特許第6245899号(P6245899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6245899高周波コイル及び磁気共鳴イメージング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245899
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】高周波コイル及び磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   A61B5/05 350
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-178661(P2013-178661)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-61281(P2014-61281A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】特願2012-188837(P2012-188837)
(32)【優先日】2012年8月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨羽 貞範
【審査官】 荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−147307(JP,U)
【文献】 特開昭62−123342(JP,A)
【文献】 特開平11−133127(JP,A)
【文献】 特表2008−526273(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102006042996(DE,A1)
【文献】 特開2009−142646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体と回路素子とが配置される高周波コイルであって、
前記回路素子は、リングを形成する同一円筒面上に配置された複数の導電体間に配置され
前記複数の導電体を結ぶ方向と、前記高周波コイルの周方向とが異なる、高周波コイル。
【請求項2】
前記リング上で導電体間の最短距離を結ぶ直線の方向と、前記高周波コイルの周方向とが異なる、請求項1に記載の高周波コイル。
【請求項3】
各リングの周回の少なくとも一部において、前記周方向と略直交する方向に前記導電体が多重に配置され、多重に配置された導電体間に回路素子が配置される、請求項1又は2に記載の高周波コイル。
【請求項4】
前記回路素子において両導電体を結ぶ方向が、前記高周波コイルの周方向と略直交するように前記回路素子が配置された、請求項1に記載の高周波コイル。
【請求項5】
前記リング上で導電体間の最短距離を結ぶ直線の方向が、前記高周波コイルの周方向と略直交するように導電体が配置された、請求項2に記載の高周波コイル。
【請求項6】
導電体と回路素子とが配置される高周波コイルであって、
リングを形成する導電体間に配置された回路素子において両導電体を結ぶ方向と、前記高周波コイルの周方向とが異なり、
前記導電体は、前記リング上で、各リングを周回する周期的な曲線上に配置される、高周波コイル。
【請求項7】
前記導電体は、前記高周波コイルの周方向に沿って変化する機械的な制約に従って配置される、請求項6に記載の高周波コイル。
【請求項8】
前記導電体は、前記高周波コイルの周方向に沿って変化する電気的な位相の変化に基づいて配置される、請求項6に記載の高周波コイル。
【請求項9】
導電体と回路素子とが配置される高周波コイルであって、
前記回路素子は、リングを形成する同一円筒面上に配置された複数の導電体間に配置され
前記回路素子の電極間に発生する電界の向きと、導電体を流れる電流の向きとが異なる、高周波コイル。
【請求項10】
導電体と回路素子とが配置される高周波コイルであって、
リングを形成する導電体が、各リングの周回の少なくとも一部において、前記高周波コイルの軸方向に多重に配置される、高周波コイル。
【請求項11】
導電体と回路素子とが配置される高周波コイルであって、
リングを形成する導電体の位置が、ラングを形成する導電体の配列方向においてずれている、高周波コイル。
【請求項12】
導電体と回路素子とが配置される高周波コイルを備え、
前記回路素子は、リングを形成する同一円筒面上に配置された複数の導電体の間に配置され、
前記高周波コイルは、前記複数の導電体を結ぶ方向と、前記高周波コイルの周方向とが異なる、磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、高周波コイル及び磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置(「MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置」)は、高周波コイルを備える。高周波コイルには、高周波磁場を送信する送信機能を備えた送信コイルや、被検体の水素原子核から放出される磁気共鳴信号を受信する受信機能を備えた「受信コイル」や、両方の機能を備えた送受信コイル等がある。高周波コイルは、例えば、バードケージ(Birdcage)型のホールボディ(Whole body)コイル等である。
【0003】
ここで、送信機能をもつコイル(送信コイル又は送受信コイル)は、他の受信コイルと組み合わせて用いられる場合がある。例えば、頭部コイルやフェイズドアレイ(Phased Array)コイル等の局所的なコイルと組み合わせて用いられる場合である。この場合に、送信機能をもつコイルと他の受信コイルとが電気的に干渉し、コイルの発熱や内部回路の破壊等を引き起こすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−142646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、コイル同士の電気的な干渉を低減することができる高周波コイル及び磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る高周波コイルは、導電体と回路素子とが配置される。前記回路素子は、リングを形成する同一円筒面上に配置された複数の導電体間に配置される。前記複数の導電体を結ぶ方向と、前記高周波コイルの周方向とが異なる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成を示す図。
図2図2は、従来の高周波コイルの構成を示す図。
図3図3は、従来の高周波コイルの回路パターンを平面に展開した図。
図4図4は、従来の高周波コイルを流れる高周波電流を示す図。
図5図5は、従来の高周波コイルの回路パターンの一部を拡大した図。
図6図6は、第1の実施形態に係る高周波コイルの回路パターンの一部を拡大した図。
図7図7は、第2の実施形態に係る高周波コイルの回路パターンの一部を拡大した図。
図8図8は、第3の実施形態に係る高周波コイルの回路パターンの一部を拡大した図。
図9図9は、第3の実施形態に係る高周波コイルの回路パターンを平面に展開した図。
図10図10は、第3の実施形態に係る高周波コイルの電圧変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る高周波コイル及びMRI装置を説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成を示す図である。なお、被検体PはMRI装置100に含まれない。静磁場磁石110は、中空の円筒形状に形成され、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石110は、例えば、永久磁石、超伝導磁石等である。傾斜磁場コイル120は、中空の円筒形状に形成され、内部の空間に傾斜磁場を発生する。具体的には、傾斜磁場コイル120は、静磁場磁石110の内側に配置され、傾斜磁場電源141から電力の供給を受けて傾斜磁場を発生する。傾斜磁場電源141は、シーケンス制御部150から送信される制御信号に従って傾斜磁場コイル120に電力を供給する。
【0010】
寝台装置160は、被検体Pが載置される天板161を備え、天板161を、被検体Pが載置された状態で、撮像口である傾斜磁場コイル120の空洞内へ挿入する。通常、寝台装置160は、長手方向が静磁場磁石110の中心軸と平行になるように設置される。
【0011】
高周波コイル130は、高周波磁場を発生する。具体的には、高周波コイル130は、傾斜磁場コイル120の内側に配置され、送信部142から高周波パルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。送信部142は、シーケンス制御部150から送信される制御信号に従って、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを高周波コイル130に送信する。
【0012】
局所コイル140は、磁気共鳴信号(「MR(Magnetic Resonance)信号」)を受信する。具体的には、局所コイル140は、傾斜磁場コイル120の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから放出されるMR信号を受信する。また、局所コイル140は、受信したMR信号を受信部143に出力する。なお、第1の実施形態に係る局所コイル140は、高周波コイル130との電気的な干渉(カップリング)が生じた場合の発熱や、内部回路の破損等を防ぐ目的で、保護回路であるバラン(Balun)をケーブル内に備える。もっとも、後述するように、第1の実施形態においては、高周波コイル130と局所コイル140との電気的な干渉は低減されるため、このバランの構成自体も簡易化することが可能になる。
【0013】
受信部143は、シーケンス制御部150から送られる制御信号に従って、局所コイル140から出力されたMR信号に基づきMR信号データを生成する。具体的には、受信部143は、局所コイル140から出力されたMR信号をデジタル変換することによってMR信号データを生成し、生成したMR信号データを、シーケンス制御部150を介して計算機システム170に送信する。なお、受信部143は、静磁場磁石110や傾斜磁場コイル120等を備える架台装置側に備えられていてもよい。
【0014】
シーケンス制御部150は、傾斜磁場電源141、送信部142、及び受信部143を制御する。具体的には、シーケンス制御部150は、計算機システム170から送信されたパルスシーケンス実行データに基づく制御信号を、傾斜磁場電源141、送信部142、及び受信部143に送信する。
【0015】
計算機システム170は、シーケンス制御部150との間で送受信されるデータの入出力を制御し、MRI装置100を総括的に制御する。例えば、計算機システム170は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路を備え、撮像条件の編集を操作者から受け付けると、受け付けた撮像条件に基づいてパルスシーケンス実行データを生成し、生成したパルスシーケンス実行データをシーケンス制御部150に送信する。また、例えば、計算機システム170は、シーケンス制御部150から送信されたMR信号データから画像データを再構成し、再構成した画像データを、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等に格納する。
【0016】
ここで、第1の実施形態においては、高周波コイル130の表面上で導電体や回路素子によって形成される回路パターンを工夫することにより、コイル同士の電気的な干渉を低減する。まず、従来の高周波コイルの構成を説明する。なお、以下では、従来の高周波コイルの一例として、バードケージ型のホールボディコイルを説明する。
【0017】
図2は、従来の高周波コイルの構成を示す図である。図2に示すように、高周波コイルは、中空の円筒形状であり、その表面上に、銅箔等の導電体(図2において斜線部分)を有する。一般に、高周波コイルの表面上で導電体や回路素子によって形成される回路パターンには、図2に示すように、円筒の両端にて概ねコイルの周方向に沿ったリングを形成する『リング』部分と、2つのリング間を結ぶ『ラング』部分とがある。また、図2に示すように、導電体間には、導電体と電気的に接続される回路素子(図2において白色矩形部分)が配置される。回路素子は、例えば、キャパシタやPIN(p-intrinsic-n Diode)ダイオード等であり、導電体に流れる電流を変化させる。
【0018】
図3は、従来の高周波コイルの回路パターンを平面に展開した図である。高周波コイルの回路パターンを平面に展開した場合、図3に示すように、ラングを有する複数の導電体が、高周波コイルの周方向に周期的に並んでいる。なお、図3に示す、「高周波コイルの周方向」は、「ラングの配列方向」と言い換えることができる。また、以下では、ラングを有する導電体(例えば、図3に示す導電体1、導電体3等)を「エレメント」と称する。
【0019】
回路パターンは、図3に示す左端と右端とが繋がるように、高周波コイルの表面を1周する。高周波コイルは、この1周の間に、特定の周波数で位相が2π分シフトするように設計されており、隣接するエレメント間に流れる電流の位相を変化させることで、均一な高周波磁場分布を空間的に形成する。また、位相差の調整は、導電体間に配置された回路素子によって達成される。
【0020】
図4は、従来の高周波コイルを流れる高周波電流を示す図である。高周波コイルを流れる電流は「高周波」であるので、実線の波形と点線の波形とが時間とともに切り替わる。また、図4において、I1〜I6の矢印は、高周波電流の向き及び大きさを、矢印の向き及び太さで概念的に示すものである。図3に戻り、高周波コイルの各エレメントには、図4に示した高周波電流I1〜I6に対応する高周波電流I1〜I6それぞれが流れる。また、高周波電流が流れないエレメントもある。このように、高周波コイルの周方向に展開されるエレメント毎に、高周波電流の位相は変化する。
【0021】
ここで、ラングを流れる高周波電流とは別に、リングにも、給電ポイントからの電流が流れる。給電ポイントとは、送信部(図3において図示を省略)から高周波パルスの供給を受けるポイントのことであり、例えば、あるエレメントのリングに設けられる。そして、給電ポイントからの電流は、例えば、図3に示すように、コイルの周方向に沿う一方向に流れる。
【0022】
図5は、従来の高周波コイルの回路パターンの一部を拡大した図である。図5に示す導電体1、2及び3は、図3に示す導電体1、2及び3に対応し、概ねリングに相当する部分を拡大したものである。導電体1及び導電体3は、ラングを有する縦長の導電体であり、導電体2は、導電体1と導電体3との間に配置される矩形の導電体である。上述したように、各エレメント間における位相差の調整は、導電体間に配置された回路素子によって達成される。また、位相差の達成は、導電体間に電位差が生じることを意味する。なお、図5において、回路素子a、b、c及びdの上の白抜き矢印は、各回路素子を流れる電流の方向を示す。
【0023】
具体的には、図5に示すように、導電体1と導電体2との間に電位差が生じ、導電体2と導電体3との間に電位差が生じる。また、各導電体を接続している回路素子a、b、c及びd両端の電極間にも電位差が生じる。この結果、導電体1と導電体2との間、導電体2と導電体3との間、回路素子a、b、c及びd両端の電極間には、局所的に強い電界(例えば、数kW)が生じている。
【0024】
ここで、図5に示す例の場合、導電体1と導電体2との間に発生する電界、導電体2と導電体3との間に発生する電界、回路素子a、b、c及びd両端の電極間に発生する電界、並びに、導電体1、2及び3を流れる電流が、全て、コイルの周方向に沿う略同一方向を向いている。このような場合、仮に、この方向に沿って局所コイル等の他のコイルの回路パターンや回路素子、ケーブル等が接触した場合、高周波コイルと他のコイルとは電気的な干渉(カップリング)を引き起こし、他のコイルの発熱や、内部回路の破壊等を招く恐れがある。
【0025】
図6は、第1の実施形態に係る高周波コイル130の回路パターンの一部を拡大した図である。なお、第1の実施形態に係る高周波コイル130の回路パターンを平面に展開した場合、図6に示す回路パターンが、高周波コイル130の円筒の両端で繰り返される。
【0026】
図6に示すように、第1の実施形態に係る高周波コイル130において、回路素子は、回路素子において両導電体を結ぶ方向と高周波コイル130の周方向とが異なるように、配置される。また、言い換えると、リング上で導電体間の最短距離を結ぶ直線の向きと、高周波コイル130の周方向(周方向に沿った直線の向き)とが異なるように配置される。更に言い換えると、両導電体を結ぶ方向と高周波コイル130の周方向とが角度を持ち、回路素子において両導電体を結ぶ方向の直線と高周波コイル130の周方向の直線とが交わる関係(平行でない関係)にあることを意味する。また更に言い換えると、リングを形成する導電体が、各リングの周回の少なくとも一部において、高周波コイル130の軸方向(即ち、高周波コイル130の周方向と略直交する方向)に多重に配置される。なお、図6において、「両導電体を結ぶ方向」とは、白抜き矢印と平行な方向である。また、図6において、高周波コイル130の周方向は、回路パターンのリング上を流れる電流の主たる方向と一致する。
【0027】
例えば、第1の実施形態においては、図5に示した導電体2に相当する矩形の導電体は配置されず、隣接するエレメントの導電体同士(導電体101及び導電体102)で二重のリングを形成する。この結果、各リングの周回の少なくとも一部において、高周波コイル130の周方向と略直交する方向に、導電体が二重に配置されることになる。また、図6に示すように、回路素子133a及び回路素子133bは、導電体101と導電体102とで形成された二重のリングをまたがるように配置される。なお、図6において、回路素子133a及び回路素子133bの上の白抜き矢印は、各回路素子を流れる電流の方向を示す。
【0028】
この場合、回路素子133a両端の電極間に発生する電界、及び、回路素子133b両端の電極間に発生する電界の向きは、コイルの周方向の向きと略直交する向きとなる。なお、導電体101と導電体102との間には、図6において点線の丸で囲むように弱い電界が発生するが、この電界の強さは、回路素子133a及び133b両端の電極間に発生する電界の強さに比較して小さい。すなわち、図5に示した回路素子の配置に比較して、導電体間に発生する支配的な電界は、コイルの周方向の向きと略直交する向きが支配的となる。
【0029】
こうして、仮に、コイルの周方向に沿って局所コイル等の他のコイルの回路パターンや回路素子、ケーブル等が接触したとしても、第1の実施形態においては、電界の向きが分散し、コイルの周方向と略同一方向に強い電界が発生していないため(回路素子近傍に発生する局所的な強い電界は低減されるため)、高周波コイル130と他のコイルとの電気的な干渉は低減され、他のコイルの発熱や、内部回路の破壊等を招く恐れは軽減される。この結果、局所コイル140が備えるバランの構成自体を簡易化することが可能になり、局所コイル140のケーブルも簡易化されたものとなる。すると、局所コイル140の取り扱い自体が容易になり、操作者の操作性が向上することにもなる。なお、発熱を低減することができるので、SAR(Specific Absorption Rate)の計算も容易になる。これらの効果は、他の実施形態においても同様である。
【0030】
なお、第1の実施形態においては、回路素子両端の電極間に発生する電界の向きが、コイルの周方向の向きと略直交する向きとなるように、回路素子をコイルの周方向に対して略垂直に配置しているが、実施形態はこれに限られるものではない。回路素子をコイルの周方向に対して斜めに配置してもよい。この場合には、回路パターンも、回路素子の斜めの配置に合わせて適宜その形状を変形すればよい。
【0031】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る高周波コイル230の回路パターンの一部を拡大した図である。なお、第2の実施形態に係る高周波コイル230の回路パターンを平面に展開した場合、図7に示す回路パターンが、高周波コイル230の円筒の両端で繰り返される。なお、以下では、第2の実施形態に係る高周波コイル230を説明するが、高周波コイル230以外の他の構成要素については、第1の実施形態に係るMRI装置100と同様である。
【0032】
図7に示すように、第2の実施形態に係る高周波コイル230においても、回路素子は、回路素子において両導電体を結ぶ方向と高周波コイル230の周方向とが異なるように、配置される。
【0033】
例えば、第2の実施形態においては、図5に示した導電体2に相当する矩形の導電体と同様に導電体202が配置され、エレメントの導電体201とエレメントでない導電体202とで二重のリングを形成し、エレメントの導電体203とエレメントでない導電体202とで二重のリングを形成する。この結果、第1の実施形態と同様に、各リングの周回の少なくとも一部において、高周波コイル230の周方向と略直交する方向に、導電体が二重に配置されることになる。また、図7に示すように、回路素子233a及び回路素子233bは、導電体201と導電体202とで形成された二重のリングをまたがるように配置される。また、回路素子233c及び回路素子233dは、導電体203と導電体202とで形成された二重のリングをまたがるように配置される。なお、図7において、回路素子233a、回路素子233b、回路素子233c、及び回路素子233dの上の白抜き矢印は、各回路素子を流れる電流の方向を示す。
【0034】
この場合、回路素子233a両端の電極間に発生する電界、回路素子233b両端の電極間に発生する電界、回路素子233c両端の電極間に発生する電界、及び、回路素子233d両端の電極間に発生する電界の向きは、コイルの周方向の向きと略直交する向きとなる。また、第2の実施形態の場合、第1の実施形態に比較して、導電体201と導電体203との間の距離が離れているので、コイルの周方向の向きと同一方向の向きの電界は、第1の実施形態以上に小さい。
【0035】
よって、仮に、コイルの周方向に沿って局所コイル等の他のコイルの回路パターンや回路素子、ケーブル等が接触したとしても、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、コイルの周方向と略同一方向に強い電界が発生していないため、高周波コイル230と他のコイルとの電気的な干渉は低減され、他のコイルの発熱や、内部回路の破壊等を招く恐れは軽減される。
【0036】
更に、図7に示すように、導電体201と導電体202との間に発生する電界の向きと、導電体203と導電体202との間に発生する電界の向きとは互いに反対向きであるので、両電界は打ち消し合う関係にある。このため、仮に、コイルの周方向と直交する向きに沿って局所コイル等の他のコイルの回路パターンや回路素子、ケーブル等が接触したとしても、第2の実施形態においては、高周波コイル230と他のコイルとの電気的な干渉を低減することができる。
【0037】
また、コイルの周方向と直交する向きに沿って、且つ、回路素子233a、233b、233c、又は233dの近傍で、局所コイル等の他のコイルの回路パターンや回路素子、ケーブル等が接触したとしても、第1の実施形態に比較して電位差は1/2であるので、その影響は小さい。
【0038】
なお、第2の実施形態においては、回路素子両端の電極間に発生する電界の向きが、コイルの周方向の向きと略直交する向きとなるように、回路素子をコイルの周方向に対して略垂直に配置しているが、実施形態はこれに限られるものではない。回路素子をコイルの周方向に対して斜めに配置してもよい。この場合には、回路パターンも、回路素子の斜めの配置に合わせて適宜その形状を変形すればよい。
【0039】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る高周波コイル330の回路パターンの一部を拡大した図である。なお、以下では、第3の実施形態に係る高周波コイル330を説明するが、高周波コイル330以外の他の構成要素については、第1の実施形態に係るMRI装置100と同様である。
【0040】
図8に示すように、第3の実施形態に係る高周波コイル330においても、回路素子は、回路素子において両導電体を結ぶ方向と高周波コイル330の周方向とが異なるように、配置される。また、言い換えると、リングを形成する導電体の位置が、ラングを形成する導電体の配列方向においてずれている。例えば、リングを形成する導電体間を結ぶ線を仮に想定した場合、その線は、ラングを形成する導電体の配列方向に対して角度を持ってずれたものとなる。後述する図9(平面に展開された回路パターン)の例の場合、リングを形成する導電体は、ジグザグに(何度も折れ曲がる直線若しくは曲線のように)配置されているとも言える。
【0041】
例えば、第3の実施形態においては、図5に示した導電体2に相当する矩形の導電体と同様に導電体302が配置され、エレメントの導電体301と導電体302とで二重のリングを形成し、導電体302とエレメントの導電体303とで二重のリングを形成する。この結果、第1の実施形態と同様に、各リングの周回の少なくとも一部において、高周波コイル330の周方向と略直交する方向に、導電体が少なくとも二重に配置されることになる。また、図8に示すように、回路素子333a及び回路素子333bは、導電体301と導電体302とで形成された二重のリングをまたがるように配置される。また、回路素子333c及び回路素子333dは、導電体302と導電体303とで形成された二重のリングをまたがるように配置される。なお、図8において、回路素子333a、回路素子333b、回路素子333c、及び回路素子333dの上の白抜き矢印は、各回路素子を流れる電流の方向を示す。
【0042】
この場合、回路素子333a両端の電極間に発生する電界、回路素子333b両端の電極間に発生する電界、回路素子333c両端の電極間に発生する電界、及び、回路素子333d両端の電極間に発生する電界の向きは、コイルの周方向の向きと略直交する向きとなる。また、第3の実施形態の場合も、第1の実施形態に比較して、導電体301と導電体303との間の距離が離れているので、コイルの周方向の向きと同一方向の向きの電界は、第1の実施形態以上に小さい。
【0043】
よって、仮に、コイルの周方向に沿って局所コイル等の他のコイルの回路パターンや回路素子、ケーブル等が接触したとしても、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、コイルの周方向と略同一方向に強い電界が発生していないため、高周波コイル330と他のコイルとの電気的な干渉は低減され、他のコイルの発熱や、内部回路の破壊等を招く恐れは軽減される。
【0044】
また、仮に、コイルの周方向と直交する向きに沿って、且つ、回路素子333a、333b、333c、又は333dの近傍で、局所コイル等の他のコイルの回路パターンや回路素子、ケーブル等が接触したとしても、その影響は小さい。
【0045】
図9は、第3の実施形態に係る高周波コイル330の回路パターンを平面に展開した図である。図9に示すように、第3の実施形態の場合、高周波コイル330の表面上に形成される回路パターンは、周期的な構造(例えば、4つの導電体で1周期)をしている。言い換えると、第3の実施形態の場合、導電体は、リング上で、各リングを周回する周期的な曲線上に配置される。この周期的な構造によれば、各回路素子両端の電極間に発生する強い電界も、高周波コイル330の表面上で他のコイルの回路パターンや回路素子、ケーブル等との電気的な干渉も、物理的に発生し難い状況となる。
【0046】
この周期的な構造は、高周波コイル330の周方向に沿って変化する機械的な制約(例えば、高周波コイル330の大きさと、各エレメントの数や長さとの物理的な関係から受ける角度の制約等)下で設計されてもよいし、あるいは、電気的な位相に基づいて設計されてもよい。
【0047】
図10は、第3の実施形態に係る高周波コイル330の電圧変化を示す図である。図4を用いて各エレメントに流れる高周波電流の位相が変化する点について説明したが、図10に示すように、高周波電流の位相の変化に応じて各エレメントの電圧も変化する。なお、図10においては、説明の便宜上、この電圧変化を連続的な曲線で示すが、実際の電圧は、離散的な値を採る。
【0048】
図10に示すように、電圧変化には、その勾配が緩やかな箇所と急峻な箇所とがある。そこで、例えば、図8に示す導電体301、302及び303とで形成される斜めの回路パターンの部分が、電圧変化の勾配が急峻なところと重なるように各エレメントの配置を設計してもよい。他のコイルのケーブル等が、斜めにジグザグに湾曲しながら沿う恐れは低いと考えられるので、他のコイルとの電気的な干渉も物理的に発生し難い状況となる。
【0049】
なお、第3の実施形態においては、回路素子両端の電極間に発生する電界の向きが、コイルの周方向の向きと略直交する向きとなるように、回路素子をコイルの周方向に対して略垂直に配置しているが、実施形態はこれに限られるものではない。回路素子をコイルの周方向に対して斜めに配置してもよい。この場合には、回路パターンも、回路素子の斜めの配置に合わせて適宜その形状を変形すればよい。また、第3の実施形態においては、エレメントの導電体(導電体301、導電体303)の間に、他の導電体302を配置する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。回路素子は、中間の導電体302を介することなく、エレメントの導電体同士(例えば、導電体301と導電体303との間)を直接またがるように配置されてもよい。この場合には、中間の導電体302は配置されなくてもよい。
【0050】
なお、高周波コイルの回路パターンは、上述した第1〜第3の実施形態に限られるものではない。第1〜第3の実施形態において、回路パターンは、回路素子に発生する電界の向きを、回路素子近傍の導電体を流れる電流の主たる方向(回路素子自体を流れる電流の向きではない)と異ならせるように、適宜設計されればよい。上述したように、両方向の間に角度を持たせればよく、必ずしも略直交の関係である必要はない。
【0051】
なお、上述した第1〜第3の実施形態においては、高周波コイルの一例として、バードケージ型のホールボディコイルを想定したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、サドル型やスロットレゾネータ型等、他の形状の高周波コイルにも適用することができる。
【0052】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の高周波コイル及び磁気共鳴イメージング装置によれば、コイル同士の電気的な干渉を低減することができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
100 MRI装置
130 高周波コイル
101 導電体
102 導電体
133a 回路素子
133b 回路素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10