(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガスタービンに対して独立に運転可能な圧縮機を有し、前記ガスタービンの車室内の空気を前記車室から抽気して前記圧縮機で昇圧してから、前記ガスタービンを構成する部品で燃焼ガスと接する高温部品に、前記空気を導く高温部品冷却系と、
前記車室内の空気を前記車室から抽気して、前記空気を前記ガスタービンのロータに導くロータ冷却系と、
前記ガスタービンへの燃料供給停止中に、前記圧縮機で昇圧された前記空気を前記ロータ冷却系に導く連結系と、
を備えている冷却装置。
ガスタービンに対して独立に運転可能な圧縮機を有し、前記ガスタービンの車室内の空気を前記車室から抽気して前記圧縮機で昇圧してから、前記ガスタービンを構成する部品で燃焼ガスと接する高温部品に、前記空気を導く高温部品冷却系と、
前記車室内の空気を前記車室から抽気して、前記空気を前記ガスタービンのロータに導くロータ冷却系と、を備えている冷却装置の運転方法において、
前記ガスタービンへの燃料供給中に前記圧縮機を駆動させ、前記高温部品冷却系からの空気を前記高温部品に供給して、前記高温部品を冷却する高温部品冷却工程と、
前記ガスタービンへの燃料供給中に、前記ロータ冷却系からの空気を前記ロータに供給して、前記ロータを冷却する第一ロータ冷却工程と、
前記ガスタービンへの燃料供給停止中に前記圧縮機を駆動させ、前記ロータ冷却系を介して、前記圧縮機で昇圧された空気を前記ロータに供給して、前記ロータを冷却する第二ロータ冷却工程と、
を実行する冷却装置の運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、ガスタービン起動時にタービンロータを冷却しているが、冷却を開始してからチップクリアランスが広がるまでには時間差があり、これによりチップ接触を招くおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、ガスタービン起動時にチップクリアランスを確保し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するための発明に係る一態様としての冷却装置は、
ガスタービンに対して独立に運転可能な圧縮機を有し、前記ガスタービンの車室内の空気を前記車室から抽気して前記圧縮機で昇圧してから、前記ガスタービンを構成する部品で燃焼ガスと接する高温部品に、前記空気を導く高温部品冷却系と、前記車室内の空気を前記車室から抽気して、前記空気を前記ガスタービンのロータに導くロータ冷却系と、前記ガスタービンへの燃料供給停止中に、前記圧縮機で昇圧された前記空気を前記ロータ冷却系に導く連結系と、を備えている。
【0010】
当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給中、高温部品冷却系により、車室内から抽気した空気で高温部品を冷却することができる。また、当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給中、ロータ冷却系により、車室内から抽気した空気でロータを冷却することができる。さらに、当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給停止中であっても、高温部品冷却系の圧縮機により昇圧された空気を、連結系及びロータ冷却系を介して、ロータに送ることができる。よって、当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給停止中であっても、ロータを冷却することができる。
【0011】
ここで、前記冷却装置において、前記高温部品冷却系は、前記圧縮機が設けられ、前記車室内の空気を前記車室から抽気して、前記空気を前記高温部品に導く高温部品冷却用ラインを有し、前記連結系は、前記高温部品冷却用ライン中で前記圧縮機が設けられている位置よりも前記高温部品側に接続され、前記圧縮機で昇圧された前記空気を前記ロータ冷却系に導く連結ラインと、前記連結ラインに設けられている連結制御弁と、前記ガスタービンへの燃料供給中に前記連結制御弁を閉じ、燃料供給停止中に前記連結制御弁を開ける制御装置と、を有してもよい。
【0012】
当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給中、連結制御弁が閉じているので、高温部品冷却系の圧縮機で昇圧された空気は、連結ラインには流れず、専ら、高温部品冷却用ラインに流れる。よって、当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給中、高温部品冷却系の圧縮機で昇圧された空気を効率的に高温部品へ送ることができる。
【0013】
また、前記制御装置を有する前記冷却装置において、前記高温部品冷却系は、前記高温部品冷却用ライン中で、前記連結ラインが接続されている位置よりも前記高温部品側に設けられている高温部品冷却制御弁を有し、前記制御装置は、前記ガスタービンへの燃料供給中に前記高温部品冷却制御弁を開け、燃料供給停止中に前記高温部品冷却制御弁を閉じてもよい。
【0014】
当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給停止中、高温部品冷却制御弁が閉じているので、高温部品冷却系の圧縮機で昇圧された空気は、高温部品冷却用ラインの高温部品側に流れず、専ら、連結ラインに流れる。よって、当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給停止中、高温部品冷却系の圧縮機で昇圧された空気を、連結系を介して、ロータ冷却系に効率的に送ることができる。
【0015】
前記制御装置を有する以上のいずれかの前記冷却装置において、前記ロータ冷却系は、前記車室内の空気を前記車室から抽気して、前記空気を前記ガスタービンのロータに導くロータ冷却用ラインと、前記ロータ冷却用ラインに設けられているロータ冷却制御弁と、を有し、前記連結ラインは、前記ロータ冷却用ライン中で、前記ロータ冷却制御弁が設けられている位置よりも前記ロータ側に接続され、前記制御装置は、前記ガスタービンへの燃料供給中に前記ロータ冷却制御弁を開け、燃料供給停止中に前記ロータ冷却制御弁を閉じてもよい。
【0016】
当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給停止中、高温部品冷却系の圧縮機で昇圧された空気が連結ラインを介して、ロータ冷却用ラインに流入する。当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給停止中、ロータ冷却用ライン中で連結ラインとの接続位置よりも車室側に設けられているロータ冷却制御弁が閉じているので、連結ラインからロータ冷却用ラインに流入した空気は、車室側に流れず、専ら、ロータ側に流れる。よって、当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給停止中、高温部品冷却系の圧縮機で昇圧された空気を効率的にロータに送ることができる。
【0017】
前記制御装置を有する以上のいずれかの前記冷却装置において、前記制御装置は、前記ガスタービンへの燃料停止後から予め定められた時点までの冷却必要期間中、少なくとも一時的に前記圧縮機を駆動させ、前記冷却必要期間中に前記ガスタービンへの燃料供給が再開されなければ、前記冷却必要期間経過後に、前記圧縮機を停止させてもよい。
【0018】
当該冷却装置では、圧縮機の駆動時間を制限することができるので、圧縮機の駆動のための消費エネルギーを抑えることができる。
【0019】
前記制御装置を有する以上のいずれかの前記冷却装置において、前記高温部品冷却系は、前記高温部品冷却用ライン中で、前記圧縮機が設けられている位置よりも前記車室側に接続されて、大気を吸い込む吸気ラインと、前記吸気ラインを通る大気中の異物を除去するフィルタと、前記吸気ライン中で、前記フィルタよりも前記高温部品冷却用ラインとの接続位置側に設けられている吸気制御弁と、を有し、前記制御装置は、前記ガスタービンへの燃料供給中に前記吸気制御弁を閉じ、燃料供給停止中に前記吸気制御弁を開けてもよい。
【0020】
当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給停止中、車室内の空気の温度よりも低い大気を高温部品冷却系に取り込み、この空気を圧縮機で昇圧した後、ロータに送ることができる。このため、当該冷却装置では、ガスタービンへの燃料供給停止中、ロータを効率よく冷却することができる。
【0021】
前記問題点を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービン設備は、
以上のいずれかの前記冷却装置と、前記ガスタービンと、を備えている。
【0022】
前記問題点を解決するための発明に係る一態様としての冷却装置の運転方法は、
ガスタービンに対して独立に運転可能な圧縮機を有し、前記ガスタービンの車室内の空気を前記車室から抽気して前記圧縮機で昇圧してから、前記ガスタービンを構成する部品で燃焼ガスと接する高温部品に、前記空気を導く高温部品冷却系と、前記車室内の空気を前記車室から抽気して、前記空気を前記ガスタービンのロータに導くロータ冷却系と、を備えている冷却装置の運転方法において、前記ガスタービンへの燃料供給中に前記圧縮機を駆動させ、前記高温部品冷却系からの空気を前記高温部品に供給して、前記高温部品を冷却する高温部品冷却工程と、前記ガスタービンへの燃料供給中に、前記ロータ冷却系からの空気を前記ロータに供給して、前記ロータを冷却する第一ロータ冷却工程と、前記ガスタービンへの燃料供給停止中に前記圧縮機を駆動させ、前記ロータ冷却系を介して、前記圧縮機で昇圧された空気を前記ロータに供給して、前記ロータを冷却する第二ロータ冷却工程と、を実行する。
【0023】
当該運転方法では、ガスタービンへの燃料供給中、高温部品冷却系により、車室内から抽気した空気で高温部品を冷却する冷却することができる。また、当該運転方法では、ガスタービンの燃料供給中、ロータ冷却系による第一ロータ冷却工程の実行により、車室内から抽気した空気でロータを冷却することができる。さらに、当該運転方法では、ガスタービンへの燃料供給停止中であっても、第二ロータ冷却工程の実行により、高温部品冷却系の圧縮機により昇圧された空気を、ロータ冷却系を介して、ロータに送ることができる。よって、当該運転方法では、ガスタービンへの燃料供給停止中であっても、ロータを冷却することができる。
【0024】
ここで、前記冷却装置の運転方法において、前記第二ロータ冷却工程では、前記圧縮機で昇圧された空気の前記ロータ冷却系への流入を促進し、前記圧縮機で昇圧された空気の前記高温部品への流入を抑制してもよい。
【0025】
また、以上のいずれかの前記冷却装置の運転方法において、前記第二ロータ冷却工程では、前記圧縮機で昇圧されて前記ロータ冷却系に流入した空気の流れであって、前記ロータ冷却系内における前記車室側への流れを抑制し、前記ロータ冷却系内における前記ロータ側への流れ促進してもよい。
【0026】
また、以上のいずれかの前記冷却装置の運転方法において、前記高温部品冷却工程では、前記圧縮機で昇圧された空気の前記ロータ冷却系への流入を抑制し、前記圧縮機で昇圧された空気の前記高温部品への流入を促進してもよい。
【0027】
また、以上のいずれかの前記冷却装置の運転方法において、前記ガスタービンへの燃料停止後から予め定められた時点までの冷却必要期間中、少なくとも一時的に前記圧縮機を駆動させて、前記第二ロータ冷却工程を実行し、前記冷却必要期間中に前記ガスタービンへの燃料供給が再開されれば、前記第二ロータ冷却工程を終了して、前記高温部品冷却工程及び前記第一ロータ冷却工程を実行し、前記冷却必要期間中に前記ガスタービンへの燃料供給が再開されなければ、前記冷却必要期間経過後に、前記圧縮機を停止させて、前記第二ロータ冷却工程を終了してもよい。
【0028】
以上のいずれかの前記冷却装置の運転方法において、前記第二ロータ冷却工程では、前記圧縮機により、前記高温部品冷却系内に大気を吸い込んで、前記ロータ冷却系を介して前記大気を前記ロータに供給してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、ガスタービン起動時にチップクリアランスを確保し得る。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係るガスタービン設備の実施形態及びその変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
「実施形態」
以下、本発明に係るガスタービン設備の一実施形態について、
図1〜
図7を参照して説明する。
【0033】
本実施形態のガスタービン設備は、
図1に示すように、ガスタービン10と、このガスタービン10の構成部品の一部を冷却する冷却装置60と、を備えている。
【0034】
ガスタービン10は、空気を圧縮する圧縮機20と、圧縮機20で圧縮された空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器30と、燃焼ガスにより駆動するタービン50と、を備えている。
【0035】
圧縮機20は、
図2に示すように、軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ21と、圧縮機ロータ21を回転可能に覆う圧縮機車室25と、複数の静翼段26と、を有する。なお、以下では、軸線Arが延びる方向を軸線方向Da、この軸線方向Daの圧縮機側を上流側、タービン側を下流側という。また、この軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとし、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drという。圧縮機ロータ21は、その軸線Arに沿って軸線方向Daに延びるロータ軸22と、このロータ軸22に取り付けられている複数の動翼段23と、を有する。複数の動翼段23は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼段23は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼23aで構成されている。複数の動翼段23の各下流側には、静翼段26が配置されている。各静翼段26は、圧縮機車室25の内側に設けられている。各静翼段26は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼26aで構成されている。ロータ軸22の径方向外周側と圧縮機車室25の径方向内周側との間であって、軸線方向Daで静翼26a及び動翼23aが配置されている領域の環状の空間は、空気が流れつつ圧縮される空気圧縮流路29を成す。
【0036】
タービン50は、軸線Arを中心として回転するタービンロータ51と、タービンロータ51を回転可能に覆うタービン車室55と、複数の静翼段56と、を有する。タービンロータ51は、その軸線Arに沿って軸線方向Daに延びるロータ軸52と、このロータ軸52に取り付けられている複数の動翼段53と、を有する。複数の動翼段53は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼段53は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼53aで構成されている。複数の動翼段53の各上流側には、静翼段56が配置されている。各静翼段56は、タービン車室55の内側に設けられている。各静翼段56は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼56aで構成されている。タービン車室55は、その外殻を構成する筒状のタービン車室本体55aと、その内側に固定されている複数の分割環55bとを有する。複数の分割環55bは、いずれも、複数の静翼段56の相互の間の位置に設けられている。従って、各分割環55bの径方向内側には、動翼段53が配置されている。ロータ軸52の外周側とタービン車室55の内周側との間であって、軸線方向Daで静翼56a及び動翼53aが配置されている領域の環状の空間は、燃焼器30からの燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路59を成す。ロータ軸52には、冷却空気が通る冷却空気流路52pが形成されている。また、各動翼53aには、ロータ軸52の冷却空気流路52pに連通した冷却空気流路53pが形成されている。動翼53aに形成されている冷却空気流路53pの端は、動翼53aの表面で開口している。つまり、動翼53aに形成されている冷却空気流路53pは、燃焼ガス流路59に連通している。
【0037】
圧縮機ロータ21とタービンロータ51とは、同一軸線Ar上に位置し、互いに接続されてガスタービンロータ11を成す。このガスタービンロータ11には、例えば、図示されていない発電機のロータが接続されている。また、圧縮機車室25とタービン車室55とは、互いに接続されてガスタービン車室15を成す。空気圧縮流路29と燃焼ガス流路59とは軸線方向Daで離れている。ガスタービン車室15で、軸線方向Daにおける空気圧縮流路29と燃焼ガス流路59との間は、中間車室16を成す。燃焼器30は、この中間車室16に取り付けられている。
【0038】
燃焼器30は、
図2及び
図3に示すように、高温高圧の燃焼ガスGをタービン50の燃焼ガス流路59内に送る燃焼筒(又は尾筒)41と、この燃焼筒41内に燃料及び圧縮空気を供給する燃料供給器31と、を有する。燃料供給器31は、燃焼筒41内に燃料を噴射する複数のノズル32を有する。各ノズル32には、燃料ライン34が接続されている。燃料ライン34には、複数のノズル32へ供給する燃料の流量を調節する燃料流量調節弁35が設けられている。燃焼器30は、さらに、燃焼筒41の外周側であってタービン50の燃焼ガス流路59側に固定されている冷却空気マニホールド46を有する。冷却空気マニホールド46は、燃焼筒41の外周側との間に冷却空気が溜まる空間を形成する。
【0039】
図4〜
図6に示すように、燃焼筒41は、外周壁板41oと内周壁板41iとを有して構成されている。外周壁板41oと内周壁板41iとは、ろう付け等で接合されている。外周壁板41oと内周壁板41iとのうち、一方の壁板には、他方側から離れる方向に凹み、且つ燃焼筒41の中心軸が延びる方向に長い複数の溝42が形成されている。この溝42の内面と他方の壁板の面との間は、冷却空気が流れる冷却空気流路43を成している。外周壁板41oで冷却空気マニホールド46が設けられている位置には、冷却空気流路43から冷却空気マニホールド46内の空間へ貫通する複数の入口孔44が形成されている。また、外周壁板41oで、冷却空気マニホールド46の上流側の領域には、冷却空気流路43から燃焼筒41外側であって中間車室16の内側へ貫通する複数の出口孔45がこの領域内の全周に渡って形成されている。なお、ここでの上流側とは、燃焼器30にとっての上流側で、燃焼筒41に対して燃料供給器31が存在する側をいう。
【0040】
圧縮機20は、外気を吸込んで、これが空気圧縮流路29を通る過程でこの空気を圧縮する。圧縮された空気、つまり圧縮空気は、圧縮機20の空気圧縮流路29から中間車室16内に流入する。この圧縮空気は、燃焼器30の燃料供給器31を介して、燃焼筒41内に供給される。燃料供給器31の複数のノズル32からは、燃焼筒41内に燃料が噴射される。この燃料は、燃焼筒41内の圧縮空気中で燃焼する。この燃焼の結果、燃焼ガスGが生成され、この燃焼ガスGが燃焼筒41からタービン50の燃焼ガス流路59内に流入する。この燃焼ガスGが燃焼ガス流路59を通ることで、タービンロータ51は回転する。
【0041】
以上で説明したように、ガスタービン10の構成部品のうち、燃焼筒41、動翼53a、静翼56a、分割環55b等は、いずれも高温の燃焼ガスGに接する。よって、燃焼筒41、動翼53a、静翼56a、分割環55b等は、高温部品を成す。
【0042】
冷却装置60は、
図3に示すように、中間車室16内の空気をこの中間車室16内から抽気して、この空気を冷却してから昇圧して燃焼筒41に導く高温部品冷却系70と、中間車室16内の空気をこの中間車室16内から抽気して、この空気を冷却してからタービンロータ51のロータ軸52に導くロータ冷却系80と、高温部品冷却系70内の空気をロータ冷却系80に導く連結系90と、を有する。
【0043】
高温部品冷却系70は、中間車室16内の圧縮空気をこの中間車室16内から抽気して、この空気を燃焼筒41に設けられている冷却空気マニホールド46に導く高温部品冷却用ライン71を有する。さらに、この高温部品冷却系70は、この高温部品冷却用ライン71中に設けられているクーラーA76、ブースト圧縮機77及び高温部品冷却制御弁78と、を有する。
【0044】
クーラーA76は、中間車室16から抽気された圧縮空気を冷却できるものであれば、如何なるものでもよい。具体的に、クーラーA76は、例えば、水等の冷却媒体を用いて圧縮空気を冷却する水冷式のものでも、圧縮空気が通るラインにファン等で風を送って、圧縮空気を冷却する空冷式のものでもよい。ブースト圧縮機77は、中間車室16から抽気された圧縮空気を昇圧する。このブースト圧縮機77は、ガスタービン10に対して独立に運転可能である。よって、このブースト圧縮機77は、ガスタービン10が停止しているときでも運転することができる。
【0045】
高温部品冷却用ライン71は、中間車室16とクーラーA76とを接続する車室−クーラーAライン72と、クーラーA76とブースト圧縮機77の吸込み口とを接続するクーラーA−圧縮機ライン73と、ブースト圧縮機77の吐出口と中間車室16とを接続する圧縮機−車室ライン74と、圧縮機−車室ライン74と燃焼筒41に設けられている冷却空気マニホールド46とを接続する車室内Aライン75と、を有する。高温部品冷却制御弁78は圧縮機−車室ライン74中に設けられている。中間車室16内の圧縮空気は、車室−クーラーAライン72、クーラーA−圧縮機ライン73、圧縮機−車室ライン74、及び車室内Aライン75を介して、冷却空気マニホールド46内に流入可能である。
【0046】
ロータ冷却系80は、中間車室16内の圧縮空気をこの中間車室16内から抽気して、この空気をタービン50のロータ軸52に導くロータ冷却用ライン81を有する。さらに、このロータ冷却系80は、このロータ冷却用ライン81中に設けられているクーラーB86、慣性フィルタ87及びロータ冷却制御弁88を有する。
【0047】
クーラーB86は、クーラーA76と同様、中間車室16から抽気された圧縮空気を冷却できるものであれば、如何なるものでもよく、例えば、水冷式のものでも、空冷式のものでもよい。慣性フィルタ87は、曲がっている流路が内部に形成されおり、慣性で直進しようとする空気中の異物を捕捉する部分を持っているものである。なお、ここに用いるフィルタは、このような慣性フィルタでなくてもよい。また、フィルタは、ロータ冷却系80に必須のものではなく、省略してもよい。
【0048】
ロータ冷却用ライン81は、中間車室16とクーラーB86とを接続する車室−クーラーBライン82と、クーラーB86と慣性フィルタ87とを接続するクーラーB−フィルタライン83と、慣性フィルタ87と中間車室16とを接続するフィルタ−車室ライン84と、フィルタ−車室ライン84とタービン50のロータ軸52とを接続する車室内Bライン85と、を有する。ロータ冷却制御弁88は、車室−クーラーラインに設けられている。車室内Bライン85は、タービン50のロータ軸52に形成されている前述の冷却空気流路52pに接続されている。
【0049】
連結系90は、高温部品冷却用ライン71中の空気をロータ冷却用ライン81中に導く連結ライン91と、この連結ライン91中に設けられている連結制御弁98と、を有する。連結ライン91の一方の端は、圧縮機−車室ライン74中のブースト圧縮機77と高温部品冷却制御弁78との間の位置に接続されている。また、連結ライン91の他方の端は、クーラーB−フィルタライン83に接続されている。連結系90は、さらに、連結制御弁98の動作を制御する制御装置100を有する。
【0050】
制御装置100は、外部からの負荷指令や各種センサからの信号等が入力する主制御部101と、主制御部101からの指示に応じて燃料流量調節弁35の開度を制御する燃料制御部102と、ブースト圧縮機77の動作を制御する圧縮機制御部104と、冷却装置60の各制御弁78,88,98の動作を制御する弁制御部105と、を有する。この制御装置100の弁制御部105は、前述の連結制御弁98の動作のみならず、高温部品冷却制御弁78、ロータ冷却制御弁88の動作も制御する。この弁制御部105と圧縮機制御部104とは、冷却装置60における各駆動機(各制御弁及びブースト圧縮機77)の制御装置103を構成する。
【0051】
次に、以上で説明したガスタービン設備の動作について説明する。
【0052】
ガスタービン10の運転時、前述したように、圧縮機20が空気を圧縮して圧縮空気を生成する。
【0053】
制御装置100の主制御部101は、負荷指令や各種センサからの信号に応じて、燃料供給器31の複数のノズル32に供給する燃料の流量を定める。燃料制御部102は、主制御部101が定めた燃料の流量に応じた燃料流量調節弁35の弁開度を定め、この弁開度を示す信号を燃料流量調節弁35に送信する。燃料流量調節弁35はこの信号に応じて駆動し、信号が示す弁開度になる。この結果、複数のノズル32には、主制御部101が定めた流量の燃料が供給される。
【0054】
圧縮機20が生成した圧縮空気は、中間車室16内を介して燃焼器30に流入する。燃焼器30の燃料供給器31は、この圧縮空気を燃焼筒41内に送る。さらに、燃料供給器31の複数のノズル32は、燃料流量調節弁35を経てきた燃料を燃焼筒41内に噴射する。この燃料は、燃焼筒41内の圧縮空気中で燃焼する。この燃焼の結果、燃焼ガスGが生成され、この燃焼ガスGが燃焼筒41からタービン50の燃焼ガス流路59内に流入する。この燃焼ガスGが燃焼ガス流路59を通ることで、タービンロータ51は回転する。
【0055】
このガスタービン10の運転時、高温部品冷却系70の高温部品冷却制御弁78は、弁制御部105からの指示で開いており、連結系90の連結制御弁98は、弁制御部105からの指示で閉じている。また、このガスタービン10の運転時、高温部品冷却系70のブースト圧縮機77は、圧縮機制御部104からの指示で駆動している。よって、中間車室16内の圧縮空気の一部は、抽気されて、高温部品冷却系70の車室−クーラーAライン72を経てクーラーA76に流入し、ここで冷却される。冷却された圧縮空気は、冷却空気として、クーラーA−圧縮機ライン73を経て、ブースト圧縮機77内に流入し、ここでさらに昇圧される。この冷却空気は、圧縮機−車室ライン74及び車室内Aライン75を介して、燃焼器30の冷却空気マニホールド46内に流入する。
【0056】
冷却空気マニホールド46内に流入した冷却空気CAは、
図6に示すように、燃焼筒41の入口孔44を介して、燃焼筒41の冷却空気流路43を通り、この燃焼筒41の出口孔45から、中間車室16内に戻る。クーラーA76で冷却された圧縮空気である冷却空気CAは、燃焼筒41の冷却空気流路43を通る過程で、燃焼筒41と熱交換し、燃焼筒41を冷却する。
【0057】
燃焼筒41を冷却する圧縮空気は、以上のように、中間車室16内から抽気され、ブースト圧縮機77により昇圧されてから、燃焼筒41の冷却空気流路43を介して、中間車室16内に戻される。
【0058】
ガスタービン10の運転時、ロータ冷却系80のロータ冷却制御弁88は、弁制御部105からの指示で開いている。よって、中間車室16内の圧縮空気の一部は、抽気されて、ロータ冷却系80の車室−クーラーBライン82を経て、クーラーB86に流入し、ここで冷却される。冷却された圧縮空気は、冷却空気として、クーラーB−フィルタライン83を経て、慣性フィルタ87内に流入し、ここで異物が除去される。この冷却空気は、フィルタ−車室ライン84及び車室内Bライン85を介して、タービンロータ51のロータ軸52に形成されている冷却空気流路52pに流入する。冷却空気は、ロータ軸52の冷却空気流路52pを流れる過程で、ロータ軸52と熱交換して、ロータ軸52を冷却する。冷却空気は、さらに、タービンロータ51の複数の動翼53aのそれぞれに形成されている冷却空気流路53pに流入する。冷却空気は、この動翼53aの冷却空気流路53pを流れる過程で、動翼53aと熱交換して、動翼53aを冷却する。動翼53aを冷却した冷却空気は、この冷却空気流路53pから燃焼ガス流路59内に流入し、燃焼ガスG中に混入する。
【0059】
以上のように、ガスタービン10に燃料が供給されているガスタービン運転中では、
図7に示すように、高温部品冷却系70からの冷却空気が高温部品である燃焼筒41に供給されて燃焼筒41が冷却されると共に(S1:高温部品冷却工程)、ロータ冷却系80からの冷却空気がタービンロータ51に供給されてタービンロータ51が冷却される(S2:第一ロータ冷却工程)。
【0060】
主制御部101は、外部からの負荷指令等により、燃料制御部102に対して、燃料供給の停止を指示すると共に、弁制御部105に対して燃料供給停止の旨を通知する。燃料制御部102は、この指示を受けると、燃料流量調節弁35に対して、弁開度0を示す信号を送信する。つまり、燃料制御部102は、燃料流量調節弁35に対して、弁閉の旨を指示する。この結果、燃料流量調節弁35が閉じ、燃料供給器31の複数のノズル32には、燃料が流れなくなる。
【0061】
また、弁制御部105は、主制御部101から燃料供給停止の旨の通知を受けると、高温部品冷却制御弁78及びロータ冷却制御弁88に対して弁閉の旨を指示すると共に、連結制御弁98に対して弁開の旨を指示する。この結果、高温部品冷却制御弁78及びロータ冷却制御弁88が閉じ、連結制御弁98が開く。このため、中間車室16内の空気の一部が抽気されて、高温部品冷却系70の車室−クーラーAライン72を経てクーラーA76に流入し、ここで冷却される。冷却された空気は、冷却空気として、クーラーA−圧縮機ライン73を経て、ブースト圧縮機77内に流入し、ここで昇圧される。この冷却空気は、圧縮機−車室ライン74の一部、連結系90の連結ライン91を経て、ロータ冷却系80の慣性フィルタ87内に流入し、ここで異物が除去される。この冷却空気は、ロータ冷却系80のフィルタ−車室ライン84及び車室内Bライン85を介して、タービンロータ51のロータ軸52に形成されている冷却空気流路52pに流入する。冷却空気は、このロータ軸52の冷却空気流路52pを流れる過程で、ロータ軸52と熱交換して、ロータ軸52を冷却する。冷却空気は、さらに、タービンロータ51の複数の動翼53aのそれぞれに形成されている冷却空気流路53pを経て、燃焼ガス流路59内に流入する。
【0062】
ガスタービン10への燃料供給が停止し、燃焼ガスGが生成されず、しかも、圧縮機ロータ21やタービンロータ51が実質的に回転していない状態では、中間車室16内の圧力と燃焼ガス流路59の圧力とは実質的に大気圧と同じである。そこで、本実施形態では、燃料供給が停止している状態では、中間車室16内から圧縮空気の一部を抽気し、これをブースト圧縮機77で昇圧してから、タービンロータ51に送って、このタービンロータ51を冷却している(S3:第二ロータ冷却工程)。
【0063】
このガスタービン10への燃料供給が停止している状態では、前述したように、高温部品冷却制御弁78が閉じているので、高温部品冷却系70のブースト圧縮機77により昇圧された冷却空気は、燃焼器30の冷却空気マニホールド46へ送られない。つまり、ガスタービン10への燃料供給が停止すると、高温部品冷却工程(S1)が終了する。また、ガスタービン10への燃料供給が停止している状態では、前述したように、ロータ冷却制御弁88が閉じているので、中間車室16内の空気は、ロータ冷却系80の車室−クーラーBライン82を経て、クーラーB86に流入しない。つまり、ガスタービン10への燃料供給が停止すると、第一ロータ冷却工程(S2)も終了する。
【0064】
すなわち、ガスタービン10への燃料供給が停止されると、
図7に示すように、高温部品冷却工程及(S1)び第一ロータ冷却工程(S2)が終了する一方で、第二ロータ冷却工程(S3)が開始される。
【0065】
ガスタービン10への燃料供給が停止して、燃焼ガスGが生成されない状態では、外気に晒されているタービン車室55に対して、タービン車室55内に配置されているタービンロータ51の温度が下がりにくい。このため、タービンロータ51への燃料供給の停止後におけるタービン車室55の熱膨張量の単位時間当たりの減少量に対して、タービンロータ51の熱膨張量の単位時間当たりの減少量が少ない。よって、タービンロータ51への燃料供給の停止後、タービンロータ51の動翼53aの径方向外側端とタービン車室55の内周面、つまり分割環55bの内周面との間隔であるチップクリアランスCが一時的に狭くなる。このように、チップクリアランスCが狭くなっている状態のときに、ガスタービン10を起動させると、タービンロータ51に作用する遠心力で動翼53aの径方向外側端の位置が径方向外側に変位する関係で、タービンロータ51の動翼53aとタービン車室55の内周面とが接触するおそれがある。
【0066】
そこで、本実施形態では、ガスタービン10への燃料供給が停止して、燃焼ガスGが生成されない状態のときでも、中間車室16から抽気した空気を高温部品冷却系70のブースト圧縮機77で昇圧し、この空気をタービンロータ51内に送り、タービンロータ51を冷却している。
【0067】
ところで、ガスタービン10への燃料停止後から予め定められた冷却必要期間を経過すると、タービンロータ51及びタービン車室55が十分に冷えて、タービンロータ51とタービン車室55との温度差がほとんど無くなる。このため、ガスタービン10への燃料停止後から予め定められた冷却必要期間を経過すると、チップクリアランスCは、冷却必要期間中にタービンロータ51を冷却していない場合のチップクリアランスCより広くなり、タービンロータ51の動翼53aとタービン車室55の内周面とが接触するおそれがなくなる。
【0068】
本実施形態では、ガスタービン10への燃料停止後から予め定められた冷却必要期間中、前述したように、中間車室16から抽気した空気をタービンロータ51内に送り、タービンロータ51を冷却している。このため、
図7に示すように、この冷却必要期間中に、ガスタービン10が起動され、ガスタービン10への燃料供給が再開されても、つまりガスタービン10がホット起動されても、タービンロータ51の動翼53aとタービン車室55の内周面との接触を抑えることができる。
【0069】
図7に示すように、冷却必要期間T中に、ガスタービン10が起動され、ガスタービン10への燃料供給が再開されると、第二ロータ冷却工程(S3)は終了し、第一ロータ冷却工程(S2)及び高温部材冷却工程(S1)が再開される。すなわち、ガスタービン10への燃料供給が再開されると、弁制御部105からの指示により、高温部品冷却制御弁78及びロータ冷却制御弁88は開き、連結制御弁98が閉じる。
【0070】
また、本実施形態では、冷却必要期間T中にガスタービン10が起動されずに冷却必要期間Tを経過すると、主制御部101は、圧縮機制御部104に対して冷却必要期間Tが経過した旨を通知する。圧縮機制御部104は、この通知を受けると、ブースト圧縮機77を停止させる。この結果、冷却必要期間T中にガスタービン10が起動されずに冷却必要期間Tを経過すると、第二ロータ冷却工程(S3)も終了する。
【0071】
以上のように、本実施形態では、ガスタービン10への燃料停止後から冷却必要期間T中、タービンロータ51を冷却しているので、この冷却必要期間T中にガスタービン10が起動されるホット起動が実行されても、タービンロータ51の動翼53aとタービン車室55の内周面との接触を抑えることができる。よって、本実施形態では、定常運転時のチップクリアランスCをより狭めることができ、ガスタービン10の効率を高めることができる。
【0072】
仮に、高温部品冷却系70及びロータ冷却系80がガスタービン10に既に設けられている場合、連結系90を新たに設けることで、本実施形態の冷却装置60を構成できるので、ガスタービン10への燃料停止後におけるタービンロータ51の冷却を実行できる。このため、本実施形態では、ガスタービン10への燃料停止後におけるタービンロータ51の冷却装置を別途設ける場合よりも、設備コストを抑えることができる。
【0073】
「第一変形例」
以上で説明したガスタービン設備の実施形態に対する第一変形例について、
図8を参照して説明する。
【0074】
本変形例のガスタービン設備は、上記実施形態のガスタービン設備における冷却装置60の一部を変更したものである。
【0075】
本変形例の冷却装置60aにおける高温部品冷却系70aは、上記実施形態の高温部品冷却系70に、大気を吸い込む吸気ライン61と、吸気ライン61を通る大気中の異物を除去するフィルタ62と、吸気ライン61に設けられる吸気制御弁68と、を追加したものである。
【0076】
吸気ライン61は、一方の端が大気開放され、他方の端がクーラーA−圧縮機ライン73に接続されている。フィルタ62は、この吸気ライン61に設けられている。また、吸気制御弁68は、吸気ライン61中であって、クーラーA−圧縮機ライン73との接続位置とフィルタ62との間に設けられている。吸気制御弁68は、制御装置100の弁制御部105により制御される。
【0077】
本変形例では、ガスタービン10への燃料供給中、弁制御部105が、上記実施形態と同様、高温部品冷却制御弁78及びロータ冷却制御弁88に対して弁開の旨を指示すると共に、連結制御弁98に対して弁閉の旨を指示する。さらに、本変形例では、弁制御部105が、吸気制御弁68に対して弁閉の旨を指示する。この結果、高温部品冷却制御弁78及びロータ冷却制御弁88が開き、連結制御弁98及び吸気制御弁68が閉じる。よって、ガスタービン10への燃料供給中、上記実施形態と同様に、中間車室16内の圧縮空気が高温部品冷却系70aにより抽気され、さらに冷却されてから、この圧縮空気が冷却空気として燃焼筒41に供給される。また、中間車室16内の圧縮空気がロータ冷却系80により抽気され、さらに冷却されてから、この圧縮空気が冷却空気としてタービンロータ51に供給される。すなわち、本変形例でも、ガスタービン10への燃料供給中、上記実施形態と同様、高温部品冷却工程(S1)及び第一ロータ冷却工程(S2)が実行される。
【0078】
また、本変形例でも、ガスタービン10への燃料供給が停止されると、弁制御部105が、上記実施形態と同様、高温部品冷却制御弁78及びロータ冷却制御弁88に対して弁閉の旨を指示すると共に、連結制御弁98に対して弁開の旨を指示する。さらに、本変形例では、弁制御部105が、吸気制御弁68に対して弁開の旨を指示する。この結果、高温部品冷却制御弁78及びロータ冷却制御弁88が閉じ、連結制御弁98及び吸気制御弁68が開く。このため、本変形例では、フィルタ62及び吸気ライン61を介して、ブースト圧縮機77に外気が冷却空気として吸込まれ、これが昇圧される。その後、ブースト圧縮機77で昇圧された冷却空気は、上記実施形態と同様、連結系90の連結ライン91、ロータ冷却系80の慣性フィルタ87、フィルタ−車室ライン84、及び車室内Bライン85を介して、タービンロータ51に供給される。
【0079】
外気の温度は、基本的に、ガスタービン10への燃料供給停止後であっても、中間車室16内の空気の温度より低い。このため、ガスタービン10への燃料供給停止中において、外気を高温部品冷却系70aに取り込んでも、タービンロータ51を冷却することができる。
【0080】
以上にように、本変形例では、外気を高温部品冷却系70aに取り込んで、この外気を冷却空気としてタービンロータ51に供給することで、第二ロータ冷却工程(S3)を実現している。
【0081】
高温部品冷却系70aのクーラーA76が、例えば、ガスタービン10への燃料供給停止後、中間車室16内の空気を冷却できないものである場合、本変形例のように、タービンロータ51の冷却媒体として外気を取り込むことで、ガスタービン10への燃料供給が停止され後におけるタービンロータ51の冷却を実現できる。
【0082】
なお、本変形例では、クーラーA−圧縮機ライン73中で、吸気ライン61との接続位置とクーラーA76との間、又は、車室−クーラーAライン72に、さらに、第二の吸気制御弁を設けてもよい。この第二の吸気制御弁は、吸気ライン61に中に設けられる吸気制御弁68である第一の吸気制御弁68が閉じているときに開き、第一の吸気制御弁68が開いているときに閉じる。このように、第二の吸気制御弁を設けることで、ブースト圧縮機77は、第二ロータ冷却工程(S3)において、吸気ライン61を介して、専ら外気を吸込めるようになる。また、第一の吸気制御弁68及び第二の吸気制御弁の替りに、三方弁を設けてもよい。
【0083】
「第二変形例」
以上で説明したガスタービン設備の実施形態に対する第二変形例について、
図9を参照して説明する。
【0084】
上記実施形態及び第一変形例の高温部品冷却系は、ガスタービン10の高温部品のうち、燃焼筒41を冷却するものである。しかしながら、高温部品冷却系は、他の高温部品を冷却するものであってもよい。
【0085】
例えば、
図9に示すように、冷却装置60bの高温部品冷却系70bは、複数の静翼56aを冷却するものでもよい。この場合、高温部品冷却系70bの高温部品用冷却ライン71bは、タービン50の複数の静翼56aに接続される。静翼56aには、冷却空気が流れる冷却空気流路56pが形成されている。高温部品用冷却ライン71bは、この冷却空気流路56pに接続される。この冷却空気流路56pは、静翼56aの表面で開口している。つまり、静翼56aに形成されている冷却空気流路56pは、燃焼ガス流路59に連通している。このため、本変形例では、高温部品である静翼56aを冷却することができる。
【0086】
なお、本変形例において、燃焼筒41の冷却には、例えば、蒸気を用いる方法等が考えられる。また、本変形例において、冷却空気を燃焼ガス流路59に放出しているが、これに替えて、冷却空気を回収してもよい。
【0087】
また、高温部品冷却系は、
図2に示す分割環55bを冷却するものであってもよい。さらに、高温部品冷却系は、各種高温部品のうち、複数種の高温部品を冷却するものであってもよい。
【0088】
「その他の変形例」
以上の実施形態及び変形例では、ガスタービン10の燃料供給停止に伴って、直ちに、高温部材冷却工程(S1)及び第一ロータ冷却工程(S2)を停止すると共に、第二ロータ冷却工程(S3)を実行している。しかしながら、ガスタービン10の燃料供給停止に伴って、高温部材冷却工程(S1)及び第一ロータ冷却工程(S2)を停止した後、時間間隔をあけて、第二ロータ冷却工程(S3)を実行してもよい。
【0089】
また、以上の実施形態及び変形例では、ガスタービン10の燃料供給停止後、冷却必要期間T中、ガスタービン10が起動されなければ、継続して第二ロータ冷却工程(S3)を実行している。しかしながら、冷却必要期間T中、断続的に第二ロータ冷却工程(S3)を実行してもよい。また、ガスタービン10の燃料供給停止時において、ホット再起動が予定されている場合のみ、第二ロータ冷却工程(S3)を実行してもよい。