特許第6245851号(P6245851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6245851ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245851
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/08 20060101AFI20171204BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20171204BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B05C1/08
   B05D1/28
   B05D7/24 301P
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-118685(P2013-118685)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-233708(P2014-233708A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100114502
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 俊則
(72)【発明者】
【氏名】本下 晋
(72)【発明者】
【氏名】牧村 員利
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−42461(JP,A)
【文献】 特開2006−130445(JP,A)
【文献】 特開昭63−256159(JP,A)
【文献】 特開2000−237659(JP,A)
【文献】 特開平10−277455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00−3/20
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に凸版が設けられたパターンロールと、
前記パターンロールに隣接して配置され、その外周面に沿って帯状の被塗布材が搬送される圧ロールと、
溶融したホットメルト接着剤を、前記パターンロールの前記凸版に塗布するホットメルト接着剤供給部と、
前記パターンロールの内部に設けられ、前記ホットメルト接着剤が前記ホットメルト接着剤供給部により前記パターンロールの前記凸版に塗布されてから、前記パターンロールと前記圧ロールの間を通過する前記被塗布材に転写されるまでの間、前記パターンロールの前記凸版に塗布されている前記ホットメルト接着剤を、前記パターンロールの内部から加熱又は保温する加熱保温手段と、
を備えたことを特徴とする、ホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項2】
前記パターンロールは、軸と、空洞を有する円筒形状のドラムとが、リブを介して同心に固定され、前記ドラムの外周面に前記凸版が設けられ、
前記加熱保温手段は、前記パターンロールの前記ドラムに埋設され周方向に配置された複数のヒータを含むことを特徴とする、請求項1に記載のホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項3】
前記凸版は、シリコンゴムより硬い材料からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項4】
前記凸版が、金属材料からなることを特徴とする、請求項に記載のホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項5】
前記凸版に、シロキサン系樹脂を含む被膜が形成されていることを特徴とする、請求項に記載のホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項6】
前記凸版は、前記パターンロールの回転中心線と平行に延在する筋状の突起を含むことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一つに記載のホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項7】
凸版は、散点状に配置された突起を含むことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一つに記載のホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項8】
前記圧ロールの外周面がゴム材料からなることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一つに記載のホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項9】
外周に凸版が設けられたパターンロールを回転させ、前記凸版に、溶融したホットメルト接着剤を塗布する第1の工程と、
前記パターンロールに隣接して配置された圧ロールを、前記パターンロールとは逆方向に同期して回転させ、前記圧ロールの外周面に沿って帯状の被塗布材を搬送し、前記被塗布材が前記パターンロールと前記圧ロールの間を通過するときに、前記凸版に塗布されている前記ホットメルト接着剤を前記被塗布材に転写する第2の工程と、
前記第1の工程と前記第2の工程の間において、前記ホットメルト接着剤が前記パターンロールの前記凸版に塗布されてから前記被塗布材に転写されるまでの間、前記凸版に塗布されている前記ホットメルト接着剤を、前記パターンロールの内部から加熱又は保温する第3の工程と、
を備えたことを特徴とする、ホットメルト接着剤の塗布方法。
【請求項10】
前記パターンロールは、軸と、空洞を有する円筒形状のドラムとが、リブを介して同心に固定され、前記ドラムの外周面に前記凸版が設けられ、
前記第3の工程において、前記パターンロールの前記ドラムに埋設され周方向に配置された複数のヒータを含む加熱保温手段を用いて、前記凸版に塗布されている前記ホットメルト接着剤を加熱又は保温することを特徴とする、請求項に記載のホットメルト接着剤の塗布方法。
【請求項11】
前記凸版は、シリコンゴムより硬い材料からなることを特徴とする、請求項9又は10に記載のホットメルト接着剤の塗布方法。
【請求項12】
前記凸版が、金属材料からなることを特徴とする、請求項11に記載のホットメルト接着剤の塗布方法。
【請求項13】
前記凸版に、シロキサン系樹脂を含む被膜が形成されていることを特徴とする、請求項12に記載のホットメルト接着剤の塗布方法。
【請求項14】
前記凸版は、前記パターンロールの回転中心線と平行に延在する筋状の突起を含むことを特徴とする、請求項乃至13のいずれか一つに記載のホットメルト接着剤の塗布方法。
【請求項15】
前記凸版は、散点状に配置された突起を含むことを特徴とする、請求項乃至13のいずれか一つに記載のホットメルト接着剤の塗布方法。
【請求項16】
前記圧ロールは、ゴム材料からなることを特徴とする、請求項乃至15のいずれか一つに記載のホットメルト接着剤の塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法に関し、詳しくは、帯状の被塗布材にホットメルト接着剤を連続的に塗布するホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の被塗布材にホットメルト接着剤を連続的に塗布するホットメルト接着剤塗布装置が種々提案されている。
【0003】
例えば、図10の構成図に示すホットメルト接着剤塗布装置は、使い捨ておむつの製造に際して、吸収パットを接着するためのホットメルト接着剤を、バックシート111上に塗布するものである。このホットメルト接着剤塗布装置は、シリコンゴム板が固定されているパターンロール102に、ホットメルト接着剤供給部100によってホットメルト接着剤が塗布され、パターンロール102に塗布されたホットメルト接着剤が、パターンロール102と圧ロール103の間を通過するバックシート111に転写される。ホットメルト接着剤が転写されたバックシート111上にフィルム112が重ねられ、製品シート110となって巻き取られる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−272215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10のホットメルト接着剤塗布装置を用いて、例えば不織布シートにホットメルト接着剤を塗布すると、ホットメルト接着剤の塗布量が不均一となり塗布ムラが生じたり、不織布シートがパターンロールに巻き込まれたりするなどの不具合が生じることがある。そのため、ホットメルト接着剤を安定して塗布することが困難である。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み、不具合の発生を防ぎ、ホットメルト接着剤を安定して塗布することができるホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したホットメルト接着剤塗布装置を提供する。
【0008】
ホットメルト接着剤塗布装置は、(a)外周に凸版が設けられたパターンロールと、(b)前記パターンロールに隣接して配置され、その外周面に沿って帯状の被塗布材が搬送される圧ロールと、(c)溶融したホットメルト接着剤を、前記パターンロールの前記凸版に塗布するホットメルト接着剤供給部と、(d)前記パターンロールの内部に設けられ、前記ホットメルト接着剤が前記ホットメルト接着剤供給部により前記パターンロールの前記凸版に塗布されてから、前記パターンロールと前記圧ロールの間を通過する前記被塗布材に転写されるまでの間、前記パターンロールの前記凸版に塗布されている前記ホットメルト接着剤を、前記パターンロールの内部から加熱又は保温する加熱保温手段とを備える。
【0009】
上記構成において、加熱保温手段は、凸版に塗布されたホットメルト接着剤に熱エネルギーを供給することによって加熱しても、凸版に塗布されたホットメルト接着剤からの放熱を抑制することによって保温してもよい。
【0010】
上記構成において、ホットメルト接着剤供給部によりパターンロールの凸版に塗布されたホットメルト接着剤は、パターンロールと圧ロールの間を通過する帯状の被塗布材に付着すると、パターンロールの凸版から剥離される。このときのホットメルト接着剤の温度は、加熱保温手段を備えない場合よりも高温になり、温度低下が抑制される。ホットメルト接着剤の温度低下が抑制されると、ホットメルト接着剤は凸版から剥離しやすくなる。
【0011】
ホットメルト接着剤が被塗布材に付着しても、凸版から剥離しないと、被塗布材上のホットメルト接着剤の塗布量が不均一となり塗布ムラが生じたり、被塗布材がパターンロールに巻き込まれたりするなどの不具合が生じるが、ホットメルト接着剤が凸版から剥離しやすいと、このような不具合が起こらない。
【0012】
したがって、加熱保温手段によって、凸版に塗布されているホットメルト接着剤の温度低下を抑制すると、ホットメルト接着剤は凸版から剥離しやすくなり、被塗布材上のホットメルト接着剤の塗布量が不均一となり塗布ムラが生じたり、被塗布材がパターンロールに巻き込まれたりするなどの不具合を防ぎ、ホットメルト接着剤を安定して塗布することができる。
【0013】
加熱保温手段は、種々の態様で構成することができる。
【0014】
好ましい一態様において、前記パターンロールは、軸と、空洞を有する円筒形状のドラムとが、リブを介して同心に固定され、前記ドラムの外周面に前記凸版が設けられている。前記加熱保温手段は、前記パターンロールの前記ドラムに埋設され周方向に配置された複数のヒータを含む。
【0015】
この場合、凸版に塗布されているホットメルト接着剤を、凸版を介して加熱又は保温することができる。
【0018】
好ましくは、前記凸版は、シリコンゴムより硬い材料からなる。
【0019】
この場合、シリコンゴムからなる凸版に比べ、凸版の摩耗が減り、凸版の耐久性、寿命が向上する。また、凸版の円筒度を高め、径方向位置の振れ(変動)を抑制し、凸版に塗布されるホットメルト接着剤の厚みや、被塗布材に転写されるホットメルト接着の厚みのバラツキを抑制するによって、ホットメルト接着剤をより均一に塗布し、ホットメルト接着剤の塗布ムラをより抑制することができる。
【0020】
好ましくは、前記凸版が、金属材料からなる。
【0021】
この場合、凸版の円筒度を高め、ホットメルト接着剤の塗布ムラを抑制することが容易である。また、金属材料は、プラスチックやゴム等に比べて熱を伝えやすいため、凸版に塗布されているホットメルト接着剤の温度を制御することが容易になる。
【0022】
好ましくは、前記凸版に、シロキサン系樹脂を含む被膜が形成されている。
【0023】
この場合、凸版に塗布されたホットメルト接着剤は、凸版から、より剥離しやすくなるため、ホットメルト接着剤塗布装置を安定して塗布することが容易になる。
【0024】
好ましくは、前記凸版は、前記パターンロールの回転中心線と平行に延在する筋状の突起を含む。
【0025】
この場合、加熱保温手段を設けないと特に不具合が発生しやすいため、本発明による効果が高い。
【0026】
好ましくは、凸版は、散点状に配置された突起を含む。
【0027】
この場合、ノズルを用いてホットメルト接着剤を塗布する場合よりも、高速に、ホットメルト接着剤を散点状に塗布することができる。また、隣接する塗布部分間の距離や、個々の塗布部分の面積を、ノズルを用いてホットメルト接着剤を塗布する場合より、小さくすることができる。
【0028】
好ましくは、前記圧ロールの外周面がゴム材料からなる。
【0029】
この場合、圧ロールと被塗布材との間の摩擦が大きくなるため、被塗布材がパターンロールに巻き付きにくくなり、より安定してホットメルト接着剤を塗布することできる。
【0030】
また、本発明は、以下のように構成したホットメルト接着剤の塗布方法を提供する。
【0031】
ホットメルト接着剤の塗布方法は、(i)外周に凸版が設けられたパターンロールを回転させ、前記凸版に、溶融したホットメルト接着剤を塗布する第1の工程と、(ii)前記パターンロールに隣接して配置された圧ロールを、前記パターンロールとは逆方向に同期して回転させ、前記圧ロールの外周面に沿って帯状の被塗布材を搬送し、前記被塗布材が前記パターンロールと前記圧ロールの間を通過するときに、前記凸版に塗布されている前記ホットメルト接着剤を前記被塗布材に転写する第2の工程と、(iii)前記第1の工程と前記第2の工程の間において、前記ホットメルト接着剤が前記パターンロールの前記凸版に塗布されてから前記被塗布材に転写されるまでの間、前記凸版に塗布されている前記ホットメルト接着剤を、前記パターンロールの内部から加熱又は保温する第3の工程とを備える。
【0032】
上記方法によれば、第2の工程において、パターンロールの凸版に塗布されているホットメルト接着剤が、被塗布材に付着すると、凸版から剥離される。このときのホットメルト接着剤の温度は、第3の工程を備えない場合よりも高温になり、温度低下が抑制される。ホットメルト接着剤の温度低下が抑制されると、ホットメルト接着剤は凸版から剥離しやすくなる。
【0033】
ホットメルト接着剤が被塗布材に付着しても、凸版から剥離しないと、被塗布材上のホットメルト接着剤の塗布量が不均一となり塗布ムラが生じたり、被塗布材がパターンロールに巻き込まれたりするなどの不具合が生じるが、ホットメルト接着剤が凸版から剥離しやすいと、このような不具合が起こらない。
【0034】
したがって、凸版に塗布されているホットメルト接着剤を加熱又は保温すると、ホットメルト接着剤は凸版から剥離しやすくなり、被塗布材上のホットメルト接着剤の塗布量が不均一となり塗布ムラが生じたり、被塗布材がパターンロールに巻き込まれたりするなどの不具合を防ぎ、ホットメルト接着剤を安定して塗布することができる。
【0035】
好ましい一態様は、前記パターンロールは、軸と、空洞を有する円筒形状のドラムとが、リブを介して同心に固定され、前記ドラムの外周面に前記凸版が設けられている。前記第3の工程において、前記パターンロールの前記ドラムに埋設され周方向に配置された複数のヒータを含む加熱保温手段を用いて、前記凸版に塗布されている前記ホットメルト接着剤を加熱又は保温する。
【0036】
この場合、凸版に塗布されているホットメルト接着剤を、凸版を介して加熱又は保温することができる。
【0039】
好ましくは、前記凸版は、シリコンゴムより硬い材料からなる。
【0040】
この場合、シリコンゴムからなる凸版に比べ、凸版の摩耗が減り、凸版の耐久性、寿命が向上する。また、凸版の円筒度を高め、径方向位置の振れ(変動)を抑制し、凸版に塗布されるホットメルト接着剤の厚みや、被塗布材に転写されるホットメルト接着の厚みのバラツキを抑制するによって、ホットメルト接着剤をより均一に塗布し、ホットメルト接着剤の塗布ムラをより抑制することができる。
【0041】
好ましくは、前記凸版が、金属材料からなる。
【0042】
この場合、凸版の円筒度を高め、ホットメルト接着剤の塗布ムラを抑制することが容易である。また、金属材料は、プラスチックやゴム等に比べて熱を伝えやすいため、凸版に塗布されているホットメルト接着剤の温度を制御することが容易になる。
【0043】
好ましくは、前記凸版に、シロキサン系樹脂を含む被膜が形成されている。
【0044】
この場合、凸版に塗布されたホットメルト接着剤は、凸版から、より剥離しやすくなるため、ホットメルト接着剤塗布装置を安定して塗布することが容易になる。
【0045】
好ましくは、前記凸版は、前記パターンロールの回転中心線と平行に延在する筋状の突起を含む。
【0046】
この場合、加熱保温手段を設けないと特に不具合が発生しやすいため、本発明による効果が高い。
【0047】
好ましくは、前記凸版は、散点状に配置された突起を含む。
【0048】
この場合、ノズルを用いてホットメルト接着剤を塗布する場合よりも、高速に、ホットメルト接着剤を散点状に塗布することができる。また、隣接する塗布部分間の距離や、個々の塗布部分の面積を、ノズルを用いてホットメルト接着剤を塗布する場合より、小さくすることができる。
【0049】
好ましくは、前記圧ロールは、ゴム材料からなる。
【0050】
この場合、圧ロールと被塗布材との間の摩擦が大きくなるため、被塗布材がパターンロールに巻き付きにくくなり、より安定してホットメルト接着剤を塗布することができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、不具合の発生を防ぎ、ホットメルト接着剤を安定して塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】ホットメルト接着剤塗布装置の構成図である。(実施例1)
図2】パターンロールの断面図である。(実施例1)
図3図2の直線A−Aに沿って切断したパターンロールの断面図である。(実施例1)
図4】凸版の要部拡大図である。(実施例1)
図5】複合伸縮部材の断面図である。(実施例1)
図6】複合伸縮部材の分解断面図である。(実施例1)
図7】ホットメルト接着剤塗布装置を模式的に示す構成図である。(参考例1
図8】凸版の展開図である。(変形例1)
図9】凸版の展開図である。(変形例2)
図10】ホットメルト接着剤塗布装置の構成図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施の形態として実施例について、図1図9を参照しながら説明する。
【0054】
<実施例1> 本発明の実施例1のホットメルト接着剤塗布装置10について、図1図6を参照しながら説明する。
【0055】
図1は、ホットメルト接着剤塗布装置10の基本構成を模式的に示す構成図である。図1に示すように、ホットメルト接着剤塗布装置10は、パターンロール16と圧ロール18の外周面16s,18s同士が互いに接近するように、パターンロール16と圧ロール18が隣接して配置されている。パターンロール16と圧ロール18は、矢印16r,18rで示すように互いに逆方向に同期しながら回転する。圧ロール18の外周面18sに沿って、帯状の被塗布材72が搬送される。被塗布材72は、圧ロール18の外周面18sに沿って配置され、圧ロール18の回転に伴って矢印72p,72qで示すように移動し、パターンロール16と圧ロール18の間を通過する。詳しくは後述するが、パターンロール16は外周に凸版が設けられ、内部には、加熱保温手段であるヒータ40や、温度を監視するための温度センサ44などが設けられている。
【0056】
ホットメルト接着剤供給部11は、第1及び第2のロール12,14の外周面12s,14sが隙間13を設けて互いに接近するように、第1及び第2のロール12,14が隣接して配置される。第1及び第2のロール12,14の上方には、溶融したホットメルトを供給する供給口6が設けられている。第1及び第2のロール12,14は、不図示のヒータによって加熱され、第1及び第2のロール12,14が互いに接近する部分の上に、溶融したホットメルトが溜まって貯留部4が形成されるようになっている。
【0057】
ホットメルト接着剤供給部11の第1のロール14は、第1のロール14の外周面14sとパターンロール16の外周面16sとが所定の隙間を設けて互いに接近するように、パターンロール16に隣接して配置される。
【0058】
図2は、パターンロール16の断面図である。図3は、図2の線A−Aに沿って切断した断面図である。図2及び図3に示すように、パターンロール16は、軸20と円筒形状のドラム24とが、回転中心線16xと同心に、リブ22を介して固定され、ドラム24の外周面24sに、半割れ形状の凸版30が設けられている。
【0059】
ドラム24の内部には、加熱保温手段として、パターンロール16の回転中心線16xと平行に延在するヒータ40及びヒートパイプ42とが、周方向に交互に配置され、ドラム24をできるだけ均一に加熱するようになっている。ドラム24内に、温度を監視しながらドラム24を加熱できるように、温度センサ44が設けられている。
【0060】
凸版30は、半割れ円筒形状の基部32と、基部32から径方向外側に突出する筋状の突起34とを含んでいる。基部32はドラム24の外周面24sに沿って、例えばねじで、固定され、突起34は、回転中心線16xと平行に延在する。
【0061】
次に、ホットメルト接着剤塗布装置10の動作について説明する。
【0062】
図1に示すように、ホットメルト接着剤供給部11の第1及び第2のロール12,14は、例えば矢印12r,14rで示す方向に回転する。貯留部4の溶融したホットメルト接着剤の一部は、第1のロール14の回転に伴って、第1及び第2のロール12,14の間の隙間13を通過し、第1のロール14の外周面14sに付着しながら搬送される。
【0063】
そして、第1のロール14の外周面14sに付着したホットメルト接着剤5aが、パターンロール16の外周面16sと対向する位置に到達すると、パターンロール16の外周面16s(すなわち、図2及び図3に示した凸版30の突起34の先端面34s)に塗布される。
【0064】
パターンロール16の外周面16sに塗布されたホットメルト接着剤5bは、パターンロール16の回転に伴って移動し、パターンロール16と圧ロール18の間を通過する被塗布材72に転写される。詳しくは、パターンロール16の外周面16sに塗布されたホットメルト接着剤5bは、パターンロール16と圧ロール18の間を通過するときに、被塗布材72の主面72a,72bのうちパターンロール16に対向する側の主面72aに付着し、パターンロール16の外周面16s(すなわち、図2及び図3に示した凸版30の突起34の先端面34s)から剥離する。これによって、パターンロール16と圧ロール18の間を通過した被塗布材72は、ホットメルト接着剤5cが塗布された状態で搬送される。
【0065】
ホットメルト接着剤塗布装置10のパターンロール16は、パターンロール16に設けたヒータ40によって、パターンロール16の外周面16sに付着しているホットメルト接着剤5bを加熱又は保温して、パターンロール16の外周面16sに付着しているホットメルト接着剤5cの温度低下を抑制し、ホットメルト接着剤5bが被塗布材72に転写されるときに被塗布材72がパターンロール16に巻き込まれたりホットメルト接着剤の塗布ムラが生じるなどの不具合が発生しないようにすることができる。
【0066】
すなわち、パターンロール16の外周面16s(凸版30の突起34の先端面34s)に塗布されているホットメルト接着剤5bが被塗布材72に転写されるとき、ホットメルト接着剤5bをパターンロール16の外周面16s(凸版30の突起34の先端面34s)から剥離するのに要する力が大きくなると、ホットメルト接着剤2bがパターンロール16の外周面16s(凸版30の突起34の先端面34s)から剥離しにくくなり、被塗布材72がパターンロール16に巻き込まれたり、ホットメルト接着剤の塗布ムラが生じるなどの不具合が発生しやすくなる。ホットメルト接着剤5bをパターンロール16の外周面16s(凸版30の突起34の先端面34s)から剥離するのに要する力は、ホットメルト接着剤5bの温度が低下するほど大きくなるので、ホットメルト接着剤5bを加熱又は保温して温度低下を抑制すると、温度低下を抑制しない場合よりも、ホットメルト接着剤5bがパターンロール16の外周面16s(凸版30の突起34の先端面34s)から剥離しやすくなり、被塗布材72の巻き込みや塗布ムラなどの不具合が発生しないようになる。
【0067】
特に、凸版30の突起34は、パターンロール16の回転中心線16xと平行に延在する筋状に形成されているため、ホットメルト接着剤5bをパターンロール16の外周面16s(凸版30の突起34の先端面34s)から剥離するのに要する力が大きくなり、被塗布材72の巻き込みや塗布ムラなどの不具合が発生しやすいため、ヒータ40を設けることによる効果が高い。
【0068】
また、被塗布材72の搬送速度が速いほど、ホットメルト接着剤5bが被塗布材72に転写されるとき、ホットメルト接着剤5bをパターンロール16の外周面16s(凸版30の突起34の先端面34s)から剥離するのに要する力が大きくなる。そのため、ホットメルト接着剤5bを加熱又は保温して温度低下を抑制すると、温度低下を抑制しない場合よりも、被搬送材72の搬送速度を速くし、ホットメルト接着剤をより高速に塗布することができる。
【0069】
凸版30は、シリコンゴムよりも硬い材料、例えば、樹脂、セラミック、金属等で作製することが好ましい。凸版30をシリコンゴムよりも硬い材料で作製すると、凸版30をシリコンゴムで作製した場合よりも、凸版30の突起34の先端面34sの位置のばらつき(振れ)を抑制することができる。これによって、ホットメルト接着剤の塗布厚さをより均一にし、ホットメルト接着剤の塗布ムラを抑制することができる。また、凸版30の摩耗が抑制され、凸版30の耐久性が向上する。
【0070】
特に、凸版30を金属材料で作製すると、凸版30の突起34の先端面34sの位置のばらつき(振れ)を抑制し、ホットメルト接着剤の塗布ムラを抑制することが容易である。また、金属材料は、プラスチックやシリコンゴム等に比べて熱を伝えやすいため、凸版30の突起34の先端面34sに塗布されているホットメルト接着剤の温度を制御することが容易になる。
【0071】
凸版30の突起34の先端面34sに、シロキサン系樹脂を含む被膜を形成すると、凸版30の突起34の先端面34sに塗布されたホットメルト接着剤は、凸版30の突起34の先端面34sから、より剥離しやすくなるため、ホットメルト接着剤塗布装置10の運転を安定させることが容易になる。
【0072】
次に、実施例1のホットメルト接着剤塗布装置10の試作例について説明する。図4は、凸版30の要部拡大図である。図4に示すように、溝の深さ、すなわち筋状の突起34の高さHを5mm、突起34の先端面34sの幅Tを1mm、突起34の基端の幅Wを4mm、基部32の外径φを282mm、突起34のピッチを2.769°とした凸版30を、炭素鋼を用いて作製し、表面処理した。表面処理は、ニッケル系金属の硬い被膜を形成し、この皮膜にシロキサン系樹脂を複合させる方法を適用した。
【0073】
作製した凸版30を取り付けたホットメルト接着剤塗布装置10を用いて、凸版30に塗布されたホットメルト接着剤をパターンロール16の内部に設けたヒータ40によって加熱又は保温しながら、不織布の被塗布材72にホットメルト接着剤を塗布した。
【0074】
ホットメルト接着剤は、操作温度が130℃〜160℃のものを使用した。このホットメルト接着剤の粘度は、120℃で約17000cps、160℃で約2500cps、180℃で約1300cpsのものである。凸版30は、120℃に加熱した。
【0075】
この場合、被塗布材72を約300m/分で搬送しても、被塗布材72がパターンロール16に巻き込まれるなどの不具合が発生しなかった。
【0076】
比較例として、シリコンゴム製の凸版を用い、凸版に塗布されたホットメルト接着剤を加熱も保温もすることなく、不織布の被塗布材にホットメルト接着剤を塗布した。比較例では、被塗布材の搬送速度が約100mm/分以上になると、被塗布材がパターンロールに巻き込まれる不具合が発生した。
【0077】
図5の断面図は、試作例のホットメルト接着剤塗布装置10を用いて作製した複合伸縮部材80の断面を模式的に示している。図5に示すように、複合伸縮部材80は、不織布シート82,86に襞82t,84tが形成されている。このような形状は、一方の不織布シート82に、ホットメルト接着剤塗布装置10を用いてホットメルト接着剤を所定の間隔で筋状に塗布し、その上に、筋状のホットメルト接着剤塗布部と直交するように、張力を与えて伸長状態にした紐状の弾性部材86を重ね、さらにその上に、他方の不織布シート84を重ねて、不織布シート82,84と弾性部材86とを接着した後、張力を解消して弾性部材86を自然状態に戻すことによって、形成される。
【0078】
複合伸縮部材80は、ホットメルト接着剤が塗布された一方の不織布シート82と他方の不織布シート84との外観を比較すると、前者は、襞82tと、襞82tの間の部分82sとが明瞭に区別でき、襞82tが同じ形状に整然と形成されているのに対し、後者は、襞84tと、襞84tの間の部分84sとの境界があいまいであり、襞84tの形状にばらつきがある。これは、ホットメルト接着剤が塗布された直後は比較的高温であるためホットメルト接着剤が一方の不織布シート82の内部に入り込むが、他方の不織布シート84が接着されるときには温度が低下しているので、ホットメルト接着剤は他方の不織布シート84の表面に接着するだけであることが一因と考えられる。
【0079】
複合伸縮部材80の襞82t,84tが形成された部分を、例えば使い捨ておむつの胴まわりに用いる場合、ホットメルト接着剤が塗布された一方の不織布シート82を肌側にすると、明確な形状の襞82tによって通気性が良好となり、反対に外側(非肌側)にすると、整然とした外観を得ることができる。
【0080】
図6は、複合伸縮部材80の分解断面図である。不織布シート82,84と、弾性部材86は引き伸ばされた状態である。図6に示すように、ホットメルト接着剤88を等ピッチで塗布し、ホットメルト接着剤88の幅Tを0.5〜1.5mm、隣合うホットメルト接着剤88間の間隔Wを3〜10mm、好ましくは4〜8mmとすると、複合伸縮部材80をおむつ等の着用物品に好適に用いることができる。
【0081】
参考例1参考例1のホットメルト接着剤塗布装置について、図7を参照しながら説明する。
【0082】
参考例1のホットメルト接着剤塗布装置10aは、実施例1のホットメルト接着剤塗布装置10と略同様に構成されている。以下では、実施例1と同じ構成部分には同じ符号を用い、実施例1との相違点を中心に説明する。
【0083】
図7は、参考例1のホットメルト接着剤塗布装置10aの構成を模式的に示す構成図である。図7に示すように、参考例1のホットメルト接着剤塗布装置10aは、パターンロール16の外部に設けた加熱保温手段48を備えている。加熱保温手段48は、例えば、パターンロール16の外周面16sに熱線を照射するヒータや、パターンロール16の外周面16sに温風を吹き付ける温風ヒータである。
【0084】
参考例1のホットメルト接着剤塗布装置10aは、パターンロール16の外周面16sに塗布されているホットメルト接着剤5bを、加熱保温手段48によって直接、加熱したり、加熱保温手段48で加熱されたパターンロール16を介して、間接的に加熱したり保温したりすることができる。
【0085】
<変形例1> 図8は、変形例1の凸版30aの展開図である。図8に示すように、基部32に形成する筋状の突起34p〜34rは、軸方向(回転中心線と平行な方向、図8において上下方向)に複数の区画に分割して形成されたり、周方向(回転中心線まわりの方向、図8において左右方向)のピッチが変動したりしてもよい。この場合、帯状の被塗布材には、幅方向に分割され、長手方向のピッチが変動するホットメルト塗布部を形成することができる。
【0086】
<変形例2> 図9は、変形例2の凸版30bの展開図である。図9に示すように、基部32に、散点状の突起34kを形成してもよい。この場合、帯状の被塗布材には、散点状にホットメルト塗布部を形成することができる。
【0087】
基部32に散点状の突起34kが形成された凸版30bを用いると、ノズル先端から溶融したホットメルトを間欠的に塗布して散点状にホットメルト塗布部を形成する場合よりも、被塗布材の搬送速度を速くしたり、個々のホットメルト塗布部の塗布面積を小さくしたり、隣合うホットメルト塗布部間の距離を小さくしたりすることができる。
【0088】
<まとめ> 以上に説明したように、パターンロールの内部又は外部に加熱保温手段を設けることによって、ホットメルト接着剤塗布装置を、長時間安定して高速運転することが可能となる。
【0089】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【0090】
例えば、パターンロールにホットメルト接着剤を塗布する方式は、実施例で示した着けローラ方式に限らず、溶融したホットメルト接着を溜めておき、そこにパターンロールの下部を浸すドブ漬け方式や、ノズルから吐出するホットメルト接着剤をパターンロールに塗布するカスケード方式などであっても構わない。
【符号の説明】
【0091】
4 貯留部
5a〜5c ホットメルト接着剤
6 供給口
10,10a ホットメルト接着剤塗布装置
11 ホットメルト接着剤供給部
12 隙間調整ロール
12s 外周面
13 隙間
14 着けロール
14s 外周面
16 パターンロール
16s 外周面
16x 回転中心線
18 圧ロール
18s 外周面
20 軸
22 リブ
24 ドラム
24s 外周面
30,30a,30b 凸版
32 基部
34,34k,34p〜34r 突起
34s 先端面
40 ヒータ(加熱保温手段)
42 ヒートパイプ
44 温度センサ
48 加熱保温手段
72 被塗布材
72a,72b 主面
80 複合伸縮部材
82 不織布シート
82t 襞
84 不織布シート
84t 襞
86 弾性部材
88 ホットメルト接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10