【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、内視鏡のチャネルを介して導入される細長い胴部の先端に関節を有する処置具を操作するための内視鏡処置具用操作入力装置であって、操作者の片手の掌と、少なくとも小指および薬指とによって把持可能な形態の把持部と、該把持部を把持した状態で、把持している手の親指によって操作可能な位置に配置され、前記関節を作動させるための操作指令を入力させる操作部と、前記把持部を把持した状態で、把持している手の人差し指によって前記胴部の長手方向の途中位置を押しつけて摩擦により固定する摩擦固定部とを備える内視鏡処置具用操作入力装置を提供する。
【0007】
本態様によれば、操作者が把持部を片手の掌と少なくとも小指および薬指とで把持して、把持している手の人差し指によって処置具の胴部の長手方向の途中位置を摩擦固定部に押し付けることにより、操作部を処置具の胴部に固定することができる。これにより、操作者は処置具の胴部を、内視鏡のチャネルへの挿入口近傍において把持して、胴部の基端側ではなく、従来の手動の処置具と同様に胴部の長手方向の途中位置に押し引きする力および捻る力を加えることができる。したがって、従来の内視鏡手技に慣れている医師の操作性を向上することができ、操作力を処置具の先端まで、より確実に伝えることができる。
【0008】
そして、処置具の胴部を操作している状態においても、把持部を把持している手の空いている親指によって、胴部に固定された操作部を操作することができ、操作部に入力された操作指令によって、処置具の先端に設けられた関節を作動させることができる。
【0009】
上記態様においては、前記摩擦固定部が、前記把持部を把持している手の人差し指に対向する位置に、該人差し指の長さ方向に交差する方向に延び、前記胴部の側面に密着可能な溝を備えていてもよい。
このようにすることで、溝内に処置具の胴部を収容すると、把持部を把持している手の人差し指が処置具の長手方向に交差するように配置されるので、人差し指に力を加えて人差し指と溝との間に処置具の胴部を挟むことにより、胴部が溝内から脱落しないように支持して、胴部の側面を溝の内面に容易に密着させて固定することができる。これにより、処置具の胴部は、溝の内面との摩擦によって、操作部に対して胴部の長手方向に固定され、溝内への収容によって、操作部に対して溝幅方向にも固定され、人差し指によって押されることにより溝内から出ないように固定される。
【0010】
また、上記態様においては、前記溝が、周方向に間隔を空けて複数備えられていてもよい。
このようにすることで、操作者毎の人差し指の長さ等の個人差や抑え易さに応じて、処置具の胴部を収容させる溝を切り替えることができる。
【0011】
また、上記態様においては、前記溝が、前記操作部における親指による操作方向に交差する方向に延びていてもよい。
このようにすることで、処置具の胴部の長手方向に交差する軸線回りに揺動する関節の操作を、溝内に収容された処置具の胴部の長手方向に交差する操作方向に親指を移動させて操作することができ、操作者が直感的に関節を操作することができる。
【0012】
また、上記態様においては、前記溝が、前記胴部の外径寸法より大きな内径寸法を有する円筒内面状に形成されていてもよい。
このようにすることで、溝内に胴部を収容することができ、胴部が溝の内面に面で密着させられることにより、胴部の側面に過大な圧力集中を生じさせずに済み、胴部の健全性を維持することができる。
【0013】
また、上記態様においては、前記摩擦固定部に対する相対距離を変更可能に設けられ、前記把持部を把持している手の人差し指によって移動させられることにより、前記摩擦固定部との間に前記胴部を径方向に挟む挟持部材を備えていてもよい。
このようにすることで、人差し指によって処置具の胴部を直接押し付けるのではなく、挟持部材を摩擦固定部に近接させて、挟持部材と摩擦固定部との間に処置具の胴部を挟むことで、より確実に胴部を摩擦固定部に押し付けることができ、処置具の安定した操作を行うことができる。
【0014】
また、上記態様においては、前記挟持部材を前記摩擦固定部から離れる方向に付勢する付勢手段を備えていてもよい。
このようにすることで、人差し指から挟持部材に加えていた押圧力を除去することにより、付勢手段によって挟持部材が摩擦固定部から離間するので、操作部と処置具の胴部との固定を容易に解除することができる。
【0015】
また、上記態様においては、前記把持部に、該把持部を把持している手の小指と薬指の並びの方向に延び、前記内視鏡の挿入部の長手方向の途中位置の側面を密着させて摩擦により固定する挿入部収容溝が設けられていてもよい。
このようにすることで、人差し指によって摩擦固定部に固定していた処置具の胴部を放し、これに代えて挿入部収容溝に内視鏡の挿入部の側面を密着させ、把持部を把持している、少なくとも小指および薬指によって、挿入部の側面を挿入部収容溝に押し付けることにより、摩擦により挿入部と操作部とを固定することができる。これにより、挿入部を長手方向に押し引きし、あるいは挿入部を長手軸回りに捻る操作を行いながら、親指で操作部を操作して処置具の関節を作動させることができる。
【0016】
また、上記態様においては、前記操作部が、略平坦な操作面と、該操作面に配置され、親指によって操作される操作部材とを備え、前記挿入部収容溝と前記操作面とが鋭角をなして交差していてもよい。
このようにすることで、処置具の先端部をモニタ上で観察しながら操作部を操作する場合に、操作部材の操作方向と処置具の関節の動作方向とを違和感なく対応づけて操作を行うことができる。
【0017】
また、上記態様においては、前記把持部に、前記挿入部収容溝に対する相対距離を変更可能に設けられ、前記挿入部収容溝に近接させられることにより該挿入部収容溝との間に前記挿入部を径方向に挟む挿入部挟持体が設けられていてもよい。
このようにすることで、挿入部挟持体を挿入部収容溝から離間させることで、両者間に挿入部を配置し、挿入部挟持
体を挿入部収容溝に近接させることで、両者の間で挿入部を挟んで、摩擦により挿入部と操作部とを固定することができる。
【0018】
また、上記態様においては、前記挿入部収容溝が、前記把持部を把持している手の小指および薬指の第1関節に略対向する位置に配置されていてもよい。
このようにすることで、挿入部収容溝に内視鏡の挿入部が配置されているときには、把持部を把持している手の小指および薬指によって把持部とともに挿入部を把持することができ、挿入部が配置されていないときには、小指と薬指の第1関節を挿入部収容溝に引っ掛けて、把持部をしっかりグリップすることができる。
【0019】
また、上記態様においては、前記把持部に、該把持部を把持している手の中指に対向する位置に配置された操作スイッチを備えていてもよい。
このようにすることで、小指および薬指と掌との間で把持部を把持し、人差し指で操作部を処置具の胴部に固定し、親指で処置具の先端の関節を操作している状態で、空いている中指によって操作スイッチを操作することができる。操作スイッチとしては、例えば、処置具に設けた電極への通電等をオンオフするスイッチや,処置具関節の電動駆動をオンオフするスイッチ等として利用することができる。
【0020】
また、上記態様においては、前記把持部における把持状態および前記摩擦固定部における固定状態の少なくとも一方を検出するセンサを備えていてもよい。
このようにすることで、操作者の手による把持部の把持あるいは摩擦固定部における処置具の胴部の固定状態がセンサにより検出される。したがって、操作者の手によって把持部が把持されていないこと、あるいは摩擦固定部に処置具の胴部が固定されていないことのいずれかが検出された場合に、操作部を操作しても処置具が動作しないようにする処理等に利用することができる。
【0021】
また、上記態様においては、前記処置具の前記関節が、前記胴部の長手方向に複数配列され、前記操作部が、各前記関節を作動させる複数の操作部材を備え、該操作部材が、前記把持部を把持している手の親指の長さ方向に配列されていてもよい。
このようにすることで、把持部を把持している手の親指をその長さ方向に移動させて、親指の長さ方向に異なる位置に配置されている操作部材を操作することにより、胴部の長手方向に配列された複数の関節をそれぞれ直感的に作動させることができる。
【0022】
また、上記態様においては、正逆方向の複数対の前記操作部材が、前記処置具の前記関節と同数備えられ、各対の前記操作部材が、前記胴部の長手軸に対する配列と同じ順序で配列されていてもよい。
このようにすることで、処置具の先端部をモニタ上で観察しながら操作部を操作する場合に、処置具の関節およびその動作方向と、各関節に対応する操作部材とその操作方向とを違和感なく対応づけて直感的に操作を行うことができる。
【0023】
また、上記態様においては、前記処置具の前記関節が、前記胴部の長手方向に複数配列され、前記操作部が、各前記関節を作動させる単一の操作部材を備え、該操作部材が、前記処置具の各前記関節の作動方向に対応する方向に選択的に移動可能に設けられていてもよい。
このようにすることで、単一の操作部材を各関節の作動方向に対応する方向に操作するだけで、各関節を個別に作動させることができ、処置具の先端部をモニタ上で観察しながら直感的に操作を行うことができる。
【0024】
また、上記態様においては、前記把持部と前記操作部とが設けられた装置本体と、該装置本体に対して着脱可能に取り付けられ、前記摩擦固定部が設けられた着脱部とを備えていてもよい。
このようにすることで、摩擦固定部が設けられた着脱部を装置本体に取り付けて処置具の胴部を摩擦固定部に固定して処置を行った後、処置具と接触した着脱部を装置本体から取り外して交換することができる。これにより、着脱部のみを交換して、使用する処置具の胴部の形状に適した摩擦固定部を装着し、操作性を向上することができる。また、操作入力装置の使用後に着脱部のみを交換することで、常に清浄な状態の摩擦固定部に処置具を固定することができるとともに、装置本体を再利用することができる。