特許第6245872号(P6245872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6245872データ取得装置、対消滅ガンマ線検出器及び対消滅ガンマ線検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245872
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】データ取得装置、対消滅ガンマ線検出器及び対消滅ガンマ線検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   G01T1/161 A
   G01T1/161 C
【請求項の数】22
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-149950(P2013-149950)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2014-21123(P2014-21123A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2016年6月29日
(31)【優先権主張番号】13/552,155
(32)【優先日】2012年7月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ガグノン
(72)【発明者】
【氏名】サチン エス.ユナーカ
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−116256(JP,A)
【文献】 米国特許第6750456(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対消滅ガンマ線検出器のためのデータ取得装置であって、
対消滅イベントによって生成された入射ガンマ線に応じて相互作用して光を生成するシンチレータのアレイであるシンチレータアレイに連結され、前記光を受信して複数の電気信号に変換する複数のセンサーから、前記複数の電気信号を受信して加算することで第1の信号を生成する加算回路と、
前記複数の電気信号を選択的に遅延させて加算することで第2の信号を生成する遅延加算回路と、
前記第1の信号を受信して、前記第1の信号のエネルギーおよびイベント時間を決定する第1の回路と、
前記第1の信号および前記第2の信号を受信して、前記第1の信号及び前記第2の信号が所定の閾値を超えた場合に、前記複数のセンサーのうちのどのセンサーが前記相互作用のシンチレータの位置に対応しているかを決定する第2の回路と、
を備えたことを特徴とする、データ取得装置。
【請求項2】
前記遅延加算回路は、前記第2の信号が異なる長さの時間によって遅延された前記複数の電気信号のうちの各信号の合計となるように、少なくとも1つの加算器および少なくとも1つの遅延要素を備えたことを特徴とする、請求項1に記載のデータ取得装置。
【請求項3】
前記複数のセンサーは、センサーの比較的大きいアレイ内でセンサーの行、列、またはブロックを形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のデータ取得装置。
【請求項4】
前記第2の回路は、
前記所定の閾値を生成するパルスID閾値発生器と、
前記第1の信号を前記所定の閾値と比較して、前記第1の信号が前記所定の閾値を超えた場合に、開始信号を生成する第1のコンパレータと、
前記第2の信号を前記所定の閾値と比較して、前記第2の信号が前記所定の閾値を超えた場合に、停止信号を生成する第2のコンパレータと、
前記開始信号および停止信号を受信し、前記開始信号の受信に応じて計数を開始し、前記停止信号の受信に応じて計数を停止する計数器と、
を備えたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のデータ取得装置。
【請求項5】
前記第1の信号を前置増幅して整形する第1の前置増幅器/整形器回路と、
前記第2の信号を前置増幅して整形する第2の前置増幅器/整形器回路と、
をさらに備えたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載のデータ取得装置。
【請求項6】
前記第1の回路は、前記第1の信号をデジタル化するアナログ/デジタル変換器を備えたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載のデータ取得装置。
【請求項7】
前記パルスID閾値発生器は、デジタル/アナログ変換器を備えたことを特徴とする、請求項4に記載のデータ取得装置。
【請求項8】
前記複数のセンサーに含まれる各センサーは、前記シンチレータアレイ内の各シンチレータと実質的に同じサイズであり、前記各センサーは、対応するシンチレータを覆うようになることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載のデータ取得装置。
【請求項9】
対消滅ガンマ線検出器であって、
シンチレータアレイと、
センサーアレイと、
複数のデータ取得装置とを含み、
前記複数のデータ取得装置それぞれは、
対消滅イベントによって生成された入射ガンマ線に応じて相互作用して光を生成するシンチレータのアレイであるシンチレータアレイに連結され、前記光を受信して複数の電気信号に変換する複数のセンサーから、前記複数の電気信号を受信して加算することで第1の信号を生成する加算回路と、
前記複数の電気信号を選択的に遅延させて加算することで第2の信号を生成する遅延加算回路と、
前記第1の信号を受信して、前記第1の信号のエネルギーおよびイベント時間を決定する第1の回路と、
前記第1の信号および前記第2の信号を受信して、前記第1の信号及び前記第2の信号が所定の閾値を超えた場合に、前記複数のセンサーのうちのどのセンサーが前記相互作用のシンチレータの位置に対応しているかを決定する第2の回路と、
を備えたことを特徴とする、対消滅ガンマ線検出器。
【請求項10】
前記遅延加算回路は、前記第2の信号が異なる長さの時間によって遅延された前記複数の電気信号のうちの各信号の合計となるように、少なくとも1つの加算器および少なくとも1つの遅延要素を備えたことを特徴とする、請求項9に記載の対消滅ガンマ線検出器。
【請求項11】
前記複数のセンサーは、センサーの比較的大きいアレイ内でセンサーの行、列、またはブロックを形成することを特徴とする、請求項9又は10に記載の対消滅ガンマ線検出器。
【請求項12】
前記第2の回路は、
前記所定の閾値を生成するパルスID閾値発生器と、
前記第1の信号を前記所定の閾値と比較して、前記第1の信号が前記所定の閾値を超えた場合に、開始信号を生成する第1のコンパレータと、
前記第2の信号を前記所定の閾値と比較して、前記第2の信号が前記所定の閾値を超えた場合に、停止信号を生成する第2のコンパレータと、
前記開始および停止の信号を受信し、前記開始信号の受信に応じて計数を開始し、前記停止信号の受信に応じて計数を停止する計数器と、
を備えたことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1つに記載の対消滅ガンマ線検出器。
【請求項13】
前記第1の信号を前置増幅して整形する第1の前置増幅器/整形器回路と、
前記第2の信号を前置増幅して整形する第2の前置増幅器/整形器回路と、
をさらに備えたことを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1つに記載の対消滅ガンマ線検出器。
【請求項14】
前記第1の回路は、前記第1の信号をデジタル化するアナログ/デジタル変換器を含むことを特徴とする、請求項9〜13のいずれか1つに記載の対消滅ガンマ線検出器。
【請求項15】
前記パルスID閾値発生器は、デジタル/アナログ変換器を備えたことを特徴とする、請求項12に記載の対消滅ガンマ線検出器。
【請求項16】
前記複数のセンサーに含まれる各センサーは、前記シンチレータアレイ内の各シンチレータと実質的に同じサイズであり、前記各センサーは、対応するシンチレータを覆うようになることを特徴とする、請求項9〜15のいずれか1つに記載の対消滅ガンマ線検出器。
【請求項17】
対消滅ガンマ線検出方法であって、
対消滅イベントによって生成された入射ガンマ線に応じて相互作用して光を生成するシンチレータのアレイであるシンチレータアレイに連結され、前記光を受信して複数の電気信号に変換する複数のセンサーから、前記複数の電気信号を受信して加算することで第1の信号を生成するステップと、
前記複数の電気信号を選択的に遅延させて加算することで第2の信号を生成するステップと、
前記第1の信号のエネルギーおよびイベント時間を決定するステップと、
前記第1の信号が所定の閾値を超えた場合に、前記複数のセンサーのうちのどのセンサーが前記相互作用したシンチレータの位置に対応するかを、前記第2の信号に基づいて決定するステップと、
を含んだことを特徴とする、対消滅ガンマ線検出方法。
【請求項18】
前記複数のセンサーは、センサーの比較的大きいアレイ内でセンサーの行、列、またはブロックを形成することを特徴とする、請求項17に記載の対消滅ガンマ線検出方法。
【請求項19】
前記所定の閾値を生成するステップと、
前記第1の信号を前記所定の閾値と比較するステップと、
前記第1の信号が前記所定の閾値を超えた場合に、開始信号を生成するステップと、
前記第2の信号を前記所定の閾値と比較するステップと、
前記第2の信号が前記所定の閾値を超えた場合に、停止信号を生成するステップと、
前記開始信号の前記発生に応じて計数を開始するステップと、
前記停止信号の前記発生に応じて計数を停止するステップと、
をさらに含んだことを特徴とする、請求項17又は18に記載の対消滅ガンマ線検出方法。
【請求項20】
前記第1の信号および前記第2の信号を前置増幅するステップおよび整形するステップをさらに含んだことを特徴とする、請求項17〜19のいずれか1つに記載の対消滅ガンマ線検出方法。
【請求項21】
アナログ/デジタル変換器を使って前記第1の信号をデジタル化するステップをさらに含んだことを特徴とする、請求項17〜20のいずれか1つに記載の対消滅ガンマ線検出方法。
【請求項22】
前記複数のセンサーに含まれる各センサーは、前記シンチレータアレイ内の各シンチレータと実質的に同じサイズであり、前記各センサーは、対応するシンチレータを覆うようになることを特徴とする、請求項17〜21のいずれか1つに記載の対消滅ガンマ線検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)においてチャンネル計数を削減する装置および方法に関する。より詳細には、本開示は、光検出器からの読み出しをデータ束ねすることによって、半導体ベースのポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)においてチャンネル計数を削減する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PETイメージングは、被検体への放射性医薬品の投与(ほとんどは注入であるが、吸入および摂取も含めて)から始まり、やがて、薬剤の物理的および生体分子的特性は、人体内の特定部位に集積する。実際の空間分布、集積の点または領域の強度、および投与から捕捉まで最終的には排出までの処理の動態は、すべて臨床的な重要性を持ち得る因子である。この処理中、医薬品に付着したポジトロン放射体は、同位元素(半減期、分岐比)の物理的性質に応じてポジトロンを放射する。各ポジトロンは、いずれ被検体の電子と相互作用して対消滅し、大抵の場合、互いから実質的に180度方向に511keVの2つの対消滅ガンマ線を生成する。それらの2つの対消滅ガンマ線は、その後に光検出器および処理エレクトロニクスが続くシンチレータによって早急に検出される。
【0003】
検出された一対の対消滅ガンマ線の位置の間に線を引くと、応答線(Line−of−Response:LoR)とも呼ばれ、本来の対消滅イベントの発生したであろう位置を割り出すことができる。この処理は、対消滅イベントが発生した線を識別するだけであるが、これらの線を多数蓄積することによって、断層撮影再構成処理を通して、ポジトロン放出核種の本来の分布を推定できる。
【0004】
2つのシンチレーションイベントの位置に加えて、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)が利用できる場合、対消滅ガンマ線が、その本来の点から検出器エレクトロニクスまで移動するのにかかった時間を正確に計算できる。この時間(飛行時間(Time−of−Flight:ToF)と呼ばれる)によって、本来の対消滅イベントの発生したであろう位置、すなわち、線に沿った対消滅位置に関するより多くの情報が得られる。スキャナのタイミング分解能の限界によって、この線に沿った位置決めの精度が決定される。本来のシンチレーションイベントの位置決定の限界によって、スキャナの最終的な空間的分解能が決定される一方で、同位元素の固有の特性(ポジトロンのエネルギー)もまた、2つの対消滅ガンマ線のポジトロンレンジおよび共直線性によって、特定の薬剤に対する空間的分解能の決定に寄与する。
【0005】
上記の計算を多数のイベントに対して反復する必要がある。イメージング作業を支援するためには、すべてのケースで、どのくらい多くの計数(イベント対)が必要であるかを決定するために分析が必要であるが、現在の慣習では、典型的な100cm長のFDG(フッ化デオキシグルコース)の研究では数億の計数を蓄積しなければならないと規定している。この計数を蓄積するのに要する時間は、注入される放射線量、およびスキャナの感度および計数性能によって決定される。
【0006】
スキャナの計数性能は、主に2つの要因で決定される。第1に、シンチレータの減衰時間は、センサーが占有される時間を決定する。この時間は、削減できないパラメータであり、シンチレータの性質に固有である。シンチレーション光が発生して集積されるために要する時間は、イベント処理のための最小限の時間を決定する。仮に別のイベントが、この時間周期の間に起こった場合、2回目のイベントからの光は、イベントの推定を、タイミング、エネルギー、および位置の推定を無効にする点へ偏らせる。したがって、両方のイベントは、破棄される必要があるかもしれない。
【0007】
計数率に影響する第2の変量は、トリガゾーンとも呼ばれるが、イベント中に「影響される」または「占有される」スキャナの総表面の分画である。2回目のイベントが、異なる位置のトリガゾーンの外側で起こり、エレクトロニクスチャンネルの異なるセットが使われる場合、2回目のイベントは、最初のイベントの処理中のどの時点においても発生し得る。したがって、トリガゾーンおよび集積時間の概念は、スキャナの計数率性能を決定する際に重要である。
【0008】
したがって、計数率を最大にするために、非常に小さなトリガゾーンをつくる要望が存在する。しかし、この要望は、より小さな検出器領域が、またエレクトロニクスチャンネルの数を増加させ、さらにその結果として、システム全体のコストを上げるという事実によって即座に反対される。
【0009】
従来の取り組みでは、チャンネルの数があまりに高すぎて、別々の構成要素を用いた信号処理エレクトロニクスを実行できない場合、一般的には、チャンネルのデータ束ねを実行している。例えば、典型的な最新のPETスキャナは、スキャナ全体で数百のセンサーしか利用しておらず、かかる場合、処理エレクトロニクスチャンネルに対するセンサーの1対1の結合は、明らかに入手可能である。
【0010】
別のタイプのセンサー、例えば、多重アノード光電子増倍管(Photo−Multiplier Tubes:PMT)、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード(Avalanche Photodiodes:APD)、またはより最近の半導体光電子増倍管(SiPM(Silicon Photomultipliers:シリコン光電子倍増管)、SSPM(Solid State Photomultipliers:半導体光電子倍増管)、MPPC(Multi Pixel Photon Counter:マルチピクセル光子計数器)その他)を使用すると、通常、数千または何万ものセンサーを結果として得ることができる。この場合、チャンネル計数を最適化する試みが明らかに必要とされる。2つのそのようなチャンネル計数削減技術は、図1および2に示すように、それぞれ、コドラント(重心演算法)による、又は、行および列による加算回路を使うことである。
【0011】
図1は、コドラントによる重心演算法の変化を示す図であり、ここで、ビスマスゲルマニウムオキサイド(Bismuth Germanium Oxide:BGO)のシンチレータのブロックは、SiPM 103の2×2のマトリックスを合計することによって作られる4つのコドラント101によって読み出されるものである。重心演算法は、これらのコドラントの出力に適用され、位置、エネルギー、およびタイミングを推定できる。
【0012】
図2は、行方向および列方向の加算Σチャンネルを使った従来の行列読み出しを示す図である。16台のセンサー201(またはセンサーセル)からなる4×4のマトリックスであるこの例の場合、4行および4列は、配列においてイベントの位置を適切に識別できる。この取り組みでは、チャンネル計数が16である、センサーごとの専用のエレクトロニクスチャンネルに比べて8つのエレクトロニクスチャンネルしか使われていない。配列が大きいほど、チャンネル計数削減をより多くすることが、この取り組みによって達成される。例えば、Nが各行および列のセンサー数である正方形の配列の場合、N×Nと2Nとの差は、著しくなる。
【0013】
この取り組みに関する1つの問題は、信号がガンマ相互作用の場合、(第1のシンチレータ内のコンプトン散乱を通して)複数のシンチレータから複数の加算回路に分割されることである。この状況は、一般的である。20mm厚のLYS0(Cerium doped Lutetium Yttrium Orthosilicate:ケイ酸ルテチウムイットリウム)と4×4mmのシンチレータとによる典型的なPETスキャナ構造では、すべての相互作用のうちのわずか78%が、単一のシンチレータに影響を及ぼし、イベントの残りの22%は、少なくとも2つの隣接するシンチレータで光を生成する。この割合は、シンチレータのサイズおよび厚みの実際の設計によって異なるが、対処される必要がある重大な問題を残している。
【0014】
これらの複数の相互作用イベントの大部分は、対象のシンチレータを中心にして、対象のシンチレータを含む9つのシンチレータからなるであろうマトリックスを作る対象のシンチレータの周りの最初の列に影響を及ぼす。部分的なエネルギー堆積が、中心のシンチレータの左または右で起きた場合、水平線が影響を受けた2台のセンサーの合計を捕捉する。部分的なエネルギー堆積が、中心のシンチレータの上部または下部で起きた場合、垂直線が影響を受けた2台のセンサーの合計を捕捉する。しかしながら、任意の斜めの相互作用は、信号を複数の加算線の上に分布する。
【0015】
この取り組みの総合的な効果を得るためには、システムが、加算された信号に関して水平線と垂直線との両方を分析して、タイミングピックオフのためにはどちらの線が最良の信号を含んでいるかを見つける必要がある。さらに、斜めの相互作用の場合は、最良の信号が劣化されるので、良好なタイミング推定の能力が限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−41007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、半導体ベースのPETにおいて、チャンネル計数を削減することができるデータ取得装置、対消滅ガンマ線検出器及び対消滅ガンマ線検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一実施形態によれば、データ取得装置は、対消滅ガンマ線検出器のためのデータ取得装置であって、加算回路と、遅延加算回路と、第1の回路と、第2の回路とを備える。加算回路は、対消滅イベントによって生成された入射ガンマ線に応じて相互作用して光を生成するシンチレータのアレイであるシンチレータアレイに連結され、前記光を受信して複数の電気信号に変換する複数のセンサーから、前記複数の電気信号を受信して加算することで第1の信号を生成する。遅延加算回路は、前記複数の電気信号を選択的に遅延させて加算することで第2の信号を生成する。第1の回路は、前記第1の信号を受信して、前記第1の信号のエネルギーおよびイベント時間を決定する。第2の回路は、前記第1の信号および前記第2の信号を受信して、前記第1の信号及び前記第2の信号が所定の閾値を超えた場合に、前記複数のセンサーのうちのどのセンサーが前記相互作用のシンチレータの位置に対応しているかを決定する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書に記載の実施形態のより完全な認識とその付随する利点の多くは、添付の図面に関連して考察する場合に、以下の詳細な説明を参照することによって、よりよく理解されるので、容易に得られるであろう。
図1図1は、コドラントによる重心演算法の変形を表す図であり、ここで、BGOのブロックは、2×2 SiPMを加算することにより作り出される4コドラントによって読み出されるものである。
図2図2は、行方向および列方向の加算(Σ)チャンネルを使った従来の行列読み出しを表す図である。
図3図3は、4台のセンサーのアレイに対するΣおよびΣΔのチャンネル多重化の概略図である。
図4A図4Aは、4台のセンサーのアレイに対する、選択的に遅延される前後のセンサー出力を表す図である。
図4B図4Bは、4台のセンサーのアレイに対する、選択的に遅延される前後のセンサー出力を表す図である。
図5図5は、ΣおよびΣΔのチャンネルのブロック図である。
図6図6は、ΣおよびΣΔのチャンネルのタイミング図である。
図7図7は、光子到着時間を決定するために使用されるBG0シンチレータのための強度関数を表す図である。
図8A図8Aは、不均一ポアソン過程がとる典型的な経路の実例を表す到着時間を示す図である。
図8B図8Bは、重ね合せモデルを用いたBGO−PMTセットアップの典型的な電流パルス出力の実例を表す到着時間を示す図である。
図9図9は、ΣΔ配列の研究に用いられるシミュレーションセットアップのフロー図である。
図10A図10Aは、ΣΔモンテカルロシミュレーションの結果を示す図である。
図10B図10Bは、ΣΔモンテカルロシミュレーションの結果を示す図である。
図10C図10Cは、ΣΔモンテカルロシミュレーションの結果を示す図である。
図10D図10Dは、ΣΔモンテカルロシミュレーションの結果を示す図である。
図11図11は、ガンマ線検出器のデータ取得方法のためのフロー図である。
図12図12は、ガンマ線検出器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願に係る実施形態の詳細について説明する。本願においては、上述したように、半導体ベースのPETにおいて、チャンネル計数を削減することができるデータ取得装置、対消滅ガンマ線検出器及び対消滅ガンマ線検出方法を提供する。具体的には、本願においては、チャンネル計数を削減すると同時に、より小さなトリガゾーンの使用と、非常に高い計数率能力およびより高い位置決め精度とを可能にするための方法を記述する。開示される実施形態は、より大きなチャンネル計数の削減と同時に、タイミングおよびエネルギーの推定に専用の回路の一部分とアレイに位置決めする回路の別の部分を有することにより最適なシステム設計を提供する。
【0021】
そこで、本願に係る第1の実施形態によれば、ガンマ線検出器のためのデータ取得デバイスが提供される。該データ取得デバイスは、シンチレータアレイに連結された対応する複数のセンサーからの複数の電気信号を加算して第1の信号を生成するように構成された加算回路と、受信された光を複数の電気信号に変換する複数のセンサーと、ここで、光は、対消滅イベントによって生成された入射ガンマ線に応じて相互作用するシンチレータによって生成されるものであり、複数の電気信号を選択的に遅延させて加算し、第2の信号を生成するように構成された遅延加算回路と、第1の信号を受信して、第1の信号のエネルギーおよびイベント時間を決定するように構成された第1の回路と、第1の信号および第2の信号を受信して、第1の信号が、所定の閾値を超えた場合に、複数のセンサーのうちのどのセンサーが、相互作用したシンチレータの位置に対応するかを決定するように構成された第2の回路とを含む。
【0022】
また、第2の実施形態によると、シンチレータのアレイ、センサーのアレイ、および複数のデータ取得装置を含む対消滅ガンマ線検出器が提供される。各データ取得装置は、シンチレータアレイに連結された対応する複数のセンサーからの複数の電気信号を加算して第1の信号を生成するように構成された加算回路と、ここで、複数のセンサーは、受信された光を複数の電気信号に変換するものであり、光は、対消滅イベントによって生成された入射ガンマ線に応じて相互作用するシンチレータによって生成されるものであり、複数の電気信号を選択的に遅延させて加算し、第2の信号を生成するように構成された遅延加算回路と、第1の信号を受信して、第1の信号のエネルギーおよびイベント時間を決定するように構成された第1の回路と、第1の信号および第2の信号を受信して、第1の信号が、所定の閾値を超えた場合に、複数のセンサーのうちのどのセンサーが、相互作用したシンチレータの位置に対応するかを決定するように構成された第2の回路とを含む。
【0023】
また、第3の実施形態によると、対消滅ガンマ線検出方法が提供される。対消滅ガンマ線検出方法は、シンチレータのアレイに連結された対応する複数のセンサーからの複数の電気信号を加算することによって第1の信号を生成するステップと、ここで、複数のセンサーは、受信された光を複数の電気信号に変換するものであり、光は、消滅イベントによって生成される入射ガンマ線に応じて相互作用するシンチレータによって生成されるものであり、複数の電気信号を選択的に遅延させて加算することによって第2の信号を生成するステップと、第1の信号のエネルギーおよびイベント時間を決定するステップと、第1の信号が、所定の閾値を超えた場合に、複数のセンサーのうちのどのセンサーが、相互作用したシンチレータの位置に対応するかを、第2の信号に基づいて決定するステップとを含む。
【0024】
ここで、図面においては、類似の参照番号が、いくつかの図を通して同一のまたは対応する部分を示す。図3は、センサー301のアレイを使った一実施形態を示す図である。例示の4台のセンサーは、アレイの行、列、または面積を表す。この例では、4台のセンサーが示されているが、任意の数のセンサーを使用できる。ΣΔ取り組みの概念は、以下の方式で2つのチャンネルを作ることである。第1のチャンネルは、Σチャンネルと呼ばれる。該Σチャンネルは、行(または列)に沿ってすべてのセンサー301からの信号を加算する加算回路303の出力であり、したがって、エネルギー推定およびタイミングピックオフのための最適信号を作り出す。第2のチャンネルは、ΣΔと呼ばれる。該ΣΔチャンネルは、各センサー301に対して既知の遅延要素Δ305を挿入することによって作り出され、その結果、イベントの位置に対する時間署名を作り出し、次に、加算回路303を使って遅延された信号を加算する。
【0025】
図4Aおよび4Bは、それぞれ遅延される前後の4つのセンサー信号の例を示す図である。この例では、異なるセンサー信号に導入された異なる遅延時間は、所定の遅延時間Δの整数倍である。
【0026】
図5は、ΣおよびΣΔのチャンネルのブロック図である。ΣおよびΣΔの各チャンネルは、対応する前置増幅器および整形回路501によって調整され、その出力は、対応するコンパレータ505のプラス側入力に接続される。コンパレータ505のマイナス側入力は、パルスID(Identification:識別)閾値DAC(Digital−to−Analog Converter:デジタル/アナログ変換器)503の出力に接続される。ΣおよびΣΔのチャンネルに対応するコンパレータ505の出力は、それぞれ、高速計数器509への「開始」および「停止」の信号を出力する。
【0027】
Σチャンネルに対応する前置増幅器および整形回路501の出力信号は、ADC(Analog−to−Digital Converter:アナログデジタル変換)回路507にさらに接続され、信号をデジタル化してタイミングおよびエネルギーを抽出する。
【0028】
ΣΔチャンネルは、高速計数器509でデジタル化され、位置情報を抽出する。(それと比べて、行/列論理の場合、16のチャンネルは、アナログ/デジタル変換器(ADC)を使って直接デジタル化され、コンパレータおよびDACは必要とされない。これにより、ADCの数は2倍必要となり、その結果、電力消費は2倍になる。)
【0029】
Σチャンネル出力が、パルスID閾値を超えた場合に、開始信号が生成される。ΣΔチャンネルでは、SiPMsからの信号は、Δの正確な時間遅延およびΣ加算回路を備えたいくつかの個別の遅延要素を通して伝播する。このチャンネルのパルス識別閾値は、停止信号を出力する。引き出された開始および停止の信号間の時間差は、検出器線に関する位置情報を提供する。遅延線によって導入される総遅延は、8つのSiPMsを含む遅延連鎖に対して合計80nsより少ない。行/列および4倍のデータ束ねの取り組みと比較して、チャンネル当たりの電子不感時間はより大きいが、より小さな検出器占有のため、その全体的な影響は最小限である。
【0030】
図6は、Σチャンネル、ΣΔチャンネル、およびコンパレータ出力のタイミング図である。この例の場合、ΣチャンネルおよびΣΔチャンネルは、それぞれ、4台の検出器からの出力信号の合計および遅延合計を出力する。この例では、4台の検出器からの出力信号は、異なる遅延量、すなわち、Δ、2Δ、3Δ、および4Δだけ遅延する。事前較正されたパルスID閾値が、ΣチャンネルおよびΣΔチャンネルの両方に適用され、それぞれ、開始信号および停止信号を抽出する。パルスID閾値は、停止信号が、4台の検出器の間で最も強い信号の遅延時間に対応するように選択される。この例では、最強信号は、3Δにより遅延される。その結果、開始および停止の信号間の時間差は、およそ3Δである。
【0031】
ΣΔチャンネルのためのパルスID(Pulse Identification:PID)閾値は、コンプトン散乱を最小にして光ピークイベントを取り出さないように注意深く選択する必要がある。測定中に観察されるエネルギー分解能に基づいて、コンプトン谷は、光ピークより低い3σERの周りに位置する。ただし、2.34*σERは、エネルギー分解能(18%〜25%測定された)である。エネルギー測定が粗く、完全なシンチレータパルスから統合された値を使わないので、この値にPID閾値を置くと、コンプトン受理が若干大きくなる傾向がある。そのうえ、PIDコンパレータに存在するノイズは、閾値に制約を加える。コンプトン受理を最小にするためには、慎重なコンパレータ設計が使われる。コンパレータが、光子統計ノイズにより誘発されないために、コンパレータは、少なくとも2σPIDに等しい負のヒステリシスを使って設計される。ただし、2σPIDは、PIDコンパレータ入力におけるノイズである。エネルギー測定誤差σPIDは、次式(1)により与えられる。
【0032】
【数1】
【0033】
【数2】
【0034】
ここで、式(1)に含まれるσphotonは光子統計ノイズであり、tPIDはPID閾値を超える時間であり、σENCは電子ノイズである。ここで、式(2)におけるqは電荷であり、Fは過剰ノイズ係数であり、Mは光検出器の利得であり、ωは前置増幅器および整形器の重み関数である。Iphotonは、BG0に対する強度関数であり、2重(或いは60ns〜10%及び300ns〜90%で3重)指数的減衰に近似できる。
【0035】
パルス識別回路の目的は、最高エネルギーの相互作用点のシンチレータの位置を突き止めることである。タイミングは、開始信号を出力するタイミングコンパレータにタイミング閾値を印加することによって抽出される。最高エネルギーの相互作用点を見つけるために、ΣΔパルスが、コンパレータの1つの入力に印加され、コンパレータの第2の入力は、DACを使ってパルスID閾値に設定される。コンパレータは、ΣΔパルスがパルス識別閾値を超えた場合に、停止信号を与えるステップを開始する。最適パルスID閾値は、コンプトン散乱を最小にするか拒絶して、光ピークイベントのみを受け入れるために、光ピークより下の(3σER+3σPID)に置かれる必要がある(ただし、σERは、光ピーク分布の標準偏差である)。
【0036】
BG0に対して10600光子/MeVの発生と25%のエネルギー分解能とを仮定すると、PID閾値は、3680光子、又は、そのあたりに置かれる。900nsのピーキング時間を使うと仮定すると(不感時間とエネルギー分解能との間の妥協でこの数字は変動する)、PID閾値は、ほぼ600nsで超えられる。光子ノイズの寄与は、PIDコンパレータ閾値で約60光子以下である。これは、光ピークイベントの1%に対応する。最適のSNR(Signal−to−Noise Ratio:信号対ノイズ比)は、検出器の積分キャパシタに等しい積分キャパシタ、SPM35CNデバイス静電容量(Cdet)を使って得られる。PID閾値交差で信号の勾配を計算するためにこれらの値を使い、10%のPDE(Photon Detection Efficiency:光子検出効率)および3.2×106の利得を使うと、光子統計ノイズは、σENC=3.5mVに対してσphoton=50mV RMS(Root Mean Square:実効値)である。
【0037】
Δの値は、電子ノイズσENCより大きい少なくとも3σENCである。ΣΔがΣチャンネル内の信号の遅延加算バージョンであるとすれば、Δの値がより大きいと、光子統計ノイズの寄与を増加させることになり、さもなければ、相殺することになるので、より大きいΔの値は勧められない。ΣのPID閾値交差における所与の検出器要素nからの開始信号への光子統計ノイズ寄与が、σPIDnである場合、次に、nからの遅延信号からの停止信号への光子統計ノイズ寄与は、単純にσPIDn+δnである。開始/停止への全体的なノイズ寄与は、その結果、Δで変動するδnとなる。したがって、δnは、より大きい値のΔによって増加する。Δ→0の場合に、(停止/開始)内の光子統計ノイズ→0なので、Δがより大きくなるほど、ノイズ寄与はより大きくなる。位置情報は、停止および開始の間の差によって与えられる。位置情報の誤差は、非干渉性電子ノイズによって制限されるだけであり、光子統計によっては制限されない。また、より小さいΔの値は、電子ノイズσENCによって与えられる理論上の下限までであれば勧められる。
【0038】
Δの適切な選択、慎重なコンパレータの設計、およびPID閾値の較正により、この取り組みは、エネルギー分解能、パルス識別回路の精度、および高速計数周波数によってのみ制限される。システムが含むことができる遅延の総数、それによってデータ束ねできるアレイのサイズは、イベントを決定するために、エネルギー、タイミング、および位置情報が、一体となる必要があるので、大体イベント当たりの処理時間に依存する。40ns以下の減衰時間をもつLYSOなどの速いシンチレータの符号化は、合理的な遅延量として10nsを仮定すると、4×10nsの個体遅延に限定されることになる。300nsの減衰時間をもつBGOのような遅いシンチレータの同様の遅延連鎖では、30台以上のセンサーの符号化が可能になる。8×8のマトリックスの場合、行/列の論理概念と比較して、この符号化には、選択された集積時間の上にさらに80nsの不感時間が必要となる。この不感時間は、本実施形態が提供するより小さい誘発ゾーン面積、およびチャンネル計数の削減に対する対価としては安価である。
【0039】
BGOのタイミング分解能は、LYSOより劣る。2つの異なるエネルギー区別閾値に対する第1の光電子タイミング誤差を図6に示す。このタイミング誤差の源は、光検出器の表面に到着した光子の非均一なポアソン特性である。BGOの場合、300ns(90%)の比較的長い時間尺度で引き伸ばされた比較的少数の発生光子によって、そのような変動が観察される。
【0040】
タイミング測定のRMS誤差は、閾値ならびに光子収集に依存する。文献から、誤差は、所与の閾値に対して2ns〜7nsの間にある。この誤差は、BGOシンチレータを使う同時入射タイミングウィンドウ2τに影響するはずであり、およそ2.8ns〜9.8nsとなるであろう。
【0041】
図7は、光子の到着時間を決定するために使用されるBGOシンチレータのための強度関数を示した図である。この関数を得るために、BGOシンチレータ反応の2重減衰指数モデルによる不均一ポアソン過程のMatlab(マトラボ)シミュレーションを用いた。
【0042】
図8Aおよび8Bは、それぞれ、不均一ポアソン過程によってとられた典型的な経路の図と、重ね合わせモデルを使ったBGO−SiPMセットアップの典型的な電流パルス出力とを表した到着時間を示す図である。BGO減衰モデルは、SiPM単一電子反応と、単独の一様分布されたPDFから不規則に選ばれた利得値とによって畳み込み積分される。床面付近に見られるパルスは、単一光子反応の図である。
【0043】
平均的SiPM反応によるBGOスキャナに対する類似のシミュレーション研究を行った。図9のフロー図は、その研究のために使用したセットアップを要約したものである。平均10600光子/MeVで開始して、光子検出効率、エネルギーぼやけ、図8に示されるBGO反応強度関数、および光子の不均一ポアソン到達時間を反映するために、信号連鎖が、シミュレーションされている。次に、これらは、SiPM出力に近似する単一のSiPMセル応答で畳み込み積分される。100の対消滅ガンマ線をシミュレーションするために、モンテカルロシミュレーションが実行される。不規則に選択された光ピークおよび低エネルギーイベントが、ΣΔ演算器への入力として使用される。ΣおよびΣΔのチャンネルの出力は、次に、2次前置増幅整形器のインパルス応答で畳み込み積分される。以前に記述したように、パルスID閾値は、コンプトン散乱が拒絶されるように置かれる。パルスは、前置増幅整形器出力が、PID閾値を超えた場合に、識別される。開始時間は、ΣチャンネルがPID閾値を超えた場合に、得られる。同様に、ΣΔチャンネルが同じPID閾値を超えた時点は、停止時間として標識付けられる。次に、PIDは、次式(3)によって与えられる。
【0044】
【数3】
【0045】
光ピークおよび散乱の25の異なる組み合わせに対するモンテカルロシミュレーションは、5つの異なる閾値で実行された。図10A〜10Dは、これらのΣΔモンテカルロシミュレーションの結果を示す図である。各ケースで、光ピークパルスは、隣接する2つのコンプトンとともに位置3にあった。PID式は、誤差なしで毎回毎回パルスを識別できた。開始と停止の信号間の標準偏差は、予想通りに、19ns〜22nsの範囲内にあった。また、上述の理論から予期されるように、開始〜停止の標準偏差は、180ps〜260psの範囲にわたる。Δ=10nsの値は、図10A〜10Dで見られるように、PID位置を首尾よく解読できた。
【0046】
本明細書で開示した実施形態では、エレクトロニクスチャンネルの数の4つの削減要因を提供する。実施形態ではまた、従来の取り組みと比較して非常に小さな誘発ゾーンも提供する。そのような読み出し方式を備えたスキャナに対する計数率性能は、従来の取り組みより優れている。チャンネル計数削減は、重心演算法に等しい。シンチレータ間散乱は、シンチレーションイベントの位置決め不良を引き起こす。多シンチレータイベントを取り扱うためのΣΔの能力および限界は、従来の取り組みより良好である。まさにその設計によって、ΣΔは、最高のエネルギー位置決め方法を多シンチレータイベントの位置検出に適応させる。重み付けされたエネルギー位置決め方法を使う重心演算法と比較して、ΣΔ方法は、10%またはそれ以上に良好な位置決め精度を提供する。この方法は、散乱閾値を識別するための較正方法を採用して、低エネルギー散乱を単純明快に拒絶することによって実行される。
【0047】
本明細書で開示した実施形態では、個別の市販の構成要素を利用している。この方式の別の実施形態では、標準的な相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal−Oxide Semiconductor:CMOS)技術で特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)を実装し、非常に小さな面積と低電力消費とを提供する。
【0048】
本明細書で開示した実施形態では、非常に高い計数率性能で最大のチャンネル計数削減を提供し、したがって、より良好な費用構造を提供すると同時に、センサー応答の高忠実度を維持する。時として、考えられることは、従来の行列システムが8チャンネルを必要としたのに対して、2チャンネルシステムが、ΣおよびΣΔのチャンネルを創出するために行をデイジーチェーンすることによって、16セルのセンサーマトリックスを利用できるということである。
【0049】
図11は、対消滅ガンマ線検出器内のデータ取得方法を示すフロー図である。フロー図は、ステップS1101、S1105、およびS1107を含む1つの処理と、ステップS1103、S1109、S1111、S1113、およびS1115を含むもう1つの処理とを含む。
【0050】
ステップS1101では、シンチレータアレイに連結されたセンサーからの電気信号の加算信号が生成される。
【0051】
ステップS1103では、各信号が異なる長さの時間だけ遅延されるように、これらの電気信号の遅延加算信号が生成される。
【0052】
ステップS1105では、加算信号が、パルスID閾値と比較され、加算信号がパルスID閾値より大きい場合、S1107で、計数器が開始される。一方、加算信号がパルスID閾値より小さい場合、処理は、ステップS1101に戻る。
【0053】
ステップS1109では、遅延加算信号が、パルスID閾値と比較され、遅延加算信号が、パルスID閾値より大きい場合、S1111で、計数器が停止される。一方、遅延加算信号がパルスID閾値より小さい場合、処理は、ステップS1103に戻る。
【0054】
ステップS1113では、イベントの位置が、計算される。
【0055】
ステップS1115では、イベントのタイミングおよびエネルギーが決定される。
【0056】
図12は、対消滅ガンマ線を検出するための本技術的進歩に合わせて使用できる例示ハードウェア構成を示す図である。図12では、光電子増倍管135および140が、光導体130の上に配列され、シンチレータアレイ105が、光導体130の下に配列される。第2のシンチレータアレイ125は、シンチレータアレイ105に対向して配置され、その上に光導体115と光電子増倍管195および110とが配列される。
【0057】
図12では、対消滅ガンマ線が、テスト下の身体(不図示)から放射された場合に、対消滅ガンマ線は、互いからほぼ180°の反対方向に進む。対消滅ガンマ線検出が、シンチレータ100および120において同時に起こる。対消滅ガンマ線が、所定の制限時間内にシンチレータ100および120において検出された場合に、シンチレーションイベントは決定される。このように、対消滅ガンマ線タイミング検出システムは、対消滅ガンマ線をシンチレータ100および120において同時に検出する。しかし、単に話を簡単にするために、対消滅ガンマ線検出をシンチレータ100に対して記述する。しかし、当業者には自明であるが、本明細書においてシンチレータ100に対して与えられる説明は、シンチレータ120における対消滅ガンマ線検出にも同様に適用できる。
【0058】
各光電子増倍管110、135、140、および195は、データ取得ユニット150にそれぞれ接続されている。データ取得ユニット150は、光電子増倍管からの信号を処理するように構成されたハードウェアを含む。データ取得ユニット150は、対消滅ガンマ線の到達時間を測定する。データ取得ユニット150は、2つの出力を生成する(PMT135/140の組み合わせに対する出力、およびPMT110/195の組み合わせに対する出力)。これらの出力は、システムクロック(不図示)に対して弁別器パルスの時間を符号化する。飛行時間PETシステムの場合、データ取得ユニット150は、一般的に15〜25psの精度でタイムスタンプを生成する。データ取得ユニットは、PMTごとの信号(データ取得ユニット150からの出力のうちの4つ)の振幅を測定する。
【0059】
データ取得ユニットの出力は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)170に供給され処理される。処理工程には、データ処理ユニット出力からのエネルギーおよび位置と、各イベントに対するタイムスタンプ出力からの到着時間との推定工程が含まれる。処理工程は、エネルギー、位置、および時間の推定の精度を改善するために、以前の較正に基づく多くの訂正ステップの適用業務を含んでもよい。当業者には自明であるが、CPU170は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、または他の結合プログラム可能論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)のような個別論理ゲートとして実装できる。FPGAまたはCPLDの実装は、VHDL(VHSIC(Very High Speed Integrated Circuit) Hardware Description Language:超高速集積回路ハードウェア記述言語)、Verilog(ヴェリログ)、または他の任意のハードウェア記述言語でコード化されるとよい。コードは、直接、FPGAまたはCPLD内に、または、個別の電子メモリとして電子メモリに格納されるとよい。さらに、電子メモリは、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory:電気的プログラム可能読み取り専用メモリ)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory:電気的消去書込み可能読み出し専用メモリ)またはフラッシュ(FLASH)メモリなどの不揮発性であるとよい。電子メモリはまた、静的または動的のRAMなどの揮発性であってもよい。マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサーなどの処理装置は、電子メモリ、ならびに、FPGAまたはCPLDと電子メモリとの間の相互作用を管理するために設けられるとよい。
【0060】
あるいは、CPU170は、上記の電子メモリのうちのいずれかと、ハードディスクドライブ、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタル多用途ディスク)、フラッシュ(FLASH)ドライブまたは任意の他の既知の格納媒体との両方または一方に格納される一組のコンピュータ可読指令として実装されてもよい。さらに、コンピュータ可読指令は、米国のIntel(インテル)社からのXeon(ジオン)プロセッサまたは米国のAMD(Advanced Micro Devices:アドバンストマイクロデバイシーズ)社からのOpteron(オプテロン)プロセッサ、およびマイクロソフトVISTA、UNIX(登録商標)、Solaris、LINUX(登録商標)、Apple、MAC−OSなどのオペレーティングシステム、および当業者には周知の他のオペレーティングシステムなどの処理装置とともに実行するユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムの構成要素、またはそれらの組み合わせとして提供されるとよい。
【0061】
一旦、CPU170で処理されると、処理された信号は、電子格納部180への格納、および表示部145での表示の両方または一方が行われる。当業者には自明であるが、電子格納部180は、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM、または技術的に周知の任意の他の電子格納部であるとよい。表示部145は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示)表示装置、CRT(Cathode Ray Tube:ブラウン管)表示装置、プラズマ表示装置、OLED(Organic Light Emitting Display:有機発光表示装置)、LED(Light Emitting Display:発光表示装置)、または技術的に周知の任意の他の表示装置として実装されるとよい。そのため、本明細書に記載の電子格納部180および表示部145の説明は、単なる例であり、本進歩の範囲を決して限定するものではない。
【0062】
図12はまた、対消滅ガンマ線検出システムが、他の外部デバイスおよびユーザーの両方または一方とインターフェースするためのインターフェース175も含む。例えば、インターフェース175は、USB(Universal Serial Bus:ユニバーサルシリアルバス)インターフェース、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association:PCメモリカード国際協会)インターフェース、イーサネット(登録商標)インターフェース、または技術的に周知の任意の他のインターフェースであるとよい。インターフェース175はまた、有線または無線であってもよく、ユーザーとインターフェースするために、キーボードおよびマウスの両方または一方、または技術的に周知の他のヒューマンインターフェイスデバイスを含んでもよい。
【0063】
上記の説明において、フロー図内のあらゆる処理、説明、またはブロックは、特定の論理的機能、または処理におけるステップを実行するための1つまたは複数の実行可能な指令を含むモジュール、部分、または符号の一部を表すものとして理解されなければならない。他の実施例は、当業者には明らかなように、機能が、例示あるいは検討された順序とは異なる順序で実行され、関連する機能によっては、実質的に並行して、または、逆の順序を含むことも可能である本進歩の例示実施形態の範囲内に含まれる。
【0064】
特定の実施形態を記載してきたが、これらの実施形態は、単なる例として提示したのであって、本発明の範囲を限定するものではない。実際、本明細書に記載の新規の方法、装置、およびシステムは、さまざまな別の形式で具体化が可能である。さらにまた、本明細書に記載の方法、装置、およびシステムの形式においてさまざまな省略、置換、および変更は、本発明の精神を逸脱することなく行うことが可能である。添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物は、本発明の範囲および精神の範囲内に収まるであろう形式または改変を網羅するものである。
【符号の説明】
【0065】
100、120 シンチレータ
105、125 シンチレータアレイ
110、135、140、195 光電子増倍管
115、130 光導体
145 表示部
150 データ取得ユニット
170 CPU
175 インターフェース
180 電子格納部
301 センサー
303 加算回路
305 遅延要素
501 前置増幅器および整形回路
505 コンパレータ
509 高速計数器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12