(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
【0021】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物が、溶剤への溶解性が高く、彩度及び色調が良好で、特にGreenの色域での色調が良好であることを見出した。
【0023】
[一般式(1)中、R
1はアルキル基、アリール基、または、アミノ基を表す。R
2はカルボン酸エステルまたはカルボン酸アミドを表す。Aは、カルボニル基またはスルホニル基を表す。R
3及びR
4は、それぞれ独立して、アルキル基またはアリール基を表す]。
【0024】
また、該非水溶性色素化合物を用いることによって、彩度及び色調が良好で、特にGreenの色域での色調が良好なインク、カラーフィルター用レジスト組成物、及び、感熱転写記録用シートが得られることを見出し本発明に至った。
【0025】
まず、一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物について説明する。
【0026】
一般式(1)で表される本発明の非水溶性色素化合物は、有機溶剤に対する高い親和性を有する。なお、本発明における「非水溶性」とは、水への溶解度が1質量%未満であることを示す。
【0027】
一般式(1)中のR
1におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
【0028】
R
1におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、フェニル基が挙げられる。
【0029】
R
1におけるアミノ基としては、特に限定されるものではないが、アミノ基、プロピルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基が挙げられる。
【0030】
R
1がアルキル基であることが好ましく、特にメチル基の場合がGreenの色域での色調をさらに良好にすることができるので好ましい。
【0031】
一般式(1)中のR
2におけるカルボン酸エステル基としては、特に限定されるものではないが、カルボン酸メチルエステル基、カルボン酸エチルエステル基、カルボン酸プロピルエステル基、カルボン酸ブチルエステル基、カルボン酸2−エチルヘキシルエステル基が挙げられる。
【0032】
R
2におけるカルボン酸アミド基としては、特に限定されるものではないが、カルボン酸ジメチルアミド基、カルボン酸ジエチルアミド基の如きカルボン酸ジアルキルアミド基、カルボン酸ジフェニルアミド基の如きカルボン酸ジフェニルアミド基、カルボン酸メチルアミド基、カルボン酸エチルアミド基、カルボン酸t−ブチルアミド基の如きカルボン酸モノアルキルアミド基、カルボン酸フェニルアミド基の如きカルボン酸モノフェニルアミド基が挙げられる。
【0033】
R
2がカルボン酸エステルであることが好ましく、特にカルボン酸メチルエステル基またはカルボン酸エチルエステル基が、溶剤への溶解性が高くなり、彩度及び色調が良好であり、特にGreenの色域での色調を良好にするのに有用である。
【0034】
一般式(1)中のR
3及びR
4におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、ドデシル基、ノナデシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、2−エチルプロピル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキセニルエチル基の如き飽和または不飽和の直鎖状、分岐状、若しくは、環状の炭素数1〜20個の1級〜3級のアルキル基が挙げられる。
【0035】
一般式(1)中のR
3及びR
4におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、フェニル基が挙げられる。
【0036】
その中でも、R
3及びR
4がそれぞれ独立して、エチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、2−エチルプロピル、2−エチルヘキシル基、シクロヘキセニルエチル基であることが、溶剤への溶解性が高くなり、Greenの色域での色調が良好になるため好ましく、より好ましくはn−ブチル基または2−エチルヘキシル基である。また、溶剤への溶解性が高くなるという点から、R
3及びR
4は同一の官能基であることが好ましく、より好ましくはアルキル基である。
【0037】
本発明にかかる一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物は、WO08/114886号公報に記載されている公知の方法を参考にして合成することが可能である。
【0038】
本発明の上記一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物の製造方法について、以下に一態様を示すが、製造方法がこれに限定されるわけではない。
【0042】
なお、上記反応式中の各化合物、一般式(1)中のR
1〜R
4、及び、Aは、上記一般式(1)におけるR
1〜R
4、及び、Aと同義である。
【0043】
なお、一般式(1)はアゾ体を示しているが、このアゾ体と共に、一般式(1)の互変異性体であるヒドラゾ体が含まれていてもよい。
【0044】
本発明の非水溶性色素化合物は、ピリドン化合物とアミン化合物をカップリングさせることで製造することができる。
【0045】
上記のピリドン化合物の製造方法に関して説明する。
【0046】
ピリドン化合物は、シアノ酢酸エチル化合物及びアセト酢酸エステル化合物を用いて環化させる環化工程を行うことで製造することができる。
【0047】
本環化工程は無溶媒で行うことも可能であるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸、トルエンが挙げられる。また、2種以上の溶媒を混合して用いることもでき、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記反応溶媒の使用量は、シアノ酢酸エチル化合物の質量の0.1〜1000倍であることが好ましく、より好ましくは1.0〜150倍である。
【0048】
また、本環化工程では、酸または塩基を使用すると反応が速やかに進行する。
【0049】
用いることができる酸としては、塩酸、硫酸、リン酸の如き無機酸;p−トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸の如き有機酸;アンバーライト(ローム・アンド・ハース株式会社)、アンバーリスト(ローム・アンド・ハース株式会社)の如き強酸性イオン交換樹脂;ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウムの如き無機酸塩が挙げられる。その中でも、好ましくは塩酸である。上記酸の使用量は、シアノ酢酸エチル化合物の質量の0.1〜20倍であることが好ましく、より好ましくは0.8〜10倍であり、さらに好ましくは0.9〜2.0倍である。
【0050】
用いることができる塩基は、ピリジン、2−メチルピリジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、フェニルエチルアミン、イソプロピルエチルアミン、メチルアニリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(D B U)、酢酸カリウムの如き有機塩基;n−ブチルリチウム、t e r t―ブチルマグネシウムクロリドの如き有機金属;水素化ホウ素ナトリウム、金属ナトリウム、水素化カリウム、酸化カルシウムの如き無機塩基;カリウムt e r t−ブトキシド、ナトリウムt e r t−ブトキシド、ナトリウムエトキシドの如き金属アルコキシドが用いられる。その中でも、トリエチルアミンまたはピペリジンであることが好ましく、より好ましくはトリエチルアミンである。上記塩基の使用量は、シアノ酢酸エチルの質量の0.1〜20倍であることが好ましく、より好ましくは0.8〜10倍、さらに好ましくは0.9〜2.0倍の範囲である。
【0051】
反応終了後、蒸留、再結晶、シリカゲルクロマトグラフィーの如き精製を行うことによって、所望のピリドン化合物を得ることができる。
【0052】
次に、上記のアミン化合物の製造方法に関して説明する。
【0053】
アミン化合物はカルボン酸化合物またはスルホン酸化合物をアミド化するアミド化工程でアミド化合物を得、このアミド化合物を還元する還元工程を行うことで合成することができる。
【0054】
本発明で用いられるカルボン酸化合物またはスルホン酸化合物、アミド化工程で用いられるアミン化合物は市販されており、容易に入手可能である。
【0055】
まず、アミド化工程について説明する。
【0056】
本アミド化工程は無溶媒で行うことも可能であるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、クロロホルム、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルが挙げられる。また、2種以上の溶媒を混合して用いることもでき、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記反応溶媒の使用量は、カルボン酸化合物またはスルホン酸化合物の質量の0.1〜1000倍であることが好ましく、より好ましくは1.0〜150倍である。
【0057】
本アミド化工程の反応温度は、−80℃〜250℃の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは−20℃〜150℃である。このアミド化工程の反応は通常24時間以内に完結する。
【0058】
また本アミド化工程では、塩化チオニル、オキザリルクロライドの如き塩素化剤を使用すると反応が速やかに進行する。塩素化剤は多種市販されているが、安価で入手し易く、取り扱いが容易な塩化チオニルを用いることが好ましい。塩化チオニルの使用量はカルボン酸化合物またはスルホン酸化合物の質量の0.1〜10倍であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5.0倍であり、さらに好ましくは0.8〜2.0倍である。
【0059】
更に、ジエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンの如き触媒を使用することで反応を速やかに進行させることが可能であるため好ましい。
【0060】
反応終了後、蒸留、再結晶、シリカゲルクロマトグラフィーの如き精製を行うことにより、所望のアミド化合物を得ることができる。
【0062】
本還元工程は無溶媒で行うことも可能であるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、アセトニトリルが挙げられる。また、2種以上の溶媒を混合して用いることもでき、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記反応溶媒の使用量は、カルボン酸化合物またはスルホン酸化合物の質量に対し、0.1〜1000倍の範囲で用いられることが好ましく、より好ましくは1.0〜150倍である。
【0063】
また、本還元工程では、パラジウム炭素の如き触媒を使用すると反応を速やかに進行させることができるため好ましい。また、還元剤としては水素、ギ酸アンモニウム、ヒドラジンを使用することができる。
【0064】
本還元工程は、常圧下でも、オートクレーブの如き装置による加圧下でも反応を行うことができる。
【0065】
反応終了後、蒸留、再結晶、シリカゲルクロマトグラフィーの如き精製を行うことにより、所望のアミン化合物を得ることができる。
【0066】
次にピリドン化合物とアミン化合物をカップリングさせる色素化工程に関して説明する。
【0067】
本色素化工程は、公知の方法により行うことができる。即ち、ピリドン化合物と、アミン化合物から誘導されるジアゾ成分とをカップリングさせて、本発明の一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物を得る。
【0068】
具体的なカップリング方法としては、下記に示す方法が挙げられる。
【0069】
まず、溶媒中で、アミン化合物を塩酸または硫酸の如き無機酸の存在下で、亜硝酸ナトリウムの如き亜硝酸塩を反応させて、対応するジアゾニウム塩に変換する。更に、このジアゾニウム塩をピリドン化合物とカップリングさせて一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物を製造することが可能である。
【0070】
得られた一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物は、通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、分液操作、再結晶、再沈殿、カラムクロマトグラフィーの如き精製を行うことで高純度の非水溶性色素化合物を得ることができる。なお、得られた一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物は、
1H核磁気共鳴分光分析(
1H−NMR)装置、及び、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)装置を用いて同定することができる。
【0071】
本発明において一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物は、使用する用途の目的に応じて、色調等を調整するために、単独、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、公知の顔料や染料を1種以上組み合わせて用いることもできる。
【0072】
本発明の非水溶性色素化合物の例として、非水溶性色素化合物(1)〜(28)を以下に示すが、特に下記の化合物に限定されるものではない。
【0076】
上記化合物(1)〜(28)のうち、化合物(1)、(4)、(10)、(11)、(18)、(19)、(20)、(23)、(24)、(26)、(27)及び(28)が好ましく、より好ましくは、化合物(1)、(4)、(11)、(18)、(23)、(26)及び(28)である。
【0077】
<インク>
本発明のインクについて説明する。
【0078】
一般式(1)で表される構造を有する本発明の非水溶性色素化合物は、溶剤への溶解性が高く、彩度及び色調が良好であり、特にGreenの色域での色調を良好にすることができるため、インクの着色剤への用途としても好適である。
【0079】
本発明のインクは、媒体と一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物を含有するインクである。
【0080】
本発明のインクにおいて、上記以外の構成成分については、本発明のインクの使用用途に応じて各々決められるものであり、該インクを利用する各種用途における特性を阻害しない範囲において、添加物を適宜添加してもよい。
【0081】
本発明のインクは、インクジェット用インクをはじめとして、印刷用インク、塗料、筆記具用インクに好適に用いることができる。その中でも、後述するカラーフィルター用レジスト用途や、感熱転写記録用シート用途のインクとして特に好適に用いることができる。
【0082】
本発明のインクは、以下のようにして得られる。
【0083】
媒体中に、撹拌しながら、本発明の非水溶性色素化合物を、必要に応じて他の着色剤、乳化剤、樹脂と共に媒体中に撹拌しながら徐々に加え、十分に媒体になじませる。さらに、分散機により機械的剪断力を加えることで安定に溶解または微分散させることで、本発明のインクを得ることができる。
【0084】
本発明において、上記「媒体」とは、水または有機溶剤を意味する。
【0085】
本発明のインクの媒体として有機溶剤を用いる場合、該有機溶剤の種類は着色剤の目的用途に応じて決められるものであり、特に限定されない。具体的には、メタノール、エタノール、変性エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、sec−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−ペンタノール、オクタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールの如きアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの如きグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテートの如きエステル類、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサンの如き脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラブロムエタンの如きハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、トリオキサン、テトラヒドロフランの如きエーテル類、メチラール、ジエチルアセタールの如きアセタール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸の如き有機酸類、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドの如き硫黄または窒素含有有機化合物類が挙げられる。
【0086】
また、本発明のインクで用いることができる有機溶剤としては、重合性単量体を用いることもできる。重合性単量体は、付加重合性単量体または縮重合性単量体であり、好ましくは、付加重合性単量体である。このような重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンの如きスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリロニトリル、アクリル酸アミド等のアクリレート系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリロニトリル、メタクリル酸アミドの如きメタクリレート系単量体、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、シクロヘキセンの如きオレフィン系単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニルの如きハロゲン化ビニル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル系単量体、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル系単量体、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン系単量体が挙げられる。これらは単独で、または必要に応じて2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0087】
本発明のインクを構成する着色剤としては、一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物を用いるが、該非水溶性色素化合物の媒体への溶解性または分散性を阻害しない限りは、必要に応じて他の着色剤を併用してもよい。
【0088】
併用することができる他の着色剤としては、特にこれらに限定されるものではないが、C.I.Solvent Yellow 1、19、44、49、62、74、77、79、81、82、83、89、90、93、98、103、104、112、120、121、151、153、154、162;C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、150、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、およびこれらの誘導体として分類される種々の着色剤が挙げられる。
【0089】
本発明のインクに含まれる上記着色剤の含有量としては、媒体100.0質量部に対して1.0質量部〜30.0質量部であることが好ましく、より好ましくは2.0質量部〜20.0質量部、更に好ましくは3.0質量部〜15.0質量部である。上記の範囲であれば、十分な着色力が得られつつ、着色剤の分散性も良好となる。
【0090】
本発明のインクの媒体として水を用いる場合、上記着色剤の良好な分散安定性を得るために、必要に応じて乳化剤を添加してもよい。添加することができる乳化剤としては、特に限定されるものではないが、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられる。
【0091】
上記カチオン界面活性剤としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドが挙げられる。
【0092】
上記アニオン界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウムの如き脂肪酸石鹸、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0093】
上記ノニオン界面活性剤としては、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖が挙げられる。
【0094】
本発明のインクは、さらに樹脂を含んでいてもよい。本発明のインクに含有させることができる樹脂の種類は、目的用途に応じて決められるものであり、特に限定されないが、ポリスチレン樹脂、スチレン共重合体、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、アクリル酸系共重合体、メタクリル酸系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルメチルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリペプチド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は単独で、もしくは必要に応じて2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0095】
インク作製時に用いる分散機としては、特に限定されるものではないが、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライターの如きメディア式分散機、及び、高圧対向衝突式の分散機を用いることができる。
【0096】
以上のように、本発明のインクは、本発明の非水溶性色素化合物を含有して構成されるため、彩度及び色調が良好で、特にGreenの色域での色調が良好なインクを提供することができる。
【0097】
<感熱転写記録用シート>
次に、本発明の感熱転写記録用シートについて説明する。
【0098】
本発明の非水溶性色素化合物は、溶剤への溶解性が高く、彩度及び色調が良好で、特にGreenの色域での色調が良好であるため、感熱転写記録用シートに好適に用いることができる。
【0099】
本発明の感熱転写記録用シートは、基材と、本発明の非水溶性色素化合物を含有する組成物を該基材上に膜形成してなる色材層とを有することを特徴とする。
【0100】
本発明の感熱転写記録用シートは、以下のようにして得られる。一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物を含む着色剤、結着樹脂、必要に応じて界面活性剤、ワックスを、媒体中に撹拌しながら徐々に加え、十分に媒体になじませる。さらに、分散機により機械的剪断力を加えることで上記組成物を安定して溶解または微粒子状に分散させ、本発明のインクを調製する。次に該インクを、基材であるベースフィルムに塗布、乾燥することにより本発明の感熱転写記録用シートを作製することができる。なお、本発明は感熱転写記録用シートが一般式(1)で表わされる構造を有する非水溶性色素化合物を有していれば良く、この製造方法で作製された感熱転写記録用シートに限定されるものではない。
【0101】
本発明の感熱転写記録用シートの色材層に用いることができる結着樹脂としては、様々な樹脂が挙げられる。その中でも、セルロース樹脂、ポリアクリル酸樹脂、澱粉樹脂、および、エポキシ樹脂の如き水溶性樹脂、並びに、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボオネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース樹脂、アセチルセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、AS樹脂、および、フェノキシ樹脂の如き有機溶剤可溶性の樹脂であることが好ましい。これらの樹脂は、単独で、もしくは必要に応じて2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0102】
上記製造方法に用いることができる媒体としては、上記インクの媒体に使用されるものと同じものを使用することができる。具体的には、水または有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびイソブタノールの如きアルコール類、メチルセロソルブおよびエチルセロソルブの如きセロソルブ類、トルエン、キシレンおよびクロロベンゼンの如き芳香族炭化水素類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルの如きエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンの如きケトン類、塩化メチレン、クロロホルムおよびトリクロロエチレンの如きハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフランおよびジオキサンの如きエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンが好ましく用いられる。上記有機溶剤は単独で、もしくは必要に応じて2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0103】
本発明の感熱転写記録用シートにおいて、着色剤としては上記一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物を用いることで、Greenの色域での色調が良好である感熱転写記録用シートを得ることができる。さらに所望の分光特性を得るため、調色用途として、他の着色剤を併用してもよい。併用することができる着色剤としては、本発明の感熱転写記録用シートの彩度、色調(特にGreenの色域の色調)に大きな影響を与えなければ特に限定されるものではないが、C.I.Solvent Yellow 1、19、44、49、62、74、77、79、81、82、83、89、90、93、98、103、104、112、120、121、151、153、154、162、および、これらの誘導体として分類される種々の着色剤が挙げられる。ただし、併用することができる着色剤がこれらに限定されるものではない。
【0104】
上記結着樹脂と上記着色剤の使用比率(結着樹脂:着色剤)は、質量比で1:2〜2:1の範囲であることが、転写性の点で好ましい。
【0105】
本発明の感熱転写記録用シートには、サーマルヘッド加熱時(印画時)に十分な滑性を持たせるために、界面活性剤を添加してもよい。添加することができる界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられる。
【0106】
上記カチオン界面活性剤としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドが挙げられる。
【0107】
上記アニオン界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウムの如き脂肪酸石鹸、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0108】
上記ノニオン界面活性剤としては、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖が挙げられる。
【0109】
本発明の感熱転写記録用シートには、サーマルヘッド非加熱時に十分な滑性を持たせるために、ワックスを添加してもよい。添加することができるワックスとしては、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、脂肪酸エステルワックスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
本発明の感熱転写記録シートには、上記した添加物以外にも、必要に応じて、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、帯電防止剤、粘度調整剤を添加しても良い。
【0111】
本発明の感熱転写記録用シートの基材であるベースフィルムとしては、特に限定されるものではないが、コンデンサー紙、グラシン紙の如き薄葉紙、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、および、ポリアラミドの如きプラスチックのフィルムが、耐熱性の良好な点で好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムが、機械的強度、耐溶剤性、および、経済性の点でさらに好ましい。基材の厚さは、3〜50μmであることが、転写性の点から好ましい。
【0112】
本発明の感熱転写記録用シートにおいては、耐熱性やサーマルヘッドの走行性を向上させる目的で、基材の色材層がある面と反対側の面に潤滑剤、滑性の高い耐熱性微粒子、および、結着剤の如き熱性樹脂の層を設けることが好ましい。該潤滑剤としては、アミノ変性シリコーン化合物、カルボキシ変性シリコーン化合物が挙げられる。耐熱性微粒子としては、シリカの如き微粒子が挙げられ、結着剤としては、アクリル系樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
上記分散工程で用いる分散機としては、特に限定されるものではないが、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライターの如きメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機を用いることができる。
【0114】
上記ベースフィルムへ塗布する方法としては、特に限定されるわけではないが、バーコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、ロッドコーター、エアドクタコーターを用いた方法が挙げられる。上記インク組成物の塗布量としては、色材層の乾燥後の厚さが0.1〜5μmの範囲となるように塗布することが、転写性の点で好ましい。
【0115】
本発明の感熱転写記録用シートを加熱する加熱手段としては、特に限定されるわけではないが、サーマルヘッドを用いた常法のみならず、赤外線またはレーザー光も利用することができる。また、ベースフィルムそのものに電気を流すことによって発熱する通電発熱フィルムを用いて、通電型染料転写シートとして用いることもできる。
【0116】
以上のように、本発明の感熱転写記録用シートは、本発明のインクを含有して構成されるので、彩度及び色調が良好で、特にGreenの色域の色調を良好とする感熱転写記録用シートを提供することができる。
【0117】
<カラーフィルター用レジスト組成物>
次に、本発明のカラーフィルター用レジスト組成物について説明する。
【0118】
本発明の非水溶性色素化合物は、溶剤への溶解性が高く、彩度及び色調が良好で、特にGreenの色域の色調が良好であるため、カラーフィルター用レジスト組成物に好適に用いることができる。
【0119】
本発明のカラーフィルター用レジスト組成物は、結着樹脂、媒体、及び、本発明の非水溶性色素化合物を含有することを特徴とする。
【0120】
本発明のカラーフィルター用レジスト組成物は、以下のようにして得られる。媒体中に、撹拌しながら、上記非水溶性色素化合物、及び、結着樹脂を加える。このとき、必要に応じて重合性単量体、重合開始剤、光酸発生剤を加えてもよい。その後、分散機により機械的剪断力を加えることで、媒体中で上記の材料が安定して溶解または微分散した状態にさせることにより、本発明のカラーフィルター用レジスト組成物を得ることができる。
【0121】
本発明のカラーフィルター用レジスト組成物に用いることができる結着樹脂としては、画素形成時の露光工程における光照射部及び遮光部のいずれか一方が有機溶剤、アルカリ水溶液、水、または、市販の現像液によって溶解可能なものであれば良い。その中でも、作業性及びレジスト作製後の処理の観点からは、水またはアルカリ水溶液で現像可能な組成を有するものが好ましい。
【0122】
上記結着樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、アンモニウム塩を有する重合性単量体に代表されるような親水性の重合性単量体と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、N−ビニルカルバゾールに代表されるような親油性の重合性単量体とを、適切な混合比で、既知の手法により共重合化した結着樹脂を用いることができる。これらの結着樹脂は、エチレン性の不飽和基を有するラジカル重合性単量体、オキシラン環、オキセタン環を有するカチオン重合性単量体、ラジカル発生剤、酸発生剤、並びに、塩基発生剤と組み合わせることで、露光によって露光部分の現像液中の材料の現像液への溶解性が低下することで、遮光部分のみが現像によって除去されるネガ型のレジストとして用いることができる。
【0123】
また、光により開裂し、カルボン酸基を生成するキノンジアジド基を有する樹脂、ポリヒドロキシスチレンのtert−ブチル炭酸エステル、テトラヒドロピラニルエーテルに代表される、酸により開裂する基を有する結着樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを組み合わせて用いることもできる。この種の結着樹脂は、露光によって露光部分の現像液中の材料の現像液への溶解性が向上することで、露光部分のみが現像によって除去されるポジ型のレジストとして用いることができる。
【0124】
本発明のカラーフィルター用レジスト組成物が上記ネガ型のレジスト組成物である場合、露光によって付加重合する重合性単量体(以下、光重合性単量体とも称する)を用いることが好ましい。該光重合性単量体としては、分子中に少なくとも1個以上の付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレートの如き単官能アクリレート及び単官能メタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリアクリレート、グリセリントリメタクリレートの如き多官能アクリレート及びメタクリレート、並びに、トリメチロールプロパン、グリセリンの如き多官能アルコールに、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加した後、アクリレート化またはメタクリレート化することによって得られる多官能アクリレート及び多官能メタクリレートを挙げることができる。さらに、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂とアクリル酸またはメタクリル酸との反応生成物である多官能のエポキシアクリレート類またはエポキシメタクリレート類も挙げられる。上記の中でも、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレートを用いることが好ましい。
【0125】
上記光重合性単量体は、単独で、あるいは必要に応じて2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0126】
上記光重合性単量体の含有量としては、本発明のレジスト組成物の質量(溶媒を除いた全固形分)の5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。上記含有量が5〜50質量%であることによって、露光に対する感度や画素の強度をさらに向上させることができ、かつ、レジスト組成物の粘着性としても適切な状態になるため好ましい。
【0127】
本発明のカラーフィルター用レジスト組成物が上記ネガ型のレジスト組成物である場合、光重合開始剤を添加してもよい。該光重合開始剤としては、ビシナールポリケトアルドニル化合物、α−カルボニル化合物、アシオインエーテル、多岐キノン化合物、トリアリルイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ、トリオキサジアゾール化合物が挙げられる。その中でも、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン(商品名:イルガキュア369、BASF社製)が好ましい。なお、本発明の着色レジストによる画素の形成に際し、電子線を用いる場合には、上記光重合開始剤は必須ではない。
【0128】
本発明のカラーフィルター用レジスト組成物が上記ポジ型のレジスト組成物である場合、必要に応じて光酸発生剤を添加してもよい。該光酸発生剤としては、スルホニウム、ヨードニウム、セレニウム、アンモニウム及びホスホニウムの如きオニウムイオンと、アニオンとの塩の如き公知の光酸発生剤を用いることができる。
【0129】
上記スルホニウムイオンとしては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、トリ−o−トリルスルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、1−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、フェニルメチルベンジルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、ジメチルフェナシルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムが挙げられる。
【0130】
上記ヨードニウムイオンとしては、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムが挙げられる。
【0131】
上記セレニウムイオンとしては、トリフェニルセレニウム、トリ−p−トリルセレニウム、トリ−o−トリルセレニウム、トリス(4−メトキシフェニル)セレニウム、1−ナフチルジフェニルセレニウム、トリス(4−フルオロフェニル)セレニウム、トリ−1−ナフチルセレニウム、トリ−2−ナフチルセレニウムの如きトリアリールセレニウムが挙げられる。
【0132】
上記アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチル−n−プロピルアンモニウム、トリメチルイソプロピルアンモニウム、トリメチル−n−ブチルアンモニウム、トリメチルイソブチルアンモニウムの如きテトラアルキルアンモニウムが挙げられる。
【0133】
上記ホスホニウムイオンとしては、テトラフェニルホスホニウム、テトラ−p−トリルホスホニウム、テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム、トリフェニルベンジルホスホニウム、トリフェニルフェナシルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、トリエチルベンジルホスホニウム、テトラエチルホスホニウムが挙げられる。
【0134】
上記アニオンとしては、ClO
4−、BrO
4−の如き過ハロゲン酸イオン、FSO
3−、ClSO
3−の如きハロゲン化スルホン酸イオン、CH
3SO
4−、CF
3SO
4−、HSO
4−の如き硫酸イオン、HCO
3−、CH
3CO
3−の如き炭酸イオン、AlCl
4−、AlF
4−の如きアルミン酸イオン、ヘキサフルオロビスマス酸イオン、CH
3COO
−,CF
3COO
−、C
6H
5COO
−、CH
3C
6H
4COO
−、C
6F
5COO
−、CF
3C
6H
4COO
−の如きカルボン酸イオン、B(C
6H
5)
4−、CH
3CH
2CH
2CH
2B(C
6H
5)
3−の如きアリールホウ酸イオン、チオシアン酸イオン、および硝酸イオンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
本発明のカラーフィルター用レジスト組成物において、上記非水溶性色素化合物、結着樹脂、また、必要に応じて添加される光重合性単量体、光重合開始剤、光酸発生剤を溶解または分散させるための媒体としては、水または有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−n−アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルイソブチルケトン、石油系溶剤が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0136】
異なる分光特性を持つ2種類以上の画素が隣接して配列されてなるカラーフィルターにおいて、その複数の画素の色(例えば、赤、緑、青)のうち、少なくとも1色を構成する画素に、本発明のレジスト組成物を用いることで、彩度及び色調が良好で、特にGreenの色域での色調が良好なカラーフィルターを得ることができる。さらに、所望の分光特性を得るため、調色用途として、他の染料を併用してもよい。併用することができる染料としては、特に限定されるものではないが、C.I.Solvent Blue 14、24、25、26、34、37、38、39、42、43、44、45、48、52、53、55、59、67、70;C.I.Solvent Red 8、27、35、36、37、38、39、40、49、58、60、65、69、81、83:1、86、89、91、92、97、99、100、109、118、119、122、127、218が挙げられる。
【0137】
本発明のカラーフィルター用レジスト組成物には、上記した添加物以外にも、必要に応じて、紫外線吸収剤や、フィルター作製時にガラス基板との密着性を向上させる目的でシランカップリング剤を添加しても良い。
【0138】
レジスト組成物を含むレジスト液の作製時に用いる分散機としては、特に限定されるものではないが、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライターの如きメディア式分散機、及び、高圧対向衝突式の分散機を用いることができる。
【0139】
以上のように、本発明のカラーフィルター用レジスト組成物は、本発明の非水溶性色素化合物を含有して構成されるので、彩度及び色調が良好で、特にGreenの色域での色調が良好であるカラーフィルター用レジスト組成物を提供することができる。
【実施例】
【0140】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。得られた反応生成物の同定は、
1H核磁気共鳴分光分析(
1H−NMR)装置(ECA−400、日本電子(株)製)、及び、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)装置(autoflex装置、ブルカー・ダルトニクス社製)を用いた。尚、MALDI−TOF−MSにおいて検出イオンはネガティブモードを採用した。
【0141】
[一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物の製造]
本発明の一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物は、公知の方法によって合成する事が可能である。
【0142】
以下に記載する方法で本発明の一般式(1)で表される構造を有する非水溶性色素化合物を製造した。さらに、得られた非水溶性色素化合物である各化合物において、室温及び60℃の水への溶解度を測定し、いずれも1質量%未満であることを確認した。
【0143】
〈実施例1:化合物(1)の製造〉
【0144】
【化9】
【0145】
アミン化合物(1)3.00gのN,N−ジメチルホルムアミド20mL溶液を5℃に冷却し、40%ニトロシル硫酸4.05gのN,N−ジメチルホルムアミド溶液20mLをゆっくりと滴下した。これに亜硝酸ナトリウム0.63gの水3mL溶液を滴下し、一時間撹拌した後、アミド硫酸0.13gを添加して過剰のニトロシル硫酸を分解してジアゾ化A液を得た。また別途、ピリドン化合物(1)1.64gのジメチルホルムアミド8mL溶液を5℃に冷却し、これにジアゾ化A液を5℃以下の温度に保持されるようにゆっくりと滴下し、更に0〜5℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を濃縮し、得られた固体をカラムクロマトグラフィーにより精製(展開溶媒:ヘプタン/クロロホルム)し、さらにヘプタン/クロロホルム溶液で再結晶して3.55gの化合物(1)を得た。
【0146】
[化合物(1)についての分析結果]
[1]
1H−NMR(400MHz、CDCl
3、室温):δ[ppm]=0.59−0.67(3H、m)、0.72−0.79(3H、m)、0.88−1.16(14H、m)、1.27−1.45(11H、m)、1.68−1.89(2H、m)、2.37(3H、s)、3.24(2H、d、J=6.10Hz)、3.35−3.71(2H、m)、4.41(2H、q、J=7.12Hz)、7.20(1H、dd、J=7.63Hz、7.63Hz)、7.26(1H、d、J=7.63Hz)、7.46(1H、dd、J=7.63Hz、7.63Hz)、7.84(1H、d、J=7.63Hz)、8.14(1H、s)、14.74(1H、s)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=567.783(M−H)
−
【0147】
〈実施例2:化合物(4)の製造〉
【0148】
【化10】
【0149】
アミン化合物(2)3.00gのメタノール10ml溶液を5℃に冷却し、35%の塩酸1.3mLを滴下した。これに亜硝酸ナトリウム0.58gの水3mL溶液を滴下し、一時間撹拌した後、アミド硫酸0.09gを添加して過剰の亜硝酸ナトリウムを分解してジアゾ化B液を得た。また別途、ピリドン化合物(2)1.49gのメタノール10mL溶液を5℃に冷却し、これにジアゾ化B液を5℃以下の温度に保持されるようにゆっくりと滴下し、更に0〜5℃で1時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、pHを6に中和した後、析出した固体をろ過し、さらに水で洗浄した。得られた固体をカラムクロマトグラフィーにより精製(展開溶媒:クロロホルム/メタノール)し、さらにヘプタン溶液で再結晶して3.0gの化合物(4)を得た。
【0150】
[化合物(4)についての分析結果]
[1]
1H−NMR(400MHz、CDCl
3、室温):δ[ppm]=0.74−0.87(14H、m)、1.03−1.43(21H、m)、2.32(3H、s)、2.98−3.21(4H、m)、7.23(1H、t、J=7.63Hz)、7.58(1H、dd、J=7.63Hz、7.63Hz)、7.84(1H、d、J=7.63Hz)、7.93(1H、d、J=7.63Hz)、8.14(1H、br)、14.63(1H、s)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=603.451(M−H)
−
【0151】
〈実施例3:化合物(23)の製造〉
【0152】
【化11】
【0153】
アミン化合物(3)3.0gのメタノール20mL溶液を5℃に冷却し、35%の塩酸1.5mLを滴下した。これに亜硝酸ナトリウム0.63gの水3mL溶液を滴下し、一時間撹拌した後、アミド硫酸0.10gを添加して過剰の亜硝酸ナトリウムを分解し、ジアゾ化C液を得た。また別途、ピリドン化合物(3)1.87gのジメチルホルムアミド8mL溶液を5℃に冷却し、これにジアゾ化C液を5℃以下の温度に保持されるようにゆっくりと滴下し、更に0〜5℃で3時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、pHを6に中和した後、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を濃縮し、得られた固体をカラムクロマトグラフィーによる精製(展開溶媒:クロロホルム/メタノール)し、さらにヘプタン/クロロホルム溶液で再結晶して4.3gの化合物(23)を得た。
【0154】
[化合物(23)についての分析結果]
[1]
1H−NMR(400MHz、CDCl
3、室温):δ[ppm]=0.57−0.67(3H、m)、0.69−0.79(3H、m)、0.84−1.18(14H、m)、1.27−1.48(17H、m)、1.74−1.94(2H、m)、2.55(3H、s)、3.24(2H、d、J=6.10Hz)、3.35−3.69(2H、m)、6.81(1H、s)、7.20(1H、dd、J=7.63Hz、7.63Hz)、7.26(1H、d、J=7.63Hz)、7.47(1H、dd、J=7.63Hz、7.63Hz)、7.85(1H、d、J=7.63Hz)、8.21(1H、br)、14.78(1H、s)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=594.530(M−H)
−
【0155】
〈実施例4:化合物(11)の製造〉
【0156】
【化12】
【0157】
実施例2において、アミン化合物(2)及びピリドン化合物(2)をそれぞれアミン化合物(4)及びピリドン化合物(4)に変更した以外は実施例2と同様の操作で、化合物(11)を得た。
【0158】
[化合物(11)についての分析結果]
[1]
1H−NMR(400MHz、CDCl
3、室温):δ[ppm]=0.72(3H、t、J=7.25Hz)、0.82(3H、t、J=7.25Hz)、0.89−0.99(6H、m)、1.02−1.13(4H、m)、1.15−1.26(3H、m)、1.28−1.46(12H、m)、1.74−1.88(2H、m)、2.34(3H、s)、3.18(2H、d、J=6.87Hz)、3.42−3.49(2H、m)、4.40(2H、q、J=7.12Hz)、7.17−7.20(1H、m)、7.40−7.49(2H、m)、7.48(1H、s)、8.87(1H、br)、14.49(1H、s)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=567.708(M−H)
−
【0159】
〈実施例5:化合物(18)の製造〉
【0160】
【化13】
【0161】
実施例1において、アミン化合物(1)及びピリドン化合物(1)をそれぞれアミン化合物(5)及びピリドン化合物(5)に変更した以外は実施例1と同様の操作で、化合物(18)を得た。
【0162】
[化合物(18)についての分析結果]
[1]
1H−NMR(400MHz、CDCl
3、室温):δ[ppm]=0.68−0.75(3H、m)、0.81−0.87(3H、m)、0.89−0.98(6H、m)、1.02−1.12(4H、m)、1.15−1.24(3H、m)、1.29−1.46(12H、m)、1.75−1.84(2H、m)、2.37(3H、s)、3.21(2H、d、J=6.10Hz)、3.44(2H、d、J=5.34Hz)、4.41(2H、q、J=7.12Hz)、7.45(4H、s)、8.78(1H、s)、14.49(1H、s)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=567.612(M−H)
−
【0163】
〈実施例6:化合物(26)の製造〉
【0164】
【化14】
【0165】
実施例2において、アミン化合物(2)及びピリドン化合物(2)をそれぞれアミン化合物(6)及びピリドン化合物(6)に変更した以外は実施例2と同様の操作で、化合物(26)を得た。尚、実施例6は、参考例として記載するものである。
【0166】
[化合物(26)についての分析結果]
[1]
1H−NMR(400MHz、CDCl
3、室温):δ[ppm]=0.58−1.81(47H、m)、2.66(1H、br)、2.77(1H、br)、3.22−3.36(4H、m)、3.67−3.81(2H、m)、7.18(1H、t、J=7.25Hz)、7.26(1H、d、J=9.92Hz)、7.45(1H、t、J=7.63Hz)、7.79(1H、d、J=7.63Hz)、8.10(1H、s)、14.45(1H、s)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=662.464(M−H)
−
【0167】
〈実施例7:化合物(28)の製造〉
【0168】
【化15】
【0169】
実施例2において、アミン化合物(2)及びピリドン化合物(2)をそれぞれアミン化合物(7)及びピリドン化合物(7)に変更した以外は実施例2と同様の操作で、化合物(28)を得た。
【0170】
[化合物(28)についての分析結果]
[1]
1H−NMR(400MHz、CDCl
3、室温):δ[ppm]=1.18−2.06(20H、m)、2.37(3H、s)、2.71(1H、br)、3.23(2H、br)、4.40(2H、q、J=7.12Hz)、7.19(2H、d、J=6.10Hz)、7.44(2H、m)、7.75(1H、d、J=11.06Hz)、7.82(1H、d、J=6.87Hz)、8.08(1H、s)、14.56(1H、s)
[2]MALDI−TOF−MSによる質量分析:m/z=507.261(M−H)
−
【0171】
<インクの製造>
以下に記載する方法で、本発明のインクおよび比較用インクを製造した。
【0172】
[実施例8:インク(1)の製造]
本発明の非水溶性色素化合物である上記化合物(1)5部とトルエン350部、酢酸エチル350部、2−ブタノン300部を混合し、本発明のインク(1)を得た。
【0173】
[実施例9〜14:インク(4)、(11)、(18)、(23)、(26)、(28)の製造]
実施例8において、非水溶性色素化合物である化合物(1)を上記化合物(4)、(11)、(18)、(23)、(26)、(28)にそれぞれ変更した以外は、実施例8の製造例と同様の操作で、インク(4)、(11)、(18)、(23)、(26)、(28)をそれぞれ得た。尚、実施例13は、参考例として記載するものである。
【0174】
[比較例1〜2:比較用インク(1)、(2)の製造例]
実施例8において、非水溶性色素化合物である化合物(1)を下記の比較化合物(1)、(2)にそれぞれ変更した以外は、実施例8の製造例と同様の操作で、比較用インク(1)、(2)をそれぞれ得た。
【0175】
【化16】
【0176】
<評価>
[非水溶性色素化合物の溶剤溶解度評価]
室温下で、非水溶性色素化合物である化合物(1)、(4)、(11)、(18)、(23)、(26)、(28)および比較化合物(1)、(2)について、30mgを0.7mLのトルエン、メタノール、酢酸エチル、クロロホルムにそれぞれ溶解させ、目視観察により、溶剤への溶解性評価を行った。
A:完全に溶解する
B:やや懸濁物が残る
C:ほとんど溶解しない
【0177】
<彩度及び色調の測定>
インク(1)、(4)、(11)、(18)、(23)、(26)、(28)及び、比較用インク(1)、(2)をバーコート法(Bar No.10)により、隠ぺい率測定紙に塗布して、一晩風乾することで画像サンプルを作製した。各画像サンプルに関して、反射濃度計SpectroLino(Gretag Macbeth社製)にて、L
*a
*b
*表色系における色度(L
*、a
*、b
*)を測定した。彩度(C
*)は色特性の測定値に基づき、下記式によって算出した。
【0178】
【数1】
【0179】
[色調評価]
ある同一のL
*におけるGreenの色域方向への色度の伸びが大きい程、Greenの色域を伸ばすのに有用であるといえる。本実施例では、L
*が92でのa
*及びb
*の値で評価した。
A:a
*が−5.0未満、かつb
*が100.0以上
B:a
*が−5.0以上、かつb
*が100.0以上
C:b
*が100.0未満
なお、上記の評価において、AはGreenの色域方向への色度の伸びが大きいことを示し、CはGreenの色域方向への色度の伸びが小さいことを示す。
【0180】
[彩度評価]
上記バーコート法(Bar No.10)による画像サンプル作製時の彩度C
*を用いて評価した。尚、C
*は、前記式で算出される。
A:C
*が112.0以上
B:C
*が108.0以上112.0未満
C:C
*が108.0未満
実施例及び比較例の各評価結果を表1にまとめた。
【0181】
【表1】
【0182】
表1より明らかなように、本発明の非水溶性色素化合物は、比較化合物と比べて溶剤への溶解性が高く、彩度及び色調が良好であることが分かる。
【0183】
<カラーフィルター用レジスト組成物の製造>
<実施例15>
本発明の非水溶性色素化合物である化合物(1)12部にシクロヘキサノン120部を混合し、アトライター(三井鉱山社製)により1時間分散させて本発明のインク(A)を得た。
【0184】
n−ブチルメタクリレート40質量%、アクリル酸30質量%、ヒドロキシエチルメタクリレート30質量%のモノマー比率であるアクリル共重合組成物(重量平均分子量Mw:10,000)アクリル共重合組成物6.7部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート1.3部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン(光重合開始剤)0.4部のシクロヘキサノン96部の溶液に、上記インク(A)22部をゆっくり加え室温で3時間攪拌した。これを1.5μmフィルターで濾過することで、本発明のカラーフィルター用レジスト組成物(1)を得た。
【0185】
上記カラーフィルター用レジスト組成物(1)をガラス基板上にスピンコートし、その後これを90℃で3分間乾燥させた後に全面露光し、180℃でポストキュアすることでカラーフィルター(1)を作製した。
【0186】
<実施例16、17>
実施例15において、非水溶性色素化合物である化合物(1)を化合物(11)、(18)にそれぞれ変更した以外は、実施例15と同様の操作で、カラーフィルター用レジスト組成物(11)、(18)をそれぞれ得た。そのカラーフィルター用レジスト組成物(11)、(18)をカラーフィルター用レジスト組成物(1)の代わりにそれぞれ用いたこと以外は、実施例15と同様の操作で、カラーフィルター(11)、(18)をそれぞれ得た。
【0187】
<比較例3、4>
実施例15において、非水溶性色素化合物である化合物(1)を比較化合物(1)、(2)にそれぞれ変更した以外は実施例15と同様の操作で、比較用カラーフィルター用レジスト組成物(1)、(2)をそれぞれ得た。その比較用カラーフィルター用レジスト組成物(1)、(2)をカラーフィルター用レジスト組成物(1)の代わりにそれぞれ用いたこと以外は、実施例15と同様の操作で、比較用カラーフィルター(1)、(2)をそれぞれ得た。
【0188】
<評価>
実施例15〜17で得られたカラーフィルター(1)、(11)、(18)を目視により確認したところ、良好な色調を有することがわかった。これは、色材である化合物(1)、(11)、(18)の溶媒への溶解性が良好であることにより、均一にガラス基板上にスピンコートを行うことができたためであると考えられる。
【0189】
比較例3、4で得られた比較用カラーフィルター(1)、(2)を目視で確認したところ、色調が不均一な状態であることがわかった。これは、色材である比較化合物(1)、(2)の溶媒への溶解性が悪いために、均一にガラス基板上にスピンコートを行うことができなかっためであると考えられる。
【0190】
<感熱転写記録用シートの調製>
<実施例18>
本発明の非水溶性色素化合物である化合物(1)13.5部のメチルエチルケトン45部/トルエン45部の混合溶液に撹拌しながらポリビニルブチラール樹脂(デンカ3000−K;電気化学工業(株)製)5部を少しずつ添加し、本発明のインク(B)を得た。
【0191】
上記インク(B)を厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(ルミラー;東レ(株)製)上に、乾燥後の厚みが1μmになるように塗布し、乾燥することによって、感熱転写記録用シート(1)を作製した。
【0192】
<実施例19、20>
実施例18の製造例において、非水溶性色素化合物である化合物(1)を化合物(4)、(23)に変更した以外は、実施例18と同様な操作で、感熱転写記録用シート(4)、(23)をそれぞれ得た。
【0193】
<比較例5、6>
実施例18において、非水溶性色素化合物である化合物(1)を比較化合物(1)、(2)に変更した以外は実施例18と同様な操作で、比較用感熱転写記録用シート(1)、(2)をそれぞれ得た。
【0194】
<評価>
実施例18〜20で得られた感熱転写記録用シート(1)、(4)、(23)を目視で確認したところ、色ムラのない感熱転写記録用シートが作製できていることがわかった。また、これらの感熱転写記録用シートを用いて記録物を作製した結果、良好な彩度及び色調を有する記録物を得ることができた。
【0195】
比較例5、6で得られた比較用感熱転写記録用シート(1)、(2)を目視で確認したところ、色ムラがある感熱転写記録用シートが作製されていることがわかった。また、これらの感熱転写記録用シートを用いて記録物を作製した結果、色ムラがある記録物が得られた。