【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、本発明は数個の画素を備えている撮像装置であって、各々の画素は少なくとも、
−第1の電極と第2の電極との間に配置され、光子及び/または高エネルギー粒子放射を電気信号に変換できるダイアモンド層の一部と、
−前記電気信号の増幅及び/または読出しのための電子回路であって、少なくとも前記第1の電極に電気接続され、及び同様に前記ダイアモンド層を含んでいるSOD(ダイアモンド上の半導体)型基板の表面層を形成する半導体材料層の一部で作られた電子回路と、
を備えている。
【0012】
本発明による撮像装置は、このようにして、単一のブロックを形成している二つの層と共に半導体層に物理的に接続されたダイアモンドを利用している。
【0013】
前記SOD基板ダイアモンド層は、重要な信号(光子及び/または高エネルギー粒子)を電気信号に変換する変換器として作用し、及び前記半導体層は、前記ダイアモンド層からくる電気信号の増幅及び/または読出しとして作用する電子回路の作成を許している。
【0014】
前記電子回路により生じられた電気信号の特徴は、前記ダイアモンド層により遮断された放射の特徴と関係があってもよい。
【0015】
本発明による装置において、前記ダイアモンド層は、遮蔽の役割を果たし、及び光子及び/または高エネルギー粒子線が前記電子回路を損傷することを避ける。例えば、前記装置がα粒子放射を妨害するとき、前記ダイアモンド層はおおよそ15μmに等しいかそれより大きな厚さを有しており、それによって前記電子回路を保護している。
【0016】
さらに、シリコンのような半導体と違って、ダイアモンドは低い原子数を有しており、前記ダイアモンドと高エネルギーUV放射及び弱X線との弱い相互作用を導く。
【0017】
ダイアモンドは、高エネルギー放射と比較して可視光に対する低い応答を有しており(「ソーラーブラインド」)、例えば空間画像間の寄生現象を補正するために、本発明の撮像装置で生成された画像を再加工する必要はない。
【0018】
そのような装置は同様に、放射線治療(光子X線)の応用におけるようなリアルタイムで、前記装置を通るある放射の特性を監視するために利用されうる。この性質の応用のために、前記装置は、前記装置の全ての部分が弱く吸収体となるように構成されうる。この場合、傍受される光子のエネルギーにより定義されるダイアモンドの吸収長の厚さに等しいかそれより薄いダイアモンド層を有して前記装置を形成し、例えば(半透明からX線の材料である)アルミニウムで構成された装置の金属相互接続を形成するように選択することができる。
【0019】
この装置は同様に、特に調査される物体を照射するために中性子源が利用される中性子検出の応用(例えば、トラックトレイラー)において、α粒子を検出するために利用されうる。この場合、スクリーンが調査を受ける物体の後に配置される。スクリーン上で受け取られた信号を特性が未知である開始信号と関連付けるために、中性子発生の工程からアルファ型粒子を利用することができる。
【0020】
実際、各々の中性子は、完全に反対のモーメントを有してアルファ粒子と関連している(反対方向への伝播)。前記中性子信号と(飛行時間で測定された)前記アルファ粒子に関連した信号との相関は、調査物体の初期構成の再構成を可能にする。前記ダイアモンド層のこの厚さは、この場合、おおよそ10μmである。
【0021】
この撮像装置は、好ましくはエネルギー中性子検出器として利用されてもよく、前記ダイアモンドは、このタイプの放射に対して、シリコンまたは高い原子数を有する化合物よりも良好な抵抗を有している。
【0022】
前記SOD型基板は同様に、前記ダイアモンド層と前記電子回路との間に誘電層を有しうる。そのような誘電層は、ダイアモンドと前記電子回路の半導体との間の電気的絶縁性を保証すると同時に、前記電子回路の製造の間に利用される高温の酸素流から前記ダイアモンドを保護する。この電気的絶縁は、前記装置に印加された重要な電圧の操作を可能にし、及びこれらの電圧に起因する操作の問題を避ける。
【0023】
前記半導体材料層は、おおよそ1μmに等しいかそれより薄い厚さを有しうる。そのような厚さは、半導体と受け取られる放射との間の相互作用を制限することができ、前記電子回路の起こり得る劣化及び電極端子での誤った電気信号の出現を低減させることができる。この薄層は同様に、より高い電極の形成を容易にさせ、前記電気信号の収集を
最大化させうる。前記電子回路は同様に、一つ以上のPD−SOIまたはFD−SOI型トランジスタを有しうる。
【0024】
例えば、おおよそ1μm厚さに等しいかそれより薄いような、非常に薄い半導体材料層の利用は、光子及び/または高エネルギー粒子放射に対して抵抗性があり、低消費のCMOSトランジスタのような装置を備えている電子回路の作成を許す。実際、前記半導体層の厚さを最小化することにより、前記半導体の傍受される放射との相互作用を制限し、このようにして、前記電子回路の結果として生じる劣化の危険性、及び前記装置の電極端子に誤った電気信号の出現を低減させる。
【0025】
前記第1の電極及び前記電子回路は、前記ダイアモンド層の第1の面上に並んで配置されうる。「並ぶこと」により、前記ダイアモンド層の前記第1の面を通る平面における前記第1の電極の領域の突出は、同一の平面上における前記電子回路の領域の突出と重複しない。言い換えると、前記第1の電極と前記電子回路は互いに積層されていない。
【0026】
この場合、前記第1の電極は少なくとも一つの誘電材料により部分的に被覆されている側壁を有しているが、これは前記ダイアモンド層の前記第1の面に対して位置する前記第1の電極の下部壁に実質的に垂直でありうる。
【0027】
この誘電材料は、このようにして、前記電子回路が作られ、及び前記電極が隣に位置している前記半導体材料から前記電極の導電材料を絶縁させうる。
【0028】
前記撮像装置は同様に、前記ダイアモンド層の第1の面とは反対の第2の面の前面に配置され、おおよそ380nmと780nmの間を備えた波長の放射を吸収することの出来るフィルタリング手段を有しうる。このフィルタリングは、このようにして、前記電子回路を可視範囲の光子放射から保護を許し、及びこのようにして、これらの線を前記電子回路における異常の原因から防ぐ。
【0029】
一つの変形において、前記第1の電極は前記ダイアモンド層に対して、前記電子回路と前記ダイアモンド層との間に配置されてもよい。
【0030】
このようにして、この構成において、前記撮像装置の前記第1の電極は、前記電子回路の下に位置され、これは前記装置設計において空間を節約させる。
【0031】
前記ダイアモンド層は、その第1の面上に核生成部分を有してもよく、前記ダイアモンド層の前記核生成部分内に形成されたリセス内に部分的に位置されることのできる第1の電極を有する。この構成は、前記第1の電極が前記ダイアモンド層の核生成部分と接触することを避け、前記ダイアモンドと前記第1の電極との間の電気接触の均一性を向上させる。
【0032】
一つの変形において、前記ダイアモンド層は、前記第1の電極が配置されている反対面上に位置した核生成部分を有していてもよい。この変形は、前記ダイアモンド層の核生成部分に対して、前記第1の電極が位置される反対側上にあることを許す。
【0033】
前記装置は同様に、少なくとも前記電子回路を被覆する少なくとも一つのパッシベイション層を有していてもよく、これは少なくとも前記パッシベイション層を通って作られたビアを通して、及び前記パッシベイション層上に位置する電気相互接続層の少なくとも一部を用いて、前記第1の電極に電気接続され、及び前記電気相互接続層の前記部分は前記電子回路及び前記第1の電極に電気接続させる。「ビアを通して」との用語は、導電材料で満たされた相互接続ホールを意味している。
【0034】
本発明は同様に、数個の画素を備えた撮像装置を製造する方法に関係しており、各々の画素は少なくとも、
−ダイアモンド層もまた含んでいるSOD型基板の表面層を形成している半導体材料層の一部において、電気信号の増幅及び/または読出しのための電子回路を形成する段階と、
−第1の電極を形成する段階であって、前記ダイアモンド層の一部が前記第1の電極と第2の電極との間に位置されるように、及び光子及び/または粒子放射を前記電気信号に変換させることができるようにする段階と、
−少なくとも前記第1の電極と前記電子回路との間に電気接続を形成する段階と、
を含んでいる。
【0035】
本発明は同様に、数個の画素を含んだ撮像装置を製造する方法に関係しており、各々の画素は少なくとも、
−おおよそ1μmに等しいかそれより薄い厚さで、及びダイアモンド層もまた含んでいるSOD型基板の表面層を形成している半導体材料層の一部において、電気信号の増幅及び/または読出しのための電子回路を形成する段階であって、前記基板は同様に、前記ダイアモンド層と前記電子回路との間に配置された誘電層を含んでいる段階と、
−第1の電極を形成する段階であって、前記ダイアモンド層の一部が前記第1の電極と第2の電極との間に配置され、及び光子及び/または粒子放射を電気信号に変換させることができるようにする段階と、
−少なくとも前記第1の電極と前記電子回路との間に電気接続を形成する段階と、
を含んでいる。
【0036】
前記第1の電極を形成する段階は少なくとも、
a)前記電子回路と前記半導体材料層とを被覆するパッシベイション層を堆積する段階と、
b)前記パッシベイション層及び前記半導体層において、及び前記電子回路に隣接して、キャビティを形成する段階と、
c)少なくとも前記キャビティの壁に対して誘電層を堆積する段階と、
d)前記ダイアモンド層の第1の面の部分を成長させるか、剥離させて、前記キャビティ内の下部壁を形成している誘電層の部分をエッチングする段階と、
e)前記ダイアモンド層の前記第1の面に対して、前記キャビティ内に位置した導電材料の一部を形成し、前記第1の電極を形成する段階と、
を実施することにより達成されうる。
【0037】
一つの変形において、前記第1の電極を形成する段階は少なくとも、
a)前記半導体材料層において、及び前記電子回路に隣接して、キャビティを形成する段階と、
b)少なくとも前記キャビティの壁に対して誘電層を堆積する段階と、
c)前記ダイアモンド層の第1の面の部分を成長させるか、剥離させて、前記キャビティ内の下部壁を形成している誘電層の部分をエッチングする段階と、
d)前記ダイアモンド層の前記第1の面に対して、前記キャビティ内に位置した導電材料の一部を形成し、前記第1の電極を形成する段階と、
e)前記第1の電極、前記電子回路、及び前記半導体材料層を被覆しているパッシベイション層を堆積する段階と、
を実施することにより達成されうる。
【0038】
前記誘電層は、前記ダイアモンド層の前記第1の面と前記半導体層との間に位置されてもよく、エッチングの段階d)またはキャビティを形成する段階a)は、前記キャビティの下部壁上に位置された前記誘電層の一部をエッチングする段階を備えてもよい。
【0039】
前記ダイアモンド層は、前記第1の面に位置した核生成部分を含んでいてもよく、エッチングの段階c)またはd)は前記キャビティ内に位置された前記ダイアモンド層の核生成部分をエッチングする段階を備えてもよい。
【0040】
前記SOD型基板は、前記半導体層と前記ダイアモンド層との間に配置された導電材料よりなる層を備えてもよく、前記第1の電極を形成する段階は、少なくとも前記第1の電極のパターンに一致するパターンに従って前記半導体材料層及び前記導電材料層をエッチングする段階を実施することにより達成され、前記第1の電極は、前記ダイアモンド層に対して、及び前記電子回路と前記ダイアモンド層との間に位置されることができる。
【0041】
前記誘電層は前記導電材料層と前記半導体材料層との間に配置されてもよく、前記第1の電極を形成する段階の間に、前記誘電層は同様に、前記第1の電極が前記ダイアモンド層に対して、及び前記誘電層の残余部分と前記ダイアモンド層との間に位置されるような方法において、前記第1の電極のパターンに一致するパターンに従ってエッチングされてもよい。
【0042】
前記形成の段階は同様に、前記第1の電極を形成する段階と前記電気接続を形成する段階との間に、少なくとも前記電子回路と前記第1の電極を被覆している平坦化層を堆積する段階の実施を含んでもよい。
【0043】
前記第1の電極と前記電子回路との間の電気接続の形成は少なくとも、
f)前記パッシベイション層及び/または前記第1の電極を少なくとも通って、前記第1の電極及び前記電子回路に電気接続された貫通ビアを形成する段階と、
g)前記パッシベイション層上に電気相互接続層を形成する段階であって、前記電気相互接続層の少なくとも一部と前記貫通ビアが前記第1の電極を前記電子回路に電気接続させるようにする段階と、
を実施することにより達成されてもよい。