(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハニカムユニットは、前記第1のゼオライトを前記ハニカムユニットの見掛けの体積当たり150〜250g/L含有する請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム触媒。
前記ハニカムユニットは、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上をさらに含む請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム触媒。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0025】
本発明のハニカム触媒は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムユニットを備えたハニカム触媒であって、上記ハニカムユニットは、第1のゼオライトと第2のゼオライトと無機バインダとを含み、上記第1のゼオライトは、CHA構造を有するアルミノケイ酸塩で、その組成比Si/Alが15〜50であり、上記第2のゼオライトは、シリコアルミノリン酸塩で、その組成比Si/(Si+Al+P)が0.1〜0.25であり、上記第1のゼオライト及び上記第2のゼオライトの体積比(第1のゼオライト:第2のゼオライト)が、75:25〜90:10であることを特徴とする。
【0026】
図1に、本発明のハニカム触媒の一例を示す。
図1に示すハニカム触媒10は、複数の貫通孔11aが隔壁11bを隔てて長手方向に並設された単一のハニカムユニット11を備えており、ハニカムユニット11の外周面には外周コート層12が形成されている。また、ハニカムユニット11は、第1のゼオライトと第2のゼオライトと無機バインダとを含んでいる。
【0027】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットに含まれる第1のゼオライトは、CHA構造を有するアルミノケイ酸塩(CHA)である。なお、CHA構造とは、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association:IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものを示している。これは、天然に産出するチャバサイト(chabazite)と同等の結晶構造を有するゼオライトである。
【0028】
CHAの組成比Si/Alは、15〜50であり、20〜40であることが望ましく、25〜35であることがより望ましい。当該組成比が15未満であると、Alが多くなり、熱劣化しやすくなる。一方、当該組成比が50を超えると、ゼオライトの酸点が少なくなり、NOxの浄化性能が低下することがある。
【0029】
CHAの平均粒子径は、0.1〜2.0μmであることが望ましく、0.3〜1.8μmであることがより望ましく、0.7〜1.7μmであることがさらに望ましい。CHAの平均粒子径が0.1〜2.0μmであると、ハニカムユニットの気孔径を大きくすることができ、吸水時の毛細管応力を低減し、さらにガス拡散によるNOx浄化性能の向上が可能となる。
なお、CHAの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した一次粒子の平均粒子径である。
【0030】
CHAの比表面積は、結晶構造の観点から、500〜650m
2/gであることが望ましく、550〜630m
2/gであることがより望ましい。
【0031】
ハニカムユニット中のCHAの含有量は、40〜75体積%であることが望ましく、45〜70体積%であることがより望ましく、50〜65体積%であることがさらに望ましい。CHAの含有量が40体積%未満であると、NOxの浄化性能が低下する。一方、CHAの含有量が75体積%を超えると、吸脱水又は熱応力によってハニカムユニットが破損しやすくなる。
【0032】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットに含まれる第2のゼオライトは、シリコアルミノリン酸塩(SAPO)である。なお、ゼオライトは、狭義にはアルミノケイ酸塩のことであるが、広義にはシリコアルミノリン酸塩(SAPO)も含んでおり、本発明においては広義の方を採用している。
【0033】
SAPOの組成比Si/(Si+Al+P)は、0.1〜0.25であり、0.1〜0.23であることが望ましく、0.12〜0.20であることがより望ましい。当該組成比が0.1未満であると、銅イオン交換サイトが少なく、NOx浄化性能が低下する。一方、当該組成比が0.25を超えると、構造欠陥が増加し、NOx浄化性能が低下する。
【0034】
SAPOとしては、特に限定されないが、SAPO−5、SAPO−11、SAPO−34等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、SAPO−34が望ましい。
【0035】
SAPOの平均粒子径は、CHAの平均粒子径の1/5〜50倍であることが望ましく、1/3〜30倍であることがより望ましい。ハニカムユニットの気孔径を調整することが可能となるためである。
なお、SAPOの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した一次粒子の平均粒子径である。
【0036】
例えば、CHAの平均粒子径が0.1μmである場合、SAPOの平均粒子径が0.1〜3.0μmであることが望ましく、CHAの平均粒子径が1.5μmである場合、SAPOの平均粒子径が0.5〜5.0μmであることが望ましい。
【0037】
SAPOの比表面積は、結晶構造の観点から、200〜500m
2/gであることが望ましく、220〜450m
2/gであることがより望ましい。
【0038】
ハニカムユニット中のSAPOの含有量は、5〜25体積%であることが望ましく、8〜20体積%であることがより望ましい。SAPOの含有量が5体積%未満であると、CHAが多すぎるため、吸脱水又は熱応力によってハニカムユニットが破損しやすくなる。一方、SAPOの含有量が25体積%を超えると、CHAの含有量が低下して、NOxの浄化性能が低下する。また、吸脱水によってハニカムユニットが破損しやすくなる。
【0039】
本発明のハニカム触媒においては、第1のゼオライト及び第2のゼオライトの体積比(CHA:SAPO)が、75:25〜90:10であり、望ましくは78:22〜88:12であり、より望ましくは80:20〜85:15である。CHA及びSAPOの体積比を75:25〜90:10とすることにより、NOxの浄化性能に優れ、排ガス浄化装置の使用中におけるハニカムユニットの破損(吸水/脱水及び熱応力による破損)を抑制することが可能なハニカム触媒とすることができる。
【0040】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットは、本発明の効果を損なわない範囲内で、CHA及びSAPO以外のゼオライトを含んでいてもよい。
【0041】
本発明のハニカム触媒においては、第1のゼオライト(CHA)及び/又は第2のゼオライト(SAPO)が銅イオンでイオン交換されていることが望ましく、少なくとも第1のゼオライトが銅イオンでイオン交換されていることがより望ましく、第1のゼオライト及び第2のゼオライトが銅イオンでイオン交換されていることがさらに望ましい。この場合、ハニカムユニットは、銅イオンをハニカムユニットの見掛けの体積当たり5.5〜7.5g/L含有することが望ましく、6.0〜7.5g/L含有することがより望ましい。排ガス温度が低温の時のNOx浄化性能を高くしつつ、高温の時のアンモニア酸化によるNOx浄化性能の低下を防ぐことができるため、全温度域に渡って、高いNOx浄化性能を示す。
【0042】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットは、第1のゼオライト(CHA)をハニカムユニットの見掛けの体積当たり150〜250g/L含有することが望ましく、180〜230g/L含有することがより望ましい。排ガス温度が低温の時のNOx浄化性能を高くしつつ、高温の時のアンモニア酸化によるNOx浄化性能の低下を防ぐことができるため、全温度域に渡って、高いNOx浄化性能を示す。
【0043】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットに含まれる無機バインダとしては、特に限定されないが、ハニカム触媒としての強度を保つという観点から、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、ベーマイト等に含まれる固形分が好適なものとして挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0044】
ハニカムユニット中の無機バインダの含有量は、3〜30体積%であることが望ましく、5〜20体積%であることがより望ましい。無機バインダの含有量が3体積%未満であると、ハニカムユニットの強度が低下する。一方、無機バインダの含有量が30体積%を超えると、ハニカムユニット中のゼオライトの含有量が低下して、NOxの浄化性能が低下する。
【0045】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットは、強度を向上させるために、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上をさらに含むことが望ましい。
【0046】
ハニカムユニットに含まれる無機繊維は、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム及びホウ酸アルミニウムからなる群より選択される一種以上からなることが望ましい。ハニカムユニットに含まれる鱗片状物質は、ガラス、白雲母、アルミナ及びシリカからなる群より選択される一種以上からなることが望ましい。ハニカムユニットに含まれるテトラポット状物質は、酸化亜鉛からなることが望ましい。ハニカムユニットに含まれる三次元針状物質は、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム及びベーマイトからなる群より選択される一種以上からなることが望ましい。いずれも耐熱性が高く、SCRシステムにおける触媒担体として使用した時でも、溶損などがなく、補強材としての効果を持続することができるためである。
【0047】
ハニカムユニットに含まれる無機繊維のアスペクト比は、2〜300であることが望ましく、5〜200がより望ましく、10〜100がさらに望ましい。無機繊維のアスペクト比が2未満であると、ハニカムユニットの強度を向上させる効果が小さくなる。一方、無機繊維のアスペクト比が300を超えると、ハニカムユニットを押出成形する際に金型に目詰まり等が発生したり、無機繊維が折れて、ハニカムユニットの強度を向上させる効果が小さくなったりする。
【0048】
鱗片状物質は、平たい物質を意味し、厚さが0.2〜5.0μmであることが望ましく、最大長さが10〜160μmであることが望ましく、厚さに対する最大長さの比が3〜250であることが望ましい。
【0049】
テトラポット状物質は、針状部が三次元に延びている物質を意味し、針状部の平均針状長さが5〜30μmであることが望ましく、針状部の平均径が0.5〜5.0μmであることが望ましい。
【0050】
三次元針状物質は、針状部同士がそれぞれの針状部の中央付近でガラス等の無機化合物により結合されている物質を意味し、針状部の平均針状長さが5〜30μmであることが望ましく、針状部の平均径が0.5〜5.0μmであることが望ましい。
【0051】
また、三次元針状物質は、複数の針状部が三次元に連なっていてもよく、針状部の直径が0.1〜5.0μmであることが望ましく、長さが0.3〜30.0μmであることが望ましく、直径に対する長さの比が1.4〜50.0であることが望ましい。
【0052】
ハニカムユニット中の無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質の含有量は、3〜50体積%であることが望ましく、3〜30体積%であることがより望ましく、5〜20体積%であることがさらに望ましい。上記含有量が3体積%未満であると、ハニカムユニットの強度を向上させる効果が小さくなる。一方、上記含有量が50体積%を超えると、ハニカムユニット中のゼオライトの含有量が低下して、NOxの浄化性能が低下する。
【0053】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットは、ハニカムユニットの気孔径を調整するために、無機粒子をさらに含んでいてもよい。
【0054】
ハニカムユニットに含まれる無機粒子としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、セリア、マグネシア等の粒子が挙げられる。これらは二種以上併用してもよい。無機粒子は、アルミナ、チタニア及びジルコニアからなる群より選択される一種以上の粒子であることが望ましく、アルミナ、チタニア及びジルコニアのいずれか一種の粒子であることがより望ましい。
【0055】
無機粒子の平均粒子径は、0.1〜5.0μmであることが望ましく、0.3〜4.5μmであることがより望ましく、0.5〜4.0μmであることがさらに望ましい。無機粒子の平均粒子径が0.1〜5.0μmであると、ハニカムユニットの気孔径を調整することが可能となる。
なお、無機粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒径(Dv50)である。
【0056】
ハニカムユニット中の無機粒子の含有量は、5〜20体積%であることが望ましく、5〜15体積%であることがより望ましい。
【0057】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットの気孔率は、40〜70%であることが望ましい。ハニカムユニットの気孔率が40%未満であると、ハニカムユニットの隔壁の内部まで排ガスが侵入しにくくなって、ゼオライトがNOxの浄化に有効に利用されなくなる。一方、ハニカムユニットの気孔率が70%を超えると、ハニカムユニットの強度が不十分となる。
【0058】
なお、ハニカムユニットの気孔率は、アルキメデス法にて測定することができる。
【0059】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の開口率は、50〜75%であることが望ましい。ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の開口率が50%未満であると、ゼオライトがNOxの浄化に有効に利用されなくなる。一方、ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の開口率が75%を超えると、ハニカムユニットの強度が不十分となる。
【0060】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の貫通孔の密度は、31〜155個/cm
2であることが望ましい。ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の貫通孔の密度が31個/cm
2未満であると、ゼオライトと排ガスが接触しにくくなって、NOxの浄化性能が低下する。一方、ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面の貫通孔の密度が155個/cm
2を超えると、ハニカム触媒の圧力損失が増大する。
【0061】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットの隔壁の厚さは、0.1〜0.4mmであることが望ましく、0.1〜0.3mmであることがより望ましい。ハニカムユニットの隔壁の厚さが0.1mm未満であると、ハニカムユニットの強度が低下する。一方、ハニカムユニットの隔壁の厚さが0.4mmを超えると、ハニカムユニットの隔壁の内部まで排ガスが侵入しにくくなって、ゼオライトがNOxの浄化に有効に利用されなくなる。
【0062】
本発明のハニカム触媒において、ハニカムユニットに外周コート層が形成されている場合、外周コート層の厚さは、0.1〜2.0mmであることが望ましい。外周コート層の厚さが0.1mm未満であると、ハニカム触媒の強度を向上させる効果が不十分になる。一方、外周コート層の厚さが2.0mmを超えると、ハニカム触媒の単位体積当たりのゼオライトの含有量が低下して、NOxの浄化性能が低下する。
【0063】
本発明のハニカム触媒の形状としては、円柱状に限定されず、角柱状、楕円柱状、長円柱状、丸面取りされている角柱状(例えば、丸面取りされている三角柱状)等が挙げられる。
【0064】
本発明のハニカム触媒において、貫通孔の形状としては、四角柱状に限定されず、三角柱状、六角柱状等が挙げられる。
【0065】
次に、
図1に示すハニカム触媒10の製造方法の一例について説明する。
まず、第1のゼオライトと第2のゼオライトと無機バインダとを含み、必要に応じて、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上をさらに含む原料ペーストを用いて押出成形し、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されている円柱状のハニカム成形体を作製する。
【0066】
原料ペーストに含まれる無機バインダは、特に限定されないが、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、ベーマイト等として添加されており、二種以上併用してもよい。
【0067】
また、原料ペーストには、有機バインダ、分散媒、成形助剤等を、必要に応じて適宜添加してもよい。
【0068】
有機バインダとしては、特に限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。なお、有機バインダの添加量は、ゼオライト、無機粒子、無機バインダ、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質の総質量に対して、1〜10%であることが望ましい。
【0069】
分散媒としては、特に限定されないが、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0070】
成形助剤としては、特に限定されないが、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0071】
さらに、原料ペーストには、必要に応じて造孔材を添加してもよい。
造孔材としては、特に限定されないが、ポリスチレン粒子、アクリル粒子、澱粉等が挙げられ、二種以上併用してもよい。これらの中では、ポリスチレン粒子が望ましい。
【0072】
CHA及び造孔材の粒子径を制御することにより、隔壁の気孔径分布を所定の範囲に制御することができる。
例えば、CHAの平均粒子径が0.1μmである場合、平均粒子径が0.1〜3μmである造孔材をCHA体積添加量に対して10〜30%添加することにより、隔壁の平均気孔径を0.05〜0.2μmとすることができる。なお、CHAの平均粒子径が1.2μmである場合には、造孔材を添加しなくてもよい。
【0073】
また、造孔材を添加しない場合であっても、CHA及びSAPOの粒子径を制御することにより、隔壁の気孔径分布を所定の範囲に制御することができる。
【0074】
原料ペーストを調製する際には、混合混練することが望ましく、ミキサー、アトライタ等を用いて混合してもよく、ニーダー等を用いて混練してもよい。
【0075】
次に、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等の乾燥機を用いて、ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製する。
【0076】
さらに、ハニカム乾燥体を脱脂してハニカム脱脂体を作製する。脱脂条件は、ハニカム乾燥体に含まれる有機物の種類及び量によって適宜選択することができるが、200〜500℃で2〜6時間であることが望ましい。
【0077】
次に、ハニカム脱脂体を焼成することにより、円柱状のハニカムユニット11を作製する。焼成温度は、600〜1000℃であることが望ましく、600〜800℃であることがより望ましい。焼成温度が600℃未満であると、焼結が進行せず、ハニカムユニット11の強度が低くなる。一方、焼成温度が1000℃を超えると、焼結が進行しすぎて、ゼオライトの反応サイトが減少する。
【0078】
次に、円柱状のハニカムユニット11の両端面を除く外周面に外周コート層用ペーストを塗布する。
【0079】
外周コート層用ペーストとしては、特に限定されないが、無機バインダ及び無機粒子の混合物、無機バインダ及び無機繊維の混合物、無機バインダ、無機粒子及び無機繊維の混合物等が挙げられる。
【0080】
外周コート層用ペーストに含まれる無機バインダは、特に限定されないが、シリカゾル、アルミナゾル等として添加されており、二種以上併用してもよい。中でも、シリカゾルとして添加されていることが望ましい。
【0081】
外周コート層用ペーストに含まれる無機粒子としては、特に限定されないが、ゼオライト、ユークリプタイト、アルミナ、シリカ等の酸化物粒子、炭化ケイ素等の炭化物粒子、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物粒子等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、ハニカムユニットとの熱膨張係数が近いユークリプタイトの粒子が望ましい。
【0082】
外周コート層用ペーストに含まれる無機繊維としては、特に限定されないが、シリカアルミナ繊維、ムライト繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、アルミナ繊維が望ましい。
【0083】
外周コート層用ペーストは、有機バインダをさらに含んでいてもよい。
【0084】
外周コート層用ペーストに含まれる有機バインダとしては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0085】
外周コート層用ペーストは、酸化物系セラミックスの微小中空球体であるバルーン、造孔材等をさらに含んでいてもよい。
【0086】
外周コート層用ペーストに含まれるバルーンとしては、特に限定されないが、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン、ムライトバルーン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、アルミナバルーンが望ましい。
【0087】
外周コート層用ペーストに含まれる造孔材としては、特に限定されないが、球状アクリル粒子、グラファイト等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0088】
次に、外周コート層用ペーストが塗布されたハニカムユニット11を乾燥固化し、円柱状のハニカム触媒10を作製する。このとき、外周コート層用ペーストに有機バインダが含まれている場合は、脱脂することが望ましい。脱脂条件は、有機物の種類及び量によって適宜選択することができるが、500℃で1時間であることが望ましい。
【0089】
なお、ハニカムユニット11又はハニカム触媒10を銅イオンを含む水溶液中に浸漬することにより、ゼオライトをイオン交換してもよい。また、銅イオンによりイオン交換されているゼオライトを含む原料ペーストを用いてもよい。
【0090】
図2に、本発明の排ガス浄化装置の一例を示す。
図2に示す排ガス浄化装置100は、ハニカム触媒10の外周部に保持シール材20を配置した状態で、金属容器(シェル)30にキャニングすることにより作製することができる。また、排ガス浄化装置100には、排ガス(
図2中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)が流れる方向に対して、ハニカム触媒10の上流側の配管(不図示)内に、アンモニア又は分解してアンモニアを発生させる化合物を噴射する噴射ノズル等の噴射手段(不図示)が設けられている。これにより、配管を流れる排ガス中にアンモニアが添加されるため、ハニカムユニット11に含まれるゼオライトにより、排ガス中に含まれるNOxが還元される。
【0091】
分解してアンモニアを発生させる化合物としては、配管内で加水分解されて、アンモニアを発生させることが可能であれば、特に限定されないが、貯蔵安定性に優れるため、尿素水が望ましい。
【0092】
尿素水は、配管内で排ガスにより加熱されて、加水分解し、アンモニアが発生する。
【0093】
図3に、本発明のハニカム触媒の別の一例を示す。
図3に示すハニカム触媒10´は、複数の貫通孔11aが隔壁11bを隔てて長手方向に並設されているハニカムユニット11´(
図4参照)が接着層13を介して複数個接着されている以外は、ハニカム触媒10と同一の構成である。
【0094】
ハニカムユニット11´の長手方向に垂直な断面の断面積は、10〜200cm
2であることが望ましい。上記断面積が10cm
2未満であると、ハニカム触媒10´の圧力損失が増大する。一方、上記断面積が200cm
2を超えると、ハニカムユニット11´同士を接着することが困難である。
【0095】
ハニカムユニット11´は、長手方向に垂直な断面の断面積以外は、ハニカムユニット11と同一の構成である。
【0096】
接着層13の厚さは、0.1〜3.0mmであることが望ましい。接着層13の厚さが0.1mm未満であると、ハニカムユニット11´の接着強度が不十分になる。一方、接着層13の厚さが3.0mmを超えると、ハニカム触媒10´の圧力損失が増大したり、接着層内でのクラックが発生したりする。
【0097】
次に、
図3に示すハニカム触媒10´の製造方法の一例について説明する。
まず、ハニカム触媒10を構成するハニカムユニット11と同様にして、扇柱状のハニカムユニット11´を作製する。次に、ハニカムユニット11´の円弧側を除く外周面に接着層用ペーストを塗布して、ハニカムユニット11´を接着させ、乾燥固化することにより、ハニカムユニット11´の集合体を作製する。
【0098】
接着層用ペーストとしては、特に限定されないが、無機バインダ及び無機粒子の混合物、無機バインダ及び無機繊維の混合物、無機バインダ、無機粒子及び無機繊維の混合物等が挙げられる。
【0099】
接着層用ペーストに含まれる無機バインダは、特に限定されないが、シリカゾル、アルミナゾル等として添加されており、二種以上併用してもよい。中でも、シリカゾルとして添加されていることが望ましい。
【0100】
接着層用ペーストに含まれる無機粒子としては、特に限定されないが、ゼオライト、ユークリプタイト、アルミナ、シリカ等の酸化物粒子、炭化ケイ素等の炭化物粒子、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物粒子等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、ハニカムユニットとの熱膨張係数が近いユークリプタイトの粒子が望ましい。
【0101】
接着層用ペーストに含まれる無機繊維としては、特に限定されないが、シリカアルミナ繊維、ムライト繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、アルミナ繊維が望ましい。
【0102】
また、接着層用ペーストは、有機バインダを含んでいてもよい。
【0103】
接着層用ペーストに含まれる有機バインダとしては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0104】
接着層用ペーストは、酸化物系セラミックスの微小中空球体であるバルーン、造孔材等をさらに含んでいてもよい。
【0105】
接着層用ペーストに含まれるバルーンとしては、特に限定されないが、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン、ムライトバルーン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、アルミナバルーンが望ましい。
【0106】
接着層用ペーストに含まれる造孔材としては、特に限定されないが、球状アクリル粒子、グラファイト等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0107】
次に、真円度を上げるために必要に応じて、ハニカムユニット11´の集合体に切削加工および研磨を施し、円柱状のハニカムユニット11´の集合体を作製する。
【0108】
次に、円柱状のハニカムユニット11´の集合体の両端面を除く外周面に外周コート層用ペーストを塗布する。
【0109】
外周コート層用ペーストは、接着層用ペーストと同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0110】
次に、外周コート層用ペーストが塗布された円柱状のハニカムユニット11´の集合体を乾燥固化することにより、円柱状のハニカム触媒10´を作製する。このとき、接着層用ペースト及び/又は外周コート層用ペーストに有機バインダが含まれている場合は、脱脂することが望ましい。脱脂条件は、有機物の種類及び量によって適宜選択することができるが、500℃で1時間であることが望ましい。
【0111】
ハニカム触媒10´は、4個のハニカムユニット11´が接着層13を介して接着されることにより構成されているが、ハニカム触媒を構成するハニカムユニットの個数は特に限定されない。例えば、16個の四角柱状のハニカムユニットが接着層を介して接着されることにより円柱状のハニカム触媒が構成されていてもよい。
【0112】
なお、ハニカム触媒10及び10´は、外周コート層12が形成されていなくてもよい。
【0113】
上述のとおり、本発明のハニカム触媒においては、第1のゼオライトであるCHAを主原料としたハニカムユニットにすることによって、NOxの浄化性能を向上させることができる。また、CHAと第2のゼオライトであるSAPOとを混成してハニカムユニットを形成することによって、ハニカムユニット全体としての吸水及び脱水時の応力を緩和させることができる。具体的には、CHA及びSAPOの体積比を75:25〜90:10とすることにより、NOxの浄化性能に優れ、排ガス浄化装置の使用中におけるハニカムユニットの破損(吸水/脱水及び熱応力による破損)を抑制することが可能なハニカム触媒とすることができる。
【実施例】
【0114】
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0115】
[実施例1]
第1のゼオライトとして平均粒子径が0.1μmのCHAを27質量%、第2のゼオライトとして平均粒子径が3.0μmのSAPOを8質量%、無機バインダとしてベーマイトを7質量%、平均繊維径が6.5μm、平均繊維長が100μmのガラス繊維を7質量%、造孔材として平均粒子径が0.8μmのポリスチレン粒子を7質量%、メチルセルロースを6質量%、成形助剤として脂肪酸石鹸を4質量%及びイオン交換水を34質量%混合混練して、原料ペースト1を作製した。なお、第1のゼオライトとしては、比重2.02、組成比Si/Al:32、比表面積600m
2/g、銅イオンでイオン交換されているCHAを用い、第2のゼオライトとしては、比重2.53、組成比Si/(Si+Al+P):0.17、比表面積223m
2/g、銅イオンでイオン交換されているSAPOを用いた。
実施例1において、第1のゼオライト及び第2のゼオライトの体積比(CHA:SAPO)は、80:20である。
【0116】
次に、押出成形機を用いて、原料ペースト1を押出成形して、正四角柱状のハニカム成形体を作製した。そして、減圧マイクロ波乾燥機を用いて、ハニカム成形体を出力4.5kW、減圧6.7kPaで7分間乾燥させた後、700℃で2時間脱脂焼成して、ハニカム焼成体(ハニカムユニット11´)を作製した。ハニカムユニット11´は、一辺が38mm、長さが150mmの正四角柱状であり、貫通孔11aの密度が124個/cm
2、隔壁11bの厚さが0.20mmであった。
また、ハニカムユニット11´は、ハニカムユニット11´の見掛けの体積当たり、第1のゼオライト及び第2のゼオライトを254g/L含有しており、銅イオンを9.4g/L含有している。
【0117】
[比較例1]
第1のゼオライト及び第2のゼオライトの体積比(CHA:SAPO)を70:30に変更した以外は、実施例1と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。
【0118】
[比較例2]
第1のゼオライト及び第2のゼオライトの体積比(CHA:SAPO)を100:0に変更した以外は、実施例1と同様にして、ハニカムユニット11´を作製した。つまり、比較例2では、第2のゼオライト(SAPO)を用いなかった。
【0119】
[NOxの浄化率の測定]
実施例1、比較例1及び比較例2で作製したハニカムユニットから、ダイヤモンドカッターを用いて、直径:1インチ、長さ:3インチの円柱状試験片を切り出した。これらの試験片に、200℃又は525℃の模擬ガスを空間速度(SV)40000/hr(200℃)、100000/hr(525℃)で流しながら、触媒評価装置(堀場製作所社製、SIGU−2000/MEXA−6000FT)を用いて、試料から流出するNOxの流出量を測定し、式
(NOxの流入量−NOxの流出量)/(NOxの流入量)×100
で表されるNOxの浄化率[%]を算出した。算出結果を表1に示す。なお、模擬ガスの構成成分は、一酸化窒素260ppm、二酸化窒素90ppm、アンモニア350ppm(200℃)、一酸化窒素315ppm、二酸化窒素35ppm、アンモニア385ppm(525℃)、酸素10%、二酸化炭素5%、水5%、窒素(balance)である。
【0120】
【表1】
【0121】
表1より、いずれのハニカムユニットにおいても、200℃でのNOxの浄化率が95%程度と高い値であり、525℃でのNOxの浄化率が80%程度と高い値であることが分かる。
【0122】
[熱膨張係数の測定]
実施例1、比較例1及び比較例2で作製したハニカムユニットから、ダイヤモンドカッターを用いて、一辺が5mm、高さが25mmの正四角柱状の測定サンプルを切り出した。その後、200℃で2時間乾燥させて重量を測定し、水蒸気雰囲気で測定サンプルの吸水率が10%になるまで放置した。
これらの測定サンプルに対して、50℃から、昇温速度10℃/分にて700℃まで昇温して、その後50℃まで10℃/分で降温し、その昇温・降温過程における10℃ごとのハニカムユニットの径方向の熱膨張係数(CTE)を熱膨張計(BRUKER社製、NETZSCH DIL402C)を用いて測定した。なお、測定は、He流量100ml/分の雰囲気下で行った。測定結果のグラフを
図5に示す。
【0123】
図5より、CHA及びSAPOの合計量に対するSAPOの割合が20体積%である実施例1では、全温度域において熱膨張係数の変化率が小さいことが分かる。一方、CHA及びSAPOの合計量に対するSAPOの割合が30体積%である比較例1及びSAPOが含有されていない比較例2では、80〜100℃付近における熱膨張係数の変化率が大きいことが分かる。したがって、CHA及びSAPOの体積比を適切な範囲とすることにより、吸脱水によるハニカムユニットの破損を抑制することができると考えられる。
【0124】
[熱サイクル試験]
実施例1、比較例1及び比較例2で作製したハニカム触媒を700℃まで加熱し、その後、200℃まで冷却する工程を1サイクルとして、このサイクルを5回繰り返す熱サイクル試験を行った。
【0125】
熱サイクル試験の結果、CHA及びSAPOの合計量に対するSAPOの割合が20体積%である実施例1及びSAPOの割合が30体積%である比較例1では、ハニカムユニットが破損しなかったのに対し、SAPOが含有されていない比較例2では、ハニカムユニットが破損した。したがって、CHAとSAPOとを混成してハニカムユニットを形成することによって、熱応力によるハニカムユニットの破損を抑制することができると考えられる。
【0126】
以上より、本発明のハニカム触媒は、NOxの浄化性能に優れ、排ガス浄化装置の使用中におけるハニカムユニットの破損(吸水/脱水及び熱応力による破損)を抑制することが可能であると考えられる。
【0127】
本発明のハニカム触媒は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムユニットを備えており、ハニカムユニットが第1のゼオライトと第2のゼオライトと無機バインダとを含み、第1のゼオライトが、CHA構造を有するアルミノケイ酸塩で、その組成比Si/Alが15〜50であり、第2のゼオライトが、シリコアルミノリン酸塩で、その組成比Si/(Si+Al+P)が0.1〜0.25であり、第1のゼオライト及び第2のゼオライトの体積比(第1のゼオライト:第2のゼオライト)が、75:25〜90:10であることを必須の構成要件としている。本発明の排ガス浄化装置は、本発明のハニカム触媒を備えることを必須の構成要件としている。
係る必須の構成要件に、本発明の詳細な説明で詳述した種々の構成(例えば、第1のゼオライトの構成、第2のゼオライトの構成、無機バインダの構成、ハニカムユニットの構成、ハニカム触媒の製造条件、排ガス浄化装置の構成等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。