2のV−V断面図である。
【0017】
キャップ1は、容器(図示略)の計量キャップとして用いられるものである。
キャップ1は、キャップ本体10と、キャップ本体10の外壁面から外方に延設された螺合部40とが一体成形されたものである。
キャップ本体10の外径は、特に限定されないが、例えば、2〜5cmとされる。
螺合部40の外径は、特に限定されないが、例えば、3〜7cmとされる。
【0018】
キャップ本体10は、筒状の上筒部12(筒状部)と、上筒部12の一方の開口端を塞ぐ、上面側からみて多角形の天蓋部14と、上筒部12の他方の開口端から上筒部12の軸線方向に延設された筒状の下筒部16とを有する有蓋筒状のものである。
上筒部12は、上筒部本体12aと、天蓋部14に接続する縮径部12bとから構成される。縮径部12bは、天蓋部14に向かうにしたがって外径が小さくされることによって、上筒部本体12aに比べ、外周壁が上筒部12の軸線方向に対して傾斜している。
【0019】
上筒部本体12aの外周壁は、上筒部本体12aの周方向に交互に配置された、天蓋部14から離れるにしたがって上筒部本体12aの周方向の幅が狭くなる三角面の第1の多角面20と、天蓋部14から離れるにしたがって上筒部本体12aの周方向の幅が広くなる三角面の第2の多角面22とで構成されている。また、上筒部本体12aの外周壁には、隣り合う第1の多角面20と第2の多角面22とが交わってできる、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線24と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線26とが形成されている。
【0020】
上筒部本体12aの内周壁は、外周壁と同様に、上筒部本体12aの周方向に交互に配置された、天蓋部14から離れるにしたがって上筒部本体12aの周方向の幅が狭くなる三角面の第1の多角面21と、天蓋部14から離れるにしたがって上筒部本体12aの周方向の幅が広くなる三角面の第2の多角面23とで構成されている。また、上筒部本体12aの内周壁には、隣り合う第1の多角面21と第2の多角面23とが交わってできる、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の谷線25と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の谷線27とが形成されている。
【0021】
上筒部本体12aの外周壁の第1の多角面20と内周壁の第1の多角面21とは、略同じ形状、略同じサイズである。また、上筒部本体12aの外周壁の第2の多角面22と内周壁の第2の多角面23とは、略同じ形状、略同じサイズである。
【0022】
上筒部本体12aの外周壁の第1の多角面20と内周壁の第2の多角面23とは、上筒部本体12aの肉厚部12cを挟んで対向している。また、上筒部本体12aの外周壁の第2の多角面22と内周壁の第1の多角面21とは、上筒部本体12aの肉厚部12cを挟んで対向している。
これにより、内周壁の第1の谷線25および第2の谷線27が、外周壁の第1の多角面20および第2の多角面22を、それぞれ3つの領域(1つのひし形面および2つの三角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されることになる。
【0023】
第1の多角面20は、第1の稜線24および第2の稜線26から、第1の多角面20を上筒部本体12aの周方向に直交する方向に二等分する中間線(図示略)に向かうにしたがって深くされた凹面とされている(
図4参照)。
【0024】
縮径部12bの外周壁は、縮径部12bの周方向に交互に配置された、天蓋部14から離れるにしたがって縮径部12bの周方向の幅が狭くなる三角面の第1の多角面30と、天蓋部14から離れるにしたがって縮径部12bの周方向の幅が広くなる三角面の第2の多角面32とで構成されている。また、縮径部12bの外周壁には、隣り合う第1の多角面30と第2の多角面32とが交わってできる、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線34と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線36とが形成されている。
【0025】
縮径部12bの内周壁は、外周壁と同様に、縮径部12bの周方向に交互に配置された、天蓋部14から離れるにしたがって縮径部12bの周方向の幅が狭くなる三角面の第1の多角面31と、天蓋部14から離れるにしたがって縮径部12bの周方向の幅が広くなる台形面の第2の多角面33とで構成されている。また、縮径部12bの内周壁には、隣り合う第1の多角面31と第2の多角面33とが交わってできる、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の谷線35と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の谷線37とが形成されている。
【0026】
縮径部12bの外周壁の第1の多角面30と内周壁の第1の多角面31とは、略同じ形状、略同じサイズである。また、縮径部12bの外周壁の第2の多角面32と内周壁の第2の多角面33とは、形状が若干異なるものの、略同じサイズである。
【0027】
縮径部12bの外周壁の第1の多角面30と内周壁の第2の多角面33とは、縮径部12bの肉厚部12cを挟んで対向している。また、縮径部12bの外周壁の第2の多角面32と内周壁の第1の多角面31とは、縮径部12bの肉厚部12cを挟んで対向している。
これにより、内周壁の第1の谷線35および第2の谷線37が、外周壁の第1の多角面30および第2の多角面32を、それぞれ3つの領域(1つのひし形面または五角形面および2つの三角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されることになる。
【0028】
第1の多角面20と第2の多角面22との合計の数、第1の多角面21と第2の多角面23との合計の数、第1の多角面30と第2の多角面32との合計の数、および第1の多角面31と第2の多角面33との合計の数は、それぞれ6〜36が好ましく、8〜24がより好ましく、9〜13がさらに好ましい。合計の数が6以上であれば、上筒部12が筒状となる。合計の数が13以下であれば、外周壁において隣り合う第1の多角面20と第2の多角面22とがなす内角が大きくなりすぎない。そのため、第1の稜線24および第2の稜線26の部分に手指が掛止されやすくなり、手指が滑りにくくなる。
【0029】
上筒部12および下筒部16には、キャップ本体10に収納した内容物の量を示す複数の目盛(図示略)が形成されている。各目盛は、天蓋部14から下筒部16に向かう距離を示す計量線と数字と容量を示す単位とからなる。目盛としては、例えば、レーザー印字や印刷(シルクスクリーン印刷、タンポ印刷等)によって形成された印字、または凸条もしくは凹条等が挙げられる。
【0030】
螺合部40は、上筒部12の他方の開口端から外方に延設された段部42と、段部42の周縁から上筒部12の軸線方向に延設された、キャップ本体10と同軸の外筒部44とを有する。
外筒部44の内周壁には、容器本体のネジ部と螺合するネジ部46が形成されている。
外筒部44の外周壁には、外筒部44の周方向に直交する方向に延びる複数の凸条が周方向に複数並んで形成されたローレット部50、およびローレット部50に隣接する、凸条が形成されていない平滑部52が形成されている。
【0031】
キャップ1は、キャップ内に注ぎ入れた内容物をはっきりと視認する点から、少なくとも上筒部12が透明な材料からなり、全体が透明な材料からなることが好ましい。
キャップ1の材料としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリスチレン等が挙げられる。
【0032】
キャップ1は、従来の計量キャップと同様に、上筒部12の外周壁に手指を当接してキャップ本体10を把持し、軸線を中心にして回動させることで、螺合部40の部分で容器本体(図示略)の口部に螺着または螺脱される。この際、使用者の手指は、上下方向への移動および回動方向への移動が第1の稜線24または第2の稜線26で充分に規制されるため、手指が上下方向および回動方向に滑りにくい。そのため、キャップ1を容器本体に容易に螺着または螺脱できる。
【0033】
内容物を計量する際は、キャップ1を容器本体から螺脱し、容器本体から内容物を注ぎ出し、注ぎ出した内容物を下筒部16の開口端からキャップ本体10内に注ぎ入れる。この際、目盛が形成された上筒部12を手で塞がないように螺合部40を把持することで、目盛と内容物とを照合できる。そして、使用者は、ローレット部50に手指を当接させることで手指の滑りが防止され、キャップ1を落下させることなく、内容物を計量できる。
【0034】
(製造方法)
キャップ1は、例えば、金型のキャビティの内周壁および金型のコアの外周壁のそれぞれに、周方向に交互に配置された第1の多角面と第2の多角面とを同じように形成し、キャビティおよびコアを周方向に相対的にずらした状態で金型を型閉めし、キャビティとコアとの間に材料を射出し、成形することによって製造できる。
【0035】
(作用機序)
以上説明したキャップ1にあっては、上筒部本体12aが、複数の三角面で構成され、かつ三角面同士間に第1の稜線24と第2の稜線26とが形成された外周壁、および複数の三角面で構成され、かつ三角面同士間に第1の谷線25と第2の谷線27とが形成された内周壁を有し;内周壁の第1の谷線25および第2の谷線27が、外周壁の三角面を、それぞれ3つの領域(1つのひし形面および2つの三角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されている。そのため、外周壁の三角面の数を多くすることなく、見かけ上、多角面が多く存在するように見せることができる。そのため、手指の滑りにくさや製造のしやすさを保ちつつ、上筒部12に宝石のカットのような意匠性を付与できる。また、内周壁の1つの谷線で2つの領域に分割されたように見える外周壁の多角面においては、外周壁側では2つの領域間で光の反射に差は見られないが、内周壁側では2つの領域(すなわち隣り合う2つの多角面)間で光の入射が異なるため、外周壁の多角面から出射する光に差が見られる。そのため、宝石のカットのようなキラキラした感じを出すことができる。
【0036】
また、上筒部本体12aの外周壁には、三角面同士間に、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線24と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線26とが形成されているため、回動により容器本体から着脱する際に手指の上下方向への移動および回動方向への移動が第1の稜線24または第2の稜線26で充分に規制される。そのため、手指が上下方向および回動方向に滑りにくい。
【0037】
また、第1の多角面20が凹面とされているため、手指が凹面に掛止されやすくなり、より確実に手指の滑りを抑えることができる。また、凹面によって光が複雑に反射および出射するため、上筒部12に宝石のカットのような意匠性をさらに付与できる。
【0038】
また、縮径部12bが、複数の三角面で構成され、かつ三角面同士間に第1の稜線34と第2の稜線36とが形成された外周壁、および複数の三角面で構成され、かつ三角面同士間に第1の谷線35と第2の谷線37とが形成された内周壁を有し;内周壁の第1の谷線35および第2の谷線37が、外周壁の第1の多角面30および第2の多角面32を、それぞれ3つの領域(1つのひし形面または五角形面および2つの三角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されている。そのため、上筒部本体12aと同じ作用機序によって、手指の滑りを抑えつつ、上筒部12における宝石のカットのような意匠性をさらに高めることができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図6は、本発明のキャップの第2の実施形態を示す斜視図であり、
図7は、側面図である。
図6および
図7における破線は、内周壁側の多角面同士間に形成された線条が外周壁側に透けて見えていることを示す。
第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
キャップ2は、容器(図示略)の計量キャップとして用いられるものである。
キャップ2は、キャップ本体10と、キャップ本体10の外壁面から外方に延設された螺合部40とが一体成形されたものである。
【0041】
上筒部本体12aの外周壁は、上筒部本体12aの周方向の辺が周方向に直交する辺よりも短くされた四角形面である多角面60が上筒部本体12aの周方向に複数配列されて構成されている。また、上筒部本体12aの外周壁には、隣り合う2つの多角面60が交わってできる、上筒部本体12aの周方向に直交する方向に延びる稜線62が形成されている。
【0042】
上筒部本体12aの内周壁は、上筒部本体12aの周方向に交互に配置された、天蓋部14から離れるにしたがって上筒部本体12aの周方向の幅が狭くなる三角面の第1の多角面21と、天蓋部14から離れるにしたがって上筒部本体12aの周方向の幅が広くなる三角面の第2の多角面23とで構成されている。また、上筒部本体12aの内周壁には、隣り合う第1の多角面21と第2の多角面23とが交わってできる、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の谷線25と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の谷線27とが形成されている。
【0043】
上筒部本体12aの外周壁の多角面60と内周壁の第1の多角面21とは、上筒部本体12aの肉厚部12cを挟んで対向している。また、上筒部本体12aの内周壁の第2の多角面23は、外周壁の稜線62で二等分される位置に配置されている。
これにより、内周壁の第1の谷線25および第2の谷線27が、外周壁の多角面60を3つの領域(3つの三角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されることになる。
【0044】
縮径部12bの外周壁は、縮径部12bの周方向の辺が周方向に直交する辺よりも長くされた四角形面である多角面70が縮径部12bの周方向に複数配列されて構成されている。また、縮径部12bの外周壁には、隣り合う2つの多角面70が交わってできる、縮径部12bの周方向に直交する方向に延びる稜線72が形成されている。
【0045】
縮径部12bの内周壁は、縮径部12bの周方向に交互に配置された、天蓋部14から離れるにしたがって縮径部12bの周方向の幅が狭くなる三角面の第1の多角面31と、天蓋部14から離れるにしたがって縮径部12bの周方向の幅が広くなる台形面の第2の多角面33とで構成されている。また、縮径部12bの内周壁には、隣り合う第1の多角面31と第2の多角面33とが交わってできる、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の谷線35と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の谷線37とが形成されている。
【0046】
縮径部12bの外周壁の多角面70と内周壁の第2の多角面33とは、縮径部12bの肉厚部12cを挟んで対向している。また、縮径部12bの内周壁の第1の多角面31は、外周壁の稜線72で二等分される位置に配置されている。
これにより、内周壁の第1の谷線35および第2の谷線37が、外周壁の多角面70を3つの領域(1つの台形面および2つの三角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されることになる。
【0047】
多角面60の数、および多角面70の数は、それぞれ3〜36が好ましく、8〜24がより好ましく、9〜13がさらに好ましい。合計の数が3以上であれば、上筒部12が筒状となる。合計の数が13以下であれば、外周壁において隣り合う2つの多角面がなす内角が大きくなりすぎない。そのため、稜線の部分に手指が掛止されやすくなり、手指が滑りにくくなる。
【0048】
第1の多角面21と第2の多角面23との合計の数、および第1の多角面31と第2の多角面33との合計の数は、それぞれ6〜36が好ましく、8〜24がより好ましく、9〜13がさらに好ましい。合計の数が6以上であれば、上筒部12が筒状となる。
【0049】
キャップ2は、従来の計量キャップと同様に、上筒部12の外周壁に手指を当接してキャップ本体10を把持し、軸線を中心にして回動させることで、螺合部40の部分で容器本体(図示略)の口部に螺着または螺脱される。この際、使用者の手指は、回動方向への移動が稜線62で充分に規制されるため、手指が回動方向に滑りにくい。そのため、キャップ2を容器本体に容易に螺着または螺脱できる。
【0050】
(製造方法)
キャップ2は、例えば、金型のキャビティの内周壁に周方向に配列した複数の四角面を形成し、金型のコアの外周壁に周方向に交互に配置された第1の多角面と第2の多角面とを形成し、金型を型閉めし、キャビティとコアとの間に材料を射出し、成形することによって製造できる。
【0051】
(作用機序)
以上説明したキャップ2にあっては、上筒部本体12aが、複数の多角面60(四角面)で構成され、かつ多角面60同士間に稜線62が形成された外周壁、および複数の三角面で構成され、かつ三角面同士間に第1の谷線25と第2の谷線27とが形成された内周壁を有し;内周壁の第1の谷線25および第2の谷線27が、外周壁の多角面60を、それぞれ3つの領域(3つの三角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されている。そのため、外周壁の多角面60の数を多くすることなく、見かけ上、多角面が多く存在するように見せることができる。そのため、手指の滑りにくさや製造のしやすさを保ちつつ、上筒部12に宝石のカットのような意匠性を付与できる。また、内周壁の1つの谷線で2つの領域に分割されたように見える外周壁の多角面においては、外周壁側では2つの領域間で光の反射に差は見られないが、内周壁側では2つの領域(すなわち隣り合う2つの多角面)間で光の入射が異なるため、外周壁の多角面から出射する光に差が見られる。そのため、宝石のカットのようなキラキラした感じを出すことができる。
【0052】
また、上筒部本体12aの外周壁には、多角面60同士間に稜線62が形成されているため、回動により容器本体から着脱する際に手指の回動方向への移動が稜線62で充分に規制される。そのため、手指が回動方向に滑りにくい。
【0053】
また、縮径部12bが、複数の多角面70(四角面)で構成され、かつ多角面70同士間に稜線72が形成された外周壁、および複数の三角面で構成され、かつ三角面同士間に第1の谷線35と第2の谷線37とが形成された内周壁を有し;内周壁の第1の谷線35および第2の谷線37が、外周壁の多角面70を、それぞれ3つの領域(1つの台形面および2つの三角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されている。そのため、上筒部本体12aと同じ作用機序によって、手指の滑りを抑えつつ、上筒部12における宝石のカットのような意匠性をさらに高めることができる。
【0054】
(第3の実施形態)
図8は、本発明のキャップの第3の実施形態を示す斜視図であり、
図9は、側面図である。
図8および
図9における破線は、内周壁側の多角面同士間に形成された線条が外周壁側に透けて見えていることを示す。
第3の実施形態において、第1の実施形態および第2の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0055】
キャップ3は、容器(図示略)の計量キャップとして用いられるものである。
キャップ3は、キャップ本体10と、キャップ本体10の外壁面から外方に延設された螺合部40とが一体成形されたものである。
【0056】
上筒部本体12aの外周壁は、上筒部本体12aの周方向の辺が周方向に直交する辺よりも短くされた四角形面である多角面60が上筒部本体12aの周方向に複数配列されて構成されている。また、上筒部本体12aの外周壁には、隣り合う2つの多角面60が交わってできる、上筒部本体12aの周方向に直交する方向に延びる稜線62が形成されている。
【0057】
上筒部本体12aの内周壁は、上筒部本体12aの周方向の辺が周方向に直交する辺よりも短くされた四角形面である多角面61が上筒部本体12aの周方向に複数配列されて構成されている。また、上筒部本体12aの内周壁には、隣り合う2つの多角面61が交わってできる、上筒部本体12aの周方向に直交する方向に延びる谷線63が形成されている。
【0058】
上筒部本体12aの内周壁の多角面61は、外周壁の稜線62で二等分される位置に配置されている。
これにより、内周壁の谷線63が、外周壁の多角面60を2つの領域(2つの四角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されることになる。
【0059】
縮径部12bの外周壁は、縮径部12bの周方向の辺が周方向に直交する辺よりも長くされた四角形面である多角面70が縮径部12bの周方向に複数配列されて構成されている。また、縮径部12bの外周壁には、隣り合う2つの多角面70が交わってできる、縮径部12bの周方向に直交する方向に延びる稜線72が形成されている。
【0060】
縮径部12bの内周壁は、縮径部12bの周方向の辺が周方向に直交する辺よりも長くされた四角形面である多角面71が縮径部12bの周方向に複数配列されて構成されている。また、縮径部12bの内周壁には、隣り合う2つの多角面71が交わってできる、縮径部12bの周方向に直交する方向に延びる谷線73が形成されている。
【0061】
縮径部12bの内周壁の多角面71は、外周壁の稜線72で二等分される位置に配置されている。
これにより、内周壁の谷線73が、外周壁の多角面70を2つの領域(2つの四角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されることになる。
【0062】
多角面60の数、多角面61の数、多角面70の数、および多角面71の数は、それぞれ3〜36が好ましく、8〜24がより好ましく、9〜13がさらに好ましい。合計の数が3以上であれば、上筒部12が筒状となる。合計の数が13以下であれば、外周壁において隣り合う2つの多角面がなす内角が大きくなりすぎない。そのため、稜線の部分に手指が掛止されやすくなり、手指が滑りにくくなる。
【0063】
キャップ3は、従来の計量キャップと同様に、上筒部12の外周壁に手指を当接してキャップ本体10を把持し、軸線を中心にして回動させることで、螺合部40の部分で容器本体(図示略)の口部に螺着または螺脱される。この際、使用者の手指は、回動方向への移動が稜線62で充分に規制されるため、手指が回動方向に滑りにくい。そのため、キャップ3を容器本体に容易に螺着または螺脱できる。
【0064】
(製造方法)
キャップ3は、例えば、金型のキャビティの内周壁および金型のコアの外周壁のそれぞれに、周方向に配列された四角面を同じように形成し、キャビティおよびコアを周方向に相対的にずらした状態で金型を型閉めし、キャビティとコアとの間に材料を射出し、成形することによって製造できる。
【0065】
(作用機序)
以上説明したキャップ3にあっては、上筒部本体12aが、複数の多角面60(四角面)で構成され、かつ多角面60同士間に稜線62が形成された外周壁、および多角面61(四角面)で構成され、かつ多角面61同士間に谷線63が形成された内周壁を有し;内周壁の谷線63が、外周壁の多角面60を、それぞれ2つの領域(2つの四角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されている。そのため、外周壁の多角面60の数を多くすることなく、見かけ上、多角面が多く存在するように見せることができる。そのため、手指の滑りにくさや製造のしやすさを保ちつつ、上筒部12に宝石のカットのような意匠性を付与できる。また、内周壁の1つの谷線で2つの領域に分割されたように見える外周壁の多角面においては、外周壁側では2つの領域間で光の反射に差は見られないが、内周壁側では2つの領域(すなわち隣り合う2つの多角面)間で光の入射が異なるため、外周壁の多角面から出射する光に差が見られる。そのため、宝石のカットのようなキラキラした感じを出すことができる。
【0066】
また、上筒部本体12aの外周壁には、多角面60同士間に稜線62が形成されているため、回動により容器本体から着脱する際に手指の回動方向への移動が稜線62で充分に規制される。そのため、手指が回動方向に滑りにくい。
【0067】
また、縮径部12bが、複数の多角面70(四角面)で構成され、かつ多角面70同士間に稜線72が形成された外周壁、および複数の多角面71(四角面)で構成され、かつ多角面71同士間に谷線73が形成された内周壁を有し;内周壁の谷線73が、外周壁の多角面70を、それぞれ2つの領域(2つの四角面)に分割するように、外周壁側に透けて見える位置に形成されている。そのため、上筒部本体12aと同じ作用機序によって、手指の滑りを抑えつつ、上筒部12における宝石のカットのような意匠性をさらに高めることができる。
【0068】
(他の実施形態)
なお、本発明のキャップは、透明な筒状部と筒状部の一方の開口端を塞ぐ天蓋部とを有し、筒状部が複数の多角面で構成された外周壁および内周壁を有し、内周壁の線条の一部または全部が、外周壁の多角面を分割するように外周壁側に透けて見える位置に形成されているものであればよく、図示例の実施形態のものに限定はされない。
【0069】
例えば、本発明のキャップは、図示例のようなキャップ本体と螺合部とからなる二重筒構造のものに限定されず、筒状部の開口端近傍の内周壁にネジ部を設けた単筒構造のものであってもよい。二重筒構造の場合、外筒部の外周壁にローレット部が形成されていなくてもよい。
また、螺合部40におけるネジ部の形成箇所は、図示例のように螺合部40の外筒部44の内周壁に限定されず、螺合部40の外筒部44の外周壁であってもよい。
また、本発明のキャップは、容器本体の口部に着脱可能に取り付けられキャップであればよく、計量キャップに限定はされない。
また、本発明のキャップは、縮径部を有するものに限定はされず、縮径部を有しなくてもよい。
また、天蓋部は、図示例のような平面形状に限定はされず、軸線方向に漸次縮径する半球形状であってもよい。
【0070】
また、多角面は、図示例のような三角面、台形面および四角面に限定はされず、ひし形面、平行四辺形面等であってもよい。ただし、手指の滑りにくさ、成形性および意匠性の点からは、三角形面または台形面が好ましい。
また、図示例では、上筒部本体の外周壁の第1の多角面が凹面とされていたが、第2の多角面が凹面とされいてもよく、両方が凹面とされいてもよい。また、縮径部の外周壁の第1の多角面および第2の多角面の一方または両方が凹面とされていてもよい。また、凹面は、内方に向かって凹んだ面であればよく、その形状は特に限定はされない。
【0071】
また、複数の多角面の形状、サイズ等は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。ただし、
図1に示すように、同じ形状、同じサイズの第1の多角面と同じ形状、同じサイズの第2の多角面とが筒状部の周方向に交互に形成されていることが好ましい。
【0072】
また、外周壁の多角面同士間に形成された線条は、図示例の稜線に限定はされず、凸条であってもよく、凹条であってもよい。
また、内周壁の多角面同士間に形成された線条は、図示例の谷線に限定はされず、凸条であってもよく、凹条であってもよい。