(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出手段は、前記送電装置と物体とが近接したことによって生じた電気量の検出により受電装置または異物を検出し、前記検出モードにおける電気量の検出精度は、前記送電モードにおける電気量の検出精度より高いことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の送電装置。
前記送電手段は、前記送電モードの出力電力より前記検出モードの出力電力を小さくするために、前記送電モードにおける送電のための出力電流より前記検出モードにおける送電のための出力電流を小さくすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の送電装置。
前記検出手段は、前記送電手段による受電装置への送電中に他の受電装置が前記送電装置と近接したことによって生じた電気量を、前記電気量を表現するためのビット数に応じた分解能で検出し、当該電気量の検出結果に基づいて前記他の受電装置を検出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の送電装置。
第1受電装置に対する前記送電モードにおける送電後の前記検出モードにおいて他の受電装置を検出した場合、前記送電手段は、前記第1受電装置と前記他の受電装置とに無線で送電を行うことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の送電装置。
前記送電装置は、前記送電モードにおいて検出できない物体を、前記検出モードにおいて検出することができることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の送電装置。
前記送電装置は、前記送電モードのときよりも、前記検出モードのときのほうが高い検出精度で、前記送電手段による送電範囲に存在する物体を検出することができることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の送電装置。
前記検出手段により異物が検出された場合、前記制御手段は、送電を制限するよう前記送電手段を制御することを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の送電装置。
無線で送電する送電手段を有し、受電装置に対する送電を前記送電手段により行う送電モードと、前記送電モードよりも出力電力が小さい送電を前記送電手段により行う検出モードとの間で動作モードを切替える送電装置の制御方法であって、
前記送電手段による送電範囲に存在する物体を前記検出モードにおいて検出する検出工程と、
前記検出工程において検出された受電装置に対して前記送電モードにおいて送電されるように前記送電手段を制御する制御工程とを有し、
前記送電モードにおける動作期間と、前記検出モードにおける動作期間とは、互いに異なる
ことを特徴とする送電装置の制御方法。
無線で送電する送電手段を有し、受電装置に対する送電を前記送電手段により行う送電モードと、前記送電モードよりも出力電力が小さい送電を前記送電手段により行う検出モードとの間で動作モードを切替える送電装置の制御方法であって、
前記送電手段による送電範囲に存在する物体を前記検出モードにおいて検出する検出工程と、
前記検出工程において検出された受電装置に対して前記送電モードにおいて送電されるように前記送電手段を制御する制御工程と、
前記送電モードから前記検出モードに、無線による送電のための制御信号の通信に応じて切り替える切り替え工程と、
を有することを特徴とする送電装置の制御方法。
前記検出工程は、前記送電装置と物体とが近接したことによって生じた電気量の検出により受電装置または異物を検出し、前記検出モードにおける電気量の検出精度は、前記送電モードにおける電気量の検出精度より高いことを特徴とする請求項15または16に記載の制御方法。
前記送電手段は、前記送電モードの出力電力より前記検出モードの出力電力を小さくするために、前記送電モードにおける送電のための出力電流より前記検出モードにおける送電のための出力電流を小さくすることを特徴とする請求項15乃至17の何れか1項に記載の制御方法。
前記切替手段は、前記送電モードから前記検出モードに、前記通信手段により受電装置からの要求メッセージの前記通信手段による受信に応じて切替えることを特徴とする請求項2または3に記載の送電装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施例1)
本実施例では、電力を送電する送電装置と電力を受電する受電装置を有する無線電力伝送システムについて説明する。本実施例における無線電力伝送システムの一例を
図1に示す。100は送電装置である。101は、第一の受電装置、102は、第二の受電装置である。送電装置100は、無線を用いて送電を行う送電を行う無線電力伝送装置である。第一受電装置101および第二受電装置102は、送電装置から電池の充電、または動作のための電力を無線を用いて受電する無線電力伝送装置である。
図1(a)は送電装置100が第一受電装置101に送電している様子を、
図1(b)は送電装置が第一の受電装置および第二の受電装置に送電している様子を示す。
【0010】
図2は本実施例における送電装置の構成を示すブロック図である。201は制御部であり、記憶している制御プログラムを実行することにより送電装置全体の制御を行う。制御部201は、CPU、ROM、RAMにより構成される。なお、CPUは、(Central Processing Unit)、RAMは、(Random Access Memory)、ROMは、(Read Only Memory)である。制御部201による装置全体の制御は、CPUがROMに保持している制御プログラムをRAMに読み込み、実行することで実現される。また、202は、検出部であり、後述する送電制御部211の電流値を検出することにより、送電装置の周辺に存在する受電装置を検出するための検出処理を実行する機能構成である。検出部202は、制御部201による制御プログラムの実行により実現される。検出部202は、送電した電磁波と周辺に存在する受電装置とによる影響で発生した電気量(電流、電圧、電力等)を検出することで該受電装置を検出する検出処理を実行する。203は、検出記憶部であり、検出部202が検出する電流値を記憶する。検出記憶部203は、上述のRAMにより構成されても良いし、HDD(Hard disk drive)等の他の記憶装置により構成されてもよい。
【0011】
204は、通信部であり、送電装置および受電装置間で送電制御を行う為の制御信号の送受信を行うためのチップである。本実施例においては、通信部204は、Bluetooth(登録商標)4.0規格(以後BT4.0という)に準拠した無線通信を行う。205は第一タイマ、208は第二タイマであり、時間を計測する。詳細については後述する。206は判定部であり、検出部202の検出結果に応じて受電装置への送電量を判定するための判定処理を実行する。判定部206は、制御部201による制御プログラムの実行により実現されるものとする。207はシステム記憶部であり、
図1の無線電力伝送システムの動作に関する情報を記憶する。システム記憶部207は、上述のRAMにより構成されても良いし、HDD(Hard disk drive)等の他の記憶装置により構成されてもよい。209は送電アンテナであり、受電装置の受電アンテナと結合し送電を行う。210は受電装置記憶部であり、受電装置のアドレス情報などを記憶する。
【0012】
211は送電制御部であり、送電に関する制御を行う。送電制御部211は、ASIC(application specific integrated circuit)により構成される。送電制御部211は、アンテナにより放射した電磁波により、他の装置への送電を制御する。送電制御部211は、複数の受電装置に送電を行うための制御を行うことが可能である。また、送電制御部211は、送電装置の動作モードを、受電装置に送電するための送電モードと送電中の前記受電装置と異なる他の受電装置を検出するための検出モードとから制御する。また、送電制御部211は、送電装置の動作モードを、送電モードと検出モードとに交互に切替える。また、送電モードにおける出力電力より検出モードにおける出力電力が小さくなるようにする。212は、通知部であり、ユーザに対して各種通知を行う。通知部は、LCDやLEDのように視覚で認知可能な情報の出力、あるいはスピーカーなどの音出力が可能な機能を有する。
【0013】
続いて、送電制御部211と接続される周辺の回路について
図3を用いて説明する。300はA/Dコンバータである。A/Dコンバータの入力301は、電流検出コイル304を介して送電制御部211の出力305(送電アンテナ209に接続される)の電流値をデジタル値に変換する。A/Dコンバータ300の出力302は制御部201のCPUに接続される。送電制御部211は入力303に印加される直流電圧を、振幅が一定の交流電圧(本実施例では実効値で10ボルトとする)に変換し送電アンテナ209に供給する。電流検出コイル304は送電制御部211の電流値を検出する機能を果たせばよいので、入力303に接続されていてもよい。また電流検出コイル304は送電制御部211の電流値を検出する機能を果たせばよいので、電流検出用に広く使用されている数十ミリオーム程度の定抵抗を出力305または入力303に直列に実装した構成としてもよい。送電制御部211は出力305に出力する交流電流の振幅を制御することにより、送電量を制御する。これは、トランジスタのベース端子に流れる電流値を制御することにより、エミッタ端子とコレクタ端子間電流を制御する構成などが考えられる。
【0014】
送電制御部211の動作状態の一例を
図13に示す。1300は出力電圧であり、送電制御部211の出力305の出力電圧の実効値を示す。1301は出力電力であり、出力305の出力電力の実効値を示す。1302は出力電流であり、出力305の出力電流の実効値を示す。1303は量子化ビット数であり、A/Dコンバータの量子化ビット数を示す。1304は電力の検出精度であり、A/Dコンバータの電力検出精度を示す。電力の検出精度はA/Dコンバータの量子化ビット数と出力電力に基づいて算出される。1304は電流の検出精度であり、A/Dコンバータの電流検出精度を示す。電流の検出精度はA/Dコンバータの量子化ビット数と出力電流に基づいて算出される。
【0015】
送電モードにおける送電制御部211の動作状態の一例を
図13(a)に示す。
図13(a)によれば、送電制御部211の出力電圧は10ボルト、出力電力は40ワット、出力電流は4アンペア、A/Dコンバータの量子化ビット数は6ビットである。電力の検出精度は、量子化ビット数6ビットで判別可能な数である64(2の6乗)で出力電力40ワットを除算した結果である0.625ワットである。電流の検出精度は、量子化ビット数6ビットで判別可能な数である64(2の6乗)で出力電流4アンペアを除算した結果である0.0625アンペアである。このことより、送電装置は40ワットの電力を送電している時に、0.0625アンペアの変化を検出可能である。ここで、受電装置の初期電流は5ミリアンペア(0.005アンペア)とすると、
図13(a)の動作状態では、1台の受電装置を電流変化により検出することはできない。
【0016】
検出モードにおける送電制御部211の動作状態の一例を
図13(b)に示す。
図13(b)は、
図13(a)の状態と比較して出力電力を0.05ワットに下げた状態である。電流の検出精度は0.078ミリアンペアである。
図13(b)の動作状態では、受電装置の初期電流である5ミリアンペアを十分に検出できる。このように送電モードと検出モードを比較すると、A/Dコンバータの量子化ビット数は同一であるが、電流の検出精度が送電モードより検出モードの方が小さい。これは、送電モードより検出モードの方が、微小な電流変化を検出することができることを意味し、受電装置の近接によって発生した電流変化を検出し易くなる。したがって、送電モードにおける受電装置を検出するための精度より検出モードにおける受電装置を検出するための精度が高いということが言える。
【0017】
続いて、
図10に受電装置記憶部210に記憶されるテーブルの一例を示す。アドレス1000は送電装置が検出した受電装置の識別情報を記憶する。設定フラグ1001は送電装置が、アドレス1000に対応する受電装置に送電すべき送電量を設定したかどうかを記憶し、前記設定を行っていれば「1」を、そうでなければ「0」を記憶する。
図10によれば、送電装置は第一の受電装置の識別情報である「Rx1」を記憶しており、設定フラグが「1」である為第一の受電装置に対する送電量は設定済みである。また、送電装置は第二の受電装置の識別情報である「Rx2」を記憶しており、設定フラグが「0」である為第二の受電装置に対する送電量は設定していない。
【0018】
図11に検出記憶部203に記憶されるテーブルの一例を示す。検出部202は電流検出の結果により受電装置が存在するかどうかを判断する。I_now(1101)は現在のA/Dコンバータ300の出力である電流検出結果であり、単位はミリアンペアである。I_before(1100)は送電中の受電装置が近接したことによって生じる電流値である。なお、I_beforeは、I_now(1101)を測定した以前のA/Dコンバータ300の出力である電流検出結果を用いるようにして良い。変化量1102はI_nowからI_beforeを減算した結果を記憶する。検出レジスタ1103は前記変化量に基づいて受電装置を検出したかどうかを示す2ビットのレジスタである。検出レジスタ1103の初期値は「00」である。また、検出レジスタ1103の値「01」は、受電装置を検出したことを示す。また、検出レジスタ1103の値「10」は、受電装置以外の物体(例えば導体異物)を検出したことを示す。また、検出レジスタが「11」は電流値に変化がないことを示し、検出した物体は無いことを示す。例えば、
図11(a)によれば、I_now1101は10ミリアンペアであり、I_before1100は5ミリアンペアである。変化量は10ミリアンペアから5ミリアンペアを減算した5ミリアンペアである。検出レジスタは「01」であり、受電装置を検出したことを示す。
【0019】
図12にシステム記憶部207に記憶されるテーブルの一例を示す。1200は初期電流であり、受電装置が送電装置から大電力を受電しない状態における電流値、つまり、送電装置と制御信号の通信を行う為に最低限必要な電流値(受電装置の通信部204や図示しない制御CPUなどが消費する電流値)を示す。初期電流は、受電装置が送電装置に近接したことによって発生する電流変化の値と等しいものとする。
【0020】
1201は許容値であり、検出部202の検出誤差または受電装置毎の初期電流1200のばらつきを許容するための値である。例えば、許容値がXミリアンペアであれば、送電装置は検出誤差としてプラスXミリアンペア、マイナスXミリアンペアを許容する。1202は第一装置数であり、送電装置が送電を行っている受電装置の数を示す。1210は第二装置数であり、後述する検出部202による検出処理により検出した新しい受電装置の数を示す。ここで、「新しい受電装置」とは送電装置が該当する受電装置との間で送電量に関する交渉を行っていない受電装置と定義する。1203は第三装置数であり、通信部204による通信により検出した新しい受電装置の数を示す。1204は第一送電量であり、送電モードにおいて送電装置が複数または単数の受電装置に送電する送電量を示す。1205は第二送電量であり、検出モードにおいて送電する送電量である。1206は禁止フラグであり、後述する判定部206による判定処理により送電を禁止すべきと判断した場合に「1」を記憶する。
【0021】
これらの情報要素を含むレコードの一例を1207〜1209に示す。例えば、1208によれば、初期電流は5ミリアンペアである。本実施例では説明を簡単にするため、受電装置の動作電圧を、送電制御部211の出力電圧である10ボルトとする。つまり、受電装置は、初期電流である5ミリアンペアに動作電圧である10ボルトを乗算した0.05ワットの電力があれば送電装置と制御信号の送受信を行うことができる。許容値は1ミリアンペア、第一装置数および第二装置数、第三装置数は1台である。第一送電量は40ワットであり、第二送電量は初期電流(5ミリアンペア)と第一装置数(1台)を乗算した結果である5ミリアンペアに、動作電圧(10ボルト)を乗算した結果である0.05ワットである。これらの要素の決定方法の詳細は後述する。
【0022】
以上の構成を有する送電装置100の動作について
図1、
図4〜
図9を用いて説明を行う。以下の説明では、
図1(a)のように送電装置100が第一受電装置101に対して送電している状態を前提として説明を行う。そして、送電装置100が第一受電装置101に対して送電中に、第二受電装置102を検出し、更に第二の受電装置に対しても送電を行う場合の説明を行う。なお、
図9は、本無線電力伝送システムのシーケンス図である。
【0023】
図4は送電装置の動作を示すフローチャートである。まず、送電装置100の制御部201は、第一の受電装置に対して送電を行うために送電モードにおける出力電力をシステム記憶部207から読み出す。そして、制御部201は、読み出した情報に従って送電制御部211を制御し、送電モードにおいて第一受電装置101に送電を行う(S400、900)。なお、第一受電装置101とは、通信部204を介した無線通信により、無線電力伝送に係る信号のやり取りを既にしているものとする。無線電力伝送に係る信号の一例は、送電リクエスト、送電電力に係るネゴシエーション、対応する無線通信規格等の情報である。送電モードの動作状態の一例を1207に示す。送電装置は、送電モードにおける出力電力である第一送電量に示す40ワットの電力で送電を行う。そして、制御部201は送電を開始したことに応じて第一タイマ205を起動する(901、S401)。第一タイマ205は、送電装置が送電モードにおける出力電力(第一送電量)で送電する時間(第1所定期間)を規定する働きをする。即ち、送電装置が送電モードにおいて第1所定期間動作するための制御に第一タイマを用いる。
【0024】
一方、第二受電装置102は、送電装置100と無線電力伝送を開始するために
図1(b)に示すように、送電装置の上に置かれ、送電装置に送電を要求する。送電装置100は、第二受電装置102からの送電の要求に応じて第二受電装置102と無線接続処理を行う(902、903)。ここで、送電の要求はBT4.0規格において規定されているAdvertisingパケットの一種であるADV_INDパケットを用いるとする。ADV_INDパケットは、BT4.0に対応した機器のアドレス情報、上位アプリケーションがサポートするサービスなどの情報が格納されている。
【0025】
ここで、無線接続処理ついて
図8に示すフローチャートを用いて説明する。通信部204は受電装置からADV_INDパケットを受信すると(S800)、該パケットからアドレス情報を取得する(S801)そして、制御部201は、通信部204をから取得したアドレス情報を受電装置記憶部(1000)に入力する。この場合、第二の受電装置のアドレスである「Rx2」を記憶する。ここで、送電装置は第二の受電装置に対する送電量は決定していないので、設定フラグは「0」である。
【0026】
つづいて制御部201は設定フラグが「0」であるアドレス(1000)の数を計数する(S803)。
図10を参照すると、設定フラグが「0」であるアドレスは、「Rx2」の1つである。そして、制御部201はシステム記憶部207の第三装置数を、前記計数の結果である「1」に更新する(S804)。S803、S804の処理により、送電装置は通信部204を介して取得した情報に基づいて新しい受電装置の数を認識することができる。そして通信部204は、ADV_INDパケットに応答して、第二の受電装置と無線接続を行う為のCONNECT_REQパケットを第二の受電装置に送信(S805、903)し、動作を終了する。
【0027】
無線接続処理が終了した時点(903)における送電制御部211の動作状態を
図13(a)に示す。この時点では送電モードにおいて第一受電装置に送電を行っているため、出力電力は第1送電量である40W(1301)である。この場合、A/Dコンバータの量子化ビット数は6bitであるため、A/Dコンバータの電流の検出精度が0.0625アンペア(62.5ミリアンペア)である。受電装置の近接によって変化する電流値は、初期電流値1200に示すように5ミリアンペアであるため、送電モードにおいては電流変化によって第二の受電装置を検出することはできない。
【0028】
第一タイマ205がタイムアウトすると(S402、904)、制御部201は送電制御部211を動作させ、検出モード移行処理を開始する(S403)。
【0029】
検出モード移行処理の詳細を
図5のフローチャートを用いて説明を行う。まず、送電制御部211は、システム記憶部207の第一装置数を参照し、現在送電を行っている受電装置の数を把握する(S501)。そして、送電制御部211は、初期電流を参照し、現在送電を行っている全ての受電装置が通信を行う為に最低限必要な電流値を算出する(S503)。903の時点におけるシステム記憶部の状態である1207を参照し具体的に説明すると、第一装置数は「1」であり、初期電流は5ミリアンペアである。現在送電を行っている全ての受電装置(第一の受電装置のみ)が通信を行う為に最低限必要な電流値は、第一装置数と初期電流を乗算した5ミリアンペアである。前述したように、受電装置は10ボルトの電圧で動作する為、初期電流5ミリアンペアに動作電圧10ボルトを乗算した結果である0.05ワットである。即ち送電装置100は、第一受電装置101に0.05Wの電力を給電すれば、送電装置と制御信号の送受信が可能となり、第一受電装置101の最低限の動作を保証できる。また、検出モードにおいて、送電中の受電装置の消費電力分の電力を供給するので、スイッチング損失などの損失が生じることがないため、送電効率を損なうことが低減されるという効果もある。
【0030】
送電制御部211は第二送電量を上述のように算出した0.05ワットに更新する(S504)。このように検出モードにおける出力電力(第二送電量)は、送電中の受電装置の消費電力に設定する構成としたが、送電効率を考慮しなければ、新たな受電装置を検出できるだけの分解能を維持できればこれに限られない。詳細については、後述する。そして、送電制御部211は、設定した第二送電量で第一の受電装置および第二の受電装置に送電を開始して(S505、905)、検出モード移行処理を終了する。
【0031】
検出モード移行処理が終了し、送電モードから検出モードに切替えた場合(905)の送電制御部211の動作状態を
図13(b)に示す。検出モードにおける出力電力は第二送電量である0.05W(1301)である。この場合、A/Dコンバータの量子化ビット数は6bitであるため、A/Dコンバータの電流の検出精度が0.078ミリアンペアである。受電装置の近接によって変化する電流値は、初期電流値1200に示すように5ミリアンペアであるため、電流変化によって第二の受電装置を検出するのに十分な精度を有している。
【0032】
つづいて制御部201は、第二タイマ208を起動し(S404、906)、検出処理を開始する(S405、907)。なお、第二タイマ208は、送電装置が検出モードにおける出力電力である第二送電量で送電する時間(第2所定期間)を規定する働きをする。即ち、送電装置が検出モードにおいて第2所定期間動作するための制御に第二タイマを用いる。検出処理の詳細を
図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0033】
まず、検出部202は、送電中の受電装置の数である第一装置数と初期電流を乗算し(S600)、検出記憶部203のI_beforeを更新する(S601)。そして、A/Dコンバータの出力結果から現在の電流値を検出し(S602)、I_nowを更新する(S603)。つづいて検出部202は、I_nowからI_beforeを減算し、変化量を更新する(S604)。検出部202は、変化量が0であるか否かを判定する(S605)。変化量が0である場合、検出部202は、検出した物体は無いと判断し、検出レジスタを「11」に設定する(S615)。一方、S605において変化量が0では無い場合、変化量から新たに送電装置上置かれた受電装置の数を算出するために、検出部202は、変化量を初期電流で除算する(S606)。そして、検出部202は、S605における計算結果をシステム記憶部207の第二装置数に記憶する(S607)。そして、検出部202は、測定誤差などを考慮するために、許容値に基づき、受電装置の検出結果が正しいかを判定するための処理を行う。検出部202は、記憶した第二装置数とシステム記憶部に保持される許容値を乗算する(S608)。ここで、S608における乗算結果を乗算結果Aとする。そして、検出部202は、第二装置数と初期電流とを乗算する。ここで、第二装置数と初期電流との乗算結果を乗算結果Bとする。検出部202は乗算結果Bと検出した変化量との差分を算出する(S609)。ここで該差分結果を差分結果Aとする。検出部202は、乗算結果Aと差分結果Aとを比較する(S611)。具体的には、差分結果Aから乗算結果Aの差分をとる。差分結果Aから乗算結果Aを差し引いた値を差分結果Bとする。差分結果Bが正の値であれば、誤差の許容内であり(S611YES)、検出部202は、受電装置を検出したとして、検出レジスタを「01」に設定する(S612)。一方、差分結果Bが負の値であれば、誤差の範囲外であり(S611NO)、検出部202は、少なくとも異物を検出したとして、検出レジスタを「10」に設定する(S613)。
【0034】
検出処理の
図1における具体例を示す。
図12の1208、
図11(a)を参照して説明すると、第一装置数である「1」と初期電流5ミリアンペアを乗算した結果である5ミリアンペアを、I_beforeに記憶する(S600,S601)。そして、A/Dコンバータの出力結果から現在の電流値を検出し(S602)、I_nowを更新する(S603)。ここで、第一の受電装置および第二の受電装置は、共に初期電流である5ミリアンペアで動作するものとする。
図11(a)を参照すると、S602の検出結果は、第一の受電装置の動作電流である5ミリアンペアに、第二の受電装置の動作電流である5ミリアンペアを加算した10ミリアンペアである。そして、変化量は、
図11(a)に示すように、10ミリアンペア(I_now)から5ミリアンペア(I_before)を減算した5ミリアンペアである。(S604)。変化量は0ではないので(S605でNO)、検出部202は変化量から類推できる新しい受電装置の数を算出する。具体的には、変化量(5ミリアンペア)を初期電流(5ミリアンペア)で除算し(S606)、除算結果である「1」をシステム記憶部207の第二装置数に記憶する(S607)。
【0035】
つづいてS607で電流値から検出した結果が信頼できる値かどうかを許容値と比較することにより判断する。まず、1208における第二装置数である「1」と、1208における許容値(受電装置1台の許容値である1ミリアンペア)を乗算する(S608)。
【0036】
続いて、検出部202は1208を参照し、第二装置数である「1」と初期電流(5ミリアンペア)を乗算した結果である「5ミリアンペア」を得、前記変化量(5ミリアンペア)との差分を算出し、算出結果である0ミリアンペアを得る(S609)。そして、前記差分と許容値を比較する(S611)。ここでは、差分は0ミリアンペアであり、許容値である1ミリアンペアの範囲内である(S612でYES)。この時点で、検出部202は、電流検出の結果によりS607において記憶した第二装置数が信頼できると判断し、検出レジスタを「01」に更新する(S613)。検出処理が終了すると、制御部201は判定部206を動作させ、判定処理を開始する。
【0037】
判定処理では、送電制御部211の動作について、3つの判定を行う。それは、送電しないようにする、第一送電量を更新し送電する、第一送電量を更新せずに送電する、の3つである。特に、第一送電量を更新し送電する際は、通信部204で判断した新しい受電装置の数(第三装置数)と、検出部202で判断した新しい受電装置の数(第二装置数)が一致することを必ず確認する。判定処理を
図7に示すフローチャートを用いて説明を行う。まず、判定部206は検出レジスタを参照する(S700、S701、S702、S712)。検出レジスタの値が「11」の場合、即ち、検出処理で検出した物体が無い場合は、判定部206は、検出レジスタを初期値の「00」に更新し、判定処理を終了する。この場合、判定部206は、第一送電量を更新せずに送電すると判定する。また、検出レジスタの値が「10」の場合、即ち、検出処理で受電装置以外の物体を検出した場合、判定部206は、異物が存在すると判定する(S714)。異物が存在すると送電装置が送電する電力により異物が発熱するといったリスクがある。よって、通信部204は、受電装置記憶部に記憶している全ての受電装置に対してエラー通知を行う(S715)。そして、判定部206は、禁止フラグを「1」に更新し、送電を禁止すると判定する(S716)。そして、判定部206は、通知部212により、エラー表示、エラー音を出力させ、ユーザにエラー状態であることを通知する(S716)。そして、S711に処理を進め、判定処理を終了する。この場合、判定部206は、エラー状態であるため、比較的大きな電力で(送電モード)で送電しないと判定する。
【0038】
一方、検出レジスタが「01」に設定されている場合、即ち、検出処理において受電装置を検出した場合(S701でNO、S702でYES)、S703に処理を進める。判定部206は、システム記憶部207に記憶される第二装置数(検出処理において検出した受電装置数)と第三装置数(通信により検出した装置数)を比較する(S704)。通信部204による通信により検出した新しい受電装置の数(第三装置数)と、検出部202により検出した新しい受電装置の数(第二装置数)が一致しない場合、制御信号の送受を行っていない受信装置が送電装置の周辺に存在することが考えられる。また、制御信号の送受を行ったにも関わらず、送電装置の送電可能な位置に受電装置が置かれていない場合が考えられる。もしくは、異物が存在する場合が考えられる。これらの状況で送電を継続すると、正常な送電が行われない可能性があるためS714に処理を進めエラー処理を行う(S715、S716)。この場合、判定部206は、エラー状態であるため、比較的大きな電力で(送電モード)で送電しないと判定する。一方、通信部204による通信により検出した新しい受電装置の数(第三装置数)と、検出部202により検出した新しい受電装置の数(第二装置数)が一致した場合、判定部206は送電すべき新しい受電装置があると判定する(S705)。
【0039】
つづいて判定部206は、受電装置記憶部210を参照し、設定フラグが「0」であるアドレスを選択する(S707)。つまり、判定部206は、送電量を確定していない受電装置を選択する。
図10によれば、第二の受電装置のアドレスである「Rx2」に対応する設定フラグが「0」であるので、「Rx2」を選択する。そして判定部206は、通信部204を介して第二受電装置102と交渉し、第二の受電装置に対する送電量を決定する。本実施例では送電量の決定は、第二の受電装置から電力を要求し、送電装置は該要求に応じるか否かの判定により行われるものとする。ここでは第二受電装置102に対する送電量を10ワットに決定し、設定フラグを「1」に更新する(S708)。そして判定部206は、第一送電量を第一の受電装置に送電していた40ワットと、第二の受電装置に送電すると決定した10ワットを加算した50ワットに更新する(S709、908、1209)。
【0040】
つづいて判定部206は受電装置記憶部を参照し、設定フラグが「1」であるアドレスの数を計数した後、第一装置数を更新する(S717)。具体的には、設定フラグが「1」であるアドレスは「Rx1」と「Rx2」(S708で「1」に更新済)の2つであるので、1209の第一装置数を「2」に更新する。
【0041】
判定部206は受電装置記憶部の設定フラグを参照し、全受電装置に対して送電量を決定しておらず(S710でNO)、S707からの処理を実施する。全受電装置の送電量を決定し場合(S710でYES)、検出レジスタを「00」に更新し(S711)、処理を終了する。
【0042】
判定処理が終了すると、制御部201は禁止フラグを参照する(S407)。禁止フラグが「1」である場合(S407でNO)、第一送電量で送電は行わず、処理を終了する。なお、この場合、送電装置100上には受電装置ではない物体(異物)が存在するため、通知部212により、ユーザにエラー表示を行い、該異物の除去を促すメッセージを併せて表示する構成として良い。禁止フラグが「0」である場合(S407でNO)、制御部201第二タイマ208がタイムアウトしたかを判定する(S408)。S408において第二タイマ208がタイムアウトしていないと判定されると(S408でNO)、再度S405の検出処理を行う。S408において第二タイマ208がタイムアウトしたと判定されると(S408でYES、909)、制御部201は送電制御部211を動作させ、送電モード移行処理を実行する(S409)。
【0043】
送電制御部211は、システム記憶部207の第一送電量を参照し(上述の例では50ワット)、第一の受電装置および第二の受電装置に対して、出力50ワットで送電を開始し(910)する。そして、制御部201はS409における送電モード移行処理が終了すると、そして、制御部201は、装置の電源がOFFされない限り(S410のNo)上S400からの処理を再度実行する。ここで、制御部201は、S409の後に電源OFFの操作の検出を行っているが、S410の処理はどのタイミングで行われてもよい。制御部201は、電源OFF操作の検出に応じて本処理を終了する(S410のYes)。
【0044】
以上のように、本実施例の送電装置は、第一の受電装置に送電モードにおいて送電中であっても、定期的に送電モードにおける出力電力より小さい出力電力で送電を行う検出モードに移行する。そして、送電モードにおいては検出できない第2の受電装置の近接により生じる電流の変化を、検出モードにおける出力電力で送電することにより検出できるようになる。本実施例によれば、第1受電装置に送電を行っている際に第2受電装置を検出することができる。また、本実施例によれば、例えば、量子化ビット数が比較的多いA/Dコンバータを用いなくても、第1受電装置に送電している場合にも第2受電装置を検出できる。また、第1受電装置に送電中に、第1受電装置に送電するための送電モードと第2受電装置を検出するための検出モードとを交互に切替えるようにし、送電モードより検出モードの出力電圧を小さくした。これにより、送電モードより検出モードのノイズレベルが小さくなり、ノイズキャンセルのための回路や処理の必要性が低減される。したがって、本実施例によれば、コストを安く抑えることがきることおよびノイズキャンセルの処理の必要性が低減され、処理時間が短く済むことでユーザビリティの向上に寄与する。
【0045】
また、本実施例における送電装置は、出力電力が大きく例えば送電対象の受電装置がバッテリに充電するために受電を行っている装置であれば、充電時間が短く済む送電モードを有している。また、送電モードは出力電力が大きく例えば送電対象の受電装置が受電した電力を用いて動作する装置であれば、動作するのに十分電力を無線で伝送することができる。しかしながら、送電モードにおける送電中は、出力電力が大きいため、受電装置の近接に応じて自装置に生じる微小な電力を検出できないため、受電装置の検出が行えず2台目以降の受電装置を検出できないデメリットがある。そこで、本実施例の送電装置は、送電モードより出力電力が小さい検出モードを有している。検出モードでは、出力電力が小さいため送電中の第1受電装置に対しては送電効率が悪くなる。しかしながら、第1受電装置に送電中に新たに第2受電装置を検出し、第2受電装置に対しても送電を行うことができるのでシステム全体としては送電効率を向上させることができる。また、本実施例の送電装置は、検出モードと送電モードを交互に切替えることにより、送電中の装置の送電効率が悪くなるが、新たな受電装置の検出を迅速に行うことができる。したがって、検出モードと送電モードを交互に切替えることにより送電装置の送電可能な範囲に存在する受電装置を検出できない期間を短くすることができる。
【0046】
また、送電装置は、検出部202と通信部204の両方で新しい受電装置の数を把握する構成とし、S705においてそれらが一致しなければ第一送電量で送電は行わないようにした。こうすることで、例えば、新しい受電装置が存在せず、異物の近接により発生する電流がたまたま初期電流と一致した場合でも、通信部204が新しい受電装置を検出していないのでエラー表示を行うことができる。
【0047】
なお、本実施例では、受電装置からの送電要求メッセージとしてADV_INDパケット、応答メッセージCONNECT_REQパケットとしたが、これはBT4.0規格で規定される他のAdvertisingパケットであってもよい。また、他の所定の信号を用いる構成としても良い。
【0048】
また、本実施例では送電制御部211の出力305は定電圧であり、検出部202は出力305の電流値を検出し、送電制御部211は出力305の電流値を制御する構成とした。これは、送電制御部211の動作を把握できればその他の構成、他の電気量であってもよい。例えば、出力305が定電流であり、検出部202は出力305の電圧値を検出し、送電制御部211は出力305の電圧値を制御する構成としてもよい。また、送電制御部211の出力インピーダンスが特定の値に規定され、前記出力インピーダンスの元に、出力305の電流、電圧共に変化するようなアンプであってもよい。その場合、検出部202は出力305の電圧値および電流値を検出し、送電制御部211は出力305の電圧値および電流値を制御する構成、例えば出力インピーダンスが50オームの高周波アンプや、E級アンプ、D級アンプであってもよい。また、本実施例では、検出部202は送電制御部211の出力305の電気量を検出する構成としたが、これは、入力303の電気量を検出する構成としてもよい。
【0049】
また、本実施例では、第一タイマ205がタイムアウトしたことをトリガに第二送電量で送電する構成としたが、これは、通信部204がS800において受電装置を検出した(ADV_INDパケットを受信した)ことをトリガにしてもよい。さらには、通信により受電装置を検出したことをトリガに検出モードに移行し検出部202の検出レジスタの更新処理(S614,S613,S615)を行ってから、S801の移行の処理を行ってもよい。このようにした場合は、検出処理において物体を検出できなかった場合、送電装置は送電要求を送信した受電装置とBT接続を行わないようにしてよい。このようにすることで、送電要求を送信した受電装置が他の送電装置に置かれた場合の誤動作を低減できる。
【0050】
また、通信部204は無線LAN(IEEE802.11シリーズ)、NFC(Near Field Communcation)等、他の通信規格でもよい。また、送電装置は910において第一の受電装置と第二の受電装置に同時に送電する構成としたが、これは時分割で送電してもよい。
【0051】
また、第二タイマ208のタイムアウトを待って、第一の送電量で送電する(送電モードに移行する)構成とした。これは、S710で全ての受電装置に対して送電量を決定すれば(S710でNO)。第二タイマ208のタイムアウトをまたずに送電する構成としてもよい。こうすることで、受電装置に対して直ちに送電を開始することができるため、充電期間や給電の停止期間を低減することができる。
【0052】
また、第二送電量を算出する為の初期電流、または第二送電量そのものを予め規定し、送電装置、受電装置で装置設計時に共有するようにしてもよい。この場合、想定する異物を検出できる電流変化と想定する受電装置の近接によって生じる電流変化とのうち、小さい方を初期電流として規定してよい。このようにすることで、異物と受電装置をいずれも検出できるという効果がある。
【0053】
また、受電装置が2次電池を持っておらず、送電装置から給電されることで動作している場合には、送電を行わない期間をできるだけ短くすることが望まれる。この場合、送電装置が、受電装置が2次電池を持っているかどうかを知る為のデータを規定し、通信部204を介して該情報を通信する構成として良い。送電装置は、受電装置が2次電池を持っているかどうかによってS404における第二タイマ208を起動させるか否かの判断をしてもよい。また、送電装置および受電装置の間で通信部204を介して互いの能力情報を通信し、該通信に基づいて規定したタイムアウト値を共有するようにしてよい。また、第二タイマ208を設けず、判定処理におけるS710の検出した全受電装置の送電量が設定されたと判定された場合に送電モードに移行するようにしてよい。
【0054】
また、検出モードにおいては、受電装置の動作電力に対応する値で出力を行う構成とした。しかしながら、送電装置が受電装置の近接を、例えば受電装置の質量などの他のセンサ出力で検出できる構成であれば検出モードにおける出力電力は0であってよい。
【0055】
また、上述の実施例においては1台目の受電装置に送電中に2台目の受電装置を検出する場合を述べた。本実施例における送電装置は、3台目、4台目・・・N台目(Nは任意の自然数)が置かれた場合に、他の受電装置を検出するための動作を行っても構わない。この場合、送電装置は、送電中の全ての受電装置に対する電力の合計を送電モードの出力電力とし、検出モードの出力電力は上述の実施例と同様にすることで複数台の装置に送電中にさらに別の受電装置を検出することができるようになる。
【0056】
(その他の実施例)
上述の実施例では、第一装置数(現在の受電装置の数)に基づいて第二送電量は決定されたがこれに限られるものではない。例えば、第一装置数を用いず、A/Dコンバータの量子化ビット数と受電装置が近接したことによって生じる電気量の変化とから第2送電量を決定するようにして良い。
図14に示す条件で無線電力伝送を行う場合の第二送電量の他の決定方法の一例を示す。
図14において、1400は受電装置数であり、送電装置が同時に送電可能な受電装置の数を示す。1400によれば送電装置は5台の受電装置に送電可能である。1401はA/Dコンバータの量子化ビット数であり、1401によればA/Dコンバータの量子化ビット数は6ビットである為、A/Dコンバータは64値の電流値の検出が可能である。1402は、受電装置を検出するために必要な電力の検出精度であり、ここでは受電装置が最低限の動作が可能な電力を示す。この例では受電装置は0.05ワットの電力があれば送電装置と前記制御信号のやりとりが可能である。この受電装置が最低限の動作が可能な電力を以後初期電力という。1403は最大の初期電力であり、送電装置が同時に送電可能な受電装置の数と初期電力を乗算した値である。送電装置がこの最大の初期電力以上の電力で送電を行っていれば、送電装置が送電可能な上限台数に送電を行っていたいとしても、全ての受電装置は最低限の動作が可能である。1403によれば、0.25ワットの電力が送電装置から供給されれば、5台の受電装置は送電装置と制御信号のやりとりが可能である。1404は、受電装置を検出するために必要な電流の検出精度であり、電力の検出精度を送電電圧1405で除算した値である。1404によれば、0.005アンペアの検出精度があれば、送電装置は1台の受電装置を検出可能であることを示す。
【0057】
この場合において、第二送電量の他の決定方法を説明する。ここで、第二送電量をAワットとする。Aワット送電時の検出精度が1402に示すように0.05ワット以下であればよいので、Aは、0.05ワットにA/Dコンバータの量子化ビット数である1401が示す64(6bit)を乗算した3.2ワット以下であればよいことになる。ここでは、3.2Wを第2送電量と決定する。言い換えれば、第二送電量(1406)は受電装置を検出するための検出精度を満足する最大の送電量に設定する。
【0058】
このように、検出精度を満足する最大の送電量に設定した場合、この値と1403に示す最大の初期電力を比較すると、第二送電量(1406)の値が上回る。したがって、検出モードにおいても、送電中の受電装置に対して最低限の動作を保証する給電を行うことが可能になる。また、新たに置かれた受電装置のバッテリが制御信号のやりとりもできないほど枯渇していた場合、検出精度を満足する最大の送電量であれば、受電装置に制御信号をやりとりするのに必要な電力を供給することができる。したがって、バッテリが制御枯渇している受電装置に対して検出モードによる送電により、制御信号のやりとりができるようになり、送電モードによる送電を開始できる。
【0059】
また、検出精度を満足する最大の送電量と送電モードにおける第一送電量を比較して、検出精度を満足する最大の送電量が大きい場合、第二送電量を第1送電量と同一にしても良い。例えば、検出精度を満足する最大の送電量(1406)は3.2ワットであり、第一送電量が、2ワットであったとする。この場合は、送電制御部211はS504において第二送電量を2ワット(第一送電量)に更新する。こうすることで、送電効率は第二送電量を3.2ワットとする場合に比べて向上する。なぜならば、一般的なスイッチング電源では、送電制御部211の設定値と受電装置の消費電力が等しい場合に、スイッチング損失が少ない、高効率な電力伝送ができ、そうでない場合はスイッチング損失が増加により効率が低下する為である。
【0060】
また、送電装置の検出精度を受電装置の初期電力を例に説明したが、これは送電装置がシステムとして検出すべき電力量であれば他のものでもよい。例えば、異物の消費電力を検出すべき電力量として規定してもよい。
【0061】
また上述の実施例では送電装置で検出可能な電気量として電流値、電力を用いて説明するが、他の電気量であってもよい。例えば電圧値、インピーダンス、反射波の電圧値などを用いてもよい。
【0062】
また、上述の実施例では送電モードと検出モードを交互に切替える例を示したがこれに限られるものではない。例えば、制御信号のやり取りをするためのモードである第3のモードを設けてこれらを順にきりかえるように構成しても良い。
【0063】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。