【実施例1】
【0011】
以下、実施例1について説明する。
本実施例では、画像形成装置として、4個のプロセスカートリッジが着脱可能なフルカラー画像形成装置について例示する。しかしながら、画像形成装置に装着されるプロセスカートリッジの個数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定されるものであるとよい。例えば、モノクロの画像を形成する画像形成装置の場合には、画像形成装置に装着されるプロセスカートリッジの個数は1個である。
また、本実施例では、画像形成装置の一態様としてプリンタを例示している。しかしながら、本発明を適用可能な画像形成装置としては、これに限定されるものではなく、例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であってもよい。
【0012】
《画像形成装置の概略構成》
図1は、本実施例の画像形成装置の外観を示す概略斜視図である。
図2は、本実施例の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
本実施例の画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタであり、記録材にカラー画像形成を行うものである。画像形成装置1は、プロセスカートリッジ方式であり、プロセスカートリッジ(以下、カートリッジ)Pを装置本体2に取り外し可能に装着して、記録材Sにカラー画像を形成する。
ここで、画像形成装置1に関して、装置本体2の開口部30を開閉可能に覆うドア(開閉部材)3を設けた側を正面(前面)、正面と反対側の面を背面(後面)とする。また、上下に関しては、画像形成装置1の設置状態(使用状態)における鉛直方向の上下をいうものとする。ドア3は、カバー(カバー部材)3aを備え画像形成装置1の正面側の外観(外装面)を構成しており、ドア3の下方には、ドア3に並設され、ドア3と共に正面側の外観を構成するように外観部品(本実施例ではカセットカバー)10が配設されている。
【0013】
画像形成装置1の装置本体2には、第1カートリッジPY、第2カートリッジPM、第3カートリッジPC、第4カートリッジPKの4つのカートリッジP(PY・PM・PC・PK)が水平方向に配置されている。
第1〜第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、それぞれ同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤(以下、トナー)の色が各々異なるものである。従って、以下の説明において特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号Pに与えた添え字Y,M,C,Kは省略して総括的に説明する。
【0014】
各カートリッジPには、装置本体2の駆動出力部(不図示)から回転駆動力が伝達される。また、各カートリッジPには装置本体2からバイアス電圧(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給される(不図示)。
第1カートリッジPYは、イエロー(Y)のトナーを収容しており、像担持体としての感光体(感光ドラム)40の表面にイエロー色のトナー像を形成する。第2カートリッジPMは、マゼンタ(M)のトナーを収容しており、感光体40の表面にマゼンタ色のトナー像を形成する。第3カートリッジPCは、シアン(C)のトナーを収容しており、感光体40の表面にシアン色のトナー像を形成する。第4カートリッジPKは、ブラック(K)のトナーを収容しており、感光体40の表面にブラック色のトナー像を形成する。
【0015】
各カートリッジPの上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニットLSが設けられている。このレーザスキャナユニットLSは、各色の画像情報に対応したレーザ光Zを各感光体40に向けてそれぞれ出力する。そして、各レーザ光Zは、各カートリッジPの露光窓部を通過して各感光体40の表面を走査露光する。
各カートリッジPの下方には、転写部材としての中間転写ベルトユニット11が設けられている。この中間転写ベルトユニット11は、駆動ローラ13、ターンローラ17、テンションローラ15を有し、これらのローラに可撓性を有する転写ベルト12を掛け渡すことで構成されている。
【0016】
第1〜第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の感光体40は、その下面が転写ベルト12の上面に接するように構成されている。転写ベルト12と感光体40との接触部(当接部)が1次転写部を構成する。転写ベルト12の内側には、感光体40に対向させて1次転写ローラ16が設けられている。
ターンローラ17には、転写ベルト12を介して2次転写ローラ14が当接している。転写ベルト12と2次転写ローラ14の接触部が2次転写部を構成する。
【0017】
中間転写ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18が設けられている。この給送ユニット18は、記録材Sが積載されて収容される給送トレイ19、給送ローラ20を有する。
図2において装置本体2内の左上方には、定着ユニット21と排出ユニット22が設けられており、装置本体2の上面には、排出トレイ23が設けられている。
記録材Sは、定着ユニット21に設けられた定着手段によりトナー像が定着された後、排出トレイ23へ排出される。
【0018】
《画像形成動作》
フルカラー画像が形成される画像形成動作について以下に説明する。
各カートリッジPの感光体40がそれぞれ所定の速度で回転駆動される(
図2の矢印方向(
図2で反時計回り))。転写ベルト12も感光体40の回転に順方向(
図2の矢印C方向)に感光体40の速度に対応した速度で回転駆動される。
レーザスキャナユニットLSは、各感光体40の表面を各色の画像信号に応じてレーザ光Zで走査露光する。これにより、各感光体40の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、所定の速度で回転駆動される現像ローラ(不図示)により現像される。
【0019】
このような電子写真画像形成プロセスにより、第1カートリッジPYの感光体40にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色のトナー像が形成される。そして、そのトナー像が1次転写部で転写ベルト12上に1次転写される。
同様に、第2カートリッジPMの感光体40にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するマゼンタ色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色のトナー像に重畳されるように1次転写部で1次転写される。
【0020】
同様に、第3カートリッジPCの感光体40にはフルカラー画像のシアン成分に対応するシアン色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色のトナー像に重畳されるように1次転写部で1次転写される。
同様に、第4カートリッジPKの感光体40にはフルカラー画像のブラック成分に対応するブラック色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナー像に重畳されるように1次転写部で1次転写される。
このようにして、転写ベルト12上にイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
【0021】
一方、所定の制御タイミングで記録材Sが1枚ずつ分離されて給送される。その記録材
Sは、所定の制御タイミングで2次転写ローラ14と転写ベルト12との間の2次転写部に導入される。
これにより、記録材Sが2次転写部へ搬送されていく過程で、転写ベルト12上の4色重畳のトナー像が記録材Sの面に順次、一括転写される。
【0022】
《カートリッジの着脱構成》
次に、カートリッジPの装置本体2への着脱動作について説明する。
図3(a)は、カートリッジトレイ43が装置本体2から引き出され、カートリッジPが着脱可能な状態を示した概略断面図である。
図3(b)は、カートリッジPのカートリッジトレイ43への着脱動作を示した概略断面図である。
【0023】
装置本体2内には、カートリッジPを装着可能なカートリッジトレイ43が設けられている。カートリッジトレイ43は、
図3(a)に示すように、装置本体2に対して実質的に水平方向であるG1方向(正面方向),G2方向(背面方向)に移動(引き出し/押し込み)可能に構成されている。これにより、カートリッジトレイ43は、装置本体2内の装着位置と、装着位置から引き出された引き出し位置とをとりうる。
【0024】
まず、カートリッジPの装置本体2への装着動作について説明する。
装置本体2に対してドア3を開け、カートリッジトレイ43を
図3(a)の矢印G1方向に移動させることで、カートリッジトレイ43は引き出し位置に移動する。この状態において、カートリッジPは、
図3(b)の矢印H1方向からカートリッジトレイ43に装着され、保持される。
カートリッジPが保持されたカートリッジトレイ43を
図3(a)の矢印G2方向に移動させると、カートリッジトレイ43は装置本体2内の装着位置に移動する。そして、ドア3を閉めることで、カートリッジPの装置本体2への装着動作が完了する。
【0025】
次に、カートリッジPの装置本体2からの取り出し動作について説明する。
前述したカートリッジPの装置本体2への装着動作と同様にして、カートリッジトレイ43を引き出し位置に移動させる。この状態において、カートリッジPが
図3(b)の矢印H2方向に取り出され、カートリッジPの装置本体2からの取り出し動作が完了する。以上の動作により、カートリッジPは装置本体2に着脱可能となっている。
【0026】
《ドアのヒンジ構成》
次に、装置本体2に対してドア3を回転可能にするドア3のヒンジ構成について説明する。
図4(a)は、ドア3が開いた状態のヒンジ部を示した概略斜視図であり、ドア3の一部は切断された図となっている。
図4(b)は、
図4(a)で示したヒンジ部の拡大図である。
図5(a)は、ドア3が閉じた状態のヒンジ部を示した概略断面図である。
図5(b)は、
図5(a)で示したヒンジ部の拡大図である。
図6(a)は、ドア3が開いた状態のヒンジ部を示した概略断面図である。
図6(b)は、
図6(a)で示したヒンジ部の拡大図である。
【0027】
図4〜6に示すように、ドア3が回転可能に支持される支持部材7が装置本体2に取り付けられている。そして、支持部材7には、断面が円弧形状(本実施例では略半月形状(略半円形状))の凹部7aが設けられている。
一方、ドア3には、断面が円弧形状(本実施例では略半月形状)の凸部6a、及び係合突起部6c,6dを有するドアヒンジ部材6が備えられており、ドアヒンジ部材6は、係合突起部6c,6dを用いてドア3に固定されている。そして、ドアヒンジ部材6の円弧形状の凸部6aは、支持部材7の円弧形状の凹部7aに回転可能に係合され支持されている。ここで、支持部材7はヒンジ部を構成する本体側部材に相当する。また、ドアヒンジ
部材6はヒンジ部を構成するドア側部材に相当する。また、凹部7a及び凸部6aにおいて断面が円弧形状とは、ドアヒンジ部材6(ドア3)が装置本体2に対して回転する際の回転軸に直交する断面をとったときの形状がそれぞれ円弧形状となることをいうものである。また、凸部6aは、装置本体2に対してドア3が閉じた状態で装置本体側に凸となるように構成(形成)されている。また、凸部6aの外周面(円弧面状の第1被案内面)6a1が凹部7aの内周面(円弧面状の案内面)7a1に回転可能に当接することで、凸部6aと凹部7aとが係合状態となり、装置本体2に対してドア3が回転可能に支持された状態となる。
【0028】
また、ドアヒンジ部材6の円弧形状の凸部6a、及び、支持部材7の円弧形状の凹部7aと同軸に(同じ回転軸(回転中心)を有するように)構成(配置)された針金部材(金属軸部材)8が支持部材7に保持されている。棒状の針金部材8は、ドアヒンジ部材6の凸部6aと、支持部材7の凹部7aとの係合状態が解除されないように(互いに離れないように)、ドアヒンジ部材6を保持するものである。ドアヒンジ部材6は針金部材8の表面8aに当接し案内される第2被案内面6b1を備える。
ここで、針金部材8は、支持部材7に対してドアヒンジ部材6を回転可能に連結する、ヒンジ部を構成する軸部材に相当する。外周面6a1、第2被案内面6b1、内周面7a1、及び、針金部材8の表面8aは針金部材8の軸線を中心とした円弧面である。
そして、支持部材7に設けられた穴7bに針金部材8が入るように構成されることで、針金部材8の姿勢が固定支持される。なお、ドア3のカバー3aは、針金部材8を挟んで第2被案内面6b1と対向する位置を覆っており、第2被案内面6b1が針金部材8から離れ、装置本体2からドア3が外れることを防いでいる。
以上のような構成により、ドア3は、凸部6a、凹部7a、及び針金部材8で形成された回転軸(針金部材8の軸線)を回転中心として(針金部材8まわりで回転して)、装置本体2に対してスムーズな開閉動作を行うことができる。
【0029】
次に、本実施例のドアヒンジ機構の効果について説明する。
図14(c),(d)は、従来のドアヒンジ機構を用いたドアの開閉状態を説明するための概略断面図である。
図7(a),(b)は、本実施例のドアヒンジ機構を用いたドア3の開閉状態を説明するための概略断面図である。ここで、
図14(c),(d)に示す構成部材において本実施例と同様の構成部材においては、説明の便宜上、本実施例と同じ符号を付している。
【0030】
図14(c),(d)に示すように、従来のドア203は、その一縁(図では下端部)の両端側端部に突出して形成された支軸250が装置本体に形成された軸受部(不図示)に嵌め込まれて、この支軸250を中心として回転可能に取り付けられている。この従来の支軸250は、ドア203の全荷重を受け、さらに、曲げモーメントを受けるため、ある程度太くする必要があった。
また、
図14(d)に示すように、ドア203を開いた場合には、ドア3の一端部203aが装置本体内部側へ入り込むこととなる。したがって、ドア203が装置本体内部に設けられたその他の構成部品と干渉して開閉動作に支障をきたさないようにするためには、ドア203の一端部203aの回転軌跡J2の領域内にその他の構成部品を配置できないという制約が生じることが懸念されていた。
また、外観部品210との隙間L2においても、回転軌跡J2との干渉領域を避けるだけの隙間を確保する必要があった。
【0031】
これに対して、本実施例のドアヒンジ機構は、針金部材8は主に引張り力を受け、ドア3の全荷重を直接は受けないように構成されている。
支持部材7は、ドア3(ドア3の荷重)を支えることになるが、従来の支軸50よりも大きな半径を有する円弧形状の凹部7aでドア3を支持する(ドア3の荷重を受ける)こ
とができる。したがって、支軸50で支える従来の構成よりも大きな強度を有することになる。
一般的な部材は、曲げモーメントに対してよりも引張り力に対して強い。
したがって、本実施例では、針金部材8の径を小さくすることができる。更に、針金部材8を外装とは違う強度の強い材質、例えば金属で形成すれば更に強度を大きくすることができるので、針金部材8の径をより小さくすることができる。
【0032】
したがって、本実施例のドアヒンジ機構においては、
図7に示すように、その回転軸60を装置本体2の外縁近傍に配置することが可能となる。これにより、
図7(b)に示すように、ドア3を開閉した場合における装置本体内部側へ入り込む回転軌跡J1を、従来のドアの回転軌跡J2に比べて小さくすることができる。
よって、装置本体2に備えられるその他の構成部品の配置とヒンジの位置との関係に制約を与える必要がなくなるので、ドア3はスムーズな開閉動作が可能となり、装置本体2のサイズを小さくすることができる。また、隣り合う外観部品(外装部材)10との隙間L1も、従来の隙間L2よりも小さくすることができるので、装置本体の外観をより良好にすることが可能となる。
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、装置本体とドアのデザインに制約を与えることなくスムーズなドアの開閉動作を実現することが可能となる。特に、本実施例では、ドアの開閉機構を、装置本体のデザインに影響を与えないように装置本体内部に配置し、かつ、ドアの回転軸を画像形成装置(筐体)の外観面近傍の位置に設定している。これにより、ドアが、装置本体内部の構成部品に干渉することなく開閉動作を行うことが可能となり、また、外観部品との隙間を従来よりも小さくすることができることで画像形成装置の外観をより良好にすることが可能となる。
【実施例2】
【0034】
以下、実施例2について説明する。
本実施例では、実施例1の構成に加えて、装置本体2の正面側(ドア3の外側)に手差し給送ユニット24が設けられ、ドアが2重構造で構成されている。すなわち、本実施例では、装置本体2の開口部30を覆うドア(第1開閉部材)3と、手差し給送動作を行うときの記録材の積載部(載置部)である手差し給送ドア(第2開閉部材)4が、それぞれ装置本体2に回転可能に支持されている。ここで、ドア3は第1ドアに相当し、開口部30は第1開口部に相当する。また、手差し給送ドア4は、第2ドアに相当する。また、手差し給送動作の際に記録材が装置本体2の外側から装置本体2内に搬送(挿入、進入)されるときに通過する開口部31が第2開口部に相当する。なお、実施例1と共通する構成部材・部品には共通の符号を付して説明を省略する。また、画像形成装置の概略構成、画像形成動作、及びカートリッジの着脱構成についても、実施例1と同じ構成であるため再度の説明は省略する。
【0035】
《手差し給送の構成》
まず、手差し給送動作について説明する。
図8は、本実施例の画像形成装置の外観を示す概略斜視図である。
図9は、本実施例の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図10は、本実施例の画像形成装置において、手差し給送動作時の状態を示した概略断面図である。
図9に示すように、手差し給送ユニット24は装置本体2の正面側に配置されており、本実施例の画像形成装置1では、装置本体2の開口部30を覆うドア3の外側に手差し給送ドア4が回転可能に設けられている。
【0036】
ドア3の内部には、手差し給送ドア4に対して移動可能に設けられている手差し給送トレイ5が収納されている。手差し給送ドア4を
図10の矢印F方向(正面方向)に開ける
と、手差し給送トレイ5が手差し給送可能位置に移動する。
手差し給送動作時には、手差し給送トレイ5上に積載された記録材Sが、所定の制御タイミングで手差し給送ローラ25により1枚ずつ分離されて装置本体2内へ給送される。その記録材Sは、複数の搬送ローラ対を経由して、2次転写ローラ14と転写ベルト12との当接部である2次転写部に導入される。その後の画像形成動作の構成については、実施例1と同じである。
【0037】
《2重ドアのヒンジ構成》
次に、ドア3と手差し給送ドア4の2重のドアヒンジ構成について説明する。
図11(a)は、ドア3と手差し給送ドア4が共に閉じた状態のヒンジ部を示した概略断面図である。
図11(b)は、
図11(a)で示したヒンジ部の拡大図である。
図12(a)は、ドア3が手差し給送ドア4と共に開いた状態のヒンジ部を示した概略断面図である。
図12(b)は、
図12(a)で示したヒンジ部の拡大図である。
図13(a)は、手差し給送ドア4のみが開いて手差し給送動作可能である状態のヒンジ部を示した概略断面図である。
図13(b)は、
図13(a)で示したヒンジ部の拡大図である。
【0038】
本実施例において、装置本体2に対するドア3のヒンジ構成は、実施例1同様である。すなわち、本実施例では、
図11〜13に示すように、ドア3が回転可能に支持される支持部材7が装置本体2に取り付けられている。そして、支持部材7には、断面が円弧形状の凹部7aが設けられている。一方、ドア3には、断面が円弧形状の凸部6a、及び係合突起部6c,6dを有するドアヒンジ部材6が備えられており、ドアヒンジ部材6は、係合突起部6c,6dを用いてドア3に固定されている。そして、ドアヒンジ部材6の凸部6aが、支持部材7の凹部7aに回転可能に係合され支持されることで、第1係合部(装置本体2に対してドア3を回転可能にする第1ヒンジ部)が形成されている。
【0039】
ここで、上述した実施例1のヒンジ部におけるドアヒンジ部材6と支持部材7は、本実施例では第1ヒンジ部を構成している。すなわち、本実施例では、ドアヒンジ部材6は第1ドア側部材に相当する。また、凸部6aは、ドアヒンジ部材6が回転する際の第1回転軸に直交する断面の形状が、ドア3が閉じた状態で装置本体2側に凸となる円弧形状の第1凸部に相当する。また、凹部7aは、第1回転軸に直交する断面の形状が円弧形状の第1凹部であって、凸部6aの外周面が回転可能に当接する内周面を有する第1凹部に相当する。凸部6aの外周面(被案内面)6a1が凹部7aの内周面(第1案内面)7a1に回転可能に当接することで、凸部6aと凹部7aとが係合状態となり、装置本体2に対してドア3が回転可能に支持された状態となる(
図12)。
【0040】
本実施例のドアヒンジ部材6においては、円弧形状の凸部6aが設けられた面の裏側の面に、凸部6a(第1係合部)の円弧形状と同軸上に形成された円弧形状(本実施例では略半月形状)の凹部6bが設けられている。一方、手差し給送ドア4には、円弧形状(本実施例では略半月形状)の凸部9a、及び係合突起部9bを有するドアヒンジ部材9が備えられており、ドアヒンジ部材9は、係合突起部9bを用いて手差し給送ドア4に固定されている。そして、ドアヒンジ部材9の円弧形状の凸部9aが、ドアヒンジ部材6の円弧形状の凹部6bに回転可能に係合され支持されることで、第2係合部(ドア3に対して手差し給送ドア4を回転可能にする第2ヒンジ部)が形成されている。
【0041】
ここで本実施例では、ドアヒンジ部材9は第2ドア側部材に相当する。ドアヒンジ部材6とドアヒンジ部材9と針金部材8が第2ヒンジ部を構成している。また、凸部9aは、ドアヒンジ部材9が回転する際の第2回転軸(本実施例では第1回転軸と同軸)に直交する断面の形状が、手差し給送ドア4が閉じた状態で装置本体2側に凸となる円弧形状の第2凸部に相当する。また、凹部6bは、第2回転軸に直交する断面の形状が円弧形状の第2凹部であって、凸部9aの外周面が回転可能に当接する内周面を有する第2凹部に相当
する。ドアヒンジ部材6においては、凸部6aの外周面の内周側に凹部6bの内周面が配設されることとなる。そして、凸部9aの外周面(第2当接面)9a1が凹部6bの内周面(第1当接面)6b1に回転可能に当接することで、凸部9aと凹部6bとが係合状態となる。また、ドアヒンジ部材9の第2被案内面9b1が、針金部材8の表面(第2案内面)8aに回転可能に当接する。これにより、ドア3に対して手差し給送ドア4が回転可能に支持された状態となる(
図13)。
【0042】
また、第1係合部及び第2係合部における円弧形状、すなわち、凹部7a、凸部6a、凹部6b、凸部9aの円弧形状と同軸(同じ回転軸(回転中心)を有するように)に構成(配置)された針金部材8が支持部材7に保持されている。ここで、針金部材8は、ドア3に対して手差し給送ドア4を回転可能に連結する第2軸部材に相当する。また、第2凸部としての凸部9aが、装置本体2に対してドア3を回転可能に連結する第1軸部材を兼ねている。外周面6a1、内周面6b1、内周面7a1、外周面9a1、第2案内面9b1、及び、針金部材の表面8aは、針金部材8の軸線(所定の回転中心)を中心とした同心円弧面である。
針金部材8は、ドアヒンジ部材9の凸部9aとドアヒンジ部材6の凹部6bとの係合、及び、ドアヒンジ部材6の凸部6aと支持部材7の凹部7aとの係合がそれぞれ離れないように配設された状態で、支持部材7に保持されている。
そして、支持部材7に設けられた穴7bに針金部材8の両端部分が入るように配置することで、針金部材8の姿勢が支持部材7に固定支持される。
なお、手差し給送ドア4のカバー4aは、針金部材8を挟んで第2被案内面9b1と対向する位置を覆っており、第2被案内面9b1が針金部材8から離れ、装置本体2から手差し給送ドア4が外れることを防いでいる。
【0043】
以上のような構成により、
図12に示すように、ドア3は、第1係合部と第2係合部と針金部材8とで形成された回転軸(針金部材8の軸線)を回転中心として、装置本体2に対してスムーズな開閉動作を行うことができる。また、
図13に示すように、手差し給送ドア4は第2係合部と針金部材8とで形成された回転軸(針金部材8の軸線)を回転中心として、装置本体2に対してスムーズな開閉動作を行うことができる。
【0044】
本実施例によれば、実施例1で述べたように、ドア3、及び手差し給送ドア4を開閉しても、装置本体内部側へ入り込む回転軌跡J1は、従来のドア3の回転軌跡J2に比べて小さくすることができる。
よって、装置本体2に備えられる手差し給送ユニット24の配置とヒンジの位置との関係に制約を与える必要がなくなるので、ドア3、及び手差し給送ドア4はスムーズな開閉動作が可能となり、装置本体2のサイズを小さくすることができる。また、外観部品10との隙間L1も、従来の隙間L2よりも小さくすることができるので、装置本体の外観をより良好にすることが可能となる。すなわち、実施例1同様の効果を得ることが可能となる。
【0045】
ここで、本実施例においては、ドアヒンジ部材6が回転する際の回転軸(凸部6aの円弧形状(外周面)の回転軸(中心軸)、第1回転軸)と、ドアヒンジ部材9が回転する際の回転軸(凸部9aの円弧形状の回転軸、第2回転軸)を同軸としていた。そして、第2凸部としての凸部9aが、装置本体2に対してドア3を回転可能に連結する第1軸部材を兼ねていた。しかし、これに限るものではなく、ドアヒンジ部材6が回転する際の回転軸と、ドアヒンジ部材9が回転する際の回転軸は、同軸でなくてもよい。すなわち、装置本体2に対してドア3が回転可能に支持されるヒンジ部と、ドア3に対して手差し給送ドア4が回転可能に支持されるヒンジ部が、それぞれ次のように構成されるものであればよい。すなわち、ヒンジ部がそれぞれ、凸部を有するヒンジ構成部材と、凸部の外周面が回転可能に当接する内周面を有する凹部を備えたヒンジ構成部材と、2つのヒンジ構成部材を
相対的に回転可能に連結する軸部材とで構成されるものであればよい。