(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記載置部に載置された前記所定数の列のワークが、前記第1コンベア側へ転倒することを防止する転倒防止機構をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の切り出しコンベア。
【背景技術】
【0002】
近年、生産設備において、梱包容器や原材料、中間生成物といった各種ワークのバルクを搬送するワーク搬送装置において、ジャミングを起こすことなくワークを単列化するための様々な技術が開発されている。
【0003】
たとえば、
図6に示すようなワーク搬送装置500が存在する。
図6は、一般的なワーク搬送装置の構成を示す模式図である。
図6に示すように、ワーク搬送装置500は、ベルトコンベア501・502・503・504・505・506・507・508およびガイド部材509を備える。
【0004】
ベルトコンベア501〜508は、上流から下流に向かってこの順番で配置されており、また、互いに平行に並んだベルトコンベア502〜508は、下流側のベルトコンベアほど高速度となるような速度設定で常時稼動している。
【0005】
また、ガイド部材509は、ベルトコンベア502〜508の下流端部付近に備えられる板状の部材であり、各ベルトコンベアにより搬送されるワークを堰き止め、一段下流のベルトコンベアへと流すものである。
【0006】
次に、
図7は、一般的なワーク搬送装置において、ワークのバルクを切り出す様子を模式的に示す図である。速度差を設けた複数のベルトコンベアを常時稼動させてワークのバルクを切り出す様子を、
図7を用いて説明すると、以下のとおりである。
【0007】
図7に示すように、ベルトコンベア601へと供給されたバルク610は、ベルトコンベア601によりベルトコンベア602へと押し出され、ガイド部材609に沿って、下流側のベルトコンベア603〜608へと順番に流されていく。
【0008】
ここで、
図7において矢印の長短によって示されているように、並列に並んで配置されたベルトコンベア602〜608は、下流側のベルトコンベアほど高速度となるように速度設定がなされている。すると、ワーク611は、下流のベルトコンベアへと流される度に、上流のベルトコンベアに搬送されていたときよりもばらけた状態で、ガイド部材609に沿って搬送される。その結果、ベルトコンベア601から押し出されたワーク611は、下流へと流される間に徐々に整列されていき、ベルトコンベア608まで到達する頃には、ワーク611は一列となって搬送される。
【0009】
そのほかに、特許文献1には、列順に加速される多列ベルトコンベア、及び当該多列ベルトコンベア上に搬送幅を狭めるようにカーブして設けられた片側ガイド部材を設け、容器(ワーク)の単列流を円滑に形成させる技術が開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、多列ベルトコンベアの速度と、ガイド部材の当該多列ベルトコンベアに対する傾斜角度との関係を規定することで、壜(ワーク)の移送をスムーズに行いつつ、壜がガイド部材に衝突する際の転倒を防止する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のワーク搬送装置では、ワークを単列化するために、複数のベルトコンベアが平行に並んで配設された多列ベルトコンベアを用いているため、ワーク搬送装置が大型化してしまう。そのため、ワーク搬送装置の設置には大きなスペースが必要となり、小規模な生産ラインにワーク搬送装置を適用することは困難であるという課題がある。
【0013】
また、多列ベルトコンベアは常時稼働しているため、ワーク搬送装置の消費電力量が増大してしまうという課題がある。
【0014】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ワークのバルクを整列させつつ搬送するワーク搬送装置を小型化し、且つ、消費電力量を低減することが可能な切り出しコンベア、および切り出し搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る切り出しコンベアは、上記の課題を解決するために、第1コンベアによって搬送されるワークのバルクから、所定数の列に並ぶようにワークを切り出して搬送する切り出しコンベアであって、前記第1コンベアの下流側の端部に沿って配設され、所定数の列のワークを載置する載置部を備え、前記載置部に所定数の列のワークが載置されたとき、当該所定数の列のワークの搬送を開始することを特徴としている。
【0016】
上記の構成では、切り出しコンベアは、第1コンベアの下流側の端部に沿って配設され、所定数の列のワークを載置する載置部を備えており、この載置部に所定数の列のワークが載置されたとき、当該所定数の列のワークの搬送を開始する。
【0017】
すなわち、上記の構成では、切り出しコンベアは、所定数の列のワークが載置されるまで載置部を停止させた状態を維持しており、所定数の列のワークが載置部に載置されたとき、当該所定数の列のワークの搬送を開始する。
【0018】
上記の構成では、第1コンベアによって搬送されるワークは、当該第1コンベアの下流側の端部から載置部に順次移送され、所定数の列に並ぶように載置部に載置される。そのため、上記の構成によれば、複数のベルトコンベアが平行に並んで配設された従来の多列ベルトコンベアに比べて、ワーク搬送装置を小型化することができる。
【0019】
また、上記の構成では、切り出しコンベアは、所定数の列のワークが載置部に載置されたとき、当該ワークの搬送を開始する。そのため、上記の構成によれば、従来のように、多列ベルトコンベアを常時稼働させる構成に比べて、コンベアの消費電力量を低減することができる。
【0020】
従って、上記の構成によれば、ワークのバルクを整列させつつ搬送するワーク搬送装置を小型化し、且つ、消費電力量を低減することが可能な切り出しコンベアを提供することができる。
【0021】
また、本発明に係る切り出しコンベアでは、前記載置部の位置を、前記第1コンベアの搬送方向に沿ってシフトするシフト部をさらに備え、前記シフト部は、前記所定数の列のワークが前記載置部に載置されたとき、前記載置部を前記第1コンベアから切り離すことが好ましい。
【0022】
通常、搬送するワークの形状により、第1コンベアに載置されたワークのバルクと、切り出しコンベアの載置部に載置されたワークとの間に重なり代が生じることがある。このような重なり代がある状態で載置部に載置されたワークの搬送を開始した場合、第1コンベアに載置されたワークと、載置部に載置されたワークとが衝突して、ワークの転倒または変形などが発生し得る。
【0023】
そこで、上記の構成では、切り出しコンベアは、載置部の位置を、第1コンベアの搬送方向に沿ってシフトするシフト部をさらに備えている。そのため、切り出しコンベアは、所定数の列のワークが載置部に載置されたとき、シフト部によって載置部の位置をシフトすることで、載置部を第1コンベアから切り離すことができる。
【0024】
従って、上記の構成によれば、ワーク間の重なり代を解消することができるので、載置部に載置されたワークを搬送する際のワーク同士の衝突による、ワークの転倒または変形などの発生を防止することができる。
【0025】
また、本発明に係る切り出しコンベアでは、前記シフト部は、前記載置部を前記第1コンベアから切り離したとき、前記載置部の搬送方向下流側の端部を第2コンベアに連結し、前記載置部に載置された前記所定数の列のワークが前記第2コンベアに移送されたとき、前記載置部を前記第1コンベアに連結することが好ましい。
【0026】
上記の構成では、シフト部は、載置部を第1コンベアから切り離したとき、載置部の搬送方向下流側の端部を第2コンベアに連結する。そのため、第1コンベアに載置されたワークのバルクと、切り出しコンベアの載置部に載置されたワークとの間の重なり代を解消しつつ、載置部に載置されたワークを第2コンベアに移送することができる。
【0027】
また、上記の構成では、シフト部は、載置部に載置された所定数の列のワークが第2コンベアに移送されたとき、載置部を第1コンベアに連結する。そのため、第1コンベアによって搬送されるワークを、所定数の列に並ぶように載置部に載置することができる。
【0028】
従って、上記の構成によれば、第1コンベアによって搬送されるワークのバルクから、所定数の列のワークを切り出して、次工程に搬出する動作を反復して行うことができる。
【0029】
また、本発明に係る切り出しコンベアでは、前記シフト部によって、前記載置部が前記第1コンベアから切り離されたとき、前記第1コンベアに載置されたワークと、前記載置部に載置された前記所定数の列のワークとの間に生じる隙間の有無を検知する検知部をさらに備えることが好ましい。
【0030】
載置部にワークが正常に載置されている場合、載置部が第1コンベアから切り離されたとき、第1コンベアに載置されたワークと、載置部に載置されたワークとの間には所定の隙間が検知される。
【0031】
一方、載置部が第1コンベアから切り離されたときに載置部に載置されたワークが第1コンベア側に転倒などした場合、第1コンベアに載置されたワークと、載置部に載置されたワークとの間には所定の隙間が検知されない。
【0032】
そこで、上記の構成では、検知部をさらに備えて、この検知部によって、載置部が第1コンベアから切り離されたとき、第1コンベアに載置されたワークと、載置部に載置された前記所定数の列のワークとの間に生じる隙間の有無を検知する。
【0033】
従って、上記の構成によれば、載置部にワークが正常に載置されているか否かを検出することができる。
【0034】
また、本発明に係る切り出しコンベアでは、前記載置部に載置された前記所定数の列のワークが、前記第1コンベア側へ転倒することを防止する転倒防止機構をさらに備えることが好ましい。
【0035】
上記の構成では、載置部に載置された所定数の列のワークが、第1コンベア側へ転倒することを防止する転倒防止機構をさらに備えている。
【0036】
従って、上記の構成によれば、載置部が第1コンベアから切り離されたときに載置部に載置されたワークが第1コンベア側へ転倒することを防止することができる。
【0037】
本発明に係る切り出し搬送方法は、上記の課題を解決するために、第1コンベアによって搬送されるワークのバルクから、所定数の列に並ぶようにワークを切り出して搬送する切り出し搬送方法であって、前記第1コンベアの下流側の端部に沿って配設された切り出しコンベアに、所定数の列のワークを載置する載置工程と、前記載置工程にて前記所定数の列のワークが前記切り出しコンベアに載置されたとき、前記第1コンベアを停止させる停止工程と、前記停止工程にて前記第1コンベアを停止させたとき、前記切り出しコンベアを起動させて、当該所定数の列のワークの搬送を開始する起動工程と、を含むことを特徴としている。
【0038】
上記の方法では、第1コンベアの下流側の端部に沿って配設された切り出しコンベアに、第1コンベアによって搬送されるワークを所定数の列に並ぶように載置する。そして、切り出しコンベアに所定数の列のワークが載置されたとき、第1コンベアを停止させると共に、切り出しコンベアを起動させて、当該所定数の列のワークの搬送を開始する。
【0039】
すなわち、上記の方法では、所定数の列のワークが載置されるまで切り出しコンベアを停止させた状態を維持しており、所定数の列のワークが切り出しコンベアに載置されたとき、第1コンベアを停止させると共に、当該所定数の列のワークの搬送を開始する。
【0040】
上記の構成では、第1コンベアによって搬送されるワークは、当該第1コンベアの下流側の端部から切り出しコンベアに順次移送され、所定数の列に並ぶように切り出しコンベアに載置される。そのため、上記の方法によれば、複数のベルトコンベアが平行に並んで配設された従来の多列ベルトコンベアを使用する方法に比べて、ワーク搬送装置を小型化することができる。
【0041】
また、上記の方法では、切り出しコンベアは、所定数の列のワークが切り出しコンベアに載置されたとき、第1コンベアを停止させると共に、所定数の列のワークの搬送を開始する。そのため、上記の構成によれば、従来のように、多列ベルトコンベアを常時稼働させる方法に比べて、コンベアの消費電力量を低減することができる。
【0042】
従って、上記の構成によれば、ワークのバルクを整列させつつ搬送するワーク搬送装置を小型化し、且つ、消費電力量を低減することが可能な切り出し搬送方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、本発明に係る切り出しコンベアは、第1コンベアによって搬送されるワークのバルクから、所定数の列に並ぶようにワークを切り出して搬送する切り出しコンベアであって、前記第1コンベアの下流側の端部に沿って配設され、所定数の列のワークを載置する載置部を備え、前記載置部に所定数の列のワークが載置されたとき、当該所定数の列のワークの搬送を開始する構成である。
【0044】
また、本発明に係る切り出し搬送方法は、第1コンベアによって搬送されるワークのバルクから、所定数の列に並ぶようにワークを切り出して搬送する切り出し搬送方法であって、前記第1コンベアの下流側の端部に沿って配設された切り出しコンベアに、所定数の列のワークを載置する載置工程と、前記載置工程にて前記所定数の列のワークが前記切り出しコンベアに載置されたとき、前記第1コンベアを停止させる停止工程と、前記停止工程にて前記第1コンベアを停止させたとき、前記切り出しコンベアを起動させて、当該所定数の列のワークの搬送を開始する起動工程と、を含む方法である。
【0045】
それゆえ、本発明によれば、ワークのバルクを整列させつつ搬送するワーク搬送装置を小型化し、且つ、消費電力量を低減することが可能な切り出しコンベア、および切り出し搬送方法および切り出し搬送方法を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明に係る切り出しコンベアの実施の一形態について
図1〜
図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施形態では、本発明に係る切り出しコンベアを備えたワーク搬送装置を一例に挙げて説明する。
【0048】
〔1.ワーク搬送装置100の構成〕
まず、
図1を参照して、本実施形態に係るワーク搬送装置100の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係るワーク搬送装置100を示す模式図である。ワーク搬送装置100は、上流側の供給コンベア1の供給位置に供給された、梱包容器や原材料、中間生成物といったワーク131のバルク130(
図3(a)〜(f)を参照)を、切り出しコンベア2によって所定数の列に並ぶように切り出して、下流側の排出コンベア3に移送することで、ワーク131の整列を効率的に行うものである。
【0049】
そして、
図1に示すように、ワーク搬送装置100は、供給コンベア(第1コンベア)1と、切り出しコンベア2と、排出コンベア(第2コンベア)3と、センサ(検知部)4と、制御部5とを備えている。以下、ワーク搬送装置100を構成するこれらの構成要件について、より具体的に説明する。
【0050】
(供給コンベア1)
供給コンベア1は、所定の供給位置に供給されたワーク131のバルク130を、切り出しコンベア2に供給するものである。
【0051】
より具体的には、供給コンベア1は、ワーク131のバルク130を載置可能な、モータなどによって駆動する載置部11を備えている。供給コンベア1は、この載置部11にワーク131のバルク130を載置して、載置したバルク130を搬送方向(図中のx軸方向)に向けて搬送する。
【0052】
なお、供給コンベア1は、チェーンコンベア、ベルトコンベア、ローラコンベア、およびスクリュコンベアなどの各種コンベアで実現される。
【0053】
(切り出しコンベア2)
切り出しコンベア2は、供給コンベア1によって搬送されるワーク131のバルク130から、所定数の列に並ぶようにワーク131を切り出して搬送するものである。
【0054】
より具体的には、切り出しコンベア2は、供給コンベア1の下流側の端部に沿って配設された、モータなどによって駆動する載置部21を備えている。切り出しコンベア2は、この載置部21に所定数の列に並ぶように、供給コンベア1によって搬送されたワーク131を載置する。切り出しコンベア2は、所定数の列のワーク131が載置部21に載置されたとき、載置した所定数の列のワーク131について搬送方向(図中のy軸方向)方向に向けた搬送を開始する。
【0055】
この載置部21は、供給コンベア1の搬送方向(x軸方向)に沿ってシフト可能に設けられている。すなわち、載置部21は、供給コンベア1の端部に連結された連結位置と、供給コンベア1から切り離された切離位置との間でシフトすることができるように構成されている。なお、切り出しコンベア2をこのようにシフトするための具体的構成については後述する。
【0056】
(排出コンベア3)
排出コンベア3は、切り出しコンベア2から所定数の列のワーク131を受け取って、次工程に向けて搬送するものである。
【0057】
より具体的に説明すると、排出コンベア3は、切り出しコンベア2の搬送方向の下流側に配設されており、モータなどによって駆動する載置部31を備えている。そして、排出コンベア3は、この載置部31に、切り出しコンベア2から受け取った所定数の列のワーク131を載置して、載置した所定数の列のワーク131を次工程に向けて搬送する。
【0058】
なお、排出コンベア3は、チェーンコンベア、ベルトコンベア、ローラコンベア、およびスクリュコンベアなどの各種コンベアで実現される。
【0059】
(センサ4)
センサ4は、切り出しコンベア2の載置部21に載置された所定数の列のワーク131の載置状態を検知するための光学センサである。より具体的に説明すると、センサ4は、供給コンベア1と切り出しコンベア2との連結領域を挟んで、互いに対向して配設された発光部4aおよび受光部4bを備えている。
【0060】
発光部4aは、切り出しコンベア2の載置部21が供給コンベア1から切り離されたときに生じる、供給コンベア1の載置部11に載置されたワーク131と、切り出しコンベア2の載置部21に載置されたワーク131との間の隙間を検知するための検知光を発する発光素子である。発光部4aとしては、例えば、レーザ光を発するLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などを用いることができる。
【0061】
受光部4bは、発光部4aから発せられた検知光を受光する受光素子である。受光部4bとしては、例えば、PD(Photo Diode:フォトダイオード)などを用いることができる。そして、受光部4bは、受光した検知光を電気信号に変換した検知信号を、制御部5へ出力する。
【0062】
(制御部5)
制御部5は、ワーク搬送装置100の各部を制御するものである。例えば、制御部5は、所定数の列のワーク131が切り出しコンベア2の載置部21に載置されたとき、供給コンベア1を停止させる制御を行う。
【0063】
また、制御部5は、供給コンベア1を停止させたとき、切り出しコンベア2を起動させて、切り出しコンベア2の載置部21に載置された所定数の列のワーク131の搬送を開始する制御を行う。なお、制御部5によるワーク搬送装置100の動作の制御の詳細については後述する。
【0064】
〔2.切り出しコンベア2の詳細〕
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る切り出しコンベア2の詳細について説明する。
【0065】
図2(a)および
図2(b)は、
図1に示される切り出しコンベア2をy軸方向に対して垂直な面で切断したときの断面図である。なお、
図2(a)は、載置部21が供給コンベア1に連結された状態(連結位置)を示しており、
図2(b)は、載置部21が供給コンベア1から切り離された状態(切離位置)を示している。
【0066】
図2(a)および
図2(b)に示すように、切り出しコンベア2は、載置部21と、ガイド部材22と、エアシリンダ(シフト部)23とを備えている。
【0067】
(載置部21)
載置部21は、供給コンベア1によって搬送されたワーク131を、所定数の列に並ぶように載置する無端部材である。たとえば、載置部21は、ベース24に回転可能に取り付けられた回転部材に張架されたチェーンベルトに、複数の載置プレートを平行に並べて固定した構成とすることができる。
【0068】
その他、切り出しコンベア2として、チェーンコンベアに代えて、ベルトコンベア、ローラコンベア、およびスクリュコンベアなどの各種コンベアを用いてもよい。
【0069】
(ガイド部材22)
ガイド部材22は、供給コンベア1によってx軸方向に向けて搬送されたワーク131を受け止めて、載置部21上で停止させるものである。ガイド部材22は、ベース24に固定された支持部材25によって、載置部21の上方に支持されている。
【0070】
このガイド部材22が支持されるx軸方向における位置は、載置部21に載置するワーク131のサイズ、または載置部21上に載置可能なワーク131の列数などに応じて適宜変更可能である。
【0071】
(エアシリンダ23)
エアシリンダ23は、載置部21の位置をx軸方向に沿ってシフトするものである。エアシリンダ23はフレーム28に一端が固定されており、他端には空気の圧縮によってx軸方向に沿って伸縮自在なロッド26が貫設されている。このロッド26の先端部は、連結部材27を介して、ベース24に連結されている。そのため、エアシリンダ23は、ロッド26の伸縮に応じて、載置部21の位置をx軸方向に沿ってシフトすることができる。
【0072】
このように、エアシリンダ23の動作を制御することによって、載置部21がコネクター29を介して供給コンベア1へ連結された連結位置(
図2(a)を参照)と、載置部21が供給コンベア1から切り離された切離位置(
図2(b)を参照)との間で、載置部21の位置をシフトすることができる。
【0073】
なお、本実施形態では、載置部21の位置をx軸方向に沿ってシフトするシフト部として、エアシリンダ23を用いているが、エアシリンダ23に代えて、油圧シリンダ、電気シリンダなどの各種シリンダを用いてもよい。
【0074】
〔3.ワーク搬送装置100の動作〕
次に、
図3および
図4を参照して、本実施形態に係るワーク搬送装置100の動作について説明する。以下では、供給コンベア1によって搬送されるワーク131のバルク130から、切り出しコンベア2によって一列に並ぶようにワーク131を切り出して、単列化したワーク131を排出コンベア3に移送する動作について説明する。
【0075】
図3(a)〜
図3(f)は、
図1に示されるワーク搬送装置100の動作の様子を示す模式図である。まず、供給コンベア1の載置部11の所定の供給位置に、ワーク131のバルク130が載置される。そして、
図3(a)に示すように、制御部5は、供給コンベア1を起動して、ワーク131のバルク130をx軸方向に向けて搬送する。
【0076】
次に、
図3(b)に示すように、供給コンベア1によって搬送されるバルク130の第1列目のワーク131が切り出しコンベア2の載置部21に載置されたとき(載置工程)、制御部5は供給コンベア1を停止させる(停止工程)。
【0077】
例えば、制御部5は、供給コンベア1によって搬送されるバルク130の第1列目のワーク131がガイド部材22に接触したことを検知して、供給コンベア1を停止させる。これにより、供給コンベア1によって搬送されるバルク130の第1列目のワーク131を切り出しコンベア2の載置部21に載置する一方で、第2列目のワーク131は載置部21に載置されないようにすることができる。
【0078】
図4は、
図3(b)に示される枠囲み破線部分を示す拡大図である。
図4に示すように、例えば、z軸方向に対して垂直な面で切断したときのワーク131の断面が円形である場合、供給コンベア1の載置部11に載置されたワーク131と、切り出しコンベア2の載置部21に載置されたワーク131との間には重なり代が生じる。このような重なり代がある状態で、ワーク131搬送をy軸方向に向けて搬送した場合、供給コンベア1の載置部11に載置されたワーク131と、切り出しコンベア2の載置部21に載置されたワーク131とが衝突するため、ワーク131の転倒または変形などが発生し得る。
【0079】
そこで、
図3(c)に示すように、制御部5は、供給コンベア1を停止させると共に、エアシリンダ23を制御して、切り出しコンベア2の載置部21を供給コンベア1から切り離す。これにより、ワーク131間の重なり代を解消することができるので、ワーク131同士の衝突による、ワーク131の転倒または変形などの発生を防止することができる。
【0080】
このとき、供給コンベア1から切り離された切り出しコンベア2の載置部21は、そのの下流側の端部が排出コンベア3に連結される。そのため、切り出しコンベア2は、一列に並んだワーク131を、排出コンベア3に移送して、当該ワークを次工程に向けて搬出することができる。
【0081】
さらに、制御部5は、切り出しコンベア2の載置部21を供給コンベア1から切り離したとき、受光部4bから出力される検知信号に基づいて、切り出しコンベア2の載置部21に載置されたワーク131の載置状態を判定する。具体的には、制御部5は、切り出しコンベア2の載置部21を供給コンベア1から切り離したときに、発光部4aから出射された検出光が受光部4bによって検出光が受光されたか否かを判定する。
【0082】
発光部4aから出射された検出光が受光部4bによって検出光が受光されなかった場合、制御部5は、切り出しコンベア2の載置部21に載置されたワーク131の載置状態が正常でないと判定する。これは、切り出しコンベア2の載置部21を供給コンベア1から切り離した際にワーク131が転倒し、転倒したワーク131によって、発光部4aから出射された検出光が遮られた可能性があるためである。あるいは、ワーク131が載置部21において適切に整列せず、一部のワーク131が供給コンベア1と切り出しコンベア2に跨っており、このように跨っているワーク131によって検出光が遮られた可能性もある。この場合、制御部5は、切り出しコンベア2によるワーク131の搬送を行わず、切り出しコンベア2の載置部21に載置されたワーク131の載置状態に異常が生じたことを通知する。
【0083】
一方、発光部4aから出射された検出光が受光部4bによって検出光が受光された場合、制御部5は、切り出しコンベア2の載置部21に載置されたワーク131の載置状態は正常であると判定する。この場合、制御部5は、
図3(d)に示すように、切り出しコンベア2を起動して、ワーク131の搬送を開始する(起動工程)。これにより、載置部21に一列に並んで載置されたワーク131を排出コンベア3に移送する。
【0084】
次に、
図3(e)に示すように、制御部5は、切り出しコンベア2の載置部21に載置されたワーク131が排出コンベア3にすべて移送されたとき、エアシリンダ23を制御して、切り出しコンベア2の載置部21を供給コンベア1に連結する。例えば、制御部5は、切り出しコンベア2のチェーンベルトの移動量を検知し、検知した移動量が予め登録された所定値に達したとき、載置部21に載置されたワーク131が排出コンベア3にすべて移送されたと判断する。この場合、制御部5は、載置部21のチェーンベルトによるワーク131の搬送動作を停止させ、エアシリンダ23を制御して、載置部21を供給コンベア1に連結する。
【0085】
そして、
図3(f)に示すように、制御部5は、供給コンベア1を起動して、供給コンベア1の載置部11に載置されたバルク130の第2列目のワーク131が切り出しコンベア2の載置部21に載置されるように、供給コンベア1を制御する。
【0086】
例えば、制御部5は、供給コンベア1によって搬送されるバルク130の第2列目のワーク131がガイド部材22に接触したことを検知して、供給コンベア1を停止させる。或いは、制御部5は、予め登録されたワーク131のx軸方向における幅の分だけ供給コンベア1が進むように供給コンベア1を制御してもよい。
【0087】
これにより、供給コンベア1によって搬送されるワーク131のバルク130から、一列に並ぶようにワーク131を切り出して、次工程に搬出する動作を反復して行うことができる。
【0088】
このように、ワーク搬送装置100によれば、供給コンベア1によって搬送されるバルク130は、供給コンベア1の下流側の端部から切り出しコンベア2の載置部21に順次移送され、一列に並ぶように載置される。そのため、切り出しコンベア2によれば、複数のベルトコンベアが平行に並んで配設された従来の多列ベルトコンベアに比べてワーク搬送装置100のサイズを約1/3程度まで小型化することができる。
【0089】
また、ワーク搬送装置100によれば、切り出しコンベア2は、ワーク131が載置部21に一列に並んで載置されたとき、載置部21によるワーク131の搬送を開始するため、従来のように、多列ベルトコンベアを常時稼働させる構成に比べて、ワーク搬送装置100の消費電力量を1/5程度に低減することができる。
【0090】
なお、切り出しコンベア2によって切り出すワーク131の列数は特に限定されない。例えば、切り出しコンベア2の載置部21の幅、およびガイド部材22の位置などを適宜変更することで、供給コンベア1によって搬送されるワーク131のバルク130から、2列以上のワーク131を切り出すことも可能である。
【0091】
〔4.実施形態の総括〕
以上のように、本実施形態に係る切り出しコンベア2は、供給コンベア1によって搬送されるワーク131のバルク130から、所定数の列に並ぶようにワーク131を切り出して搬送するものであって、供給コンベア1の下流側の端部に沿って配設され、所定数の列のワーク131を載置する載置部21を備え、載置部21に所定数の列のワーク131が載置されたとき、当該所定数の列のワーク131の搬送を開始する構成である。
【0092】
すなわち、切り出しコンベア2は、所定数の列のワーク131が載置されるまで載置部21を停止させた状態を維持しており、所定数の列のワーク131が載置部21に載置されたとき、当該所定数の列のワーク131の搬送を開始する。
【0093】
従って、切り出しコンベア2では、供給コンベア1によって搬送されるワーク131は、供給コンベア1の下流側の端部から載置部21に順次移送され、一列に並ぶように載置部21に載置される。そのため、切り出しコンベア2によれば、複数のベルトコンベアが平行に並んで配設された従来の多列ベルトコンベアに比べてワーク搬送装置100を小型化することができる。
【0094】
また、切り出しコンベア2によれば、一列に並んだワーク131が載置部21に載置されたとき、当該ワーク131の搬送を開始する。そのため、切り出しコンベア2によれば、従来のように、多列ベルトコンベアを常時稼働させる構成に比べて、ワーク搬送装置100の消費電力量を低減することができる。
【0095】
従って、本実施形態によれば、ワーク131のバルク130を整列させつつ搬送するワーク搬送装置100を小型化し、且つ、消費電力量を低減することが可能な切り出しコンベア2を提供することができる。
【0096】
〔5.変形例〕
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る切り出しコンベア2の変形例について説明する。
【0097】
図5(a)は、
図2(a)および
図2(b)に示される切り出しコンベア2の変形例を示す断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)に示される切り出しコンベア2が備える載置部21を示す上面図である。
図5(a)に示すように、切り出しコンベア2は、載置部21に載置された所定数の列のワーク131が、供給コンベア1側へ転倒することを防止するための転倒防止機構をさらに備えている。
【0098】
より具体的に説明すると、転倒防止機構は、載置部21に一列に並んで載置されたワーク131の上部を貫入させることで、当該ワーク131の供給コンベア1側への転倒を防止する保持部材30を備えている。
【0099】
図5(b)に示すように、保持部材30は、載置部21の搬送方向(y軸方向)に沿って延伸する略コの字型の部材である。保持部材30の両端部は、ガイド部材22に回動可能に取り付けられており、モータなどによって駆動される。
【0100】
制御部5は、切り出しコンベア2の載置部21に所定数の列のワーク131が載置されたとき、保持部材30を上方から供給コンベア1側に向けて回動させ、当該ワーク131の上部を保持部材30に貫入させる。これにより、切り出しコンベア2の載置部21を供給コンベア1から切り離す際に、ワーク131が供給コンベア1側へ転倒することを防止することができる。
【0101】
また、制御部5は、切り出しコンベア2の載置部21が供給コンベア1から切り離されたとき、保持部材30を供給コンベア1側から上方に向けて回動させることで、保持部材30を解除する。これにより、切り出しコンベア2によるワーク131の搬送が可能となる。