(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貯湯タンクに貯湯されている温水を熱源とする温水を生成する温水供給部及び補助加熱部を備える熱供給設備が温水供給運転を行うことにより供給される温水を温水受入部にて受け入れて熱交換部に供給するとともに、前記熱交換部に加熱対象流体を供給して運転動作を行う運転動作部と、その運転動作部を作動させて運転を行う運転制御部としての端末側制御部とが備えられ、
前記端末側制御部は、運転を行うに当たり、前記温水受入部にて受け入れる温水温度が要求温度以上である場合に前記運転動作部を作動させて運転し、前記受け入れる温水温度が要求温度未満である場合に前記運転動作部を停止する温度制限モードと、前記温水受入部にて受け入れる温水温度にかかわらず前記運転動作部を作動させて運転する温度非制限モードとを実行可能に構成され、
前記端末側制御部に前記温度非制限モードを指令する人為操作式のモード指令部が備えられ、
前記端末側制御部が、前記モード指令部にて前記温度非制限モードが指令されると、前記温度非制限モードを実行し、前記モード指令部にて前記温度非制限モードが指令されないと、前記温度制限モードを実行する高温水利用端末。
前記運転動作部は、温水を受け入れて前記熱交換部に供給する温水供給管として、通流させる温水温度を要求温度以上とする第1供給管と温水温度にかかわらず温水を通流させる第2供給管とを備え、前記第1供給管による温水供給を行う第1供給状態と前記第2供給管による温水供給を行う第2供給状態とに切換自在に構成され、前記端末側制御部は、前記温度制限モードでの運転を行う場合には前記運転動作部を前記第1供給状態に切り換え、前記温度非制限モードでの運転を行う場合には前記運転動作部を前記第2供給状態に切り換える請求項1又は2に記載の高温水利用端末。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の高温水利用端末では、要求される温水温度が高温(例えば、75℃や80℃)に限られているので、例えば、その要求温度よりも低温の温水が供給されている場合には、高温水利用端末に温水を供給する設備に対して、要求温度の高温水を供給するように指令する高温水要求指令を行うようにしている。よって、高温水利用端末としては、要求温度よりも低温の温水の供給を受けてもその温水を用いて運転が行われることがなく、例えば、上述の高温水要求指令を行っても、要求温度の高温水が供給されなければ、異常状態であるとしてエラー停止してしまう。したがって、このような高温水利用端末では、運転を行うのに利用可能な熱が存在しても、その熱が要求温度よりも低温であれば、その熱を用いた運転を行うことができない。
【0006】
特に、特許文献1に記載のものでは、高温水利用端末を運転させるに当たり、常に、補助加熱部による加熱を行い、その補助加熱部にて加熱された温水を熱源として高温水を生成し、その要求温度の高温水を高温水利用端末に供給するようにしている。よって、高温水利用端末を運転させるための熱源は、補助加熱部の加熱により取得される熱が主体となり、貯湯タンクに貯湯されている温水を有効に活用することができない。そこで、このような貯湯タンクに貯湯されている温水を有効に活用することができながら、高温水利用端末の運転を行うことが求められる。
【0007】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、熱の有効活用を図りながら運転することができる高温水利用端末を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る高温水利用端末の特徴構成は、貯湯タンクに貯湯されている温水を熱源とする温水を生成する温水供給部及び補助加熱部を備える熱供給設備が温水供給運転を行うことにより供給される温水を温水受入部にて受け入れて熱交換部に供給するとともに、前記熱交換部に加熱対象流体を供給して運転動作を行う運転動作部と、その運転動作部を作動させて運転を行う運転制御部
としての端末側制御部とが備えられ、
前記
端末側制御部は、運転を行うに当たり、前記温水受入部にて受け入れる温水温度が要求温度以上である場合に前記運転動作部を作動させて運転し、前記受け入れる温水温度が要求温度未満である場合に前記運転動作部を停止する温度制限モードと、前記温水受入部にて受け入れる温水温度にかかわらず前記運転動作部を作動させて運転する温度非制限モードとを実行可能に構成され、
前記
端末側制御部に前記温度非制限モードを指令する人為操作式のモード指令部が備えられ、
前記
端末側制御部が、前記モード指令部にて前記温度非制限モードが指令されると、前記温度非制限モードを実行し、前記モード指令部にて前記温度非制限モードが指令されないと、前記温度制限モードを実行する点にある。
【0009】
本特徴構成によれば、運転制御部は、高温水利用端末を運転させるに当たり、温度制限モードだけでなく、温度非制限モードを実行することができる。この温度非制限モードでは、温水受入部にて受け入れる温水温度が要求温度よりも低温であっても、その温水温度にかかわらず運転動作部を作動させて運転することができる。これにより、温水受入部にて受け入れる温水温度が要求温度よりも低温であっても、その温水が有する熱を活用して高温水利用端末を運転させることができる。例えば、貯湯タンクに貯湯されている温水を熱源とする温水を高温水利用端末に供給するような高温水利用端末を備えた設備では、貯湯タンクに貯湯されている温水温度が要求温度よりも低温であっても、その貯湯タンクに貯湯されている温水を熱源とする温水の供給を受けることで、その温水を用いて高温水利用端末を運転させることができる。したがって、貯湯タンクの温水を高温水利用端末を運転させるために有効活用することができ、熱の有効活用を図りながら運転することができる高温水利用端末を提供できることとなる。
【0010】
このような温度非制限モードが許容できる理由は、所謂、高温水利用端末では、通常、高温水を利用することにより充分高温で迅速な熱利用が図れる要求温度が設定されているためである。例えば、高温水利用端末として浴室乾燥装置を例に採ると、乾燥をできるだけ短時間且つ充分に完了することを考慮して要求温度の設定がなされている。この設定に対して、高温水利用端末の使用環境、使用者の都合等の要因により、従来、設定されている要求温度を必要とせず、要求温度より低い状態を許容できる場合もある。例えば、乾燥を夜間に比較的長時間で行いたい場合等である。そこで、要求温度以上の温水を必須とする従来備えられていた温度制限モードに対して、温度非制限モードを設けることで、要求温度より低い温水も利用可能とできるのである。
また、本特徴構成によれば、使用者がモード指令部にて温度非制限モードを指令すると、運転制御部が温度非制限モードでの運転を行うことになる。よって、温度非制限モードをどのタイミングにて実行するかを使用者の選択に委ねることができ、使用者が意図していないときに温度非制限モードが実行されるのを抑制することができ、使用者の利便性を向上することができる。
【0011】
本発明に係る高温水利用端末の更なる特徴構成は、前記
端末側制御部は、前記温水受入部にて受け入れる温水温度が前記要求温度より低い温度として設定される許容設定温度未満である場合に前記温度非制限モードでの運転を禁止し、前記温水受入部にて受け入れる温水温度が許容設定温度以上である場合に前記温度非制限モードでの運転を許容している点にある。
【0012】
上述の如く、温度非制限モードでは、温水受入部にて受け入れる温水をそのまま受け入れて運転動作部を作動させて運転が行われる。よって、温水受入部にて受け入れる温水温度が高温水利用端末を運転するために本来要求される要求温度よりも過剰に低温である場合には、運転動作部に悪影響を与えてしまったり、高温水利用端末を運転させても所望の効果を得られなくなる可能性がある。
そこで、本特徴構成によれば、温水受入部にて受け入れる温水温度が許容設定温度未満であれば、温度非制限モードでの運転を禁止し、温水受入部にて受け入れる温水温度が許容設定温度以上である場合にだけ、温度非制限モードでの運転を許容している。これにより、要求温度よりも低温の温水であってもその温水が許容設定温度以上の許容できる温度域にあれば、当該温水を活用して高温水利用端末の運転を行うことができながら、所望の効果を得られるという条件下において温度非制限モードでの運転を行うことができる。
【0013】
本発明に係る高温水利用端末の更なる特徴構成は、前記運転動作部は、温水を受け入れて前記熱交換部に供給する温水供給管として、通流させる温水温度を要求温度以上とする第1供給管と温水温度にかかわらず温水を通流させる第2供給管とを備え、前記第1供給管による温水供給を行う第1供給状態と前記第2供給管による温水供給を行う第2供給状態とに切換自在に構成され、前記
端末側制御部は、前記温度制限モードでの運転を行う場合には前記運転動作部を前記第1供給状態に切り換え、前記温度非制限モードでの運転を行う場合には前記運転動作部を前記第2供給状態に切り換える点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、温度非制限モードでの運転を行うために、例えば、高温水利用端末に接続されている既設の温水供給管を第1供給管とし、新たに第2供給管を高温水利用端末に接続して、第1供給管によって温水供給を行うか、又は、第2供給管によって温水供給を行うかを切り換える構成を追加するだけでよい。したがって、既設の温水供給管によって要求温度以上の温水を高温水利用端末に供給するための構成をそのまま活用しながら、温度非制限モードでの運転を実現できるので、構成の簡素化を図ることができる。
【0015】
本発明に係る高温水利用端末の更なる特徴構成は、前記運転動作部は、温水を受け入れて前記熱交換部に供給する単一の温水供給管を備
える点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、高温水利用端末に接続する温水供給管は、単一の温水供給管を備えるだけでよく、構成の簡素化を図ることができる
。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る高温水利用端末を備えた熱供給設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
この熱供給設備100は、
図1に示すように、電力と熱を発生する熱電併給装置1と、貯湯タンク2と、熱電併給装置1にて発生する熱を回収して温水として貯湯タンク2に貯湯させる排熱回収部3と、貯湯タンク2に貯湯されている温水を熱源として生成される温水を低温水利用端末14や高温水利用端末15に供給する温水供給部4と、その温水供給部4にて供給される温水を用いて運転される低温水利用端末14及び高温水利用端末15とが備えられている。この熱供給設備100は、熱電併給装置1を備えた第1ユニットY1と貯湯タンク2を備えた第2ユニットY2と浴槽13と低温水利用端末14と高温水利用端末15とを流体を通流させる流路等により接続することで構成されている。
【0021】
熱電併給装置1としては、例えば、発電機とその発電機を駆動するガスエンジンとを組み合わせたエンジン駆動式の発電装置、固体高分子型燃料電池を備えた発電装置、固体酸化物型燃料電池を備えた発電装置等、各種の熱電併給装置を適応することができる。そして、この熱供給設備100は、熱電併給装置1にて発電された電力を商用電力系統8に系統連係するインバータ6を備えており、熱電併給装置1と商用電力系統8とが電力供給ライン7により電気的に接続されている。
【0022】
排熱回収部3は、熱電併給装置1と排熱熱交換器9との間で排熱回収流体を循環させる第1循環路J1を備えている。第1循環路J1において排熱熱交換器9から熱電併給装置1への戻り側流路部位に第1循環ポンプP1が備えられている。排熱回収部3は、この第1循環ポンプP1を作動させて第1循環路J1を通して排熱回収流体を通流させることで、熱電併給装置1にて発生する熱を回収した排熱回収流体を、排熱熱交換器9に循環供給するように構成されている。これにより、排熱熱交換器9では、熱電併給装置1にて発生した熱を回収した排熱回収流体によって、第2循環路J2にて供給される湯水を加熱できるように構成されている。
【0023】
排熱回収部3は、第1循環路J1に加えて、貯湯タンク2の下部から取り出した水を排熱熱交換器9に供給し、その排熱熱交換器9にて加熱された温水を貯湯タンク2の上部に戻す第2循環路J2を備えている。第2循環路J2は、貯湯タンク2の下部から水を取り出す第1流路部位R1と、排熱熱交換器9、補助加熱部10の順に水(温水)を通流させる第2流路部位R2と、第2流路部位R2にて通流された水(温水)を貯湯タンク2の上部に戻す第3流路部位R3とを備えている。補助加熱部10は、例えば、バーナ等の燃焼装置、及び、その燃焼装置にて得られた熱と供給される湯水を熱交換させる熱交換部を備えており、燃焼装置にて得られた熱により温水を加熱するように構成されている。
【0024】
第1流路部位R1の途中部位には、貯湯タンク2に水を給水する第4流路部位R4が接続されており、第4流路部位R4の途中部位に第1逆止弁G1が備えられている。これにより、第4流路部位R4及び第1流路部位R1によって、貯湯タンク2への給水が行われる。第2流路部位R2には、水(温水)の通流方向の上流側から順に、第2循環ポンプP2、排熱熱交換器9、補助加熱部10、第1開閉弁K1が備えられている。第3流路部位R3の途中部位には、第2開閉弁K2が備えられている。
【0025】
この熱供給設備100では、第2循環路J2と協働して、貯湯タンク2に貯湯されている温水を取り出して第1放熱部11及び第2放熱部12に循環供給する第3循環路J3を備えている。第3循環路J3は、第1放熱部11を備えた第5流路部位R5と、第2放熱部12を備えた第6流路部位R6とを備えている。第5流路部位R5は、第2流路部位R2と第3流路部位R3との接続箇所から分岐接続されて、第1流路部位R1と第2流路部位R2との接続箇所に合流接続されている。第5流路部位R5の途中部位には、温水の通流方向の上流側から順に、第1放熱部11、第3開閉弁K3が備えられている。第6流路部位R6は、第5流路部位R5において第1放熱部11よりも温水の通流方向の上流側部位から分岐接続されて、第5流路部位R5において第3開閉弁K3よりも温水の通流方向の下流側部位に合流接続されている。第6流路部位R6の途中部位には、温水の通流方向の上流側から順に、第2放熱部12、第4開閉弁K4が備えられている。
【0026】
この熱供給設備100では、貯湯タンク2に貯湯されている温水を第1放熱部11及び第2放熱部12に供給するだけでなく、貯湯タンク2に貯湯されている温水を用いて給湯できるように構成されている。貯湯タンク2の上部に接続された第3流路部位R3において貯湯タンク2と第2開閉弁K2との間の部位に第7流路部位R7が分岐接続されており、その第7流路部位R7における温水の通流方向の下流側端部に給湯栓16が備えられている。第7流路部位R7の途中部位には、第4流路部位R4において第1逆止弁G1よりも水の通流方向の上流側部位から分岐接続された第8流路部位R8が合流接続されており、その合流接続箇所には第1三方弁S1が備えられている。第8流路部位R8の途中部位には、第2逆止弁G2が備えられている。これにより、貯湯タンク2の上部から取り出された温水に、第4流路部位R4及び第8流路部位R8を通して給水される水を混合させて給湯要求温度とし、その給湯要求温度の温水を第7流路部位R7を通して給湯栓16に給湯するようにしている。
【0027】
この熱供給設備100では、給湯栓16に給湯するだけでなく、貯湯タンク2に貯湯されている温水を用いて浴槽13の湯張りを行えるように構成されている。第7流路部位R7において第1三方弁S1と給湯栓16との間の部位から第9流路部位R9が分岐接続されており、その第9流路部位R9が、浴槽13と第1放熱部11との間で浴槽13の湯水を循環させる第4循環路J4に合流接続されている。第9流路部位R9の途中部位には第5開閉弁K5が備えられている。また、第4循環路J4において浴槽13から第1放熱部11に湯水を供給する側に第3循環ポンプP3が備えられている。これにより、給湯栓16が接続された第7流路部位R7の途中部位から湯水を第9流路部位R9に供給し、その第9流路部位R9を通して第4循環路J4に供給して、浴槽13の湯張りを行うようにしている。また、第3循環ポンプP3を作動させて第4循環路J4を通して浴槽13内の湯水を循環させることで、第1放熱部11において第5流路部位R5にて供給される温水にて第4循環路J4にて供給される浴槽13内の湯水を加熱し、その加熱された湯水を浴槽13に循環供給して浴槽13内の湯水の追焚を行うようにしている。
【0028】
この熱供給設備100では、第2放熱部12と低温水利用端末14との間で温水を循環させる第5循環路J5、及び、第2放熱部12と高温水利用端末15との間で温水を循環させる第6循環路J6が備えられている。第5循環路J5と第6循環路J6は、共通の第2放熱部12に対して温水を循環供給していることから、往き側共通流路部位17と戻り側共通流路部位18とを備えている。往き側共通流路部位17からは、低温水利用端末14に接続される低温側往き流路部位19と高温水利用端末15に接続される高温側往き流路部位20とに分岐接続されている。戻り側共通流路部位18に対しては、低温水利用端末14に接続される低温側戻り流路部位21と高温水利用端末15に接続される高温側戻り流路部位22とが合流接続されている。戻り側共通流路部位18には、その温水の通流方向の上流側から順に、膨張タンク23、第4循環ポンプP4が備えられている。また、低温側往き流路部位19の途中部位には、第6開閉弁K6が備えられ、高温側往き流路部位20の途中部位には、第7開閉弁K7が備えられている。図示は省略するが、往き側共通流路部位17から低温側往き流路部位19と高温側往き流路部位20への分岐、第6開閉弁K6、及び、第7開閉弁K7については、温水の断続機能付きの温水ヘッダを備えることで、それらの構成を備えることができる。また、戻り側共通流路部位18に対する低温側戻り流路部位21と高温側戻り流路部位22との合流についても、温水ヘッダを備えることで、それらの構成を備えることができる。
【0029】
低温水利用端末14は、低温水(例えば、40℃や60℃)の供給を受けてその低温水を用いて運転されるものであり、例えば、床暖房装置等が用いられている。また、高温水利用端末15は、低温水利用端末14よりも高温の高温水(例えば75℃や80℃)の供給を受けてその高温水を用いて運転されるものであり、例えば、浴室乾燥装置等が用いられている。
【0030】
この実施形態では、高温水利用端末15として浴室乾燥装置200を用いているので、浴室乾燥装置200について、
図2に基づいて説明する。この浴室乾燥装置200は、浴室202の天井203に端末本体201が備えられている。端末本体201には、外部から供給される温水を受け入れて熱交換部204に供給する温水受入部205と、浴室202から吸引した空気を熱交換部204に供給して浴室202内に戻す循環路206と、その循環路206にて浴室202内の空気を循環させる吸引ファン207と、浴室202から吸引した空気を外部に排気する排気路208と、その排気路208にて浴室202から吸引した空気を排気させる排気ファン209とが備えられている。
【0031】
温水受入部205は、熱交換部204の入口側に接続された単一の温水供給管210を備えており、この温水供給管210が、
図1における高温側往き流路部位20となっている。温水受入部205は、温水供給管210にて供給される温水をその温水温度にかかわらず受け入れて熱交換部204に供給するように構成されている。温水供給管210の途中部位には、熱動弁211が備えられている。熱交換部204に供給された温水を外部に排出するために、熱交換部204の出口側には単一の温水排出管212が接続されており、この温水排出管212が、
図1における高温側戻り流路部位22となっている。このようにして、浴室乾燥装置200は、温水供給管210によって第2放熱部12からの温水を受け入れ、温水排出管212によって第2放熱部12に温水を戻すようにしている。
【0032】
この熱供給設備100には、
図1に示すように、第1ユニットY1及び第2ユニットY2の運転を制御するユニット側制御部5と、第1ユニットY1及び第2ユニットY2の運転指令を行う運転指令部等を備えたユニット側リモコン(図示省略)とが通信自在に備えられており、ユニット側制御部5は、ユニット側リモコンからの各種の情報に基づいて、第1ユニットY1及び第2ユニットY2の運転を制御するようにしている。この熱供給設備100では、高温水利用端末15や低温水利用端末14が接続されていることから、ユニット側制御部5は、これらの温水利用端末からの運転要求やその運転における要求温度等の情報に基づいて、第1ユニットY1及び第2ユニットY2の運転を制御するようにしている。そこで、ユニット側制御部5は、運転要求や要求温度等の情報を取得するために、それらの温水利用端末に備えられる端末側制御部213(運転制御部に相当する)及び端末側リモコン214と通信自在に構成されている。
図1では、高温水利用端末15に備えられる端末側制御部213及び端末側リモコン214のみを図示しており、低温水利用端末14に備えられる端末側制御部及び端末側リモコンは図示を省略している。また、図示は省略するが、ユニット側制御部5は、浴槽13への湯張りや浴槽13内の湯水の追焚等の運転要求やその運転における要求温度等の情報を取得するために、風呂リモコンとも通信自在に構成されている。
【0033】
以下、熱供給設備100の運転について説明する。
ユニット側制御部5は、貯湯タンク2への貯湯を行う貯湯運転、給湯栓16に湯水を供給する給湯運転、浴槽13の湯張りを行う湯張り運転、低温水利用端末14及び高温水利用端末15に温水を供給する温水供給運転等の各種の運転を行うように構成されている。
【0034】
(貯湯運転)
貯湯運転は、熱電併給装置1の運転中に行われるものであり、熱電併給装置1にて発生する熱を温水として貯湯タンク2に貯湯する運転である。ちなみに、貯湯運転をどのようなタイミングで運転開始するかについては適宜変更が可能であり、例えば、熱電併給装置1を運転開始させるに当たり、貯湯運転も運転開始させることができる。また、貯湯運転をどのようなタイミングで運転終了するかについても適宜変更が可能であり、例えば、ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に備えられた温度センサ(図示省略)の検出情報に基づいて、貯湯タンク2の貯湯量が満杯であると判別すると、貯湯運転を終了することができる。
【0035】
ユニット側制御部5は、
図1に示すように、第1循環ポンプP1を作動させて、第1循環路J1によって熱電併給装置1にて発生する熱を回収した排熱回収流体を排熱熱交換器9に循環供給している。そして、ユニット側制御部5は、第1開閉弁K1及び第2開閉弁K2を開弁させて第2循環ポンプP2を作動させ、第2循環路J2によって貯湯タンク2の下部から取り出した湯水を排熱熱交換器9に供給し、排熱熱交換器9を通過した温水を貯湯タンク2の上部に戻すようにしている。これにより、排熱熱交換器9において、排熱回収流体にて貯湯タンク2から取り出した湯水を加熱して温水を生成し、その温水を貯湯タンク2の上部に戻すようにして、貯湯タンク2に温水を貯湯するようにしている。
【0036】
貯湯タンク2は、上部に高温の湯水を位置させ且つ下部に低温の湯水を位置させるようにして温度成層を形成する状態で湯水を貯湯する密閉型のタンクにて構成されている。そして、ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯する温水温度が貯湯設定温度で一定となるように、第2循環ポンプP2の回転速度等を制御して第2循環路J2における湯水の通流量を調整している。貯湯設定温度については、装備する熱電併給装置1の種類に応じて変更設定可能であり、例えば、熱電併給装置1としてエンジン駆動式の発電装置を装備した場合に貯湯設定温度を75℃に設定している。
【0037】
(給湯運転)
給湯運転は、給湯栓16の開操作に伴って運転開始され、給湯栓16の閉操作に伴って運転停止され、給湯栓16に給湯設定温度の湯水を給湯する運転である。ユニット側制御部5は、第1三方弁S1を開弁させて、貯湯タンク2の上部から温水を第3流路部位R3に取り出し、その温水を第3流路部位R3及び第7流路部位R7によって給湯栓16に供給している。そして、ユニット側制御部5は、給湯栓16に供給する温水温度が給湯設定温度となるように、第1三方弁S1の開度を制御して第8流路部位R8から混合させる水量を調整している。
【0038】
(湯張り運転)
湯張り運転は、浴槽13の湯張りを行う運転であり、基本的には、給湯運転と同様の動作であり、ユニット側制御部5は、給湯運転の動作に加えて、第5開閉弁K5を開弁させて、第7流路部位R7の温水を第9流路部位R9によって第4循環路J4に供給しており、第4循環路J4を通して温水を浴槽13に供給するようにしている。この場合には、ユニット側制御部5が、浴槽13に供給する温水温度が湯張り設定温度となるように、第1三方弁S1の開度を制御して第8流路部位R8から混合させる水量を調整している。
【0039】
(追焚用の温水供給運転)
この追焚用の温水供給運転は、浴室リモコンからの追焚要求によって運転開始され、浴槽13内の湯水の追焚を終了することで運転停止される。ユニット側制御部5は、第1開閉弁K1、第2開閉弁K2及び第3開閉弁K3を開弁させて第2循環ポンプP2を作動させ、貯湯タンク2の上部から取り出した温水を第3循環路J3によって第1放熱部11に供給し、その第1放熱部11を通過した温水の一部を貯湯タンク2の下部に戻し、残りの一部の温水を第2循環路J2によって循環させている。そして、ユニット側制御部5は、第3循環ポンプP3を作動させて、第4循環路J4によって浴槽13と第1放熱部11との間で浴槽13内の湯水を循環させている。これにより、第1放熱部11において貯湯タンク2の上部から取り出した温水にて浴槽13内の湯水を加熱し、その加熱された湯水を浴槽13内に戻すことで、浴槽13内の湯水の追焚を行っている。第1放熱部11に供給する温水温度については、例えば、浴槽13内の湯水を所望温度に加熱できるような温度が設定されている。そして、ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がその設定温度未満である場合には、補助加熱部10による加熱を行い、その補助加熱部10にて加熱された温水と貯湯タンク2から取り出した温水とを混合させることで、設定温度以上の温水を第1放熱部11に供給するようにしている。
【0040】
(温水利用端末用の温水供給運転)
温水利用端末用の温水供給運転としては、貯湯タンク2に貯湯されている温水を第1放熱部11に供給するのではなく、貯湯タンク2に貯湯されている温水を第2放熱部12に供給するようにしている。この場合には、低温水利用端末14及び高温水利用端末15からの運転要求によって運転開始され、低温水利用端末14及び高温水利用端末15からの運転終了指令によって運転停止される。このように、ユニット側制御部5は、低温水利用端末14及び高温水利用端末15の温水利用端末を運転させる際に、温水供給運転を行うようにしている。
【0041】
(低温水利用端末に対する温水供給運転)
まず、低温水利用端末14を運転させる場合について説明する。ユニット側制御部5は、第1開閉弁K1、第2開閉弁K2及び第4開閉弁K4を開弁させて第2循環ポンプP2を作動させ、貯湯タンク2の上部から取り出した温水を第3循環路J3によって第2放熱部12に供給し、その第2放熱部12を通過した温水の一部を貯湯タンク2の下部に戻し、残りの一部の温水を第2循環路J2によって循環させている。ユニット側制御部5は、第6開閉弁K6を開弁させて第4循環ポンプP4を作動させ、第5循環路J5によって低温水利用端末14と第2放熱部12との間で湯水を循環させている。これにより、第2放熱部12において貯湯タンク2の上部から取り出した温水にて湯水を加熱し、その加熱された湯水を温水として低温水利用端末14に供給している。
【0042】
低温水利用端末14では、第2放熱部12にて加熱された温水の供給を受けるので、その温水を用いて運転が行われる。例えば、低温水利用端末14が床暖房装置であれば、その床暖房装置は、温水の供給を受けると、その温水を床暖房パネルに供給する床暖房運転を行うようにしている。
【0043】
第2放熱部12に供給する温水温度については、低温水利用端末14が低温水(例えば、40℃や60℃)の供給を受けてその低温水を用いて運転するので、その運転を行うための要求温度に応じて、第2放熱部12に供給する温水温度が低温水用設定温度(例えば、40℃や60℃)に設定されている。この低温水用設定温度の設定については、ユニット側制御部5が、低温水利用端末の端末側リモコン(図示省略)からの通信により低温水利用端末14の要求温度の情報を取得しているので、その要求温度に応じて低温水用設定温度を設定している。ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が低温水用設定温度以上である場合には、補助加熱部10による加熱を行わず、貯湯タンク2の温水をそのまま第2放熱部12に供給している。ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が低温水用設定温度未満である場合には、補助加熱部10による加熱を行い、その補助加熱部10にて加熱された温水と貯湯タンク2から取り出した温水とを混合させることで、その混合温水を低温水用設定温度以上とし、その低温水用設定温度以上の混合温水を第2放熱部12に供給している。
【0044】
(高温水利用端末に対する温水供給運転)
次に、高温水利用端末15を運転させる場合について説明する。ユニット側制御部5は、第1開閉弁K1、第2開閉弁K2及び第4開閉弁K4を開弁させて第2循環ポンプP2を作動させ、貯湯タンク2の上部から取り出した温水を第3循環路J3によって第2放熱部12に供給し、その第2放熱部12を通過した温水の一部を貯湯タンク2の下部に戻し、残りの一部の温水を第2循環路J2によって循環させている。ユニット側制御部5は、第7開閉弁K7を開弁させて第4循環ポンプP4を作動させ、第6循環路J6によって高温水利用端末15と第2放熱部12との間で湯水を循環させている。これにより、第2放熱部12において貯湯タンク2の上部から取り出した温水にて湯水を加熱し、その加熱された湯水を温水として高温水利用端末15に供給している。
【0045】
高温水利用端末15は、通常、高温水(例えば75℃や80℃)の供給を受けることで、その高温水を用いた運転を行うように構成されているので、高温水利用端末15を運転するためには、第2ユニットY2から高温水利用端末15に供給する温水温度として、高温水(例えば75℃や80℃)が要求されることになる。よって、第2放熱部12に供給する温水温度は、その高温水(例えば75℃や80℃)が高温水用設定温度となり、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が高温水用設定温度よりも低温である場合には、補助加熱部10による加熱を行うことが必要となる。しかしながら、常時、補助加熱部10による加熱を行っていると、貯湯タンク2に貯湯されている温水を有効に活用できないばかりか、それだけエネルギー消費量が増加することになる。
【0046】
そこで、この実施形態では、貯湯タンク2に貯湯されている温水を有効に活用しながら、高温水利用端末15を運転させるために、ユニット側制御部5が、温水供給運転において高温水利用端末15に温水を供給する供給モードとして、補助加熱部10による加熱を行う加熱供給モードと補助加熱部10による加熱を行わない非加熱供給モードとを実行可能に構成されている。
【0047】
(加熱供給モード)
図1及び
図3に基づいて加熱供給モードについて説明する。
図3は、
図1における要部を模式的に図示したものであり、流体を通流する部位、及び、作動させる機器を太線にて示している。ユニット側制御部5は、補助加熱部10による加熱を行い、その補助加熱部10にて加熱された温水と貯湯タンク2から取り出した温水とを混合させて、その混合温水を高温水用設定温度以上としており、その高温水用設定温度以上の温水を第2放熱部12に供給している。これにより、第2放熱部12では、その高温水にて湯水が加熱されて高温水(例えば75℃や80℃:この温度が先に説明した「要求温度」である)を生成することができ、その高温水を第6循環路J6によって高温水利用端末15に供給している。このようにして、加熱供給モードでの温水供給運転では、補助加熱部10による加熱を行うことで、第2放熱部12に供給する温水温度を高温水用設定温度(例えば75℃や80℃)以上として、補助加熱部10にて加熱された温水を熱源として加熱温水(例えば75℃や80℃)を生成し、その加熱温水を高温水利用端末15に供給している。そして、温水供給部4は、第2循環路J2、第3循環路J3、第6循環路J6等から構成されており、ユニット側制御部5は、高温水利用端末15に接続された単一の温水供給管210(高温側往き流路部位20)にて加熱温水を供給する第1供給状態に温水供給部4を切り換えている。
【0048】
(非加熱供給モード)
図1及び
図4に基づいて非加熱供給モードについて説明する。
図4は、
図1における要部を模式的に図示したものであり、流体を通流する部位、及び、作動させる機器を太線にて示している。ユニット側制御部5は、補助加熱部10による加熱を行わず、貯湯タンク2から取り出した温水をそのまま第2放熱部12に供給している。従って、第2放熱部12に供給される温水の温度は、高温水の温度(例えば75℃や80℃)未満となる場合もある。これにより、第2放熱部12では、貯湯タンク2の温水にて湯水が加熱されて温水を生成することができ、その温水を第6循環路J6によって高温水利用端末15に供給している。このように、非加熱供給モードでの温水供給運転では、補助加熱部10による加熱を行わないことで、第2放熱部12において貯湯タンク2の温水を熱源とする非加熱温水を生成し、その非加熱温水を高温水利用端末15に供給している。ユニット側制御部5は、高温水利用端末15に接続された単一の温水供給管210(高温側往き流路部位20)にて非加熱温水を供給する第2供給状態に温水供給部4を切り換えている。
【0049】
(高温水利用端末の運転)
上述の如く、高温水利用端末15に温水を供給するに当たり、第2ユニットY2側は、ユニット側制御部5によって、加熱供給モードでの温水供給運転と非加熱供給モードでの温水供給運転とを実行可能に構成されている。そこで、加熱供給モードでの温水供給運転でも非加熱供給モードでの温水供給運転でも高温水利用端末15を運転させるために、端末側制御部213は、高温水利用端末15の運転を行うに当たり、温水受入部205にて受け入れる温水温度が要求温度以上である場合に運転動作部を作動させて運転し、受け入れる温水温度が要求温度未満である場合に運転動作部を停止させる温度制限モードと、温水受入部205にて受け入れる温水温度にかかわらず運転する温度非制限モードとを実行可能に構成されている。以下、高温水利用端末15を浴室乾燥装置200として説明する。
【0050】
(温度制限モード)
まず、
図2及び
図3に基づいて温度制限モードについて説明する。端末側制御部213は、温水供給管210にて受け入れる温水温度が要求温度(例えば75℃や80℃)以上の高温水であるとして、熱動弁211を開弁させてその高温水を熱交換部204に供給し、熱交換部204を通過した高温水を温水排出管212により排出するようにしている。これにより、熱交換部204では、供給される高温水(例えば75℃や80℃)にて循環路206を通流する空気を加熱可能となっている。端末側制御部213は、吸引ファン207を作動させて、循環路206によって、浴室202から吸引した空気の一部を熱交換部204にて加熱してその加熱された空気を浴室202に戻すようにしている。端末側制御部213は、吸引ファン207を作動させるだけでなく、排気ファン209も作動させることで、排気路208によって浴室202から吸引した空気の一部を外部に排気している。このようにして、端末側制御部213は、温水供給管210にて受け入れる温水温度が要求温度(例えば75℃や80℃)以上の高温水である場合に、熱動弁211、吸引ファン207、及び、排気ファン209等の運転動作部を作動させて、浴室202から吸引した空気の一部を熱交換部204にて加熱して浴室202に戻しながら、残りの一部の空気を外部に排気する乾燥運転を行うにしている。
【0051】
この温度制限モードでは、熱交換部204に供給される温水が高温水(例えば75℃や80℃)であることから、端末側制御部213は、その高温水によって浴室202に戻す空気の温度を温度制限用設定温度に加熱するように、吸引ファン207及び排気ファン209の回転速度等を制御するようにしている。温度制限用設定温度は、端末側リモコンにて設定される運転用設定温度に応じて設定する、或いは、実験等により予め一定温度を設定することができる。また、この温度制限モードでは、温水供給管210にて受け入れる温水温度が要求温度(例えば75℃や80℃)以上の高温水であるとしているので、端末側制御部213は、温水供給管210にて供給される温水温度が要求温度未満であると、運転動作部を停止させて、ユニット側制御部5に対して、要求温度の高温水を供給するための高温水要求指令を行うようにしている。また、例えば、端末側制御部213は、温水供給管210にて供給される温水温度が要求温度未満であると、或いは、高温水要求指令を行っても温水供給管210にて供給される温水温度が要求温度未満である状態が継続していると、熱動弁211を閉弁させて高温水利用端末15の運転を停止させることもできる。このようにして、端末側制御部213は、温水供給管210にて受け入れる温水温度が要求温度(例えば75℃や80℃)以上の高温水である場合に、熱動弁211、吸引ファン207、及び、排気ファン209等の運転動作部を作動させて、熱交換部204への温水供給を行う第1供給状態に切り換えている。また、端末側制御部213は、温水供給管210にて受け入れる温水温度が要求温度(例えば75℃や80℃)未満である場合に、運転動作部を停止させるという運転動作部の作動に制限を加えている。
【0052】
ちなみに、ユニット側制御部5は、高温水要求指令を受けると、補助加熱部10による加熱が行われていなければ補助加熱部10による加熱を開始し、補助加熱部10による加熱が行われている最中であるとその加熱量を増加させるように補助加熱部10を制御する等により、高温水利用端末15に要求温度の高温水(例えば75℃や80℃)を供給するようにしている。
【0053】
(温度非制限モード)
次に、
図2及び
図4に基づいて温度非制限モードについて説明する。端末側制御部213は、温水供給管210にて受け入れる温水温度にかかわらず、熱動弁211を開弁させてその温水を熱交換部204に供給し、熱交換部204を通過した温水を温水排出管212により排出するようにしている。これにより、熱交換部204では、供給される温水にて循環路206を通流する空気を加熱可能となっている。端末側制御部213は、吸引ファン207を作動させて、循環路206によって、浴室202から吸引した空気の一部を熱交換部204にて加熱してその加熱された空気を浴室202に戻すようにしている。端末側制御部213は、吸引ファン207を作動させるだけでなく、排気ファン209も作動させることで、排気路208によって浴室202から吸引した空気の一部を外部に排気している。このようにして、端末側制御部213は、熱動弁211、吸引ファン207、及び、排気ファン209等の運転動作部を作動させることで、浴室202から吸引した空気の一部を熱交換部204にて加熱して浴室202に戻しながら、残りの一部の空気を外部に排気する乾燥運転を行うようにしている。
【0054】
この温度非制限モードでは、熱交換部204に供給される温水温度にかかわらず運転することから、温度制限モードのように、熱交換部204にて加熱する空気を温度制限用設定温度まで加熱できないことがある。そこで、端末側制御部213は、例えば、熱交換部204にて浴室202に戻す空気の温度を温度非制限用設定温度(温度制限用設定温度よりも低温)に加熱するように、吸引ファン207及び排気ファン209の回転速度等を制御することができる。温度非制限用設定温度は、温度制限用設定温度を基準としてそれよりも一定の低温となるように設定する、或いは、温度制限用設定温度とは無関係に温度制限用設定温度よりも低温となるように設定することができる。また、端末側制御部213は、このような制御に代えて、吸引ファン207及び排気ファン209の回転速度を温度非制限用回転速度の一定回転速度となるように制御することもできる。そして、この温度非制限モードでは、熱交換部204に供給される温水温度が低下しても、端末側制御部213は、ユニット側制御部5に対する高温水要求指令は行わず、熱動弁211を開弁状態に維持している。このようにして、端末側制御部213は、熱動弁211、吸引ファン207、及び、排気ファン209等の運転動作部を作動させて、温水供給管210を通流させる温水温度にかかわらず熱交換部204への温水供給を行う第2供給状態に切り換えている。
【0055】
浴室乾燥装置200は、その運転の1つとして、浴室乾燥運転を行うようにしているが、端末側制御部213は、例えば、熱動弁211を開弁させて熱交換部204への温水の供給を行った上で、排気ファン209を作動させずに吸引ファン207のみを作動させて、浴室202から吸引した空気の全量を熱交換部204にて加熱して浴室202に戻す浴室暖房運転も行うようにしている。この浴室暖房運転も、温水の供給を受ける行う運転であることから、端末側制御部213は、浴室暖房運転を行うに当たり、温度制限モードと温度非制限モードとを実行可能に構成されている。また、端末側制御部213は、浴室乾燥運転及び浴室暖房運転の他にも、熱交換部204への温水供給を行わずに、排気ファン209のみを作動させて、浴室202から吸引した空気の一部を外部に排気する換気運転等も行えるようにしている。
【0056】
(モード選択)
上述の如く、ユニット側制御部5は、高温水利用端末15に温水を供給する温水供給運転として、加熱供給モードと非加熱供給モードとを実行可能であり、端末側制御部213は、高温水利用端末15の運転として、温度制限モードと温度非制限モードとを実行可能である。そこで、ユニット側制御部5は、高温水利用端末15に温水を供給する温水供給運転を行うに当たり、加熱供給モードを実行するか、又は、非加熱供給モードを実行するかを選択している。また、端末側制御部213も、高温水利用端末15を運転させるに当たり、温度制限モードを実行するか、又は、温度非制限モードを実行するかを選択している。以下、このモード選択について説明する。
【0057】
図1及び
図2に示すように、端末側リモコン214には、各種の運転開始や運転停止を指令する運転指令部215と、設定温度や運転状態等を表示する表示部216と、非加熱供給モード及び温度非制限モードを指令するモード指令部217とが備えられている。これにより、ユニット側制御部5及び端末側制御部213は、端末側リモコン214との通信により、モード指令部217にて非加熱供給モード及び温度非制限モードが指令されていることを認識することができる。そこで、ユニット側制御部5が非加熱供給モードを実行する条件として、モード指令部217にて非加熱供給モードが指令されていることとし、端末側制御部213が温度非制限モードを実行する条件として、モード指令部217にて温度非制限モードが指令されていることとしている。
【0058】
また、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が高温水利用端末15を運転させるための要求温度(例えば75℃や80℃)よりも過剰に低い温度であると、その温水を熱源として生成した温水を高温水利用端末15に供給すると、要求温度よりも過剰に低い温度の温水が高温水利用端末15に供給されることになる。そこで、ユニット側制御部5が非加熱供給モードを実行する条件として、モード指令部217にて非加熱供給モードが指令されていることに加えて、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が許容設定温度以上であることとしている。端末側制御部213が温度非制限モードを実行する条件として、モード指令部217にて温度非制限モードが指令されていることに加えて、温水受入部205にて受け入れる温水温度が許容設定温度以上であることとしている。許容設定温度については、高温水利用端末15を運転させるための要求温度(例えば75℃や80℃)よりも低温の温度が設定されており、例えば、装備する熱電併給装置1の種類に応じて許容設定温度を変更設定可能としている。例えば、熱電併給装置1としてエンジン駆動式の発電装置を装備した場合に許容設定温度を60℃に設定している。
【0059】
以下、
図5のフローチャートに基づいて、ユニット側制御部5によるモード選択について説明する。
まず、ユニット側制御部5は、端末側リモコン214との通信により、モード指令部217にて非加熱供給モードが指令されているか否かを判別する(ステップ#1)。非加熱供給モードが指令されている場合には、ユニット側制御部5が、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が許容設定温度以上であるか否かを判別する(ステップ#2)。ここで、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度は、貯湯タンク2から取り出される温水温度であり、例えば、貯湯タンク2の最上部に配置される温度センサ等によりその温水温度を取得することができる。ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が許容設定温度以上であれば、非加熱供給モードを実行する(ステップ#3)。ユニット側制御部5は、モード指令部217にて非加熱供給モードが指令されていない場合(ステップ#1にてNoの場合)には、加熱供給モードを実行する(ステップ#4)。また、ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が許容設定温度未満の場合(ステップ#2のNoの場合)、非加熱供給モードの実行を禁止する(ステップ#5)。ここで、ユニット側制御部5は、非加熱供給モードの実行を禁止した場合に、加熱供給モードでの温水供給運転を行う、或いは、温水供給運転を停止してその運転停止したことを、ユニット側リモコンや端末側リモコン214に備えられた報知部等により使用者に報知している。
【0060】
以下、
図6のフローチャートに基づいて、端末側制御部213によるモード選択について説明する。
まず、端末側制御部213は、端末側リモコン214との通信により、モード指令部217にて温度非制限モードが指令されているか否かを判別する(ステップ#11)。温度非制限モードが指令されている場合には、端末側制御部213が、温水受入部205にて受け入れる温水温度が許容設定温度以上であるか否かを判別する(ステップ#12)。ここで、温水受入部205にて受け入れる温水温度については、図示は省略するが、温水供給管210の途中部位に配置された温度センサ等によりその温水温度を取得することができる。端末側制御部213は、温水受入部205にて受け入れる温水温度が許容設定温度以上であれば、温度非制限モードを実行する(ステップ#13)。端末側制御部213は、モード指令部217にて温度非制限モードが指令されていない場合(ステップ#11にてNoの場合)、温度制限モードを実行する(ステップ#14)。また、端末側制御部213は、温水受入部205にて受け入れる温水温度が許容設定温度未満の場合(ステップ#12のNoの場合)、温度非制限モードの実行を禁止する(ステップ#15)。ここで、端末側制御部213は、温度非制限モードの実行を禁止した場合に、温度制限モードでの運転を行う、或いは、高温水利用端末15の運転を停止してその運転停止したことを、ユニット側リモコンや端末側リモコン214に備えられた報知部等により使用者に報知している。
【0061】
貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が許容設定温度以上であれば、通常、温水受入部205にて受け入れる温水温度も許容設定温度以上となることから、モード指令部217による指令がされており、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が許容設定温度以上であれば、ユニット側制御部5が非加熱供給モードを行うとともに、端末側制御部213が温度非制限モードを行うことになる。
【0062】
このように、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度と許容設定温度とを比較したときの温度条件が満たされていなければ、ユニット側制御部5による非加熱供給モードの実行、及び、端末側制御部213による温度非制限モードの実行が行われない。そこで、現在、ユニット側制御部5による非加熱供給モードの実行、及び、端末側制御部213による温度非制限モードの実行が行うことができる状況下であるのか否かを、使用者が容易に認識できるように、端末側リモコン214にモード表示部218が備えられている。このモード表示部218は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が許容設定温度以上である場合に点灯することで、ユニット側制御部5による非加熱供給モードの実行、及び、端末側制御部213による温度非制限モードの実行が可能な状況下であることを表示している。
【0063】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第2ユニットY2の第2放熱部12から高温水利用端末15に温水を供給するに当たり、単一の温水供給管210(
図2参照)を高温水利用端末15に接続している。この構成に代えて、例えば、高温水利用端末15に供給する温水供給管の構成を、
図7に示すように変更することができる。
図7は、
図1における第2ユニットY2と高温水利用端末15との温水配管の接続構成を模式的に示したものである。
【0064】
図7に示すように、高温水利用端末15に接続する温水供給管として、加熱温水(要求温度の高温水)を供給する第1供給管219と非加熱温水(温水温度にかかわらず供給されれる温水)を供給する第2供給管220とが備えられている。そして、熱交換部204には、温水を排出する温水排出管として、第1供給管219にて供給された温水を排出する第1排出管221と、第2供給管220にて供給された温水を排出する第2排出管222とが備えられている。第1供給管219と第2供給管220との分岐、及び、第1排出管221と第2排出管222の合流については、上記実施形態と同様に、温水ヘッダを備えることで、その構成を備えることができる。第2供給管220及び第2排出管222については、例えば、低温水利用端末14に接続する温水供給管及び温水排出管をそのまま高温水利用端末15にも導入して温水供給及び温水排出するものとして利用することができる。そして、高温水利用端末15には、第1供給管219を開閉する第8開閉弁K8と、第2供給管220を開閉する第9開閉弁K9とが備えられている。この場合、端末側制御部213は、温度制限モードでの運転を行う場合に第8開閉弁K8を開弁させて運転動作部を第1供給状態に切り換え、温水非制限モードでの運転を行う場合に第9開閉弁K9を開弁させて運転動作部を第2供給状態に切り換えている。
【0065】
ちなみに、この
図7において、第2ユニットY2側の第1供給管219及び第2供給管220との接続箇所に第8開閉弁K8及び第9開閉弁K9を備えて、温水供給部を第8開閉弁K8及び第9開閉弁K9を含めて構成することもできる。この場合、ユニット側制御部5は、加熱供給モードでの温水供給運転を行う場合に第8開閉弁K8を開弁させて温水供給部を第1供給状態に切り換え、非加熱供給モードでの温水供給運転を行う場合に第9開閉弁K9を開弁させて温水供給部を第2供給状態に切り換えている。
【0066】
(2)上記実施形態では、高温水利用端末15として浴室乾燥装置200を適応した例を示したが、温水の供給を受けてその温水を用いて除湿運転や加湿運転を行うデシカント装置や、温水の供給を受けてその温水を用いて暖房運転や冷房運転を行う空調装置等、その他の温水利用端末を適応することもできる。
【0067】
図8及び
図9に基づいて、高温水利用端末15として、デシカント装置300を適応した場合について説明する。デシカント装置300は、回転駆動する通気性吸湿体からなるデシカントロータ301を有しており、そのデシカントロータ301の吸湿部302又は再生部303に気体を通流させて空調用空気として空調対象空間304に供給するように構成されている。そして、第2ユニットY2は、第2放熱部12において生成された温水をデシカント装置300に供給することで、デシカント装置300は、その温水を用いて運転を行うように構成されている。
【0068】
デシカント装置300は、供給される気体とデシカントロータ301の吸湿部302を通過した気体を熱交換させる第1熱交換器305と、その第1熱交換器305を通過した気体を温水にて加熱する温水加熱器306(熱交換部に相当する)と、気体の通流状態を切換自在な通流状態切換手段307とを備えている。温水加熱器306には、第2放熱部12にて生成された温水を供給することで、その温水にて第1熱交換器305を通過した気体を加熱するように構成されている。デシカント装置300は、気体として、外気である第1気体OAと空調対象空間304の空気である第2気体RAとを各機器に通流させており、第1気体OA及び第2気体RAを通流させるための駆動源として第1ファン308と第2ファン309とを備えている。
【0069】
通流状態切換手段307は、第1四方弁310と第2四方弁311を備えている。通流状態切換手段307は、第1四方弁310と第2四方弁311の状態を切り換えることで、第1気体OA及び第2気体RAがどのような順序でどのような機器を通過するかを切り換えている。
図8及び
図9は、第1気体OA及び第2気体RAの通流状態を示すものであり、通流状態切換手段307は、
図8に示す第1切換状態と
図9に示す第2切換状態とに切換自在に構成されている。
【0070】
第1切換状態では、
図8に示すように、通流状態切換手段307が、第1四方弁310と第2四方弁311を切り換えることで、デシカントロータ301の吸湿部302、第1熱交換器305の順に第1気体OAを通過させて空調用空気として空調対象空間304に供給し、且つ、第1熱交換器305、温水加熱器306、デシカントロータ301の再生部303の順に第2気体RAを通過させている。第1気体OAは、デシカントロータ301の吸湿部302にて除湿され、その除湿された第1気体OAが第1熱交換器305にて熱交換される。これにより、除湿された第1気体OAを空調用空気として空調対象空間304に供給して、空調対象空間304の除湿運転を行うことができる。第1熱交換器305を通過した第2気体RAは、温水加熱器306において温水にて加熱されて、再生部303でのデシカントロータ301の再生を適切に行うことができる。再生部303を通過した第2気体RAは、外部に排気されている。
【0071】
第2切換状態では、
図9に示すように、通流状態切換手段307が、第1四方弁310と第2四方弁311を切り換えることで、第1熱交換器305、温水加熱器306、デシカントロータ301の再生部303の順に第1気体OAを通過させて空調用空気として空調対象空間304に供給し、且つ、デシカントロータ301の吸湿部302、第1熱交換器305の順に第2気体RAを通過させている。第1熱交換器305を通過した第1気体OAは、温水加熱器306において温水にて加熱されて、デシカントロータ301の再生部303に供給される。再生部303では、デシカントロータ301の再生を適切に行うことができながら、第1気体OAが加湿される。このようにして、加湿された第1気体OAを空調用空気として空調対象空間304に供給して、空調対象空間304の加湿運転を行うことができる。第2気体RAについては、デシカントロータ301の吸湿部302にて除湿されて加熱されるので、第1熱交換器305にて第1気体OAを適切に加熱することができる。第1熱交換器305を通過した第2気体RAは、外部に排気されている。
【0072】
このようにして、高温水利用端末15としてデシカント装置300を適応した場合には、温水の供給を受けるとその温水を温水加熱器306に供給することで、除湿運転及び加湿運転を行うようにしている。そこで、図外の端末制御部は、除湿運転及び加湿運転を行うに当たり、温度制限モードと温度非制限モードを実行可能に構成されている。
【0073】
(3)上記実施形態では、貯湯タンク2に貯湯されている温水を熱源とする温水を高温水利用端末15に供給するに当たり、第2放熱部12を備えて、貯湯タンク2から取り出した温水にて湯水を加熱して温水を生成し、その生成した温水を高温水利用端末15に供給している。この構成に代えて、例えば、貯湯タンク2に貯湯されている温水をそのまま高温水利用端末15に供給することもでき、高温水利用端末15に供給する温水は貯湯タンク2の温水を熱源とするものであればよく、どのようにして供給するかの温水供給構成については適宜変更が可能である。
【0074】
(4)上記実施形態では、ユニット側制御部5が非加熱供給モードを実行する条件として、モード指令部217にて非加熱供給モードが指令されていることに加えて、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が許容設定温度以上であることとしている。この構成に代えて、ユニット側制御部5が非加熱供給モードを実行する条件として、モード指令部217にて非加熱供給モードが指令されていることのみとしてもよ
い。
また、端末側制御部213が温度非制限モードを実行する条件としても、モード指令部217にて温度非制限モードが指令されていることのみとしてもよ
い。