特許第6245822号(P6245822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245822
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】熱供給設備
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20171204BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F24H1/00 631A
   F24H1/18 301A
   F24H1/18 D
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-55332(P2013-55332)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-181830(P2014-181830A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】亀尾 研介
(72)【発明者】
【氏名】荏開津 孝生
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−013293(JP,A)
【文献】 特開2012−093062(JP,A)
【文献】 特開2003−014295(JP,A)
【文献】 特開2002−257414(JP,A)
【文献】 特開2001−041443(JP,A)
【文献】 特開2012−107793(JP,A)
【文献】 特開2007−311036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱と電力を発生する熱電併給装置と、その熱電併給装置にて発生する熱を温水として貯湯する貯湯タンクと、その貯湯タンクに貯湯されている温水を熱源とする温水の供給を受けて運転を行う温水利用端末と、前記貯湯タンクに貯湯されている温水を熱源とする温水を前記温水利用端末に供給する温水供給部と、温水を加熱自在な補助加熱部と、前記温水供給部及び前記補助加熱部の作動を制御して前記温水利用端末に温水を供給する温水供給運転を行う運転制御部とが備えられ、
前記温水利用端末が浴室乾燥装置であり、
前記運転制御部は、前記貯湯タンクの温水温度がモード判別用設定温度以上か否かを判別する温度判別処理を行い、
前記貯湯タンクの温水温度が前記モード判別用設定温度未満の場合に、前記補助加熱部による加熱を行い、前記温水供給部によって、前記補助加熱部にて加熱された温水を熱源とする加熱温水を前記温水利用端末に供給する加熱供給モードでの温水供給運転を行い、
前記貯湯タンクの温水温度が前記モード判別用設定温度以上の場合に、前記補助加熱部による加熱を行わず、前記温水供給部によって、前記貯湯タンクの温水をそのまま熱源とする非加熱温水を前記温水利用端末に供給する非加熱供給モードでの温水供給運転を行うように構成され、
前記モード判別用設定温度については、前記温水利用端末に要求される要求温度よりも低温の温度範囲内で変更設定自在に構成され
前記運転制御部に前記非加熱供給モードを指令する人為操作式のモード指令部が備えられ、前記運転制御部は、前記モード指令部からの指令を受けている場合には、前記温度判別処理を行い、その温度判別処理の判別結果に基づいて前記加熱供給モード及び前記非加熱供給モードの何れかでの温水供給運転を行い、前記モード指令部からの指令を受けていない場合には、前記加熱供給モードでの温水供給運転を行うように構成されている熱供給設備。
【請求項2】
前記モード判別用設定温度は、前記熱電併給装置の種類に応じて変更設定自在に構成されている請求項1に記載の熱供給設備。
【請求項3】
装備される前記熱電併給装置の種類についての種類情報を入力自在な人為操作式の入力部が備えられ、前記運転制御部は、前記入力部に入力された熱電併給装置の種類情報に応じて、前記モード判別用設定温度を変更設定している請求項2に記載の熱供給設備。
【請求項4】
前記モード判別用設定温度は、装備される前記温水利用端末に要求される要求温度に応じて変更設定自在に構成されている請求項1に記載の熱供給設備。
【請求項5】
装備される前記温水利用端末に要求される要求温度についての温度情報を入力自在な人為操作式の入力部が備えられ、前記運転制御部は、前記入力部に入力された前記要求温度についての温度情報に応じて、前記モード判別用設定温度を変更設定している請求項4に記載の熱供給設備。
【請求項6】
前記モード判別用設定温度は、装備される前記温水利用端末に要求される要求温度及び装備される前記熱電併給装置の種類に応じて変更設定自在に構成されている請求項1に記載の熱供給設備。
【請求項7】
前記貯湯タンクの温水温度が前記モード判別用設定温度以上の場合には、前記非加熱供給モードでの温水供給運転を実行可能であることを表示するモード表示部を備えている請求項1〜6の何れか1項に記載の熱供給設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱と電力を発生する熱電併給装置と、その熱電併給装置にて発生する熱を温水として貯湯する貯湯タンクと、その貯湯タンクに貯湯されている温水を熱源とする温水の供給を受けて運転を行う高温水利用端末とが備えられている熱供給設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような熱供給設備では、熱電併給装置から発生する熱を貯湯タンクに温水として貯湯しておき、その貯湯されている温水を、温水利用端末を運転させるための熱源として利用している。温水利用端末としては、例えば、低温水(例えば、40℃や60℃)を熱源として運転される床暖房装置等の低温水利用端末と、この低温水利用端末よりも高温水(例えば、75℃や80℃)を熱源として運転される浴室乾燥装置等の高温水利用端末が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
温水利用端末の一例としての高温水利用端末は、例えば、浴室乾燥装置であれば、供給される温水を熱交換部に供給して、その熱交換部において温水にて浴室内から吸引した空気の一部を加熱し、その加熱された空気を浴室内に供給するとともに、浴室内から吸引した空気の一部を外部に排気することで、浴室乾燥運転を行うように構成されている。このような高温水利用端末では、その運転を行うために、熱源となる温水温度として高温(例えば、75℃や80℃)が要求されている。そこで、特許文献1に記載の設備では、この要求温度が貯湯タンクの温水温度よりも高温となっていても、その要求温度の温水を高温水利用端末に供給できるように、補助加熱部を備えている。温水供給部は、貯湯タンクから取り出した温水を補助加熱部にて加熱することで、その取り出し温水を要求温度以上としている。そして、温水供給部は、その要求温度以上の温水を熱源として要求温度の温水を生成し、その要求温度の温水を高温水利用端末に供給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−47591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の設備では、高温水利用端末にて要求されている要求温度が貯湯タンクの温水温度よりも高温(貯湯タンクの温水温度が要求温度より低温)である場合には、高温水利用端末を運転させる際に、常に、補助加熱部による加熱を行うこととなり、それだけエネルギー消費量が増加するので、省エネルギー化を図るという観点から改良が求められている。
【0006】
また、高温水利用端末を運転させる際に、常に、補助加熱部による加熱を行うのでは、高温水利用端末の運転を行うための熱源としては、補助加熱部の加熱により取得される熱が主体となってしまう。よって、高温水利用端末の運転を行うための熱源として、貯湯タンクに貯湯されている温水を有効に活用できていなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、省エネルギー化を図りながら、温水利用端末の運転を行うための熱源として、貯湯タンクに貯湯されている温水を有効に活用することができる熱供給設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る熱供給設備の特徴構成は、熱と電力を発生する熱電併給装置と、その熱電併給装置にて発生する熱を温水として貯湯する貯湯タンクと、その貯湯タンクに貯湯されている温水を熱源とする温水の供給を受けて運転を行う温水利用端末と、前記貯湯タンクに貯湯されている温水を熱源とする温水を前記温水利用端末に供給する温水供給部と、温水を加熱自在な補助加熱部と、前記温水供給部及び前記補助加熱部の作動を制御して前記温水利用端末に温水を供給する温水供給運転を行う運転制御部とが備えられ、
前記温水利用端末が浴室乾燥装置であり、
前記運転制御部は、前記貯湯タンクの温水温度がモード判別用設定温度以上か否かを判別する温度判別処理を行い、
前記貯湯タンクの温水温度が前記モード判別用設定温度未満の場合に、前記補助加熱部による加熱を行い、前記温水供給部によって、前記補助加熱部にて加熱された温水を熱源とする加熱温水を前記温水利用端末に供給する加熱供給モードでの温水供給運転を行い、
前記貯湯タンクの温水温度が前記モード判別用設定温度以上の場合に、前記補助加熱部による加熱を行わず、前記温水供給部によって、前記貯湯タンクの温水をそのまま熱源とする非加熱温水を前記温水利用端末に供給する非加熱供給モードでの温水供給運転を行うように構成され、
前記モード判別用設定温度については、前記温水利用端末に要求される要求温度よりも低温の温度範囲内で変更設定自在に構成され
前記運転制御部に前記非加熱供給モードを指令する人為操作式のモード指令部が備えられ、前記運転制御部は、前記モード指令部からの指令を受けている場合には、前記温度判別処理を行い、その温度判別処理の判別結果に基づいて前記加熱供給モード及び前記非加熱供給モードの何れかでの温水供給運転を行い、前記モード指令部からの指令を受けていない場合には、前記加熱供給モードでの温水供給運転を行うように構成されている点にある。
【0009】
本特徴構成によれば、熱供給設備は、加熱供給モードと非加熱供給モードとの間で択一的に温水供給運転が行われる。ここで、加熱供給モードでは、貯湯タンクから得られる温水を補助加熱部で加熱して温水利用端末に供給し、非加熱供給モードでは、貯湯タンクから得られる温水をそのまま温水利用端末に供給して利用する。
本願独特のモード判別用設定温度は、熱供給設備において両モードを切り換える切換閾値温度となる。そして、このモード判別用設定温度は、温水利用端末に要求される要求温度よりも低温の温度範囲内であれば、使用者の都合等により変更設定できる。
【0010】
例えば、温水利用端末が浴室乾燥装置のような高温水利用端末である場合、通常、高温水を利用することにより充分高温で迅速な熱利用が図れる要求温度が設定されている。つまり、高温水利用端末として浴室乾燥装置を例に採ると、乾燥をできるだけ短時間且つ充分に完了することを考慮して要求温度の設定がなされている。この設定に対して、使用者の都合等の要因により、従来、設定されている要求温度を必要とせず、要求温度より低い状態を許容できる場合もある。例えば、乾燥を夜間に比較的長時間で行いたい場合等である。そこで、後者の場合に対応するため、両モードの切換閾値温度を、熱供給設備の使用者が希望する温度状態に変更設定できるようにしている。そして、モード判別用設定温度を、温水利用端末の要求温度よりも低温の温度範囲内とすることで、貯湯タンクに貯湯されている温水温度が温水利用端末の要求温度よりも低温であっても、補助加熱部を働かせることなく、その貯湯タンクの温水をそのまま使用して温水利用端末の運転を行うことができる。したがって、使用者の都合等によりモード判別用設定温度を変更設定できながら、補助加熱部をできるだけ働かせることなく、貯湯タンクの温水をそのまま使用して温水利用端末の運転を行うことができるので、省エネルギー化を図りながら、温水利用端末の運転を行うための熱源として、貯湯タンクに貯湯されている温水を有効に活用することができる。
また、本特徴構成によれば、モード指令部を備えているので、使用者が非加熱供給モードでの温水供給運転を行いたいときに、運転制御部は、非加熱供給モードでの温水供給運転を行うことができる。そして、運転制御部は、モード指令部からの指令を受けている場合のみ、温度判別処理を行うので、使用者が非加熱供給モードでの温水供給運転を行いたいときであっても、温水利用端末を運転させるのに貯湯タンクの温水をそのまま熱源として用いることができるか否かを確認しながら、非加熱供給モードでの温水供給運転を行うことができる。
【0011】
本発明に係る熱供給設備の更なる特徴構成は、前記モード判別用設定温度は、前記熱電併給装置の種類に応じて変更設定自在に構成されている点にある。
【0012】
熱電併給装置は、その種類によって回収できる温水の温度が異なるので、モード判別用設定温度がその回収できる温水の温度よりも高温であると、非加熱供給モードが行われず、貯湯タンクの温水をそのまま利用することができなくなる。そこで、本特徴構成では、熱電併給装置の種類によって貯湯タンクに貯湯される温水温度が変更しても、その変更される温水温度に応じて、モード判別用設定温度を変更設定することで、回収される温水をできるだけそのまま使用するようにし、補助加熱部をできるだけ働かせない運転を実現している。
【0013】
本発明に係る熱供給設備の更なる特徴構成は、装備される前記熱電併給装置の種類についての種類情報を入力自在な人為操作式の入力部が備えられ、前記運転制御部は、前記入力部に入力された熱電併給装置の種類情報に応じて、前記モード判別用設定温度を変更設定している点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、例えば、設備を新たに設置する場合や熱電併給装置を交換する場合に、作業者が入力部によって熱電併給装置の種類情報を入力するだけで、モード判別用設定温度を変更設定することができる。よって、モード判別用設定温度を変更設定するための構成の簡素化を図ることができる。
【0015】
本発明に係る熱供給設備の更なる特徴構成は、前記モード判別用設定温度は、装備される前記温水利用端末に要求される要求温度に応じて変更設定自在に構成されている点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、例えば、温水利用端末の使用環境等によってその要求温度が変更されても、その変更後の要求温度に応じてモード判別用設定温度を変更設定することができ、温水利用端末の使用環境の変更にも柔軟に対応しながら、補助加熱部をできるだけ働かせることなく、貯湯タンクの温水をそのまま使用して温水利用端末の運転を行うことができる。
【0017】
本発明に係る熱供給設備の更なる特徴構成は、装備される前記温水利用端末に要求される要求温度についての温度情報を入力自在な人為操作式の入力部が備えられ、前記運転制御部は、前記入力部に入力された前記要求温度についての温度情報に応じて、前記モード判別用設定温度を変更設定している点にある。
【0018】
本特徴構成によれば、例えば、設備を新たに設置する場合や温水利用端末を交換する場合に、作業者が入力部によって温水利用端末の温度情報を入力するだけで、モード判別用設定温度を変更設定することができる。よって、モード判別用設定温度を変更設定するための構成の簡素化を図ることができる。
【0019】
本発明に係る熱供給設備の更なる特徴構成は、前記モード判別用設定温度は、装備される前記温水利用端末に要求される要求温度及び装備される前記熱電併給装置の種類に応じて変更設定自在に構成されている点にある。
【0020】
この特徴構成の場合は、熱供給設備に装備される温水利用端末と熱電併給装置との両方の特性を考慮して、加熱供給モードと非加熱供給モードとの間でモード切換閾値温度となるモード判別用設定温度を変更設定できる。
【0025】
本発明に係る熱供給設備の更なる特徴構成は、前記貯湯タンクの温水温度が前記モード判別用設定温度以上の場合には、前記非加熱供給モードでの温水供給運転を実行可能であることを表示するモード表示部を備えている点にある。
【0026】
本特徴構成によれば、モード表示部の表示を視認するだけで、使用者が非加熱供給モードでの温水供給運転を実行可能であることを認識することができる。したがって、モード表示部での表示が行われている状況下では、貯湯タンクの温水を有効活用することで、省エネルギー化を図りながら温水供給運転を行うことができることを使用者が認識でき、使用者の利便性を図りながら、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】熱供給設備の全体構成を示す概略図
図2】浴室乾燥装置の概略構成図
図3】加熱供給モード及び温度制限モードにおける熱供給設備の要部を示す模式図
図4】非加熱供給モード及び温度非制限モードにおける熱供給設備の要部を示す模式図
図5】ユニット側制御部におけるモード選択を示すフローチャート
図6】端末側制御部におけるモード選択を示すフローチャート
図7】熱電併給装置の種類とモード判別用設定温度との関係を示す
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る熱供給設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この熱供給設備100は、図1に示すように、電力と熱を発生する熱電併給装置1と、貯湯タンク2と、熱電併給装置1にて発生する熱を回収して温水として貯湯タンク2に貯湯させる排熱回収部3と、貯湯タンク2に貯湯されている温水を熱源として生成される温水を低温水利用端末14や高温水利用端末15に供給する温水供給部4と、その温水供給部4にて供給される温水を用いて運転される低温水利用端末14及び高温水利用端末15とが備えられている。この熱供給設備100は、熱電併給装置1を備えた第1ユニットY1と貯湯タンク2を備えた第2ユニットY2と浴槽13と低温水利用端末14と高温水利用端末15とを流体を通流させる流路等により接続することで構成されている。
【0029】
熱電併給装置1としては、例えば、発電機とその発電機を駆動するガスエンジンとを組み合わせたエンジン駆動式の発電装置、固体高分子型燃料電池を備えた発電装置、固体酸化物型燃料電池を備えた発電装置等、各種の熱電併給装置を適応することができる。そして、この熱供給設備100は、熱電併給装置1にて発電された電力を商用電力系統8に系統連係するインバータ6を備えており、熱電併給装置1と商用電力系統8とが電力供給ライン7により電気的に接続されている。
【0030】
排熱回収部3は、熱電併給装置1と排熱熱交換器9との間で排熱回収流体を循環させる第1循環路J1を備えている。第1循環路J1において排熱熱交換器9から熱電併給装置1への戻り側流路部位に第1循環ポンプP1が備えられている。排熱回収部3は、この第1循環ポンプP1を作動させて第1循環路J1を通して排熱回収流体を通流させることで、熱電併給装置1にて発生する熱を回収した排熱回収流体を、排熱熱交換器9に循環供給するように構成されている。これにより、排熱熱交換器9では、熱電併給装置1にて発生した熱を回収した排熱回収流体によって、第2循環路J2にて供給される湯水を加熱できるように構成されている。
【0031】
排熱回収部3は、第1循環路J1に加えて、貯湯タンク2の下部から取り出した水を排熱熱交換器9に供給し、その排熱熱交換器9にて加熱された温水を貯湯タンク2の上部に戻す第2循環路J2を備えている。第2循環路J2は、貯湯タンク2の下部から水を取り出す第1流路部位R1と、排熱熱交換器9、補助加熱部10の順に水(温水)を通流させる第2流路部位R2と、第2流路部位R2にて通流された水(温水)を貯湯タンク2の上部に戻す第3流路部位R3とを備えている。補助加熱部10は、例えば、バーナ等の燃焼装置、及び、その燃焼装置にて得られた熱と供給される湯水を熱交換させる熱交換部を備えており、燃焼装置にて得られた熱により温水を加熱するように構成されている。
【0032】
第1流路部位R1の途中部位には、貯湯タンク2に水を給水する第4流路部位R4が接続されており、第4流路部位R4の途中部位に第1逆止弁G1が備えられている。これにより、第4流路部位R4及び第1流路部位R1によって、貯湯タンク2への給水が行われる。第2流路部位R2には、水(温水)の通流方向の上流側から順に、第2循環ポンプP2、排熱熱交換器9、補助加熱部10、第1開閉弁K1が備えられている。第3流路部位R3の途中部位には、第2開閉弁K2が備えられている。
【0033】
この熱供給設備100では、第2循環路J2と協働して、貯湯タンク2に貯湯されている温水を取り出して第1放熱部11及び第2放熱部12に循環供給する第3循環路J3を備えている。第3循環路J3は、第1放熱部11を備えた第5流路部位R5と、第2放熱部12を備えた第6流路部位R6とを備えている。第5流路部位R5は、第2流路部位R2と第3流路部位R3との接続箇所から分岐接続されて、第1流路部位R1と第2流路部位R2との接続箇所に合流接続されている。第5流路部位R5の途中部位には、温水の通流方向の上流側から順に、第1放熱部11、第3開閉弁K3が備えられている。第6流路部位R6は、第5流路部位R5において第1放熱部11よりも温水の通流方向の上流側部位から分岐接続されて、第5流路部位R5において第3開閉弁K3よりも温水の通流方向の下流側部位に合流接続されている。第6流路部位R6の途中部位には、温水の通流方向の上流側から順に、第2放熱部12、第4開閉弁K4が備えられている。
【0034】
この熱供給設備100では、貯湯タンク2に貯湯されている温水を第1放熱部11及び第2放熱部12に供給するだけでなく、貯湯タンク2に貯湯されている温水を用いて給湯できるように構成されている。貯湯タンク2の上部に接続された第3流路部位R3において貯湯タンク2と第2開閉弁K2との間の部位に第7流路部位R7が分岐接続されており、その第7流路部位R7における温水の通流方向の下流側端部に給湯栓16が備えられている。第7流路部位R7の途中部位には、第4流路部位R4において第1逆止弁G1よりも水の通流方向の上流側部位から分岐接続された第8流路部位R8が合流接続されており、その合流接続箇所には第1三方弁S1が備えられている。第8流路部位R8の途中部位には、第2逆止弁G2が備えられている。これにより、貯湯タンク2の上部から取り出された温水に、第4流路部位R4及び第8流路部位R8を通して給水される水を混合させて給湯要求温度とし、その給湯要求温度の温水を第7流路部位R7を通して給湯栓16に給湯するようにしている。
【0035】
この熱供給設備100では、給湯栓16に給湯するだけでなく、貯湯タンク2に貯湯されている温水を用いて浴槽13の湯張りを行えるように構成されている。第7流路部位R7において第1三方弁S1と給湯栓16との間の部位から第9流路部位R9が分岐接続されており、その第9流路部位R9が、浴槽13と第1放熱部11との間で浴槽13の湯水を循環させる第4循環路J4に合流接続されている。第9流路部位R9の途中部位には第5開閉弁K5が備えられている。また、第4循環路J4において浴槽13から第1放熱部11に湯水を供給する側に第3循環ポンプP3が備えられている。これにより、給湯栓16が接続された第7流路部位R7の途中部位から湯水を第9流路部位R9に供給し、その第9流路部位R9を通して第4循環路J4に供給して、浴槽13の湯張りを行うようにしている。また、第3循環ポンプP3を作動させて第4循環路J4を通して浴槽13内の湯水を循環させることで、第1放熱部11において第5流路部位R5にて供給される温水にて第4循環路J4にて供給される浴槽13内の湯水を加熱し、その加熱された湯水を浴槽13に循環供給して浴槽13内の湯水の追焚を行うようにしている。
【0036】
この熱供給設備100では、第2放熱部12と低温水利用端末14との間で温水を循環させる第5循環路J5、及び、第2放熱部12と高温水利用端末15との間で温水を循環させる第6循環路J6が備えられている。第5循環路J5と第6循環路J6は、共通の第2放熱部12に対して温水を循環供給していることから、往き側共通流路部位17と戻り側共通流路部位18とを備えている。往き側共通流路部位17からは、低温水利用端末14に接続される低温側往き流路部位19と高温水利用端末15に接続される高温側往き流路部位20とに分岐接続されている。戻り側共通流路部位18に対しては、低温水利用端末14に接続される低温側戻り流路部位21と高温水利用端末15に接続される高温側戻り流路部位22とが合流接続されている。戻り側共通流路部位18には、その温水の通流方向の上流側から順に、膨張タンク23、第4循環ポンプP4が備えられている。また、低温側往き流路部位19の途中部位には、第6開閉弁K6が備えられ、高温側往き流路部位20の途中部位には、第7開閉弁K7が備えられている。図示は省略するが、往き側共通流路部位17から低温側往き流路部位19と高温側往き流路部位20への分岐、第6開閉弁K6、及び、第7開閉弁K7については、温水の断続機能付きの温水ヘッダを備えることで、それらの構成を備えることができる。また、戻り側共通流路部位18に対する低温側戻り流路部位21と高温側戻り流路部位22との合流についても、温水ヘッダを備えることで、それらの構成を備えることができる。
【0037】
低温水利用端末14は、低温水(例えば、40℃や60℃)の供給を受けてその低温水を用いて運転されるものであり、例えば、床暖房装置等が用いられている。また、高温水利用端末15は、低温水利用端末14よりも高温の高温水(例えば75℃や80℃)の供給を受けてその高温水を用いて運転されるものであり、例えば、浴室乾燥装置等が用いられている。
【0038】
この実施形態では、高温水利用端末15として浴室乾燥装置200を用いているので、浴室乾燥装置200について、図2に基づいて説明する。この浴室乾燥装置200は、浴室202の天井203に端末本体201が備えられている。端末本体201には、外部から供給される温水を受け入れて熱交換部204に供給する温水受入部205と、浴室202から吸引した空気を熱交換部204に供給して浴室202内に戻す循環路206と、その循環路206にて浴室202内の空気を循環させる吸引ファン207と、浴室202から吸引した空気を外部に排気する排気路208と、その排気路208にて浴室202から吸引した空気を排気させる排気ファン209とが備えられている。
【0039】
温水受入部205は、熱交換部204の入口側に接続された単一の温水供給管210を備えており、この温水供給管210が、図1における高温側往き流路部位20となっている。温水受入部205は、温水供給管210にて供給される温水をその温水温度にかかわらず受け入れて熱交換部204に供給するように構成されている。温水供給管210の途中部位には、熱動弁211が備えられている。熱交換部204に供給された温水を外部に排出するために、熱交換部204の出口側には単一の温水排出管212が接続されており、この温水排出管212が、図1における高温側戻り流路部位22となっている。このようにして、浴室乾燥装置200は、温水供給管210によって第2放熱部12からの温水を受け入れ、温水排出管212によって第2放熱部12に温水を戻すようにしている。
【0040】
この熱供給設備100には、図1に示すように、第1ユニットY1及び第2ユニットY2の運転を制御するユニット側制御部5(運転制御部に相当する)と、第1ユニットY1及び第2ユニットY2の運転指令を行う運転指令部等を備えたユニット側リモコン(図示省略)とが通信自在に備えられており、ユニット側制御部5は、ユニット側リモコンからの各種の情報に基づいて、第1ユニットY1及び第2ユニットY2の運転を制御するようにしている。この熱供給設備100では、高温水利用端末15や低温水利用端末14が接続されていることから、ユニット側制御部5は、これらの温水利用端末からの運転要求やその運転における要求温度等の情報に基づいて、第1ユニットY1及び第2ユニットY2の運転を制御するようにしている。そこで、ユニット側制御部5は、運転要求や要求温度等の情報を取得するために、それらの温水利用端末に備えられる端末側制御部213及び端末側リモコン214と通信自在に構成されている。図1では、高温水利用端末15に備えられる端末側制御部213及び端末側リモコン214のみを図示しており、低温水利用端末14に備えられる端末側制御部及び端末側リモコンは図示を省略している。また、図示は省略するが、ユニット側制御部5は、浴槽13への湯張りや浴槽13内の湯水の追焚等の運転要求やその運転における要求温度等の情報を取得するために、風呂リモコンとも通信自在に構成されている。
【0041】
以下、熱供給設備100の運転について説明する。
ユニット側制御部5は、貯湯タンク2への貯湯を行う貯湯運転、給湯栓16に湯水を供給する給湯運転、浴槽13の湯張りを行う湯張り運転、低温水利用端末14及び高温水利用端末15に温水を供給する温水供給運転等の各種の運転を行うように構成されている。
【0042】
(貯湯運転)
貯湯運転は、熱電併給装置1の運転中に行われるものであり、熱電併給装置1にて発生する熱を温水として貯湯タンク2に貯湯する運転である。ちなみに、貯湯運転をどのようなタイミングで運転開始するかについては適宜変更が可能であり、例えば、熱電併給装置1を運転開始させるに当たり、貯湯運転も運転開始させることができる。また、貯湯運転をどのようなタイミングで運転終了するかについても適宜変更が可能であり、例えば、ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に備えられた温度センサ(図示省略)の検出情報に基づいて、貯湯タンク2の貯湯量が満杯であると判別すると、貯湯運転を終了することができる。
【0043】
ユニット側制御部5は、図1に示すように、第1循環ポンプP1を作動させて、第1循環路J1によって熱電併給装置1にて発生する熱を回収した排熱回収流体を排熱熱交換器9に循環供給している。そして、ユニット側制御部5は、第1開閉弁K1及び第2開閉弁K2を開弁させて第2循環ポンプP2を作動させ、第2循環路J2によって貯湯タンク2の下部から取り出した湯水を排熱熱交換器9に供給し、排熱熱交換器9を通過した温水を貯湯タンク2の上部に戻すようにしている。これにより、排熱熱交換器9において、排熱回収流体にて貯湯タンク2から取り出した湯水を加熱して温水を生成し、その温水を貯湯タンク2の上部に戻すようにして、貯湯タンク2に温水を貯湯するようにしている。
【0044】
貯湯タンク2は、上部に高温の湯水を位置させ且つ下部に低温の湯水を位置させるようにして温度成層を形成する状態で湯水を貯湯する密閉型のタンクにて構成されている。そして、ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯する温水温度が貯湯設定温度で一定となるように、第2循環ポンプP2の回転速度等を制御して第2循環路J2における湯水の通流量を調整している。貯湯設定温度については、装備する熱電併給装置1の種類に応じて変更設定可能であり、例えば、熱電併給装置1としてエンジン駆動式の発電装置を装備した場合に貯湯設定温度を75℃に設定し、固体高分子型燃料電池を備えた発電装置を装備した場合に貯湯設定温度を55℃に設定し、固体酸化物型燃料電池を備えた発電装置を装備した場合に貯湯設定温度を65℃に設定している。
【0045】
(給湯運転)
給湯運転は、給湯栓16の開操作に伴って運転開始され、給湯栓16の閉操作に伴って運転停止され、給湯栓16に給湯設定温度の湯水を給湯する運転である。ユニット側制御部5は、第1三方弁S1を開弁させて、貯湯タンク2の上部から温水を第3流路部位R3に取り出し、その温水を第3流路部位R3及び第7流路部位R7によって給湯栓16に供給している。そして、ユニット側制御部5は、給湯栓16に供給する温水温度が給湯設定温度となるように、第1三方弁S1の開度を制御して第8流路部位R8から混合させる水量を調整している。
【0046】
(湯張り運転)
湯張り運転は、浴槽13の湯張りを行う運転であり、基本的には、給湯運転と同様の動作であり、ユニット側制御部5は、給湯運転の動作に加えて、第5開閉弁K5を開弁させて、第7流路部位R7の温水を第9流路部位R9によって第4循環路J4に供給しており、第4循環路J4を通して温水を浴槽13に供給するようにしている。この場合には、ユニット側制御部5が、浴槽13に供給する温水温度が湯張り設定温度となるように、第1三方弁S1の開度を制御して第8流路部位R8から混合させる水量を調整している。
【0047】
(追焚用の温水供給運転)
この追焚用の温水供給運転は、浴室リモコンからの追焚要求によって運転開始され、浴槽13内の湯水の追焚を終了することで運転停止される。ユニット側制御部5は、第1開閉弁K1、第2開閉弁K2及び第3開閉弁K3を開弁させて第2循環ポンプP2を作動させ、貯湯タンク2の上部から取り出した温水を第3循環路J3によって第1放熱部11に供給し、その第1放熱部11を通過した温水の一部を貯湯タンク2の下部に戻し、残りの一部の温水を第2循環路J2によって循環させている。そして、ユニット側制御部5は、第3循環ポンプP3を作動させて、第4循環路J4によって浴槽13と第1放熱部11との間で浴槽13内の湯水を循環させている。これにより、第1放熱部11において貯湯タンク2の上部から取り出した温水にて浴槽13内の湯水を加熱し、その加熱された湯水を浴槽13内に戻すことで、浴槽13内の湯水の追焚を行っている。第1放熱部11に供給する温水温度については、例えば、浴槽13内の湯水を所望温度に加熱できるような温度が設定されている。そして、ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がその設定温度未満である場合には、補助加熱部10による加熱を行い、その補助加熱部10にて加熱された温水と貯湯タンク2から取り出した温水とを混合させることで、設定温度以上の温水を第1放熱部11に供給するようにしている。
【0048】
(温水利用端末用の温水供給運転)
温水利用端末用の温水供給運転としては、貯湯タンク2に貯湯されている温水を第1放熱部11に供給するのではなく、貯湯タンク2に貯湯されている温水を第2放熱部12に供給するようにしている。この場合には、低温水利用端末14及び高温水利用端末15からの運転要求によって運転開始され、低温水利用端末14及び高温水利用端末15からの運転終了指令によって運転停止される。このように、ユニット側制御部5は、低温水利用端末14及び高温水利用端末15の温水利用端末を運転させる際に、温水供給運転を行うようにしている。
【0049】
(低温水利用端末に対する温水供給運転)
まず、低温水利用端末14を運転させる場合について説明する。ユニット側制御部5は、第1開閉弁K1、第2開閉弁K2及び第4開閉弁K4を開弁させて第2循環ポンプP2を作動させ、貯湯タンク2の上部から取り出した温水を第3循環路J3によって第2放熱部12に供給し、その第2放熱部12を通過した温水の一部を貯湯タンク2の下部に戻し、残りの一部の温水を第2循環路J2によって循環させている。ユニット側制御部5は、第6開閉弁K6を開弁させて第4循環ポンプP4を作動させ、第5循環路J5によって低温水利用端末14と第2放熱部12との間で湯水を循環させている。これにより、第2放熱部12において貯湯タンク2の上部から取り出した温水にて湯水を加熱し、その加熱された湯水を温水として低温水利用端末14に供給している。
【0050】
低温水利用端末14では、第2放熱部12にて加熱された温水の供給を受けるので、その温水を用いて運転が行われる。例えば、低温水利用端末14が床暖房装置であれば、その床暖房装置は、温水の供給を受けると、その温水を床暖房パネルに供給する床暖房運転を行うようにしている。
【0051】
第2放熱部12に供給する温水温度については、低温水利用端末14が低温水(例えば、40℃や60℃)の供給を受けてその低温水を用いて運転するので、その運転を行うための要求温度に応じて、第2放熱部12に供給する温水温度が低温水用設定温度(例えば、40℃や60℃)に設定されている。この低温水用設定温度の設定については、ユニット側制御部5が、低温水利用端末の端末側リモコン(図示省略)からの通信により低温水利用端末14の要求温度の情報を取得しているので、その要求温度に応じて低温水用設定温度を設定している。ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が低温水用設定温度以上である場合には、補助加熱部10による加熱を行わず、貯湯タンク2の温水をそのまま第2放熱部12に供給している。ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が低温水用設定温度未満である場合には、補助加熱部10による加熱を行い、その補助加熱部10にて加熱された温水と貯湯タンク2から取り出した温水とを混合させることで、その混合温水を低温水用設定温度以上とし、その低温水用設定温度以上の混合温水を第2放熱部12に供給している。
【0052】
(高温水利用端末に対する温水供給運転)
次に、高温水利用端末15を運転させる場合について説明する。ユニット側制御部5は、第1開閉弁K1、第2開閉弁K2及び第4開閉弁K4を開弁させて第2循環ポンプP2を作動させ、貯湯タンク2の上部から取り出した温水を第3循環路J3によって第2放熱部12に供給し、その第2放熱部12を通過した温水の一部を貯湯タンク2の下部に戻し、残りの一部の温水を第2循環路J2によって循環させている。ユニット側制御部5は、第7開閉弁K7を開弁させて第4循環ポンプP4を作動させ、第6循環路J6によって高温水利用端末15と第2放熱部12との間で湯水を循環させている。これにより、第2放熱部12において貯湯タンク2の上部から取り出した温水にて湯水を加熱し、その加熱された湯水を温水として高温水利用端末15に供給している。
【0053】
高温水利用端末15は、通常、高温水(例えば75℃や80℃:この温度が先に説明した「要求温度」である)の供給を受けることで、その高温水を用いた運転を行うように構成されているので、高温水利用端末15を運転するためには、第2ユニットY2から高温水利用端末15に供給する温水温度として、高温水(例えば75℃や80℃)が要求されることになる。よって、第2放熱部12に供給する温水温度は、その高温水(例えば75℃や80℃)が高温水用設定温度となり、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が高温水用設定温度よりも低温である場合には、補助加熱部10による加熱を行うことが必要となる。しかしながら、常時、補助加熱部10による加熱を行っていると、貯湯タンク2に貯湯されている温水を有効に活用できないばかりか、それだけエネルギー消費量が増加することになる。
【0054】
そこで、この実施形態では、貯湯タンク2に貯湯されている温水を有効に活用しながら、高温水利用端末15を運転させるために、ユニット側制御部5が、温水供給運転において高温水利用端末15に温水を供給する供給モードとして、補助加熱部10による加熱を行う加熱供給モードと補助加熱部10による加熱を行わない非加熱供給モードとを実行可能に構成されている。
【0055】
(加熱供給モード)
図1及び図3に基づいて加熱供給モードについて説明する。図3は、図1における要部を模式的に図示したものであり、流体を通流する部位、及び、作動させる機器を太線にて示している。ユニット側制御部5は、補助加熱部10による加熱を行い、その補助加熱部10にて加熱された温水と貯湯タンク2から取り出した温水とを混合させて、その混合温水を高温水用設定温度以上としており、その高温水用設定温度以上の温水を第2放熱部12に供給している。これにより、第2放熱部12では、その高温水にて湯水が加熱されて高温水(例えば75℃や80℃)を生成することができ、その高温水を第6循環路J6によって高温水利用端末15に供給している。このようにして、加熱供給モードでの温水供給運転では、補助加熱部10による加熱を行うことで、第2放熱部12に供給する温水温度を高温水用設定温度(例えば75℃や80℃)以上として、補助加熱部10にて加熱された温水を熱源として加熱温水(例えば75℃や80℃)を生成し、その加熱温水を高温水利用端末15に供給している。そして、温水供給部4は、第2循環路J2、第3循環路J3、第6循環路J6等から構成されており、ユニット側制御部5は、高温水利用端末15に接続された単一の温水供給管210(高温側往き流路部位20)にて加熱温水を供給する第1供給状態に温水供給部4を切り換えている。
【0056】
(非加熱供給モード)
図1及び図4に基づいて非加熱供給モードについて説明する。図4は、図1における要部を模式的に図示したものであり、流体を通流する部位、及び、作動させる機器を太線にて示している。ユニット側制御部5は、補助加熱部10による加熱を行わず、貯湯タンク2から取り出した温水をそのまま第2放熱部12に供給している。これにより、第2放熱部12では、貯湯タンク2の温水にて湯水が加熱されて温水を生成することができ、その温水を第6循環路J6によって高温水利用端末15に供給している。このように、非加熱供給モードでの温水供給運転では、補助加熱部10による加熱を行わないことで、第2放熱部12において貯湯タンク2の温水を熱源とする非加熱温水を生成し、その非加熱温水を高温水利用端末15に供給している。ユニット側制御部5は、高温水利用端末15に接続された単一の温水供給管210(高温側往き流路部位20)にて非加熱温水を供給する第2供給状態に温水供給部4を切り換えている。
【0057】
(高温水利用端末の運転)
上述の如く、高温水利用端末15に温水を供給するに当たり、第2ユニットY2側は、ユニット側制御部5によって、加熱供給モードでの温水供給運転と非加熱供給モードでの温水供給運転とを実行可能に構成されている。そこで、加熱供給モードでの温水供給運転でも非加熱供給モードでの温水供給運転でも高温水利用端末15を運転させるために、端末側制御部213は、高温水利用端末15の運転を行うに当たり、温水受入部205にて受け入れる温水温度が要求温度以上である場合に運転動作部を作動させて運転し、受け入れる温水温度が要求温度未満である場合に運転動作部を停止させる温度制限モードと、温水受入部205にて受け入れる温水温度にかかわらず運転動作部を作動させて運転する温度非制限モードとを実行可能に構成されている。以下、高温水利用端末15を浴室乾燥装置200として説明する。
【0058】
(温度制限モード)
まず、図2及び図3に基づいて温度制限モードについて説明する。端末側制御部213は、温水供給管210にて受け入れる温水温度が要求温度(例えば75℃や80℃)以上の高温水であるとして、熱動弁211を開弁させてその高温水を熱交換部204に供給し、熱交換部204を通過した高温水を温水排出管212により排出するようにしている。これにより、熱交換部204では、供給される高温水(例えば75℃や80℃)にて循環路206を通流する空気を加熱可能となっている。端末側制御部213は、吸引ファン207を作動させて、循環路206によって、浴室202から吸引した空気の一部を熱交換部204にて加熱してその加熱された空気を浴室202に戻すようにしている。端末側制御部213は、吸引ファン207を作動させるだけでなく、排気ファン209も作動させることで、排気路208によって浴室202から吸引した空気の一部を外部に排気している。このようにして、端末側制御部213は、温水供給管210にて受け入れる温水温度が要求温度(例えば75℃や80℃)以上の高温水である場合に、熱動弁211、吸引ファン207、及び、排気ファン209等の運転動作部を作動させて、浴室202から吸引した空気の一部を熱交換部204にて加熱して浴室202に戻しながら、残りの一部の空気を外部に排気する乾燥運転を行うようにしている。
【0059】
この温度制限モードでは、熱交換部204に供給される温水が高温水(例えば75℃や80℃)であることから、端末側制御部213は、その高温水によって浴室202に戻す空気の温度を温度制限用設定温度に加熱するように、吸引ファン207及び排気ファン209の回転速度等を制御するようにしている。温度制限用設定温度は、端末側リモコンにて設定される運転用設定温度に応じて設定する、或いは、実験等により予め一定温度を設定することができる。また、この温度制限モードでは、温水供給管210にて受け入れる温水温度が要求温度(例えば75℃や80℃)以上の高温水であるとしているので、端末側制御部213は、温水供給管210にて供給される温水温度が要求温度未満であると、運転動作部を停止させて、ユニット側制御部5に対して、要求温度の高温水を供給するための高温水要求指令を行うようにしている。また、例えば、端末側制御部213は、温水供給管210にて供給される温水温度が要求温度未満であると、或いは、高温水要求指令を行っても温水供給管210にて供給される温水温度が要求温度未満である状態が継続していると、熱動弁211を閉弁させて高温水利用端末15の運転を停止させることもできる。このようにして、端末側制御部213は、温水供給管210にて受け入れる温水温度が要求温度(例えば75℃や80℃)以上の高温水である場合に、熱動弁211、吸引ファン207、及び、排気ファン209等の運転動作部を作動させて、熱交換部204への温水供給を行う第1供給状態に切り換えている。また、端末側制御部213は、温水供給管210にて受け入れる温水温度が要求温度(例えば75℃や80℃)未満である場合に、運転動作部を停止させるという運転動作部の作動に制限を加えている。
【0060】
ちなみに、ユニット側制御部5は、高温水要求指令を受けると、補助加熱部10による加熱が行われていなければ補助加熱部10による加熱を開始し、補助加熱部10による加熱が行われている最中であるとその加熱量を増加させるように補助加熱部10を制御する等により、高温水利用端末15に要求温度の高温水(例えば75℃や80℃)を供給するようにしている。
【0061】
(温度非制限モード)
次に、図2及び図4に基づいて温度非制限モードについて説明する。端末側制御部213は、温水供給管210にて受け入れる温水温度にかかわらず、熱動弁211を開弁させてその温水を熱交換部204に供給し、熱交換部204を通過した温水を温水排出管212により排出するようにしている。これにより、熱交換部204では、供給される温水にて循環路206を通流する空気を加熱可能となっている。端末側制御部213は、吸引ファン207を作動させて、循環路206によって、浴室202から吸引した空気の一部を熱交換部204にて加熱してその加熱された空気を浴室202に戻すようにしている。端末側制御部213は、吸引ファン207を作動させるだけでなく、排気ファン209も作動させることで、排気路208によって浴室202から吸引した空気の一部を外部に排気している。このようにして、端末側制御部213は、熱動弁211、吸引ファン207、及び、排気ファン209等の運転動作部を作動させることで、浴室202から吸引した空気の一部を熱交換部204にて加熱して浴室202に戻しながら、残りの一部の空気を外部に排気する乾燥運転を行うようにしている。
【0062】
この温度非制限モードでは、熱交換部204に供給される温水温度にかかわらず運転することから、温度制限モードのように、熱交換部204にて加熱する空気を温度制限用設定温度まで加熱できないことがある。そこで、端末側制御部213は、例えば、熱交換部204にて浴室202に戻す空気の温度を温度非制限用設定温度(温度制限用設定温度よりも低温)に加熱するように、吸引ファン207及び排気ファン209の回転速度等を制御することができる。温度非制限用設定温度は、温度制限用設定温度を基準としてそれよりも一定の低温となるように設定する、或いは、温度制限用設定温度とは無関係に温度制限用設定温度よりも低温となるように設定することができる。また、端末側制御部213は、このような制御に代えて、吸引ファン207及び排気ファン209の回転速度を温度非制限用回転速度の一定回転速度となるように制御することもできる。そして、この温度非制限モードでは、熱交換部204に供給される温水温度が低下しても、端末側制御部213は、ユニット側制御部5に対する高温水要求指令は行わず、熱動弁211を開弁状態に維持している。このようにして、端末側制御部213は、熱動弁211、吸引ファン207、及び、排気ファン209等の運転動作部を作動させて、温水供給管210を通流させる温水温度にかかわらず熱交換部204への温水供給を行う第2供給状態に切り換えている。
【0063】
浴室乾燥装置200は、その運転の1つとして、浴室乾燥運転を行うようにしているが、端末側制御部213は、例えば、熱動弁211を開弁させて熱交換部204への温水の供給を行った上で、排気ファン209を作動させずに吸引ファン207のみを作動させて、浴室202から吸引した空気の全量を熱交換部204にて加熱して浴室202に戻す浴室暖房運転も行うようにしている。この浴室暖房運転も、温水の供給を受ける行う運転であることから、端末側制御部213は、浴室暖房運転を行うに当たり、温度制限モードと温度非制限モードとを実行可能に構成されている。また、端末側制御部213は、浴室乾燥運転及び浴室暖房運転の他にも、熱交換部204への温水供給を行わずに、排気ファン209のみを作動させて、浴室202から吸引した空気の一部を外部に排気する換気運転等も行えるようにしている。
【0064】
(モード選択)
上述の如く、ユニット側制御部5は、高温水利用端末15に温水を供給する温水供給運転として、加熱供給モードと非加熱供給モードとを実行可能であり、端末側制御部213は、高温水利用端末15の運転として、温度制限モードと温度非制限モードとを実行可能である。そこで、ユニット側制御部5は、高温水利用端末15に温水を供給する温水供給運転を行うに当たり、加熱供給モードを実行するか、又は、非加熱供給モードを実行するかを選択している。また、端末側制御部213も、高温水利用端末15を運転させるに当たり、温度制限モードを実行するか、又は、温度非制限モードを実行するかを選択している。以下、このモード選択について説明する。
【0065】
図1及び図2に示すように、端末側リモコン214には、各種の運転開始や運転停止を指令する運転指令部215と、設定温度や運転状態等を表示する表示部216と、非加熱供給モード及び温度非制限モードを指令するモード指令部217とが備えられている。これにより、ユニット側制御部5及び端末側制御部213は、端末側リモコン214との通信により、モード指令部217にて非加熱供給モード及び温度非制限モードが指令されていることを認識することができる。そこで、ユニット側制御部5が非加熱供給モードを実行する条件として、モード指令部217にて非加熱供給モードが指令されていることとし、端末側制御部213が温度非制限モードを実行する条件として、モード指令部217にて温度非制限モードが指令されていることとしている。
【0066】
また、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度が高温水利用端末15を運転させるための要求温度(例えば75℃や80℃)よりも過剰に低い温度であると、その温水を熱源として生成した温水を高温水利用端末15に供給すると、要求温度よりも過剰に低い温度の温水が高温水利用端末15に供給されることになる。そこで、ユニット側制御部5が非加熱供給モードを実行する条件として、モード指令部217にて非加熱供給モードが指令されていることに加えて、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がモード判別用設定温度以上であることとしている。端末側制御部213が温度非制限モードを実行する条件として、モード指令部217にて温度非制限モードが指令されていることに加えて、温水受入部205にて受け入れる温水温度がモード判別用設定温度以上であることとしている。モード判別用設定温度については、高温水利用端末15を運転させるための要求温度(例えば75℃や80℃)よりも低温の温度が設定されており、例えば、装備する熱電併給装置1の種類に応じてモード判別用設定温度を変更設定可能としている。例えば、熱電併給装置1としてエンジン駆動式の発電装置を装備した場合にモード判別用設定温度を60℃に設定し、固体高分子型燃料電池を備えた発電装置を装備した場合にモード判別用設定温度を50℃に設定し、固体酸化物型燃料電池を備えた発電装置を装備した場合にモード判別用設定温度を40℃に設定している。
【0067】
以下、図5のフローチャートに基づいて、ユニット側制御部5によるモード選択について説明する。
まず、ユニット側制御部5は、端末側リモコン214との通信により、モード指令部217にて非加熱供給モードが指令されているか否かを判別する(ステップ#1)。非加熱供給モードが指令されている場合には、ユニット側制御部5が、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がモード判別用設定温度以上であるか否かを判別する温度判別処理を行う(ステップ#2)。ここで、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度は、貯湯タンク2から取り出される温水温度であり、例えば、貯湯タンク2の最上部に配置される温度センサ等によりその温水温度を取得することができる。ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がモード判別用設定温度以上であれば(ステップ#3のYesの場合)、非加熱供給モードを実行する(ステップ#4)。ユニット側制御部5は、モード指令部217にて非加熱供給モードが指令されていない場合(ステップ#1にてNoの場合)、及び、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がモード判別用設定温度未満の場合(ステップ#3のNoの場合)には、加熱供給モードを実行する(ステップ#5)。
【0068】
以下、図6のフローチャートに基づいて、端末側制御部213によるモード選択について説明する。
まず、端末側制御部213は、端末側リモコン214との通信により、モード指令部217にて温度非制限モードが指令されているか否かを判別する(ステップ#11)。温度非制限モードが指令されている場合には、端末側制御部213が、温水受入部205にて受け入れる温水温度がモード判別用設定温度以上であるか否かを判別する(ステップ#12)。ここで、温水受入部205にて受け入れる温水温度については、図示は省略するが、温水供給管210の途中部位に配置された温度センサ等によりその温水温度を取得することができる。端末側制御部213は、温水受入部205にて受け入れる温水温度がモード判別用設定温度以上であれば、温度非制限モードを実行する(ステップ#13)。端末側制御部213は、モード指令部217にて温度非制限モードが指令されていない場合(ステップ#11にてNoの場合)、及び、温水受入部205にて受け入れる温水温度がモード判別用設定温度未満の場合(ステップ#12のNoの場合)には、温度制限モードを実行する(ステップ#14)。
【0069】
上述の如く、ユニット側制御部5は、モード指令部217による指令を受けている場合には、温度判別処理を行った上で、非加熱供給モードでの温水供給運転を実行可能としており、モード指令部217による指令を受けていない場合には、加熱供給モードでの温水供給運転を行うようにしている。貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がモード判別用設定温度以上であれば、通常、温水受入部205にて受け入れる温水温度もモード判別用設定温度以上となることから、モード指令部217による指令がされており、温度判別処理を行った結果、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がモード判別用設定温度以上であれば、ユニット側制御部5が非加熱供給モードを行うとともに、端末側制御部213が温度非制限モードを行うことになる。
【0070】
このように、温度判別処理を行った結果の温度条件が満たされていなければ、ユニット側制御部5による非加熱供給モードの実行、及び、端末側制御部213による温度非制限モードの実行が行われない。そこで、現在、ユニット側制御部5による非加熱供給モードの実行、及び、端末側制御部213による温度非制限モードの実行が行うことができる状況下であるのか否かを、使用者が容易に認識できるように、端末側リモコン214にモード表示部218が備えられている。このモード表示部218は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がモード判別用設定温度以上である場合に点灯することで、ユニット側制御部5による非加熱供給モードの実行、及び、端末側制御部213による温度非制限モードの実行が可能な状況下であることを表示している。
【0071】
温度判別処理におけるモード判別用設定温度については、高温水利用端末15に要求される要求温度(例えば75℃や80℃)よりも低温の温度範囲内で変更設定自在であり、装備される熱電併給装置1の種類に応じて変更設定自在となっている。このモード判別用設定温度を変更設定するために、図1に示すように、端末側リモコン214には、装備される熱電併給装置1の種類についての種類情報を入力自在な人為操作式の入力部219が備えられている。この入力部219は、ディップスイッチを備えており、そのディップスイッチを操作することで、熱電併給装置1の種類についての種類情報を入力自在となっている。この実施形態では、例えば、熱電併給装置として、エンジン駆動式の発電装置と、固体高分子型燃料電池を備えた発電装置と、固体酸化物型燃料電池を備えた発電装置との3種類の発電装置を装備できることから、ディップスイッチにてどの発電装置を装備しているかを選択できるようになっている。例えば、図7の表に示すように、エンジン駆動式の発電装置C1を装備する場合には、ディップスイッチにてX1をON操作し、固体酸化物型燃料電池を備えた発電装置C2を装備する場合には、ディップスイッチにてX2をON操作し、固体酸化物型燃料電池を備えた発電装置C3を装備する場合には、ディップスイッチにてX3をON操作している。
【0072】
このように、入力部219にて熱電併給装置1の種類についての種類情報が入力されると、ユニット側制御部5及び端末側制御部213は、端末側リモコン214との通信により、その入力情報を取得して、どの種類の熱電併給装置1が装備されているかを認識することができる。そして、例えば、図7の表に示すように、ユニット側制御部5及び端末側制御部213は、入力部219のディップスイッチにてX1がON操作されていると、エンジン駆動式の発電装置C1が装備されているとして、モード判別用設定温度を60℃に設定している。また、ユニット側制御部5及び端末側制御部213は、入力部219のディップスイッチにてX2がON操作されていると、固体酸化物型燃料電池を備えた発電装置C2が装備されているとし、モード判別用設定温度を50℃に設定している。さらに、ユニット側制御部5及び端末側制御部213は、入力部219のディップスイッチにてX3がON操作されていると、固体酸化物型燃料電池を備えた発電装置C3が装備されているとして、モード判別用設定温度を40℃に設定している。
また、ユニット側制御部5は、端末側リモコン214との通信により、入力部219による入力情報を取得して、どの種類の熱電併給装置1が装備されているかを認識することができることから、この入力情報に基づいて、貯湯設定温度についても変更設定するようにしている。
【0073】
熱電併給装置1については、図1に示すように、第2ユニットY2と分離自在な第1ユニットYとして備えられているので、複数の種類のうちの、どの熱電併給装置1を装備するかを選択すると、その選択した熱電併給装置1を備えた第1ユニットY1を第2ユニットY2に接続することで、熱供給設備100を構成することができる。このように、熱電併給装置1を備えた第1ユニットY1と貯湯タンク2を備えた第2ユニットY2とに分離可能としておくことで、複数の種類の熱電併給装置1の何れかを装備する場合でも、その設置作業等の簡素化を図ることができる。
【0074】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、本発明の参考の実施形態であって、上記第1実施形態において、どのようなタイミングにて温度判別処理を行い、その温度判別処理の判別結果に基づいて加熱供給モード及び非加熱供給モードの何れかでの温水供給運転を行うかの別実施形態である。その他の構成については、上記第1実施形態と同様であるので、その温度判別処理を行うタイミングについて説明する。
【0075】
上記第1実施形態では、ユニット側制御部5が、モード指令部217からの指令を受けている場合には、温度判別処理を行い、その温度判別処理の判別結果に基づいて加熱供給モード及び非加熱供給モードの何れかでの温水供給運転を行うようにしている。
この第2実施形態では、ユニット側制御部5が、温水供給運転を行うに当たり、常時、温度判別処理を行い、その温度判別処理の判別結果に基づいて加熱供給モード及び非加熱供給モードの何れかでの温水供給運転を行うようにしている。つまり、図5におけるステップ#1を省略しており、ユニット側制御部5は、高温水利用端末15の端末側リモコン214から運転要求を受けると、常に、温度判別処理を行う。そして、ユニット側制御部5は、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がモード判別用設定温度以上であれば、非加熱供給モードを実行し、貯湯タンク2に貯湯されている温水温度がモード判別用設定温度未満であれば、加熱供給モードを実行する。
【0076】
この第2実施形態では、端末側リモコン214から運転要求を受けると、ユニット側制御部5が温度判別処理を行うので、モード指令部217を備えなくてもよい。このようにモード指令部217を備えない場合には、図6のステップ#11を省略しており、端末側制御部213が、端末側リモコン214から運転要求を受けると、温水受入部205にて受け入れる温水温度がモード判別用設定温度以上であれば、温度非制限モードを実行し、温水受入部205にて受け入れる温水温度がモード判別用設定温度未満であると、温度制限モードを実行する。
【0077】
〔第3実施形態〕
この第3実施形態は、上記第1及び第2実施形態において、モード判別用設定温度をどのようにして変更設定するかの別実施形態である。その他の構成については、上記第1及び第2実施形態と同様であるので、モード判別用設定温度を変更設定する構成について説明する。
【0078】
このモード判別用設定温度を変更設定するために、図1に示した入力部210と同様に、図示は省略するが、ユニット側リモコンや端末側リモコン214には、装備される高温水利用端末15に要求される要求温度についての温度情報を入力自在な人為操作式の入力部が備えられている。この入力部は、例えば、押圧式や回転式の操作部を備えており、その操作部を使用者が操作することで、高温水利用端末15の要求温度についての温度情報を入力自在となっている。この実施形態では、例えば、80℃の要求温度と60℃の要求温度とを要求できるようになっている。
【0079】
このように、入力部にて高温水利用端末15の要求温度についての温度情報が入力されると、ユニット側制御部5及び端末側制御部213は、ユニット側リモコン端末側リモコン214との通信により、その入力情報を取得して、どんな要求温度が要求されているかを認識することができる。よって、ユニット側制御部5及び端末側制御部213は、例えば、80℃の要求温度が設定されている場合には、モード判別用設定温度を70℃に設定しており、60℃の要求温度が設定されている場合には、モード判別用設定温度を50℃に設定している。
【0080】
上記第1実施形態では、装備される熱電併給装置1の種類に応じてモード判別用設定温度を変更設定し、この第3実施形態では、装備される高温水利用端末15に要求されている要求温度に応じてモード判別用設定温度を変更設定している。この構成に代えて、装備される熱電併給装置1の種類と装備される高温水利用端末15に要求されている要求温度との両方に応じて、モード判別用設定温度を変更設定することもできる。これにより、熱供給設備に装備される温水利用端末と熱電併給装置との両方の特性を考慮して、加熱供給モードと非加熱供給モードとの間でモード切換閾値温度となるモード判別用設定温度を変更設定できる。
【0081】
〔別実施形態
【0089】
)上記第1〜第3実施形態では、貯湯タンク2に貯湯されている温水を熱源とする温水を高温水利用端末15に供給するに当たり、第2放熱部12を備えて、貯湯タンク2から取り出した温水にて湯水を加熱して温水を生成し、その生成した温水を高温水利用端末15に供給している。この構成に代えて、例えば、貯湯タンク2に貯湯されている温水をそのまま高温水利用端末15に供給することもでき、高温水利用端末15に供給する温水は貯湯タンク2の温水を熱源とするものであればよく、どのようにして供給するかの温水供給構成については適宜変更が可能である。
【0090】
)上記第1及び第2実施形態では、装備される熱電併給装置1の種類についての種類情報を入力する入力部219を端末側リモコン214に備えているが、例えば、ユニット側リモコンに備えることもでき、或いは、端末側リモコン214やユニット側リモコンとは別に、ユニット側制御部5及び端末側制御部213と通信自在な入力部を備えるようにしてもよい。
【0091】
)上記第1及び第2実施形態では、熱電併給装置1として3種類の熱電併給装置を例示したが、例えば、装備される熱電併給装置1の種類数については、適宜変更が可能であり、2種類でも、4種類以上としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、熱と電力を発生する熱電併給装置と、その熱電併給装置にて発生する熱を温水として貯湯する貯湯タンクと、温水の供給を受けてその温水を用いた運転を行う温水利用端末と、前記貯湯タンクに貯湯されている温水を熱源とする温水を前記温水利用端末に供給する温水供給部とを備え、省エネルギー化を図りながら、温水利用端末の運転を行うための熱源として、貯湯タンクに貯湯されている温水を有効に活用することができる各種の熱供給設備に適応可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 熱電併給装置
2 貯湯タンク
4 温水供給部
5 ユニット側制御部(運転制御部)
10 補助加熱部
14 低温水利用端末
15 高温水利用端末
217 モード指令部
218 モード表示部
219 入力部(ディップスイッチ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7