特許第6245812号(P6245812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6245812法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245812
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   E02D17/20 104B
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-34575(P2013-34575)
(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公開番号】特開2014-163100(P2014-163100A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】598123943
【氏名又は名称】佐々木 雅志
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅志
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−300820(JP,A)
【文献】 特開平05−017951(JP,A)
【文献】 特開平07−119154(JP,A)
【文献】 特開平10−168894(JP,A)
【文献】 特開2009−114687(JP,A)
【文献】 特開2013−011053(JP,A)
【文献】 実開平05−049838(JP,U)
【文献】 米国特許第04198793(US,A)
【文献】 特開2007−100344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22
E02D 17/20
E02D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法面にアンカー設置用穴を掘った後にアンカー設置用穴に法面補強部材取付ボルトを導入し法面補強部材取付ボルトを固定するためのセメントを入れて法面補強部材取付ボルトを所望の高さに設置し、その後に取り外す法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材であり、法面に接する法面当接部材と、法面補強部材取付ボルトに着脱自在に接続される法面補強部材取付ボルト接続部材と、法面当接部材から法面補強部材取付ボルトが法面から突き出す長さを規定する距離に設けられた法面補強部材取付ボルト上端部当接部材を有する法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材。
【請求項2】
法面補強部材取付ボルト接続部材が法面補強部材取付ボルトに係合するメネジを有する部材である請求項1に記載の法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、法面補強部材を取り付けるためのアンカーボルトを所望の高さに設置するための法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
法面を補強するために各種の受圧パネルが取り付けられている。例えば特許文献1や特許文献2などには、さまざまな受圧パネルが提案されている。いずれの受圧パネルも予め法面に設置されたアンカーボルトの先端部に取り付けられる。受圧パネルの中心部の穴にアンカーボルトを通し、その上からナットを取り付けて受圧パネルが設置される。
【0003】
そのためには、アンカーボルトの先端部はそれぞれの受圧パネルに合った適切な高さで地上に突出していなければならない。それよりも低ければナットを取り付けることができず、高ければナット先端が法面から過剰に突出す。しかし、特許文献1や特許文献2にはアンカーボルトの設置方法については特に説明はない。
【0004】
これまでアンカーボルトの設置においては、物差しなどを当てて突出高さを決め、固定のためのセメントが硬化するまでの間は木の棒などを組んでアンカーボルトを仮に固定し、セメントの硬化後にその木の棒などを撤去していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−158877号公開特許公報
【特許文献2】特開2002−167767号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のアンカーボルトの設置では、その都度、木材などを組み合わせてアンカーボルトの仮支持を行っていたが、このような支持部材の取付・撤去は煩雑な作業である。また、作業が正確になされなければ、アンカーボルトの上端部の高さが不揃いになるおそれがある。
【0007】
この発明は、法面補強部材取付ボルトに対して簡単に着脱でき、しかも、法面補強部材取付ボルトの上端部の高さを適切に設定できる法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明の法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材は、法面に接する法面当接部材と、法面補強部材取付ボルトに着脱自在に接続される法面補強部材取付ボルト接続部材と、法面当接部材から所定の距離に設けられた法面補強部材取付ボルト上端部当接部材を有する。さらに、法面補強部材取付ボルト接続部材を法面補強部材取付ボルトに係合するメネジを有する部材とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明の法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材は、法面補強部材取付ボルト接続部材により法面補強部材取付ボルトの上部に取り付けることができ、法面補強部材取付ボルトの上端部を所望の高さに設定して法面に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材を示す正面図である。
図2】同側面図である。
図3】法面補強部材取付ボルトの設置方法を示す断面図である。
図4】法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材の別の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材を示す正面図、図2は同側面図である。
【0012】
法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材1は、法面GLに接する法面当接部材2と、法面補強部材取付ボルトxに着脱自在に接続される法面補強部材取付ボルト接続部材3と、法面当接部材2から所定の距離に設けられた法面補強部材取付ボルト上端部当接部材4を有する。
【0013】
法面当接部材2は、少なくともアンカー設置用穴をまたいで法面GLに接するだけの広がりがあればよく、ここでは金属棒を使用しているが、面状の部材などであってもよい。
【0014】
法面補強部材取付ボルト接続部材3はアンカーとなる法面補強部材取付ボルトxの上部に着脱自在に接続できる部材である。法面補強部材取付ボルトxは、通常はアンカーボルトと呼ばれる上部にオネジが設けられた金属棒であるので、このオネジに係合するメネジを有する部材が適している。この例では、ナットを使用しており、法面当接部材2に溶接して固定している。これ以外にも、はさみつけによって着脱するクランプ状の部材などを適用してもよい。
【0015】
法面補強部材取付ボルト接続部材3であるナットの外周には、先端部がほぼ直角に曲げられたL字状の金属棒4が溶接により取り付けられている。この金属棒4の先端部は、ナットの内側に向けて折り曲げられている。この折り曲げ部4aの下端から法面当接部材2の下端(法面当接箇所)までの距離Lは、後述するように法面補強部材取付ボルトが法面から突き出す長さを規定するものであり、距離Lは所望の突き出す長さに合わせて設定される。
【0016】
次に、取付高さ設定部材を使用した法面補強部材取付ボルトの設置方法および法面補強部材の設置方法について説明する。図3は、法面補強部材取付ボルトの設置方法を示す断面図である。
【0017】
まず、法面において所定の位置に法面補強部材取付ボルトxを設置するための孔yを掘る。通常は、法面補強部材の中心に相当する位置であり、本例では法面GLに対して垂直な方向に掘孔する。しかし、工法に応じてこれ以外の穿孔角度が選択される場合もある。
【0018】
一方、法面補強部材取付ボルトxの上部に取付高さ設定部材1を取り付ける。取付高さ設定部材1は先に取り付けてもよく、法面補強部材取付ボルトxを孔yに導入した後で取り付けてもよい。本例では、法面補強部材取付ボルト接続部材3は法面補強部材取付ボルトxの上端部に係合するメネジを有するナットであるので、ナット3を法面補強部材取付ボルトxの上端部のオネジに合わせ、法面補強部材取付ボルト上端部当接部材4の折り曲げ部4bに法面補強部材取付ボルトxの上端が当たるように取り付ける。
【0019】
法面補強部材取付ボルトxを孔yに導入し、さらに法面補強部材取付ボルトxを固定するためのセメントを入れる。セメントが固化するまでにある程度時間がかかるが、その間、本発明の取付高さ設定部材1によって法面補強部材取付ボルトxは所定の突出し長さLが維持された状態で支持される。セメントが固化するまでの間、次の法面補強部材取付ボルトの設置作業を開始してもよい。
【0020】
セメントが固化したら、取付高さ設定部材1を法面補強部材取付ボルトxから取り外す。本例では、取付高さ設定部材1が法面補強部材取付ボルトxから離れる方向に回転させることにより、取付高さ設定部材1を切り離すことができる。回収された取付高さ設定部材1は再利用することができる。こうして、法面補強部材取付ボルトxは適切な突出し長さを実現した状態で法面GLに設置される。
【0021】
それから後の法面補強部材の取り付け作業については、特に制限はなく、従来の方法がそのまま適用できる。たとえば、コンクリート板や金属板、あるいは格子状の部材で構成される法面補強部材zの中心部の穴を法面補強部材取付ボルトxに当てはめ、ナットなどの取付部材で法面補強部材zを固定する。法面補強部材取付ボルトxは適切な突出し長さで設置されているので、これらの作業は確実かつ正確に実施できる。施工後においても、過剰に突出した法面補強部材取付ボルトxはなく、その先端部は均一な高さに揃っている。
【0022】
さらに、法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材の別の例について説明する。図4は法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材の別の例を示す正面図である。
【0023】
この例では、1本の金属棒の中央部にナットが溶接された構造になっている。ここで、金属棒はナットの上面をまたぐように接続されており、この部分が法面補強部材取付ボルト上端部当接部材となる。一方、ナットの両側に伸びる金属棒の部分は法面当接部材として機能する。
【0024】
本例の取付高さ設定部材を使用した法面補強部材取付ボルトの設置方法および法面補強部材の設置方法は、図1に示す例と同様である。本例の取付高さ設定部材を使用すると、法面補強部材取付ボルトxの上端の高さは法面GLの高さと同じになる。法面補強部材には中心部が窪んでいるものもあり、そのよう法面補強部材の設置に際して使用できる。したがって、この発明においては、法面当接部材から所定の距離とは、その距離が0である場合や、負の値である場合も含む。
【符号の説明】
【0025】
1.法面補強部材取付ボルトの取付高さ設定部材
2.法面当接部材
3.法面補強部材取付ボルト接続部材
4.法面補強部材取付ボルト上端部当接部材
x.法面補強部材取付ボルト
y.法面補強部材取付ボルトxを設置するための孔y
z.法面補強部材
図1
図2
図3
図4