特許第6245895号(P6245895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6245895-ハニカム触媒及び排ガス浄化装置 図000005
  • 特許6245895-ハニカム触媒及び排ガス浄化装置 図000006
  • 特許6245895-ハニカム触媒及び排ガス浄化装置 図000007
  • 特許6245895-ハニカム触媒及び排ガス浄化装置 図000008
  • 特許6245895-ハニカム触媒及び排ガス浄化装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245895
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ハニカム触媒及び排ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20171204BHJP
   B01J 37/30 20060101ALI20171204BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20171204BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20171204BHJP
   C01B 39/02 20060101ALI20171204BHJP
   C01B 39/54 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B01J35/04 301P
   B01J37/30ZAB
   B01J29/76 A
   B01D53/94 222
   C01B39/02
   C01B39/54
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-175926(P2013-175926)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-44144(P2015-44144A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】梅本 剛大
(72)【発明者】
【氏名】女屋 尚紀
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0291839(US,A1)
【文献】 特表2010−519038(JP,A)
【文献】 特表2010−524677(JP,A)
【文献】 特開平08−268712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 53/86
B01D 53/94
C01B 39/00 − 39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムユニットを備えたハニカム触媒であって、
前記ハニカムユニットは、ゼオライトと無機粒子と無機バインダとを含み、
前記ゼオライトは、CHA構造を有するアルミノケイ酸塩で、その組成比Si/Alが15〜50であり、
前記無機粒子は、正の熱膨張係数を有する酸化物であり、
前記ゼオライト及び前記無機粒子の体積比(ゼオライト:無機粒子)が、50:50〜90:10であり、
前記ゼオライトの平均粒子径は、0.1〜2.0μmであり、前記無機粒子の平均粒子径は、0.1〜5.0μmであり、
前記ゼオライトの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した一次粒子の平均粒子径であり、
前記無機粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒径(Dv50)であることを特徴とするハニカム触媒。
【請求項2】
前記ゼオライト及び前記無機粒子の体積比(ゼオライト:無機粒子)が、60:40〜80:20である請求項1に記載のハニカム触媒。
【請求項3】
前記無機粒子は、アルミナ、チタニア及びジルコニアからなる群より選択される一種以上である請求項1又は2に記載のハニカム触媒。
【請求項4】
前記無機粒子の平均粒子径は、前記ゼオライトの平均粒子径の1/5〜50倍である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム触媒。
【請求項5】
前記無機粒子の平均粒子径は、前記ゼオライトの平均粒子径より大きく、前記ゼオライトの平均粒子径の4倍以下である請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム触媒。
【請求項6】
前記ゼオライトは、銅イオンでイオン交換されている請求項1〜のいずれかに記載のハニカム触媒。
【請求項7】
前記ハニカムユニットは、前記銅イオンを前記ハニカムユニットの見掛けの体積当たり5.5〜7.5g/L含有する請求項に記載のハニカム触媒。
【請求項8】
前記ハニカムユニットは、前記ゼオライトを前記ハニカムユニットの見掛けの体積当たり150〜250g/L含有する請求項1〜のいずれかに記載のハニカム触媒。
【請求項9】
前記ハニカムユニットは、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上をさらに含む請求項1〜のいずれかに記載のハニカム触媒。
【請求項10】
請求項1〜のいずれかに記載のハニカム触媒を備えることを特徴とする排ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム触媒及び排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の排ガスを浄化するシステムの1つとして、アンモニアを用いて、NOxを窒素と水に還元するSCR(Selective Catalytic Reduction)システムが知られている。
【0003】
また、SCRシステムに用いる触媒担体として、ゼオライトを含む組成物をハニカム状に成形したものが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ハニカムユニットがゼオライトと無機繊維とアルミナとを含有し、ハニカムユニットの開口率Y(%)が、ハニカムユニット中のゼオライト含有率をX(質量%)としたときに、式(57≦Y≦0.7X+25)を満足するハニカム構造体が開示されている。特許文献1に記載のハニカム構造体では、ハニカムユニットにアルミナを含有させることで、ハニカムユニットの強度を向上させている。また、特許文献1には、ゼオライトして、β型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト等を用いることが記載されている。
【0005】
一方、特許文献2には、SCRシステムに用いるゼオライト触媒として、銅イオンでイオン交換されたCHA構造を有するゼオライトが開示されている。特許文献2に記載のゼオライト触媒は、熱水により熟成(老化:aging)させた後のNOxの浄化性能が高いとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/141888号
【特許文献2】米国特許第7,601,662号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、NOxの浄化性能に優れたハニカム触媒を得るため、特許文献2に記載されているようなCHA構造を有するゼオライト(以下、CHA型ゼオライトとも記載する)を含む組成物をハニカム状に成形することを考えた。
【0008】
しかしながら、CHA型ゼオライトを含むハニカムユニットを用いてハニカム触媒を作製し、該ハニカム触媒を備える排ガス浄化装置を車載した場合、使用中にハニカムユニットにクラックが発生し、ハニカムユニットが破損してしまうという問題が生じることが判明した。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、NOxの浄化性能に優れ、排ガス浄化装置の使用中におけるハニカムユニットの破損を抑制することが可能なハニカム触媒及び排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、排ガス浄化装置の使用中にハニカムユニットが破損する原因について検討した。その結果、本発明者らは、CHA型ゼオライトの熱膨張係数が−5×10−6/K程度と負の膨張が大きいため、熱応力によってハニカムユニットが破損することを突き止めた。
【0011】
このような検討結果を踏まえて、本発明者らは、正の熱膨張係数を有する酸化物を組成物に加えることによって、ハニカムユニット全体としての熱膨張係数を緩和することができ、その結果、排ガス浄化装置の使用中にハニカムユニットが破損しにくくなることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明のハニカム触媒は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムユニットを備えたハニカム触媒であって、上記ハニカムユニットは、ゼオライトと無機粒子と無機バインダとを含み、上記ゼオライトは、CHA構造を有するアルミノケイ酸塩で、その組成比Si/Alが15〜50であり、上記無機粒子は、正の熱膨張係数を有する酸化物であり、上記ゼオライト及び上記無機粒子の体積比(ゼオライト:無機粒子)が、50:50〜90:10であることを特徴とする。
【0013】
本発明のハニカム触媒においては、ゼオライトとしてCHA構造を有するアルミノケイ酸塩(以下、CHAとも記載する)を用いてハニカムユニットを形成することによって、NOxの浄化性能を向上させることができる。ただし、CHAの含有量が多すぎると、熱応力によってハニカムユニットが破損しやすくなる。そこで、正の熱膨張係数を有する酸化物をハニカムユニットに含有させることによって、ハニカムユニット全体としての熱膨張係数を緩和させることができる。その結果、本発明のハニカム触媒は、NOxの浄化性能に優れ、かつ、排ガス浄化装置の使用中におけるハニカムユニットの破損を抑制することが可能となる。
【0014】
正の熱膨張係数を有するとは、温度上昇によって物体の体積が膨張する物質のことをいい、熱膨張係数は、押し棒式膨張計(push−rod dilatometer)にて、熱膨張係数が既知のアルミナを参照物質として50〜700℃の間で10℃/分の昇温速度で測定する。
【0015】
上記ゼオライト及び上記無機粒子の体積比(ゼオライト:無機粒子)は、50:50〜90:10であり、60:40〜80:20であることが望ましい。排ガス温度が高温の時のアンモニア酸化によるNOxの浄化性能の低下を防ぐことが可能となる。また、ハニカム触媒のサイズを大きくした場合であっても、熱応力によるハニカムユニットの破損を抑制することが可能となる。
【0016】
上記無機粒子は、アルミナ、チタニア及びジルコニアからなる群より選択される一種以上であることが望ましい。これらの無機粒子は正の熱膨張係数を有するため、ハニカムユニット全体としての熱膨張係数を緩和することができる。
【0017】
上記ゼオライトの平均粒子径は、0.1〜2.0μmであることが望ましく、上記無機粒子の平均粒子径は、0.1〜5.0μmであることが望ましい。ハニカムユニットの気孔径を大きくすることができ、ガス拡散によるNOx浄化性能の向上が可能となる。
【0018】
上記無機粒子の平均粒子径は、上記ゼオライトの平均粒子径の1/5〜50倍であることが望ましい。ハニカムユニットの気孔径を調整することが可能となる。
【0019】
上記無機粒子の平均粒子径は、上記ゼオライトの平均粒子径より大きく、上記ゼオライトの平均粒子径の4倍以下であることが望ましい。
【0020】
上記ゼオライトは、銅イオンでイオン交換されていることが望ましい。NOxの浄化性能を向上させることができる。
【0021】
上記ハニカムユニットは、上記銅イオンを上記ハニカムユニットの見掛けの体積当たり5.5〜7.5g/L含有することが望ましい。排ガス温度が低温の時のNOx浄化性能を高くしつつ、高温の時のアンモニア酸化によるNOx浄化性能の低下を防ぐことができるため、全温度域に渡って、高いNOx浄化性能を示す。
【0022】
上記ハニカムユニットは、上記ゼオライトを上記ハニカムユニットの見掛けの体積当たり150〜250g/L含有することが望ましい。排ガス温度が低温の時のNOx浄化性能を高くしつつ、高温の時のアンモニア酸化によるNOx浄化性能の低下を防ぐことができるため、全温度域に渡って、高いNOx浄化性能を示す。
【0023】
上記ハニカムユニットは、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上をさらに含むことが望ましい。ハニカム触媒の強度を向上させることができる。
【0024】
また、本発明の排ガス浄化装置は、本発明のハニカム触媒を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、NOxの浄化性能に優れ、排ガス浄化装置の使用中におけるハニカムユニットの破損を抑制することが可能なハニカム触媒及び排ガス浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のハニカム触媒の一例を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図3】本発明のハニカム触媒の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図4図3に示すハニカム触媒を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
図5】無機粒子の含有量とハニカムユニットの熱膨張係数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0028】
本発明のハニカム触媒は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムユニットを備えたハニカム触媒であって、上記ハニカムユニットは、ゼオライトと無機粒子と無機バインダとを含み、上記ゼオライトは、CHA構造を有するアルミノケイ酸塩で、その組成比Si/Alが15〜50であり、上記無機粒子は、正の熱膨張係数を有する酸化物であり、上記ゼオライト及び上記無機粒子の体積比(ゼオライト:無機粒子)が、50:50〜90:10であることを特徴とする。
【0029】
図1に、本発明のハニカム触媒の一例を示す。図1に示すハニカム触媒10は、複数の貫通孔11aが隔壁11bを隔てて長手方向に並設された単一のハニカムユニット11を備えており、ハニカムユニット11の外周面には外周コート層12が形成されている。また、ハニカムユニット11は、ゼオライトと無機粒子と無機バインダとを含んでいる。
【0030】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットに含まれるゼオライトは、CHA構造を有するアルミノケイ酸塩(CHA)である。なお、CHA構造とは、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association:IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものを示している。これは、天然に産出するチャバサイト(chabazite)と同等の結晶構造を有するゼオライトである。
【0031】
CHAの組成比Si/Alは、15〜50であり、20〜40であることが望ましく、25〜35であることがより望ましい。当該組成比が15未満であると、Alが多くなり、熱劣化しやすくなる。一方、当該組成比が50を超えると、ゼオライトの酸点が少なくなり、NOxの浄化性能が低下することがある。
【0032】
CHAの平均粒子径は、0.1〜2.0μmであることが望ましく、0.3〜1.8μmであることがより望ましく、0.7〜1.7μmであることがさらに望ましい。CHAの平均粒子径が0.1〜2.0μmであると、ハニカムユニットの気孔径を大きくすることができ、吸水時の毛細管応力を低減し、さらにガス拡散によるNOx浄化性能の向上が可能となる。
なお、CHAの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した一次粒子の平均粒子径である。
【0033】
CHAの比表面積は、結晶構造の観点から、500〜650m/gであることが望ましく、550〜630m/gであることがより望ましい。
【0034】
ハニカムユニット中のCHAの含有量は、40〜75体積%であることが望ましく、45〜70体積%であることがより望ましく、50〜65体積%であることがさらに望ましい。CHAの含有量が40体積%未満であると、NOxの浄化性能が低下する。一方、CHAの含有量が75体積%を超えると、吸脱水又は熱応力によってハニカムユニットが破損しやすくなる。
【0035】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットは、本発明の効果を損なわない範囲内で、CHA以外のゼオライトおよびシリコアルミノリン酸塩(SAPO)を含んでいてもよい。
【0036】
本発明のハニカム触媒においては、ゼオライト(CHA)が、銅イオンでイオン交換されていることが望ましい。この場合、ハニカムユニットは、銅イオンをハニカムユニットの見掛けの体積当たり5.5〜7.5g/L含有することが望ましく、6.0〜7.5g/L含有することがより望ましい。排ガス温度が低温の時のNOx浄化性能を高くしつつ、高温の時のアンモニア酸化によるNOx浄化性能の低下を防ぐことができるため、全温度域に渡って、高いNOx浄化性能を示す。
【0037】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットは、ゼオライト(CHA)をハニカムユニットの見掛けの体積当たり150〜250g/L含有することが望ましく、180〜230g/L含有することがより望ましい。排ガス温度が低温の時のNOx浄化性能を高くしつつ、高温の時のアンモニア酸化によるNOx浄化性能の低下を防ぐことができるため、全温度域に渡って、高いNOx浄化性能を示す。
【0038】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットに含まれる無機粒子は、正の熱膨張係数を有する酸化物の粒子であれば特に限定されないが、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、セリア、マグネシア等の粒子が挙げられる。これらは二種以上併用してもよい。無機粒子は、アルミナ、チタニア及びジルコニアからなる群より選択される一種以上の粒子であることが望ましく、アルミナ、チタニア及びジルコニアのいずれか一種の粒子であることがより望ましい。
【0039】
無機粒子の平均粒子径は、0.1〜5.0μmであることが望ましく、0.3〜4.5μmであることがより望ましく、0.5〜4.0μmであることがさらに望ましい。無機粒子の平均粒子径が0.1〜5.0μmであると、ハニカムユニットの気孔径を調整することが可能となる。
なお、無機粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒径(Dv50)である。
【0040】
本発明のハニカム触媒においては、CHAの平均粒子径が0.1〜2.0μm、無機粒子の平均粒子径が0.1〜5.0μmである組み合わせが望ましく、CHAの平均粒子径が0.3〜1.8μm、無機粒子の平均粒子径が0.3〜4.5μmである組み合わせがより望ましく、CHAの平均粒子径が0.7〜1.7μm、無機粒子の平均粒子径が0.5〜4.0μmである組み合わせがさらに望ましい。
上記の組み合わせの中で、無機粒子の平均粒子径は、CHAの平均粒子径の1/5〜50倍であることが望ましく、1/3〜30倍であることがより望ましく、1/2〜10倍であることがさらに望ましい。
特に、無機粒子の平均粒子径は、CHAの平均粒子径より大きく、CHAの平均粒子径の4倍以下であることが望ましい。
【0041】
例えば、CHAの平均粒子径が0.1μmである場合、無機粒子の平均粒子径が0.1〜0.4μmであることが望ましく、CHAの平均粒子径が1.5μmである場合、無機粒子の平均粒子径が0.5〜3.0μmであることが望ましい。
【0042】
ハニカムユニット中の無機粒子の含有量は、8〜40体積%であることが望ましく、10〜35体積%であることがより望ましく、15〜25体積%であることがさらに望ましい。無機粒子の含有量が8体積%未満であると、CHAが多すぎるため、熱応力によってハニカムユニットが破損しやすくなる。一方、無機粒子の含有量が40体積%を超えると、CHAの含有量が低下して、NOxの浄化性能が低下する。
【0043】
本発明のハニカム触媒においては、CHA及び無機粒子の体積比(CHA:無機粒子)が、50:50〜90:10であり、望ましくは60:40〜80:20であり、より望ましくは70:30〜80:20である。CHA及び無機粒子の体積比が上記の範囲にあると、NOxの浄化性能の低下と熱応力によるハニカムユニットの破損とを防ぐことが可能となる。
【0044】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットは、本発明の効果を損なわない範囲内で、負の熱膨張係数を有する酸化物の粒子を含んでいてもよいし、非酸化物の粒子を含んでいてもよい。
【0045】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットに含まれる無機バインダとしては、特に限定されないが、ハニカム触媒としての強度を保つという観点から、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、ベーマイト等に含まれる固形分が好適なものとして挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0046】
ハニカムユニット中の無機バインダの含有量は、3〜30体積%であることが望ましく、5〜20体積%であることがより望ましい。無機バインダの含有量が3体積%未満であると、ハニカムユニットの強度が低下する。一方、無機バインダの含有量が30体積%を超えると、ハニカムユニット中のゼオライトの含有量が低下して、NOxの浄化性能が低下する。
【0047】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットは、強度を向上させるために、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上をさらに含むことが望ましい。
【0048】
ハニカムユニットに含まれる無機繊維は、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム及びホウ酸アルミニウムからなる群より選択される一種以上からなることが望ましい。ハニカムユニットに含まれる鱗片状物質は、ガラス、白雲母、アルミナ及びシリカからなる群より選択される一種以上からなることが望ましい。ハニカムユニットに含まれるテトラポット状物質は、酸化亜鉛からなることが望ましい。ハニカムユニットに含まれる三次元針状物質は、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム及びベーマイトからなる群より選択される一種以上からなることが望ましい。いずれも耐熱性が高く、SCRシステムにおける触媒担体として使用した時でも、溶損などがなく、補強材としての効果を持続することができるためである。
【0049】
ハニカムユニットに含まれる無機繊維のアスペクト比は、2〜300であることが望ましく、5〜200がより望ましく、10〜100がさらに望ましい。無機繊維のアスペクト比が2未満であると、ハニカムユニットの強度を向上させる効果が小さくなる。一方、無機繊維のアスペクト比が300を超えると、ハニカムユニットを押出成形する際に金型に目詰まり等が発生したり、無機繊維が折れて、ハニカムユニットの強度を向上させる効果が小さくなったりする。
【0050】
鱗片状物質は、平たい物質を意味し、厚さが0.2〜5.0μmであることが望ましく、最大長さが10〜160μmであることが望ましく、厚さに対する最大長さの比が3〜250であることが望ましい。
【0051】
テトラポット状物質は、針状部が三次元に延びている物質を意味し、針状部の平均針状長さが5〜30μmであることが望ましく、針状部の平均径が0.5〜5.0μmであることが望ましい。
【0052】
三次元針状物質は、針状部同士がそれぞれの針状部の中央付近でガラス等の無機化合物により結合されている物質を意味し、針状部の平均針状長さが5〜30μmであることが望ましく、針状部の平均径が0.5〜5.0μmであることが望ましい。
【0053】
また、三次元針状物質は、複数の針状部が三次元に連なっていてもよく、針状部の直径が0.1〜5.0μmであることが望ましく、長さが0.3〜30.0μmであることが望ましく、直径に対する長さの比が1.4〜50.0であることが望ましい。
【0054】
ハニカムユニット中の無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質の含有量は、3〜50体積%であることが望ましく、3〜30体積%であることがより望ましく、5〜20体積%であることがさらに望ましい。上記含有量が3体積%未満であると、ハニカムユニットの強度を向上させる効果が小さくなる。一方、上記含有量が50体積%を超えると、ハニカムユニット中のゼオライトの含有量が低下して、NOxの浄化性能が低下する。
【0055】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットの気孔率は、40〜70%であることが望ましい。ハニカムユニットの気孔率が40%未満であると、ハニカムユニットの隔壁の内部まで排ガスが侵入しにくくなって、ゼオライトがNOxの浄化に有効に利用されなくなる。一方、ハニカムユニットの気孔率が70%を超えると、ハニカムユニットの強度が不十分となる。
【0056】
なお、ハニカムユニットの気孔率は、アルキメデス法にて測定することができる。
【0057】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の開口率は、50〜75%であることが望ましい。ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の開口率が50%未満であると、ゼオライトがNOxの浄化に有効に利用されなくなる。一方、ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の開口率が75%を超えると、ハニカムユニットの強度が不十分となる。
【0058】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の貫通孔の密度は、31〜155個/cmであることが望ましい。ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の貫通孔の密度が31個/cm未満であると、ゼオライトと排ガスが接触しにくくなって、NOxの浄化性能が低下する。一方、ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の貫通孔の密度が155個/cmを超えると、ハニカム触媒の圧力損失が増大する。
【0059】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットの隔壁の厚さは、0.1〜0.4mmであることが望ましく、0.1〜0.3mmであることがより望ましい。ハニカムユニットの隔壁の厚さが0.1mm未満であると、ハニカムユニットの強度が低下する。一方、ハニカムユニットの隔壁の厚さが0.4mmを超えると、ハニカムユニットの隔壁の内部まで排ガスが侵入しにくくなって、ゼオライトがNOxの浄化に有効に利用されなくなる。
【0060】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットに外周コート層が形成されている場合、外周コート層の厚さは、0.1〜2.0mmであることが望ましい。外周コート層の厚さが0.1mm未満であると、ハニカム触媒の強度を向上させる効果が不十分になる。一方、外周コート層の厚さが2.0mmを超えると、ハニカム触媒の単位体積当たりのゼオライトの含有量が低下して、NOxの浄化性能が低下する。
【0061】
本発明のハニカム触媒の形状としては、円柱状に限定されず、角柱状、楕円柱状、長円柱状、丸面取りされている角柱状(例えば、丸面取りされている三角柱状)等が挙げられる。
【0062】
本発明のハニカム触媒において、貫通孔の形状としては、四角柱状に限定されず、三角柱状、六角柱状等が挙げられる。
【0063】
次に、図1に示すハニカム触媒10の製造方法の一例について説明する。
まず、ゼオライトと無機粒子と無機バインダとを含み、必要に応じて、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上をさらに含む原料ペーストを用いて押出成形し、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されている円柱状のハニカム成形体を作製する。
【0064】
原料ペーストに含まれる無機バインダは、特に限定されないが、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、ベーマイト等として添加されており、二種以上併用してもよい。
【0065】
また、原料ペーストには、有機バインダ、分散媒、成形助剤等を、必要に応じて適宜添加してもよい。
【0066】
有機バインダとしては、特に限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。なお、有機バインダの添加量は、ゼオライト、無機粒子、無機バインダ、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質の総質量に対して、1〜10%であることが望ましい。
【0067】
分散媒としては、特に限定されないが、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0068】
成形助剤としては、特に限定されないが、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0069】
さらに、原料ペーストには、必要に応じて造孔材を添加してもよい。
造孔材としては、特に限定されないが、ポリスチレン粒子、アクリル粒子、澱粉等が挙げられ、二種以上併用してもよい。これらの中では、ポリスチレン粒子が望ましい。
【0070】
CHA及び造孔材の粒子径を制御することにより、隔壁の気孔径分布を所定の範囲に制御することができる。
例えば、CHAの平均粒子径が0.1μmである場合、平均粒子径が0.1〜3μmである造孔材をCHA体積添加量に対して10〜30%添加することにより、隔壁の平均気孔径を0.05〜0.2μmとすることができる。なお、CHAの平均粒子径が1.2μmである場合には、造孔材を添加しなくてもよい。
【0071】
また、造孔材を添加しない場合であっても、CHA及び無機粒子の粒子径を制御することにより、隔壁の気孔径分布を所定の範囲に制御することができる。
【0072】
原料ペーストを調製する際には、混合混練することが望ましく、ミキサー、アトライタ等を用いて混合してもよく、ニーダー等を用いて混練してもよい。
【0073】
次に、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等の乾燥機を用いて、ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製する。
【0074】
さらに、ハニカム乾燥体を脱脂してハニカム脱脂体を作製する。脱脂条件は、ハニカム乾燥体に含まれる有機物の種類及び量によって適宜選択することができるが、200〜500℃で2〜6時間であることが望ましい。
【0075】
次に、ハニカム脱脂体を焼成することにより、円柱状のハニカムユニット11を作製する。焼成温度は、600〜1000℃であることが望ましく、600〜800℃であることがより望ましい。焼成温度が600℃未満であると、焼結が進行せず、ハニカムユニット11の強度が低くなる。一方、焼成温度が1000℃を超えると、焼結が進行しすぎて、ゼオライトの反応サイトが減少する。
【0076】
次に、円柱状のハニカムユニット11の両端面を除く外周面に外周コート層用ペーストを塗布する。
【0077】
外周コート層用ペーストとしては、特に限定されないが、無機バインダ及び無機粒子の混合物、無機バインダ及び無機繊維の混合物、無機バインダ、無機粒子及び無機繊維の混合物等が挙げられる。
【0078】
外周コート層用ペーストに含まれる無機バインダは、特に限定されないが、シリカゾル、アルミナゾル等として添加されており、二種以上併用してもよい。中でも、シリカゾルとして添加されていることが望ましい。
【0079】
外周コート層用ペーストに含まれる無機粒子としては、特に限定されないが、ゼオライト、ユークリプタイト、アルミナ、シリカ等の酸化物粒子、炭化ケイ素等の炭化物粒子、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物粒子等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、ハニカムユニットとの熱膨張係数が近いユークリプタイトの粒子が望ましい。
【0080】
外周コート層用ペーストに含まれる無機繊維としては、特に限定されないが、シリカアルミナ繊維、ムライト繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、アルミナ繊維が望ましい。
【0081】
外周コート層用ペーストは、有機バインダをさらに含んでいてもよい。
【0082】
外周コート層用ペーストに含まれる有機バインダとしては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0083】
外周コート層用ペーストは、酸化物系セラミックスの微小中空球体であるバルーン、造孔材等をさらに含んでいてもよい。
【0084】
外周コート層用ペーストに含まれるバルーンとしては、特に限定されないが、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン、ムライトバルーン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、アルミナバルーンが望ましい。
【0085】
外周コート層用ペーストに含まれる造孔材としては、特に限定されないが、球状アクリル粒子、グラファイト等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0086】
次に、外周コート層用ペーストが塗布されたハニカムユニット11を乾燥固化し、円柱状のハニカム触媒10を作製する。このとき、外周コート層用ペーストに有機バインダが含まれている場合は、脱脂することが望ましい。脱脂条件は、有機物の種類及び量によって適宜選択することができるが、500℃で1時間であることが望ましい。
【0087】
なお、ハニカムユニット11又はハニカム触媒10を銅イオンを含む水溶液中に浸漬することにより、ゼオライトをイオン交換してもよい。また、銅イオンによりイオン交換されているゼオライトを含む原料ペーストを用いてもよい。
【0088】
図2に、本発明の排ガス浄化装置の一例を示す。図2に示す排ガス浄化装置100は、ハニカム触媒10の外周部に保持シール材20を配置した状態で、金属容器(シェル)30にキャニングすることにより作製することができる。また、排ガス浄化装置100には、排ガス(図2中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)が流れる方向に対して、ハニカム触媒10の上流側の配管(不図示)内に、アンモニア又は分解してアンモニアを発生させる化合物を噴射する噴射ノズル等の噴射手段(不図示)が設けられている。これにより、配管を流れる排ガス中にアンモニアが添加されるため、ハニカムユニット11に含まれるゼオライトにより、排ガス中に含まれるNOxが還元される。
【0089】
分解してアンモニアを発生させる化合物としては、配管内で加水分解されて、アンモニアを発生させることが可能であれば、特に限定されないが、貯蔵安定性に優れるため、尿素水が望ましい。
【0090】
尿素水は、配管内で排ガスにより加熱されて、加水分解し、アンモニアが発生する。
【0091】
図3に、本発明のハニカム触媒の別の一例を示す。図3に示すハニカム触媒10´は、複数の貫通孔11aが隔壁11bを隔てて長手方向に並設されているハニカムユニット11´(図4参照)が接着層13を介して複数個接着されている以外は、ハニカム触媒10と同一の構成である。
【0092】
ハニカムユニット11´の長手方向に垂直な断面の断面積は、10〜200cmであることが望ましい。上記断面積が10cm未満であると、ハニカム触媒10´の圧力損失が増大する。一方、上記断面積が200cmを超えると、ハニカムユニット11´同士を接着することが困難である。
【0093】
ハニカムユニット11´は、長手方向に垂直な断面の断面積以外は、ハニカムユニット11と同一の構成である。
【0094】
接着層13の厚さは、0.1〜3.0mmであることが望ましい。接着層13の厚さが0.1mm未満であると、ハニカムユニット11´の接着強度が不十分になる。一方、接着層13の厚さが3.0mmを超えると、ハニカム触媒10´の圧力損失が増大したり、接着層内でのクラックが発生したりする。
【0095】
次に、図3に示すハニカム触媒10´の製造方法の一例について説明する。
まず、ハニカム触媒10を構成するハニカムユニット11と同様にして、扇柱状のハニカムユニット11´を作製する。次に、ハニカムユニット11´の円弧側を除く外周面に接着層用ペーストを塗布して、ハニカムユニット11´を接着させ、乾燥固化することにより、ハニカムユニット11´の集合体を作製する。
【0096】
接着層用ペーストとしては、特に限定されないが、無機バインダ及び無機粒子の混合物、無機バインダ及び無機繊維の混合物、無機バインダ、無機粒子及び無機繊維の混合物等が挙げられる。
【0097】
接着層用ペーストに含まれる無機バインダは、特に限定されないが、シリカゾル、アルミナゾル等として添加されており、二種以上併用してもよい。中でも、シリカゾルとして添加されていることが望ましい。
【0098】
接着層用ペーストに含まれる無機粒子としては、特に限定されないが、ゼオライト、ユークリプタイト、アルミナ、シリカ等の酸化物粒子、炭化ケイ素等の炭化物粒子、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物粒子等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、ハニカムユニットとの熱膨張係数が近いユークリプタイトの粒子が望ましい。
【0099】
接着層用ペーストに含まれる無機繊維としては、特に限定されないが、シリカアルミナ繊維、ムライト繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、アルミナ繊維が望ましい。
【0100】
また、接着層用ペーストは、有機バインダを含んでいてもよい。
【0101】
接着層用ペーストに含まれる有機バインダとしては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0102】
接着層用ペーストは、酸化物系セラミックスの微小中空球体であるバルーン、造孔材等をさらに含んでいてもよい。
【0103】
接着層用ペーストに含まれるバルーンとしては、特に限定されないが、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン、ムライトバルーン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、アルミナバルーンが望ましい。
【0104】
接着層用ペーストに含まれる造孔材としては、特に限定されないが、球状アクリル粒子、グラファイト等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0105】
次に、真円度を上げるために必要に応じて、ハニカムユニット11´の集合体に切削加工および研磨を施し、円柱状のハニカムユニット11´の集合体を作製する。
【0106】
次に、円柱状のハニカムユニット11´の集合体の両端面を除く外周面に外周コート層用ペーストを塗布する。
【0107】
外周コート層用ペーストは、接着層用ペーストと同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0108】
次に、外周コート層用ペーストが塗布された円柱状のハニカムユニット11´の集合体を乾燥固化することにより、円柱状のハニカム触媒10´を作製する。このとき、接着層用ペースト及び/又は外周コート層用ペーストに有機バインダが含まれている場合は、脱脂することが望ましい。脱脂条件は、有機物の種類及び量によって適宜選択することができるが、500℃で1時間であることが望ましい。
【0109】
ハニカム触媒10´は、4個のハニカムユニット11´が接着層13を介して接着されることにより構成されているが、ハニカム触媒を構成するハニカムユニットの個数は特に限定されない。例えば、16個の四角柱状のハニカムユニットが接着層を介して接着されることにより円柱状のハニカム触媒が構成されていてもよい。
【0110】
なお、ハニカム触媒10及び10´は、外周コート層12が形成されていなくてもよい。
【0111】
上述のとおり、本発明のハニカム触媒においては、ゼオライトとしてCHAを用いてハニカムユニットを形成することによって、NOxの浄化性能を向上させることができる。ただし、CHAの含有量が多すぎると、熱応力によってハニカムユニットが破損しやすくなる。そこで、正の熱膨張係数を有する酸化物をハニカムユニットに含有させることによって、ハニカムユニット全体としての熱膨張係数を緩和させることができる。その結果、本発明のハニカム触媒は、NOxの浄化性能に優れ、かつ、排ガス浄化装置の使用中におけるハニカムユニットの破損を抑制することが可能となる。
【0112】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットの熱膨張係数は、ハニカムユニットの破損を抑制する観点から、−4.5×10−6〜4.5×10−6/Kであることが望ましく、−3.0×10−6〜3.0×10−6/Kであることがより望ましい。
【実施例】
【0113】
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0114】
[実施例1]
ゼオライトとして平均粒子径が0.1μmのCHAを29質量%、無機粒子として平均粒子径が3.0μmのアルミナを6質量%、無機バインダとしてベーマイトを5質量%、平均繊維径が6.5μm、平均繊維長が100μmのガラス繊維を8質量%、造孔材として平均粒子径が0.8μmのポリスチレン粒子を6質量%、メチルセルロースを5質量%、成形助剤として脂肪酸石鹸を4質量%及びイオン交換水を37質量%混合混練して、原料ペースト1を作製した。なお、ゼオライトとしては、比重2.02、組成比Si/Al:32、比表面積600m/g、銅イオンでイオン交換されているCHAを用いた。
実施例1において、ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:アルミナ)は、90:10である。
【0115】
次に、押出成形機を用いて、原料ペースト1を押出成形して、正四角柱状のハニカム成形体を作製した。そして、減圧マイクロ波乾燥機を用いて、ハニカム成形体を出力4.5kW、減圧6.7kPaで7分間乾燥させた後、700℃で2時間脱脂焼成して、ハニカム焼成体(ハニカムユニット11´)を作製した。ハニカムユニット11´は、一辺が38mm、長さが150mmの正四角柱状であり、貫通孔11aの密度が124個/cm、隔壁11bの厚さが0.20mmであった。
また、ハニカムユニット11´は、ハニカムユニット11´の見掛けの体積当たり、ゼオライトを217g/L含有しており、銅イオンを7.1g/L含有している。
【0116】
[実施例2〜5]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:アルミナ)をそれぞれ80:20、70:30、60:40及び50:50に変更した以外は、実施例1と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。
【0117】
[比較例1]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:アルミナ)を100:0に変更した以外は、実施例1と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。つまり、比較例1では、無機粒子(アルミナ)を用いなかった。
【0118】
[比較例2及び3]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:アルミナ)をそれぞれ40:60及び20:80に変更した以外は、実施例1と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。
【0119】
[比較例4]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:アルミナ)を0:100に変更した以外は、実施例1と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。つまり、比較例4では、ゼオライト(CHA)を用いなかった。
【0120】
[実施例6]
ゼオライトとして平均粒子径が0.1μmのCHAを26質量%、無機粒子として平均粒子径が0.2μmのチタニアを13質量%、無機バインダとしてベーマイトを7質量%、平均繊維径が6.5μm、平均繊維長が100μmのガラス繊維を7質量%、造孔材として平均粒子径が0.8μmのポリスチレン粒子を5質量%、メチルセルロースを5質量%、成形助剤として脂肪酸石鹸を4質量%及びイオン交換水を33質量%混合混練して、原料ペースト1を作製した。なお、ゼオライトとしては、比重2.02、組成比Si/Al:32、比表面積600m/gであり、銅イオンでイオン交換されているCHAを用いた。
ゼオライト及び無機粒子の体積比(ゼオライト:チタニア)は、80:20である。
上記の点以外は、実施例1と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。
【0121】
[実施例7及び8]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:チタニア)をそれぞれ70:30及び60:40に変更した以外は、実施例6と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。
【0122】
[比較例5]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:チタニア)を100:0に変更した以外は、実施例6と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。つまり、比較例5では、無機粒子(チタニア)を用いなかった。
【0123】
[比較例6及び7]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:チタニア)をそれぞれ40:60及び20:80に変更した以外は、実施例6と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。
【0124】
[比較例8]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:チタニア)を0:100に変更した以外は、実施例6と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。つまり、比較例8では、ゼオライト(CHA)を用いなかった。
【0125】
[実施例9]
ゼオライトとして平均粒子径が0.1μmのCHAを31質量%、無機粒子として平均粒子径が0.4μmのジルコニアを10質量%、無機バインダとしてベーマイトを5質量%、平均繊維径が6.5μm、平均繊維長が100μmのガラス繊維を8質量%、造孔材として平均粒子径が0.8μmのポリスチレン粒子を6質量%、メチルセルロースを6質量%、成形助剤として脂肪酸石鹸を4質量%及びイオン交換水を30質量%混合混練して、原料ペースト1を作製した。なお、ゼオライトとしては、比重2.02、組成比Si/Al:32、比表面積600m/gであり、銅イオンでイオン交換されているCHAを用いた。
ゼオライト及び無機粒子の体積比(ゼオライト:ジルコニア)は、90:10である。
上記の点以外は、実施例1と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。
【0126】
[実施例10及び11]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:ジルコニア)をそれぞれ80:20及び70:30に変更した以外は、実施例9と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。
【0127】
[比較例9]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:ジルコニア)を100:0に変更した以外は、実施例9と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。つまり、比較例9では、無機粒子(ジルコニア)を用いなかった。
【0128】
[比較例10]
ゼオライト及び無機粒子の体積比(CHA:ジルコニア)を0:100に変更した以外は、実施例9と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。つまり、比較例10では、ゼオライト(CHA)を用いなかった。
【0129】
[ハニカムユニットの熱膨張係数の測定]
以下の方法により、実施例1〜11及び比較例1〜10で作製したハニカムユニットの熱膨張係数(CTE)を測定した。
【0130】
まず、各ハニカムユニットから、ダイヤモンドカッターを用いて、5mm×5mm×25mmの測定サンプルを切り出した。その後、200℃で2時間乾燥させて重量を測定し、水蒸気雰囲気で測定サンプルの吸水率が10%になるまで放置した。
【0131】
次に、測定サンプルと、アルミナ製の基準サンプル(5mm×5mm×25mm)とを、両サンプルの長手方向が水平方向となるようにして、密閉式容器内に並べて設置した。なお、これらのサンプルには、上面(すなわち5mm×25mmの上部領域)の中央部分と接するように、それぞれの検出棒が設置されている。
【0132】
次に、アルゴン雰囲気下で、測定サンプルおよび基準サンプルを室温から、50℃で10時間保持後、10℃/分の昇温速度で700℃まで昇温し、室温まで10℃/分で冷却させた。なお、測定は、He流量100ml/分の雰囲気下で行った。この際、測定サンプル及び基準サンプルが熱膨張、また、測定サンプルが吸水変位するが、この変化量は、検出棒により検出される。従って、基準サンプルと測定サンプルの変化量の差から、測定サンプル(ハニカムユニット)の熱膨張係数が求められる。
【0133】
測定には、熱膨張率測定装置(BRUKER社製、NETZSCH DIL402C)を使用した。
【0134】
無機粒子の含有量とハニカムユニットの熱膨張係数との関係を図5に示す。
図5では、ゼオライト及び無機粒子の合計量に対する無機粒子の含有量[vol%]を横軸に示している。
【0135】
図5より、無機粒子の含有量が10〜50体積%、つまり、ゼオライト及び無機粒子の体積比が50:50〜90:10であると、ハニカムユニットの熱膨張係数を−4.5×10−6〜2.0×10−6/Kとすることができることが分かる。
【0136】
[NOxの浄化率の測定]
実施例1〜4、6〜8、10及び11、並びに、比較例1、3、5、6及び9で作製したハニカムユニットから、ダイヤモンドカッターを用いて、直径:1インチ、長さ:3インチの円柱状試験片を切り出した。これらの試験片に、200℃又は525℃の模擬ガスを空間速度(SV)を40000/hr(200℃)、100000/hr(525℃)で流しながら、触媒評価装置(堀場製作所社製、SIGU−2000/MEXA−6000FT)を用いて、試料から流出するNOxの流出量を測定し、式
(NOxの流入量−NOxの流出量)/(NOxの流入量)×100
で表されるNOxの浄化率[%]を算出した。算出結果を表1〜表3に示す。なお、模擬ガスの構成成分は、一酸化窒素260ppm、二酸化窒素90ppm、アンモニア350ppm(200℃)、一酸化窒素315ppm、二酸化窒素35ppm、アンモニア385ppm(525℃)、酸素10%、二酸化炭素5%、水5%、窒素(balance)である。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
表1〜表3より、ゼオライト及び無機粒子の体積比が50:50〜100:0であると、200℃でのNOxの浄化率および525℃でのNOxの浄化率が80%程度以上と高い値であることが分かる。一方、ゼオライト及び無機粒子の合計量に対して無機粒子の割合が50体積%を超えると、NOxの浄化率が低くなることが分かる。
なお、ゼオライト及び無機粒子の体積比が100:0である場合には、NOxの浄化率は高いものの、図5に示したように、ハニカムユニットの熱膨張係数が−5.0×10−6/Kと負の膨張が大きいことが分かる。
【0141】
以上より、本発明のハニカム触媒は、NOxの浄化性能に優れ、排ガス浄化装置の使用中におけるハニカムユニットの破損を抑制することが可能であると考えられる。
【0142】
本発明のハニカム触媒は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムユニットを備えており、ハニカムユニットがゼオライトと無機粒子と無機バインダとを含み、ゼオライトが、CHA構造を有するアルミノケイ酸塩で、その組成比Si/Alが15〜50であり、無機粒子が、正の熱膨張係数を有する酸化物であり、ゼオライト及び無機粒子の体積比(ゼオライト:無機粒子)が、50:50〜90:10であることを必須の構成要件としている。本発明の排ガス浄化装置は、本発明のハニカム触媒を備えることを必須の構成要件としている。
係る必須の構成要件に、本発明の詳細な説明で詳述した種々の構成(例えば、ゼオライトの構成、無機粒子の構成、無機バインダの構成、ハニカムユニットの構成、ハニカム触媒の製造条件、排ガス浄化装置の構成等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0143】
10、10´ ハニカム触媒
11、11´ ハニカムユニット
11a 貫通孔
11b 隔壁
12 外周コート層
13 接着層
20 保持シール材
30 金属容器
100 排ガス浄化装置
G 排ガス
図1
図2
図3
図4
図5