(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例では、外界認識装置100に搭載する雨滴検出部101の例を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例1の外界認識装置100の構成の例を示す機能ブロック図である。
【0013】
外界認識装置100は、自車両(図示省略)のボディに取り付けた車載カメラ111の画像信号を入力して所定の画像信号処理を行って自車両の周辺状態を認識し、その認識結果を自車両の制御部へ出力し、さらに、ドライバーへの報知を行う装置である。
【0014】
自車両の周辺状態の認識とは、自車両の近傍および遠方の周辺空間を撮影したカメラ画像の解析処理を行い、バイク、自転車を含む他車両および歩行者の有無、および、自車両の走行または駐車の妨げになる障害物体の有無を認識することである。さらに、自車両の近傍および遠方のバイク、自転車を含む他車両および歩行者が急接近を検知して自車両との衝突を予測すること、および自車両と障害物との衝突を予測することも自車両の周辺状態の認識に含まれる。
【0015】
外界認識装置100は、雨滴検出部101、周辺状態認識部106、警報処理部110およびドライバー通知部109を備える。さらに、外界認識装置100は、車載カメラ111、制御部112およびメモリ113を備えてもよい。車載カメラ111は、自車両周辺の画像を撮影する。撮影された画像を構成する画素値のデータは、信号バスを介してメモリ113に一時的に保持され、雨滴検出部101に入力される。制御部112は、車載カメラ111と雨滴検出部101との間の画像の入出力、および、外界認識装置100と自車両制御部114との間の認識結果情報および警報信号の入出力を制御する。
【0016】
自車両制御部114は、外界認識装置100による自車両の周辺状態の認識結果に基づいて、自車両の制御(例えば、操舵、減速又は停止等)を実行する。
【0017】
雨滴検出部101は、車載カメラ111から入力した画像から車載カメラ111のレンズ面への雨滴付着の有無を予測するブロックであり、車載カメラ111から入力した画像を所定の領域に分割して分割領域毎に画像周波数を求める画像周波数解析部102と、求めた画像周波数から雨滴付着の確かさを分割領域毎にスコア値として算出する雨滴スコア計算部103と、画像1枚(1フレーム)分の領域の雨滴スコアマップを作成する雨滴領域情報生成部104と、雨滴スコアマップから画像毎にレンズ面への雨滴付着の有無を示す雨滴判定情報を出力する雨滴判定部105と、を備える。
【0018】
周辺状態認識部106は、車載カメラ111のレンズ面が雨、雪、泥、白濁等で汚れている状態であるか否かを診断する汚れ診断部108と、車両の周辺状態の認識を行うための周辺認識部107と、周辺認識部107から出力された認識結果情報および警報信号を自車両制御部114に送信する警報処理部110と、を備える。また、汚れ診断部108は、車載カメラ111のレンズ面が雨、泥、白濁等で汚れた状態にある場合、周辺認識部107に対して正確な画像認識処理が困難で誤認識が生じ易い状態であるため、FAIL信号を出力して周辺認識部107の動作を一時的または連続して停止させる。さらに、周辺認識部107が一時的または連続して動作停止状態であることを示す汚れ通知情報をドライバー通知部109に出力し、外部に別途設置されたディスプレイなどの表示手段(
図23参照)を介してドライバーに対する通知を行う。
【0019】
図1に示した画像周波数解析部102等からなる雨滴検出部101、汚れ診断部108等からなる周辺状態認識部106、警報処理部110およびドライバー通知部109は、専用の論理回路によって実現されてもよいが、汎用のプロセッサがプログラムを実行することによって実現されてもよい。その場合、外界認識装置100は少なくとも制御部112及びメモリ113を含み、上記の各部を実現するためのプログラムがメモリ113にロードされ、制御部112(すなわちプロセッサ)がそれらのプログラムを実行することによって、上記の各部が実現される。この場合、以下の説明において上記の各部が実行する処理は、実際には制御部112によって実行される。
【0020】
本発明の雨滴検出部101は、雨、泥、白濁等の種々の汚れ検知に用いることが可能であるが、本実施例は雨滴検出の例を用いて説明する。
【0021】
以下、雨滴検出部101について説明する。
【0022】
図2は、本発明の実施例1の画像周波数解析部102による領域分割処理を示す説明図である。
【0023】
図2(a)は、車載カメラ111を自車両後方のバンパー上部に装着して撮影した画像200の一例である。画像中には、他車両および後方風景を含む自車両後方の路面状況205、車載カメラ111と一体化し、太陽光など不要な外光が映りこまないようにするための遮光版201、自車両のボディ上端202(フィニッシャー)、バンパー203、およびナンバープレート204が映り込んでいる。
【0024】
図2(b)は、画像周波数解析部102の領域分割処理の一例を示す図である。画像周波数解析部102は、車載カメラ111が撮影した1フレームの画像の空間を所定の画像サイズの領域に分割し、分割領域毎に画像周波数を求める。
図2(b)は、320(水平)×256(垂直)画素の画像200を、各々の画素数(xa×ya)が32×32画素である合計80個(M=10、N=8)の領域206に分割した例である。
【0025】
尚、
図2(a)に示した車載カメラ111の装着位置は一例であり、自車両の他の位置に設置した車載カメラ111が撮影した画像を雨滴検出部101に入力しても良い。
【0026】
さらに、
図2(b)に示した入力画像サイズ、領域分割後の1個の領域の画像サイズとそれに伴う領域分割数は一例であり、画像サイズおよび領域分割数のいずれも任意の値を設定することができる。
【0027】
図3は、本発明の実施例1の画像周波数解析部102による領域分割処理の別の例を示す説明図である。
【0028】
図2(b)では、画像200の全面を領域分割の対象とした例を示したが、周辺状態認識部106の用途に応じて雨滴検出領域を任意の一部分または複数の部分に設定しても良い。
【0029】
例えば、
図3(a)は、道路面のみが映り込む部分を雨滴検出領域300に設定した例である。
図3(b)は、自車両の一部および車載カメラ111の遮光版の映り込みを除いた部分を雨滴検出領域301に設定した例である。
図3(c)は、道路上に描かれた車線が映り込み易い部分を、2つの雨滴検出領域(302および303)に設定した例である。
【0030】
なお、
図2および
図3には、画像に複数の分割領域を設定する例を示したが、画像に所定の大きさの分割領域を一つのみ設定してもよい。
【0031】
図4は、本発明の実施例1の画像周波数解析部102による画像周波数の算出方法の例を示す説明図である。
【0032】
画像周波数の算出には、離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform、以下DFT)を用いる。離散フーリエ変換とは、所定の時間軸上でサンプリングされたディジタル信号(離散信号)を周波数信号の分布を表す周波数スペクトルに変換する方法として一般的に知られている演算方法である。以下、DFTによる画像周波数の算出について説明する。
【0033】
画像は複数の波が重なって出来た合成波であり、DFTによって、ある入力画像の濃淡(画素値)を、低周波から高周波までの周波数成分に分解することができる。ここでいう周波数とは、画素値の空間的な変化の周波数であり、一般に空間周波数又は画像周波数と呼ばれる。画像が水平方向と垂直方向の2つの方向の濃淡の波が合成されたものであると考えると、DFTで得られる画像周波数の成分も水平・垂直方向の2次元の結果が得られる。
【0034】
理想的なフーリエ変換の考え方は、無限に連続する画像信号を与えて周波数成分を得ることが基本となっている。しかし、実際の信号処理では無限信号入力による関数演算は現実的ではないため、1枚の画像全部または一部の画像領域を切り出して有限サイズの離散フーリエ変換が実行される。切り出す画像サイズは、どの領域の画像周波数を調べたいかに応じて任意に選択される。
【0035】
次に、本実施形態で用いられるDFTの具体的な手順を説明する。画像のような2次元データのDFTには、以下の数式1が用いられる。M個(水平方向)×N個(垂直方向)の画素からなる画像について数式1のDFTを行うことによって、M個(水平方向)×N個(垂直方向)の、すなわち入力画素数と同じ個数の画像周波数データが得られる。
【0036】
【数1】
ここで、
【0037】
【数2】
【0038】
【数3】
である。
【0039】
尚、xおよびyは、画像の空間座標の値、すなわち、入力画像に含まれる各画素の空間的な位置を示す座標値である。xは各画素の水平方向の位置を示す座標値、yは各画素の垂直方向の位置を示す座標値である。
【0040】
kおよびlは、周波数空間座標を示す値である。kは水平方向の周波数位置を示し、lは垂直方向の周波数位置を示す。
【0041】
f(x,y)は、画像の中の水平方向の座標値x、垂直方向の座標値yによって特定される位置の画素値を示す関数である。
【0042】
W
Mxkは、水平方向のM個の画素信号(離散信号)に存在する1周期当たりの水平周波数成分を抽出する係数である。
【0043】
係数xは、水平方向の画素位置(x=0〜M−1)を、係数kは、水平周波数成分の位置(k=0〜M−1)を、それぞれ表す。
【0044】
W
Nylは、垂直方向のN個の画素信号(離散信号)に存在する1周期当たりの垂直周波数成分を抽出する係数である。
【0045】
係数yは、垂直方向の画素位置(y=0〜N−1)を、係数
lは、垂直周波数成分の位置(l=0〜N−1)を、それぞれ表す。
【0046】
F(k,l)は、水平方向の座標値k、垂直方向の座標値lによって特定される画像周波数データを示す関数である。
【0047】
さらに、周波数スペクトル同士の比較が行い易いように周波数パワーへの変換を行うため、数式4を用いる。周波数パワーの単位はdB(デシベル)である。
【0048】
【数4】
【0049】
雨滴が付着した画像は、雨滴が付着していない場合に比べて画像ぼやけが生じることが知られている。例えば、画像に映り込んだ背景、他車両および周辺の建物のエッジが雨滴付着によって霞んだり、場合によっては消失したりする。画像がぼやけた状態では、ぼやけていない状態と比較して画像周波数が低くなる特性がある。すなわち、雨滴が付着した画像は画像周波数が低くなる特性があり、雨滴が付着していない画像は画像周波数が高くなる特性がある。本発明は、この特性を利用し、画像周波数を調べることで雨滴付着の有無を検出するものである。
【0050】
図4(a)に示した領域分割後の1個の画像(32×32画素)を入力してDFT演算を行った場合、
図4(b)に示すように画像のDC(直流)成分である4画素403を中心とする象限A、象限B、象限Cおよび象限Dの4個の画像周波数が求まる。但し、DFTの性質上、象限A、象限B、象限Cおよび象限Dの画像周波数は、DC成分の座標に対して点対称となる。すなわち、象限Aの画像周波数から象限B、象限Cおよび象限Dの画像周波数を求めることができるため、画像周波数としては象限Aの16×16個のデータ(以下、サンプルブロック)のみを参照すればよい。また、
図4(c)に示すようにDFTで求めた画像周波数データは、左下の1個のDC成分値とそれ以外のAC成分値404で構成される。画像周波数データの横方向は水平周波数成分を示し、左側が低周波数、右側が高周波数を示す。縦方向は垂直周波数成分を示し、下側が低周波数、上側が高周波数を示す。
【0051】
図5は、本発明の実施例1の画像周波数解析部102による平均周波数パワーの算出方法の例を示す説明図である。
【0052】
図5(a)に示すように平均周波数パワーを求めるため、画像周波数解析部102は、サンプルブロックをさらに16個の小ブロック(小ブロックa500から小ブロックp501)に分割する。各小ブロックは、4×4個(すなわち16個)の周波数空間座標を含む周波数範囲に対応する。すなわち、数式1〜4によって、各小ブロックについて4×4個の周波数空間座標に対応する周波数パワーが計算される。次に、画像周波数解析部102は、小ブロック毎に4×4個の周波数空間座標に対応する周波数パワーを平均することで、小ブロックの平均周波数パワーを求める。
【0053】
図5(b)は、雨滴が付着していない画像のあるサンプルブロックであり、小ブロック毎に平均周波数パワーを求めた結果の一例である。
図5(b)に示す平均周波数パワー502から503は、それぞれ、雨滴が付着していない画像の小ブロックa500から小ブロックp501までについて求められた平均周波数パワーの例である。この例において、水平周波数成分及び垂直周波数成分のいずれも最も低い周波数範囲に相当する小ブロックa500の平均周波数パワー502が「130」、水平周波数成分及び垂直周波数成分のいずれも最も高い周波数範囲に相当する小ブロックp501の平均周波数パワー503が「110」である。
【0054】
図5(c)は、雨滴が付着した画像のあるサンプルブロックであり、小ブロック毎に平均周波数パワーを求めた結果の一例である。
図5(c)に示す平均周波数パワー502から503は、それぞれ、雨滴が付着した画像の小ブロックa500から小ブロックp501までについて求められた平均周波数パワーの例である。この例において、小ブロックa500の平均周波数パワー502が「120」、小ブロックp501の平均周波数パワー503が「80」である。
【0055】
なお、既に説明したように、雨滴が付着した画像は画像周波数が低くなる特性があり、雨滴が付着していない画像は画像周波数が高くなる特性がある。このため、一般に、車載カメラ111のレンズに雨滴が付着したときに撮影された画像の各周波数範囲の平均周波数パワーを、雨滴が付着していないときに撮影された画像のそれと比較すると、高い周波数範囲の平均周波数パワーほど顕著に低下する傾向がある。
図5(b)および
図5(c)はその一例を示したものである。
【0056】
図6は、本発明の実施例1の雨滴が付着していない画像のサンプルブロックにおける閾値比較方法の例を示す説明図である。
【0057】
グラフの横軸はサンプルブロック内の16個の小ブロック600、縦軸は平均周波数パワー601(単位はdB)を示している。横軸の値a〜pに対応する各棒グラフは
図5(b)の小ブロックa500から小ブロックp501の平均周波数パワー502から503の値を示す。例えば、横軸の値aに対応する棒グラフ602は、雨滴が付着していない画像の小ブロックa500の平均周波数パワー502の値「130」を示す。各小ブロックの平均周波数パワー値を所定の周波数パワー閾値FPTH603と比較することで、雨滴付着の有無が判定される。
【0058】
ここでは、仮に周波数パワー閾値FPTH603の値を95とする。
図6の例は、全ての小ブロックの平均周波数パワーが周波数パワー閾値FPTH603を上回ることを示している。
【0059】
図7は、本発明の実施例1の雨滴が付着している画像のサンプルブロックにおける閾値比較方法の例を示す説明図である。
【0060】
図6と同様にグラフの横軸はサンプルブロック内の16個の小ブロック700、縦軸は平均周波数パワー701(単位はdB)を示している。横軸の値a〜pに対応する各棒グラフは
図5(c)の小ブロックa500から小ブロックp501の平均周波数パワー502から503の値を示す。例えば、横軸の値aに対応する棒グラフ702は、雨滴が付着した画像の小ブロックa500の平均周波数パワー502の値「120」を示す。各小ブロックの平均周波数パワー値を所定の周波数パワー閾値FPTH703と比較することで、雨滴付着の有無を判定する。ここでは、仮に周波数パワー閾値FPTH703の値を95とする。
図7の例は、a、b、e、fの4個の小ブロックの平均周波数パワーが周波数パワー閾値FPTH703を上回り、a、b、e、f以外の12個の小ブロックの平均周波数パワーが周波数パワー閾値FPTH703以下であることを示している。
【0061】
図8は、本発明の実施例1の雨滴スコア計算部103の動作の例を示す説明図である。
【0062】
雨滴スコア計算部103は、まず、平均周波数パワーが周波数パワー閾値FPTH以下の小ブロックの個数をカウントして合計スコアとする。次に、雨滴スコア計算部103は、この合計スコアをサンプルブロックの雨滴スコア閾値(
図8(a))と比較して、サンプルブロック毎の雨滴付着の有無を判断する。
【0063】
図8の例では、平均周波数パワーが周波数パワー閾値FPTH以上の小ブロックには「0」のフラグを置く。平均周波数パワーが周波数パワー閾値FPTH以下の小ブロックには「1」のフラグを置く。
【0064】
図8(b)は、
図5(b)および
図6で示した雨滴が付着していない画像のサンプルブロックの雨滴スコアの例である。
図8(b)の場合、「1」のフラグが存在しないので合計スコアは「0」となり、雨滴スコア閾値「10」以下であるため、該当するサンプルブロックは雨滴付着無しと判定される。
【0065】
図8(c)は、
図5(c)および
図7で示した雨滴が付着している画像のサンプルブロックの雨滴スコアの例である。
図8(c)の場合、「1」のフラグが12個存在するので合計スコアは「12」となり、雨滴スコア閾値「10」以上であるため、該当するサンプルブロックは雨滴付着有りと判定される。
【0066】
上記の
図5から
図8を参照して説明した方法は、平均周波数パワーが小さい小ブロックを多く含むサンプルブロックの画像周波数は低いとの推定に基づいて雨滴付着の有無を判定する方法である。これによって、水滴のような透過性の高い汚れであっても、レンズへの付着を精度よく検出することができる。しかし、これは、雨滴が付着した画像の画像周波数が低くなり、雨滴が付着していない画像の画像周波数が高くなるという特性を利用して雨滴の付着の有無を判定するという本発明の雨滴検出の具体的な方法の一例に過ぎず、実際には上記以外の種々の具体的な方法も本発明の範疇に含まれ得る。
【0067】
例えば、画像周波数解析部102は、
図4(b)の象限Aに相当するサンプルブロックを16個より多くの小ブロックに分割してもよいし、16個より少ない小ブロックに分割してもよいし、複数の小ブロックに分割しなくてもよい。サンプルブロックを複数の小ブロックに分割しない場合、画像周波数解析部102は、象限A全体の平均周波数パワーを計算し、その値が閾値を超えたか否かに基づいて、サンプルブロックに対応する分割領域への雨滴の付着の有無を判定してもよい。
【0068】
ただし、サンプルブロックを分割せずに計算された平均周波数パワーはDC成分の影響を受けやすいが、そのDC成分は雨滴の付着の影響を受けにくい。このため、雨滴の付着の有無を精度よく判定するためには、高い周波数範囲の周波数パワーを観察できるように、計算量が増えすぎない範囲で、サンプルブロックを複数の小ブロックに分割することが望ましい。
【0069】
図9は、本発明の実施例1の雨滴領域情報生成部104の動作の例を示す説明図である。
【0070】
雨滴領域情報生成部104は、雨滴スコア計算部103で求めたサンプルブロック毎の雨滴判定結果を
図2(b)に示した画像の分割領域毎に、雨滴スコア計算部103で求めたサンプルブロック毎の雨滴判定結果を示す「0」または「1」のフラグを置く。具体的には、雨滴領域情報生成部104は、雨滴付着無しと判定された分割領域(900)には「0」のフラグを置き、雨滴付着有りと判定された分割領域(901)には「1」のフラグを置いて雨滴領域情報を生成する。この雨滴領域情報を参照することで、画面のどこに雨滴が付着しているかを視覚的に観測することが可能となる。
【0071】
図10は、本発明の実施例1の雨滴判定部105の動作の例を示す説明図である。
【0072】
雨滴領域情報によって、画像のどこに雨滴が付着しているかを視覚的に知ることが可能となるが、周辺認識機能の種類によっては画像毎に(例えば
図9の画像200全体について)雨滴付着していない、または雨滴付着している、の判定結果を示す2値出力が必要な場合がある。
【0073】
そこで、雨滴判定部105は、画像全体の雨滴スコア閾値(
図10(a))を任意に設定し、雨滴領域情報生成部104で生成した雨滴領域情報の「1(雨滴付着有りを示す)」のフラグの画像全体の合計である合計雨滴スコアと比較する。
【0074】
図10(b)の画像200のサンプルブロックごとの雨滴判定結果は、
図9に示したものと同様である。この例では、合計雨滴スコアが「32」であり、雨滴スコア閾値の「30」以上であるため、雨滴判定部105は、この画像における雨滴判定結果として「画像付着有り」を示す雨滴判定情報を出力する。仮に、合計雨滴スコアが雨滴スコア閾値以下の場合は、雨滴判定部105は「画像付着無し」を示す雨滴判定情報を出力する。これによって、周辺状態認識部106は、画像毎に雨滴の付着の有無を知ることができる。
【実施例2】
【0075】
次に、本発明の実施例2について説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例2の外界認識装置100は実施例1の外界認識装置100と同一であるため、相違点以外の部分の図示及び説明は省略する。
【0076】
図11は、本発明の実施例2の雨滴判定部105の動作の例を示す説明図である。
【0077】
具体的には、
図11は、1つの画像(例えば
図10(b)の画像200全体)について1個の雨滴判定結果を出力するのではなく、複数個の画像分割領域を設けて、画像分割領域毎に雨滴判定結果を出力する例である。
図11(b)の画像200のサンプルブロックごとの雨滴判定結果は、
図9及び
図10(b)に示したものと同様である。
図11(b)に示したように、雨滴判定部105は、画像分割領域の雨滴スコア閾値(
図11(a))を任意に設定し、さらに1枚の画像200をA、B、C、D、Eの5つの領域1100に分割して、分割領域毎に合計雨滴スコアを計算する。
【0078】
図11(b)は、各分割領域1100が16個(2×8個)のブロックを含む例を示す。雨滴判定部105は、画像分割領域の雨滴スコア閾値と分割領域毎の合計雨滴スコアとを比較して、画像分割領域毎の雨滴判定情報を得る。雨滴判定部105は、分割領域毎の合計雨滴スコアが雨滴スコア閾値以上ならば、分割領域毎の雨滴判定情報として「画像付着有り」を示す「1」を出力し、分割領域毎の合計雨滴スコアが雨滴スコア閾値以下の場合は、分割領域毎の雨滴判定情報として「画像付着無し」を示す「0」を出力する。
【0079】
この様に雨滴判定を行う画像領域を細分化することで、画像のどの部分に雨滴付着があるか否かを後段の汚れ診断部108および周辺認識部107に伝達することが可能となる。これによって、雨滴付着している一部のエリアのみ認識動作の停止を指示するなど、周辺状態の認識動作を細かく制御することが可能となる。
【実施例3】
【0080】
次に、本発明の実施例3について説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例3の外界認識装置100は実施例1の外界認識装置100と同一であるため、相違点以外の部分の図示及び説明は省略する。また、図示された実施例3の外界認識装置100の各部は、以下に説明する相違点を除き、実施例1の同一の参照符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0081】
図12は、本発明の実施例3の雨滴検出部101の構成の例を示す機能ブロック図である。
【0082】
ここでは、画像周波数の解析精度を向上させるため、画像周波数解析部を2ステップに分けて構成した例を示す。
図12の雨滴検出部101は、大きな画像サイズに分割された領域毎に画像周波数解析を行う第1の画像周波数解析部1200と、上記の大きな画像サイズの領域ごとに雨滴スコアを求める第1の雨滴スコア計算部1201と、小さい画像サイズに分割された領域毎に画像周波数解析を行う第2の画像周波数解析部1202(
図1の画像周波数解析部102と同じ)と、上記の小さい画像サイズの領域ごとに雨滴スコアを求める第2の雨滴スコア計算部1203(
図1の雨滴スコア計算部103と同じ)と、雨滴領域情報生成部1204(
図1の雨滴領域情報生成部104と同じ)と、雨滴判定部1205(
図1の雨滴判定部105と同じ)と、で構成される。
【0083】
以下に、第1の画像周波数解析部1200および雨滴スコア計算部1201の動作を説明する。尚、以下に示す例において、上記の「小さい画像サイズ」は、
図2に示した分割された領域のサイズと同じであり、上記の「大きい画像サイズ」は、「小さい画像サイズ」より大きく、かつ、1フレームの画像全体のサイズよりは小さいサイズである。したがって、第2の画像周波数解析部1202および第2の雨滴スコア計算部1203は、それぞれ、
図1で説明した画像周波数解析部102および雨滴スコア計算部103と同じ動作を行う。さらに、雨滴領域情報生成部1204および雨滴判定部1205は、それぞれ、
図1で説明した雨滴領域情報生成部104および雨滴判定部105と同じ動作を行う。以下において、
図1に示したものと同様の動作を行う各部の説明は省略する。
【0084】
図13は、本発明の実施例3の第1の画像周波数解析部1200の動作の例を示す説明図である。
【0085】
第1の画像周波数解析部1200は、車載カメラの画像200を領域分割する時、第2の画像周波数解析部1202で設定する領域分割の画像サイズより大きな画像サイズを設定する。例えば、
図13(a)は、第1の画像周波数解析部1200の領域分割後の画像サイズとして64×64画素に設定する例を示す。
図13(b)は、第2の画像周波数解析部1202の領域分割後の画像サイズとして32×32画素に設定する例を示す。
【0086】
第1の画像周波数解析部1200の画像周波数の求め方は、参照する領域分割後の画像サイズが異なる点を除いて既に説明したものと同じであり、平均周波数パワーの演算方法は
図4および
図5と同じであるため説明を省略する。
【0087】
尚、第1の画像周波数解析部1200の領域分割後の画像サイズは任意に設定して良いが、必ず、第2の画像周波数解析部1202の領域分割後の画像サイズより大きなサイズを設定する。
【0088】
図14は、本発明の実施例3の周辺領域を考慮した第1の雨滴スコア計算部1201の動作の例を示す説明図である。
【0089】
第1の雨滴スコア計算部1201は、
図4、
図5および
図13(a)で説明した手順で平均周波数パワーを求めた後、さらに各領域の平均周波数パワーと、その周辺領域の平均周波数パワーを所定の割合で加算して、これを各領域の最終の平均周波数パワーPaveとする。ここで、最終の平均周波数パワーPaveの計算対象の領域を注目領域と記載する。周辺領域は、少なくとも注目領域に隣接する複数の領域を含む。以下の例では、注目領域の周囲に隣接する8領域を周辺領域とする。
【0090】
例えば、最終の平均周波数パワーPaveは、数式5によって算出される。
【0091】
【数5】
ここで、
a〜i=分割領域単独で求めた平均周波数パワー
K1=第1の係数(例えば、0.7)
K2=第2の係数(例えば、0.375)
である。
【0092】
第1の係数K1および第2の係数K2は、周辺領域の重要度、すなわち注目領域の平均周波数パワーと共に周辺領域の平均周波数パワーをどの程度雨滴検出に利用するかを示すレベルに応じて任意に設定して良い。
【0093】
尚、注目領域の位置によっては、周辺領域の一部が存在しない場合がある(例えば、画像周辺部に位置する分割領域f1305、分割領域d1303、分割領域g1306)。その場合は、存在しない部分の平均周波数パワーを0にしてPaveを計算しても良いし、または注目領域の平均周波数パワーを存在しない周辺領域の平均周波数パワーとして代入してPaveを計算しても良い。あるいは、他の方法で隣接する分割領域の平均周波数パワーを用いて近似した平均周波数パワーを代入しても良い。
【0094】
分割領域のサイズが大きければ、注目領域の一部に雨滴が付着していてもそれを検出できない可能性がある。しかし、例えば周辺領域に雨滴が付着していると判定された場合には、注目領域にも雨滴が付着している可能性が高いと考えられる。したがって、上記のように、注目領域の平均周波数パワーだけでなく、その周辺領域の平均周波数パワーも重み付け演算によって注目領域の雨滴検出に利用することによって、分割領域のサイズが大きい場合であっても、精度よく雨滴の付着の有無を判定することができる。
【0095】
図15は、本発明の実施例3の第1の雨滴スコア計算部1201による処理領域の間引きを示す説明図である。
【0096】
第1の雨滴スコア計算部1201は、
図8に示したサンプルブロックの雨滴スコアの求め方と同一の方法で雨滴スコアを計算する。但し、分割領域の画像サイズが
図8の例と異なるため、サンプルブロックのサイズが異なる。
図13(a)の例で示したように、1個の分割領域の画像サイズは64×64画素であるため、第1の雨滴スコア計算部1201は、DFTで求まる象限Aの画像周波数データ数を32×32個として計算を行う。
【0097】
第1の雨滴スコア計算部1201は、この画像周波数データ数を用いて、平均周波数パワーが周波数パワー閾値FPTH以下の小ブロック個数をカウントして合計スコアとする。そして、第1の雨滴スコア計算部1201は、この合計スコアをサンプルブロックの雨滴スコア閾値(
図8(a))と比較して、サンプルブロック毎の雨滴付着の有無を判定する。
【0098】
図15(a)は、第1の雨滴スコア計算部1201の雨滴付着判定を行い、雨滴付着有りと仮判定した領域には「1」のフラグを置き、雨滴付着無しと仮判定した領域には「0」のフラグを置いた結果の状態を示している。
【0099】
続いて、第2の画像周波数解析部1202および第2の雨滴スコア計算部1203の処理を行うが、ここでは、第1の雨滴スコア計算部1201で雨滴付着有りと判定したフラグ「1」の領域のみを処理対象とする。
図15(b)は、
図15(a)で示した第1の雨滴スコア計算部1201の雨滴付着判定結果に従って、第2の画像周波数解析部1202および第2の雨滴スコア計算部1203の処理対象となる部分1503(雨滴付着有りと仮判定した領域)、および処理対象とならない部分1502(雨滴付着無しと仮判定した領域)の例を示す。
【0100】
上記の処理によれば、第1の雨滴スコア計算部1201によって雨滴付着無しと判定された領域については第2の画像周波数解析部1202および第2の雨滴スコア計算部1203の処理が省略されるため、計算量を削減することができる。
【実施例4】
【0101】
次に、本発明の実施例4について説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例4の外界認識装置100は実施例1の外界認識装置100と同一であるため、相違点以外の部分の図示及び説明は省略する。また、図示された実施例4の外界認識装置100の各部は、以下に説明する相違点を除き、実施例1の同一の参照符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0102】
図16は、本発明の実施例4の雨滴検出部101の構成の例を示す機能ブロック図である。
【0103】
図2(a)に示したように、車載カメラ111の画像には、常に固定された被写体として遮光版201、自車両のボディ上端202(フィニッシャー)、バンパー203、およびナンバープレート204が映り込んでいる。前述の画像周波数解析方法に加えて、雨滴付着によって固定被写体部分が歪むことを画像処理で検出することで、雨滴付着の判定精度が向上する。
【0104】
本発明の別の雨滴検出部101は、
図16に示すように、
図1の雨滴検出部101と同様の画像周波数解析部102、第1の雨滴スコア計算部1602(
図1の雨滴スコア計算部103と同じもの)、雨滴領域情報生成部104及び雨滴判定部105に加えて、雨滴付着に伴う固定被写体部分の画像の歪み状態を画像処理で検出する画像歪み解析部1600と、画像歪み解析の結果から雨滴スコア加算値を求める第3の雨滴スコア計算部1601とを備える。
【0105】
図17は、本発明の実施例4の画像歪み解析部1600における画像観測点の設定例を示す説明図である。
【0106】
画像歪み検出は、画像観測点の正規化SAD(Sum of Absolute Difference、差分絶対値和)を求めて、正規化SAD値を所定の閾値と比較することで、画像歪みの有無を判定する。
図17は、1個の画像観測点の画像サイズを8×8画素とし、ナンバープレート上に間隔を空けた5個の画像観測点1700から1704を設定した例を示す。
【0107】
画像観測点の画像サイズおよび観測点数は任意に設定しても良いが、必ず固定被写体部分、すなわち、常に同一の被写体(特に同一の被写体の同一のエッジ部分)が映り込む画像の範囲に観測点を設定する。また、ナンバープレート以外の固定被写体部分、例えば、遮光版201、自車両のボディ上端202(フィニッシャー)、またはバンパー203が映り込む範囲に画像観測点を設定しても良い。さらに、遮光版201、自車両のボディ上端202(フィニッシャー)、バンパー203に特定の模様(例えば、市松模様)を貼り付けるなど、画像歪みを検出し易いように固定被写体部分に加工を加えても良い。
【0108】
図18は、本発明の実施例4の画像歪み解析部1600の検出処理方法を示す説明図である。
【0109】
正規化SAD(NSAD)は、数式6を用いて計算される。
【0110】
【数6】
ここで、
【0111】
【数7】
【0112】
【数8】
である。
【0113】
Tはテンプレート画像、Iは観測画像、T(i,j)はテンプレート画像の画素、I(i,j)は観測画像の画素、Mはテンプレート画像および観測画像の水平方向の画素数、Nは観測画像の水平方向の画素数、iは水平座標、jは垂直座標を示している。
【0114】
図18のグラフは、1個の画像観測点において時間t1から時間t3の期間の正規化SAD1800を求めた結果の例を示している。テンプレート画像と観測画像の相関が高い場合、正規化SAD値は限りなく1.0に近づく。一方、両画像の相関が低いほど、正規化SAD値は0に近づく。
【0115】
雨滴無しの画像をテンプレート画像として記憶しておくと、雨滴付着有りの観測画像は画像歪みが生じやすいため、正規化SAD値は「0」に近い値を示す。一方、雨滴付着無しの観測画像は画像歪みが生じにくいため、正規化SAD値は「1」に近い値を示す。
【0116】
ここで、雨滴付着判定の閾値SADTH1801を0.8と設定した場合、正規化SAD値が0.8以上であった時刻の画像は雨滴付着無しと判定されて雨滴スコア「0」が設定される。正規化SAD値が0.8以下であった時刻の画像は雨滴付着有りと判定されて雨滴スコア「1」が設定される。
【0117】
図18の例では、時刻t1からt2の期間が雨滴付着無しと判定された期間1802、時刻t2からt3の期間が雨滴付着有りと判定された期間1803である。
【0118】
図19は、本発明の実施例4の第3の雨滴スコア計算部1601の動作の例を示す説明図である。
【0119】
図19(a)は、正規化SADスコア閾値1900および雨滴スコア加算値1901の設定例である。正規化SADスコア閾値1900には、
図17で設定した観測点のうち、画像歪み有り(すなわち雨滴付着有り)と判定するための観測点の数の閾値1900を設定する。雨滴スコア加算値1901には、雨滴判定部105の画像周波数解析部で求めた合計雨滴スコアへの加算値を設定する。
【0120】
正規化SAD観測点の合計雨滴スコア1902は、全画像観測点(
図17の例では5個の画像観測点)における雨滴スコアの合計値である。
図17の例では5個の画像観測点1700〜1704が設定されているため、各時刻における正規化SAD観測点の合計雨滴スコア1902の値は「0」から「5」までのいずれかとなる。
【0121】
図19(b)は、各々が時間t1から時間t8までの8時刻に撮影された8枚の(すなわち8フレームの)画像を入力し、各時刻の画像の5点の観測点で正規化SADを求め、それに基づく雨滴付着判定の結果として得られた正規化SAD観測点の合計雨滴スコア1902を表にしたものである。ここで、正規化SAD観測点の合計雨滴スコア1902が正規化SADスコア閾値1900より小さくなった時刻t1から時刻t4までは、雨滴付着無しと判定されて雨滴スコア加算値1903が「0」に設定される。正規化SAD観測点の合計雨滴スコア1902が正規化SADスコア閾値1900以上となった時刻t5から時刻t8までは、雨滴付着有りと判定されて雨滴スコア加算値1903が「5」に設定される。
【0122】
なお、
図19は一例であり、正規化SADスコア閾値1900および雨滴スコア加算値
1901として任意の値を設定して良い。
【0123】
図20は、本発明の実施例4において画像歪み解析を実施する場合の雨滴判定部105の動作の例を示す説明図である。
【0124】
雨滴検出部101が画像歪み解析部1600および第3の雨滴スコア計算部1601を備えた場合、雨滴判定部105は、画像周波数解析処理で求めた雨滴スコア2000に画像歪み解析処理で求めた雨滴スコアを加算し、これを合計雨滴スコアとして雨滴有無の判定を実行する。
【0125】
上記のように、周波数解析による雨滴スコアに加えて、画像歪み解析による雨滴スコアを用いて雨滴の付着の有無を判定することによって、より高精度な雨滴検出を実現することができる。また、正規化SADを利用することによって、撮影環境の変化(例えば撮影が昼間に行われたか、夜間に行われたか、トンネル内で行われたか、トンネル外で行われたか、といった要因による明るさの変化)の影響を受けにくい画像歪み解析を行うことができる。
【実施例5】
【0126】
次に、本発明の実施例5について説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例5の外界認識装置100は実施例1の外界認識装置100と同一であるため、相違点以外の部分の図示及び説明は省略する。また、図示された実施例5の外界認識装置100の各部は、以下に説明する相違点を除き、実施例1から実施例4の同一の参照符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0127】
図21は、本発明の実施例5の外界認識装置100の一例を示す機能ブロック図である。
【0128】
具体的には、
図21は、車載カメラ111のレンズ面に赤外線LED光を照射して、夜間などの画像コントラスト低下時でも雨滴検出性能を確保する構成の例を示す。
【0129】
夜間走行または長いトンネルを走行している場合は、車載カメラ111の画像コントラストが大幅に低下するため、画像による雨滴の観測精度も低下する。そこで、夜間走行などで画像コントラストが低下している場合でも雨滴検出性能を確保するため、車載カメラ111のレンズ面に赤外線LED光を照射して、雨滴輪郭を浮かび上がらせて、画像周波数解析処理および画像歪み解析処理の雨滴検出性能を確保する。ここで、赤外線LED光は、約780nmから2600nm付近の近赤外線波長領域の光を指すが、以下の説明では赤外線LEDと略す。赤外線光は、カラー画像の色彩に影響を与え、その影響を受けた画像の色彩は不自然に見えるため、通常の車載カメラ111およびディジタルカメラでは、内部信号処理において可視光以上の波長成分(約780nm以上の波長領域)をカットするフィルタ処理を行っている。
【0130】
しかし、実際には780nm以上の波長を完全に除去することは困難であるため、近赤外光の波長成分が車載カメラ111の画像にも十分映り込んでいる。本発明の方法は、この特性を利用したものである。また、赤外線LEDの照射光には人の目に見えないという特性があるため、車載カメラ111に向けて点滅を繰り返しても、他車両のドライバーまたは歩行者に違和感を与えることはない。
【0131】
赤外線LED(2100)の点灯および消灯の制御は、制御部112で行う。制御部112は、車載カメラ111の画像をモニタして、長時間に渡り画像コントラストが大幅に低下したかどうかを調べるなどの方法で夜間走行または長いトンネルを走行しているといった車載カメラ111の撮影環境を判断する。画像コントラストが大幅に低下したと判断した場合は、制御部112が赤外線LED2100に点灯の指示を出す。画像コントラストが昼間と同じ状況に回復した場合は、制御部112が赤外線LED2100に消灯の指示を出す。また、赤外線LED2100を点灯して雨滴輪郭を浮かび上がらせる場合、赤外線LED2100を所定周期で点滅させて雨滴輪郭の確認を行っても良い。
【0132】
さらに、画像コントラストが大幅に低下したかどうかを調べる処理は、外界認識装置100が行い、赤外線LEDの点灯および消灯の要求を外界認識装置100から制御部112に送信しても良い。
【0133】
赤外線LED光を照射して、雨滴輪郭を浮かび上がらせて、画像周波数解析処理および画像歪み解析処理を行う場合、
図6および
図7に示した画像周波数解析部102の周波数パワー閾値FPTH603および703を、画像コントラストが低い条件に適合する値に変更しても良い。また、
図18に示した画像歪み解析部1600における雨滴付着判定の閾値SADTH1801も、画像コントラストが低い条件に適合する値に変更しても良い。
【0134】
図22は、本発明の実施例5における赤外線LED2100の設置位置の一例を示す説明図である。
【0135】
赤外線LED2100は、照射光が車載カメラ111のレンズ面2201に当たるように1個設置してもよいし、または照射面積を確保するために複数個設置してもよい。
【0136】
図22(a)は、車載カメラ111の上に赤外線LED2100を1個設置した例である。
図22(b)は、照射光の面積を確保するために車載カメラ111の上と下に赤外線LED2100を2個設置した例である。さらに、
図22(c)は、車載カメラ111の上、下、左および右に赤外線LED2100を4個設置した例である。
【0137】
赤外線LED2100の設置個数は任意であり、雨滴検出のやり易さに応じてレンズ面2201への配光を調節するために設置位置を任意に設定しても良い。さらに、赤外線の光源は、単体のLEDデバイスとせず、車載カメラ111内部に実装し、レンズの内側からレンズ面2201に向けて照射光を当てるように設置しても良い。
【実施例6】
【0138】
次に、本発明の実施例6について説明する。実施例6の外界認識装置100の各部は、以下に説明する相違点を除き、実施例1から実施例5の同一の参照符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0139】
図23は、本発明の実施例6の外界認識装置100の一例を示す機能ブロック図である。
【0140】
外界認識装置100は、雨滴検出部101、周辺状態認識部106、警報処理部110およびドライバー通知部109を備える。さらに、外界認識装置100は、赤外線LED2100、車載カメラ111、メモリ113および制御部112を備える。上記の各部は、以下に説明する点を除き、これまでに説明した同一の符号が付された各部と同様である。
【0141】
雨滴検出部101は、車載カメラ111から入力した画像から車載カメラレンズ面への雨滴付着の有無を予測するブロックである。
図23の雨滴検出部101は、
図16に示したものと同等であり、具体的には、車載カメラ111から入力した画像を所定の領域に分割して分割領域毎に画像周波数を求める画像周波数解析部102と、求めた画像周波数から雨滴付着の確かさを分割領域毎にスコア値として算出する第1の雨滴スコア計算部103と、雨滴付着に伴う固定被写体部分の画像の歪み状態を画像処理で検出する画像歪み解析部1600と、画像歪み解析の結果から雨滴スコア加算値を求める第3の雨滴スコア計算部1601と、画像1枚分の領域の雨滴スコアマップを作成する雨滴領域情報生成部104と、雨滴スコアマップおよび第3の雨滴スコアから画像毎の雨滴の有無を雨滴判定情報として出力する雨滴判定部105と、を備える。
【0142】
周辺状態認識部106は、車載カメラ111のレンズ面が雨、雪、泥、白濁等で汚れている状態であるか否かを診断する汚れ診断部108と、車両の周辺状態の認識を行うための周辺認識部107と、周辺認識部107から出力された認識結果情報および警報信号を自車両制御部114に送信する警報処理部110と、を備える。また、汚れ診断部108は、車載カメラ111のレンズ面が雨、泥、白濁等で汚れた状態にある場合、周辺認識部107に対して正確な画像認識処理が困難で誤認識が生じ易い状態であるため、FAIL信号を出力して周辺認識部107の動作を一時的または連続して停止させる。
【0143】
さらに、汚れ診断部108は、周辺認識部107が一時的または連続して動作停止状態であることを示す汚れ通知情報をドライバー通知部109に出力する。ドライバー通知部109は、外部に別途設置されたLED2300、スピーカ2301、ディスプレイ2302、またはカーナビゲーション装置2303などの少なくとも一つへ発話、点灯または表示の指示を行うことで、レンズ汚れのために周辺認識部107が停止していることを示す音声情報または視覚情報をドライバーに対して通知する。これによって、ドライバーは、周辺認識部107が停止していることを知り、それに応じた運転、またはその状態を解消するための処置(例えばレンズクリーニング)等を行うことができる。
【0144】
図23の周辺認識部107が行う認識処理は、
図1の周辺認識部107が行う自車両周辺状態の認識と同様のものであってよい。さらに、自車両が走行中に車線逸脱した場合に警報を出す車線逸脱警報処理、自車両のドライバーからの死角に人や他車両が入り込んでいた場合に警報を出す死角警報処理も、
図23の周辺認識部107が行う認識処理に含まれる。
【0145】
図24は、本発明の実施例6の外界認識装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0146】
図24には、一例として、
図23に示した外界認識装置100の動作を示す。最初に車載カメラ111から画像を入力(S1)すると、入力された同じ画像を用いて画像周波数解析処理と画像歪み解析処理が並列に動作する。
【0147】
画像周波数解析処理では、サンプルブロックの雨滴スコア閾値(
図8(a)参照)が設定される(S2)。この閾値は、ユーザによって入力されてもよいし、雨滴検出部101によって過去の検出結果に基づいて決定されてもよい。次に、画像周波数解析部102が分割領域毎の画像周波数を算出(S3)する。続いて、第1の雨滴スコア計算部103が各サンプルブロックの雨滴スコアを計算(S4)し、雨滴領域情報生成部104が雨滴領域情報を生成(S5)する。次に、雨滴判定部105が、画像全体の雨滴スコア閾値THを設定(S6)した後、画像周波数解析処理の雨滴スコアSC1を算出(S7)する。
【0148】
画像歪み解析処理では、画像歪み解析部1600が観測点毎の正規化SADを算出(S8)する。続いて、第3の雨滴スコア計算部1601が、正規化SADに基づいて観測点の合計スコアを算出(S9)し、正規化SADスコアの閾値を設定(S10)し、画像歪み解析処理の雨滴スコア加算値SC2を決定(S11)する。
【0149】
次に、雨滴判定部105が、画像周波数解析処理の雨滴スコアSC1と画像歪み解析処理の雨滴スコア加算値SC2を加算して、合計スコアSCを求める(S12)。合計スコアSCが画像全体の雨滴スコア閾値THと等しい、または閾値TH以上の場合は(S13)、雨滴判定部105は雨滴付着有りと判定(S14)する。一方、合計スコアSCが画像全体の雨滴スコア閾値TH以下の場合は(S14)、雨滴判定部105は雨滴付着無しと判定(S17)する。雨滴判定部105は、雨滴付着の有無の判定結果を雨滴判定情報として周辺状態認識部106に送信する。
【0150】
雨滴付着有りの判定結果を受信した汚れ診断部108は、周辺認識部107にFAIL信号を送出することによって動作停止を指示(S15)し、さらに周辺認識部107の動作が停止したことをディスプレイ2302へ表示するなどの方法でドライバーに通知(S16)する。雨滴付着無しの判定結果を受信した汚れ診断部108は、周辺認識部107に通常動作継続を指示(S18)する。
【0151】
上記の通り、
図24は本発明の実施例6の外界認識装置100の動作の一例を示すものであるが、実施例4の外界認識装置100の動作も、
図24に示したものと同様であってよい。実施例1及び2の外界認識装置100の動作は、S8〜S12が省略されることを除いて、
図24に示したものと同様であってよい。実施例3の外界認識装置100の動作は、S8〜S12が省略されること、及び、
図13(a)に示す大きいサイズの分割領域についてS2〜S4と同様の処理が実行され、その結果雨滴が付着していると判定された分割領域に含まれる小さいサイズの分割領域についてS2〜S7が実行されることを除いて、
図24に示したものと同様であってよい。
【0152】
ここまでに説明した水滴は、レンズ汚れの一例であり、特に光の透過性の高いレンズ汚れの一例である。水滴以外の代表的なレンズ汚れとして、泥、雪または白濁等が挙げられるが、これらはいずれも水滴より光の透過性が低いレンズ汚れである。光の透過性が低いレンズ汚れであるほど、撮影された画像の周波数パワーの減少が顕著になるため、上記の雨滴判定部105による雨滴判定方法は、雨滴以外の、より光の透過性が低いレンズ汚れにも適用することができる。
【0153】
以上の本発明の実施例によれば、カメラが撮影した画像の画素値に基づいて水滴のエッジを検出するといった方法ではなく、画像の周波数パワーに基づいてレンズ汚れを検出することによって、水滴のような光の透過性の高いレンズ汚れであっても精度よく検出することができる。
【0154】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0155】
例えば、外界認識装置100は、実施例3として説明した2段階のレンズ汚れ検出と、実施例4として説明した画像歪みの検出結果に基づくレンズ汚れ検出とを組み合わせて実行してもよい。また、実施例1から5のいずれかの外界認識装置100が、実施例6に示したLED2300、スピーカ2301、ディスプレイ2302、またはカーナビゲーション装置2303などの少なくとも一つに接続されてもよい。
【0156】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0157】
また、図面には、実施形態を説明するために必要と考えられる制御線及び情報線を示しており、必ずしも、本発明が適用された実際の製品に含まれる全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。