(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1(a)は本発明の回路基板を備える電子機器の第1の実施形態であるデジタルカメラを正面側(被写体側)から見た斜視図、
図1(b)は
図1(a)に示すデジタルカメラを背面側から見た斜視図である。
【0013】
本実施形態のデジタルカメラは、
図1に示すように、カメラ本体101の正面側にレンズ鏡筒105が設けられ、カメラ本体101の上面部には、レリーズボタン102、ズームレバー103、及びモードダイヤル104等が設けられる。また、カメラ本体101の背面側には、LCD等の表示ユニット108、及び各種操作ボタン106a〜106hが設けられ、カメラ本体101を背面側から見て右側の側部には、通信用の端子等を覆う端子カバー109が設けられる。
【0014】
図2(a)は操作ボタン106a〜106fを含む操作系ユニット110の斜視図、
図2(b)は
図2(a)に示す操作系ユニット110を背面側から見た斜視図である。
図3は、操作ボタン106a〜106fを取り外した状態の操作系ユニット110の斜視図である。
【0015】
図2に示すように、操作系ユニット110は、保持板金111、回路基板112、シートスイッチ113、及び操作ボタン106a〜106fを備える。回路基板112は、可撓性を有する素材で形成され、保持板金111上に載置される。シートスイッチ113は、
図3に示すように、粘着層119を介して回路基板112に貼り付けられる樹脂製のシート118を有する。シート118には、メタルドーム117a,117b,117e,117f,117u,117d,117l,117rが配置される。
【0016】
操作ボタン106a,106b,106e,106fには、それぞれヒンジ114a,114b,114e,114fが一体に形成される。ヒンジ114a,114b,114e,114fは、弾性変形可能とされ、かしめ部121a,121b,121e,121fにより保持板金111に固定される。
【0017】
操作ボタン106a,106b,106e,106fは、押下操作により、それぞれの裏面側に形成された突起(不図示)が対応するメタルドーム117a,117b,117e,117fを変形させ、これにより、スイッチがONになる。
【0018】
操作ボタン106cは、台座121に対して上下左右の方向に揺動可能に保持され、上下左右の裏側にはそれぞれ突起(不図示)が形成されている。操作ボタン106cの上下左右の突起に対応する位置には、
図3に示すように、メタルドーム117u(上)、メタルドーム117d(下)、メタルドーム117l(左)、メタルドーム117r(右)が配置される。台座121は、かしめ部121c,121dにより保持板金111に固定されている。
【0019】
操作ボタン106cを上下左右のいずれかの方向に押下操作すると、上下左右のいずれかの突起(不図示)がメタルドーム117u,117d,117l,117rのうちの対応するメタルドームを変形させ、スイッチがONになる。
【0020】
操作ボタン106dは、台座121に対して、押下操作が可能に保持されており、押下操作により、裏面側に形成された突起(不図示)が対応するメタルドーム117cを変形させ、スイッチがONになる。
【0021】
図4(a)は、回路基板112の斜視図である。
図4(a)に示すように、本実施形態では、回路基板112は、配線層が一層の片面基板とされている。回路基板112の接続部116は、カメラ全体の電気的な制御を司る不図示の制御基板と電気的に接続される。具体的には、接続部116には、制御基板に設けられた不図示のコネクタに接続するための端子が必要な信号本数分形成されている。
【0022】
回路基板112には、パターン開口部に不図示の電気接点が設けられている。電気接点は、回路基板112のそれぞれのメタルドーム117a,117b,117e,117f,117u,117d,117l,117rに対応する位置に形成されている。回路基板112の電気接点とメタルドーム117a,117b,117e,117f,117u,117d,117l,117rとの電気的な接続状態の変化によりそれぞれの操作ボタン106a〜106fが押下操作されたことを検知する。かかる電気的な接続状態の変化は、電気信号として回路基板112上に設けられている電気配線を通って接続部116を介して制御基板に伝達される。
【0023】
従って、片面基板である回路基板112の不図示の電気配線は、回路基板112のシートスイッチ113を貼り付ける側に設けられる。通常、回路基板には、電気配線が設けられる側にしか電子素子を半田にて実装することができない。このため、回路基板112に実装される電子素子であるダイオード115a、及びダイオード115bは、回路基板112のシートスイッチ113を貼り付ける側にしか実装することができない。
【0024】
また、ダイオード115a、及びダイオード115bは、回路基板112上に半田により実装される。ダイオード115a、及びダイオード115bは、キーマトリックスを構成し、制御基板に伝達する信号の本数を減らすために必要な電子素子である。特に、ダイオード115bは、回路基板112上の実装部120に半田にて実装される。
【0025】
図4(b)は、
図4(a)に示す回路基板112のダイオード115bの実装部付近の拡大図である。
図4(b)に示すように、ダイオード115bは、3つの端子126a〜126cを有し、端子126a〜126cを半田付けすることで実装部120に実装されている。実装部120の周囲には、スリット123が形成され、実装部120は、腕部127を介して回路基板112に接続され、腕部127の図の破線Aで折り曲げ可能とされている。
【0026】
回路基板112には、穴124が形成され、穴124には、実装部120を破線Aで180°折り返した際にダイオード115bが収納される。かかる収納状態においては、実装部120に設けられた掛止部122が穴124の縁部に掛止され、これにより、穴124に収納されたダイオード115bが保持される。
【0027】
なお、本実施形態では、ダイオード115bの端子126a,126b,126cが配置されている辺が破線Aに対向しないように、ダイオード115bを回路基板112に実装している。これは、半田付け部である端子126a,126b,126cがダイオード115bの破線Aに対向する辺に配置されると、実装部120を破線Aで折り返した際の応力が半田部に作用することで半田の剥離が発生する懸念があるからである。
【0028】
また、腕部127の幅L1は、実装部120のダイオード115bが実装されている部分の幅L2よりも狭く(L1<L2)なっている。これにより、実装部120を折り返した部分の反力が軽減し、折り返し作業の作業性が向上する。また、掛止部122を穴124の縁部に掛止した際に、実装部120が元に戻ろうとする力が軽減されるので、掛止部122が穴124から外れにくくなる。
【0029】
図5(a)は実装部120を
図4(b)の破線Aで折り返した状態での回路基板112の斜視図、
図5(b)は
図5(a)の裏面側から見た斜視図である。
図5に示すように、回路基板112の実装部120を
図4(b)の破線Aで折り返して穴124に収納されたダイオード115bを保持した状態で、
図3に示すように、シートスイッチ113が回路基板112に貼り付けられる。その後、回路基板112がシートスイッチ113と一体に保持板金111上に載置される。
図2(b)に示すように、保持板金111には、ダイオード115bを収納するため、回路基板112の穴124より大きい穴125が形成されている。
【0030】
図6は実装部120を
図4(b)の破線Aで折り返した回路基板112にシートスイッチ113を貼り付けて保持板金111に載置したときの要部断面図である。
図6に示す状態では、ダイオード115bが回路基板112の電気配線が設けられている側とは反対側に実装されている状態と同じになる。そして、掛止部122が穴124の縁部に掛止された状態で、実装部120をシートスイッチ113のシート118で覆うことで、穴124に収納されたダイオード115bをより確実に保持することができる。
【0031】
図7は実装部120を
図4(b)の破線Aで折り返さない場合の回路基板112、操作ボタン106e、ヒンジ114e、及び台座121の位置関係を示す図である。
図7から判るように、回路基板112の実装部120を
図4(b)の破線Aで折り返さない場合、ダイオード115bは、ヒンジ114bと干渉する位置に配置されることになる。
【0032】
ダイオード115bは、電気的特性や電気配線上の理由により、回路基板112の所定の位置に配置する必要がある。しかし、ヒンジ114eを避ける位置にダイオード115bを配置しようとすると、周囲には操作ボタン106eや台座121等が配置されているので、それらの部材と必要な距離を確保して配置できる箇所は回路基板112の電気配線が設けられている側にはない。
【0033】
一方、保持板金111に穴を形成すれば、回路基板112の電気配線が設けられている面と反対側にダイオード115bを配置できるスペースを確保できる。しかし、回路基板112は片面基板のため、回路基板112の電気配線が設けられている側と反対側にダイオード115bを実装することはできない。また、シートスイッチ113のメタルドーム117と接続される電気接点を配置するために、電気配線はシートスイッチ113側に設ける必要がある。
【0034】
以上の理由により、本実施例では、回路基板112の実装部120を
図4(b)の破線Aで折り返し、ダイオード115bを実質的に回路基板112の電気配線が設けられている側とは反対側に実装されている状態と同じにしている。
【0035】
以上説明したように、本実施形態では、複雑な装置や特殊な工程を必要とせず、かつコスト増を招くことなく、回路基板112に対して、カメラの組立の際に機構部材が干渉しない位置にダイオード115bを配置することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、
図8を参照して、本発明の回路基板を備える電子機器の第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。なお、上記第1の実施形態に対して重複又は相当する部分については、符号を流用しつつ相違点についてのみ説明する。
【0037】
図8(a)は、回路基板212の斜視図である。
図8(a)に示すように、回路基板212には、ダイオード115a及び115bが半田付けにより実装され、ダイオード115bは、実装部220に実装されている。また、回路基板212には、穴224が形成されている。
【0038】
図8(b)は、
図8(a)に示す回路基板212のダイオード115bの実装部付近の拡大図である。
図8(b)に示すように、実装部220の周囲には、スリット223が形成され、実装部220は、腕部227を介して回路基板212に接続される。実装部220は、腕部227の破線Bにて180°折り返される。
【0039】
回路基板212は、上記第1の実施形態の回路基板112に対して、掛止部122が設けられていない点、及び穴224の幅L4が穴124と比較して細くなっている点が相違する。幅L4は、ダイオード115bの幅L3に対して、L3≧L4となる関係とされている。
【0040】
図9は、実装部220を
図8(b)の破線Bで折り返した回路基板212のダイオード115b実装部付近を
図8(b)の裏面側から見た拡大図である。上述したように、穴224の幅L4をダイオード115bの幅L3以下としているので、
図9に示すように、穴224によってダイオード115bが挟持される。これにより、上記第1の実施形態のように、掛止部122を設けなくても、実装部220の折り返し状態が保持される。
【0041】
穴224の
図9の上下方向の長さは、穴224の上下の辺が端子126a〜126cに干渉して半田の剥離が発生することを防ぐために、端子126a〜126cに干渉しない長さとなっている。
【0042】
本実施形態では、実装部220を折り返した後のダイオード115bの
図9の左右方向の位置が穴224によって規制されるので、実装部220を折り返した後のダイオード115bの位置のばらつきを少なくすることができる。また、穴224の大きさを上記第1の実施形態の穴124より小さくできるので、回路基板212に電気配線を形成する自由度が向上する。その他の構成、及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0043】
(第3の実施形態)
次に、
図10を参照して、本発明の回路基板を備える電子機器の第3の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。なお、上記第1及び第2の実施形態に対して重複又は相当する部分については、符号を流用しつつ相違点についてのみ説明する。
【0044】
図10(a)は、回路基板312の斜視図である。
図10(a)に示すように、回路基板312には、ダイオード115a及び115bが半田付けにより実装され、ダイオード115bは、実装部320に実装されている。また、回路基板312には、穴324が形成されている。
【0045】
図10(b)は、
図10(a)に示す回路基板312のダイオード115bの実装部付近の拡大図である。
図10(b)に示すように、実装部320の周囲には、スリット323が形成され、実装部320は、腕部327を介して回路基板312に接続される。
【0046】
実装部320は、略L字状に形成されて、一方の端部が腕部327とされて回路基板312に接続され、他方の端部にダイオード115bが実装される。そして、実装部320の腕部327の幅方向に沿う図の破線Cにて180°折り返されることで、ダイオード115bが回路基板312の穴324に収納される。穴324の幅は、上記第2の実施形態と同様に、ダイオード115bの幅以下とされ、これにより、穴324によってダイオード115bが挟持されて実装部320の折り返し状態が保持される。
【0047】
本実施形態では、実装部320の腕部327の回路基板312との接続部が穴324に対向しないため、腕部327の幅L5を広く取ることができる。従って、実装部320の腕部327に設けられる電気配線の幅が広い場合や電気配線の本数が多い場合に有効である。その他の構成、及び作用効果は、上記第1及び第2の実施形態と同様である。
【0048】
なお、本発明の構成は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0049】
例えば、上記各実施形態では、操作系ユニットを構成するスイッチとしてシートスイッチを例示したが、面実装タイプのスイッチ等でもよい。
【0050】
また、上記各実施形態では、掛止部を用いるか、或いは穴によってダイオードを挟持することで実装部の折り返し部分を保持しているが、必ずしもこのようにする必要はない。即ち、操作系ユニットを構成するスイッチとしてシートスイッチを用いて実装部の折り返し部分を覆う場合には、シートスイッチで実装部の折り返し部分を保持できるので、必ずしも掛止部を用いたり、穴によってダイオードを挟持する必要はない。
【0051】
更に、上記各実施形態では、電子素子としてダイオードを例示したが、ダイオード以外の電子素子、例えば、抵抗、コンデンサ、各種IC等でもよい。
【0052】
更に、上記各実施形態では、回路基板として片面基板を例示したが、配線層が二層以上の多層基板であってもよい。
【0053】
更に、上記第1及び第2の実施形態では、実装部の腕部を電子素子が実装されている部分より幅狭にしているが、実装部の腕部を電子素子が実装されている部分より幅広にしてもよい。