(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、破断予定部は、特許文献1に開示されているような直線状に限らず、様々な形状があり、例えば、観音開きタイプのエアバッグドア部を有する車両用内装品では、H形状をしている。
【0007】
このようなH形状の破断予定部が形成された車両用内装品においてエアバッグ装置が作動すると、エアバッグの膨張圧力によって基材が押圧され、先ず、横に延びる中央の破断予定部が中央部から両端へ向かって破断し、両端まで破断すると、縦に延びるサイドの破断予定部が破断し、エアバッグが展開する。
【0008】
ここで、破断予定部がH形状に形成された車両用内装品に特許文献1の破断構造を適用した場合、特許文献1の破断構造は直線状の破断予定部を想定したものであるため、中央の破断予定部が確実に破断する。しかしながら、中央の破断予定部の両端とサイドの破断予定部との交点における破断構造を想定していないため、当該交点においては、基材はエアバッグによって直接押圧されてその破断予定部に沿って破断するものの、基材を介して押圧される表皮材は、その破断予定部から外れて破断し、その破断線がサイドの破断予定部の外側に延びるおそれがある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、破断予定部が交点を有する場合に表皮材を破断予定部に沿って確実に破断させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、表皮材のサイド破断予定部の外側部分をサイド破断予定部に沿って厚肉にしたものである。
【0011】
具体的には、本発明は、樹脂製基材と、該基材の表面に一体に積層され該基材よりも軟質な樹脂製表皮材とを備えた二色成形品であり、上記基材の表面には、基材側破断予定部が底部尖鋭に凹設されると共に、基材
側突条部が該基材側破断予定部に沿うように先端尖鋭に突設され、上記基材には、上記基材側破断予定部の両端を連結するヒンジ部が形成され、上記表皮材の裏面には、上記基材側突条部によって形成された表皮材側破断予定部が上記基材側破断予定部に沿うように底部尖鋭に凹設されると共に、表皮材側突条部が上記基材側破断予定部によって上記基材側突条部に沿うように先端尖鋭に突設され、エアバッグ装置の作動時に上記基材側破断予定部及び表皮材側破断予定部が破断することで、これら破断予定部と上記ヒンジ部とによって囲まれたエアバッグドア部がヒンジ部を支点として回動して開くエアバッグドア部を有する車両用内装品を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0012】
すなわち、第1の発明は、上記基材側破断予定部は、上記ヒンジ部と対向する辺部に形成され、上記エアバッグ装置の作動時に優先的に破断する基材側中央破断予定部と、該基材側中央破断予定部の両端で該基材側中央破断予定部と交差して上記ヒンジ部の端部に連結し、上記エアバッグ装置の作動時に上記基材側中央破断予定部の破断に続いて破断する基材側サイド破断予定部とによって構成され、上記表皮材側破断予定部は、上記基材側中央破断予定部に沿って形成され、該基材側中央破断予定部と共に破断する表皮材側中央破断予定部と、該表皮材側中央破断予定部の両端で該表皮材側中央破断予定部と交差し、上記基材側サイド破断予定部と共に破断する表皮材側サイド破断予定部とによって構成され、上記基材側サイド破断予定部は、上記表皮材側サイド破断予定部よりも上記エアバッグドア部の外側に形成され、上記基材側サイド破断予定部には、表皮材側サイド突条部が一体に形成されて該基材側サイド破断予定部の深さ分だけ他の箇所よりも厚肉に形成され
、上記基材側中央破断予定部に対向するヒンジ部は、該基材側中央破断予定部を挟んで両側に設けられ、上記基材側破断予定部及び表皮材側破断予定部は、H形状に形成され、上記基材側中央破断予定部の両側に上記エアバッグドア部がそれぞれ形成され、上記基材側突条部は、上記基材側中央破断予定部に沿う基材側中央突条部と、上記基材側サイド破断予定部に沿う基材側サイド突条部とによって構成され、上記基材側中央突条部の両端は、上記基材側サイド突条部に繋がる一方、上記基材側中央破断予定部の両端と上記基材側サイド破断予定部とは、上記基材側サイド突条部(44)によって分断されていることを特徴とする
。
【0013】
第2の発明は、第
1の発明において、上記基材の上記基材側中央破断予定部の両端と上記基材側サイド破断予定部との分断箇所の裏面には、凹部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
第
3の発明は、
上記基材側破断予定部は、上記ヒンジ部と対向する辺部に形成され、上記エアバッグ装置の作動時に優先的に破断する基材側中央破断予定部と、該基材側中央破断予定部の両端で該基材側中央破断予定部と交差して上記ヒンジ部の端部に連結し、上記エアバッグ装置の作動時に上記基材側中央破断予定部の破断に続いて破断する基材側サイド破断予定部とによって構成され、上記表皮材側破断予定部は、上記基材側中央破断予定部に沿って形成され、該基材側中央破断予定部と共に破断する表皮材側中央破断予定部と、該表皮材側中央破断予定部の両端で該表皮材側中央破断予定部と交差し、上記基材側サイド破断予定部と共に破断する表皮材側サイド破断予定部とによって構成され、上記基材側サイド破断予定部は、上記表皮材側サイド破断予定部よりも上記エアバッグドア部の外側に形成され、上記基材側サイド破断予定部には、表皮材側サイド突条部が一体に形成されて該基材側サイド破断予定部の深さ分だけ他の箇所よりも厚肉に形成され、上記基材側中央破断予定部に対向するヒンジ部は、該基材側中央破断予定部を挟んで両側に設けられ、上記基材側破断予定部及び表皮材側破断予定部は、H形状に形成され、上記基材側中央破断予定部の両側に上記エアバッグドア部がそれぞれ形成され、上記基材側突条部は、上記基材側中央破断予定部に沿う基材側中央突条部と、上記基材側サイド破断予定部に沿う基材側サイド突条部とによって構成され、上記基材側中央突条部は、上記基材側中央破断予定部の両側に設けられ、該各基材側中央突条部の両端は、上記基材側サイド突条部に繋がる一方、上記基材側中央破断予定部の両端部は、上記基材側サイド突条部を分断すると共に上記基材側サイド破断予定部に繋がっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1
及び3の発明によれば、エアバッグ装置が作動すると、エアバッグの膨張圧力が基材に作用し、先ず、基材側中央破断予定部が中央から両端に向かって破断する。これに伴って、この基材側中央破断予定部に沿って突設された基材側突条部が表皮材側中央破断予定部の底部を押圧し、表皮材側中央破断予定部が中央から両端に向かって破断する。基材側中央破断予定部の両端と基材側サイド破断予定部との交点まで破断すると、基材の当該交点に対応する箇所がエアバッグの膨張圧力によって押圧され、基材側サイド破断予定部の当該交点対応箇所が破断し、基材側突条部の当該交点対応箇所が表皮材側サイド破断予定部の底部を押圧し、表皮材側サイド破断予定部が破断する。
【0016】
この表皮材側サイド破断予定部の外側には、基材側サイド破断予定部が形成されており、この基材側サイド破断予定部に一体に形成された表皮材側突条部は、当該基材側サイド破断予定部の深さ分だけ他の箇所よりも厚肉に形成されている。この厚肉部は破断力に抗して破断せず、表皮材の破断は、この厚肉部には進まずに、該厚肉部の内側にある比較的薄肉な表皮材側サイド破断予定部に沿って進行する。したがって、表皮材がその破断予定部に沿って確実に破断し、飛散しない。
【0017】
第
1及び3の発明によれば、2つのエアバッグドア部が向かい合わせになった観音開きタイプであり、エアバッグ装置の作動時に、2つのエアバッグドア部を形成する基材側破断予定部に沿って基材が確実に破断すると共に、この基材側破断予定部に沿う表皮材側破断予定部に沿って表皮材が確実に破断する。
【0018】
第
1の発明によれば、基材側中央突条部と基材側サイド突条部とが繋がっているので、これら基材側中央突条部及び基材側サイド突条部によって表皮材側破断予定部が交点で連続している。さらに、基材側中央破断予定部と基材側サイド破断予定部とが基材側サイド突条部によって分断されているので、厚肉な表皮材側突条部が交点で分離している。
【0019】
すなわち、表皮材側破断予定部が交点において表皮材側突条部に優先して連続している。したがって、表皮材は、上記交点において薄肉に形成されている。そのため、エアバッグ装置の作動時には、表皮材が当該交点において一層確実に破断する。
【0020】
第
2の発明によれば、基材の基材側中央破断予定部の両端と基材側サイド破断予定部との分断箇所には基材側突条部が突設されているため、基材の当該分断箇所が厚肉となり、破断し難くなる。そこで、当該分断箇所の裏面に凹部を形成し、基材の当該分断箇所を薄肉化することにより、当該分断箇所における破断がスムーズとなり、より確実に表皮材と基材とが破断する。
【0021】
第
3の発明によれば、基材側中央破断予定部の両端部が基材側サイド突条部を分断すると共に基材側サイド破断予定部に繋がっている。すなわち、基材側破断予定部は、全体に亘って比較的薄肉に設けられている。したがって、エアバッグ装置の作動時には、基材が基材側破断予定部に沿ってスムーズに且つ確実に破断する。また、基材側中央突条部は、基材側中央破断予定部を挟む2つのエアバッグドア部にそれぞれ形成されている。そして、各基材側中央突条部の両端は、基材側サイド突条部に繋がっている。したがって、この基材側中央突条部によって形成された表皮材側中央破断予定部と基材側サイド突条部によって形成された表皮材側サイド破断予定部とが連続している。したがって、エアバッグ装置の作動時に、表皮材が表皮材側破断予定部に沿ってスムーズに且つ確実に破断する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
《発明の実施形態1》
この実施形態では、本発明に係る車両用内装品として片開きタイプのエアバッグドア部を有する車両用インストルメントパネルを例に挙げて説明する。
【0025】
図1に示すように、上記インストルメントパネル1は、右ハンドル用である。このインストルメントパネル1は、ベースとなる樹脂製基材3を備えている。
【0026】
上記インストルメントパネル1の車体前端側は、上記基材3が露出した単層構造であり、当該単層領域には、左右両側に車幅方向に延びる細長いフロントデフロスターエア吹出口5,5が形成されている。
【0027】
上記フロントデフロスターエア吹出口5,5よりも車体後方側領域には、内部に発泡層10を有する厚肉のパッド7が一体に形成されている。なお、当該パッド7は、内部に発泡層10を有していなくてもよい。このパッド7は、上記基材3よりも軟質の樹脂製表皮材9(
図2参照)からなる。上記インストルメントパネル1は、上記基材3と、該基材3の表面の上記フロントデフロスターエア吹出口5,5よりも車体後方側領域に一体に積層された上記表皮材9とを備えた二色成形品である。
【0028】
上記インストルメントパネル1のパッド7領域の車幅方向両端側には、円形のサイドベントエア吹出口11,11が形成されている。また、当該パッド7領域の車幅方向中程には、中央部分の外観表面を構成するセンターパネル(図示せず)が取り付けられるセンターパネル取付部13が形成されている。
【0029】
上記パッド7領域における左側の上記サイドベントエア吹出口11と上記センターパネル取付部13との間には、車両衝突時に助手席に着座する乗員を保護するエアバッグ装置(図示せず)が内蔵されている。上記パッド7を構成する上記表皮材9及びその裏側の上記基材3には、上記エアバッグ装置のエアバッグ(図示せず)の膨張時に開くエアバッグドア部15が形成されている。このエアバッグドア部15は、車両前後方向の長さが車幅方向の長さよりも短い矩形状をなしている。
【0030】
図2はエアバッグドア部15の断面を示す図であって、(a)は
図1のIIa-IIa線断面図、(b)は
図1のIIb-IIb線断面図である。
図3は、基材3が露出した状態における
図1のIII部拡大図である。
【0031】
なお、エアバッグドア部15の
図1における右端部の構造と左端部の構造とは互いに略同一であるため、以下では、左端部の説明を省略し、右端部について説明する。
【0032】
上記基材3の表面3aにおける上記エアバッグドア部15対応箇所の周縁部のうち、車幅方向両辺部及び車両後方側辺部には、
図3に示すように、上記エアバッグ装置の作動で破断する平面視U形状の基材側破断予定部17が形成されている。この基材側破断予定部17の内側には、該基材側破断予定部17に沿ってU形状の基材側突条部19が形成されている。
【0033】
上記基材側破断予定部17は、上記基材3の表面3aに底部尖鋭に凹設されている。この基材側破断予定部17の外側の内周面は、
図2に示すように、外側に向かって上記基材3の表面3aに近づくように傾斜し、内側の内周面は、当該表面3aと直交している。一方、上記基材側突条部19は、該基材3の表面3aに先端尖鋭に突設されている。この基材側突条部19の外側の端面は、上記基材3の表面3aと直交して上記基材側破断予定部17の内周面と連続し、内側の端面は、内側に向かって当該表面3aに近づくように傾斜している。
【0034】
また、上記基材3の表面3aにおける上記エアバッグドア部15対応箇所の周縁部のうち車両前方側辺部には、
図1に示すように、上記基材側破断予定部17の両端を連結するヒンジ部21が形成されている。このヒンジ部21は、例えば、上記基材3の裏面3bに底部尖鋭に凹設されている。
【0035】
上記基材側破断予定部17は、
図3に示すように、上記ヒンジ部21と対向する辺部、即ち、車両後方側辺部に形成された基材側中央破断予定部23と、該基材側中央破断予定部23の両端で該基材側中央破断予定部23と直交して上記ヒンジ部21の端部に連結する一対の基材側サイド破断予定部25とによって構成されている。
【0036】
上記基材側突条部19は、上記基材側中央破断予定部23に沿って突設された基材側中央突条部27と、上記基材側サイド破断予定部25に沿って突設された基材側サイド突条部29とによって構成されている。
【0037】
一方、上記表皮材9の裏面9aにおける上記エアバッグドア部15対応箇所の周縁部のうち、車幅方向両辺部及び車両後方側辺部には、上記基材側突条部19によって形成された平面視U形状の表皮材側破断予定部31が上記基材側破断予定部17に沿って形成されている。つまり、この表皮材側破断予定部31も上記基材側破断予定部17と同様に平面視U形状をなしている。そして、この表皮材側破断予定部31が上記基材側突条部19によって形成され、この基材側突条部19が上記基材側破断予定部17よりも内側に突設されている。したがって、上記基材側破断予定部17は、上記表皮材側破断予定部31よりも外側に形成されている。
【0038】
上記表皮材側破断予定部31の外側には、上記基材側破断予定部17によって表皮材側突条部33が該基材側破断予定部17に沿うように突設されている。
【0039】
上記表皮材側破断予定部31は、上記表皮材9の裏面9aに底部尖鋭に凹設され、その外側の内周面は、当該裏面9aと直交し、内側の内周面は、内側に向かって当該裏面9aに近づくように傾斜している。一方、上記表皮材側突条部33は、上記表皮材9の裏面9aに先端尖鋭に突設され、その外側の端面は、外側に向かって当該裏面9aに近づくように傾斜し、内側の端面は、当該裏面9aと直交し、上記表皮材側破断予定部31の外側の内周面と連続している。
【0040】
上記表皮材側破断予定部31は、
図2(a)に示すように、上記基材側中央破断予定部23に沿って形成された表皮材側中央破断予定部35と、
図2(b)に示すように、該表皮材側中央破断予定部35の両端で該表皮材側中央破断予定部35と直交する表皮材側サイド破断予定部37とによって構成されている。
【0041】
また、上記表皮材側破断予定部31の外側に形成された上記表皮材側突条部33は、
図2(a)に示すように、上記表皮材側中央破断予定部35に沿って突設された表皮材側中央突条部39と、上記表皮材側サイド破断予定部37に沿って突設された表皮材側サイド突条部41とによって構成されている。
【0042】
そして、上記基材側破断予定部17は、上述の通り、上記表皮材側破断予定部31よりも外側に形成されている。したがって、上記基材側中央破断予定部23は、上記表皮材側中央破断予定部35の車両後方側に形成されている一方、上記基材側サイド破断予定部25は、上記表皮材側サイド破断予定部37の車幅方向外側に形成されている。
【0043】
さらに、上記各基材側サイド破断予定部25には、上記各表皮材側サイド突条部41が一体に形成されている。したがって、該各表皮材側サイド突条部41は、当該基材側サイド破断予定部25の深さ分だけ他の箇所よりも厚肉に形成されている。
【0044】
以上の構成を備えるインストルメントパネル1において、エアバッグ装置が作動すると、エアバッグの膨張圧力が基材3に作用し、先ず、基材側中央破断予定部23が中央から両端に向かって破断する。これに伴って、基材側中央破断予定部23に沿って突設された基材側中央突条部27が表皮材側中央破断予定部35の底部を押圧し、表皮材側中央破断予定部35が中央から両端に向かって破断する。
【0045】
基材側中央破断予定部23及び表皮材側中央破断予定部35のそれぞれ両端と基材側サイド破断予定部25及び表皮材側サイド破断予定部37との交点まで破断すると、エアバッグの膨張圧力によって基材側サイド破断予定部25の当該交点対応箇所が破断し、これに伴って、基材側サイド突条部29の当該交点対応箇所に対応する車両後方側端が表皮材側サイド破断予定部37の底部を押圧する。これにより、表皮材側サイド破断予定部37の上記交点対応箇所が破断する。このように、基材側中央破断予定部23は、基材側サイド破断予定部25に優先して破断し、この基材側サイド破断予定部25は、基材側中央破断予定部23に続いて破断する。
【0046】
そして、表皮材側サイド破断予定部37が破断し始めると、その外側に表皮材側サイド突条部41による厚肉部が形成され、この厚肉部は破断力に抗して破断しない。そのため、表皮材9の破断は、この厚肉部には進まずに、該厚肉部の内側にある比較的薄肉な表皮材側サイド破断予定部25に沿って進行する。したがって、表皮材9がその破断予定部31に沿って確実に破断し、表皮材9が飛散しない。
【0047】
その後、基材側サイド破断予定部25が車両後方側端から前方側端に向かって破断すると共に、基材側サイド突条部29が表皮材側サイド破断予定部37の底部を押圧することによって該表皮材側サイド破断予定部37が車両後方側端から前方側端に向かって破断し、ヒンジ部21の両端まで破断する。
【0048】
そして、エアバッグドア部15がヒンジ部21を支点として車両前方上向きに回動して開き、エアバックドア部15が開いたことによって形成される開口からエアバッグが車室に突出し、展開する。
【0049】
《発明の実施形態2》
図4は、実施形態2に係る車両用インストルメントパネル2を示す平面図である。本実施形態は、破断予定部が平面視H形状に形成され、車両前後方向前側のエアバッグドア部15及び車両前後方向後側のエアバッグドア部16の2つのエアバッグドア部が形成された観音開きタイプである点で実施形態1と異なる。その他の構成は、実施形態1とほぼ同じなので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0050】
図5はエアバッグドア部15,16の断面図であって、(a)は
図4のVa-Va線断面図であり、(b)は
図4のVb-Vb線断面図である。
図6は、基材が露出した状態における
図4のA部拡大斜視図である。
図7は、基材が露出した状態における
図4のA部拡大図である。
図8は基材の断面図であって、(a)は
図7のVIIIa-VIIIa線断面図であり、(b)は
図7のVIIIb-VIIIb線断面図である。
【0051】
なお、以下では、エアバッグドア部15,16の
図4における右端部の構造と左端部の構造とは互いに略同一であるため、左端部の構造の説明を省略し、右端部の構造について説明する。
【0052】
上記基材側破断予定部17及び表皮材側破断予定部31は、
図4に示すように、平面視H形状に形成されている。上記基材側中央破断予定部23に対向する上記ヒンジ部21,22は、該基材側中央破断予定部23を挟んで車両前方側と後方側とに一対設けられている。このヒンジ部22は、例えば上記ヒンジ部21と同様に、上記基材3の裏面3bに底部尖鋭に凹設されている。上記各基材側サイド破断予定部25は、上記基材側中央破断予定部23の車幅方向両側から車両前方及び後方に延びて、一対のヒンジ部21,22の端と繋がっている。したがって、上記基材側破断予定部17、表皮材側破断予定部31及びヒンジ部21,22によって囲まれる上記エアバッグドア部15,16は、上記基材側中央破断予定部23及び表皮材側中央破断予定部35の車両前後方向両側に形成されている。
【0053】
上記基材側中央突条部27は、
図7に示すように、上記基材側中央破断予定部23の車両前後方向前側に形成されている。一方、上記基材側サイド突条部29は、車両前後方向前側の上記エアバッグドア部15に対応する前方基材側サイド突条部43と、車両前後方向後側の上記エアバッグドア部16に対応する後方基材側サイド突条部44とによって構成されている。
【0054】
上記基材側中央突条部27の両端は、上記前方基材側サイド突条部43の車両前後方向後側端に繋がっている。一方、上記基材側中央破断予定部23の両端と上記基材側サイド破断予定部25とは、上記後方基材側サイド突条部44によって分断されている。
【0055】
また、上記基材3の上記基材側中央破断予定部23の両端と上記基材側サイド破断予定部25との分断箇所の裏面3bには、
図7及び
図8に示すように、凹部47が形成されている。この凹部47は、平面視で車幅方向に長い矩形状をなしている。
図7に示すように、当該凹部47の車幅方向内側端部は、上記基材側中央破断予定部23の車幅方向外側端部の裏側に位置する一方、車幅方向外側端部は、上記基材側サイド破断予定部25の車幅方向内側端部の裏側に位置している。上記凹部47は、
図8(a)に示すように、車幅方向から見て直角三角形状をなし、同図(b)に示すように、車両前後方向から見て台形状をなしている。
【0056】
上記の構成を備えるインストルメントパネル2において、エアバッグ装置が作動すると、エアバッグの膨張圧力が基材3に作用し、先ず、基材側中央破断予定部23が中央から両端まで破断する。これに伴って、この基材側中央破断予定部23に沿って突設された基材側中央突条部27が表皮材側中央破断予定部35の底部を押圧し、基材側中央破断予定部23と同様に、表皮材側中央破断予定部35が中央から両端まで破断する。
【0057】
基材側中央破断予定部23の両端と基材側サイド破断予定部25との交点まで破断すると、エアバッグの膨張圧力によって、基材側サイド破断予定部25の当該交点対応箇所が破断する。このように、基材側中央破断予定部23は、基材側サイド破断予定部25に優先して破断し、この基材側サイド破断予定部25は、基材側中央破断予定部23に続いて破断する。そして、前方基材側サイド突条部43の車両前後方向後側端及び後方基材側サイド突条部44の車両前後方向前側端が表皮材側サイド破断予定部37の底部を押圧し、当該表皮材側サイド破断予定部37が破断する。
【0058】
ここで、基材3の基材側中央破断予定部23の両端と基材側サイド破断予定部25との分断箇所には、後方基材側サイド突条部44が突設されているため、厚肉となる。しかしながら、当該分断箇所の裏面3bに凹部47が設けられることによって、基材3の当該分断箇所が比較的薄肉となることにより、基材3の破断がスムーズとなる。その結果、当該分断箇所における基材3及び表皮材9がより確実に破断する。
【0059】
さらに、基材側中央突条部27と基材側サイド突条部29(前方基材側サイド突条部43及び後方基材側サイド突条部44)とが繋がっているので、これと一体に形成された表皮材側中央破断予定部35及び表皮材側サイド破断予定部37も連続している。また、基材側中央破断予定部23と基材側サイド破断予定部25とが後方基材側サイド突条部44によって分断されているので、厚肉な表皮材側突条部33が当該分断箇所で分離している。すなわち、表皮材側破断予定部31が交点において表皮材側突条部33に優先して連続している。したがって、表皮材9は、上記交点において薄肉に形成されている。そのため、エアバッグ装置の作動時には、表皮材9が当該交点において一層確実に破断する。
【0060】
そして、表皮側サイド破断予定部37の外側には、厚肉の表皮材側サイド突条部41が突設されているため、表皮材側サイド破断予定部37で生じた破断は、この表皮材側サイド突条部41によって堰き止められ、内側の表皮材側サイド破断予定部37に沿って進行する。よって、表皮材9がその破断予定部31に沿って確実に破断し、表皮材9が飛散しない。
【0061】
その後、基材側サイド破断予定部25が車両前後方向内側端から外側端まで破断すると共に、基材側サイド突条部29が表皮材側サイド破断予定部37の底部を押圧することによって該表皮材側サイド破断予定部37が車両前後方向内側端から外側端まで破断する。
【0062】
そして、車両前方側のバックドア部15が車両前方側のヒンジ部21を支点として上向きに回動して開くと共に、車両後方側のバックドア部16が車両後方側のヒンジ部22を支点として車両後方上向きに回動して開き、これらバックドア部15,16が開いたことによって形成される開口からエアバッグが車室に突出し、展開する。
【0063】
(発明の実施形態2の変形例)
図9は、実施形態2の変形例に係る車両用インストルメントパネル2を示す
図7相当図である。本変形例では、基材側中央突条部27,28が基材側中央破断予定部23の両側に突設されている。そして、基材側中央突条部27,28の両端は、それぞれ前方基材側サイド突条部43,44に繋がる一方、基材側中央破断予定部23の両端部は、基材側サイド突条部29を分断すると共に基材側サイド破断予定部25に繋がっている。
【0064】
車両前方側の上記基材側中央突条部27は、車両前方側の上記エアバッグドア部15に設けられている一方、車両後方側の上記基材側中央突条部28は、車両後方側の上記エアバッグドア部16に設けられている。
【0065】
図10はエアバッグドア部15,16の断面図であって、(a)は表皮材9が積層された状態における
図9のXa-Xa線断面図であり、(b)は表皮材9が積層された状態における
図9のXb-Xb線断面図である。
【0066】
上記両基材側中央突条部27,28はそれぞれ、
図10(a)に示すように、断面がV字状に形成されている。そして、これら基材側中央突条部27,28の間に凹設された上記基材側中央破断予定部23は、底部がV字状に形成されている。
【0067】
上記基材側中央突条部27の両端は、上記前方基材側サイド突条部43の車両後方側端と繋がっている一方、上記基材側中央突条部28の両端は、上記後方基材側サイド突条部44の車両前方側端と繋がっている。したがって、上記基材側中央突条部27,28によって形成された表皮材側中央破断予定部35,36(
図10(a)参照)と、上記基材側サイド突条部43,44によって形成された表皮材側サイド破断予定部37(
図10(b)参照)とは連続している。上記後方基材側サイド突条部44は、
図10(b)に示すように、断面がV字状に形成されている。上記前方基材側サイド突条部43も同様に、断面がV字状に形成されている。
【0068】
これら基材側サイド突条部43,44は、基材側中央破断予定部23の両端部を挟んで離間している。言い換えると、基材側中央破断予定部23の両端部は、基材側サイド突条部29を分断している。そして、この基材側中央破断予定部23の両端部は、上記基材側サイド破断予定部25に繋がっている。
【0069】
上記の構成を備えるインストルメントパネル2においてエアバッグ装置が作動すると、基材側中央破断予定部23の両端部が基材側サイド突条部29を分断すると共に基材側サイド破断予定部25に繋がっている。したがって、基材側破断予定部17は、全体に亘って比較的薄肉に設けられている。このため、エアバッグ装置の作動時に、基材3が基材側破断予定部17に沿ってスムーズに且つ確実に破断する。また、基材側中央突条部27,28は、基材側中央破断予定部23を挟む2つのエアバッグドア部15,16にそれぞれ形成されている。そして、各基材側中央突条部27,28の両端は、基材側サイド突条部43,44に繋がっている。このため、これら基材側突条部27,28,43,44によって形成された表皮材側中央破断予定部35,36と表皮材側サイド破断予定部37が連続している。したがって、エアバッグ装置の作動時に、表皮材3が表皮材側破断予定部19に沿ってスムーズに且つ確実に破断する。
【0070】
なお、上記実施形態では、基材側中央破断予定部23と基材側サイド破断予定部25とが直交しているが、これに限定されず、例えば基材側中央破断予定部23と基材側サイド破断予定部25とがY字状に交差してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、車両用内装品として車両用インストルメントパネルを例にして説明したが、これに限定されず、車両用ドアトリムやステアリングホイール、ニーパッド等であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態1,2では、基材側突条部19の基材側破断予定部17側の面及び該基材側破断予定部17の基材側突条部19側の内面が基材3の表面3aに対して直交しているが、これら両面が当該表面3aに対して、基材3の成形に際しての型抜き方向に対してアンダーカットを生じない方向で傾斜していてもよい。同様に、上記実施形態1,2では、表皮材側突条部33の表皮材側破断予定部31側の面及び該表皮材側破断予定部31の表皮材側突条部33側の内面が表皮材9の裏面9aに対して直交しているが、これら両面が当該裏面9aに対して、基材3の成形に際しての型抜き方向に対してアンダーカットを生じない方向で傾斜していてもよい。