【実施例】
【0015】
図中、符号1で示すものは本発明の経鼻チューブ先端位置確認装置であり、このものは、ほぼ密閉された空間を構成する筐体10と、この筐体10から外部に連通し、且つ患者Pの体内に挿入される経鼻チューブ6の基端側と接続される接続部2と、前記筐体10内に配置されるセンサエレメント3と、このセンサエレメント3が受ける空圧変化を電気信号として出力する電子回路31と、電子回路31からの出力を受けて前記空圧変化を認識可能状態に表示する表示手段5とを具えて成るものである。
以下、経鼻チューブ先端位置確認装置1の構成要素について詳しく説明する。
【0016】
まず前記筐体10は、経鼻チューブ先端位置確認装置1の構成部材を収容する部材であって、片手で保持することができる程度の外形寸法に設定されたものである。
また筐体10の上面には表示枠11が開口されており、更に一つの側面には円筒状の接続部2が筐体10の内部空間に連通した状態となるように具えられる。なお接続部2については、筐体10と一体成型してもよいが、後述するように接続部2に経鼻チューブ6及び管体9が接続されることを考慮すると、
図1に示すように細径部21と太径部22とが形成されたものを別部材として用意するのが好ましい。
【0017】
また前記センサエレメント3は、経鼻チューブ6の管内空間を通じて伝搬してくる空気振動を感知するための素子である。そしてセンサエレメント3及び各種電子部品によって構成される電子回路31が基板上に搭載されてセンサモジュール30が構成される。
なお前記電子回路31は、オペアンプ等を具えて成るものであり、センサエレメント3の出力を適宜増幅する等して、後述するプロセッサ52の入力信号のスペックに適合した出力信号を得るものである。
【0018】
なおこの実施例では、前記センサエレメント3として一例として焦電センサが適用されるものであり、空気は微小な圧力変化で温度変化を生じることを利用して、検出された微小な温度変化から圧力変化を導出するような処理が行われるものとした。
ここで焦電センサに用いられている焦電素子について説明すると、誘電体の一種に焦電体(チタン酸ジルコン酸鉛等)というものがあり、この焦電体は赤外線を受けると、熱エネルギーを吸収して自発分極に変化が生じ、その変化量に比例して表面に電荷が誘起されることとなる(焦電効果)。この特性を利用して赤外線を含む光を感知する(変化を見る)ものが焦電センサである。
この実施例では一例として、前記センサエレメント3として富士セラミックス社製、FKS−HM02を適用した。因みにこの実施例で示されるセンサモジュール30は、1パスカルの変化を検出できるものである。
【0019】
なおセンサエレメント3としては、圧力センサまたはマイクロフォンを適用するようにしてもよく、この場合のマイクロフォンとしては、ダイナミックマイク、コンデンサマイク等が挙げられる。
【0020】
また前記表示手段5は、一例として液晶、有機EL等が適用された表示装置50と、この表示装置50を駆動するためのドライバ回路51と、前記センサモジュール30からの入力信号を処理して表示装置50の規格に適合した出力信号を生成するためのプロセッサ52とを具えて成るものである。
なお前記プロセッサ52によってバンドパスフィルタ処理を行い、心拍に近い1Hz付近の周波数成分を除去したり、呼吸に近い0.6Hz付近の周波数成分を除去するようにして波形の平滑化を図るようにしてもよい。
【0021】
また前記経鼻チューブ6は、外径6〜10Fr(1Fr=1/3mm)程度の柔軟な樹脂チューブが適用されるものであり、一例としてシリコンゴム製のものが採用されるが、塩化ビニール、ポリウレタン製のものを採用することもできる。
【0022】
そしてこれらセンサモジュール30及び表示手段5を前記筐体10内に収容するものであり、この際、センサエレメント3と、接続部2における太径部22とを、
図3(a)に示すように管体9によって連結するものとする。このような構成とすることにより、接続部2の細径部21に接続される経鼻チューブ6内の圧力変動が、センサエレメント3に対してダイレクトに伝わることとなり、ノイズの少ない測定が可能となる。
また経鼻チューブ6を通じて筐体10内に患者Pの体液等が逆流した場合に、この体液等が直接センサエレメント3に接することのないように、空気は通すが液体を通さない素材が適用された逆流防止材90を、経鼻チューブ6とセンサエレメント3との間に介在させる。
図3(a)に示す実施例では、一例として管体9中に逆流防止材90を配するようにした。なお逆流防止材90は、前記センサエレメント3による圧力変動の検知能力を著しく低下させてしまうことがない程度の通気性を有するものである。
このような逆流防止材90としては、ポリテトラフルオロエチレンのフィルムとポリウレタンポリマーを複合化して作成された、WLゴア&アソシエイツ社(日本ゴア株式会社)製ゴアテックス(登録商標)等が適用される。
【0023】
更に前記経鼻チューブ6の基端側と接続部2との間には、バクテリアやウィルスを遮断可能なフィルタ7が設けられる。
このフィルタ7は、中空状の収容体70に対して、前記経鼻チューブ6の内径よりも細径の接続管71と、前記接続部2における細径部21の外径よりも太径の接続管72が形成され、収容体70内にフィルタエレメント73が具えられて成るものである。
前記フィルタエレメント73は、バクテリアやウィルスを遮断可能であって、且つ前記センサエレメント3による圧力変動の検知能力を著しく低下させてしまうことがない程度の通気性を有するフィルタ材である。このように空気は通すが菌を通さない素材としては、具体的には特殊加工が施されれた不織布等が挙げられるものであり、一例として岐阜プラスチック工業社製、医療エアフィルタ(TPF−11)が適用される。
なお上記フィルタエレメント73を交換式としてもよいが、消毒・洗浄等のメンテナンスとコストとを考慮すると、フィルタ7全体をディスポーザブルとすることが望ましい。
また収容体70内には、フィルタエレメント73に加えて、前記逆流防止材90を配するようにしてもよい。
【0024】
また前記筐体10内には、前記表示手段5及びセンサモジュール30の電源となる電池8が収容されるものであり、この電池8をセットするための電池ボックス80が具えられる。
【0025】
本発明の経鼻チューブ先端位置確認装置1は、一例として上述のような構成要素を組み付けることにより構成されるものであり、以下、この装置を用いた経鼻チューブ先端位置確認方法について説明する。
【0026】
〔経鼻チューブの挿入〕
まず、患者Pの鼻腔Cから胃Sまでのおおよその長さを、患者Pの体に経鼻チューブ6を沿わせるようにして測り、鼻腔C出口付近となる部位に油性インク等でマーキングMを付しておく。
次いで経鼻チューブ6の先端に適宜ゼリー状の麻酔薬を塗布してから鼻腔Cに挿入し、順次送り込んで挿入を進めてゆき、前記マーキングMの部位まで挿入する。
この際、胃Sの内容物等が逆流しないように、経鼻チューブ6の適宜の位置を折り曲げて(クランプ)、流路を遮断しておくことが好ましい。
なお患者Pに嚥下動作を行ってもらうことにより、経鼻チューブ6の挿入が、より円滑に行われることとなる。
【0027】
〔経鼻チューブ先端位置確認装置のセッティング〕
次いで経鼻チューブ6の基端を、フィルタ7の接続管71に繋ぐとともに、接続管72を接続部2の細径部21に繋ぎ、続いて経鼻チューブ先端位置確認装置1の電源をオンにして起動する。
【0028】
〔腹部の押圧と波形確認〕
そして前記折り曲げ(クランプ)を解除し、患者Pの胃Sの部分を外側から指で軽くたたく(押圧する)ものであり、経鼻チューブ6の先端が正しく胃S内に位置しているときには、表示手段5において
図4(c)に示すような押圧に追随した波形が確認される。
このようにして経鼻チューブ6の先端が正しく胃S内に位置していることが確認されたときには、プローブとして機能していた経鼻チューブ6の基端側をフィルタ7から取り外して、経鼻チューブ6を用いた飲食物や薬剤の投与が行われることとなる。
【0029】
一方、経鼻チューブ6の先端が誤って気管Tや肺L内に位置しているときには、表示手段5において押圧による反応は確認されることがなく、
図4(a)に示す呼吸を停止したときの波形あるいは
図4(b)に示す大きく呼吸をしているときの波形に近い波形が確認される。
そしてこの場合、経鼻チューブ6を引き戻して再度挿入操作を行い、再度前述の波形確認が行われる。
【0030】
〔胃の内容物等の逆流があった場合の対処〕
なお経鼻チューブ6が経鼻チューブ先端位置確認装置1に接続された状態で、胃Sの内容物等の逆流があった場合には、逆流防止材90によって液体の通過が阻止されるため、センサエレメント3の損傷を回避することができるものであり、その後、逆流防止材90の交換を行うものとする。
【0031】
〔装置の取り外しとメンテナンス〕
そして次回の使用に具えて、経鼻チューブ先端位置確認装置1のメンテナンスが行われるものであり、フィルタ7の接続管72を接続部2の細径部21から外すとともに、接続部2を適宜アルコール等の消毒液を用いて消毒する。
なお前記フィルタ7については、その内部に患者Pの体内からバクテリアやウィルス、血液、体液等が入り込んでいる可能性があるため、廃棄処分するものとする。
【0032】
〔他の形態例〕
本発明は以上述べた実施例を基本となる実施例とするものであるが、本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
具体的には、
図3(b)に示すように、筐体10内に、密閉された検知室91を設け、この検知室91内にセンサモジュール30を配するような形態を採ることができる。この場合、検知室91の一部に接続部2を形成し、この接続部2を筐体10の外部に突出させるとともに、ここにフィルタ7または経鼻チューブ6を接続するようにする。また接続部2の内側には逆流防止材90が貼設される。