【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
使用材料は、以下に示すとおりである。
(1)セメント:中庸熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、C
2Sの含有率:36質量%、密度:3.2g/cm
3)
(2)シリカフューム1:金属シリコン系シリカフューム(BET比表面積:18.6m
2/g、密度:2.3g/cm
3)
(3)シリカフューム2:ジルコニア系シリカフューム(BET比表面積:10.0m
2/g、密度2.3g/cm
3)
(4)細骨材:砕砂(山梨県大月市産の安山岩、密度:2.6g/cm
3)
(5)粗骨材:砕石2005(山梨県大月市産の安山岩、密度2.6g/cm
3)
(6)高性能減水剤:BASF社製、商品名「マスターグレニウムSP8HU」
(7)空気量調整剤:BASF社製、商品名「マスターエア404」
【0019】
[実施例1]
上記材料を、表1に示す配合に従って、ホバートミキサ(容量:1リットル)を用いて混練して、モルタルを製造した。
各材料の練り混ぜ方法としては、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、一次水を投入して60秒間混練し、次いで、残りの全材料(二次水と高性能減水剤と空気量調整剤)を投入して120秒間混練する方法(表1中、「ダブルミキシング」という。)を行った。
得られたモルタルについて、モルタルフロー値、材齢2日における圧縮強度、温度履歴養生を行った場合の材齢7日における圧縮強度を、以下の評価方法に従って測定した。結果を表2に示す。
【0020】
<評価方法>
(1)モルタルフロー値
「JIS R 5201(セメントの物理試験方法) 11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。
(2)200mmフロー到達時間
上記(1)のフロー試験において、フロー値が200mmに達するまでの時間を測定した。
(3)材齢2日における圧縮強度
「2013年制定 コンクリート標準示方書[規準編]」の「土木学会規準」の「F.フレッシュコンクリート」の「16.プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)(案)(JSCE−F 522−2013)」に準じて、ポリエチレン袋内の硬化体(φ50×100mm)を切り出して、材齢2日における圧縮強度を測定した。
(4)温度履歴養生を行った場合の材齢7日における圧縮強度
モルタルをφ50×100mmの型枠を用いて成型した後、最高温度80℃で168時間(7日間)の温度履歴養生を行った。温度履歴パターンは、20℃の条件下で24時間の前置きを行った後、5℃/時間の昇温速度で80℃まで温度を上昇させ、次いで、80℃の条件を12時間保持した後、0.5℃/時間の降温速度で温度が20℃になるまで降温させるものであった。上述した温度履歴養生を行った供試体の圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
【0021】
[実施例2〜4]
表1に示すように、一次水と二次水の比率を定めた以外は実施例1と同様にして、モルタルを製造した。得られたモルタルの物性について、実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
[比較例1、参考例1]
各材料の練り混ぜ方法として、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、残りの全材料(水と高性能減水剤と空気量調整剤)を投入して180秒間混練する方法(表1中、「シングルミキシング」という。)を行い(比較例1、参考例1)、かつ、シリカフュームの種類を変えた(参考例1)以外は、実施例1と同様にしてモルタルを製造した。得られたモルタルの物性について、実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【0022】
[実施例5]
表1に示すように、材料の種類及び配合割合を定め、各材料の練り混ぜ方法としては、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、一次水を投入して60秒間混練し、次いで、残りの全材料(二次水と高性能減水剤と空気量調整剤)を投入して300秒間混練する方法を行った。得られたモルタルの物性について、実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
[比較例2、参考例2]
各材料の練り混ぜ方法として、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、残りの全材料(水と高性能減水剤と空気量調整剤)を投入して360秒間混練する方法を行い(比較例2、参考例2)、かつ、シリカフュームの種類を変えた(参考例2)以外は、実施例5と同様にしてモルタルを製造した。得られたモルタルの物性について、実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
表2中、本発明の2段階で混練する方法(実施例)によれば、1段階で混練する方法(比較例)に比べて、モルタルの流動性が優れていることがわかる。また、実施例と参考例の結果から、本発明では、BET比表面積が大きいシリカフュームを用いているにもかかわらず、BET比表面積が小さいシリカフュームを用いた場合(参考例)と同等以上の流動性及び圧縮強度を得ていることがわかる。
【0026】
[実施例6]
上記材料を、表3に示す配合で、二軸練りミキサ(容量:60リットル)を用いて混練し、コンクリートを製造した。
各材料の練り混ぜ方法としては、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、一次水を投入して60秒間混練し、次いで、二次水と高性能減水剤と空気量調整剤を投入して120秒間混練し、さらに粗骨材を投入して60秒間混練する方法(表3中、「ダブルミキシング」という。)を行った。
得られたコンクリートについて、スランプフロー値、及び、500mmフロー到達時間を、以下の評価方法に従って測定した。結果を表4に示す。
なお、後述の実施例7、比較例3〜4、及び、参考例3では、温度履歴養生を行った場合の材齢7日における圧縮強度を、以下の評価方法に従って測定した。
【0027】
<評価方法>
(1)スランプフロー値
「JIS A 1150(コンクリートのスランプフロー試験方法)」に準じて測定した。
(2)500mmフロー到達時間
上記(1)のスランプフロー試験において、フロー値が500mmに達するまでの時間を測定した。
(3)温度履歴養生を行った場合の材齢7日における圧縮強度
コンクリートをφ100×200mmの型枠を用いて成型した後、最高温度80℃で168時間(7日間)の温度履歴養生を行った。温度履歴パターンは、20℃の条件下で24時間の前置きを行った後、5℃/時間の昇温速度で80℃まで温度を上昇させ、次いで、80℃の条件を12時間保持した後、0.5℃/時間の降温速度で温度が20℃になるまで降温させるものであった。上述した温度履歴養生を行った供試体の圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
【0028】
[比較例3、参考例3]
各材料の練り混ぜ方法として、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、水と高性能減水剤と空気量調整剤を投入して180秒間混練し、次いで、粗骨材を投入して60秒間混練する方法(表3中、「シングルミキシング」という。)を行い(比較例3、参考例3)、かつ、シリカフュームの種類を変えた(参考例3)以外は、実施例6と同様にして、コンクリートを製造し、その物性を測定した。結果を表4に示す。
【0029】
[実施例7]
表3に示すように材料の配合割合を定め、各材料の練り混ぜ方法としては、セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、一次水を投入して60秒間混練し、次いで、二次水と高性能減水剤と空気量調整剤を投入して300秒間混練し、さらに粗骨材を投入して90秒間混練する方法を行った。得られたコンクリートの物性について、実施例6と同様に測定した。結果を表4に示す。
[比較例4]
セメントとシリカフュームと細骨材をミキサに投入して30秒間空練りし、その後、水と高性能減水剤と空気量調整剤を投入して300秒間混練し、次いで、粗骨材を投入して90秒間混練する方法を行った。得られたコンクリートの物性について、実施例6と同様に測定した。結果を表4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
表4中、本発明の2段階で混練する方法(実施例)によれば、1段階で混練する方法(比較例)に比べて、コンクリートの流動性が優れていることがわかる。