特許第6245873号(P6245873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245873
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】記録装置および当該装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   B41J2/01 305
   B41J2/01 451
   B41J2/01 213
   B41J2/01 107
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-150362(P2013-150362)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2015-20354(P2015-20354A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 裕司
(72)【発明者】
【氏名】袴田 恵世
【審査官】 村石 桂一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−226125(JP,A)
【文献】 特開平09−001831(JP,A)
【文献】 特開2000−037936(JP,A)
【文献】 特開2002−254736(JP,A)
【文献】 特開2006−130789(JP,A)
【文献】 特開2002−225370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体をニップして記録媒体を第1方向に搬送する搬送ローラ対と、
前記第1方向において前記搬送ローラ対の下流に設けられ、インクを吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列される第1吐出口群及び第2吐出口群を有し、前記第2吐出口群は前記第1方向において前記第1吐出口群より下流に配される記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して前記第1方向と交差する第2方向に往復走査するキャリッジと、
記録媒体の後端を検出する検出手段と、を備え、
前記キャリッジの第1の走査で前記第1吐出口群からインクを吐出する第1記録動作と、前記第1記録動作の後に記録媒体を所定距離搬送する搬送動作と、前記搬送動作の後に前記キャリッジの第2の走査で前記第2吐出口群からインクを吐出する第2記録動作を行うことで所定領域の画像を形成する記録装置であって、
記録媒体の後端から前記搬送ローラ対のニップ位置までの距離が前記所定距離未満であると前記検出手段の検出結果から判断された場合は、前記第1記録動作の後に前記搬送動作を行わず、前記第2の走査で前記第1吐出口群からインクを吐出して所定領域の画像を形成させる制御手段を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第1吐出口群と前記第2吐出口群は隣接し、前記所定距離は前記第1方向における前記第1吐出口群の長さであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記検出手段は前記第1方向において前記搬送ローラ対の上流側に配されることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
記録媒体をニップして記録媒体を第1方向に搬送する搬送ローラ対と、
前記第1方向において前記搬送ローラ対の下流に設けられ、インクを吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列される第1吐出口群及び第2吐出口群を有し、前記第2吐出口群は前記第1方向において前記第1吐出口群より下流に配される記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して前記第1方向と交差する第2方向に往復走査するキャリッジと、
記録媒体の後端を検出する検出手段と、を備える記録装置の制御方法であって、
前記キャリッジの第1の走査で前記第1吐出口群からインクを吐出する第1記録工程と、
前記第1記録工程の後に記録媒体を所定距離搬送する搬送工程と、
前記搬送工程の後に前記キャリッジの第2の走査で前記第2吐出口群からインクを吐出する第2記録工程と、を有し、
記録媒体の後端から前記搬送ローラ対のニップ位置までの距離が前記所定距離未満であると前記検出手段の検出結果から判断された場合は、前記第1記録工程の後に、前記搬送工程を行わず前記第2の走査で前記第1吐出口群からインクを吐出して所定領域の画像を形成させる制御工程を有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置および当該装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録紙に記録を行う記録ヘッドと、記録紙の搬送方向において記録ヘッドの上流側に配された搬送ローラ対と、記録ヘッドの下流側に配された排紙ローラ対と、を備えた画像記録装置が記載されている。記録紙の後端が搬送ローラ対を抜けた後は、記録紙は排紙ローラ対のみによって搬送される。排紙ローラ対は搬送ローラ対に比べて搬送精度が低い。そのため、記録紙が排紙ローラ対のみで搬送される場合は、画質が低下する。
【0003】
特許文献1には、記録紙の後端が検出されると、画像データすべてを当該記録紙の記録領域に記録できるか判断することが記載されている。そして、画像データすべてを記録できないと判断した場合は、当該記録紙への記録動作を中止し改頁することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−91999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の記録装置では、記録媒体の後端検出時に画像データの全てを記録領域に記録できないと判断される場合、後端検出後に記録位置に搬送される記録媒体の後端には記録が行われない。このため、その記録媒体の後端の余白量が多くなってしまうという課題があった。
【0006】
このような事情に鑑みて、本発明の目的は、記録手段の上流側に搬送ローラ対を備え、記録媒体の後端が搬送ローラ対を抜けた後は画像形成動作を禁止する記録装置において、記録媒体の後端の余白量を少なくできる記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る記録装置は、記録媒体をニップして記録媒体を第1方向に搬送する搬送ローラ対と、前記第1方向において前記搬送ローラ対の下流に設けられ、インクを吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列される第1吐出口群及び第2吐出口群を有し、前記第2吐出口群は前記第1方向において前記第1吐出口群より下流に配される記録ヘッドと、前記記録ヘッドを搭載して前記第1方向と交差する第2方向に往復走査するキャリッジと、記録媒体の後端を検出する検出手段と、を備え、前記キャリッジの第1の走査で前記第1吐出口群からインクを吐出する第1記録動作と、前記第1記録動作の後に記録媒体を所定距離搬送する搬送動作と、前記搬送動作の後に前記キャリッジの第2の走査で前記第2吐出口群からインクを吐出する第2記録動作を行うことで所定領域の画像を形成する記録装置であって、記録媒体の後端から前記搬送ローラ対のニップ位置までの距離が前記所定距離未満であると前記検出手段の検出結果から判断された場合は、前記第1記録動作の後に前記搬送動作を行わず、前記第2の走査で前記第1吐出口群からインクを吐出して所定領域の画像を形成させる制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録手段の上流側に搬送ローラ対を備え、記録媒体の後端が搬送ローラ対を抜けた後は画像形成動作を禁止する記録装置において、後端検出後に記録位置に搬送された記録媒体の後端に対して記録を行う。このため、記録媒体の後端の余白量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の記録装置の内部構成を示す斜視図である。
図2】記録装置の内部構成を示す断面図である。
図3】記録装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
図4】記録装置と記録画像との位置関係を示す図である。
図5】吐出口列と記録媒体、搬送ローラ対、排出ローラ対の配置を示す図である。
図6】吐出口列と記録媒体、搬送ローラ対、排出ローラ対の配置を示す図である。
図7】第1の実施形態における画像形成制御を表すフローチャートである。
図8】吐出口列と記録媒体、搬送ローラ対、排出ローラ対の配置を示す図である。
図9】吐出口列と記録媒体、搬送ローラ対、排出ローラ対の配置を示す図である。
図10】第2の実施形態における画像形成制御を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1に、記録装置1の内部構成の斜視図を示す。記録ヘッド13は、記録媒体Pに対してインクを吐出して画像を形成する。キャリッジ14は、記録ヘッド13を搭載して主走査方向に移動する。キャリッジ14に搭載された記録ヘッド13は、キャリッジ14が主走査方向に移動している間に画像を形成する画像形成動作を行う。
【0012】
プラテン14は、記録ヘッド13と対向する位置で記録媒体Pを支持する。搬送ローラ11は、記録媒体Pの搬送方向において記録ヘッド13の上流側に配されている。排出ローラ12は、記録媒体Pの搬送方向において記録ヘッド13の下流側に配されている。
【0013】
搬送ローラ11および排出ローラ12は、積載部20から後述する給送ローラ21によって給送された記録媒体Pを副走査方向に搬送する搬送動作を行う。副走査方向は、キャリッジ14が移動する主走査方向と交差する方向である。
【0014】
記録装置1は、搬送ローラ11および排出ローラ12による搬送動作とキャリッジ14に搭載されて主走査方向に移動する記録ヘッド13による画像形成動作を繰り返すことで記録媒体Pに画像を形成する。この搬送動作では、搬送ローラ11および排出ローラ12が記録媒体Pを所定の搬送量(第1の搬送量)で搬送する。
【0015】
図2に、記録装置1の内部構成の断面図を示す。給送ローラ21は、積載部20に積載された記録媒体Pをピックアップする。給送ローラ21によってピックアップされた記録媒体Pは、搬送ローラ11に向けて給送される。
【0016】
搬送ピンチローラ16は、搬送ローラ11に従動し、搬送ローラ11によって搬送される記録媒体Pを搬送ローラ11とともにニップする。排出ピンチローラ17は、排出ローラ12に従動し、排出ローラ12によって搬送される記録媒体Pを排出ローラ12とともにニップする。記録媒体Pは、搬送ローラ11と搬送ピンチローラ16で構成される搬送ローラ対18によってニップされながら搬送される。排出ローラ12と排出ピンチローラ17は排出ローラ対19を構成し、記録媒体Pをニップできる。
【0017】
搬送ローラ11および排出ローラ12は同一の不図示の搬送モータにより駆動される。搬送モータを単位量回転させたときに、搬送ローラ11の外周が移動する距離に対して排出ローラ12の外周が移動する距離は大きい。これは、記録媒体が搬送ローラ及び排出ローラに搬送されているときに、記録媒体が撓まないようにするためである。このため、搬送モータを所定量回転させたときの搬送量は、排出ローラ12のみの搬送動作の方が搬送ローラ11および排出ローラ12の搬送動作よりも多くなる場合がある。また、搬送ローラ対によって記録媒体を挟持する力は、排出ローラ対によって記録媒体を挟持する力よりも強い。したがって、記録媒体が搬送ローラ対及び排出ローラ対に挟持されている場合は、搬送ローラ対が支配的になる。この場合、記録媒体Pの後端が搬送ローラ対18を抜けて記録媒体Pが排出ローラ12のみで搬送されると、記録媒体P上の画像中にインクが吐出されない領域が発生するおそれがある。すなわち、記録媒体P上の画像中に白スジが発生する。したがって、本実施形態では、記録媒体Pの後端が搬送ローラ対18を抜けた後は、記録媒体Pへの画像形成動作を行わない。
【0018】
コードホイール23は、搬送ローラ11の軸上に設けられ、搬送ローラ11による記録媒体Pの搬送量を検出するために用いられる。コードホイール23を不図示のエンコードセンサで読み取ることで、搬送ローラ11の回転量、すなわち搬送ローラ11による記録媒体Pの搬送量を検出する。エンコードセンサは、コードホイール23と隣接する位置に取り付けられている。
【0019】
PEセンサ22は、記録媒体Pの先端および後端が通過したか否かを検出することができる。記録媒体Pの先端は、給送ローラ21によって記録媒体Pが給送された後に検出される。記録媒体Pの後端は、搬送ローラ11によって記録媒体Pが搬送されている間に検出される。
【0020】
図3に、記録装置1の制御回路の構成のブロック図を示す。制御部B1には、記録装置1に設けられた操作UI(B2)またはPC(B3)から記録動作の指令が送られる。
【0021】
制御部B1は、記録動作の指令に応じて、搬送モータドライバB4を介して搬送モータB5を駆動させる。搬送ローラ11および排出ローラ12は、駆動伝達系を介して搬送モータB5により駆動される。このため、搬送モータB5の駆動に従って、搬送ローラ11および排出ローラ12が回転する。搬送ローラ11および排出ローラ12は同期しながら回転し、記録媒体Pを搬送する。
【0022】
制御部B1は、記録動作の指令に応じて、キャリッジモータドライバB8を介してキャリッジモータB9を駆動させる。キャリッジ14は、駆動伝達系を介してキャリッジモータB9により駆動される。このため、キャリッジモータB9の駆動に従って、キャリッジ14は主走査方向に移動する。キャリッジ14に搭載された記録ヘッド13は、制御部B1からの駆動指令を受けてインクを吐出し、画像形成動作などを行う。
【0023】
各種センサB11には、図2で述べた搬送ローラ11のエンコードセンサおよびPEセンサ22なども含まれる。各種センサB11は、記録装置1の各所に設けられている。各種センサB11からの情報に基づいて、搬送モータB5およびキャリッジモータB9など各モータの回転状態を判断する。検出された各モータの回転状態に関する情報は、制御部B1に送られる。
【0024】
PEセンサ22で検出された記録媒体Pの先端および後端の検出結果は、信号として制御部B1に送られる。この記録媒体Pの先端および後端の検出結果および各種モータの回転状態に関する情報に基づいて、制御部B1によって記録媒体Pの搬送方向における記録媒体Pの位置管理が行われる。
【0025】
図4に、搬送ローラ対18と記録媒体Pに記録された記録画像との位置関係を示す。図4は、記録媒体Pを記録ヘッド13側から見た図である。位置Tは、搬送ローラ対18のニップ位置である。以降の説明では、記録媒体Pの後端が搬送ローラ対18を抜けることを、記録媒体Pの後端がニップ位置Tを通過することとして説明する。ニップ位置Tの位置は、搬送ローラ11などの部品寸法のばらつきや、記録媒体Pの厚さによって変化するとともに、記録媒体の搬送方向において長さをもった領域としてとらえられる。
【0026】
キャリッジ14の1回の走査で、キャリッジ14に搭載された記録ヘッド13で画像形成動作を行う。この1回の走査で、吐出口列40の長さ分の幅で主走査方向に画像を形成する。吐出口列40には、インクを吐出する吐出口が記録媒体Pの搬送方向に複数配列している。記録装置では、同一領域を複数回の主走査による画像形成動作で画像を形成するマルチパス記録を行うものがある。しかしながら、本実施形態では、同一領域に対して1回の主走査による画像形成動作を行うことで画像を形成する、いわゆるワンパス記録で説明する。この画像形成動作後に記録媒体Pを搬送量L1搬送する搬送動作を行う。搬送量L1は吐出口列40の長さである。この搬送動作後に再び画像形成動作を行う。吐出口列40は記録ヘッド13に設けられている。K1〜6は、それぞれ1〜6回目の画像形成動作で形成された画像である。画像K1〜6それぞれの搬送方向の長さは、吐出口列40の長さである。
【0027】
画像K6を形成する画像形成動作後に、搬送量L1の搬送動作を行うことによって、記録媒体Pの後端がニップ位置Tを通過する。このため、画像K6の搬送方向下流側にある記録媒体Pに対しては画像形成動作が行われない。
【0028】
図5は、吐出口列40と記録媒体P、搬送ローラ対18、排出ローラ対19の配置を示す図である。R1は、前の画像形成動作によって形成された記録画像を表す。吐出口列40は4個の吐出口ブロックB1〜4に分割されている。すなわち、吐出口列40には、複数の吐出口ブロックB1〜4が設けられている。吐出口ブロックB1〜4は、インクを吐出する吐出口が記録媒体Pの搬送方向に複数配列している吐出口群である。吐出口ブロックB1〜4は、記録媒体Pへの画像形成動作に使用される。吐出口ブロックB1〜4それぞれの長さは吐出口列ブロック長Nである。吐出口列40の長さはN×4である。上述の搬送量L1(第1の搬送量)は、N×4である。
【0029】
後端位置Eは、記録媒体Pの後端の位置である。搬送量L1は吐出口列40の長さであり、N×4である。吐出口ブロックB1〜4から記録媒体Pに対してインクを吐出することで画像形成動作が行われる。後端距離Aは、後端位置Eからニップ位置Tまでの距離である。後端距離Aは搬送量L1未満であるため、搬送量L1の搬送動作を行うと、記録媒体Pの後端はニップ位置Tを通過してしまう。
【0030】
図6は、吐出口列40と記録媒体P、搬送ローラ対18、排出ローラ対19の配置を示す図である。図6に示すように、本実施形態では、搬送量L1を吐出口ブロック長N×2の長さ分減算した搬送量L2だけ記録媒体Pを搬送する。これより、記録媒体Pの後端がニップ位置Tを通過せず、ニップ位置Tの搬送方向上流側であってニップ位置Tからの距離が所定距離である吐出口ブロック長N未満で停止する。
【0031】
このとき、搬送量L1から減算した吐出口ブロック長N×2の長さ分だけ搬送方向上流側の吐出口ブロックで画像形成動作を行うことで、画像形成動作で形成される画像の連続性を維持する。すなわち、吐出口ブロックB1および吐出口ブロックB2によって画像形成動作が行われる。
【0032】
図7に、本実施形態の記録装置1の画像形成制御を表すフローチャートを示す。この画像形成制御は、制御部B1によって実行される。画像形成制御が開始されると、ステップS1において、後端距離Aが搬送量L1未満であるか判定する。
【0033】
後端距離Aが搬送量L1未満でないと判定された場合、ステップS2において搬送量L1搬送する。搬送量L1搬送した後、ステップS3において記録ヘッド13によって記録媒体Pへ記録を行う。
【0034】
後端距離Aが搬送量L1未満であると判定された場合、ステップS4において記録媒体Pの後端がニップ位置Tの搬送方向上流側であってニップ位置Tからの距離が吐出口ブロック長N未満であるか判定する。
【0035】
記録媒体Pの後端がニップ位置Tの搬送方向上流側であってニップ位置Tからの距離が吐出口ブロック長N未満で停止していない場合は、ステップS5において、記録媒体Pを搬送量L2搬送する。
【0036】
記録媒体Pを搬送量L2搬送した後、ステップS6において、搬送量L1から減算したN×2分だけ搬送方向上流側の吐出口ブロックで画像形成動作を行い、画像形成制御を終了する。
【0037】
記録媒体Pの後端がニップ位置Tの搬送方向上流側であってニップ位置Tからの距離が吐出口ブロック長N未満で停止している場合は、ステップS4においてYesと判定され、画像形成制御を終了する。
【0038】
(第2の実施形態)
本実施形態では、吐出口ブロック長Nの搬送量で搬送動作を行う場合の記録装置1の制御方法について説明する。第1の実施形態と同様の部分は省略する。本実施形態では、画像形成動作と吐出口ブロック長N搬送する搬送動作を繰り返して記録動作を行う。本実施形態では、同一領域に対して複数回の主走査による画像形成動作を行うことで画像を形成するマルチパス記録を行っている。
【0039】
図8は、吐出口列40と記録媒体P、搬送ローラ対18、排出ローラ対19の配置を示す図である。本実施形態では、同一領域に対して4回の主走査に伴う画像形成動作を行うことで画像を形成する。R2は4回の画像形成動作で画像の形成が完了した記録画像を表す。吐出口ブロックB1〜4から記録媒体Pに対してインクを吐出することで画像形成動作が行われる。この画像形成動作によって、吐出口ブロックB4と対向する記録媒体Pにおいて画像の形成が完了する。
【0040】
記録媒体Pの後端は、ニップ位置Tの搬送方向上流側であってニップ位置Tからの距離が吐出口ブロック長N未満で停止している。後端距離Aが搬送量N未満であるため、搬送量N搬送されると記録媒体Pの後端はニップ位置Tを通過してしまう。吐出口ブロックB1〜4による画像形成動作後に搬送動作は行われない。
【0041】
図9は、吐出口列40と記録媒体P、搬送ローラ対18、排出ローラ対19の配置を示す図である。図9は、図8の画像形成動作後の状態である。
【0042】
このとき、図8の画像形成動作後に搬送されなかった搬送量N分だけ搬送方向上流側の吐出口ブロックによって画像形成動作が行われる。すなわち、吐出口ブロックB1〜3によって画像形成動作が行われる。この画像形成動作後、吐出口ブロックB1〜2による画像形成動作、吐出口ブロックB1による画像形成動作を順番に行うことで、吐出口列40と対向する記録媒体Pへの画像の形成を完了する。
【0043】
図10に、本実施形態の記録装置1の画像形成制御を表すフローチャートを示す。この画像形成制御は、制御部B1によって実行される。画像形成制御が開始されると、ステップS11において後端距離Aが搬送量N未満であるか判定する。
【0044】
後端距離Aが搬送量N未満でないと判定された場合は、ステップS12において搬送量N搬送する。搬送量N搬送した後、ステップ13において記録ヘッド13による画像形成動作を行い、画像形成制御を終了する。
【0045】
後端距離Aが搬送量N未満であると判定された場合、搬送動作を行わない。そして、ステップS14において、搬送されなかった搬送量N分だけ搬送方向上流側の吐出口ブロックによって画像形成動作が行われる。ステップ14において画像形成動作が行われた後、画像形成制御を終了する。
【0046】
(その他の実施形態)
第1の実施形態および第2の実施形態では吐出口列40を4分割したが、例えば6分割や8分割で分割するなどの他の分割数で分割しても良い。
【0047】
PEセンサ22は、搬送ローラ11の搬送方向上流側に設置する場合に限らない。例えば、搬送ローラ11よりも搬送方向下流側にPEセンサ22を設置した場合であってもよい。この場合、記録媒体Pの先端の検出位置情報とあらかじめ記憶されている記録媒体Pのサイズの情報などによって、記録媒体Pの後端を検出する。
【符号の説明】
【0048】
11 搬送ローラ
13 記録ヘッド
14 キャリッジ
18 搬送ローラ対
22 PEセンサ
B1 制御部
B11 各種センサ
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10