特許第6245813号(P6245813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245813
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ステアリングロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/021 20130101AFI20171204BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B60R25/021
   E05B65/00 T
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-40710(P2013-40710)
(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公開番号】特開2014-168986(P2014-168986A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2016年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雄介
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02965230(FR,A1)
【文献】 特表2013−543809(JP,A)
【文献】 特開2000−203387(JP,A)
【文献】 特開2007−177577(JP,A)
【文献】 実開昭60−135251(JP,U)
【文献】 特開平01−278672(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0011820(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00 − 99/00
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングカラムに固定されるフレーム内に挿入され、ロック位置、オン位置、およびスタート位置の間を回転操作されるプラグに対し、前記プラグとともに同一回転軸周りに回転するカムのドライブ面により駆動されるカムフォロアと、
カムフォロアに追随してフレームから突出してステアリングカラム内を挿通するステアリングシャフトに係止する位置とフレーム内に収容されて前記ステアリングシャフトとの係止が解除される位置との間を移動する施錠体とを有し、
前記カムフォロアは、プラグのロック位置とオン位置との間の回転操作に伴ってドライブ面によってカムの軸長方向に駆動されるとともに、
前記施錠体は、カムフォロアに追随してカムの軸長方向に進退動作する連結体に連結され、該連結体の進退動作によってステアリングシャフトへの係止位置と係止解除位置との間を駆動され
かつ、前記カムには、カムフォロアが前記ロック位置に対応する第1ロック対応位置からオン位置に対応する第1オン対応位置を経てスタート位置に対応するスタート対応位置に至る第1のフォロア移動経路に加えて、前記スタート対応位置を始端として前記第1のフォロア移動経路に対してカムの中心方向に偏倚して形成され、第2オン対応位置、および第1ロック対応位置に導く第2のフォロア移動経路が形成され、
前記第2オン対応位置には、カムフォロアのスタート対応位置側への移動を規制してプラグの当該方向への回転を阻止する規制部が設けられるステアリングロック装置。
【請求項2】
前記連結体は、施錠体のロック方向に付勢され、カムフォロアに連結されて該カムフォロアを前記ロック方向の付勢力によりドライブ面に圧接させる請求項1記載のステアリングロック装置。
【請求項3】
前記カムフォロアは、適宜の付勢手段により前記フォロア移動経路の壁面に圧接されるとともに、
前記規制部は、前記カムフォロアによる被圧接壁面に、カムフォロアのスタート対応位置側への移動を規制する段状の突部を設けて形成される請求項1または2記載のステアリングロック装置。
【請求項4】
前記カムフォロアは、カムの回転中心方向に付勢され、
かつ、前記第1のフォロア移動経路のカムフォロアによる被圧接壁面はスタート対応位置において切り欠かれてカムフォロアの第2のフォロア移動経路への導入開口が形成される請求項3記載のステアリングロック装置。
【請求項5】
前記プラグには、解錠キー挿入状態でプラグから突出し、ロック位置において連結体に係止して施錠体のロック位置への移動を規制するストッパが装着されるとともに、
前記カムには、カムフォロアの前記ストッパによる規制位置に対応する第2ロック対応位置が設けられ、
前記第2ロック対応位置と第1ロック対応位置とが前記カムの回転中心の軸長方向に形成される連結経路を介して連結される請求項1から4のいずれかに記載のステアリングロック装置。
【請求項6】
前記第2ロック対応位置を始点とし、前記第1オン対応位置を経て前記第1のフォロア移動経路に連結される第3のフォロア移動経路が設けられる請求項5記載のステアリングロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレーム内に収容したプラグへの回転操作により施錠体をステアリングシャフトに進退させるとともに、フレームに固定したイグニッションスイッチの切替動作を行わせるステアリングロック装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、ステアリングロック装置は、回転ロック(プラグ)に連結される回転突出部材(カム)と、カムのカム面により駆動される制御バーに連結されるロックバー(施錠体)とを有し、プラグの回転操作にともなって施錠体はステアリングシャフに係止するロック位置と係止解除するオン位置との間を往復駆動され、同時にフレーム後端に連結した電気スイッチアッセンブリ(イグニッションスイッチ)を作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-203387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来例において、プラグは真正な解錠キーを挿入した状態で自由に往復双方向に回転操作可能なために以下の問題がある。すなわち、利用者が一旦オン位置を超えてスタート位置に回転操作した後、運転状態であるオン位置に復帰させ、再度スタート位置に回転させることも許容されるために、エンジンが回転した状態で誤ってスタータセルを再び起動することを避けることができない。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、スタート位置への回転後には、再びスタート位置への回転を規制することを可能にしたステアリングロック装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上記目的は、
ステアリングカラム1に固定されるフレーム2内に挿入され、ロック位置、オン位置、およびスタート位置の間を回転操作されるプラグ3に対し、前記プラグ3とともに同一回転軸周りに回転するカム4のドライブ面5により駆動されるカムフォロア6と、
カムフォロア6に追随してフレーム2から突出してステアリングカラム1内を挿通するステアリングシャフトに係止する位置とフレーム2内に収容されて前記ステアリングシャフトとの係止が解除される位置との間を移動する施錠体7とを有し、
前記カムフォロア6は、プラグ3のロック位置とオン位置との間の回転操作に伴ってドライブ面5によってカム4の軸長方向に駆動されるとともに、
前記施錠体7は、カムフォロア6に追随してカム4の軸長方向に進退動作する連結体10に連結され、該連結体10の進退動作によってステアリングシャフトへの係止位置と係止解除位置との間を駆動され
かつ、前記カム4には、カムフォロア6が前記ロック位置に対応する第1ロック対応位置(PL1)からオン位置に対応する第1オン対応位置(PO1)を経てスタート位置に対応するスタート対応位置(PS)に至る第1のフォロア移動経路(R1)に加えて、前記スタート対応位置(PS)を始端として前記第1のフォロア移動経路(R1)に対してカム4の中心方向に偏倚して形成され、第2オン対応位置(PO2)、および第1ロック対応位置(PL1)に導く第2のフォロア移動経路(R2)が形成され、
前記第2オン対応位置(PO2)には、カムフォロア6のスタート対応位置(PS)側への移動を規制してプラグ3の当該方向への回転を阻止する規制部8が設けられるステアリングロック装置を提供することにより達成される。
【0008】
ステアリングロック装置は、プラグ3をロック位置とオン位置との間で回転操作することにより施錠体7をロック位置とアンロック位置との間で駆動し、施錠体7は、ロック位置にあるときにステアリングシャフトを係止してステアリングシャフトへの回転操作を規制し、アンロック位置への移動によりステアリングシャフトへの係止状態を解除してステアリングシャフトへの回転操作を許容する。
【0009】
また、プラグ3の回転操作によりフレーム2に連結されるイグニッションスイッチ13の回転端子が操作され、プラグ3をオン位置を超えてスタート位置に回転させると、イグニッションスイッチ13は、スタート位置に回転し、エンジン始動動作が実行される。
【0010】
プラグ3の回転により施錠体7を駆動するカムフォロア6は、プラグ3の回転に伴ってドライブ面5に沿ってロック位置に対応する第1ロック対応位置(PL1)、オン位置に対応する第1オン対応位置(PO1)、およびスタート位置に対応するスタート対応位置(PS)間を移動する。
【0011】
スタート対応位置(PS)を経たカムフォロア6を第1オン位置(PO1)と異なる第2オン対応位置(PO2)に導き、該第2オン対応位置(PO2)にスタート対応位置(PS)側へのカムフォロア6の移動を規制する規制部8を設けることにより、カム4の回転、すなわち、プラグ3の回転はカムフォロア6により妨げられて禁止される。
【0012】
この結果、一旦スタート位置まで回転操作した後、再びスタート位置に戻るプラグ3への回転操作が禁止され、既に起動しているエンジンへの再起動操作等を確実に防止することが可能になる。また、規制部8は施錠体7をドライブするためのカム4に形成されているために、格別の部品を要することがなく、構造が簡単になる。
【0013】
規制部8は、例えば、第2オン対応位置(PO2)に一方向にのみ回転可能なゲート部材を装着することにより実現可能であるが、
前記カムフォロア6は、適宜の付勢手段により前記フォロア移動経路の壁面に圧接されるとともに、
前記規制部8は、前記カムフォロア6による被圧接壁面に、カムフォロア6のスタート対応位置(PS)側への移動を規制する段状の突部を設けて形成されるステアリングロック装置を構成した場合には、特別なゲート部材等を使用することなく、簡単に規制部8を実現できる。
【0014】
この場合、段状の突部は、後述する実施の形態において示されるように、ドライブ面5に沿って立ち上がるカムの側壁に設けること以外に、ドライブ面5に設けることも可能である。
【0015】
また、スタート対応位置(PS)におけるカムフォロア6の第1のフォロア移動経路(R1)から第2のフォロア移動経路(R2)への導入は、カムフォロア6をフォロア移動経路の壁面に圧接させた状態で、圧接方向に第1、および第2のフォロア移動経路(R2)を並設するとともに、第1のフォロア移動経路(R1)の被圧接壁面を切り欠くという周知の手法により簡単に実現することが可能であるが、この場合、
前記カムフォロア6は、カム4の回転中心方向に付勢され、
かつ、前記第1のフォロア移動経路(R1)のカムフォロア6による被圧接壁面はスタート対応位置(PS)において切り欠かれてカムフォロア6の第2のフォロア移動経路(R2)への導入開口9が形成されるように構成すると、カム4の中心方向の寸法を有効に利用することが可能になるために、カム4の小型化を実現できる。
【0016】
さらに、カムフォロア6をフォロア移動経路に沿って移動させるためには、カムフォロア6とドライブ面5とで確動カム4を構成することにより実現可能であるが、
前記連結体10は、施錠体7のロック方向に付勢され、カムフォロア6に連結されて該カムフォロア6を前記ロック方向の付勢力によりドライブ面5に圧接させるように構成すると、カム4の構造が簡単になる。
【0017】
また、ステアリングロック装置は、
前記プラグ3には、解錠キー11挿入状態でプラグ3から突出し、ロック位置において連結体10に係止して施錠体7のロック位置への移動を規制するストッパ12が装着されるとともに、
前記カム4には、カムフォロア6の前記ストッパ12による規制位置に対応する第2ロック対応位置(PL2)が設けられ、
前記第2ロック対応位置(PL2)と第1ロック対応位置(PL1)とが前記カム4の回転中心の軸長方向に形成される連結経路(RC)を介して連結されるように構成することができる。
この場合、
前記第2ロック対応位置(PL2)を始点とし、前記第1オン対応位置(PL1)を経て前記第1のフォロア移動経路(R1)に連結される第3のフォロア移動経路(R3)が設けられるステアリングロック装置を構成すると、スタート位置まで移動させた後、解錠キー11の抜き差しをすることなく一旦ロック位置まで回転させることにより再びスタート位置まで操作することが可能になり、操作性が向上する。


【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡単な構造でスタート位置への回転後に再びスタート位置への回転を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を示す断面図である。
図2】カムを示す図で、(a)はプラグの回転角を示す図、(b)はカムの正面図、(c)はカムの右側面図、(d)はカムの底面図、(e)はカムの斜視図である。
図3】プラグを回転させた状態を示す図で、(a)はロック位置を示す断面図、(b)はオン位置まで回転させた断面図、(c)はオン位置における図1に対応する断面図である。
図4】プラグを回転させた状態を示す図で、(a)はスタート位置を示す断面図、(b)はスタート位置からオン位置まで回転させた状態を示す断面図、(c)はスタート位置からロック位置まで回転させた状態を示す断面図、(d)はロック位置で解錠キーを抜去した状態を示す断面図である。
図5】ロック位置におけるステアリングロック装置を示す図で、(a)は解錠キーを挿入した状態を示す断面図、(b)は解錠キーを抜去した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、ステアリングロック装置は、フレーム2内に収容されるシリンダ錠14と、カム4と、連結体10と、施錠体7とを有し、フレーム2をステアリングカラム1に固定されて使用される。また、フレーム2にはイグニッションスイッチ13が連結されており、上記カム4の外周壁に形成したギア部4aに噛合するギア15を介してシリンダ錠への回転操作力が伝達される。
【0021】
シリンダ錠14は、シリンダケース14a内にプラグ3を挿入して形成され、プラグ3は真正な解錠キー11を挿入した状態でシリンダケース14a、すなわち、フレーム2に対して回転操作することができる。プラグ3の先端にはストッパ装着開口3aが形成され、該ストッパ装着開口3aに、プラグ3の径方向に移動自在で、解錠キー11を挿入した状態でプラグ3の外周から突出するストッパ12が装着される。
【0022】
図2(a)に示すように、プラグ3は、ロック位置、オン位置、およびスタート位置との間で回転操作可能であり、施錠体7は、プラグ3がロック位置にあるときには、図1に示すように、フレーム2から突出し、ステアリングカラム1内を挿通するステアリングシャフト(図示せず)に係止して該ステアリングシャフトへの回転操作を規制するロック位置に保持される。この状態からプラグ3をオン位置まで回転操作すると、施錠体7は、図3(c)に示すように、フレーム2内に収容されてステアリングシャフトとの係止が解除されるアンロック位置に移動し、さらにこの状態からプラグ3をスタート位置まで回転させると、施錠体7はアンロック位置に保持されたままイグニッションスイッチ13は、オン位置からスタート位置に移動してスタータスイッチを作動させ、エンジン始動操作が行われる。
【0023】
連結体10は、プラグ3の回転軸軸長方向に長い板状部材であり、第1圧縮スプリング16により後方に付勢された状態でフレーム2内に長手方向に移動自在に装着される。この連結体10の後端には、連結開口10aにフック部7aを係止するようにして施錠体7が連結されており、後方への移動に伴って施錠体7を押し出し、ロック位置に移動させる。
【0024】
また、上記連結体10の前端部には、カムフォロア6が連結される。図1、3に示すように、カムフォロア6は、先端が閉塞されたキャップ部6aの下端に2枚の脚片6bを延設して形成され、連結体10の上記第1圧縮スプリング16のバネ受けを兼ねるフォロア支持片10bを2枚の脚片6bにより挟むように装着される。装着状態において、カムフォロア6はキャップ部6aをプラグ3側に突出させた状態で連結体10を貫通することにより該連結体10の移動方向に連結されるとともに、プラグ3の径方向に移動自在であり、第2圧縮スプリング17によりプラグ3の中心方向に付勢される。
【0025】
一方、カム4は円筒形状に形成されてプラグ3の後端に連結され、プラグ3とともに同一回転軸周りに回転する。上述したように、このカム4の外周ほぼ半周域には、イグニッションスイッチ13に回転力を伝達するためのギア15に噛合するギア部4aが形成されており、残りの半周部を利用してドライブ面5が形成される。
【0026】
図2に示すように、ドライブ面5は、カム4の円周面に沿って配置されて前方に向けて開かれる段形状に形成される。
【0027】
カム4に対してカムフォロア6は、上記第1圧縮スプリング16による後方への付勢力によりキャップ部6aの側壁部がドライブ面5に圧接するとともに、第2圧縮スプリング17の付勢力によりキャップ部6aの先端は、ドライブ面5に沿って立ち上がるカム4の側壁面(被圧接壁面)に圧接する。
【0028】
図2(b)以下は、プラグ3の回転、すなわち、カム4の回転に伴う上記カムフォロア6の相対移動経路を示すもので、まず、プラグ3が初期回転位置、すなわち、ロック位置にあるとき、カムフォロア6は第1ロック対応位置(PL1)に位置する。図2(d)に示されるように、第1ロック対応位置(PL1)は、カム4の軸長方向最後位に位置しているために、連結体10は第1圧縮スプリング16に押されて最後位に保持され、これに伴って施錠体7は図1に示すように、ロック位置の保持される。
【0029】
この状態からプラグ3をオン位置に回転させると、カムフォロア6は第1圧縮スプリング16の反力に抗して前方に引き出されながら第1オン対応位置(PO1)に移動し、カムフォロア6の長手方向への移動に伴って施錠体7は図3(c)に示すように、アンロック位置に移動し、当該位置に保持される。
【0030】
アンロック位置からさらにプラグ3をスタート位置まで回転させると、カムフォロア6は調整用斜面5aを経由してスタート対応位置(PS)に移動する。スタート対応位置(PS)は、第1オン対応位置(PO1)に比して調整用斜面5aの高さだけカム4の軸長方向前方位に位置しているため、連結体10、および施錠体7はアンロック位置からさらに前方にやや移動してアンロック状態を保持する。
【0031】
以上のようにして、プラグ3をロック位置からスタート位置まで回転操作すると、カムフォロア6は、上述した第1ロック対応位置(PL1)から第1オン対応位置(PO1)を経由してスタート対応位置(PS)に至る第1のフォロア移動経路(R1)上を移動し、それに伴って施錠体7はロック状態からアンロック状態に移行し、さらに、イグニッションスイッチ13によるエンジン始動操作が行われる。
【0032】
また、図2(b)以下に示すように、上記第1のフォロア移動経路(R1)に沿って第2のフォロア移動経路(R2)が設けられる。第2のフォロア移動経路(R2)は、第1のフォロア移動経路(R1)に比してカム4の回転中心方向に偏倚して配置されており、導入開口9を介して第1のフォロア移動経路(R1)の終端、すなわち、スタート対応位置(PS)に連結される。
【0033】
上記導入開口9は、第1のフォロア移動経路(R1)上をカムフォロア6が移動する際にカムフォロア6のキャップ部6aの先端が圧接するカム4の被圧接壁面をスタート対応位置(PS)の手前において切断することにより形成され、第1のフォロア移動経路(R1)上を移動してきたカムフォロア6は、第2圧縮スプリング17による押圧力に対する被圧接壁面による支えを失うスタート対応位置(PS)において導入開口9を通って第2のフォロア移動経路(R2)に移動する(図4(a)参照)。
【0034】
この状態からプラグ3をオン位置に復帰させると、カムフォロア6は第2のフォロア移動経路(R2)上を移動して該第2のフォロア移動経路(R2)上に設定された第2オン対応位置(PO2)に移動する。第2オン対応位置(PO2)には、被圧接壁面をさらに回転中心方向に後退させることにより段状の規制部8が設けられており、第2のフォロア移動経路(R2)上をスタート対応位置(PS)からオン位置まで移動すると、図4(b)に示すように、カムフォロア6は規制部8に妨げられてスタート対応位置(PS)側への移動が規制され、結果、プラグ3のスタート位置側への回転操作が規制される。
【0035】
これに次いで、プラグ3をロック位置側に回転させると、図5(a)に示すように、連結体10の前端を折り返して形成された係止部10cがプラグ3から突出したストッパ12に係止することから、連結体10の後方、すなわちロック位置側への移動が規制される。
【0036】
一方、第2のフォロア移動経路(R2)は、上記第1ロック対応位置(PL1)を通り、カム4の回転中心の軸長方向線上に位置する第2ロック対応位置(PL2)まで至っており、該第2のフォロア移動経路(R2)のドライブ面5は、第2ロック対応位置(PL2)の前方において切り欠かれて第1ロック対応位置(PL1)に連続する連結経路(RC)がカム4の回転中心の軸長方向に形成される。
【0037】
したがって、プラグ3をロック位置まで回転させると、カムフォロア6は第2のフォロア移動経路(R2)を通って上記連結経路(RC)の前端、すなわち、第2ロック位置に到達し、上述したように、当該位置において連結体10の移動がストッパ12により規制されているために、カムフォロア6はドライブ面5により支持されないのにかかわらず、第2ロック位置に保持される(図4(c)参照)。
【0038】
この後、ロック位置において解錠キー11をプラグ3から抜去すると、解錠キー11による支えを失ったストッパ12は第1圧縮スプリング16の付勢力によりプラグ3内に没入し、結果、連結体10、および施錠体7がロック位置に復帰する。連結体10のロック位置への後退に伴って、カムフォロア6は、連結体10とともに後方に移動して第1ロック対応位置(PL1)に移動し、図5(b)に示すように、初期状態に復帰する。
【0039】
さらに、カム4には上記第2ロック対応位置(PL2)を始点とし、第1のフォロア移動経路(R1)に連結される第3のフォロア移動経路(R3)が設けられる。第1のフォロア移動経路(R1)から第3のフォロア移動経路(R3)への移動は、上述した第1のフォロア移動経路(R1)と第2のフォロア移動経路(R2)を繋ぐ導入開口9と同様に、第1のフォロア移動経路(R1)のキャップ部6aによる被圧接壁面を第1オン対応位置(PO1)の手前で切断することにより形成され、カムフォロア6が第1ロック対応位置(PL1)から第1のフォロア移動経路(R1)を通過して第1オン対応位置(PO1)に至ると、第2圧縮スプリング17の付勢力によりカムフォロア6は第3のフォロア移動経路(R3)の被圧接壁面に当接するまで内方に移動して第3のフォロア移動経路(R3)に移動する。
【0040】
したがって、プラグ3をロック位置からオン位置まで回転操作すると、カムフォロア6は、第1のフォロア移動経路(R1)上を第3のフォロア移動経路(R3)との連結部位まで移動し、この後、スタート位置まで回転操作すると、上述したように第2のフォロア移動経路(R2)に進入する。これに対し、第1のフォロア移動経路(R1)との連結部に達した後、プラグ3をロック位置まで回転させると、カムフォロア6は第3のフォロア移動経路(R3)を通って第2ロック対応位置(PL2)に至り、この後、カムフォロア6は第3のフォロア移動経路(R3)を経由して第1のフォロア移動経路(R1)に移動してスタート対応位置(PS)まで移動できるために、再度、プラグ3をスタート位置まで回転操作してエンジン始動操作をすることができる。
【0041】
さらに、一旦スタート位置まで回転操作した後であっても、オン位置まで復帰させると、カムフォロア6は第2のフォロア移動経路(R2)を経由して第2ロック対応位置(PL2)に移動し、この後、上述したと同様に第3のフォロア移動経路(R3)を経由して第1のフォロア移動経路(R1)に移動してスタート対応位置(PS)まで移動できるために、解錠キー11を抜去することなくプラグ3をスタート位置まで回転操作することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ステアリングカラム
2 フレーム
3 プラグ
4 カム
5 ドライブ面
6 カムフォロア
7 施錠体
8 規制部
9 導入開口
10 連結体
11 解錠キー
12 ストッパ
R1 第1のフォロア移動経路
R2 第2のフォロア移動経路
R3 第3のフォロア移動経路
RC 連結経路
PL1 第1ロック対応位置
PL2 第2ロック対応位置
PO1 第1オン対応位置
PO2 第2オン対応位置
PS スタート対応位置
図1
図2
図3
図4
図5