(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記信号出力部の出力する前記加算信号に基づく信号が、前記複数の単位セルの各々の前記加算信号に基づく信号同士で平均化した信号であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら各実施例を説明する。
【0013】
(実施例1)
図1(a)は、本実施例の光電変換システムの構成例を示した模式図である。
図1(a)の光電変換システムは、光電変換装置1、演算部2を有する。演算部2は、アナログ−デジタル変換部(以下A/D部)4、メモリ5、測光処理部6、システム制御部7を有する。
【0014】
光電変換装置1は、被写体からの光に基づく信号を演算部2に出力する。光電変換装置1から演算部2に出力された信号は、A/D部4でアナログ−デジタル変換される。メモリ5は、A/D部4で変換されたデジタル信号を保持する。光電変換装置1及びA/D部4の動作は、システム制御部7により制御される。更に、メモリ5は保持した信号を測光処理部6に出力し、測光処理部6は出力された信号に基づいて被写体の測光を行う。システム制御部7は、演算部2の各部及び光電変換装置1の制御を行う。
【0015】
図1(b)は、光電変換装置1の構成例を示したものである。光電変換装置1は、画素部11、主走査回路12、読み出し回路13、副走査回路14、出力アンプ15、タイミングジェネレータ(以下TG)16を備えている。画素部11は被写体からの光が入射する受光領域である。
【0016】
画素部11は、光電変換部を備えた複数の画素が行列状に並んで配置されている。主走査回路12は、光電変換部に蓄積された電荷の読み出し、複数の光電変換部で蓄積された信号電荷の加算、光電変換部のリセットのそれぞれの制御を、画素部11の行単位で行う。画素部11は、主走査回路12の制御に基づいて、リセットレベルの信号と、被写体からの光に基づく光電変換信号とを出力する。読み出し回路13は、主走査回路12によって読み出された画素部11の信号をCDS(Correlated Double Sampling)処理する。具体的には、読み出し回路13は、画素部11から読み出し回路13に至る電気的経路が有する固有のオフセットを含むリセットレベルの信号と、光電変換信号との差の信号を出力する。このCDS処理により、読み出し回路13は、ノイズ成分の低減された光電変換信号を出力アンプ15に出力する。副走査回路14は、読み出し回路13に保持されているCDS処理後の光電変換信号を、読み出し回路13から順次、出力アンプ15に出力させる。出力アンプ15は、副走査回路14により読み出し回路13から出力された、CDS処理後の光電変換信号を増幅し、出力信号Voutとして演算部2に出力する。出力信号Voutが、光電変換装置1が演算部2に出力する、被写体からの光に基づく信号である。TG16には外部からクロック信号CLKが与えられている。TG16は、主走査回路12、読み出し回路13、副走査回路14の動作を制御する。
【0017】
図1(c)は、出力信号Voutと垂直同期信号VD、水平同期信号HDとの関係を示すタイミング図である。TG16が主走査回路12に出力する垂直同期信号VDをHighレベル(以下Hレベル)とすると、主走査回路12は画素部11から順次、読み出し回路13にノイズレベルの信号と光に基づく信号とを出力させる。垂直同期信号VDがLowレベル(以下Lレベル)の期間、すなわち時刻t1から時刻t2までの期間が主走査ブランキング期間である。また、垂直同期信号VDがHレベルの期間、すなわち時刻t2から時刻t5までの期間が主走査信号期間である。1つの主走査ブランキング期間と、1つの主走査信号期間とを合わせた期間、すなわち時刻t1から時刻t5までの期間が主走査期間である。また、TG16に入力される水平同期信号HDがHレベルの期間、TG16は副走査回路14に、読み出し回路13を走査させる。この走査により、読み出し回路13は、CDS処理した光電変換信号を出力アンプ15に出力する。水平同期信号HDがHレベルである期間、すなわち時刻t3から時刻t4までの期間が、副走査信号期間である。また、垂直同期信号VDがHレベルとなってから、水平同期信号HDがHレベルとなるまでの期間、すなわち時刻t2から時刻t3までの期間が、副走査ブランキング期間である。1つの副走査ブランキング期間と、1つの副走査信号期間と、を合わせた期間、すなわち時刻t2から時刻t4までの期間が副走査期間である。
【0018】
図1(c)に示したVoutは、
図1の出力アンプ15の出力信号Voutを示している。
【0019】
図2は、本実施例の画素部11を示した図である。
【0020】
画素部11は、複数の領域21を有する。
図2に示した画素部11は、2行2列の領域21を有する。領域21には、セル部22及び単位信号処理部23が設けられている。
【0021】
図2に示した画素部11の各画素24のフォトダイオードには、カラーフィルタが設けられている。各画素24のフォトダイオードのカラーフィルタの色は、
図2の画素24の内部に「R、Gr、Gb、B」で示している。「R」が付されている画素24は、対応して設けられているカラーフィルタの色がRed(赤)であることを示している。「Gr」が付されている画素24は、「R」の画素24と同一行に設けられた画素24であるとともに、該画素24に対応して設けられているカラーフィルタの色がGreen(緑)であることを示している。「Gb」が付されている画素24は、「B」の画素24と同一行に設けられた画素24であるとともに、該画素24に対応して設けられているカラーフィルタの色がGreen(緑)であることを示している。第一信号線L11−1〜L11−8は、画素24の各々の信号が出力される信号線である。単位信号処理部23には、複数の画素24で生じた信号電荷が加算されたことに基づく信号が入力される。そして、各列の単位信号処理部23は、入力された該信号に基づく信号を第二信号線L21−1、L21−2に出力する。また、同列に配置された複数の単位信号処理部23の各々は、共通の第二信号線L21に信号を出力する。
【0022】
図3は、領域21をより詳細に示した図である。各制御線30〜35に印加される信号はそれぞれ順に、信号φTX1、φTX2、φTX3、φTX4、φSEL1、φRES1である。また、各制御線37〜43に印加される信号はそれぞれ順に、信号φCON、φTX5、φTX6、φTX7、φTX8、φSEL2、φRES2である。
【0023】
セル部22は、フォトダイオード101と、フォトダイオード101に蓄積された電荷を転送するトランジスタ102を有する画素24を複数有する以下、
図3において、R1、Gb1、R3、Gb3を付した画素24を有する単位セル100について説明する。単位セル100は4つの画素24、トランジスタ103、104、105を有している。
【0024】
トランジスタ102のゲートは、
図1の主走査回路12に接続された制御線30に接続されている。トランジスタ103の一方の主ノードには、電源線VL1から電圧が入力されている。トランジスタ103の他方の主ノードはトランジスタ104の一方の主ノードに電気的に接続されている。トランジスタ104の他方の主ノードは、第一信号線L11−1に電気的に接続されている。制御線34に印加される信号φSEL1をTG16がHレベルとすることにより、トランジスタ103からトランジスタ104を介して第一信号線L11−1に至る電気的経路が導通状態となる。不図示の電流源が第一信号線L11−1に電流を供給することによって、トランジスタ103はソースフォロアとして動作する。従って、トランジスタ103は、トランジスタ103の入力ノードの電位に応じた信号を、トランジスタ104を介して第一信号線L11−1に出力する。トランジスタ103は、単位セル100の信号を第一信号線に出力するセル出力部である。
【0025】
トランジスタ105の一方の主ノードには電源線VL2から電圧が入力されている。トランジスタ105の他方の主ノードはトランジスタ103の入力ノードに電気的に接続されている。
【0026】
図3でR1、Gb1、R3、Gb3を付した各画素24の各々のトランジスタ102は、同一のトランジスタ103の入力ノードに電気的に接続されている。
【0027】
図3では、複数の単位セル100が行列状に設けられている。
図3では、一つの単位セル100に関わる各トランジスタについて符号を付している。他の単位セル100についても、カラーフィルタの配列を除いて、各トランジスタに符号を付した単位セル100と同様の回路構成である。以下、
図3で各トランジスタに符号を付した単位セル100を中心に説明する。
【0028】
同行のトランジスタ102は、共通の制御線30〜33に電気的に接続されている。また、同行のトランジスタ104は共通の制御線34に電気的に接続されている。また、同行のトランジスタ105は共通の制御線35に電気的に接続されている。
【0029】
また、同列のトランジスタ103の入力ノードは、トランジスタ106によって電気的に接続されている。
【0030】
単位信号処理部23は、容量素子108、トランジスタ107、109が複数列設けられている。各列の容量素子108、トランジスタ107、109は、単位セルの各列に対応して設けられている。さらに単位信号処理部23は、出力アンプ110を有する。
【0031】
図4を参照しながら、
図3に示したセル部22、単位信号処理部23の動作を説明する。
【0032】
図4は、
図3におけるセル部22の動作のタイミング図である。
図4に示した動作では、フォトダイオード101を露光する。その後、1副走査期間中に単位セル100が含む4つの画素24の各々が光に基づく信号を、第一信号線L11を介して、
図1(b)の読み出し回路13に出力する。
図4に示した各信号は、
図3に示した各信号に対応している。
図4に示した時刻t0から時刻t32までの期間、TG16は制御線45に印加される信号φME、制御線46に印加されるφAVE、制御線37に印加されるφCONを共にLレベルとしている。つまり、
図4に示した動作では、第一信号線L11に出力された信号は全て、単位信号処理部23の容量素子108には出力されず、読み出し回路13に出力される。
【0033】
時刻t0にTG16が信号φRES1、φRES2をHレベルとした後、TG16が信号φTX1〜φTX8を全てHレベルとする。これにより、
図3に示した2行4列の単位セル100に含まれる全画素24のトランジスタ103の入力ノードとフォトダイオード101の電位がリセットされる。
【0034】
時刻t1に、TG16が信号φTX1〜φTX8を全てLレベルにする。これにより、各画素のフォトダイオード101の信号電荷がリセットされる。単位セル100の各画素24の露光期間は、時刻t1から、各画素24に入力される信号φTXが次にHレベルになるまでの期間である。
図4では、信号φTX1によって制御されるトランジスタ102を有する画素24の露光期間を示している。
【0035】
時刻t2に、TG16が信号φRES1をHレベルとすると、制御線35に電気的に接続されているトランジスタ105がオンとなる。これにより、制御線35によって制御されるトランジスタ105に電気的に接続されたトランジスタ103の入力ノードの電位がリセットされる。
【0036】
時刻t3に、TG16は信号φSEL1をHレベルとする。これにより、制御線34によって制御されるトランジスタ104が第一信号線L11にリセットレベルの信号を出力する。
【0037】
時刻t4に、TG16は信号φTX1をHレベルとする。これにより、
図3でR1、Gr1、R2、Gr2と付した画素24の各々のフォトダイオード101が蓄積した信号電荷が、各々の単位セル100のトランジスタ103の入力ノードに転送される。これにより、制御線34によって制御されるトランジスタ104が第一信号線L11に光電変換信号を出力する。
【0038】
時刻t5に、TG16は信号φSEL1をLレベルにする。
【0039】
時刻t6に、TG16は信号φRES1をHレベルにする。これにより、制御線35によって制御されるトランジスタ105に電気的に接続されたトランジスタ103の入力ノードの電位がリセットされる。
【0040】
時刻t7に、TG16は信号φSEL1をHレベルにする。これにより、制御線34によって制御されるトランジスタ104が第一信号線L11を介して読み出し回路13にリセットレベルの信号を出力する。
【0041】
時刻t8に、TG16は信号φTX2をHレベルにする。これにより、
図3でGb1、B1、Gb2、B2と付した画素24の各々のフォトダイオード101が蓄積した信号電荷が、各々の単位セル100のトランジスタ103の入力ノードに転送される。これにより、制御線34によって制御されるトランジスタ104が第一信号線L11に光電変換信号を出力する。
【0042】
時刻t9に、TG16は信号φSEL1をLレベルにする。
【0043】
以降、TG16は時刻t6から時刻t9で行った動作と同様に、信号φTX3、φTX4を順次Hレベルにする。これにより、信号φSEL1によって制御されるトランジスタ104を有する単位セル100の各画素24の信号電荷に基づく光電変換信号が読み出し回路13に出力される。
【0044】
その後、時刻t16に、水平同期信号HDがHレベルとなる。これにより、TG16は副走査回路14に読み出し回路13を走査させる。よって、各読み出し回路13が順次、CDS処理後の光電変換信号を出力アンプ15に出力する。このCDS処理後の光電変換信号とは、リセットレベルの信号と光電変換信号との差の信号である。
【0045】
その後、TG16は時刻t1から時刻t16までで行った動作と同様の動作を時刻t18から時刻t32までの期間に、信号φSEL1の代わりに信号φSEL2を制御して行う。
【0046】
次に、
図5を参照しながら、セル部22の単位セル100が光電変換信号を単位信号処理部23に出力する動作を説明する。
【0047】
時刻t0に、TG16は信号φCONをHレベルにする。これにより、
図3に示したトランジスタ106がオンとなり、同列に設けられた、複数の単位セル100のトランジスタ103の入力ノード同士の間の電気的経路が導通状態となる。
【0048】
時刻t1に、TG16は信号φRES1、φRES2をHレベルにする。これにより、制御線35、43によって制御されるトランジスタ105と電気的に接続されたトランジスタ103の入力ノードの電位がリセットされる。
【0049】
時刻t2に、TG16は信号φSEL1をHレベルにする。これにより、制御線34によって制御されるトランジスタ104は、第一信号線L11にリセットレベルの信号を出力する。
【0050】
時刻t3に、TG16は信号φTX1、φTX3、φTX5、φTX7をHレベルにする。これにより、
図3の1列目、3列目の単位セル100では、トランジスタ103の入力ノードで、「R」の色のカラーフィルタが設けられたフォトダイオード101の画素24同士の信号電荷が加算される。このトランジスタ103の入力ノードで加算された信号電荷を加算信号と表記する。特許請求の範囲で示した加算部は、本実施例ではトランジスタ103の入力ノードである。2列目、4列目の単位セル100では、トランジスタ103の入力ノードで、「G」の色のカラーフィルタが設けられたフォトダイオード101の画素24同士の信号電荷が加算される。制御線34によって制御される、1〜4列目のトランジスタ104のそれぞれは、加算信号に基づく信号を第一信号線L11に出力する。
【0051】
また、時刻t3にTG16は信号φMEMをHレベルにする。これにより、容量素子108は、該容量素子108に対応する列の第一信号線L11に出力されている加算信号に基づく信号を保持する。本実施例の容量素子108は、加算信号に基づく信号を保持する信号保持部である。信号保持部が保持した信号を保持信号と表記する。
【0052】
時刻t4に、TG16は信号φMEMをLレベルにする。
【0053】
時刻t5に、TG16は信号φAVEをHレベルにする。これにより、
図3に示した各列の容量素子108同士が導通状態となる。よって、各列の容量素子108の保持信号は平均化され、この平均化された保持信号が出力アンプ110に入力される。以下、平均化された保持信号を、平均加算信号と表記する。平均加算信号は、容量素子108の保持信号に基づく信号である。出力アンプ110は、平均加算信号を増幅した信号を生成する。そして、出力アンプ110は、この平均加算信号を、第二信号線L21を介して読み出し回路13に出力する。本実施例の平均加算信号は、加算信号に基づいている。従って、平均加算信号についても、加算信号に基づく信号であると言える。本実施例の出力アンプ110は、加算信号に基づく信号を出力する信号出力部である。
【0054】
時刻t6に、TG16は信号φSEL1をLレベルにする。
【0055】
時刻t7に、TG16は信号φRES1,φRES2をHレベルにする。これにより、各単位セル100のトランジスタ103の入力ノードの電位がリセットされる。
【0056】
時刻t8に、TG16は信号φSEL1をHレベルにする。
【0057】
時刻t9に、TG16は信号φTX2、φTX4、φTX6、φTX8をHレベルにする。これにより、
図3の1列目、3列目の単位セル100では、トランジスタ103の入力ノードで、「G」の色のカラーフィルタが設けられたフォトダイオード101の画素24同士の信号電荷が加算される。2列目、4列目の単位セル100では、トランジスタ103の入力ノードで、「R」の色のカラーフィルタが設けられたフォトダイオード101の画素24同士の信号電荷が加算される。制御線34によって制御される1〜4列目のトランジスタ104のそれぞれは、加算信号に基づく信号を第一信号線L11に出力する。
【0058】
また、時刻t9に、TG16は信号φMEMをHレベルにする。これにより、容量素子108は、対応する列の第一信号線L11に出力されている加算信号に基づく信号を保持する。
【0059】
時刻t10に、TG16は信号φMEMをLレベルにする。
【0060】
時刻t11に、TG16は信号φAVEをHレベルにする。これにより、
図3に示した各列の容量素子108同士が導通状態となる。よって、各列の容量素子108が保持した保持信号が平均化されて平均加算信号が生成される。この平均加算信号が出力アンプ110に入力される。出力アンプ110は、平均加算信号を読み出し回路13に出力する。読み出し回路13は、副走査回路14の走査によって、出力アンプ110から入力された平均加算信号を出力アンプ15に出力する。
【0061】
このように、読み出し回路13は、各画素24の信号電荷に基づく光電変換信号をCDS処理した信号を出力アンプ15に出力する。また、読み出し回路13は、単位信号処理部23から出力された平均加算信号を出力アンプ15に出力する。つまり、本実施例の読み出し回路13は、各画素24の信号電荷に基づく光電変換信号と、加算信号に基づく信号とが入力される読み出し部である。
【0062】
本実施例の光電変換装置は、各画素24の信号電荷に基づく光電変換信号をCDS処理した信号と、複数列の単位セル100の加算信号に基づく信号を平均化した平均加算信号とをそれぞれ得ることができる。これにより本実施例の光電変換システムは、高解像度、低解像度の画像をそれぞれ得ることができる。
【0063】
また、加算部が加算信号を生成することにより、低輝度の被写体の測光を行う場合の光電変換信号の信号振幅を大きくすることができる。これにより、複数の画素24の信号電荷を加算しない場合に比して、本実施例の光電変換装置は光電変換信号のS/N比を向上させることができる。これにより、本実施例の光電変換装置を有する光電変換システムは、光電変換装置が複数の画素24の加算信号を生成しない場合に比して、測光処理の精度を向上させることができる。
【0064】
一方で、高輝度の被写体の測光を行った場合に、加算信号が飽和すると測光処理の精度が低下してしまう。このような場合には、読み出し回路13が出力する、複数の画素24の各々の信号電荷に基づく光電変換信号を用いることによって、測光処理を行うことができる。
【0065】
よって、本実施例の光電変換装置は、複数の画素24の各々の信号電荷に基づく光電変換信号のみ、あるいは、平均加算信号のみを出力する場合に比して、測光処理を好適に行うことのできる被写体の輝度の範囲を拡大することができる。
【0066】
また、本実施例の光電変換装置は、各画素24の信号電荷に基づく光電変換信号をCDS処理した信号と、複数列の単位セル100の加算信号に基づく信号を平均化した平均加算信号とをそれぞれ得ることができる。これにより、各画素24の信号電荷に基づく光電変換信号をCDS処理した信号によって、演算部2は画像を生成することができる。生成した画像により演算部2は、被写体の撮影シーンを検出することができる。この被写体の撮影シーンとは、例えば人の顔など注目したい被写体を含む撮影、夜景撮影、太陽など高輝度の被写体を含む撮影などを指す。そして、演算部2は、検出した撮影シーンと平均加算信号とに基づいて、被写体の測光を行う。これにより、本実施例の光電変換装置は、撮影シーンに対応した好適な測光を行うことができる。
【0067】
本実施例に光電変換装置は、各単位セル100が加算部を有している。加算回路が設けられた領域が一つである特許文献1の撮像装置に対し、本実施例の光電変換装置は、加算信号を高速に生成することができる。
【0068】
また、特許文献1の撮像装置は、加算信号を保持する領域が、画素アレイに対して1つの領域である。一方で、本実施例の光電変換装置は、各々が加算信号に基づく信号を保持する複数の単位信号処理部23を有する。そして、本実施例の光電変換装置は、複数の単位信号処理部23で並行して加算信号に基づく信号を保持する。そして、本実施例の光電変換装置は、複数の単位信号処理部23が並行して、平均加算信号を読み出し回路13に出力することができる。これにより、本実施例に光電変換装置は、特許文献1に記載の撮像装置に比して、複数の領域21の各々から平均加算信号を高速に読み出すことができる。
【0069】
また、本実施例の光電変換装置は、複数の単位信号処理部23を有している。これにより、互いに異なる単位信号処理部23の容量素子108が加算信号に基づく信号を保持する期間の少なくとも一部同士を重ねることができる。そして、TG16が複数の単位信号処理部23に出力する信号φAVEをHレベルにすることにより、複数の単位信号処理部23で並行して平均加算信号を生成することができる。これにより、単位信号処理部23が一つの場合に比して、領域21の各々の平均加算信号を生成する期間を短縮することができる。
【0070】
また、本実施例の光電変換装置は、複数の単位信号処理部23は、第一信号線L11とは別の第二信号線L21に平均加算信号を出力する。第二信号線L21は、各単位信号処理部23に電気的に接続されており、第一信号線L11よりも寄生成分が少ない。これにより、第二信号線L21の駆動負荷は、第一信号線L11の駆動負荷よりも小さい。これにより、第一信号線L11を用いて各単位信号処理部23から平均加算信号を出力させる場合に比して、本実施例の光電変換装置は高速に平均加算信号を各単位信号処理部23から読み出し回路13に出力させることができる。
【0071】
特許文献2に記載の撮像装置で、平均加算信号を得るためには、各画素内に容量素子を設ける必要があった。従って、各画素のフォトダイオードの面積が容量素子によって圧迫される課題があった。本実施例の光電変換装置は、画素24とは別に容量素子108を設けている。これにより、画素24のフォトダイオード101の面積が、特許文献2の撮像装置の構成に比して、圧迫されにくい。これにより、フォトダイオード101の光に対する感度を、特許文献2の撮像装置2の構成に比して向上させることができる。
【0072】
尚、本実施例では
図4を参照しながら説明したように、TG16が全ての単位セル100で同じ信号出力動作を行わせていた。他の例として、TG16が単位セル100ごとに信号出力動作を異ならせるようにしても良い。このような信号出力動作の一例を、
図6(a)を参照しながら説明する。
図6(a)では信号φMEM、φAVEを示していないが、
図6(a)の動作を行う期間、TG16は信号φMEM、φAVEを共にLレベルとしている。
【0073】
時刻t1に、TG16は信号φRES1をHレベルにする。
【0074】
そして時刻t2に、TG16は信号φSEL1をHレベルにする。これにより、制御線34によって制御されるトランジスタ104がリセットレベルの信号を第一信号線L11に出力する。
【0075】
時刻t3に、TG16は信号φTX1をHレベルにする。これにより、制御線34によって制御されるトランジスタ104が、制御線30によって制御されるトランジスタ102を有する画素24の信号電荷に基づく光電変換信号を第一信号線L11に出力する。
【0076】
時刻t4に、信号φSEL1をLレベルにする。
【0077】
その後、TG16は時刻t15までの期間、単位セル100内の各画素24の信号電荷に基づく光電変換信号をそれぞれ第一信号線L11に出力させる。
【0078】
時刻t16に、TG16は、信号φRES2をHレベルにした後、信号φTX5〜TX8をHレベルにする。これにより、制御線38〜41によって制御されるトランジスタ102を有する画素24のフォトダイオード101の電位がリセットされる。
【0079】
つまり、
図6(a)に示した動作では、制御線30〜33によって制御されるトランジスタ102を有する画素24は、ローリングシャッタ動作を行う。一方、制御線38〜41によって制御されるトランジスタ102を有する画素24は、グローバルシャッタ動作を行う。
【0080】
このように、TG16が単位セル100ごとに信号出力動作を異ならせるようにしても良い。
【0081】
また、本実施例の読み出し回路13は、単位信号処理部23から入力される平均加算信号についてもCDS処理を行っても良い。この場合、CDS処理に用いるリセットレベルの信号は、各単位セル100が出力するリセットレベルの信号を平均化した信号とすることができる。
【0082】
また、本実施例では、読み出し回路13が平均加算信号を出力アンプ15に出力していた。他の例として、読み出し回路13が出力アンプ15を介さずに光電変換装置の外部に平均加算信号を出力する形態であっても良い。
【0083】
また、
図1(b)に示した構成では、光電変換装置が1つの出力アンプ15を有するとして説明した。他の例として、
図6(b)に示すように、読み出し回路13が複数のラインメモリ131〜134を有し、出力アンプ51〜54がそれぞれ、ラインメモリ131〜134の各々に対応して設けられている構成としても良い。ラインメモリ131〜134は、それぞれ互いに異なる行の単位セル100が出力する信号を保持する。この構成により、複数の単位セル100の光電変換信号、領域21の平均加算信号を、出力アンプ51〜54のそれぞれが並行して出力することができる。よって、
図6(b)に示した構成は出力アンプ15が1つの構成に比して短期間で、複数の単位セル100の光電変換信号、領域21の平均加算信号のそれぞれを光電変換装置の外部に出力することができる。
【0084】
本実施例では、平均加算信号が出力アンプ110に入力される例を説明した。他の例として、複数の容量素子108の保持信号を加算した信号が、出力アンプ110に入力される形態であっても良い。この場合には、複数列の容量素子108の保持信号を加算するノードが、複数の画素の信号同士を加算する加算部である。
【0085】
本実施例では、単位セル100が複数の画素24を有していた。他の例として、単位セル100が1つの画素24、1つのトランジスタ103、1つのトランジスタ104を有するものであっても良い。また、単位信号処理部23が、複数の単位セル100のトランジスタ104が出力する信号を加算するようにしても良い。
【0086】
(実施例2)
本実施例の光電変換装置を、実施例1とは異なる点を中心に説明する。
【0087】
図7は、本実施例の光電変換装置を示した図である。
図7では、
図2に示したものと同じ機能を有する部材に、
図2で付した符号と同じ符号を付している。
【0088】
実施例1で述べた光電変換装置は、各領域21の単位信号処理部23は、同列で共通の第二信号線L21に電気的に接続されていた。本実施例の光電変換装置は、第二信号線L21が、各領域21に対応してそれぞれ設けられている点が実施例1の光電変換装置と異なる。これにより、本実施例の光電変換装置は、同列の領域21の単位信号処理部23に、同時に平均加算信号を出力させることができる。これにより、本実施例の光電変換装置は、実施例1の光電変換装置に比して、複数の領域21の単位信号処理部23が出力する平均加算信号をさらに高速に読み出すことができる。
【0089】
(実施例3)
本実施例の光電変換装置について、実施例1と異なる点を中心に説明する。
【0090】
図8は、本実施例の光電変換装置を示した図である。
図8では、
図2に示したものと同じ機能を有する部材に、
図2で付した符号と同じ符号を付している。
【0091】
本実施例の光電変換装置は、各領域21の単位信号処理部23に、それぞれ4本の第二信号線L21が電気的に接続されている。また、4本の第二信号線L21の各々は、複数の領域21の単位信号処理部23に電気的に接続されている。
【0092】
図9は、
図8に示した光電変換装置のうち、一つの領域21と読み出し回路13について示した図である。
図9では、
図3に示したものと同じ機能を有する部材に、
図3で付した符号と同じ符号を付している。本実施例の光電変換装置の動作は、
図5を参照しながら述べた動作と同様とすることができる。
【0093】
図9に示す通り、本実施例の単位信号処理部23は、複数の出力アンプ110を有している。複数の出力アンプ110のそれぞれは、各列の容量素子108に対応して設けられている。また、複数の出力アンプ110のそれぞれは、複数の第二信号線L21のそれぞれに対応して設けられている。
【0094】
図9に示した光電変換装置が、
図5に示した時刻t0から時刻t5の動作を行うことにより、1列目の容量素子108は、「R」の色のカラーフィルタが設けられたフォトダイオード101の画素24の加算信号に基づく信号を保持する。同様に、2列目、3列目、4列目のそれぞれの容量素子108は順に、「G」、「R」、「G」の色のカラーフィルタが設けられた画素24の加算信号に基づく信号を保持する。その後、TG16が信号φAVEをHレベルにすることにより、複数の出力アンプ110の各々は、複数の第二信号線L21の各々に対し、同色のカラーフィルタが設けられたフォトダイード101の画素24の加算信号に基づく信号を出力する。
【0095】
これにより、本実施例の光電変換装置は、同色のカラーフィルタが設けられたフォトダイード101の画素24の加算信号に基づく信号を得ることができる。
【0096】
(実施例4)
本実施例の光電変換システムについて、
図10を参照しながら説明する。
【0097】
本実施例の光電変換システムは、光電変換装置154が出力する信号を用いて画像を生成する。光電変換装置154の構成は、実施例1〜3のいずれかの構成とすることができる。
【0098】
光電変換システムはレンズの保護のためのバリア151、被写体の光学像を本実施例の光電変換装置154に結像させるレンズ152、レンズ152を通った光量を可変にするための絞り153を有する。さらに光電変換システムは、光電変換装置154より出力される信号の処理を行う出力信号処理部155を有する。光電変換装置154から出力される信号は、被写体を撮影した撮影画像を生成するための撮像信号である。出力信号処理部155は光電変換装置154から出力される撮像信号を必要に応じて各種の補正、圧縮を行って処理する。レンズ152、絞り153は光電変換装置154に光を集光する光学系である。
【0099】
全体制御・演算部1510は、光電変換装置154に実施例1〜3で述べた動作を行わせる。出力信号処理部155は、光電変換装置154から出力された信号によって画像を生成する。
【0100】
光電変換システムはさらに、画像データを一時的に記憶する為のバッファメモリ部156、外部コンピュータ等と通信する為の外部インターフェース部157を有する。さらに光電変換システムは、撮像データの記録または読み出しを行う為の半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体159、記録媒体159に記録または読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部158を有する。さらに光電変換システムは、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1510を有する。
【0101】
このように、本実施例の光電変換システムは、光電変換装置154が出力する信号により、画像を生成することができる。
【0102】
また、本実施例の光電変換装置154が出力する信号を用いて、出力信号処理部155が測光処理を行っても良い。この場合には、出力信号処理部155は測光処理を行って測光データを生成する。そして、出力信号処理部155は、生成した測光データを全体制御・演算部1510に出力する。全体制御・演算部1510は、入力された測光データに基づいて、光電変換装置154の露光量を決定する。この露光量とは、光電変換装置のシャッターを開いている期間、絞り152の絞り量、光電変換装置154の感度等を指す。
【0103】
これにより、光電変換システムは、被写体を適切な露光量で撮影した画像を生成することができる。