(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力制御部は、前記フレーム番号と前記出力係数とを関連付けて予め記憶し、前記ドプラ偏移データに付帯された前記フレーム番号に関連付けられた前記出力係数を前記フィルタ処理が施された当該ドプラ偏移データに乗じる前記出力係数として決定することを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブを用いて被検体内に超音波を送信してその反射波を受信することにより、被検体の生体情報を取得するものである。
【0003】
超音波ドプラ法と超音波パルス反射法とを併用することで、1つの超音波プローブで被検体の断層像と血流情報とを求め、断層像に重ねて血流情報を逐次カラー表示する超音波診断装置が知られている。例えば超音波診断装置は、断層像をB(Brightness)モード画像として表示する。
【0004】
超音波診断装置が血流情報を求める原理について説明する。超音波診断装置が被検体において血液が流れている位置(血流位置)に対して超音波を送信すると、この送信された超音波の中心周波数は、流動する血球によってドプラ偏移周波数だけ偏移する。送信された超音波の中心周波数(基準周波数)を「fc」、ドプラ偏移周波数を「fd」、超音波プローブが受信する受信周波数を「f」とすると、
f=fc+fdとなる。
【0005】
また、血流速度を「V」、超音波ビームの方向と血流の方向とのなす角度を「θ」、音速を「c」とすると、基準周波数fc及びドプラ偏移周波数fdはおよそ以下の式で表される。
fd=(2×V×cosθ)×fc/c
超音波診断装置は、このドプラ偏移周波数「fd」を検出し、前述の関係式に基づいて、血流速度「V」を求めることができる。
【0006】
超音波診断装置が前述の原理で血流情報を求めるときのドプラスキャンについて
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は、ドプラスキャンの概略を表す模式図である。
図7は、従来技術に係る超音波診断装置の構成を表すブロック図である。例えば超音波診断装置は、超音波プローブから被検体おける定められた走査領域に対して、まず、方向Aについて超音波パルスを複数回繰り返し送受信する。次に、超音波診断装置は、方向Bについて超音波パルスを複数回繰り返し送受信する。以下同様に、超音波診断装置は、例えば方向Zまで順次複数回ずつ超音波パルスの送受信を繰り返す。1つの方向(走査線)当たりの繰り返し送受信数は、予め設定される。
【0007】
図7に示す構成の超音波診断装置によって、前述のドプラスキャンが行われる。例えば超音波診断装置が方向Aについて超音波パルスを複数回送信したとき、超音波プローブ100は、被検体内の血流位置でドプラ偏移された反射波を受信する。超音波プローブ100は、受信した反射波を電気信号に変換して受信回路200へ出力する。受信回路200は、電気信号を増幅し、位相検波回路300へ出力する。位相検波回路300は、受信信号についてドプラ偏移信号を検出する。位相検波回路300は、超音波パルスの送信方向に沿って設定された観測点SPごとにドプラ偏移信号を検出し、周波数分析器400へ出力する。周波数分析器400は、ドプラ偏移信号について周波数分析を行い、ドプラ偏移データとしてDSC(Digital Scan Converter)500へ出力する。DSC500は、ドプラ偏移データについて走査変換を行い、画像データとして表示部600へ出力する。表示部600は、この画像データを方向Aに沿った血流分布像として表示する。例えば超音波診断装置は、方向Bから方向Zまでの各方向について同じ動作をし、各方向に沿った血流分布像を表示部600に表示させる。超音波診断装置は、以上の動作を設定された時間間隔(フレームレート)ごとに繰り返すことで、血流分布像をリアルタイムに表示部600に表示させる。
【0008】
なお、ドプラ偏移データには、一定の時間間隔ごとに求められるドプラ偏移データごとに変化するノイズが含まれている。この時間変化するノイズを低減するため、超音波診断装置において、最新のドプラ偏移データと、複数フレーム分過去のドプラ偏移データとを重み付け加算して、これらのドプラ偏移データを平均化して1つのフレームの画像データとするパーシスタンス処理が知られている。このパーシスタンス処理によって、ドプラ偏移データに含まれるノイズを低減し、S/N比が向上された画像データを求めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[構成]
図1は、この実施形態の超音波診断装置1aの構成を表すブロック図である。超音波診断装置1aは、被検体における走査領域について超音波によるドプラスキャンを行う。超音波診断装置1aは、超音波プローブ2と、電子走査部3と、直交検波部4と、MTI(Moving Target Indicator)演算部5と、出力制御部6と、表示制御部7と、システム制御部8と、表示部9と、操作部10とを有する。
【0015】
(超音波プローブ2)
超音波プローブ2は、被検体へ超音波を送信し、被検体からの反射波をエコー信号として受信する。超音波プローブ2は、複数の超音波振動子が走査方向に1列に配置された1次元アレイプローブ、又は、複数の超音波振動子が2次元的に配置された2次元アレイプローブが用いられる。また、超音波プローブ2の形態としては、リニア対応、セクタ対応、コンベックス対応などの中から適宜選択されてよい。
【0016】
(電子走査部3)
電子走査部3は、被検体の断層像を求めるためのスキャン及び被検体の血流情報を求めるためのドプラスキャンを行う。電子走査部3は、基準信号発生器31と、ディレーライン32と、パルサ回路33と、プリアンプ34と、加算器35と、検波器36とを有する。
【0017】
基準信号発生器31は、基準周波数fcを表す基準信号を、ディレーライン32、ミキサ42a、及び90度移相器41へ出力する。例えば、基準周波数fcは、プリセットされている。また、基準信号発生器31は、ユーザによる基準周波数fcの指定を受けてもよい。
【0018】
ディレーライン32は、超音波の送信時、受けた基準信号に、送信指向性を決定するための遅延時間を与えてパルサ回路33へ出力する。また、ディレーライン32は、超音波の受信時、プリアンプ34から受けたエコー信号に、受信指向性を決定するための遅延時間を与えて加算器35へ出力する。
【0019】
パルサ回路33は、各超音波振動子に対応した経路(チャンネル)の数に応じたパルサを備え、ディレーライン32によって与えられた遅延時間に基づく送信タイミングで駆動パルスを発生し、超音波プローブ2の各超音波振動子に供給する。超音波振動子は、この駆動パルスに基づいて超音波を発生する。
【0020】
プリアンプ34は、超音波プローブ2の各超音波振動子からのエコー信号を受信チャンネルごとに増幅し、ディレーライン32へ出力する。加算器35は、ディレーライン32から受けたエコー信号を加算する。この加算によって、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。加算器35は加算したエコー信号を検波器36、ミキサ42a、及びミキサ42bへ出力する。検波器36は、加算器35からのエコー信号の包絡線を検波し、被検体の断層像を表すBモードデータを生成する。検波器36はBモードデータを第1のDSC71へ出力する。
【0021】
(直交検波部4)
直交検波部4は、90度移相器41と、ミキサ42aと、ミキサ42bと、ローパスフィルタ43aと、ローパスフィルタ43bとを有する。90度移相器41は、基準信号発生器31からの基準信号に90度の位相差を加え、ミキサ42bへ出力する。ミキサ42aは、基準信号発生器31からの基準信号と、加算器35からのエコー信号とを合成してローパスフィルタ43aへ出力する。ミキサ42bは、90度移相器41によって90度の位相差を加えられた基準信号と、加算器35からのエコー信号とを合成してローパスフィルタ43bへ出力する。ここで、ミキサ42a及びミキサ42bのそれぞれから出力される信号は、基準周波数fcとドプラ偏移周波数fdとが合成された周波数成分「2fc+fd」を含んでいる。ローパスフィルタ43a及びローパスフィルタ43bのそれぞれは、ミキサ42a及びミキサ42bのそれぞれから受けた信号の周波数成分「2fc+fd」のうちの高周波成分「2fc」を除去し、MTIフィルタ52a及びMTIフィルタ52bのそれぞれへ位相検波出力信号として出力する。
【0022】
(MTI演算部5)
MTI演算部5は、A/D変換器51aと、A/D変換器51bと、MTIフィルタ52aと、MTIフィルタ52bと、データ生成部53と、パーシスタンス処理部54とを有する。A/D変換器51a及びA/D変換器51bはそれぞれ、ローパスフィルタ43a及びローパスフィルタ43bのそれぞれから受けた位相検波出力信号をデジタル信号に変換し、MTIフィルタ52a及びMTIフィルタ52bのそれぞれへ出力する。
【0023】
MTIフィルタ52a及びMTIフィルタ52bはそれぞれ、A/D変換器51a及びA/D変換器51bのそれぞれからの入力に含まれる周波数成分のうち、低周波成分を低減する。それにより、A/D変換器51a及びA/D変換器51bのそれぞれからの入力に含まれる周波数成分のうち、高周波成分が抽出される。なお、MTIフィルタ52a及びMTIフィルタ52bのフィルタ特性は、例えば心臓壁などの比較的遅い速度で動く組織からの反射波に基づく低周波成分を低減し、血球などの比較的速い速度で動く組織からの反射波に基づく高周波成分を抽出するように予め設定される。MTIフィルタ52a及びMTIフィルタ52bはそれぞれ、抽出した高周波成分を自己相関演算部531へ出力する。
【0024】
データ生成部53は、エコー信号に基づくドプラ偏移データを逐次生成する。ドプラ偏移データとは、後述する偏移周波数データ、速度データ、分散データ、またはパワーデータを表すデータである。また、データ生成部53は、ドプラ偏移データを生成するごとに、初期化信号があったときからの追番であるフレーム番号を当該ドプラ偏移データに付帯してもよい。初期化信号は、走査領域の変更指示またはフリーズ解除指示に基づく信号である。例えば、システム制御部8は、操作部10を介してユーザによる走査領域の変更指示またはフリーズ解除指示を受けたとき、初期化信号をパーシスタンス処理部54へ出力するとともに、初期化信号を出力したことを表す制御信号をデータ生成部53へ出力する。データ生成部53は、この制御信号を受けたときからの追番をフレーム番号としてドプラ偏移データに付帯する。データ生成部53は、自己相関演算部531と、速度演算部532と、分散演算部533と、パワー演算部534とを有する。
【0025】
自己相関演算部531は、MTIフィルタ52a及びMTIフィルタ52bから受けた高周波成分に対して周波数分析を観測点SPごとに行う。例えば、自己相関演算部531は、受けた高周波成分を、予め設定されたゲイン値に基づいて増幅する。自己相関演算部531は、増幅した高周波成分について周波数解析を観測点SPごとに行うことによって、ドプラ偏移周波数fdを求める。自己相関演算部531は、予め設定された時間間隔(フレームレート)ごとにドプラ偏移周波数fdを求め、求めたドプラ偏移周波数fdを偏移周波数データとして速度演算部532、分散演算部533、及びパワー演算部534へ逐次出力する。
【0026】
速度演算部532、分散演算部533、及びパワー演算部534は、受けた偏移周波数データに基づいてそれぞれ予め設定された演算を行い、観測点SPごとの血流情報を求める。速度演算部532は、血流情報のうち、観測点SPごとの血流速度を求める。速度演算部532は、求めた血流速度を速度データとしてパーシスタンス処理部54へ出力する。分散演算部533は、血流情報のうち、観測点SPごとの血流速度の分散値を求める。分散演算部533は、求めた分散値を分散データとしてパーシスタンス処理部54へ出力する。パワー演算部534は、血流情報のうち、観測点SPごとの血流量に基づく値であるパワーを求める。パワー演算部534は、求めたパワーをパワーデータとしてパーシスタンス処理部54へ出力する。
【0027】
パーシスタンス処理部54は、1以上のドプラ偏移データを記憶し、最新のドプラ偏移データと記憶したドプラ偏移データとを平均化するフィルタ処置を施すことが可能に構成される。例えば、パーシスタンス処理部54は、フィルタ処理を施したドプラ偏移データに出力係数を乗じて出力する構成である。
図2は、パーシスタンス処理部54の構成を表すブロック図である。パーシスタンス処理部54は、記憶部541と、第1の乗算部542と、第2の乗算部543と、第1の加算器544と、第3の乗算部545と、第2の加算器546と、第4の乗算部547とを有する。
【0028】
記憶部541は、1以上のドプラ偏移データを記憶することができる。ここで、1つのドプラ偏移データとは、1つのフレームのドプラ偏移データとする。記憶部541は、記憶したドプラ偏移データに替えて、後述する第1の加算器544から入力されたドプラ偏移データを新たに記憶する。また、記憶部541は、初期化信号があったとき、記憶していたドプラ偏移データを削除する。
【0029】
第1の乗算部542は、データ生成部53からドプラ偏移データを受ける。該ドプラ偏移データを最新のドプラ偏移データとする。第1の乗算部542は、最新のドプラ偏移データに設定された係数を乗じ、第1の加算器544へ出力する。第2の乗算部543は、記憶部541が記憶したドプラ偏移データを受け、該ドプラ偏移データに設定された係数を乗じ、第1の加算器544へ出力する。第1の加算器544は、第1の乗算部542からの入力と第2の乗算部543からの入力とを加算し、記憶部541及び第2の加算器546へ出力する。第3の乗算部545は、記憶部541が記憶したドプラ偏移データを受け、該ドプラ偏移データに設定された係数を乗じ、第2の加算器546へ出力する。
【0030】
第2の加算器546は、第1の加算器544からの入力と第3の乗算部545からの入力とを加算する。それにより、最新のドプラ偏移データと過去のドプラ偏移データとが重み付け加算され、これらのドプラ偏移データの移動平均を表すドプラ偏移データが求められる。該ドプラ偏移データは、最新のドプラ偏移データと記憶したドプラ偏移データとを平均化するフィルタ処置が施されたドプラ偏移データに相当する。第2の加算器546は、該ドプラ偏移データを第4の乗算部547へ出力する。
【0031】
第4の乗算部547は、第2の加算器546からの入力に出力係数を乗じ、第2のDSC72へ出力する。パーシスタンス処理部54は、以上の処理を速度データ、分散データ、及びパワーデータのそれぞれに施す。
【0032】
なお、第1の乗算部542、第2の乗算部543、及び第3の乗算部545における係数は、超音波診断装置1aの動作条件ごとに設定される。この動作条件には、1つの走査線当たりの繰り返し送受信数やフレームレートなどが含まれる。例えばパーシスタンス処理部54において、第1の乗算部542の係数が「1−α」として設定され、第2の乗算部543の係数が「α」として設定され、第3の乗算部545の係数が「β」として設定されている。これらの係数「1−α」、「α」、及び「β」は、第2の加算器546における重み付け加算の重み係数として作用する。また、係数「α」及び係数「β」各々の値は、動作条件ごとに適宜設定されてよい。
【0033】
(出力制御部6)
出力制御部6は、パーシスタンス処理部54に記憶されたドプラ偏移データを初期化するための初期化信号があったとき、パーシスタンス処理部54からの出力を制御する。例えば、出力制御部6は、ドプラ偏移データに付帯されたフレーム番号に基づいて、フィルタ処理が施されたドプラ偏移データに乗じる出力係数を決定する。出力制御部6は、決定した出力係数を第4の乗算部547に設定することによって、パーシスタンス処理部54からの出力を制御する。この場合、出力制御部6は、フレーム番号と出力係数とを関連付けて予め記憶し、ドプラ偏移データに付帯されたフレーム番号に関連付けられた出力係数をフィルタ処理が施された当該ドプラ偏移データに乗じる出力係数として決定する。
【0034】
ここで、フレーム番号と出力係数との関係について説明する。
図3は、フレーム番号と出力係数との関係を表す模式図である。まず、フレーム番号F1からフレーム番号Fnまでの区間について説明する。フレーム番号F1は、初期化信号があった後、最初に生成されたドプラ偏移データに付帯されるフレーム番号である。出力係数γ1は、フレーム番号F1に関連付けられた出力係数である。フレーム番号Fnは、初期化信号があった後、所定のn番目に生成されたドプラ偏移データに付帯されるフレーム番号である。なお、フレーム番号F1からフレーム番号Fnまでのフレーム枚数nは、予め設定されてよい。出力係数γnは、フレーム番号Fnに関連付けられた出力係数である。このように、フレーム番号Fi(i:1からnまでの自然数)と出力係数γi(i:1からnまでの自然数)とが関連付けられる。また、フレーム番号F1からフレーム番号Fnまでの区間において、出力係数γiは、フレーム番号Fiに対して単調増加するように関連付けられる。出力係数γ1の値としては、例えば零など、出力係数γiの中で最も小さな値が設定される(
図3では、説明のため、フレーム番号F1と出力係数γ1とを零の位置からずらして表している)。それにより、第4の乗算部547は、初期化信号があった後、フレーム番号F1が付帯されたドプラ偏移データに、最も小さな値である出力係数γ1を乗じて小さな強度のデータとし、そしてフレーム番号Fnが付帯されたドプラ偏移データまで、徐々に出力係数の値を増加させながら乗じ、データの強度を徐々に増加させる。
【0035】
次に、フレーム番号Fn以降の区間について説明する。この区間のフレーム番号にはすべて、出力係数γnが関連付けられる。それにより、第4の乗算部547は、初期化信号があった後、フレーム番号Fn以降のフレーム番号が付帯されたドプラ偏移データに一定の値を乗じる。出力係数γnの値として、例えば「1」が予め設定されてよい。
【0036】
例えば、出力制御部6は、パーシスタンス処理部54がドプラ偏移データを受けるごとに、当該ドプラ偏移データに付帯されたフレーム番号を読み、該フレーム番号に関連付けられた出力係数をパーシスタンス処理部54の第4の乗算部547に設定する。
【0037】
なお、出力制御部6は、パーシスタンス処理部54がドプラ偏移データを受けるごとに、受けたドプラ偏移データの数をフレーム番号としてカウントし、カウントしたフレーム番号に関連付けられた出力係数を第4の乗算部547に設定してもよい。このとき、出力制御部6は、初期化信号があった後、フレーム番号を最初から新たにカウントする。また、出力制御部6は、係数「α」若しくは係数「β」又はこれら双方を出力係数と同様に制御してもよい。
【0038】
(表示制御部7)
表示制御部7は、第1のDSC71と、第2のDSC72と、表示処理部73と、MPX(Multiplexer)74と、D/A変換器75とを有する。第1のDSC71は、検波器36からBモードデータを受け、超音波の走査線の信号列で表されたBモードデータを表示用の座標系に走査変換する。第1のDSC71は走査変換したBモードデータを表示処理部73へ出力する。
【0039】
第2のDSC72は、パーシスタンス処理部54からドプラ偏移データを受け、超音波の走査線の信号列で表されたドプラ偏移データを表示用の座標系に走査変換する。第2のDSC72は、走査変換したドプラ偏移データを表示処理部73へ出力する。
【0040】
表示処理部73は、第1のDSC71からBモードデータを受け、Bモードデータの振幅を輝度で表す輝度情報を付加し、被検体の断層像を表すBモード画像データとしてMPX74へ出力する。また、表示処理部73は、第2のDSC72からドプラ偏移データを受ける。表示処理部73は、ドプラ偏移データをカラー表示するためのカラー情報を予め記憶する。例えばカラー情報は、超音波プローブ2へ近づく血流を赤とし、超音波プローブ2から遠ざかる血流を青とし、速度の大きさを輝度で表し、分散を緑の色相で段階的に表す情報を含む。表示処理部73は、ドプラ偏移データにカラー情報を付加し、被検体の血流情報を表すドプラ画像データとしてMPX74へ出力する。
【0041】
MPX74は、表示処理部73からBモード画像データ及びドプラ画像データを受ける。MPX74は、Bモード画像にドプラ画像を重畳させた画像を表示するための表示画像データを生成する。MPX74は、表示画像データの各画素について、Bモード画像データの輝度情報又はドプラ画像データのカラー情報を割り当て、Bモード画像にドプラ画像を重畳させた画像を表す表示画像データを生成し、D/A変換器75へ出力する。D/A変換器75は、MPX74から受けた表示画像データをアナログ信号に変換し、表示部9へ出力する。
【0042】
(システム制御部8)
システム制御部8は、超音波診断装置1aの各部の動作を制御する。システム制御部8は、出力制御部6を制御して、出力係数の設定をさせる。また、システム制御部8は、電子走査部3を制御して超音波の送受信条件及び走査領域を設定する。システム制御部8は、操作部10を介しユーザによるフリーズ解除指示または走査領域の変更指示を受けたとき、初期化信号をパーシスタンス処理部54へ出力する。システム制御部8は、超音波診断装置1aの各部の機能を実行するためのコンピュータプログラムを予め記憶する。システム制御部8は、これらコンピュータプログラムを実行することで、上記機能を実現する。
【0043】
(表示部9)
表示部9は、D/A変換器75からの入力に基づく画像を表示する。表示部9は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスで構成される。
【0044】
(操作部10)
操作部10は、ユーザによる操作を受けて、この操作の内容に応じた信号や情報を装置各部に入力する。操作部10は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどによって構成される。
【0045】
なお、MTI演算部5は、パーシスタンス処理部54の後段にブランク処理部55を有してもよい。ブランク処理部55は、受けたドプラ偏移データについて、予め設定された閾値以下の強度の信号を表示させないためのブランク処理を行う。
【0046】
また、この実施形態の超音波診断装置1aにおいて、パーシスタンス処理部54は、速度演算部532、分散演算部533、及びパワー演算部534からの入力にフィルタ処理を施しているが、自己相関演算部531からの入力にフィルタ処理を施し、そして速度演算部532、分散演算部533、及びパワー演算部534へフィルタ処理を施したドプラ偏移データを出力してもよい。
【0047】
[動作]
この実施形態の超音波診断装置1aの動作について説明する。
図4は、超音波診断装置1aが初期化信号を受けてからの動作を表すフローチャートである。
【0048】
(S001)
データ生成部53は、初期化信号を出力したことを表す制御信号を受けたときからの追番をフレーム番号としてドプラ偏移データに付帯する。データ生成部53は、該ドプラ偏移データをパーシスタンス処理部54へ出力する。
【0049】
(S002)
出力制御部6は、パーシスタンス処理部54がドプラ偏移データを受けたとき、当該ドプラ偏移データに付帯されたフレーム番号を読み、該フレーム番号に関連付けられた出力係数をパーシスタンス処理部54の第4の乗算部547に設定する。
【0050】
(S003)
パーシスタンス処理部54は、受けたドプラ偏移データにフィルタ処理を施し、設定された出力係数を乗じて表示制御部7へ出力する。表示制御部7は、パーシスタンス処理部54によって出力係数が乗じられたドプラ偏移データに基づくドプラ画像を電子走査部3からの入力に基づく断層画像に重畳させた画像を表示部9に表示させる。
【0051】
(S004)
当該ドプラ偏移データのフレーム番号が所定のフレーム番号Fnでないとき、ステップS001へ戻る。当該ドプラ偏移データのフレーム番号が所定のフレーム番号Fnであるとき、ステップS005へ進む。
【0052】
(S005)
出力制御部6は、所定のフレーム番号Fn以降のドプラ偏移データについて、出力係数を一定の値である出力係数γnに設定する。パーシスタンス処理部54は、所定のフレーム番号Fn以降のドプラ偏移データにフィルタ処理を施し、出力係数γnを乗じたドプラ偏移データを出力する。表示制御部7は、電子走査部3からの入力に基づく断層画像とパーシスタンス処理部54によって出力係数γnが乗じられたドプラ偏移データに基づくドプラ画像とを重畳させた画像を表示部9に表示させる。
【0053】
[効果]
この実施形態の超音波診断装置1aの効果について説明する。超音波診断装置1aは、データ生成部53と、パーシスタンス処理部54と、出力制御部6とを有する。データ生成部53は、エコー信号に基づくドプラ偏移データを逐次生成する。パーシスタンス処理部54は、1以上のドプラ偏移データを記憶し、最新のドプラ偏移データと記憶したドプラ偏移データとを平均化するフィルタ処理を施すことが可能に構成される。出力制御部6は、パーシスタンス処理部54に記憶されたドプラ偏移データを初期化するための初期化信号があったとき、パーシスタンス処理部54からの出力を制御する。この超音波診断装置1aは、初期化信号があった後、最初にパーシスタンス処理されるフレームのドプラ偏移データの出力を低減し、そしてその後にパーシスタンス処理されるフレームの出力を徐々に増加させる。このことは、初期化信号があった後に表示される所定枚数のノイズを多く含んだ画像は、その出力が弱められて表示されることに相当する。それにより、フリーズ解除後または走査領域変更後にドプラスキャンを開始したとき、ノイズを多く含んだ画像によってユーザへ与えるストレスを低減することができる超音波診断装置1aを提供することができる。
【0054】
〈変形例〉
上述した実施形態の超音波診断装置1bの変形例について説明する。
図5は、この変形例の超音波診断装置1bの構成を表すブロック図である。この変形例の超音波診断装置1bは、システム制御部8及び出力制御部6における処理内容が上述した実施形態の超音波診断装置1aと異なる。以下、上述した実施形態と異なる事項について主に説明する。
【0055】
システム制御部8は、送受信制御部を有する。送受信制御部は、電子走査部3から直交検波部4へ出力されるエコー信号に出力係数を付帯させる。例えば送受信制御部は、電子走査部3を制御して、1フレーム分のエコー信号が出力されるごとに、出力係数を表す情報を付帯させる。出力係数を表す情報が付帯されたエコー信号は、後段の処理を経てデータ生成部53へ入力される。該情報は、後段のローパスフィルタ43a、ローパスフィルタ43b、MTIフィルタ52a、及びMTIフィルタ52bを通過する周波数帯域の信号に設定される。また出力係数を表す情報は、後段の処理において、出力係数の値を表すビット列となるように設定される。
【0056】
送受信制御部は、フレーム番号と出力係数とを関連付けて予め記憶する。フレーム番号と出力係数との関係は、
図3に表す関係と同様である。送受信制御部は、電子走査部3を制御して、初期化信号があった後、最初の1フレームのエコー信号に、フレーム番号F1に関連付けられた出力係数γ1を表す情報を付帯させる。そして、所定のフレーム枚数(フレーム番号Fn)のフレームのエコー信号まで、出力係数の値が単調増加させながら、1フレーム分のエコー信号に逐次付帯させる。なお、送受信制御部は、電子走査部3を制御して、所定のフレーム枚数以降のエコー信号には設定された出力係数γnを表す情報を付帯させる。
【0057】
出力係数を表す情報が付帯されたエコー信号は、後段の直交検波部4、A/D変換器51a、A/D変換器51b、MTIフィルタ52a、MTIフィルタ52b、及びデータ生成部53による処理の後、出力係数を表すビット列が付帯されたドプラ偏移データとして、パーシスタンス処理部54へ入力される。
【0058】
出力制御部6は、ドプラ偏移データに付帯された出力係数をフィルタ処理が施されたドプラ偏移データに乗じる出力係数として決定することによって、パーシスタンス処理部54からの出力を制御する。このとき出力制御部6は、パーシスタンス処理部54がドプラ偏移データを受けるごとに、当該ドプラ偏移データに付帯された出力係数を読み、該出力係数を第4の乗算部547に設定する。それにより、パーシスタンス処理部54からの出力が制御される。
【0059】
この変形例の超音波診断装置1bによれば、出力制御部6は、ドプラ偏移データに付帯された出力係数を読み、該出力係数をパーシスタンス処理部54からの出力係数に設定する。それにより、初期化信号があった後に表示される所定枚数のノイズを多く含んだ画像は、その出力が弱められて表示される。従って、フリーズ解除後または走査領域変更後にドプラスキャンを開始したとき、ノイズを多く表す画像によってユーザへ与えるストレスを低減することができる超音波診断装置1bを提供することができる。
【0060】
〈実施形態及び変形例に共通の効果〉
以上述べた実施形態又は変形例の超音波診断装置によれば、初期化信号があった後、最初にパーシスタンス処理されるフレームのドプラ偏移データの出力を低減し、そしてその後にパーシスタンス処理されるフレームの出力を徐々に増加させる。それにより、フリーズ解除後または走査領域変更後にドプラスキャンを開始したとき、ノイズを多く表す画像によってユーザへ与えるストレスを低減することができる超音波診断装置を提供することができる。
【0061】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。例えばパーシスタンス処理部には速度演算部、分散演算部、パワー演算部の出力信号を入力しているが、自己相関演算部の出力信号を入力し、パーシスタンス処理した後の自己相関係数から速度、分散、パワーを求めるようにしても良い。
【0062】
また、これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。