特許第6245852号(P6245852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245852
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】外科手術器具およびブシング
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-122860(P2013-122860)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-8403(P2014-8403A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】61/666,028
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/871,233
(32)【優先日】2013年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ケニス エム. カポラ
(72)【発明者】
【氏名】リー アン オルソン
(72)【発明者】
【氏名】フランク シー. マッフェイ
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−189825(JP,A)
【文献】 特表2005−505335(JP,A)
【文献】 特表2001−517473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 17/94
A61B 18/00 ― 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルアセンブリと、
該ハンドルアセンブリと機械的に協働して配置された関節運動機構であって、該関節運動機構は、装填ユニットを関節運動させるように構成されており、該関節運動機構は、関節運動レバーとシャフトとを含む、関節運動機構と、
該ハンドルアセンブリから遠位に延びている細長本体部分であって、長手方向軸を規定する細長本体部分と、
近位本体部分道具アセンブリ含む装填ユニットであって、該近位本体部分は、該細長本体部分との選択的な係合のために構成されている、装填ユニットと、
関節運動機構と機械的に協働して配置されたロッキング機構と
を備え
ロッキング機構は
少なくとも部分的に該細長本体部分内に配置されたリンクであって、該リンクは、該装填ユニットの一部分との機械的係合のために構成されており、該リンクの少なくとも一部分は、該細長本体部分に対して長手軸方向に並進可能である、リンクと、
ブシングであって、該ブシングの少なくとも一部分は、該リンクの少なくとも一部分の近位に配置されており、該ブシングの少なくとも一部分は、該細長本体部分に対して長手軸方向に並進可能である、ブシングと、
接続部材であって、該接続部材の少なくとも一部分は、該ブシングの少なくとも一部分の近位に配置されており、該接続部材は、該関節運動機構と機械的に協働して配置されている、接続部材と、
該接続部材の近位に配置されたロッキング部材であって、該ロッキング部材は、ラグを含み、該ラグは、該関節運動機構のシャフト内に画定された凹部と重なり合って係合されることにより、該関節運動機構の関節運動を防止する、ロッキング部材と
含み、
該装填ユニットと該細長本体部分との間の係合は、該リンクの近位方向への移動、該ブシングの近位方向への移動、該接続部材近位方向への移動、該ロッキング部材の近位方向への移動を引き起こし、該ロッキング部材の近位方向への移動は、該ラグの近位方向への移動を引き起こし、その結果、該ラグは、該シャフト内に画定された凹部と重なり合って係合されないことにより、該関節運動機構の関節運動を可能とし、
該ブシングは、本体部分と、該本体部分から遠位に延びているフィンガーとを含み、該フィンガーは、舌部を含み、該舌部は、該リンクの係合構造体を係合するように構成されている、外科手術器具。
【請求項2】
前記舌部と前記係合構造体との間の係合は、前記ブシングと前記リンクとを連結させ、その結果、該ブシングの近位方向および遠位方向への並進は、該リンクの対応する近位方向および遠位方向への並進を引き起こす、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項3】
前記舌部の遠位部分は、前記外科手術器具の組み立て中に前記リンクの近位端と係合するための角度付き表面を含む、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項4】
前記外科手術器具の組み立て中の、前記リンクの前記近位端と前記舌部の前記角度付き表面との間の係合は、前記ブシングのフィンガーを前記長手方向軸から離れる方向に移動させる、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項5】
前記ブシングの前記本体部分の位置は、前記外科手術器具の組み立て中に、前記フィンガーが前記長手方向軸に対して動く間に、実質的に変化しないままである、請求項に記載の外科手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2012年6月29日に出願された米国仮特許出願番号61/666,028の利益および優先権を主張する。この米国仮特許出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本願は、外科手術器具に関し、そしてより特定すると、複数の外科手術ファスナーを身体組織に付けるための装填ユニットを有する内視鏡外科手術用固定器具、およびこの外科手術器具と一緒に使用するためのブシングに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
組織を外科手術により接合するために使用される種々の型の外科手術器具が、当該分野において公知であり、そして例えば、離断、切除、吻合における組織または器官の閉鎖のため、胸郭手順および腹腔手順における器官の閉塞のため、ならびに組織を電気外科的に融合または封止するために、一般的に使用される。
【0004】
このような外科手術器具の1つの例は、外科手術用ステープル留め器具であり、これは、アンビルアセンブリ、外科手術用ステープルのアレイを支持するためのカートリッジアセンブリ、このカートリッジアセンブリとこのアンビルアセンブリとを近接させるための近接機構、およびこれらの外科手術用ステープルをこのカートリッジアセンブリから排出するための発射機構を備え得る。
【0005】
外科手術用ステープル留め器具を使用して、外科医がアンビル部材とカートリッジ部材とを近接させることは通常のことである。次に、この外科医は、この器具を発射させて、ステープルを組織内に配備し得る。さらに、この外科医は、同じ器具または別の器具を使用して、このステープル列に隣接する組織、またはこれらのステープル列間の組織を切断し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ハンドルアセンブリ;
該ハンドルアセンブリと機械的に協働して配置された起動部材;
該ハンドルアセンブリから遠位に延び、そして長手方向軸を規定する細長本体部分であって、該細長本体部分の遠位部分は、装填ユニットを選択的に係合するように構成されている、細長本体部分;および
該起動部材と機械的に協働して配置されたロッキング機構であって、該ロッキング機構は、該細長本体部分が装填ユニットと係合していないときに該起動部材の少なくとも部分的な移動を実質的に防止するように構成されている、ロッキング機構
を備え;該ロッキング機構は:
少なくとも部分的に該細長本体部分内に配置され、そして装填ユニットの一部分との機械的係合のために構成されたリンクであって、該リンクの少なくとも一部分は、該細長本体部分に対して長手軸方向に並進可能である、リンク;
ブシングであって、該ブシングの少なくとも一部分は、該リンクの少なくとも一部分の近位に配置され、該ブシングの少なくとも一部分は、該細長本体部分に対して長手軸方向に並進可能である、ブシング;および
接続部材であって、該接続部材の少なくとも一部分は、該ブシングの少なくとも一部分の近位に配置され、該接続部材は、該起動部材と機械的に協働して配置されている、接続部材
を備え;
装填ユニットと該細長本体部分との間の係合は、該リンクの近位方向への移動、該ブシングの近位方向への移動、および該接続部材の近位方向への移動を引き起こす、
外科手術器具。
(項目2)
上記ブシングが、本体部分、および該本体部分から遠位に延びるフィンガーを備え、該本体部分の遠位面は上記リンクの近位端と当接する、上記項目に記載の外科手術器具。
(項目3)
上記ブシングの近位面は上記接続部材の遠位端と当接する、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目4)
少なくとも部分的に上記細長本体部分内に配置された制御棒をさらに備え、装填ユニットが該細長本体部分と係合しているとき、該制御棒の長手軸方向の並進は、該装填ユニットの機能を実行させる、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目5)
上記制御棒は、上記リンクに対して、上記ブシングに対して、そして上記接続部材に対して長手軸方向に並進可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目6)
上記制御棒は、上記ブシングの開口部分を通って長手軸方向に並進可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目7)
上記制御棒は、上記接続部材を通って長手軸方向に並進可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目8)
上記ブシングの近位表面の接触部分の横断方向寸法は、上記接続部材の壁の遠位端より約2倍〜約10倍大きい、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目9)
上記ブシングは、本体部分、および該本体部分から遠位に延びるフィンガーを備え、該フィンガーは、舌部を備え、該舌部は、上記リンクの係合構造体を係合するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目10)
上記舌部と上記係合構造体との間の係合は、上記ブシングと上記リンクとを連結させ、その結果、該ブシングの近位方向および遠位方向への並進は、該リンクの対応する近位方向および遠位方向への並進を引き起こす、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目11)
上記舌部の遠位部分は、上記外科手術器具の組み立て中に上記リンクの近位端と係合するための角度付き表面を備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目12)
上記外科手術器具の組み立て中の、上記リンクの上記近位端と上記舌部の上記角度付き表面との間の係合は、上記ブシングの上記フィンガーを、上記長手方向軸から離れる方向に移動させる、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目13)
上記ブシングの上記本体部分の位置は、上記外科手術器具の組み立て中に上記フィンガーが上記長手方向軸に対して動く間に実質的に変化しないままである、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目14)
ハンドルアセンブリ;
該ハンドルアセンブリと機械的に協働して配置された起動部材;
該ハンドルアセンブリから遠位に延びて長手方向軸を規定する細長本体部分;
近位本体部分および道具アセンブリを備える装填ユニットであって、該近位本体部分は、該細長本体部分との選択的な係合のために構成されている、装填ユニット;ならびに
該起動部材と機械的に協働して配置されたロッキング機構であって、該ロッキング機構は、該細長本体部分と該装填ユニットとが係合するときに、該起動部材の移動を可能にするように構成されている、ロッキング機構
を備え;該ロッキング機構は:
少なくとも部分的に該細長本体部分内に配置され、そして該装填ユニットの一部分との機械的係合のために構成されたリンクであって、該リンクの少なくとも一部分は、該細長本体部分に対して長手軸方向に並進可能である、リンク;
ブシングであって、該ブシングの少なくとも一部分は、該リンクの少なくとも一部分の近位に配置され、該ブシングの少なくとも一部分は、該細長本体部分に対して長手軸方向に並進可能である、ブシング;および
接続部材であって、該接続部材の少なくとも一部分は、該ブシングの少なくとも一部分の近位に配置され、該接続部材は、該起動部材と機械的に協働して配置されている、接続部材
を備え;
該装填ユニットと該細長本体部分との間の係合は、該リンクの近位方向への移動、該ブシングの近位方向への移動、および該接続部材近位方向への移動を引き起こす、
外科手術器具。
(項目15)
上記ブシングが、本体部分、および該本体部分から遠位に延びるフィンガーを備え、該フィンガーは、舌部を備え、該舌部は、上記リンクの係合構造体を係合するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目16)
上記舌部と上記係合構造体との間の係合は、上記ブシングと上記リンクとを連結させ、その結果、該ブシングの近位方向および遠位方向への並進は、該リンクの対応する近位方向および遠位方向への並進を引き起こす、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目17)
上記舌部の遠位部分は、上記外科手術器具の組み立て中に上記リンクの近位端と係合するための角度付き表面を備える、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目18)
上記外科手術器具の組み立て中の、上記リンクの上記近位端と上記舌部の上記角度付き表面との間の係合は、上記ブシングのフィンガーを上記長手方向軸から離れる方向に移動させる、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目19)
上記ブシングの上記本体部分の位置は、上記外科手術器具の組み立て中に、上記フィンガーが上記長手方向軸に対して動く間に、実質的に変化しないままである、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
【0007】
(摘要)
ハンドルアセンブリ、起動部材、細長本体部分、およびロッキング機構を備える外科手術器具が開示される。このロッキング機構は、この起動部材と機械的に協働して配置され、そしてこの細長本体部分が装填ユニットと係合していないときに、この起動部材の少なくとも部分的な移動を実質的に防止するように構成される。このロッキング機構は、リンク、ブシング、および接続部材を備える。このリンクは、装填ユニットの一部分との機械的係合のために構成される。このブシングの少なくとも一部分は、このリンクの少なくとも一部分の近位に配置される。この接続部材の少なくとも一部分は、このブシングの少なくとも一部分の近位に配置される。装填ユニットとこの細長本体部分との間の係合は、このリンク、このブシング、およびこの接続部材の近位方向への移動を引き起こす。
【0008】
(要旨)
本開示は、ハンドルアセンブリ、起動部材、細長本体部分、およびロッキング機構を備える外科手術器具に関する。このロッキング機構は、この起動部材と機械的に協働して配置され、そしてこの細長本体部分が装填ユニットと係合していないときに、この起動部材の少なくとも部分的な移動を実質的に防止するように構成される。このロッキング機構は、リンク、ブシング、および接続部材を備える。このリンクは、少なくとも部分的にこの細長本体部分内に配置され、そして装填ユニットの一部分との機械的係合のために構成される。このブシングの少なくとも一部分は、このリンクの少なくとも一部分の近位に配置される。この接続部材の少なくとも一部分は、このブシングの少なくとも一部分の近位に配置され、そしてこの接続部材は、この起動部材と機械的に協働して配置される。装填ユニットとこの細長本体部分との間の係合は、このリンク、このブシング、およびこの接続部材の近位方向への移動を引き起こす。
【0009】
開示される実施形態において、このブシングの遠位面は、このリンクの近位端に当接する。
【0010】
開示される実施形態において、このブシングの近位面は、この接続部材の遠位端に当接する。
【0011】
開示される実施形態において、この外科手術器具は、少なくとも部分的にこの細長本体部分内に配置された制御棒をさらに備え、その結果、この制御棒の長手軸方向の並進は、この装填ユニットがこの細長本体部分と係合しているとき、装填ユニットの機能を実行する。ここで、制御棒は、このリンクに対して、このブシングに対して、そして接続部材に対して、長手軸方向に並進可能である。この制御棒は、このブシングの開口部分を通って長手軸方向に並進可能であることもまた開示される。この制御棒は、この接続部材を通って長手軸方向に並進可能であることが、さらに開示される。
【0012】
開示される実施形態において、このブシングの近位表面の接触部分の横断方向寸法は、この接続部材の壁の遠位端より約2倍〜約10倍大きい。このブシングの遠位表面の接触部分の横断方向寸法は、このリンクの近位端より約1倍〜約3倍大きいこともまた開示される。
【0013】
本開示はまた、ハンドルアセンブリ、起動部材、細長本体部分、装填ユニット、およびロッキング機構を備える外科手術器具に関する。この起動部材は、このハンドルアセンブリと機械的に協働して配置される。この細長本体部分は、このハンドルアセンブリから遠位に延び、そして長手方向軸を規定する。この装填ユニットは、近位本体部分および道具アセンブリを備える。この近位本体部分は、この細長本体部分との選択的な係合のために構成される。このロッキング機構は、この起動部材と機械的に協働して配置される。このロッキング機構は、この細長本体部分とこの装填ユニットとが係合しているとき、この起動部材の移動を可能にするように構成される。このロッキング機構は、リンク、ブシング、および接続部材を備える。このリンクは、少なくとも部分的にこの細長本体部分内に配置され、そしてこの装填ユニットの一部分との機械的係合のために構成される。このリンクの少なくとも一部分は、この細長本体部分に対して長手軸方向に並進可能である。このブシングの少なくとも一部分は、このリンクの少なくとも一部分の近位に配置される。このブシングの少なくとも一部分は、この細長本体部分に対して長手軸方向に並進可能である。この接続部材の少なくとも一部分は、このブシングの少なくとも一部分の近位に配置される。この接続部材は、この起動部材と機械的に協働して配置される。この装填ユニットとこの細長本体部分との間の係合は、このリンクの近位方向への移動、このブシングの近位方向への移動、およびこの接続部材の近位方向への移動を引き起こす。
【0014】
開示される実施形態において、このブシングの遠位面は、このリンクの近位端に当接する。
【0015】
開示される実施形態において、このブシングの近位面は、この接続部材の遠位端に当接する。
【0016】
開示される実施形態において、この外科手術器具は、少なくとも部分的にこの細長本体部分内に配置された制御棒をさらに備え、その結果、この制御棒の長手軸方向の並進は、この装填ユニットがこの細長本体部分と係合しているとき、装填ユニットの機能を実行する。ここで、制御棒は、このリンクに対して、このブシングに対して、そして接続部材に対して、長手軸方向に並進可能であることが開示される。この制御棒は、このブシングの開口部分を通って長手軸方向に並進可能であることもまた開示される。この制御棒は、この接続部材を通って長手軸方向に並進可能であることが、さらに開示される。
【0017】
開示される実施形態において、このブシングの近位表面の接触部分の横断方向寸法は、この接続部材の壁の遠位端より約2倍〜約10倍大きい。このブシングの遠位表面の接触部分の横断方向寸法は、このリンクの近位端より約1倍〜約3倍大きいこともまた開示される。
【0018】
本開示の種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、細長本体と係合した装填ユニットを備える本開示の外科手術器具の1つの実施形態の前方斜視図である。
図2図2は、装填ユニットが細長本体と係合していない、外科手術器具の斜視図である。
図3図3は、装填ユニットの斜視図である。
図4図4は、外科手術器具のロッキング機構の斜視図である。
図5図5は、図4のロッキング機構の一部分の斜視図である。
図6図6は、外科手術器具の一部分の長手軸方向断面図である。
図7図7は、図面を分離して示される、外科手術器具の細長本体部分の斜視図である。
図8図8は、図7に示されるブシングの斜視図である。
図9図9は、図4の線9−9に沿って見た、ロッキング機構の切り取り斜視図である。
図10図10は、図9に示される細部領域の拡大図である。
図11図11および図12は、第一のリンクの組み立ての異なる段階中の、ロッキング機構の一部分の長手軸方向断面図である。
図12図11および図12は、第一のリンクの組み立ての異なる段階中の、ロッキング機構の一部分の長手軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
本開示の外科手術器具およびそれと一緒に使用するためのブシングの実施形態が、図面を参照しながら詳細に記載される。図面において、同じ参照番号は、数枚の図の各々において、対応する要素を表す。当該分野において一般的であるように、用語「近位」とは、使用者または操作者(例えば、外科医または医師)に近い方の部分または構成要素をいい、一方で、用語「遠位」とは、使用者から遠い方の部分または構成要素をいう。
【0021】
本開示の外科手術用ステープル留め器具は、図1において、参照番号10として表される。図示される外科手術器具は、ステープルを発射するが、他の任意の適切なファスナー(例えば、クリップおよび二部品ファスナー)を発射するように適合され得る。さらに、図面は、直線状のファスナー適用外科手術器具を図示するが、他の型の内視鏡外科手術器具が本開示によって包含され、そして開示されるブシング460と一緒に使用可能である。例えば、内視鏡鉗子のさらなる詳細は、共有に係る、Marczykらに対する米国特許出願公開第2010/0179540号、およびMarczykらに対する米国特許出願番号12/718,143に記載されており、これらの各々の全内容は、本明細書中に参考として援用される。別の例において、円形のファスナー適用外科手術器具のさらなる詳細は、共有に係る、Millimanらに対する米国特許出願公開第2009/0173767号に記載されており、その全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0022】
一般に、外科手術器具10は、ハンドルアセンブリ20を備え、このハンドルアセンブリは、可動ハンドル22、ハンドルアセンブリ20から遠位に延びて長手方向軸「A」を規定する細長部分または内視鏡部分30、および例えば、外科手術器具10がより大きい万能性を有することを可能にするために内視鏡部分30に取り付け可能な装填ユニット500を備える。装填ユニット500は、近位部分41およびエンドエフェクタ40を備え、このエンドエフェクタは、カートリッジ50およびアンビル60を備え、近位部分41に隣接して配置される。装填ユニット500は、単回使用のために構成されてもよく、そして/または1回より多く使用されるように構成されてもよい。外科手術用ステープル留め器具と一緒に使用するための装填ユニットの例は、共有に係る、Bolanosらに対する米国特許第5,752,644号に開示されており、その全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0023】
可動ハンドル22は、駆動棒または制御棒52の遠位への前進を引き起こすように(例えば、連続的な行程によって)起動可能であり、その結果、この駆動棒は駆動アセンブリの一部分を係合し、この係合は、この駆動アセンブリの少なくとも一部分を強制的に遠位に並進させる。(可動ハンドル22の起動がどのようにこの駆動棒の遠位への前進を引き起こすかのさらなる詳細は、Millimanらに対する米国特許第6,953,139号に説明されており、これは、本明細書中に参考として援用される。)駆動棒および特に、これと係合した動的クランプ部材の遠位への移動は、起動そりをカートリッジ50に通して遠位に移動させ、この移動は、この起動そりのカム楔をプッシャーに順番に係合させて、プッシャーを保持スロット内で垂直方向に移動させ、そしてファスナーをアンビル60に向けて排出させる。保持スロットから(組織内へ)のファスナーの排出後、この動的クランプ部材の切断縁部がカートリッジ50のスロットを通って遠位に移動する際に、この切断縁部は、ファスナー留めされた組織を切断する。
【0024】
図4図12を参照すると、器具10はまた、器具10の細長部分30と係合する前の器具10の作動を防止するための、ロッキング機構400を備える。ロッキング機構400は、第一のリンク402、ブシング460、接続部材または接続管406、および関節運動ロッキング部材408を備える。ブシング460は、本体部分470、およびこの本体部分から遠位に延びるフィンガー480を備える。第一のリンク402は、板状の部材を備え、この板状の部材は、制御棒52と、器具10の細長部分30の内側本体部分232との間で、制御棒52に形成された平坦表面53上に支持される(図10を参照のこと)。さらに、第一のリンク402は、ブシング460のフィンガー480から下がる舌部482を受容するための寸法にされた係合構造体414(例えば、開口部、スロット、移動止めなど)を備える。ブシング460、リンク402、および制御棒52上の平坦表面53は、制御棒52が外側管230内で回転することを防ぐように、一緒に機能する。このことは、外側管230内のフック242と制御棒52の切り欠き248との間の適切な回転整列を確実にする(例えば、図10を参照のこと)。
【0025】
ブシング460の本体部分470は、第一のリンク402の近位に配置され、そしてブシング460は、半径方向で外側管230と解放リンク202との間に配置される。さらに、ブシング460の本体部分470は、この本体部分を通って長手軸方向に延びる開口部分462を備える。開口部分462は、制御棒52の一部分がこの開口部分を通って長手軸方向にスライドすることを可能にするような寸法および構成にされる。すなわち、ブシング460は、制御棒52の周りにスライド可能に配置される。
【0026】
ブシング460のフィンガー480は、第一のリンク402を機械的に係合するように構成される。具体的には、フィンガー480の舌部482は、少なくとも部分的に第一のリンク402の係合構造体414内に(または係合構造体414を通して)受容されるために構成される。さらに、フィンガー480は、本体部分470に対して撓むように構成される。より具体的には、フィンガー480は、長手方向軸「A」から離れる方向に移動し得る。図11および図12を特に参照すると、フィンガー480の可撓性は、器具10(例えば、ロッキング機構400)の組み立てを容易にする。すなわち、組み立て中に、第一のリンク402(長手方向軸「A」に対してある角度で示されている)の近位方向への移動は、第一のリンク402の近位端402bを舌部482に、特にその角度付き部分483に係合させる。図示されるように、第一のリンク402と舌部482の角度付き部分483との間の係合は、フィンガー480を長手方向軸「A」から離れる方向に撓ませ、従って、第一のリンク402の引き続く近位方向への移動を可能にするかまたは容易にする。第一のリンク402は、第一のリンク402の近位端402bがブシング460の本体部分470の遠位表面474と接触するまで、近位に進み続けることが可能である。ここで、第一のリンク402の係合構造体414の近位縁部414aは、舌部482を越えて近位に移動しているので、舌部482が長手方向軸「A」に向かう方向に(すなわち、長手方向軸「A」と平行なその付勢位置に向かって)、少なくとも部分的に係合構造体414内に移動することを可能にする。この位置において、第一のリンク402とブシング460とは機械的に係合し、その結果、これらの2つの構成要素のうちの一方の長手軸方向への移動は、他方の構成要素の対応する長手軸方向への移動を引き起こす。さらに、ブシング460と第一のリンク402との間の係合は、制御棒52の長手軸方向の並進の際の第一のリンク402の長手軸方向の並進を防止する。
【0027】
第一のリンク402の近位端402bは、ブシング460の本体部分470の遠位表面474と接触する(すなわち、当接するか、または接触するように軸方向に移動可能である)ように構成される。ブシング460の本体部分470の近位表面476は、接続管406の壁の遠位端406bに接触する(すなわち、当接するか、または接触するように軸方向に移動可能である)ように構成される。従って、第一のリンク402の近位方向への移動は、例えば、装填ユニット500の装填中に、ブシング460および接続管406の対応する近位方向への移動を引き起こす。同様に、接続管406の遠位方向への移動は、例えば、この器具の発射中に、ブシング460および第一のリンク402の対応する遠位方向への移動を引き起こす。
【0028】
さらに、ブシング460の本体部分470の近位表面476の接触部分(すなわち、図10において制御棒52より上に描かれるブシング460の部分)の横断方向寸法(すなわち、図8のy軸に沿った寸法)は、接続管406の壁の遠位端406bより約2倍〜約10倍大きく、そしてブシング460の本体部分470の遠位表面474の接触部分の横断方向寸法(すなわち、図8のy軸に沿った寸法)は、第一のリンク402の近位端402bより約1倍〜約3倍大きい。従って、理解され得るように、ブシング460は、第一のリンク402と接続管406との間に頑丈な係合を提供する。ブシング460を備えない外科手術器具は、開示されるブシング460に適応するように、(例えば、第一のリンク402の長さを(例えば、その近位端402bの近くで)短縮すること、および/または接続管406の長さを(例えば、その遠位端406bの近くで)短縮することによって)改変され得ることがさらに想定される。
【0029】
さらに、図8および図10を参照すると、ブシング460は、フィンガー480上に配置された段490を備える。器具10が組み立てられるとき(例えば、外側管230がロッキング機構400の残りの部分の上にスライドされた後)、段490は、外側管230の内側表面に当接または近接するように構成される。段490と外側管230の内側表面との間の制限された空間(または空間がないこと)により、ブシング460と外側管230との間で可能な横断方向の移動の量が制限される。従って、段490は、器具10の使用中に、フィンガー480が制御棒52から離れる方向に撓まないことを確実にすることを補助する。さらに、段490は、舌部482と第一のリンク302の係合構造体414との間の係合を確実にすることを補助する。
【0030】
図6を特に参照すると、接続管406は、制御棒52の周りにスライド可能に配置され、そしてロッキング部材408の遠位面408aに当接する近位端406aを有する。ロッキング部材408もまた、制御棒52の周りにスライド可能に配置される。ブシング460および接続管406が第一のリンク402によって近位に動かされるとき(例えば、装填ユニット500が装填されているとき)、ロッキング部材408もまた近位に移動して、制御棒52の遠位への並進を可能にする。関連する外科手術器具の特徴および作動のさらなる詳細は、共有に係る米国特許出願番号13/274,497(2011年10月17日出願)に開示されており、その全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0031】
図6の参照を続けると、関節運動機構300が図示されており、この関節運動機構は、関節運動可能な装填ユニットを関節運動させるように構成されている。装填ユニット500(図1)は、関節運動特徴を備えるように示されないが、装填ユニット500は、関節運動レバー16の回転に応答して関節運動可能であることが想定される。あるいは、器具10は、関節運動する装填ユニットと関節運動しない装填ユニットとを用いて使用可能である、相互適合性デバイス(cross−compatible device)として構成され得る。関節運動しない装填ユニットと一緒に使用される場合、関節運動アセンブリ300は、単に、作動不可能である。
【0032】
関節運動機構300は、関節運動レバー16、機構カバー320、付勢部材322、上クラッチ324、下クラッチ326、メインシャフト328、および並進部材330を備える。下クラッチ326は、回転可能に固定され、そして中心貫通穴を規定し、この中心貫通穴は、メインシャフト328を受容するような寸法にされる。上クラッチ324は、メインシャフト328に回転可能に固定され、そして間隔を空けた複数の突出部を備え、これらの突出部は、下クラッチ326の鋸歯状突起内に受容される。付勢部材322は、上クラッチ324を下クラッチ326と係合するように推進して、関節運動機構300を固定された位置に解放可能に固定し、従って、関節運動可能な装填ユニットを固定された関節運動角度に解放可能に固定する。
【0033】
メインシャフト328は、カム部材364を備え、このカム部材は、並進部材330のカムスロット内へのスライド受容のために構成される。関節運動レバー16が回転させられると、カム部材364は、メインシャフト328により規定される軸の周りで回転する。カム部材364が回転で駆動させられると、並進部材330は、直線状に移動するように推進される。並進部材330は、関節運動可能な装填ユニットの関節運動リンク333(図7)を係合するように構成され、その結果、並進部材330の直線状の移動は、関節運動リンク333の直線状の移動を起こして、関節運動可能な装填ユニットの関節運動を行う。
【0034】
図7および図10を参照すると、器具10の細長本体部分30は、外側管230および内側本体部分232を備え、この内側本体部分を通して、制御棒52が挿入される。内側本体232は、解放リンク202をスライド可能に受容するための凹部236(図10)を規定し、その結果、解放リンクは、外側管230と内側本体部分232との間にスライド可能に配置される。本体232から半径方向外向きに延びる突出部238が、解放リンク202の横断延長部218の矩形開口部222(図7)内に延びる。ばね240が、矩形開口部222内に、突出部238と開口部222の遠位端との間に配置されて、解放リンク202を遠位に推進する。
【0035】
フック242が、外側管230と内側本体部分232との間で、傾斜したカム表面220に隣接して配置される。フック242は、横断方向遠位端246を有する細長本体244を備える。横断方向遠位端246は、制御棒52の切り込み248に隣接して配置される。フック242は、付勢部材250によって、フック242の遠位端246が切り込み248の外側に位置する位置に推進される。解放リンク202が付勢部材240の推進に逆らって(例えば、解放ボタン204(図1および図2)を近位に引くことによって)近位に移動させられると、カム表面220は、フック242の遠位端246を制御棒52の切り込み248内に移動させる。制御棒52が、図10に示されるその引き込まれた位置になく、そして切り欠き248が、フック242の遠位端246を受容するように配置されない場合、カム表面220は、フック242を半径方向内向きに動かすことができず、従って、リンク202は、近位に移動することができない。従って、装填ユニット500は、制御棒52がその引き込まれた位置にない場合、取り外しも設置もできない。
【0036】
上記のことから、種々の図面を参照して、当業者は、特定の改変もまた、本開示の範囲から逸脱することなく本開示に対してなされ得ることを理解する。本開示の数個の実施形態が図面に示されたが、本開示はこれらに限定されることを意図されない。なぜなら、本開示は当該分野が許容すると同程度に範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0037】
10 外科手術器具
20 ハンドルアセンブリ
30 細長部分
52 制御棒
232 内側本体部分
400 ロッキング機構
402 リンク
406 接続部材
408 関節運動ロッキング部材
460 ブシング
470 本体部分
480 フィンガー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12